JP5761151B2 - 絶縁電線及びコイル - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線及びそれを用いたコイルに関し、特にモータなどに用いられる絶縁電線及びコイルに関する。
電気機器として例えばモータなどはコイルを備える。モータのコイルは、絶縁電線を用いて形成されており、絶縁電線をモータのコアに巻き付けることや絶縁電線同士を溶接などでつなぎ合わせることなどで形成される。絶縁電線は、導体の外周上に絶縁被覆(絶縁層)を備える。絶縁層は、樹脂成分を有機溶剤に溶解させた絶縁塗料を導体に塗布して焼き付けることにより形成される。
絶縁層には機械的特性、耐熱性などの諸特性が要求される。これらの要求を満たす絶縁層としては、ポリイミド樹脂を用いた絶縁層が知られている。ポリイミド樹脂は、カルボン酸無水物とジアミンとから生成されるポリアミド酸(ポリアミック酸)を加熱してイミド化することで形成される。例えば、特許文献1では、カルボン酸無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA)と、ジアミンである4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とから生成されるポリアミック酸から形成されるポリイミド樹脂が提案されている。
一方、絶縁層には機械的特性、耐熱性などとともに、高い部分放電開始電圧が要求される。部分放電とは、導体に電圧が印加された際に、隣り合う絶縁電線間の微小な空隙に電荷が集中して放電が生じることであって、部分放電開始電圧(PDIV:Partial Discharge Inception Voltage)は、部分放電が発生し始めるときの印加電圧を示す。部分放電の発生は直ちに絶縁破壊を示すものではないが、絶縁層は、発生した部分放電により徐々に浸食されて、最終的には絶縁破壊して絶縁不良となる。すなわち、PDIVが低い絶縁層では部分放電がより低い電圧で発生して絶縁不良となりやすいため、絶縁層には高いPDIVが要求されることになる。
特開平9−106712号公報
ところで、近年、産業機器に用いられるモータなどは小型化される傾向にある。また、高出力のため高電圧で駆動されるとともに、動力性能の向上のためインバータ駆動化される傾向にある。このような傾向により、絶縁電線においては高電圧駆動とインバータサージの重畳により部分放電の発生のリスクが高まることとなる。このため、絶縁電線の絶縁層には、より高いPDIVが要求される。
このようにモータを小型化かつ高出力化する場合、用いる絶縁電線の絶縁層には厚さが薄く、かつ高いPDIVを示すことが要求され、具体的には厚さが40μmのときにPDIVが900Vp以上を示すことが要求される。
しかしながら、特許文献1に示すポリイミド樹脂では比誘電率が高く、この樹脂から構成される絶縁層では厚さが薄いと十分なPDIVを得ることが困難であった。PDIVの向上を目的として絶縁層を厚くすることもできるが、絶縁電線の径が太くなり、絶縁電線の占積率の低下やモータの小型化の妨げとなる。すなわち、特許文献1に示すポリイミド樹脂からなる絶縁層を備える絶縁電線は、使用される環境が制限される場合があった。
本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、その目的は、厚さが薄くても高い部分放電開始電圧を示す絶縁層を備える絶縁電線、及びそれを用いたコイルを提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、
導体と、
前記導体の外周上に形成された絶縁層と、を備え、
前記絶縁層は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位Aと下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位Bとを分子構造の一部に有し、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとのモル比A:Bが30:70〜90:10であるポリイミド樹脂からなり、温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下である絶縁電線が提供される。
Figure 0005761151
Figure 0005761151
本発明の第2の態様によれば、
第1の態様の絶縁電線を用いて形成されているコイルが提供される。
本発明によれば、厚さが薄くても高い部分放電開始電圧を示す絶縁層を備える絶縁電線、及びそれを用いたコイルが得られる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。
上述したように、従来のポリイミド樹脂は比誘電率が高いため、厚さの薄い絶縁層では部分放電開始電圧(PDIV)が低いという問題があった。この課題を解決するため、本発明者らはポリイミド樹脂の吸水率に着目し、鋭意検討を行った。ポリイミド樹脂の吸水率はポリイミド樹脂の極性によって左右され、極性が大きいほど吸水率が大きくなる傾向にある。そして、極性はポリイミド樹脂の分子内の電気的な偏りを示しており、極性が大きいほど電気的な偏りが大きくなり、比誘電率が大きくなる傾向にある。つまり、吸水率の大きさは比誘電率の大きさに対応しており、PDIVの指標となる。
本発明者らはポリイミド樹脂の吸水率について鋭意検討を行い、ポリイミド樹脂の吸水率が所定の数値範囲であれば、比誘電率が低く、PDIVが高い絶縁層を得られることを見出し、本発明を創作するに至った。
[本発明の一実施形態]
以下に、本発明の一実施形態について説明をする。
まず、絶縁層を構成するポリイミド樹脂の形成に用いられるポリイミド塗料について説明をする。
〈ポリイミド塗料〉
ポリイミド塗料は、ポリアミック酸を含有している。ポリアミック酸は、カルボン酸無水物及びジアミンから合成され、分子内にアミド結合を有している。このポリアミック酸は、加熱により重合することで、所定の繰り返し単位を有するポリイミド樹脂となる。
本実施形態では、加熱により繰り返し単位Aとなるポリアミック酸を含有するポリイミド塗料により、繰り返し単位Aを分子構造の一部に有するポリイミド樹脂が形成される。このポリイミド樹脂は、温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下であることにより、比誘電率が低く、高い部分放電開始電圧を示す。
以下、ポリイミド塗料を構成する成分について説明をする。なお、加熱により繰り返し単位Aとなるポリアミック酸をポリアミック酸Aとして説明をする。
(ポリアミック酸A)
ポリアミック酸Aは、カルボン酸無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA)と、ジアミンである4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とから生成される。ポリアミック酸Aは、下記一般式(3)に示す構造を有している。
Figure 0005761151
ポリアミック酸Aは、加熱により脱水してイミド化することで、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Aとなる。繰り返し単位Aは、下記一般式(1)で表わされる構造を有する。
Figure 0005761151
繰り返し単位Aは、上記一般式(1)に示すように、イミド結合を介して共役構造を形成するとともにイミド結合が強い分子間力を有するため、結合性が強く、強固な分子構造を有する。これにより、繰り返し単位Aはポリイミド樹脂に所定の電気特性、機械的特性、耐熱性などを付与することができる。
(他のポリアミック酸)
上記ポリイミド塗料は、イミド化してポリイミド樹脂となる際には温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下となるように、上記ポリアミック酸Aとは異なる他のポリアミック酸をさらに含有することが好ましい。他のポリアミック酸は、加熱により、繰り返し単位Aとは異なる他の繰り返し単位となるポリアミック酸である。他のポリアミック酸としては、繰り返し単位Aと比較して極性が小さく、吸水率が低い繰り返し単位となるようなものであれば限定されず、例えば、以下に示すカルボン酸無水物とジアミンとから適宜選択されて合成されるものが挙げられる。
カルボン酸無水物としては、例えば、4,4´−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられ、これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物を1つまたは複数用いることができる。
ジアミンとしては、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、9,9−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレン(FDA)、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、3,3´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(M−BAPB)などの芳香族ジアミンが挙げられ、これらの芳香族ジアミンを1つまたは複数用いることができる。
上記カルボン酸無水物とジアミンとから合成される他のポリアミック酸としては、例えば、カルボン酸無水物である3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)と、ジアミンである4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とから合成されるポリアミック酸Bが好ましい。ポリアミック酸Bは、下記一般式(4)に示す構造を有している。
Figure 0005761151
ポリアミック酸Bは、加熱により脱水してイミド化することで、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Bとなる。繰り返し単位Bは、下記一般式(2)で表わされる構造を有する。繰り返し単位Bは繰り返し単位Aと比較して極性が小さいため、ポリイミド樹脂は繰り返し単位Bをさらに有することで、繰り返し単位Aによる吸水率及び比誘電率を改善し、PDIVを向上することができる。
Figure 0005761151
繰り返し単位Bは、上記一般式(2)に示すように、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)に由来するビフェニル基を有している。繰り返し単位Bは、s−BPDAに由来するベンゼン環において電子の共役が弱く、極性が比較的小さい。このため、吸水率及び比誘電率が低く、高いPDIVを得ることができる。これに対して、繰り返し単位Aは、PMDA中で電子が非局在化しており、またイミド環を構成するカルボニル基(C=O)において分極が生じており、極性が比較的大きい。このため、吸水率及び比誘電率が高く、比較的低いPDIVを得ることになる。つまり、ポリイミド樹脂は繰り返し単位Bをさらに有することにより、吸水率及び比誘電率を改善し、PDIVを向上することができる。なお、繰り返し単位B自体は分子構造が柔軟であり、ポリイミド樹脂に熱可塑性を発現させて耐熱性を低下させるおそれがあるが、耐熱性を示す繰り返し単位Aと組み合わされることで繰り返し単位Bによる耐熱性の低下が抑制される。
ポリアミック酸Aとポリアミック酸Bとの混合比(モル比)は、形成されるポリイミド樹脂における繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとの混合比(モル比)となる。このモル比は特に限定されないが、ポリアミック酸B(繰り返し単位B)のモル比が10モル%未満となると、ポリイミド樹脂の吸水率及び比誘電率が大きくなり、PDIVが低下するおそれがある。この場合、PDIVを向上させるには絶縁層の厚膜化が必要となり、絶縁層の薄型化、そして絶縁電線の細径化が困難となる。一方、ポリアミック酸B(繰り返し単位B)のモル比が70モル%を超えると、ポリイミド樹脂は分子構造が柔軟となり、熱可塑性が発現するため、ガラス転移温度(Tg)や高温における貯蔵弾性率が低下するおそれがある。この場合、Tgに近い温度領域での加工において、形成される絶縁層に変形や膨れが発生し、耐熱性に問題が生じることとなる。しかも、ポリアミック酸Bのモル比が大きすぎると、ポリイミド塗料が白色化して、形成される絶縁層の外観が悪化する場合がある。よって、ポリアミック酸Aとポリアミック酸Bとのモル比、つまり繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比(A:B)は、A:B=30:70〜90:10であることが好ましく、40:60〜90:10であることがより好ましい。モル比を上記数値範囲とすることによって、絶縁層の比誘電率を低減するとともに、絶縁層に優れた可撓性を付与することができる。
なお、上記ポリイミド塗料は、他のポリアミック酸として、ポリアミック酸Bとは別のポリアミック酸をさらに含有してもよい。つまり、本実施形態のポリイミド樹脂には、上記繰り返し単位Bとは異なる他の繰り返し単位をさらに含んでもよい。
このようなポリアミック酸としては、s−BPDAとODAとから合成されるポリアミック酸Bとは異なるものであって、s−BPDAなどを除くカルボン酸無水物と、ジアミンであるODAとから合成されるものが挙げられる。具体的には、カルボン酸無水物として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4´−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4´−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)などが例示され、また必要に応じ、ブタンテトラカルボン酸二無水物や5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、或いは上記例示したテトラカルボン酸無水物を水添した脂環式テトラカルボン酸二無水物類等を併用しても良い。
ポリアミック酸Bを除く他のポリアミック酸を含有させる場合、その含有量(モル数)は、ポリアミック酸Aとポリアミック酸Bとの合計モル数に対して25%以下であることが好ましい。この数値範囲であれば、絶縁層の特性を大きく損ねることがなく、良好な絶縁層を得ることができる。
〈ポリイミド塗料の製造方法〉
ポリイミド塗料は、カルボン酸無水物とジアミンとを溶剤に溶解し、ポリアミック酸を合成して製造する。ポリアミック酸A及びポリアミック酸Bを含有するポリイミド塗料を製造する場合、カルボン酸無水物としてポリアミック酸Aを構成するPMDA、及びポリアミック酸Bを構成するs−BPDAと、ジアミンとしてODAとを溶剤に溶解し、ポリアミック酸A及びポリアミック酸Bをそれぞれ合成して製造する。
カルボン酸無水物としてのPMDA及びs−BPDAの添加量は、ポリイミド樹脂における繰り返し単位A及び繰り返し単位Bのモル比によって決定する。
また、カルボン酸無水物及びジアミンの添加量は、カルボン酸無水物とジアミンとのモル比が100:100.1〜100:105の範囲となるようにすることが好ましい。または、カルボン酸無水物とジアミンとのモル比が100.1:100〜105:100の範囲となるようにすることが好ましい。カルボン酸無水物に対してジアミンをやや過剰に添加すること、またはジアミンに対してカルボン酸無水物をやや過剰に添加することにより、形成されるポリアミック酸の分子量を小さく制御できる。分子量を小さく制御することでポリイミド塗料の粘度を小さくして絶縁層を形成する際の塗装作業性を向上することができる。
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や、γ−ブチロラクトン、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、炭化水素系などの溶剤を用いることができる。また、ポリイミド塗料の特性を損ねない範囲で、これらの溶剤を適宜併用してもよい。
ポリアミック酸A及びポリアミック酸Bの合成に際しては、得られるポリアミック酸の特性を損ねない程度の温度で合成すればよく、例えば0℃以上100℃以下の温度で加熱して合成することができる。
なお、ポリアミック酸A及びポリアミック酸Bを合成した後に、改めて50℃〜100℃程度で加熱、撹拌することによりポリイミド塗料の粘度を適宜調整してもよい。
〈絶縁電線〉
次に、上記ポリイミド塗料を用いて形成される絶縁層を導体の外周上に備える絶縁電線について図1を参照しながら説明をする。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。
本実施形態の絶縁電線1は、導体10と、導体10の外周上に形成された絶縁層11と、を備えており、絶縁層11は、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位Aを分子構造の一部に有するポリイミド樹脂からなり、温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下となっている。好ましくは、ポリイミド樹脂が下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位Bをさらに有する。
Figure 0005761151
Figure 0005761151
(導体)
導体10としては、低酸素銅や無酸素銅等からなる銅線、銅合金線の他、銀等の他の金属線等が用いられる。導体10の断面形状は、特に限定されず、例えば図1に示すような円形状とすることができる。導体の導体径は特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。
(絶縁層)
絶縁層11は、導体10を被覆して、絶縁電線1に所定の電気特性、機械的特性、耐熱性などを付与する。
絶縁層11は、導体10の外周上にポリイミド塗料を塗装し、例えば350〜500℃の炉で1〜2分焼付けすることを10〜20回程度繰り返して被膜厚を大きくすることで形成される。焼付けの際に、ポリイミド塗料に含有されるポリアミック酸がイミド化してポリイミド樹脂となる。本実施形態において、絶縁層11は、ポリアミック酸Aを含有するポリイミド塗料により形成されており、ポリアミック酸Aに由来する繰り返し単位Aを分子構造の一部に有するポリイミド樹脂からなる。また、絶縁層11は、温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下となっている。これにより、絶縁層11は比誘電率が小さく、高いPDIVを示す。
より好ましくは、絶縁層11は、ポリアミック酸A及びポリアミック酸Bを含有するポリイミド塗料により形成されており、ポリアミック酸Aに由来する繰り返し単位Aと、ポリアミック酸Bに由来する繰り返し単位Bとを有するポリイミド樹脂からなる。
絶縁層11を構成するポリイミド樹脂において、繰り返し単位Aは、所定の機械的特性や耐熱性等を示すが、極性が比較的高いため吸水率及び比誘電率を増加させてPDIVを低下させる場合がある。一方、繰り返し単位Bは、熱可塑性を発現させて耐熱性を低下させるが、極性が比較的小さいため吸水率及び比誘電率を改善し、PDIVを向上する。このような繰り返し単位A及び繰り返し単位Bをポリイミド樹脂が有することにより、繰り返し単位Aの割合を低減し、比誘電率を低く抑制することができる。さらに、耐熱性を示す繰り返し単位Aにより、繰り返し単位Bによる耐熱性の低下を抑制して維持することができる。すなわち、ポリイミド樹脂が繰り返し単位A及び繰り返し単位Bを有することにより、それぞれの特性を補完することができる。
絶縁層11を構成するポリイミド樹脂において、繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比(A:B)は特に限定されないが、A:B=30:70〜90:10であることが好ましく、40:60〜90:10であることがより好ましい。所定のモル比を有するポリイミド樹脂によれば、吸水率が2.8%以下、好ましくは2.3%以下となるため、比誘電率をさらに低く抑制し、PDIVをさらに向上することができる。また、繰り返し単位A及び繰り返し単位Bのそれぞれの特性を得ることができる上、優れた可撓性を得ることができる。なお、ポリイミド樹脂において、繰り返し単位A及び繰り返し単位Bの配列は特に限定されず、例えばランダム又は交互に配列している。
また、絶縁層を構成するポリイミド樹脂は、繰り返し単位A及び繰り返し単位B以外の他の繰り返し単位を含んでもよい。他の繰り返し単位は、繰り返し単位A及び繰り返し単位Bの合計モル数の25%以下を含むことが好ましい。
また、絶縁層は、比誘電率の小さいポリイミド樹脂から構成されるため、厚さが薄い場合であっても所定の部分放電開始電圧を得ることができる。具体的には、絶縁層の厚さを例えば40μmとして薄型化した場合であっても、900Vp以上の部分放電開始電圧を得ることができる。すなわち、本実施形態の絶縁電線によれば、絶縁層を薄型化して細径化することができる。
〈コイル〉
本発明の一実施形態に係るコイルは、上記絶縁電線を用いて形成されている。絶縁電線は細径化することができるため、絶縁電線をより密に配線することで占積率の高いコイルとすることができる。また、絶縁電線は部分放電開始電圧が高いため、コイルには高電圧を印加して高出力化することができる。したがって、本実施形態のコイルは、高電圧で駆動される小型モータなどに用いることができる。
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、絶縁電線の絶縁層は、一般式(1)で表わされる繰り返し単位Aを分子構造の一部に有するポリイミド樹脂から構成されており、温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下となっている。絶縁層は所定のポリイミド樹脂からなり、吸水率が低いため、比誘電率が低く、高い部分放電開始電圧を示す。
また、本実施形態によれば、絶縁層は、吸水率及び比誘電率の低いポリイミド樹脂から構成されるため、厚さが薄い場合であっても優れた部分放電開始電圧を示す。すなわち、本実施形態では、絶縁層の厚さを薄くすることにより、径の細い絶縁電線とすることができる。
また、本実施形態によれば、絶縁層は吸水率が低く、水分による部分放電開始電圧の低下が抑制される。これにより、本実施形態の絶縁電線は使用される環境が制限されない。
また、本実施形態によれば、繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比A:Bを30:70〜90:10、より好ましくは40:60〜90:10とすることで、絶縁層の吸水率及び比誘電率をさらに低下して、部分放電開始電圧を向上することができる。さらに、絶縁層に優れた可撓性を付与することができる。
また、本実施形態によれば、絶縁電線をコイルなどの電気機器に用いることによって、電気機器の小型化とともに高出力化することが可能となる。
[他の実施形態]
上記実施形態においては、導体10の外周上に絶縁層11を備える絶縁電線1について説明をしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、特定のポリイミド樹脂で構成される絶縁層11を第一の絶縁層11としたとき、図2に示すように、導体10と第一の絶縁層11との間に第二の絶縁層12を介在させてもよい。すなわち、導体10と第二の絶縁層12と第一の絶縁層11とを備える絶縁電線1と構成することもできる。導体10と第一の絶縁層11との間に第二の絶縁層12を介在させることにより、例えば密着性の高い第二の絶縁層12を介在させることで第一の絶縁層11のみでは不十分であった導体10との密着性を向上できる。
第二の絶縁層12を構成する樹脂としては、分子中にイミド構造成分を含む樹脂であれば、特に限定されない。このような樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステルイミド等の樹脂を挙げることができる。また、ポリアミドイミドとしては、トリメリット酸無水物(TMA)等のトリカルボン酸無水物と、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のイソシアネートとを等しいモル量で配合したポリアミドイミド等が挙げられる。ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等のテトラカルボン酸二無水物と、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)等のジアミン化合物とを等しいモル量で配合したポリイミド等が挙げられる。また、ポリエステルイミドとしては、トリス−2(ヒドロキシエチルイソシアヌレート)で変性したポリエステルイミド等が挙げられる。
第二の絶縁層12は、上記樹脂を有機溶剤に溶解させた絶縁塗料を加熱し、焼き付けすることにより形成される。なお、第二の絶縁層12の形成には市販の絶縁塗料を使用してもよく、例えば、トレニース#3000(東レ株式会社製)、Pyre−ML(デュポン株式会社製)等のポリイミド樹脂絶縁塗料、rHI406(日立化成株式会社製)等のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料、Isomid40SM45(日立化成株式会社製)等のポリエステルイミド樹脂絶縁塗料を挙げることができる。
第二の絶縁層12には、導体10との密着性を向上させるために、アルキル化ヘキサメチロールメラミン樹脂等のメラミン系化合物、メルカプト系に代表される硫黄元素含有化合物等の添加剤を含むことが好ましい。このような化合物以外であっても高い密着性を発現するものであれば使用が可能である。
また、上記実施形態においては、導体10の外周上に絶縁層11を備える絶縁電線1について説明をしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、絶縁層11の外周上に、滑剤を含む潤滑層13をさらに設けてもよい。潤滑層13によれば、絶縁電線1の表面に潤滑性を付与し、絶縁電線1を巻線してコイルを形成する際の加工ストレスを緩和することができる。潤滑層13は、滑剤と、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド等のエナメル塗料とを含有する潤滑性塗料により形成される。滑剤としては、ポリオレフィンワックス、脂肪酸アマイド及び脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種類、又はこれらを2種類以上混合してなるものをいう。特に、ポリオレフィンワックス若しくは脂肪酸アマイドの1種類、又はこれらを混合したものが好ましいが、これらに限定されない。また、潤滑層は、潤滑性を有する脂肪族成分をエナメル塗料の化学構造中に導入した潤滑性エナメル塗料としたものを使用することも可能である。潤滑層は、上記塗料を焼き付けすることにより形成される。
また、上記実施形態において、絶縁層11を構成するポリイミド樹脂では、高分子末端にキャッピングを施してもよい。キャッピングに用いる材料には、無水酸を含む化合物、またはアミノ基を含む化合物を用いることができる。無水酸を含むキャッピング化合物としては、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、1,2−ナフタル酸無水物マレイン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、各種フッ素化フタル酸無水物、各種プロム化フタル酸無水物、各種クロル化フタル酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物などを用いることができる。また、アミノ基を含むキャッピング化合物としては、アミノ基を1つ含む化合物を選択して用いることができる。
次に、本発明の実施例について説明をする。実施例では、以下の方法および条件で、本発明に係る絶縁電線を製造した。これらの実施例は、本発明に係る絶縁電線の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1)
絶縁電線を製造するにあたり、以下に示す方法によって、ポリイミド樹脂からなる絶縁層の形成に用いるポリイミド塗料を調整した。
〈ポリイミド塗料の調整〉
まず、溶剤のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3697.2gに、ジアミンである4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)437.5gを溶解させた。その後、溶剤のNMPに、カルボン酸無水物であるピロメリット酸無水物(PMDA)393.2gと、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)93.6gとを溶解させた。そして、窒素環境下において、室温で12時間撹拌しながら合成することにより、ポリアミック酸A及びポリアミック酸Bを含むポリイミド塗料を調整した。なお、ポリイミド塗料の塗装作業性を向上するため、塗料に溶剤を添加して希釈調整を行った。
実施例1では、PMDA、s−BPDA、及びODAのモル比を85:15:103として、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比が85:15となるようなポリイミド塗料を調整した。ポリイミド塗料の調整条件を以下の表1に示す。
Figure 0005761151
〈絶縁電線の製造〉
次に、調整されたポリイミド塗料を用いて絶縁電線を製造した。
実施例1のポリイミド塗料を銅線(直径0.8mm)の外周に塗装して、450℃の塗装炉で90秒間焼き付けることを15回繰り返すことによって、厚さ40μmの絶縁層を備える実施例1の絶縁電線を得た。
〈絶縁電線の評価〉
次に、実施例1の絶縁電線について、部分放電開始電圧(PDIV)、吸水率、及び可撓性を評価した。以下、それぞれの評価方法について説明をする。
(1)部分放電開始電圧
部分放電開始電圧(PDIV)は、25℃の恒温恒湿槽中で検出感度10pC、50Hzで測定した。
実施例1の絶縁電線のPDIVを測定したところ、920Vpであって、900Vp以上の高いPDIVを有することがわかった。
(2)吸水率
吸水率は、得られた絶縁電線を、温度40℃、湿度95%の環境下に24時間保管した後、絶縁層の吸水により増加した重量から算出した。
実施例1の絶縁電線の吸水率を測定したところ、吸水率は2.3%以下であって、吸水性が低いことがわかった。
(3)可撓性
可撓性は、製造した絶縁電線をJISC3003に準拠した方法によって伸張した後、この伸長した絶縁電線を、絶縁電線の導体径と同じ直径を有する巻き付け棒へJISC3003に準拠した方法で巻き付けを行い、光学顕微鏡を用いて絶縁層に亀裂、割れなどの欠陥の有無を観察した。評価は、絶縁電線を40%伸長したときに絶縁層に欠陥が確認されない場合を「◎」、絶縁電線を20%伸長したときに絶縁層に欠陥が確認されない場合を「○」とし、絶縁電線を20%伸長したときに絶縁層に欠陥が確認された場合を「×」として評価した。
実施例1の絶縁電線の可撓性を評価したところ、絶縁電線を40%伸長した場合であっても絶縁層に亀裂や割れ等の欠陥が確認されず、優れた可撓性を有することがわかった。
評価結果を以下の表2に示す。
Figure 0005761151
(実施例2〜5)
実施例2〜5では、表1に示すように、カルボン酸無水物であるPMDA及びs−BPDAの添加量を適宜変更してポリイミド塗料を調整し、実施例1と同様に絶縁電線を製造した。
(実施例2)
実施例2では、カルボン酸無水物であるPMDAを277.6g、s−BPDAを249.6g用いてポリイミド塗料を調整した。つまり、実施例2では、PMDA、s−BPDA、及びODAのモル比を60:40:103として、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比が60:40となるようなポリイミド塗料を調整した。
(実施例3)
実施例3では、カルボン酸無水物であるPMDAを185.1g、s−BPDAを374.4g用いてポリイミド塗料を調整した。つまり、実施例3では、PMDA、s−BPDA、及びODAのモル比を40:60:103として、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比が40:60となるようなポリイミド塗料を調整した。
(実施例4)
実施例4では、カルボン酸無水物であるPMDAを138.8g、s−BPDAを436.8g用いてポリイミド塗料を調整した。つまり、実施例4では、PMDA、s−BPDA、及びODAのモル比を30:70:103として、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比が30:70となるようなポリイミド塗料を調整した。
(実施例5)
実施例5では、カルボン酸無水物であるPMDAを416.4g、s−BPDAを62.4g用いてポリイミド塗料を調整した。つまり、実施例5では、PMDA、s−BPDA、及びODAのモル比を90:10:103として、ポリイミド樹脂における繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比が90:10となるようなポリイミド塗料を調整した。
実施例2〜5のポリイミド塗料を用いて製造された実施例2〜5の絶縁電線について、実施例1と同様に評価した。その結果、表2に示すように、実施例2〜5の絶縁電線は、いずれもPDIVが高く、また吸水率が低いことが確認された。特に、実施例2〜4の絶縁電線においては、繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとのモル比が60:40〜30:70となっており、優れたPDIVを有し、また吸水性が低いことが確認された。また、いずれの絶縁電線においても、所定の可撓性を得られることが確認された。
(比較例1)
比較例1では、表1に示すように、カルボン酸無水物であるs−BPDAを用いずに、PMDAのみを用いてポリイミド塗料を調整した。具体的には、溶剤のNMP3600.4gに、ジアミンであるODA437.5gを溶解した後、カルボン酸無水物であるPMDA462.6gを溶解させて、窒素環境下において、室温で12時間撹拝しながら合成することにより、ポリイミド塗料を調整した。
比較例1では、PMDA及びODAのモル比を100:103として、繰り返し単位Aのみを含むポリイミド樹脂となるようなポリイミド塗料を調整した。
比較例1のポリイミド塗料を用いて製造された比較例1の絶縁電線について、実施例1と同様に評価した。その結果、表2に示すように、比較例1の絶縁電線では、PDIV875Vpであって、900Vpよりも低いことがわかった。また、吸水率が3.5%であり、吸水性が高いことが確認された。
このように、本発明によれば、厚さが薄くても部分放電開始電圧が高いポリイミド樹脂からなる絶縁層を備える絶縁電線を得ることができる。部分放電開始電圧が高いため、絶縁層の厚さを薄くした場合であっても、所定の部分放電開始電圧を得ることが可能であり、径の細い絶縁電線とすることができる。また、吸水率が低いため、吸水による部分放電開始電圧の低下が抑制されており、絶縁電線の使用環境は制限されない。
1 絶縁電線
10 導体
11 絶縁層(第一の絶縁層)
12 第二の絶縁層
13 潤滑層

Claims (2)

  1. 導体と、
    前記導体の外周上に形成された絶縁層と、を備え、
    前記絶縁層は、
    分子構造が下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位Aおよび下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位Bからなり、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとのモル比A:Bが30:70〜90:10であるポリイミド樹脂からなり、
    温度40℃、湿度95%の条件下における24時間後の吸水率が2.8%以下である
    ことを特徴とする絶縁電線。
    Figure 0005761151
    Figure 0005761151
  2. 請求項1に記載の絶縁電線を用いて形成されている
    ことを特徴とするコイル。
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