JP5758140B2 - モータ制御装置、モータ制御方法 - Google Patents
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Description
このため、特許文献1に記載の発明では、レゾルバが特定の角度における擬似位置信号を生成し、生成した擬似位置信号を用いて角度検出誤差、角度検出精度を算出し、算出した結果に基づいて角度検出値の誤差を補正している。
モータ制御装置は、例えば産業車両や電気自動車、ハイブリッド自動車、電車、船舶、飛行機、発電システム等において、電池セルから電力の供給を受けてモータを制御する装置である。
電気モータを動力とする電気自動車や、内燃機関と電気モータを併用して動力とするハイブリッド自動車(以下、「電気自動車等」という)では、電力利用効率を高めるため、モータ制御装置が、3相の駆動電流を制御する際にパルス幅を変調させるパルス幅変調制御(PWM(Pulse Width Modulation)制御)を用いている。
電気自動車等では主に永久磁石同期モータが用いられ、そのモータには、回転に同期した3相電流が流される。その3相電流をPWM制御するために、キャリア信号と呼ばれる一定の周波数の電気パルスが用いられる。この場合、駆動電流は、キャリア信号のタイミングに合わせてパルス幅が変調された矩形波としてモータに供給され、モータのインダクタンスによって正弦波の3相電流となる。
そして、このようなモータ制御装置では、モータに流れる電流が、入力されたトルク指令のトルクになるようにフィードバックを用いたPI(Proportional Integral;比例積分)制御により制御している。また、PI制御では、モータへ供給する3相をd軸q軸の2軸座標へと座標変換し、d軸q軸の2相にて制御する。
図1に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置10は、レゾルバ30、角度検出部12、角度補正部13、速度計算部14、電流指令部16、3相/2相変換部18、電流PI制御部20、2相/3相変換部22、デューティ計算部24、電力変換部26、電流検出器28を備えている。また、モータ制御装置10は、モータMを制御する。
角度検出部12は、レゾルバ30が出力する検出信号に基づき、各瞬間におけるモータMの回転角度をサンプリング時刻毎に検出し(以下、検出した回転角度を検出角度という)、検出した検出角度を角度補正部13に出力する。なお、サンプリング周波数は、例えば、5[KHz]である。
角度補正部13は、後述するように、検出した検出角度を補正して角度測定信号θを算出する。角度補正部13は、算出した角度測定信号θを、速度計算部14、3相/2相変換部18、および2相/3相変換部22に出力する。
速度計算部14は、角度補正部13が出力する角度測定信号θから、モータMの回転子の角速度ωを計算し、計算した角速度ωを電流指令部16に出力する。
3相/2相変換部18には、電流検出器28が出力する3相の電流Iu、IvおよびIwが入力される。3相/2相変換部18は、電流検出器28が出力する3相の電流Iu、IvおよびIwを、2相のd軸成分Idおよびq軸成分Iq(以下、検出電流という)に変換する。3相/2相変換部18は、変換した検出電流IdおよびIqを電流PI制御部20に出力する。なお、d軸成分の電流(d軸電流)とは、d軸を磁束の向きに取った場合、流れている電流のうち、モータMに磁束を発生させるのに使われている成分(励磁電流成分)である。また、q軸成分の電流(q軸電流)とは、流れている電流のうち負荷のトルクに対応した成分である。
なお、本明細書では、指令値や指令信号には「*」を右上に付した変数によって表す。
電流PI制御部20は、入力された指令電流Id*およびIq*から、それぞれ検出電流IdおよびIqを減算して、偏差ΔIdおよびΔIqを算出する。電流PI制御部20は、算出した偏差ΔIdおよびΔIq用いて、次式(1)〜(2)により、d軸の指令電圧Vd*、q軸の指令電圧Vq*を算出する。電流PI制御部20は、算出した指令電圧Vd*およびVq*を、2相/3相変換部22に出力する。
図2に示すように、レゾルバ30は、モータMの貫通シャフトにマウントされ、ブラシレスモータのロータ磁界に合わせて調整されている。レゾルバ30は、レゾルバ・ロータ32、一次側コイル(ロータ)34、一次側コイル34と互いに90度離れたふたつの二次側コイル(ステータ)36とで構成されている。一次側に交流電圧を加えると二次側コイルにも電圧が発生する。二次側に出力される電圧の振幅は、θをロータ角度とするとsinθとcosθになる。
角度検出部12は、これらの2次側コイル36の位相に基づき、モータMの検出角度を算出する。この算出された検出角度は、モータMの回転基準角度(0度)から1回転(360度)の間、電気自動車などでは慣性が大きく、サンプリングタイムに比べて加速度が無視されるので、単調に且つほぼ線形に増加する値となる。したがって、モータMの複数の回転にわたる算出値は、図3に示すように、のこぎりの歯状の波形となる。この算出値によりモータMの検出角度を検出できる。図3は、本実施形態に係る時間に対する検出角度の変化を示す図である。図3において、横軸は時間、縦軸はモータMの検出角度である。図3に示すように、検出角度信号は、周期tLののこぎり波g101である。検出角度は、0度〜360度である。また、時刻は、後述するようにサンプリング周波数に基づくサンプル時刻である。そして、図3に示すように、時刻0から時刻tLに向けて、検出角度が0度から360度に増加し、時刻tLのとき、検出角度が360度から0度になる。そして、時刻tLは、レゾルバ30による検出角度の周期である。
例えば、モータMが8極の場合、レゾルバの検出周期は、4回/回転である。このため、モータMの電機子が1000[rpm]で回転している場合、周期は、tL=15[msec](1000×4/60=67[Hz])である。
図4に示すように、角度補正部13は、不連続点検出部131、記憶部132、置換部133、制御信号算出部134を備えている。
図7に示すように、検出角度に誤差がない、または、ほとんど誤差が無い場合、検出値(tn−5、yn−5)〜(tn、yn)は一次関数y=at+bで表すことが出来る。
しかしながら、図8に示すように、実際に検出される検出角度は、各々誤差を有しているため、ばらつきを有し、検出値(tn−5、yn−5)〜(tn、yn)のうちいくつかが、曲線g101から外れている。このため、この検出角度をそのまま角度測定信号θとして用いると検出誤差により、モータMには、トルクの変動や速度変動が起きていた。
このため、本実施形態では、検出角度に対して例えば最小二乗法を行うことで角度測定信号θを補正して、検出誤差を抑える。
図5に示すように、時刻t1は(nー1)サンプリング前の時刻であり、時刻t2は(nー2)サンプリング前の時刻である。角度補正部13は、このように、各時刻(t1、t2、・・・、tn−1)に各サンプリング時刻を割り当て、時刻tnに現在時刻を割り当てる。また、図6に示すように、検出角度y1は(nー1)サンプリング前の検出角度であり、検出角度y2は(nー2)サンプリング前の検出角度である。このように、角度補正部13は、各検出角度(y1、y2、・・・、yn−1)に各サンプリング時刻の検出角度を割り当て、検出角度ynに現在時刻の検出角度を割り当てる。
このように現在時刻(tn)を0と割り当てることで、t=0のため、角度補正部13は、y切片であるbのみ算出すれば、現在の検出角度youtを次式(5)のように算出することができる。
具体的な例を図9と図10を用いて説明する。検出角度0度〜360度までの1周期を、図9に示すように、24サンプリングとする。図9に示すように、1番目のサンプリング〜19番目のサンプリングの期間を用いて説明する。また、最小二乗法を行うのに用いるサンプリング数nは、16サンプルとする。
図10は、本実施形態に係る検出角度の補正方法を説明する図である。図10において、横軸は時間、縦軸は検出角度である。また、曲線g301は、サンプリング時刻tn−15〜tn−1の期間のサンプリング時刻に対する検出角度であり、曲線g302は、サンプリング時刻tn以降のサンプリング時刻に対する検出角度である。また、曲線g303は、曲線g301を曲線g302と連続するように補正した後のサンプリング時刻tn−15〜tn−1の期間のサンプリング時刻に対する検出角度である。
これにより、曲線g301は、曲線g303に置き換えられ、サンプリング時刻tn以降の曲線g302と連続する。この結果、微分係数の不連続点がなくなり、制御信号算出部134が、検出された角度に対して最小二乗法を適用しても、適切な検出角度を得ることができる。
これにより、曲線g401は、曲線g403に置き換えられ、サンプリング時刻tn以降の曲線g402と連続する。この結果、微分係数の不連続点がなくなり、制御信号算出部134が、検出された角度に対して最小二乗法を適用しても、適切な検出角度を得ることができる。
このように本実施形態のモータ制御装置10を適用した場合、曲線g501に対して曲線g502の振幅、すなわち高周波ノイズ状の誤差による振幅が小さくなる。すなわち、検出角度の誤差が少なくなる。この結果、モータMのトルク変動が減少する。さらに本実施形態のモータ制御装置10を適用した場合、サンプリング時刻tが40付近のように、検出角度360度から0度への切り替わりにおいても、精度良く検出角度を算出できる。
図14に示すように、曲線g601の実測による検出角度の振幅は、約−40[deg]〜+40[deg]程度である。これに対し、本実施形態のモータ制御装置10では、曲線g602のように、検出角度の振幅は、約+5[deg]〜+20[deg]程度である。このように、本実施形態のモータ制御装置10では、サンプリング毎の検出角度の変動を抑える効果がある。
この結果、本実施形態のモータ制御装置は、レゾルバの回転角度によらず、どの検出角度においても、精度良くモータの検出角度を算出することができる。また、レゾルバによる誤差やレゾルバの検出信号を処理する回路の影響を防ぐこともできるので、モータ制御装置やレゾルバ毎に補正値を予め測定したりマップを作成する必要がなくなる。さらに、レゾルバの検出角度に対する誤差補正マップを用いる場合に比べても、精度良くモータの検出角度を算出することができる。また、本実施形態のモータ制御装置は、高周波に変動する検出誤差を抑えることができる。
第1実施形態では、検出角度が高周波誤差で変動する誤差を抑える例を説明した。本実施形態では、角度に対応する正弦波状の誤差(基本波成分誤差や二次高調波成分誤差など)に、本実施形態のモータ制御装置を用いる場合について説明する。
このように、曲線g701の実測値の検出角度の誤差に対して、曲線g702の算出値の検出角度の誤差が抑えられている。このように、角度に対応する正弦波状の誤差を有する場合においても、本実施形態のモータ制御装置10を用いることで検出誤差を抑えることができる。なお、モータ制御装置10の構成、検出角度の処理手順は第1実施形態と同じである。
図16に示すように、曲線g801の実測による検出角度の振幅は、約+10[deg]〜+50[deg]程度である。これに対し、本実施形態のモータ制御装置10では、曲線g802のように、検出角度の振幅は、約+25[deg]〜+35[deg]程度である。このように、本実施形態のモータ制御装置10では、角度に対応する正弦波状の誤差(基本波成分誤差や二次高調波成分誤差など)の場合でも、サンプリング毎の検出角度の変動を抑える効果がある。
13・・・角度補正部
14・・・速度計算部 16・・・電流指令部 18・・・3相/2相変換部
20・・・電流PI制御部 22・・・2相/3相変換部 24・・・デューティ計算部
26・・・電力変換部 28・・・電流検出器 30・・・レゾルバ
32・・・レゾルバ・ロータ 34・・・一次側コイル(ロータ)
36・・・二次側コイル(ステータ)
131・・・不連続点検出部 132・・・記憶部
133・・・置換部 134・・・制御信号算出部
Claims (6)
- 微分係数が不連続な点を有する角度検出信号を検出して出力する角度検出部と、
前記検出された角度検出信号の不連続点を検出する不連続点検出部と、
前記検出された不連続点近傍の角度検出信号を、前記不連続点以前のランプ波形の角度検出信号に置換して出力する置換部と、
前記角度検出部の出力信号または前記置換された出力信号を、基準値と比較し直線近似により制御信号を算出する制御信号算出部と、
を備え、
前記置換部は、
前記角度検出信号から現在の回転角度を検出し、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度加算した検出角度と、前記現在の回転角度とを比較し、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度加算した検出角度が、前記現在の回転角度より小さい角度の場合、前記現在より1つ前から2以上の所定の個数のそれぞれについてサンプリング時刻における回転角度に対して360度加算して補正し、
前記現在の回転角度と、前記補正した所定の個数の回転角度に対して近似補間を行い、
または、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度減算した検出角度と、前記現在の回転角度とを比較し、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度減算した検出角度が、前記現在の回転角度より大きな角度の場合、前記現在より1つ前から2以上の所定の個数のそれぞれについてサンプリング時刻における回転角度に対して360度減算して補正し、
前記現在の回転角度と、前記補正した所定の個数の回転角度に対して近似補間を行う
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記置換部は、
前記角度検出信号に基づく角度検出値に基づき、前記角度検出部の出力信号に対して、n周期(nは1以上の整数)の角度を加算して置換する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記角度検出部は、
前記角度検出値から算出された回転速度に応じて、前記角度検出を行うサンプリング間隔を可変する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。 - 前記制御信号算出部は、
最小二乗法を用いて前記制御信号を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。 - 微分係数が不連続な点を有する角度検出信号は、
のこぎり波状の波形である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。 - 角度検出部が、微分係数が不連続な点を有する角度検出信号を検出して出力する角度検出工程と、
不連続点検出部が、前記検出された角度検出信号の不連続点を検出する不連続点検出工程と、
置換部が、前記検出された不連続点近傍の角度検出信号を、前記不連続点以前のランプ波形の角度検出信号に置換して出力する置換工程と、
制御信号算出部が、前記角度検出部の出力信号または前記置換された出力信号を、基準値と比較し直線近似により制御信号を算出する制御信号算出工程と、
を備え、
前記置換工程は、
前記角度検出信号から現在の回転角度を検出する工程と、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度加算した検出角度と、前記現在の回転角度とを比較する工程と、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度加算した検出角度が、前記現在の回転角度より小さい角度の場合、前記現在より1つ前から2以上の所定の個数のそれぞれについてサンプリング時刻における回転角度に対して360度加算して補正する工程と、
前記現在の回転角度と、前記補正した所定の個数の回転角度に対して近似補間を行う工程と、
または、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度減算した検出角度と、前記現在の回転角度とを比較する工程と、
前記現在より1つ前のサンプリング時刻における回転角度に180度減算した検出角度が、前記現在の回転角度より大きな角度の場合、前記現在より1つ前から2以上の所定の個数のそれぞれについてサンプリング時刻における回転角度に対して360度減算して補正する工程と、
前記現在の回転角度と、前記補正した所定の個数の回転角度に対して近似補間を行う工程と、
を備えることを特徴とするモータ制御方法。
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