JP5752640B2 - 成膜方法 - Google Patents

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本発明は、物理蒸着(PVD)法等によって基材の表面に薄膜を形成する成膜方法に関する。
近年、耐摩耗性や潤滑性を向上させる目的で、多くの機械部品の表面には、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC;Diamond Like Carbon)、ならびに、クロム、チタン、珪素、ニッケル、及びタングステン等の窒化物からなる硬質の保護膜が形成されている。この保護膜は、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法などを用いて形成される。
通常、機械部品の保護膜は、機械部品の表面上に形成される下地層と、下地層の上に形成される最表面層と、を含む複数の被膜で形成されることが多い。機械部品の表面に複数の被膜で形成される保護膜を形成する技術が、特許文献1に開示されている。
特許文献1は、上述のPVD(Physical Vapor Deposition)法、具体的にはスパッタリング法を用いて表面に保護膜が形成された転がり軸受を開示している。特許文献1の転がり軸受は、外周に内輪軌道面を有する内輪と、内周に外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間を転動する複数の転動体と、前記転動体を保持する保持器とを備え、前記転動体の周囲にフッ素グリースが封入されてなる転がり軸受であって、前記内輪、前記外輪、前記転動体、および前記保持器から選ばれる少なくとも一つの軸受部材が鉄系材料からなり、該鉄系材料からなる前記軸受部材の曲面であり、かつ、前記内輪軌道面、前記外輪軌道面、前記転動体の転動面、および前記保持器の摺接面から選ばれる少なくとも一つの曲面に硬質膜が成膜されてなり、前記硬質膜は、前記曲面の上に直接成膜されるクロムを主体とする下地層と、該下地層の上に成膜されるタングステンカーバイトとダイヤモンドライクカーボンとを主体とする混合層と、該混合層の上に成膜されるダイヤモンドライクカーボンを主体とする表面層とからなる構造の膜であり、前記混合層は、前記下地層側から前記表面層側へ向けて連続的または段階的に、該混合層中の前記タングステンカーバイトの含有率が小さくなり、該混合層中の前記ダイヤモンドライクカーボンの含有率が高くなる層であることを特徴とする。
この転がり軸受の硬質膜は、クロムを主体とする下地層と、この下地層の上に形成されたタングステンカーバイト及びダイヤモンドライクカーボンを主体とする混合層とで形成されている。
また、非特許文献1には、自動車部品へのDLCコーティング技術が開示されている。このDLCコーティング技術では、自動車部品における摺動部材の摩耗焼付問題に対応するため、スパッタリング法を用いて自動車部品の表面上に窒化クロム(CrN)層を成膜し、この窒化クロム層の上にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてDLC層を成膜している。
ところで、特許文献1及び非特許文献1において成膜されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜は、文字通り炭素からなる硬質膜であり、ダイヤモンド構造とグラファイト構造が混ざり合った構造となっている。このようなDLC膜は、ダイヤモンドとグラファイトの特性を兼ね備えているため、優れた耐摩耗性及び潤滑性を発揮する保護膜として機械部品に用いられている。
特開2012−67900号公報 南口経昭、外2名、「自動車部品へのDLCコーティング技術開発−量産諸因子の膜構造への影響解析−」、第124回講演大会要旨集、表面技術協会、2011年9月、p.213-214
上述のように、DLC膜は優れた特性を有する保護層となり得るが、この優れた特性のDLC膜を得るには、非特許文献1に開示されているとおり、DLC膜の成膜温度に上限があり制約となっている。具体的には、非特許文献1は、DLC膜の成膜温度が330℃を超えると、成膜されたDLC膜の硬度が低下することを示し、その硬度の低下が、グラファイト構造(sp)のクラスターサイズが大きくなることに起因する可能性があることを開示している。
このようにDLC膜の成膜温度に上限が有るために、DLC膜の下地として成膜されるクロム(Cr)層や窒化クロム(CrN)層の成膜にはスパッタリング法が向いていると言える。つまり、下地層であるクロム層や窒化クロム層を比較的低温処理であるスパッタリング法で成膜すれば、下地層を成膜する際の温度の上昇を抑制することができ、続くDLC膜の成膜における成膜温度の上限温度までの余裕(マージン)を大きくとることができる。
ところが近年、下地層の成膜に、スパッタリング法よりも密着性が高いアークイオンプレーティング法などを用いることが望まれている。しかし、下地層の成膜にアークイオンプレーティング法などを採用すると、下地層の成膜時において成膜温度が大きく上昇してしまい、続くDLC膜の成膜における成膜温度の上限を超えてしまうという問題が生じている。このため、アークイオンプレーティング法で下地層を成膜後に、冷却期間が必要となるが、冷却後にDLCをスパッタリング法で成膜すると、下地層とDLC層の密着性が悪くなり、剥離するという問題が生じている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、下地層の成膜において成膜温度が大きく上昇し、冷却期間を採った場合においても、アークイオンプレーティング法による下地層の上に密着性が高いDLC膜を成膜することのできる成膜方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の成膜方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の成膜方法は、アークイオンプレーティング法によって、基材表面にクロム又は窒化クロムからなる第1層を成膜する第1成膜工程と、前記第1成膜工程で成膜された基材を冷却する冷却工程と、アークイオンプレーティング法によって、前記第1層の上にクロムからなる第2層を成膜する第2成膜工程と、スパッタリング法によって、前記第2層の上にダイヤモンドライクカーボンからなる第3層を成膜する第3成膜工程と、を有し、前記冷却工程は、前記第2成膜工程が終了したときの基材の温度が300℃以下となるように、前記第1成膜工程で成膜された基材を予め冷却する工程であることを特徴とする。
ここで、好ましくは、前記冷却工程は、前記第2成膜工程が終了したときの基材の温度が100℃以上となるように、前記第1成膜工程で成膜された基材を予め冷却する工程であるとよい。
また、好ましくは、前記第3成膜工程は、前記第2成膜工程の終了後連続的に実施されるとよい。
さらに、好ましくは、前記冷却工程の後であって前記第2成膜工程の前に、前記基材の成膜面をイオンボンバードメントによって清浄する清浄工程を有するとよい。
本発明の成膜方法によれば、下地層の成膜において成膜温度が大きく上昇した場合であっても、下地層の上に成膜されるDLC膜の成膜工程において密着性の高いDLC膜を成膜することができる。
本発明の実施形態による成膜方法の各工程を示すフロー図である。 本実施形態による成膜方法で得られる被膜の構成を示す図である。 本実施形態の実施例1による成膜方法での基材温度の変化を示す図である。 本実施形態の実施例2による成膜方法での基材温度の変化を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による成膜方法について説明する。本実施形態において説明する成膜方法は、例えば物理蒸着(PVD)法であるアークイオンプレーティング(AIP)法及びスパッタリング法を用いて、機械部品など基材の表面に複数の被膜を成膜し保護膜を形成するものである。
アークイオンプレーティング法により成膜を行う成膜装置としては、アークイオンプレーティング装置がある。AIP装置は、真空アーク放電によってイオン化したターゲット材料を、装置内に配置された基材の表面まで移動させて該表面に堆積させるものであり、このアークイオンプレーティングによって、基材の表面に被膜を形成する。
一方、スパッタリング法により成膜を行う成膜装置としては、スパッタリング装置がある。スパッタリング装置は、スパッタリング用ターゲット材料の前面に形成されたグロー放電によるArイオンでターゲット材料の表面をたたき、それによって該ターゲットからスパッタ粒子を放出し、放出したスパッタ粒子を基材の表面に堆積させるものである。このスパッタリングによって、基材の表面に被膜が形成される。
本発明は、上記したアークイオンプレーティング装置を用いたアークイオンプレーティング法によって、基材表面にクロム又は窒化クロムからなる層を成膜し、その後、スパッタリング装置を用いたスパッタリング法によって、成膜した層の上にダイヤモンドライクカーボンからなる層を密着性高く成膜する成膜方法を提供するものである。なお、本発明の成膜方法は、1つの装置でアークイオンプレーティング法とスパッタリング法を実施できる成膜装置を念頭においている。アークイオンプレーティング法を行った後、スパッタリング法を行うに際しては、後述するが、成膜装置の真空チャンバー外に、成膜対象部材(基材)を取り出さず、1つの装置でアークイオンプレーティング法とスパッタリング法とを連続的に使用することが好ましい。
以下、本発明の成膜方法の詳細を説明する。
図2を参照しながら、本実施形態による成膜方法で形成される保護膜について説明する。図2(a)は、下地クロム(Cr)層1、中間クロム(Cr)層2、及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)層3の3つの被膜からなる保護層を示し、図2(b)は、下地窒化クロム(CrN)層4、中間クロム(Cr)層2、及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)層3からなる保護層を示している。
図2(a)では、まず基材Wの表面にクロム(Cr)を堆積させることで第1層(第1被膜)である下地Cr層1を成膜し、成膜された下地Cr層1の上にもう一度クロムを堆積させることで第2層(第2被膜)である中間Cr層2を成膜し、中間Cr層2の上にさらにダイヤモンドライクカーボン(DLC)を堆積させることでダイヤモンドライクカーボンからなるDLC層3を第3層(第3被膜)として成膜する。また、図2(b)では、まず基材Wの表面に窒化クロム(CrN)を堆積させることで第1層である下地CrN層4を成膜し、成膜された下地CrN層4の上に第2層である中間Cr層2を成膜し、中間Cr層2の上にさらに第3層であるDLC層3を成膜する。
以下の説明では、第1層として下地Cr層1を成膜した図2(a)に示す保護層について、図1を参照しつつ本実施形態による成膜方法を説明する。
図2(a)及び図2(b)に示す各保護膜において、第1層と第2層はAIP法によって成膜され、第3層であるDLC層3はスパッタリング法によって成膜される。このとき、AIP法では、成膜時及び成膜直後の基材Wの温度(基材温度)が非常に高温となるので、スパッタリング法によってDLC層3を成膜する際には、基材温度に注意しなくてはならない。つまり、既知の事実として、DLC膜の成膜時の基材温度が330℃を超えると成膜されたDLC膜の硬度が低下してしまう可能性があるので、スパッタリング法によるDLC層3の成膜開始時及び成膜中に、基材温度が、例えば300℃を超えないようにすると、硬質のDLC膜を成膜することができる。
しかし、AIP法によって第1層である下地Cr層1を成膜する(第1成膜工程、ステップS10)と、第1層が所望の膜厚となった時点で、基材温度が330℃を超えることが多い。そこで、第1層の成膜後、基材Wの温度が低下して、例えば300℃以下であって硬質なDLC層3を形成することができる温度となるまで次の成膜を待ち、第1層が形
成された基材Wを冷却する。この冷却は、成膜装置内に第1層が形成された後、成膜動作のみを停止させ、真空排気は維持したままにすれば、輻射による放熱によって基材Wは冷却され基材Wの温度は低下してゆく。第1成膜工程後において基材温度を低下させる工程を、冷却工程(ステップS20)という。
冷却工程において第1層が形成された基材Wの温度が十分に低下すると、スパッタリング法によって第1層の上にDLC層3を成膜することができる。しかし、本願の発明者は、第1層が成膜された後に基材Wの冷却を挟んでDLC層3を成膜すると、DLC層3が剥離しやすいという事実を知見している。これは、基材Wに成膜された第1層の表面が、基材Wの冷却期間に清浄な面ではなくなってしまうことが一因であり、その他様々な原因も関与していると考えられる。
そこで、本実施形態では、第1層が形成された基材Wの冷却後に、AIP法によって第2層としての中間Cr層2を成膜する(第2成膜工程、ステップS30)。この中間Cr層2は、第1層と同じ又は似た性質の材料であるので、冷却期間によって第1面が清浄な面ではなくなっていても剥離する可能性は低い。そこで中間Cr層2の成膜終了後連続的に、スパッタリング法によってDLC層3を成膜する(第3成膜工程、ステップS40)。このような流れの成膜方法によれば、中間Cr層2の表面が清浄なうちにDLC層3を成膜することができるので、中間Cr層2からのDLC層3の剥離の可能性は非常に低くなる。
つまり、第2層である中間Cr層2は、冷却期間を終えた第1層とDLC層3とをつなぐために成膜される接続層とも呼べる被膜である。そのため、中間Cr層2の厚みは、第1層より十分薄い、例えば約0.1μm程度の被膜であればよい。第2層である中間Cr層2を薄い被膜とすることで第2層の成膜に要する時間を短くすれば、生産性の向上に寄与することができる。
このような中間Cr層2も、第1層と同じくAIP法によって成膜されるので、中間Cr層2の成膜直後の基材温度が、例えば300℃を超えるような高温とならないようにしなくてはならない。ここで、AIP法によって第2層を成膜する際の基材温度の上昇値を予め見積もって、第2層を成膜する際に予め見積もられた基材温度の上昇があっても、第2層の成膜直後の基材温度が上限以下である300℃以下となる程度にまで第1層が形成された基材Wを冷却しておかなくてはならない。このとき、成膜装置のチャンバー内の水分の影響を回避するために、第1層が形成された基材Wを、第2層の成膜直後の基材温度が100℃以上となるように冷却するのが好ましい。
以上のように、本実施形態による成膜方法は、基材Wの表面に第1層である下地Cr層1をAIP法によって成膜する第1成膜工程と、第1成膜工程で成膜された基材Wを冷却する冷却工程と、第1成膜工程で成膜された第1層の上に第2層である中間Cr層2をAIP法によって成膜する第2成膜工程と、第2成膜工程で成膜された中間Cr層2の上に第3層であるDLC層3を成膜する第3成膜工程と、を有している。このとき、冷却工程は、第2成膜工程において基材温度が上昇しても第2成膜工程が終了したときの基材Wの温度が300℃以下となるように、予め基材Wを冷却するものである。
以下、図1、図3、及び図4を参照しながら、本実施形態による成膜方法の具体例を実施例として説明する。
(実施例1)
図1及び図3を参照しながら、本実施形態による成膜方法の実施例1について説明する。図3は、基材Wの温度の時系列変化を示したグラフである。
まず、AIP機能を備えた成膜装置に基材Wが配置される。このときの基材温度は、約40℃である。この後、加熱およびボンバードにて基材Wの温度は、約140℃にまで上昇する。
その後、第1成膜工程として、AIP法によって、下地Cr層1(第1層)の成膜が始まり、第1成膜工程の終了時点での基材温度は、約430℃にまで上昇する(ステップS10)。
第1成膜工程の終了後、真空排気下で成膜停止期間をおくことで、第1層が成膜された
基材Wの温度は、輻射放熱によって徐々に低下する(冷却工程、ステップS20)。第1層が成膜された基材Wの温度が、次に行われる第2成膜工程のAIP動作によっても300℃を超えない、且つ第2成膜工程直後の基材Wの温度が100℃以上となる温度、本実施例では約210℃にまで低下する(冷却される)と、第2成膜工程が実施される(ステップS30)。
第2成膜工程が実施される時間は、第1成膜工程及び冷却工程に比べて非常に短い時間であるが、第2成膜工程として、AIP法によって、中間Cr層2(第2層)の成膜が始まると、基材温度は約230℃に上昇する。
第2成膜工程の終了後連続的に第3成膜工程が実施され、第3成膜工程として、スパッタリング法によって、DLC層3(第3層)の成膜が開始する。スパッタリング法による第3成膜工程では、基材Wの温度は緩やかに低下しつつ、DLC層3が成膜される(ステップS40)。
(実施例2)
図4を参照しながら、本実施形態による成膜方法の実施例2について説明する。図4は、基材Wの温度の時系列変化を示したグラフである。
本実施例が実施例1と異なる点は、冷却工程の終了後に、イオンボンバードメントによって第1層である下地Cr層1の表面を清浄にした上で第2成膜工程を実施する点である。この他の点は実施例1と同様であり、第1成膜工程、冷却工程、第2成膜工程、及び第2成膜工程の終了後連続的に実施される第3成膜工程は、実施例1と同様である。
以下、図4を参照し、実施例1との相違点を説明する。
冷却工程によって、第1層が成膜された基材Wの温度が、次に行われる第2成膜工程直後でも300℃以下且つ100℃以上となる温度、本実施例では実施例1と同様の約210℃にまで低下する(冷却される)と、成膜装置によるイオンボンバードメント動作によって第1層である下地Cr層1の表面が清浄な面となる(清浄工程)。このとき実施されるイオンボンバードメントは、例えば、特開2011−252193号公報に開示されるような「装置を構成する真空チャンバー内に配置された基材の表面を、真空チャンバー内で発生したガスイオンを照射することによってクリーニングする」既知の技術を用いるとよい。
イオンボンバードメント(清浄工程)の後直ちに第2成膜工程が実施され、AIP法によって、中間Cr層2(第2層)の成膜が始まる。図4に示すように、本実施例では、第2成膜工程の前にイオンボンバードメント動作が実施されたので、基材温度は約280℃に上昇する。このように本実施例では、第2成膜工程の前にイオンボンバードメントを実施しても、第2成膜工程直後における基材温度が、300℃以下且つ100℃以上の範囲の値(約280℃)となるように、第1層が成膜された基材Wは、冷却工程において予め約210℃にまで冷却されている。
第2成膜工程の終了後は、実施例1と同様に連続的に第3成膜工程が実施されDLC層3が成膜される。
以上の実施形態によって説明したように、上述の実施形態による成膜方法によれば、第1層をAIP法によって成膜しても、スパッタリング法によるDLC膜の成膜を300℃以下の基材温度で実施することが可能となるので、DLC層3のグラファイト構造(sp)のクラスタが大きくなるのを抑制することができる。これに加えて、冷却期間を経た第1層の表面に第2層を成膜し、第2層の成膜後連続的にDLC膜を成膜することによって、清浄な状態の第2層の表面にDLC層3を密着させることができるので、高い硬度で剥離しにくいDLC層3を成膜することができる。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、動作条件や測定条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、上記実施形態において、第1層としてクロム(Cr)からなる下地Cr層1を
成膜するとしたが、図2(b)に示すように、第1層として窒化クロム(CrN)からなる下地CrN層4を成膜してもよい。第1層に下地CrN層4を成膜した場合でも、下地Cr層1を成膜した場合と同様の性質を有する保護膜を形成することができることは、一般に知られている窒化クロムの物性等からも明らかである。
1 下地Cr層
2 中間Cr層
3 DLC層
4 下地CrN層
W 基材

Claims (4)

  1. アークイオンプレーティング法によって、基材表面にクロム又は窒化クロムからなる第1層を成膜する第1成膜工程と、
    前記第1成膜工程で成膜された基材を冷却する冷却工程と、
    アークイオンプレーティング法によって、前記第1層の上にクロムからなる第2層を成膜する第2成膜工程と、
    スパッタリング法によって、前記第2層の上にダイヤモンドライクカーボンからなる第3層を成膜する第3成膜工程と、を有し、
    前記冷却工程は、前記第2成膜工程が終了したときの基材の温度が300℃以下となるように、前記第1成膜工程で成膜された基材を予め冷却する工程であることを特徴とする成膜方法。
  2. 前記冷却工程は、前記第2成膜工程が終了したときの基材の温度が100℃以上となるように、前記第1成膜工程で成膜された基材を予め冷却する工程であることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記第3成膜工程は、前記第2成膜工程の終了後連続的に実施されることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜方法。
  4. 前記冷却工程の後であって前記第2成膜工程の前に、前記基材の成膜面をイオンボンバードメントによって清浄する清浄工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
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