JP5761443B1 - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP5761443B1 JP5761443B1 JP2014259031A JP2014259031A JP5761443B1 JP 5761443 B1 JP5761443 B1 JP 5761443B1 JP 2014259031 A JP2014259031 A JP 2014259031A JP 2014259031 A JP2014259031 A JP 2014259031A JP 5761443 B1 JP5761443 B1 JP 5761443B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- group
- butadiene rubber
- modified polymer
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Tires In General (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
Description
例えば、特許文献1の請求項1には、「変性ブタジエンゴムを5〜100重量%含むジエン系ゴム100重量部にシリカを10〜120重量部配合したゴム組成物であって、前記変性ブタジエンゴムが、シス含量が90%以上のブタジエンゴムを、窒素含有複素環を分子中に有するニトロン化合物で変性したものであることを特徴とするゴム組成物。」が開示されている。特許文献1には、ニトロン化合物により変性することで発熱性が低減することが示されている。
このようななか、本発明者らが特許文献1をもとにニトロン化合物により変性したポリマーを使用してゴム組成物を調製したところ、変性による発熱性の低減が小さい場合や、破断伸びが低下する傾向があり、必ずしも昨今要求されるレベルを満たすものではないことが明らかとなった。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
シリカとを含有し、
前記変性ポリマーと前記ブタジエンゴムの質量比(変性ポリマー/ブタジエンゴム)が、95/5〜68/32である、ゴム組成物。
2. 前記変性剤が、更にカルボキシ基を有する、上記1に記載のゴム組成物。
3. 前記変性剤が、N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(3−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(2−カルボキシフェニル)ニトロン、N−(4−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、N−(3−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン及びN−(2−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、上記1又は2に記載のゴム組成物。
4. 前記変性剤の量が、前記スチレンブタジエンゴムが有する二重結合の0.01〜2.0モル%である、上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
5. 前記変性ポリマーに導入された変性剤の量が、前記ジエン系ゴム100質量部中の0.1質量部以上10質量部以下である、上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
6. 前記スチレンブタジエンゴムが有するスチレン量が前記スチレンブタジエンゴム中の10質量%(重量%)以上である、上記1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
7. 前記ジエン系ゴムが更に芳香族ビニル−共役ジエン共重合体(前記変性ポリマーを除く。)を含み、前記変性ポリマーと前記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の質量比(変性ポリマー/芳香族ビニル−共役ジエン共重合体)が、(10/90)以上(10以上/90以下)である、上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
8. 前記ジエン系ゴムが更に天然ゴムを含み、前記ブタジエンゴムと前記天然ゴムの質量比(ブタジエンゴム/天然ゴム)が、20/80〜70/30である、上記1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
9. 前記変性ポリマーの量が、前記ジエン系ゴム100質量部中、10質量部以上である、上記1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
10. 前記シリカの量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、8〜130質量部である、上記1〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
11. 上記1〜10のいずれかに記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のゴム組成物は、
スチレンブタジエンゴムが有する二重結合に対してニトロン基を有する変性剤を反応させて製造される変性ポリマー、及びブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、
シリカとを含有し、
前記変性ポリマーと前記ブタジエンゴムの質量比(変性ポリマー/ブタジエンゴム)が、95/5〜68/32である、ゴム組成物である。
本発明のゴム組成物は当該変性ポリマーを含有することによって、破断伸びが高く、低発熱性に優れる効果が効率良く発揮されるゴム組成物となると考えられる。
共役ジエン系ゴム(例えば、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムの配合系)に当該変性剤を導入する場合、変性後の共役ジエン系ゴムはフィラー(例えばシリカ)との相互作用が増すことによってコンパウンドの低発熱化が優れると考えられる。
また、ブタジエンゴムは通常フィラーの取り込みが悪いが、このようなブタジエンゴムがニトロン化合物で変性される場合、ブタジエンゴムにおいてフィラーとの疑似架橋点が変性によって増加するため、破断伸びが低下する傾向が見られることを本願発明者らは見出した。
このため、フィラーの取り込みがブタジエンゴムよりも比較的多いスチレンブタジエンゴムを変性剤で変性してスチレンブタジエンゴムにおいてフィラーとの疑似架橋点を増加させ、これとブタジエンゴムを併用することによって、ブタジエンゴムにおけるフィラーとの疑似架橋点の増加を抑制して破断伸びの低下を抑制し、優れた低発熱性との両立を図ることができると考えられる。
変性ポリマーについて以下に説明する。本発明のゴム組成物に含有される変性ポリマーは、スチレンブタジエンゴムが有する二重結合に対してニトロン基を有する変性剤を反応させることによって製造される変性ポリマーである。
変性ポリマーを製造する際に使用されるスチレンブタジエンゴム(SBR)はスチレンとブタジエンとの共重合体であれば特に制限されない。スチレンブタジエンゴムはブタジエンに由来する不飽和結合における立体障害が小さいことから、変性剤との反応性に優れる。
ここで、スチレンブタジエンゴムが有するスチレン量とは、スチレンブタジエンゴムを構成する全構成単位中において、スチレン単位が占める割合(質量%又は重量%)をいう。
本発明において、スチレンブタジエンゴムのミクロ構造は、JIS K 6239:2007(原料ゴム−溶液重合SBRのミクロ構造の求め方(定量))に準じて測定された。
スチレンブタジエンゴムが有する二重結合のうち1,4−結合が占める割合は、破断伸びがより高くなり、低発熱性により優れ、強度特性に優れるという観点から、二重結合全量中の20〜80モル%が好ましく、25〜65モル%であるのがより好ましい。
ここで、スチレンブタジエンゴムが有する二重結合のうち1,4−結合が占める割合とは、スチレンブタジエンゴムが有する全ての二重結合(ブタジエン成分のトランス−1,4単位、シス−1,4単位及び1,2単位。以下同様。)のうちの1,4単位の割合(モル%)をいう。
ここで、スチレンブタジエンゴムが有する二重結合のうち1,2−結合が占める割合とは、スチレンブタジエンゴムが有する全ての二重結合のうちの1,2単位が占める割合(モル%)をいう。
スチレンブタジエンゴムはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。スチレンブタジエンゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
変性剤について以下に説明する。本発明のゴム組成物に含有される変性ポリマーを製造する際に使用される変性剤は、ニトロン基を有する化合物であれば特に制限されない。ニトロン基は下記式(1)で表される基である。
変性剤が1分子当たり有するニトロン基の数は1〜3個であるのが好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。
なかでも、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
なかでも、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキル基がより好ましい。
なかでも、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられ、なかでも、炭素数7〜13のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜11のアラルキル基がより好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。
なお、このような置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、トリル基、キシリル基などの、アルキル基を有するアリール基;カルボキシフェニル基のような、カルボキシ基を有するアリール基;メチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基などの、置換基を有するアラルキル基;等が挙げられる。
変性剤が1分子当たり有するカルボキシ基の数は1個以上であるのが好ましく、10個以下とすることができ、1〜4個であるのがより好ましく、1〜2個であるのがさらに好ましい。
更にカルボキシ基を有する変性剤は、スチレンブタジエンゴムとの相溶性、反応性に優れ、破断伸びがより高く、低発熱性により優れるという観点から、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
mが示す整数としては、変性剤を合成する際の溶媒への溶解度が良好になり合成が容易になるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0〜1の整数がより好ましい。
nが示す整数としては、変性剤を合成する際の溶媒への溶解度が良好になり合成が容易になるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0〜1の整数がより好ましい。
また、mとnとの合計(m+n)は、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
変性ポリマーの製造方法としては特に制限されないが、スチレンブタジエンゴムと変性剤とを、例えば100〜200℃で1〜30分間混合する方法が挙げられる。
このとき、例えば、下記式(4)に示す、スチレンブタジエンゴムが有する二重結合のうちの1,4−結合と変性剤が有するニトロン基との間での環化付加反応、及び/又は、下記式(5)に示す、1,2−結合とニトロン基との間での環化付加反応が起こり、五員環を与えることができる。
変性率は、スチレンブタジエンゴムが有する全ての二重結合のうち、変性剤による変性によって、上記式(4)の構造及び/又は上記式(5)の構造が形成された割合(mol%)を表す。変性率は、例えば、スチレンブタジエンゴムおよび変性ポリマー(すなわち、変性前後のポリマー)のNMR測定を行うことで求めることができる。
変性ポリマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ブタジエンゴムについて以下に説明する。本発明のゴム組成物に含有されるブタジエンゴムは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
ブタジエンゴムは上記の変性剤によって変性されていないものであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
ブタジエンゴムの重量平均分子量は、取扱い性の観点から、100、000〜1,000,000であることが好ましく、300,000〜800,000であることがより好ましい。ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
ブタジエンゴムはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。ブタジエンゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムとして、変性ポリマー、ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムを更に含有することができる。
変性ポリマー、ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムは特に限定されない。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム(上記変性ポリマーを除く。以下同様。)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、上記変性ポリマー以外の変性されたジエン系ゴムが挙げられる。変性ポリマー、ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、強度特性、低発熱性に優れるという観点から、天然ゴム、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムが好ましい。
ブタジエンゴムと天然ゴムの質量比(ブタジエンゴム/天然ゴム)は、破断伸びがより高くなり、低発熱性により優れ、取り扱い性に優れるという観点から、20/80〜70/30が好ましく、20/80〜60/40がより好ましい。
なかでも、破断伸びがより高くなり、低発熱性により優れ、取り扱い性に優れるという観点から、スチレンブタジエンゴムが好ましい。スチレンブタジエンゴムとしては、例えば、上記変性ポリマーを製造する際に使用されるスチレンブタジエンゴムと同様のものが挙げられる。
本発明において、変性ポリマーと芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の質量比(変性ポリマー/前記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体)は、破断伸びがより高くなり、低発熱性により優れ、取り扱い性に優れるという観点から、100/0〜10/90が好ましく、100/0〜40/60より好ましい。
また、ジエン系ゴムが更に芳香族ビニル−共役ジエン共重合体(前記変性ポリマーを除く。)を含む場合、変性ポリマーと芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の質量比(変性ポリマー/芳香族ビニル−共役ジエン共重合体)は、破断伸びがより高くなり、低発熱性により優れ、取り扱い性に優れるという観点から、(10以上)/(90以下)が好ましく(この場合上記質量比は(10/90)以上となる。)、(40以上)/(60以下)がより好ましい(この場合上記質量比は(40/60)以上となる)。当該質量比の上限は100未満とすることができる。
また、本発明のゴム組成物がジエン系ゴムとして変性ポリマー、ブタジエンゴム、並びに変性ポリマー及びブタジエンゴム以外のジエン系ゴム(例えば天然ゴム及び/又は芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム)を含む場合、変性ポリマーの量は、破断伸びがより高くなり、低発熱性により優れ、取り扱い性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部のうち、10質量部以上が好ましく、30〜80質量部であるのがより好ましく、50〜80質量部であるのが更に好ましい。
シリカについて以下に説明する。本発明のゴム組成物に含有されるシリカは特に制限されない。タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。本発明において、上記シリカは、ゴムの補強性の観点から、湿式シリカであることが好ましい。
シリカの量はジエン系ゴム100質量部に対して、8〜130質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、その効果や目的を損なわない範囲で更に添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤(例えば、エボニックデグサ社製Si69、エボニックデグサ社製Si363)、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、加工助剤、オイル、液状ポリマー、ワックス、テルペン樹脂、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明のゴム組成物を使用した空気入りタイヤである。なかでも、本発明のゴム組成物をタイヤトレッドに使用した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
2Lナスフラスコに、40℃に温めたメタノール(900mL)を入れ、ここに、下記式(b)で表されるテレフタルアルデヒド酸(30.0g)を加えて溶かした。この溶液に、下記式(a)で表されるフェニルヒドロキシアミン(21.8g)をメタノール(100mL)に溶かしたものを加え、室温で19時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールからの再結晶により、下記式(c)で表されるニトロン化合物:N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン(mp:243℃、分子量241)を得た(41.7g)。収率は86%であった。得られたニトロン化合物を変性剤1とする。
塩化アンモニウム38.513g(0.72mol)を水200ml、エタノール200mlの混合溶媒に溶かし、更にニトロベンゼン123.11g(1mol)を加えた。その後、亜鉛をゆっくり、1%塩酸水溶液に投入し、水で2、3回置換した。氷浴中で冷却した状態を維持したままその亜鉛をゆっくり加えた。その後、氷浴を継続して12時間攪拌した。次に、亜鉛をろ過した後、氷浴下でろ液にp−ピリジルアルデヒド107.1g(1mol)をゆっくり添加し、さらに12時間攪拌した。反応終了後、水とエタノールを減圧留去後、エタノールから再結晶することにより、4−ピリジル−N−フェニルニトロン(淡黄色粉末個体)を得た。得られた4−ピリジル−N−フェニルニトロンを変性剤2とする。
下記各表の変性ポリマーの製造の欄の原料スチレンブタジエンゴム1又は原料スチレンブタジエンゴム2と、上述のとおり合成した変性剤1又は変性剤2とを同表に示す量(質量部)で用いて、これらをミキサーで160℃の条件下で5分間混合することで、上記原料スチレンブタジエンゴムを上記変性剤で変性した変性ポリマー(変性SBR1〜5、P変性ポリマー)を製造した。
上記のとおり得られた各変性ポリマーについてNMR測定を行い、変性率を求めた。具体的には、上述のとおり製造した変性剤1を使用した例については、変性前後のポリマーについて、CDCl3を溶媒とした1H−NMR測定(CDCl3、400MHz、TMS)により、8.08ppm付近(カルボキシ基に隣接する2つのプロトンに帰属する)のピーク面積を測定し、変性率を算出した。
また、上述のとおり製造した変性剤2を使用した例について、ピリジル基に由来するピーク面積を測定した以外は同様に変性率を算出した。
なお、変性ポリマーの1H−NMR測定は、変性後の生成物をトルエンに溶解して、メタノールに沈殿させる精製を2回繰り返した後に、減圧下で乾燥したサンプルを用いて測定した。結果を各表に示す。
下記各表のゴム組成物の欄に示す成分を同表に示す割合(質量部)で配合した。具体的には、まず、下記各表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、120℃のバンバリーミキサーで5分間混合し混合物を得た。次に、ロールを用いて、上記の混合物に硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
なおゴム組成物の製造に使用されたゴムが油展されたゴムである場合、下記各表において上記のゴムの量を上下2段に示した。上段の数値は油展品の量を示し、下段の数値はゴムの正味の量を示す。
上記のとおり製造したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、評価用加硫ゴムシートを作製した。
上述のとおり製造した評価用加硫ゴムシートを用いて以下の評価を行った。結果を各表に示す。各評価の結果は、各表の標準例1又は標準例2の値を100とする指数で表す。
上述のとおり作製した評価用加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、温度60℃の損失正接tanδ(60℃)を測定した。tanδ(60℃)についてはその指数が小さいほど、発熱性が低く、摩擦が低く、好ましい。
上述のとおり作製した評価用加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片を打ち抜き、室温、引張速度500mm/分の条件で、破断伸び(EB)(単位:%)を測定した。破断伸びについてはその指数が大きいほど、破断伸びが大きく、好ましい。
・溶液重合SBR1:日本ゼオン社製NIPOL NS522、溶液重合スチレンブタジエンゴム、重量平均分子量1,360,000、スチレン量40質量%,ビニル量41モル%,37.5質量%油展
・溶液重合SBR2:旭化成社製、タフデン3835、溶液重合スチレンブタジエンゴム、重量平均分子量790,000、スチレン量35質量%,ビニル量45モル%,37.5質量%油展
・BR:日本ゼオン社製NIPOL BR 1220、ブタジエンゴム、重量平均分子量600,000
・変性SBR1〜4、P変性SBR:上記のとおり製造したもの
・シリカ:ロディアシリカコリア社製ZEOSIL 165GR
・カーボンブラック(カーボン):東海カーボン社製シースト9M、カーボンブラック
・加工助剤:SCHILL & SEILACHER GMBH & CO.、STRUKTOL EF44
・老化防止剤:Soltia Europe SANTOFLEX 6PPD
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
・ワックス:大内新興化学工業社製サンノック
・亜鉛華:酸化亜鉛、正同化学社製亜鉛華3号
・シランカップリング剤:エボニック・デグサ社製Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・加硫促進剤1(CZ):大内振興化学工業社製ノクセラーCZ−G
・加硫促進剤2(DPG):住友化学社製ソクシノールD−G
・硫黄:軽井沢精錬所社製油処理硫黄
一方、ブタジエンゴムを含有しない比較例1は標準例1よりも破断伸びが低下した。変性ポリマー/ブタジエンゴムが95/5の値を超える[(95を超え)/(5未満である)]比較例2、変性ポリマー/ブタジエンゴムが68/32の値未満である[(68未満)/(32を超える)]比較例3は標準例1よりも破断伸びが低下した。
また、実施例1〜5を比較すると、変性ポリマーの変性率が高いほど低発熱性に優れた。実施例2〜4は高い破断強度を維持しつつ低発熱性とのバランスに優れた。
・NR:天然ゴム TSR20
・溶液重合SBR3(St37%,37.5wt%油展):旭化成ケミカルズ社製E580、溶液重合スチレンブタジエンゴム、重量平均分子量800,000、スチレン量37質量%,37.5質量%油展
・BR:表1と同様。
・変性SBR5:上記のとおり製造したもの
・カーボンブラック(CB)から加硫促進剤2(DPG)までの各成分:加工助剤以外表1と同様。
・表2の加工助剤:Rhein Chemie (Qingdao)社製アクチプラストST
また、実施例6〜8を比較すると、変性ポリマーの量が多いほど低発熱性に優れた。実施例6、7は高い破断強度を維持しつつ低発熱性とのバランスに優れた。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (10)
- スチレンブタジエンゴムが有する二重結合に対してニトロン基を有する変性剤を反応させて製造される変性ポリマー、及びブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、
シリカとを含有し、
前記変性ポリマーと前記ブタジエンゴムの質量比(変性ポリマー/ブタジエンゴム)が、95/5〜68/32であり、
前記変性剤が、更にカルボキシ基を有する、ゴム組成物。 - 前記変性剤が、N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(3−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(2−カルボキシフェニル)ニトロン、N−(4−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、N−(3−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン及びN−(2−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記変性剤の量が、前記スチレンブタジエンゴムが有する二重結合の0.01〜2.0モル%である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記変性ポリマーに導入された変性剤の量が、前記ジエン系ゴム100質量部中の0.1質量部以上10質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記スチレンブタジエンゴムが有するスチレン量が前記スチレンブタジエンゴム中の10質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが更に芳香族ビニル−共役ジエン共重合体(前記変性ポリマーを除く。)を含み、前記変性ポリマーと前記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の質量比(変性ポリマー/芳香族ビニル−共役ジエン共重合体)が、(10/90)以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが更に天然ゴムを含み、前記ブタジエンゴムと前記天然ゴムの質量比(ブタジエンゴム/天然ゴム)が、20/80〜70/30である、請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記変性ポリマーの量が、前記ジエン系ゴム100質量部中、10質量部以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
- 前記シリカの量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、8〜130質量部である、請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014259031A JP5761443B1 (ja) | 2014-01-31 | 2014-12-22 | ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014016763 | 2014-01-31 | ||
JP2014016763 | 2014-01-31 | ||
JP2014259031A JP5761443B1 (ja) | 2014-01-31 | 2014-12-22 | ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP5761443B1 true JP5761443B1 (ja) | 2015-08-12 |
JP2015163681A JP2015163681A (ja) | 2015-09-10 |
Family
ID=53887748
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014259031A Active JP5761443B1 (ja) | 2014-01-31 | 2014-12-22 | ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5761443B1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7407512B2 (ja) | 2017-04-14 | 2024-01-04 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP7070016B2 (ja) * | 2018-04-18 | 2022-05-18 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7186845B2 (en) * | 2004-10-20 | 2007-03-06 | Bridgestone Corporation | Polymer-filler coupling additives |
JP2007070439A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Bridgestone Corp | ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ |
JP5533985B2 (ja) * | 2012-11-16 | 2014-06-25 | 横浜ゴム株式会社 | 変性ポリマー |
-
2014
- 2014-12-22 JP JP2014259031A patent/JP5761443B1/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015163681A (ja) | 2015-09-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2015114997A1 (ja) | 変性ポリマーおよびゴム組成物並びに空気入りタイヤ | |
JP5761442B1 (ja) | 変性ポリマーおよびゴム組成物並びに空気入りタイヤ | |
JP5737439B1 (ja) | ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
JP5812154B1 (ja) | アンダートレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
JP5716850B1 (ja) | 変性ポリマー、これを用いるゴム組成物及びタイヤ | |
WO2016098760A1 (ja) | ゴム組成物、これを使用する空気入りタイヤ及びコンベアベルト | |
JP5761443B1 (ja) | ゴム組成物及び空気入りタイヤ | |
JP5949986B1 (ja) | 化合物、変性ポリマー、ゴム組成物、タイヤおよびコンベアベルト | |
JP5812155B1 (ja) | タイヤリムクッションまたはガムフィニッシング用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
JP5812156B1 (ja) | サイドウォール用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
JP5949987B1 (ja) | タイヤトレッド用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
JP6112161B2 (ja) | 変性ポリマーの製造方法、変性ポリマー、ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
JP6582816B2 (ja) | ポリマー変性剤組成物、変性ポリマー、ゴム組成物及びタイヤ | |
WO2016167289A1 (ja) | ゴム組成物及びタイヤ | |
WO2015173994A1 (ja) | ビードフィラー用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
WO2016140300A1 (ja) | ゴム組成物およびタイヤ | |
JP5812157B1 (ja) | タイヤリムクッションまたはガムフィニッシング用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
WO2016148144A1 (ja) | ゴム組成物およびタイヤ | |
JP5812153B1 (ja) | サイドウォール用ゴム組成物および空気入りタイヤ | |
US9932462B2 (en) | Rubber composition for tire rim cushion or rubber finishing, and pneumatic tire | |
WO2017057368A1 (ja) | ポリマー変性剤組成物、変性ポリマー、ゴム組成物及びタイヤ | |
WO2015173988A1 (ja) | サイドウォール用ゴム組成物および空気入りタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150512 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150525 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5761443 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |