JP5761586B2 - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
高い耐水性、耐溶剤性や耐擦過性等を有する印字を被記録媒体の表面に形成可能なインクとして、紫外線硬化インクが開発されている。この紫外線硬化インクは、重合性化合物及び光重合開始剤を有し、当該インクを被記録媒体上に吐出し、紫外線照射によりインク組成物を重合させ、固化することにより印刷が行なわれる。
紫外線照射による光重合開始剤による重合性化合物の重合反応を高めるため、予め被記録媒体に反応液(凝集液)をインクジェット技術により付着させ、この凝集液上に紫外線硬化インクを付着させる技術が提案されている(特許文献1参照)。凝集液により、紫外線硬化インク中における重合性化合物及び光重合開始剤が凝集し、重合性化合物及び光開始剤の実質的な密度が高まることから、紫外線による硬化反応を促進することができる。この結果、紫外線硬化型インクの硬化速度及び定着速度が高まることから、インクの滲みや混色(カラーブリード)を防止でき、発色性に優れた印字を得ることができる。
特許第3642152号公報
しかしながら、インクジェット技術により凝集液を付着させた場合には、凝集液を付与させるためのインクジェット記録装置が必要である。また、凝集液の付着量の過多は、紫外線インクの硬化後の印字班が生じる原因となり、例えば吸収性記録媒体を用いた場合のカールやシワの発生の原因となる。
本発明の目的の1つは、凝集液の付着量を調節することができ、光硬化型の水溶性インク組成物の硬化速度を高めて、良好な印字を実現することができるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録媒体にインク固形物を凝集させる凝集液を塗布する凝集液塗布手段と、凝集液が塗布された被記録媒体に、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む光硬化型インク組成物を吐出するインク吐出手段と、被記録媒体に付着した光硬化型インク組成物に光を照射して、光硬化型インク組成物を硬化させる光照射手段とを有し、凝集液塗布手段は、被記録媒体への凝集液の塗布量を印刷条件に応じて調節可能に構成されているものである。
上記構成の本発明では、凝集液塗布手段により、印刷条件に応じて必要な量だけの凝集液が被記録媒体に塗布されることから、光硬化型インク組成物の希釈を抑制しつつ、当該光硬化型インク組成物に含まれるインク固形物を効果的に凝集させることができる。この結果、光照射手段による光硬化型インクの光硬化性及び定着性を向上させることができる。また、凝集液の付着量を抑制することができることから、光硬化型インク組成物の硬化後の印字班の発生を抑制でき、さらに、例えば吸収性記録媒体を用いた場合のカールやシワの発生を抑制することができる。
例えば、凝集液塗布手段は、凝集液を保持し得る外周面を備え、被記録媒体と接触した状態で回転可能に構成された凝集液塗布ローラと、塗布ローラと接触した状態で、回転可能に構成され、凝集液塗布ローラの外周面に凝集液を供給する凝集液供給ローラと、凝集液塗布ローラ又は凝集液供給ローラの表面に保持された凝集液の量を調節するスキージとを有する。このように、スキージにより凝集液塗布ローラ又は凝集液供給ローラの表面に保持された凝集液の量が調節されることにより、当該塗布ローラから被記録媒体へ転写される凝集液の量が調節される。
例えば、印刷条件に応じて凝集液塗布手段により調節される凝集液の塗布量を設定する制御手段をさらに有する。例えば、制御手段は、モノクロモード又はカラーモードに応じて異なる凝集液の塗布量を設定する。また、制御手段は、被記録媒体への印刷量を計算し、当該印刷量に応じて異なる凝集液の塗布量を設定する。
例えば、硬化後の前記光硬化型インク組成物及び凝集液を乾燥する乾燥手段をさらに有する。乾燥手段は、被記録媒体を加熱するヒータ、又は、被記録媒体上の凝集液及び光硬化型インク組成物に赤外線を照射する赤外線照射手段を含む。溶媒中に溶解又は分散されたインク固形物は凝集剤により凝集し、硬化反応することが可能であるが、この場合、硬化後の印字物の表面に溶媒が存在する状態となる。このため、乾燥手段により溶媒を乾燥させることにより、例えば、吸収性の被記録媒体への溶媒の浸透によるカールやシワの発生が抑制される。
本発明に係るインクジェット記録方法は、被記録媒体にインク固形物を凝集させる凝集液を塗布する工程と、凝集液が塗布された被記録媒体に、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む光硬化型インク組成物を吐出する工程と、被記録媒体に付着した光硬化型インク組成物に光を照射して、光硬化型インク組成物を硬化させる工程とを有し、凝集液を塗布する工程において、印刷条件に応じて被記録媒体への凝集液の塗布量を調節するものである。
例えば、光硬化型インク組成物を硬化させる工程の後に、凝集液及び光硬化型インク組成物を乾燥する工程をさらに有する。
第1実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 凝集液の塗布量の設定方法を示すフローチャートである。 印刷量の計算ステップの詳細を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 第3実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。第1実施形態に係るインクジェット記録装置1は、被記録媒体10を搭載する被記録媒体載置部11と、給紙ローラ12と、プラテン13と、搬送ローラ14と、搬送ベルト15と、凝集液タンク16と、凝集液補充タンク17と、凝集液供給ローラ18,19と、凝集液塗布ローラ20と、スキージ21と、記録ヘッド22と、紫外線照射ランプ23と、駆動手段30と、制御手段31とを有する。
給紙ローラ12は、被記録媒体載置部11に載置された被記録媒体10を一枚ずつ分離してプラテン13へ送る。給紙ローラ12は、例えばD型の給紙ローラである。D型の給紙ローラでは、D形の平面部では被記録媒体10を搬送せず、曲面部で被記録媒体10を搬送する。なお、図1では、単票の被記録媒体10を図解しているが、ロール紙を用いてもよい。その場合には、給紙ローラ12として、円形の給紙ローラを用いて、連続給紙させればよい。
プラテン13は、被記録媒体10を下方から支持し、被記録媒体10と凝集液塗布ローラ20との位置関係を規制する。プラテン13上において被記録媒体10は、凝集液塗布ローラ20により凝集液を塗布され、搬送ベルト15へと送られる。
搬送ベルト15は、回転可能な2つの搬送ローラ14間に張架されており、搬送ローラ14の回転に伴って、周回可能に構成されている。搬送ベルト15は、被記録媒体10の搬送とプラテンを兼用したベルトである。搬送ベルト15の表面は、搬送方向の上流において帯電され、被記録媒体10を静電吸着して搬送する。なお、搬送ベルト15の表面は、搬送方向の下流において除電され、これにより、搬送ベルト15からの被記録媒体10が容易に分離可能に構成されている。搬送ベルト15による被記録媒体10の搬送速度は、例えば、10〜500m/minである。
凝集液タンク16は、内部に凝集液を収容している。凝集液は、記録ヘッド22から吐出される光硬化型インク組成物に含まれるインク固形物を凝集させて、光硬化型インク組成物の光硬化反応の反応性を高めるためのものである。凝集液は、例えば、凝集剤、水、水溶性溶剤及び界面活性剤を含む。この凝集液の各成分についての一例は後述する。凝集液補充タンク17は、凝集液タンク16へ供給管を介して凝集液を供給する。例えば、凝集液タンク16内の凝集液の液量が一定量となるように、凝集液補充タンク17から凝集液が供給される。
凝集液供給ローラ18は、凝集液タンク16の凝集液の液面に周面の一部を浸した状態で回転自在に支持されている。凝集液供給ローラ19は、凝集液供給ローラ18と接触した状態で、回転自在に支持されている。凝集液塗布ローラ20は、凝集液供給ローラ19に接触した状態で、回転自在に支持されている。凝集液供給ローラ18,19及び凝集液塗布ローラ20の回転軸は、平行に配置されている。これにより、凝集液塗布ローラ20の回転に伴い、凝集液供給ローラ18,19が回転するように構成されており、さらに、凝集液供給ローラ18から凝集液供給ローラ19を介して凝集液塗布ローラ20の周面へと凝集液が供給される。凝集液供給ローラ18,19及び凝集液塗布ローラ20は、本発明の凝集液塗布手段の一例である。
スキージ21は、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20の表面に保持された凝集液の量を調節すべく、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に接触可能に設けられている。図1では、スキージ21が、凝集液供給ローラ19に接触している例を図解している。
記録ヘッド(インク吐出手段)22は、凝集液が塗布された被記録媒体10に、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む光硬化型インク組成物を吐出する。光硬化型インク組成物は、例えば、着色剤、重合性化合物、光重合開始剤、界面活性剤、溶剤、並びに水を含む。本実施形態では、例えば水中に、着色剤、水溶性の重合性化合物、光重合開始剤等のインク固形物が溶解状態又は分散状態で含まれた水性光硬化型インク組成物が使用される。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック用のインクが必要な場合には、色毎に光硬化型インク組成物が用意される。記録ヘッド22は、被被記録媒体10の搬送方向に沿って各色の光硬化型インク組成物を吐出するためのヘッドが複数並んで配置されたヘッドセットであってもよい。また、記録ヘッド22は、被記録媒体10の搬送方向に直交する方向に各色の光硬化型インク組成物を吐出するための複数のノズルを備えていてもよい。
紫外線照射ランプ(光照射手段)23は、被記録媒体10に付着した光硬化型インク組成物に紫外線を照射して、光硬化型インク組成物を硬化させる。被記録媒体10の搬送方向と直交する方向における紫外線照射ランプ23の幅は、例えば、被記録媒体10の幅以上である。これにより、被記録媒体10が紫外線照射ランプ23の照射領域を通過することにより、被記録媒体10の全領域が紫外線に照射される。
紫外線照射ランプ23としては、例えば、水銀ランプやメタルハライドランプが挙げられる。あるいは、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)を用いてもよい。紫外線の波長域は、例えば、360nm〜450nmである。光の照射量は、好ましくは10〜20,000mJ/cm2であり、より好ましくは50〜15,000mJ/cm2である。
駆動手段30は、スキージ21を駆動させて、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に対するスキージ21の押し込み圧力を調節する。スキージ21の押し込み圧力を小さくすることにより、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20上の凝集液の量を多くすることができ、スキージ21の押し込み圧力を大きくすることにより、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20上の凝集液の量を少なくすることができる。このように、駆動手段30によりスキージ21の押し込み圧力が調節されることにより、最終的に被記録媒体10に対する凝集液の塗布量が調節される。
制御手段31は、駆動手段30に接続されており、印刷条件に応じて、凝集液の塗布量を設定する。駆動手段30は、制御手段31により設定された塗布量に基づいてスキージ21の押し込み圧力を制御する。例えば、制御手段31は、モノクロモード又はカラーモードに応じて異なる凝集液の塗布量を設定する。また、制御手段31は、被記録媒体10への印刷量を計算し、当該印刷量に応じて異なる凝集液の塗布量を設定する。制御手段31は、例えば、給紙ローラ12、凝集液塗布ローラ20、搬送ローラ14、記録ヘッド22、紫外線照射ランプ23にも接続されており、装置全体の動作を制御する。
次に、上記の制御手段31による凝集液の塗布量の設定方法について、図2,3を参照して説明する。例えば、被記録媒体10として普通紙を用い、記録解像度720×720dpiの印刷を実行するものとする。
まず、印刷モードがモノクロモードかカラーモードかを判断する(ステップST1)。モノクロモードとは、無彩色の印字を実現するモードであり、ブラックの光硬化型インク組成物のみを使用するモードである。カラーモードとは、有彩色の印字を実現するモードであり、ブラック以外に、シアン、マゼンタ、イエロー等の有彩色の光硬化型インク組成物を使用するモードである。
印刷モードがモノクロモードの場合には、制御手段31は、モノクロモード用の塗布量を設定する(ステップST2)。例えば、被記録媒体10として普通紙を用いる場合には、モノクロモード用の塗布量を2g/m2に設定する。
印刷モードがカラーモードの場合には、制御手段31は、被記録媒体10への印刷量を計算する(ステップST3)。図3は、印刷量の計算ステップを説明するためのフローチャートである。
まず、印刷データを所定の画素単位毎に単位領域に分け、各単位領域における印刷データから、ドットを形成すべきドット記録数を計算する(ステップST31)。例えば、単位領域として、150×150=22500個の画素からなる領域を設定する。単位領域のドット記録数の計算では、単位領域に属する画素のうちドットを形成する画素の数を色毎(YMCK)に計算し、各色のドット形成画素数を合計する。仮に4色全てで全画素にドット形成する場合、理論上のドット記録数の最大値は90000となる。ただし、実際上は最大でも1画素に2色ドット同時形成の場合が多いので、実際のドット記録数の最大値は約45000である。なお、ドット記録数の代わりに、最大値に対するドット形成画素数の割合を用いてもよい。次に、各単位領域のうち最大のドット記録数を印刷量に設定する(ステップST32)。
そして、計算された印刷量が、所定値より大きいか否かを判断する(ステップST4)。例えば、所定値を15000と設定した場合、計算された印刷量が、所定値15000より大きいか否かが判断される。
印刷量が所定値よりも小さい場合、制御手段31は、カラーモード用塗布量1に設定する(ステップST5)。例えば、被記録媒体10として普通紙を用いる場合には、カラーモード用の塗布量1を3g/m2に設定する。
一方、印刷量が所定値よりも大きい場合、制御手段31は、カラーモード用塗布量2に設定する(ステップST6)。例えば、被記録媒体10として普通紙を用いる場合には、カラーモード用の塗布量2を5g/m2に設定する。
ステップST2,5,6において塗布量が設定された後に、印刷が実行される(ステップST7)。すなわち、被記録媒体載置部11上の被記録媒体10が給紙ローラ12によりプラテン13へ送られ、被記録媒体10は凝集液塗布ローラ20により凝集液が塗布される。このときの凝集液の塗布量は、上述した方法で設定された塗布量となるように、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に対するスキージ21の押し込み圧力が駆動手段30により調節される。その後、被記録媒体10は、搬送ベルト15によって搬送されて、凝集液が塗布された被記録媒体10に対し、記録ヘッド22により、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む光硬化型インク組成物が吐出される。そしてさらに、紫外線照射ランプ23により、被記録媒体10に付着した光硬化型インク組成物に光が照射されて、光硬化型インク組成物が硬化し、所望の印字が形成されることになる。これにより、画像が形成された記録物が形成される。
上記の本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、凝集液塗布ローラ20により、必要な量だけの凝集液が被記録媒体10に塗布されることから、光硬化型インク組成物の希釈を抑制しつつ、当該光硬化型インク組成物に含まれるインク固形物を効果的に凝集させることができる。この結果、紫外線照射ランプ23による光硬化型インクの光硬化性及び定着性を向上させることができる。また、凝集液の付着量を抑制することができることから、光硬化型インク組成物の硬化後の印字班の発生を抑制でき、さらに、例えば吸収性記録媒体を用いた場合のカールやシワの発生を抑制することができる。
図2の実施形態では、印刷モード(カラーモードかモノクロモードか)の判定に基づく塗布量の設定と、印刷量に基づく塗布量の設定とを行なっているが、これらの設定の何れか一方のみを行なっても良い。例えば、ステップST1でカラーモードの場合は、カラーモード用の塗布量(例えばカラーモード用塗布量1)が設定されるようなフローチャートとなっていてもよい。あるいは、ST1のステップを備えずに、カラーモードかモノクロモードかを問わず印刷量の計算を行い、印刷量が所定値より大きいか否かに基づいて塗布量を設定するフローチャートとなっていてもよい。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。第2実施形態に係るインクジェット記録装置1は、搬送ベルト15の下方から被記録媒体10を加熱するヒータ24を備えている点が第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
ヒータ24は、搬送ベルト15により搬送される被記録媒体10を加熱して、被記録媒体10上に付着した凝集液及び光硬化型インク組成物に含まれる水を乾燥させる。ヒータ24は、本発明の乾燥手段の一例である。水中に溶解又は分散されたインク固形物は凝集剤により凝集し、紫外線照射ランプの照射により硬化反応することが可能であるが、この場合、硬化後の印字物の表面に水が存在する状態となる。このため、ヒータ24により印字物上の水を乾燥させることにより、例えば、吸収性の被記録媒体への水の浸透によるカールやシワの発生が抑制される。
本実施形態では、被記録媒体載置部11上の被記録媒体10が給紙ローラ12によりプラテン13へ送られ、被記録媒体10は凝集液塗布ローラ20により凝集液が塗布される。このときの凝集液の塗布量は、制御手段31により設定された塗布量となるように、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に対するスキージ21の押圧が駆動手段30により調節される。その後、被記録媒体10は、搬送ベルト15によって搬送されて、凝集液が塗布された被記録媒体10に対し、記録ヘッド22により、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む光硬化型インク組成物が吐出される。そして、紫外線照射ランプ23により、被記録媒体10に付着した光硬化型インク組成物が硬化されて、所望の印字物が形成される。そしてさらに、ヒータ24により印字物の上面に存在する水が乾燥されて、被記録媒体10への印刷が終了する。
上記の本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、第1実施形態の効果に加えて、例えば、吸収性の被記録媒体への水の浸透によるカールやシワの発生を抑制することができるという効果を奏する。
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。第2実施形態に係るインクジェット記録装置1は、紫外線照射ランプ23の下流側に配置された赤外線ランプ25を備えている点が第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
赤外線ランプ25は、搬送ベルト15により搬送される被記録媒体10に赤外線を照射して、被記録媒体10上に付着した凝集液及び光硬化型インク組成物に含まれる水を蒸発させる。赤外線の波長帯域に限定はないが、例えば0.75μm〜1000μmである。水の乾燥速度を高める観点から、赤外線ランプ25として、遠赤外線ランプを用いることが好ましい。遠赤外線の波長帯域は、例えば、4〜1000μmである。赤外線ランプ25は、本発明の乾燥手段の一例である。紫外線照射ランプ23により硬化後の印字物を乾燥させることの利点については、第2実施形態で説明した通りである。
本実施形態では、被記録媒体載置部11上の被記録媒体10が給紙ローラ12によりプラテン13へ送られ、被記録媒体10は凝集液塗布ローラ20により凝集液が塗布される。このときの凝集液の塗布量は、制御手段31により設定された塗布量となるように、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に対するスキージ21の押圧が駆動手段30により調節される。その後、被記録媒体10は、搬送ベルト15によって搬送されて、凝集液が塗布された被記録媒体10に対し、記録ヘッド22により、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む光硬化型インク組成物が吐出される。そして、紫外線照射ランプ23により、被記録媒体10に付着した光硬化型インク組成物が硬化されて、所望の印字物が形成される。そしてさらに、赤外線ランプ25により印字物の上面に存在する水が蒸発させて、被記録媒体10への印刷が終了する。
上記の本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、第1実施形態の効果に加えて、例えば、吸収性の被記録媒体への水の浸透によるカールやシワの発生を抑制することができるという効果を奏する。
次に、本実施形態に使用される記録媒体、凝集液、光硬化型インク組成物の一例について説明する。
[被記録媒体]
被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本発明の実施形態のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水溶性インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、非吸収性の非記録媒体を使用した場合は、凝集液を塗布後に乾燥工程を設ける、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設ける等が必要となる場合がある。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
[凝集液]
凝集液は、少なくとも凝集剤、水、水溶性有機溶媒とからなり、さらに被記録媒体への濡れ性や浸透性を制御する目的で界面活性剤を含み、また、印刷後のカールやコックリングを抑制するために、紙のセルロース繊維の親水性基と水素結合を形成しやすい糖類を含む。糖類は凝集液の塗布工程で使用する塗布方法に応じて凝集液の粘度調整に使用することもできる。凝集液は予め被記録媒体上に塗布しておき、本発明の態様の光硬化型の水性インク組成物をヘッドから吐出して、被記録媒体上に塗布された凝集液中の凝集剤と接触することによって瞬時に凝集させることができる。
(凝集剤)
本実施形態において後述の凝集剤を用いることにより、インク組成物に含まれるインク固形成分、即ち顔料、光重合性化合物を迅速かつ十分に凝集させることができる。
凝集剤として、特に限定されないが、例えば、ポリアリルアミン又はその誘導体、及び第4級アンモニウム塩ポリマー、第4級スルホウニウム塩ポリマー等のカチオン性の水溶性ポリマーならびに多価金属塩が挙げられる。これらの中でも、ポリアリルアミンまたはその誘導体および第4級アンモニウム塩ポリマー、第4級スルホウニウム塩ポリマー等のカチオン性の水溶性ポリマーを含む凝集液は、紙等の被記録媒体上に均一に塗布され、活、被記録媒体表面に残存しやすいことから効率的に凝集が起こりやすく、また、ローラ等で塗布するのに適した粘度に調整しやすいこと、さらに、紙表面ならびに紙中に存在することで印刷後のカールやコックリングが起こり難くなる。したがって、カチオン性の水溶性ポリマーが好ましい。
カチオン性の水溶性ポリマーは、水に可溶で水中において正電荷を呈する荷電基を有する構造の分子量5,000以上500,000以下のカチオン性高分子が好ましい。
当該カチオン性高分子として、以下の一般式(I)、一般式(II)、及び一般式(III)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005761586
上記式中、X-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硫酸イオン、又は酢酸イオン等を表す。また、nは、例えば100〜10,000の自然数である。
これら以外に、アリルアミンとジアリルアミンとのコポリマーや、ジアリルメチルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄とのコポリマーも、ポリアリルアミン又はその誘導体として使用可能である。
さらに、具体的には、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、アリルアミン塩酸塩−ジアリルアミン塩酸共重合体、ジアリルアミン塩酸塩−マレイン酸共重合体、ポリジアリルメチルアンモニウムクロライド、ジアリルメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩共重合体、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
ポリアリルアミン又はその誘導体の含有量は、凝集液の総量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましい。さらに、0.5〜20質量%であることが好ましい。ポリアリルアミン又はその誘導体の含有量が0.1質量%より少ないと本発明の態様のインクと接触しても凝集し難く、30質量%を超えると凝集液の粘度が高くなりすぎて被記録媒体に塗布し難くなる場合がある。
次に、第4級アンモニウム塩ポリマーとして、特に限定されないが、例えば、水に可溶であり、且つポリマーの繰返し単位をなす鎖中に一以上の第4級アンモニウム塩を有するポリマーが挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーの具体例として、特に限定されないが、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−アクリロキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)の塩、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)の塩、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)の塩、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)の塩、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)の塩、ポリ(4−ビニル−N−メチルピリジニウムクロライド)、N,N−ジメチル置換3,5−メチルピペリジニウムクロライド樹脂、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)、及びポリ(ジエチルジアリルアンモニウムクロライド)ポリエチレンイミンハイドロクロライドが挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーの含有量は、凝集液の総量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましい。さらに、0.5〜20質量%であることが好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの含有量が0.1質量%より少ないと本発明の態様のインクと接触しても凝集し難く、30質量%を超えると凝集液の粘度が高くなりすぎて被記録媒体に塗布し難くなる場合がある。
上記の凝集剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の実施態様においては、多価金属塩も使用することができる。多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な化合物である。多価金属イオンの具体例としては、特に限定されないが、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、及びBa2+等の二価金属イオン、並びにAl3+、Fe3+、及びCr3+等の三価金属イオンが挙げられる。陰イオンの具体例としては、特に限定されないが、SO4 2-、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -、及びCH3COO-が挙げられる。
これらの中でも、凝集液のpH及び画像の品質の観点から、Ca2+又はMg2+から構成される金属塩が好ましい。
多価金属塩の含有量は、画像の優れた品質、及び目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、凝集液の総量に対し、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは5〜25質量%である。
好ましい態様において、多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンと当該多価金属イオンに結合する硝酸イオン又はカルボン酸イオンとから構成され、且つ水に可溶な化合物である。ここで、カルボン酸イオンは、好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸又は炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸から誘導される化合物である。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸として、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、及びヘキサン酸が挙げられる。これらの中でも蟻酸又は酢酸が好ましい。
上記のモノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基における水素原子は、水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の例として、特に限定されないが、乳酸が挙げられる。また、炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸の例として、特に限定されないが、安息香酸及びナフトエ酸が挙げられ、好ましくは安息香酸である。
本発明の凝集液に用いる溶媒は、水及び水溶性有機溶媒を含むことが好ましく、さらに所望により他の成分を含むことができる。
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒として、例えば、水溶性の高沸点有機溶剤及び低沸点有機溶剤が挙げられる。本発明の実施形態における凝集液が180℃以上の沸点を有する高沸点有機溶剤を含むことにより、凝集液の貯蔵タンク内での乾燥を回避し、塗布時の粘度を安定化できることから最適量を被記録媒体上に安定して塗布することができる。一方、インク組成物を着弾させるまでの時間内で凝集液の溶媒成分を乾燥させることが必要とされる場合や凝集液とインク組成物とを接触させて凝集させた後に紫外線照射して硬化させた後に凝集液及びインク組成物中の溶媒成分を短時間で乾燥させることが必要とされる場合には本実施形態における凝集液に低沸点有機溶剤を含むことができる。
本実施形態に用いることができる、沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、及びペンタエリスリトール等を挙げることができる。
低沸点有機溶媒として、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、及びn−ペンタノールが挙げられる。
これらの高沸点水溶性有機溶媒を含めた水溶性有機溶媒の合計の含有量は、凝集液の総量に対して、好ましくは5〜50質量%程度であり、より好ましくは10〜30質量%である。
本実施形態の凝集液には、さらに2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等からなる群から選ばれる一種以上の極性溶媒を添加することができる。極性溶媒の添加によって、上記の凝集剤が溶解しやすく、また、凝集液が普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体に均一に塗布されやすくなるという効果がある。
水溶性溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(浸透剤)
本実施形態の凝集液は、水性溶媒が普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体に浸透することを促進する目的で、浸透剤をさらに含有することが好ましい。浸透剤を使用することによって、後述する糖類を被記録媒体中に均一に存在させることができ、水性溶媒の乾燥時に起こるカール・コックリング等の紙皺を抑制することができる。このような浸透剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類ともいう)が好ましく用いられる。多価アルコールのアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。使用する浸透剤は、これらから適宜選択される。特に、本発明の実施形態においては、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種を浸透剤として用いることが好ましい。これらの浸透剤の含有量は、凝集液の総量に対して好ましくは1〜10質量%である。浸透剤の含有量を1質量%以上とすることによって凝集剤の普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体への浸透性を向上する効果が得られるが、10質量%を越えるとこれらの被記録媒体を膨潤させる傾向があるため好ましくない。
(糖類)
本実施形態の凝集液は、さらに糖類を含む。糖類は、普通紙、上質紙、印刷本紙等の紙類の浸透性被記録媒体中へ水や水溶性有機溶媒と共に浸透していき、紙繊維を形成するセルロースの親水性基と水素結合を形成することでカールやコックリング等の紙皺の発生を抑制することができる。また、凝集液の塗布工程で使用する塗布方法に応じて凝集液の粘度調整にも使用できる。
糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類が挙げられ、具体的には、グルコース、マントース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グリシトール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及び、マルトトリオース等が挙げられる。特に、セルロースと構造の類似したトレハロースが好ましい。なお、これらの糖類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。糖類の含有量は、凝集液の総量に対して好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。糖類の含有量が1質量%より少ないと紙皺の抑制効果が得られにくく、40質量%を超えると粘りのある粘稠液体となるため塗布し難くなるため好ましくない。
(界面活性剤)
界面活性剤は、凝集液の表面張力を低下させて被記録媒体への濡れ性を良好にすること、また、普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体への浸透性を良好にするために使用する。界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤が用いられる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、第一脂肪アミン塩、 第二脂肪アミン塩、 第三脂肪アミン塩、 テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルビリジニウム塩、2 − アルキル− 1 − アルキル− 1 − ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N , N − ジアルキルモルホリニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。ノニオン性界面活性剤の具体例としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系化合物、並びにポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、及びポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系化合物等を挙げることができる。
特に、本発明の実施形態に係る凝集液は、界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤を含むことが望ましい。これにより、凝集液の被記録媒体への濡れ性が良好となり、また、普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体へ浸透性しやすくなる。さらに、泡の発生が少ないという利点も有する。本実施形態において用いられるアセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具体例として、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品の具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、104PG50及びTG(いずれも商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、並びにオルフィンSTG及びオルフィンE1010(以上商品名、日信化学社製)が挙げられる。また、アセチレンアルコール系界面活性剤としては、サーフィノール61(商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)等が挙げられる。これらのアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤は、凝集液の総量に対して、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜5質量%の範囲になるように用いることが好ましい。
上記の界面活性剤の他に、凝集液の被記録媒体への濡れ性を最適にする(凝集液が被記録媒体に均一に濡れた状態となる)ために、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記の界面活性剤の添加によって、凝集液の表面張力を好ましくは20〜50mPa・s、より好ましくは20〜40mPa・sに調整する。この範囲で表面張力を調整することで、各種の被記録媒体に対して最適な濡れ性と浸透性を得ることができる。
(水)
水として、特に限定されないが、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等のカチオンイオンや硫酸イオン等のアニオンイオンが含まれないものを使用する。例えば、イオン交換水、蒸留水、及び純水が挙げられる。水の含有量は、凝集液の総量に対し、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜60質量%である。
(凝集液に含まれ得るその他の成分)
本実施形態における凝集液は、上記した成分以外にも、pH調整剤、防黴剤、防錆剤等を含んでもよい。
凝集液は、スキージにより塗布量を調節するため、光硬化型インク組成物よりも粘度が高いことが好ましい。例えば、凝集液の粘度は、25℃において、50〜5000mPasであり、好ましくは、100〜2000mPaである。
[インク組成物]
光硬化型水性インク組成物は、極性溶媒、着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、並びに水を少なくとも含む。以下に各成分について説明するが、各成分について例示した材料を1種又は2種以上混合して用いてもよい。ただし、光硬化型インク組成物の成分に限定はない。
(着色剤)
本実施形態のインク組成物の硬化に紫外線を使用することから、着色剤は紫外線照射による退色の起こらない顔料が好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。着色剤は、インク組成物の総量に対し、1〜10質量%含まれると好ましく、1〜5質量%含まれるとより好ましい。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料として、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、又はMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、及びSpecial Black 4が挙げられる。
イエロー有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1, C.I.Pigment Yellow 2, C.I.Pigment Yellow 3, C.I.Pigment Yellow 4, C.I.Pigment Yellow 5, C.I.Pigment Yellow 6, C.I.Pigment Yellow 7, C.I.Pigment Yellow 10, C.I.Pigment Yellow 11,C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13, C.I.Pigment Yellow 14, C.I.Pigment Yellow 16, C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 24, C.I.Pigment Yellow 34, C.I.Pigment Yellow 35, C.I.Pigment Yellow 37, C.I.Pigment Yellow 53, C.I.Pigment Yellow 55, C.I.Pigment Yellow 65,C.I.Pigment Yellow 73, C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75, C.I.Pigment Yellow 81, C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93, C.I.Pigment Yellow 94, C.I.Pigment Yellow 95, C.I.Pigment Yellow 97, C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow 99, C.I.Pigment Yellow 108, C.I.Pigment Yellow 109, C.I.Pigment Yellow 110, C.I.Pigment Yellow 113, C.I.Pigment Yellow 114, C.I.Pigment Yellow 117, C.I.Pigment Yellow 120, C.I.Pigment Yellow 124, C.I.Pigment Yellow 128, C.I.Pigment Yellow 129, C.I.Pigment Yellow 133, C.I.Pigment Yellow 138, C.I.Pigment Yellow 139, C.I.Pigment Yellow 147, C.I.Pigment Yellow 151, C.I.Pigment Yellow 153, C.I.Pigment Yellow 154, C.I.Pigment Yellow 167, C.I.Pigment Yellow 172,C.I.Pigment Yellow 180が挙げられる。
マゼンタ有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 1, C.I.Pigment Red 2, C.I.Pigment Red 3, C.I.Pigment Red 4, C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 6, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 8, C.I.Pigment Red 9, C.I.Pigment Red 10, C.I.Pigment Red 11, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 14, C.I.Pigment Red 15, C.I.Pigment Red 16, C.I.Pigment Red 17, C.I.Pigment Red 18, C.I.Pigment Red 19, C.I.Pigment Red 21, C.I.Pigment Red 22, C.I.Pigment Red 23, C.I.Pigment Red 30, C.I.Pigment Red 31, C.I.Pigment Red 32, C.I.Pigment Red 37, C.I.Pigment Red 38, C.I.Pigment Red 40, C.I.Pigment Red 41, C.I.Pigment Red 42, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.Pigment Red 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 88, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 114, C.I.Pigment Red 122, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 144, C.I.Pigment Red 146, C.I.Pigment Red 149, C.I.Pigment Red 150, C.I.Pigment Red 166, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 170, C.I.Pigment Red 171, C.I.Pigment Red 175, C.I.Pigment Red 176, C.I.Pigment Red 177, C.I.Pigment Red 178, C.I.Pigment Red 179, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 185, C.I.Pigment Red 187, C.I.Pigment Red 202 ,C.I.Pigment Red 209, C.I.Pigment Red 219, C.I.Pigment Red 224, C.I.Pigment Red 245,又はC.I.Pigment Violet 19, C.I.Pigment Violet 23, C.I.Pigment Violet 32, C.I.Pigment Violet 33, C.I.Pigment Violet 36, C.I.Pigment Violet 38, C.I.Pigment Violet 43, C.I.Pigment Violet 50が挙げられる。
シアン有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15, C.I.Pigment Blue 15:1, C.I.Pigment Blue 15:2, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 15:4, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue 18, C.I.Pigment Blue 22, C.I.Pigment Blue 25, C.I.Pigment Blue 60,C.I.Pigment Blue 65, C.I.Pigment Blue 66, C.I.Vat Blue 4, C.I.Vat Blue 60 が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7, C.I.Pigment Green 10, C.I.Pigment Brawn 3, C.I.Pigment Brawn 5, C.I.Pigment Brawn 25, C.I.Pigment Brawn 26, C.I.Pigment Orange 1, C.I.Pigment Orange 2, C.I.Pigment Orange 5, C.I.Pigment Orange 7, C.I.Pigment Orange 13, C.I.Pigment Orange 14, C.I.Pigment Orange 15, C.I.Pigment Orange 16, C.I.Pigment Orange 24, C.I.Pigment Orange 34, C.I.Pigment Orange 36, C.I.Pigment Orange 38, C.I.Pigment Orange 40, C.I.Pigment Orange 43, C.I.Pigment Orange 63が挙げられる。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は500nm以下が好ましく、より好ましくは200nm以下であり、さらに50〜100nmが好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インク組成物における吐出安定性や分散安定性等の信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。本発明の好ましい態様によれば、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散液としてインクに添加するのが好ましい。顔料分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、一般に顔料分散液を調製するのに用いられている分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる界面活性剤がインク組成物の界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明かであろう。高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類; アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類; サボニンなどのグルコシド類; アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体; メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。高分子分散剤の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸− アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム− アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル− アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸− アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂; スチレン− アクリル酸共重合体、スチレン− メタクリル酸共重合体、スチレン− メタクリル酸− アクリル酸エステル共重合体、スチレン− α − メチルスチレン− アクリル酸共重合体、スチレン− α − メチルスチレン− アクリル酸− アクリル酸エステル共重合体などのスチレン− アクリル樹脂; スチレン− マレイン酸共重合体、スチレン− 無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン− アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン− マレイン酸共重合体、および酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル− 脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル− マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル− クロトン酸共重合体、酢酸ビニル− アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。分散剤の添加量は、インク組成物全量に対して0 . 1 〜 2 0 重量% 程度、好ましくは0 .1 〜 1 0 重量% 程度である。
顔料分散液は、顔料と上記の分散剤と水を適当な分散機(たとえば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジデータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど) で混合し、均一な顔料分散液を調製して得る。
本実施形態によるインク組成物は、前記成分を適当な方法で分散、混合することによって製造することができる。具体的には、顔料分散液を適当な分散機に入れ攪拌しながら、これに、予め、水、水溶性有機溶媒、浸透剤、界面活性剤、糖、その他の成分を加えて十分溶解させたインク溶媒を徐々に滴下し、十分に攪拌する。十分攪拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するために濾過を行って目的のインク組成物を得る。
(両親媒性の光重合性化合物)
両親媒性の光重合性化合物は、一以上の親水性の構造部位と一以上の光重合反応部位と一以上の疎水性の構造部位を一分子内に有する化合物である。親水性の構造部位は、親水性を示す基からなり、例えば、水酸基、ポリエチレンオキサイド基、スルホン酸基とその塩、スルフィン酸基とその塩、カルボン酸基とその塩、ホスフィン酸基とその塩、リン酸エステル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。光重合反応部位は、光ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基からなり、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルアミノ基、ビニル基が挙げられ、光ラジカル重合反応性が特に高いという観点から、より好ましくはアクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリロイル基、メタクリルアミド基が挙げられ、さらに好ましくはアクリロイル基とアクリルアミド基が挙げられる。疎水性の構造部位は、疎水性を示す基からなり、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、フルオロアルキル基、ポリシロキサン構造が挙げられる。脂肪族炭化水素基の例としては、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられ、芳香族炭化水素基の例としては、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。これらの中でも、十分な疎水性が得られるという観点から、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基、フルオロアルキル基、ポリシロキサン構造からなる群より選択される一種以上の基が好ましい。より好ましくは、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び脂環式炭化水素基、及びフルオロアルキル基、ポリシロキサン構造である。さらに好ましくはn−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、ラウリル基、ステアリル基、オクチル基、イソオクチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、イソホロン基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、フルオロアルキル基、ポリシロキサン構造等が挙げられる。
両親媒性の光重合性化合物の含有量は、インク組成物の総量に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。両親媒性の光重合性化合物が5質量%より少ないと紫外線照射での光重合が遅く、50質量%を超えるとインクの組成物の粘度が高くなる傾向にあって、インクジェット記録ヘッドからの吐出がし難くなる傾向にある。
両親媒性の光重合性化合物としては、単量体であるモノマー、及び二量体から数量体又は分子量が数千程度までのオリゴマーが挙げられる。
両親媒性の光重合性化合物として、好ましくは、単官能又は2官能以上のオリゴマーが挙げられる。
単官能又は2官能以上のオリゴマーとして、特に限定されないが、例えば、両親媒性ウレタンアクリレート、両親媒性ポリエステルアクリレート、両親媒性エポキシアクリレートなどが挙げられる。
特に、両親媒性ウレタンアクリレートが好ましく用いられる。係る両親媒性ウレタンアクリレートは、インク組成物の増粘を抑制することができるため、光硬化型水性インク組成物中でミセル構造を形成する自己乳化形態のものが好ましい。この場合の両親媒性ウレタンアクリレートはウレタンアクリレートエマルションと称することができる。
両親媒性ウレタンアクリレートを含有されたインク組成物は、予め凝集液の塗布された普通紙、上質紙、印刷本紙等の紙類の浸透性被記録媒体上で瞬時に凝集し、被記録媒体の表面に残ったインク組成物中の両親媒性ウレタンアクリレートが紫外線の照射によって硬化することができる。得られる硬化塗膜は、被記録媒体との密着性、柔軟性、強靭性に優れた硬化塗膜を形成できる。硬化塗膜は耐擦性に優れ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)やポリスチレン等のプラスチックに対しても密着性が良好である。また、保存安定性にも優れる。
両親媒性ウレタンアクリレートは単官能又は2官能以上のいずれであってもよい。
上記の両親媒性ウレタンアクリレートの含有量は、インク組成物の総量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。両親媒性の光重合性化合物が5質量%より少ないと紫外線照射での光重合が遅く、50質量%を超えるとインクの組成物の粘度が高くなる傾向にあって、インクジェット記録ヘッドからの吐出がし難くなる傾向にある。
両親媒性の光重合性化合物の市販品として、例えば、EM−90(ウレタンアクリレートエマルション、荒川化学工業社(Arakawa Chemical Industries, Ltd.)製)等が挙げられる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、公知の光ラジカル重合開始剤が用いられる。光ラジカル重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギー線が照射されることによって両親媒性の光重合性化合物の光ラジカル重合を引き起こす。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルフォリノプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾフィルフォーメート、アゾビスイソブチリロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
特に、着色剤として顔料を使用する本発明の実施形態においては、360〜410nmの長波長側の紫外線を使用することで塗膜の深部まで十分に硬化することができるため、この波長域に吸収のあるアシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましく用いられる。具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO:チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。上記の範囲内である場合、良好な硬化性が得られる。
(極性溶媒)
上記の光ラジカル重合開始剤は、本発明の実施形態において極性溶媒と併用することで水中に混和することができる。極性溶媒としては、2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。特に、2−ピロリドンが効果に優れることから好ましい。
これらの極性溶媒の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは1質量%〜20質量%であり、より好ましくは1質量%〜10質量%である。極性溶媒の含有量が1質量%よりも少ないと光ラジカル重合開始剤と水との混和し難くなり、20質量%を超えると硬化性に影響を与える。
(水溶性有機溶媒溶剤)
本実施形態のインク組成物に用いる溶媒は、水及び水溶性有機溶媒を含むことが好ましく、さらに所望により他の成分を含むことができる。
また、インク組成物に保水性と湿潤性を付与するために、高沸点水溶性有機溶媒からなる湿潤剤を添加することが好ましい。このような高沸点水溶性有機溶媒としては、沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒が好ましい。
本実施形態に用いることができる、沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、及びペンタエリスリトールを挙げることができる。これらの1種又は2種以上を本実施形態のインク組成物に用いることができる。
インク組成物に高沸点水溶性有機溶媒を含有することで、開放状態(室温でインク組成物が空気に触れている状態)で放置しても、流動性と再分散性とを長時間維持することができる。さらに、インクジェットプリンタを用いての印字中もしくは印字中断後の再起動時に、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりが生じ難くなり、高い吐出安定性を得ることができる。これらの高沸点水溶性有機溶媒の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。
(浸透剤)
本実施形態のインク組成物は、予め凝集液の塗布された普通紙、上質紙、印刷本紙等の紙類の浸透性被記録媒体上で瞬時に凝集した際に、水や水溶性有機溶媒とともに後述のカールやコックリング等の紙皺の発生を抑制するために添加した糖類を被記録媒体中に浸透させる目的で、浸透剤をさらに含有する。このような浸透剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類ともいう)が好ましく用いられる。多価アルコールのアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。使用する浸透剤は、これらから適宜選択される。特に、本発明の実施形態においては、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種を浸透剤として用いることが好ましい。
これらの浸透剤の含有量は、凝集液の総量に対して好ましくは1〜10質量%である。浸透剤の含有量を1質量%以上とすることによって凝集剤の普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体への浸透性を向上する効果が得られるが、10質量%を越えるとこれらの被記録媒体を膨潤させる傾向があるため好ましくない。
(界面活性剤)
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸、アシルメチルタウリン酸、ジアルキルスルホ琥珀酸、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、及びアルキルザルコシン塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルカノールアミン脂肪酸アミドなどが挙げられる。より具体的には、アニオン性界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩などが挙げられ、ノニオン性界面活性剤の具体例としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系化合物、並びにポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、及びポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系化合物等を挙げることができる。
特に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤を含むことが望ましい。本実施形態において用いられるアセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具体例として、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品の具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、104PG50及びTG(いずれも商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、並びにオルフィンSTG及びオルフィンE1010(以上商品名、日信化学社製)が挙げられる。また、アセチレンアルコール系界面活性剤としては、サーフィノール61(商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)等が挙げられる。これらのアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜5質量%の範囲になるように用いることが好ましい。上記の界面活性剤の他に、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を使用することもできる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記の界面活性剤の添加によって、凝集液の表面張力を好ましくは20〜50mPa・s、より好ましくは20〜40mPa・sに調整する。この範囲で表面張力を調整することで、各種の被記録媒体に対して最適な濡れ性と浸透性を得ることができる。
(糖類)
本実施形態のインク組成物は、さらに糖類を含む。糖類は、普通紙、上質紙、印刷本紙等の紙類の浸透性被記録媒体中へ水や水溶性有機溶媒と共に浸透していき、紙繊維を形成するセルロースの親水性基と水素結合を形成することでカールやコックリング等の紙皺の発生を抑制することができる。カールやコックリング等の紙皺は、凝集液に含まれた糖類と相俟ってさらに効果的となる。
糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類が挙げられ、具体的には、グルコース、マントース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グリシトール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及び、マルトトリオース等が挙げられる。特に、セルロースと構造の類似したトレハロースが好ましい。なお、これらの糖類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。糖類の含有量は、凝集液の総量に対して好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。糖類の含有量が1質量%より少ないと紙皺の抑制効果が得られにくく、40質量%を超えると粘りのある粘稠液体となるため塗布し難くなるため好ましくない
(水)
水として、特に限定されないが、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等のカチオンイオンや硫酸イオン等のアニオンイオンが含まれないものを使用する。例えば、イオン交換水、蒸留水、及び純水が挙げられる。水の含有量は、凝集液の総量に対し、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜60質量%である。
(インク組成物に含まれ得るその他の成分)
本実施形態におけるインク組成物は、上記した成分以外にも、pH調整剤、防黴剤、防錆剤等を含んでもよい。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。図2に実施形態では、カラーモードかモノクロモードかの印刷条件、印刷量の印刷条件によって塗布量を設定しているが、これに代えてあるいは加えて、他の印刷条件によって塗布量の設定を行っても良い。被記録媒体の種類、記録解像度(被非記録媒体の所定面積当たりの画素数)、乾燥条件、などの印刷条件によって塗布量を設定しても良い。
例えば、印刷量の設定において挙げた数値は被記録媒体10を普通紙とした場合の一例であり、これに限定されるものではない。例えば、印刷量の判断の基準に用いる所定値や、モード毎の塗布量は、被記録媒体10の種類に応じて種々の変更が可能である。
1…インクジェット記録装置、10…被記録媒体、11…被記録媒体載置部、12…給紙ローラ、13…プラテン、14…搬送ローラ、15…搬送ベルト、16…凝集液タンク、17…凝集液補充タンク、18,19…凝集液供給ローラ,20…凝集液塗布ローラ、21…スキージ、22…記録ヘッド、23…紫外線照射ランプ、24…ヒータ、25…赤外線ランプ、30…駆動手段、31…制御手段。

Claims (13)

  1. 被記録媒体に、インク固形分を凝集させる凝集剤、及び水を含む凝集液を塗布する凝集液塗布手段と、
    前記凝集液が塗布された前記被記録媒体に、水と、顔料と、前記インク固形分として少なくとも、親水性の構造部位と疎水性の構造部位と光重合反応部位とを分子内に有する両親媒性の光重合性化合物を前記顔料とは別の分散体として分散状態で含む光硬化型インク組成物を吐出するインク吐出手段と、
    前記被記録媒体に付着した前記光硬化型インク組成物に光を照射して、前記光硬化型インク組成物を硬化させる光照射手段と、
    を有し、
    前記凝集液塗布手段は、前記被記録媒体への前記凝集液の塗布量を印刷条件に応じて調節可能に構成されている、
    インクジェット記録装置。
  2. 前記凝集液塗布手段は、
    前記凝集液を保持し得る外周面を備え、前記被記録媒体と接触した状態で回転可能に構成された凝集液塗布ローラと、
    前記塗布ローラと接触した状態で、回転可能に構成され、前記凝集液塗布ローラの外周面に前記凝集液を供給する凝集液供給ローラと、
    前記凝集液塗布ローラ又は前記凝集液供給ローラの表面に保持された前記凝集液の量を調節するスキージと、
    を有する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 印刷条件に応じて前記凝集液塗布手段により調節される前記凝集液の塗布量を設定する制御手段をさらに有し、
    前記制御手段は、モノクロモード又はカラーモードに応じて異なる前記凝集液の塗布量を設定する、
    請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 印刷条件に応じて前記凝集液塗布手段により調節される前記凝集液の塗布量を設定する制御手段をさらに有し、
    前記制御手段は、前記被記録媒体への印刷量を計算し、当該印刷量に応じて異なる前記凝集液の塗布量を設定する、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 硬化後の前記光硬化型インク組成物及び前記凝集液を乾燥する乾燥手段をさらに有する、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記乾燥手段は、前記被記録媒体を加熱するヒータを含む、
    請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記乾燥手段は、前記被記録媒体上の前記凝集液及び前記光硬化型インク組成物に赤外線を照射する赤外線照射手段を含む、
    請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記光硬化型インク組成物は、前記インク固形分として、光重合開始剤を溶解状態又は分散状態でさらに含む、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記凝集液は、前記凝集剤として、カチオン性水溶性ポリマー、多価金属塩の少なくとも何れかを含む、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記両親媒性の光重合性化合物が、両親媒性ウレタンアクリレートである、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記被記録媒体が吸収性被記録媒体である、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 被記録媒体に、インク固形分を凝集させる凝集剤、及び水を含む凝集液を塗布する工程と、
    前記凝集液が塗布された前記被記録媒体に、水と、顔料と、前記インク固形分として少なくとも、親水性の構造部位と疎水性の構造部位と光重合反応部位とを分子内に有する両親媒性の光重合性化合物を前記顔料とは別の分散体として分散状態で含む光硬化型インク組成物を吐出する工程と、
    前記被記録媒体に付着した前記光硬化型インク組成物に光を照射して、前記光硬化型インク組成物を硬化させる工程と、
    を有し、
    前記凝集液を塗布する工程において、印刷条件に応じて前記被記録媒体への前記凝集液の塗布量を調節する、
    インクジェット記録方法。
  13. 前記光硬化型インク組成物を硬化させる工程の後に、前記凝集液及び前記光硬化型インク組成物を乾燥する工程をさらに有する、
    請求項12に記載のインクジェット記録方法。
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