JP5745437B2 - ペレット製造用のダイ - Google Patents

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本発明は、プラスチック材料をペレットに形成するにあたり、溶融した樹脂をペレット形成用のストランド(紐状物)として吐出させる(押し出す)ペレット製造用のダイに関する。
図3の(a) はペレット製造装置の一部であるストランド押出機20を示すもので、この押出機20の先端部に、溶融樹脂をペレット形成用ストランドとして吐出するダイ11が取り付けられ、このダイ11のダイ本体12には、マニホールド13と、これに連通してダイ本体12の先端面12aにノズル吐出口14aが開口する複数のノズル14が設けられている。ペレットの製造にあたり、押出機20のホッパー15から加熱押出部(図示省略)に供給されたプラスチック材料は、溶融状態でダイ11へ送られて、図3の(b) に示すようにダイ本体12内のマニホールド13に溜まり このマニホールド13内の溶融樹脂10が各ノズル14を通って、その吐出口14aから連続的に押し出され、紐状のストランド6を形成する。このストランド6は、図示しない切断手段により所定長さに切断されて、ペレット(図示省略)に形成される。
ところで、従来のダイ11では、溶融樹脂をノズル14の吐出口14aから連続して吐出していると、図3の(b) に示すように、ダイ本体12の先端面12aに開口するノズル吐出口14aの出口近傍に目ヤニ状の樹脂塊Mが発生する。この目ヤニ状樹脂塊Mは時間が経つにつれ、空気中の酸素やダイ本体12からの熱により劣化し、場合によっては黒く炭化してしまう。この劣化樹脂は、ノズル14の吐出口14aから押出中のストランド6に付着し、製品の外観をはじめとする製品品質を損なうなどの問題があり、著しく商品価値を低下する結果となっていた。従来、このような目ヤニ状樹脂の製品への混入防止は、ノズル吐出口14aの吐出面であるダイ本体先端面12aの定期清掃や、ストランド6からの掻き落とし、製品中に混入した目ヤニ状樹脂の選別除去などの方法をとってきたが、その作業は極めて困難で、除去率が低かったり、選別に膨大な時間を要するなどの理由で充分とはいえなかった。また、上記のような目ヤニ状樹脂の掻き落としや選別除去は、プラスチック材料のロスとなるから、目ヤニ状樹脂が増えるほど材料損失が大きくなっていた。
本願の発明者は、上記のような課題を解決するため種々の研究を重ねたところ、目ヤニ状樹脂塊の発生原因が、ノズルの少なくとも吐出口側端部内面の滑らかさ、ノズル吐出口のエッジのシャープさ、及びノズルの吐出口が開口するダイ本体先端面(即ち、大気開放面)の表面粗さに大きく左右されることを認識するに至った。そこで、本発明は、ノズルの少なくとも吐出口側端部内面を滑らかにし、ノズル吐出口のエッジをシャープエッジにすると共に、ノズルの吐出口が開口するダイ本体先端面の表面粗さ、即ち面粗度を改善することによって、吐出口の出口近傍での目ヤニ状樹脂塊の発生を極力少なくできるペレット製造用のダイを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、ダイ本体2に、マニホールド3と、これに連通してダイ本体先端面2aに吐出口4aが開口する複数のノズル4とを設け、マニホールド3内の溶融樹脂をペレット形成用のストランドとしてノズル4の吐出口4aから押し出すようにしたペレット製造用のダイにおいて、
前記ダイ本体2の母材がオーステナイト/フェライトの2相系ステンレスからなり、該母材にダイ本体先端面2aに臨む凹部5が形成され、この凹部5内に充填したニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末のHIP処理によって前記母材に直接拡散接合させて形成したHIP層7を備え、該HIP層7の表面が平坦なダイ本体先端面2aを構成し、
該HIP層7に前記複数のノズル4がダイ本体先端面2aに対する直交方向に貫通するように穿設されることにより、各ノズル4の全体又は少なくとも吐出口4a側端部の周囲がHIP層7にて形成されると共に、その吐出口4a周縁がシャープエッジをなし、
各ノズル4の内面と、平坦なダイ本体先端面2aを構成する前記HIP層7の表面とが鏡面研削加工によって表面粗度Ry:0.2μm以下に仕上げられてなることを特徴とする。
請求項は、請求項1に記載のペレット製造用のダイにおいて、前記ダイ本体2のマニホールド3の内壁面及びHIP層7に形成されていないノズル4部分の内壁面には、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン又はダイヤモンドライクカーボンのPVDコーティングによるコーティング層8が設けられていることを特徴とする。
請求項は、請求項に記載のペレット製造用のダイにおいて、前記ダイ本体2のマニホールド3の内壁面及びHIP層7に形成されていないノズル4部分の内壁面には、硬質クロムメッキ又は無電解ニッケルメッキによるコーティング層8が設けられていることを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明のダイ1A,1Bでは、ダイ本体2の母材の凹部5内に充填した合金粉末のHIP処理によるHIP層7を備え、該HIP層7の表面が平坦なダイ本体先端面2aを構成し、該HIP層7に複数のノズル4がダイ本体先端面2aに対する直交方向に貫通するように穿設されることにより、各ノズル4の全体又は少なくとも吐出口4a側端部の周囲がHIP層7にて形成されて、その吐出口4a周縁がシャープエッジをなし、且つ各ノズル4の内面とHIP層7からなるダイ本体先端面2aが表面粗度Ry:0.2μm以下と非常に滑らかになっている。また、ダイ本体2の母材がオーステナイト/フェライトの2相系ステンレスからなり、その熱膨張率がHIP処理によってダイ本体2の母材に拡散接合する合金粉末の熱膨張率に近いため、熱膨張差に起因する曲がり変形も少なくなる。
従って、溶融樹脂をペレット形成用ストランドとしてダイ1A,1Bから押し出す時、そのノズル吐出口4aの近傍に従来では付着し易かった目ヤニ状樹脂塊Mの発生がほとんどなくなり、該目ヤニ状樹脂塊Mに起因したペレット商品の価値の低下を回避できると共に、ダイ1A,1B自体は目ヤニ状樹脂塊Mの掻き落としを行なう必要がほとんどないから、ペレット製造作業を効率よく行なえ、樹脂材料のロスも最小限に抑えることができる。
請求項に係る発明のように、ダイ本体2のマニホールド3の内壁面及びHIP層7に形成されていないノズル4の内壁面部に、硬質材料のPVDコーティングによるコーティング層8を設けることにより、マニホールド3の内壁面及びノズル4の内壁面部におけるペレット形成用溶融樹脂との摩擦を軽減できると共に、該コーティング8はダイ本体2の母材との密着強度が高く、良好な耐摩耗性、耐酸化性を有するため、使用寿命が長くなる。
請求項3に係る発明のように、ダイ本体2のマニホールド3の内壁面及びHIP層7に形成されていないノズル4の内壁面部に設けるコーティング層8が硬質クロムメッキの場合は、摩擦係数が小さく非常に滑りが良好で、他の物質が付着し難く、防錆力をもったメッキであるため、溶融樹脂との摩擦を低減し、摩擦性の強い溶融樹脂を使用しても、接液部に傷、摩耗を発生することがなく、永続的に使用できる。また、該コーティング層8が無電解ニッケルメッキ層の場合は、母材との密着性が良く、硬質クロムメッキ層と同等の優れた耐摩耗性を有する。
本発明の一実施形態によるペレット製造用のダイを示すもので、(a) は正面図、(b) は(a) のX−X線断面図である。 他の実施形態よるペレット製造用のダイを示すもので、図1の(b) と同様な断面図である。 (a) は従来のペレット製造装置の一部であるストランド押出機を示す側面図、(b) は(a) に示すストランド押出機のダイの拡大断面図である。
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) ,(b) に示ダイ1Aは、溶融樹脂をペレット形成用のストランドとして吐出するためのダイであり、このダイ1には、母材であるダイ本体2に、マニホールド3と、このマニホールド3に連通してダイ本体2の先端面2aに吐出口4aが開口するノズル4が複数設けられていて、マニホールド3内に溜まった溶融樹脂10が、各ノズル4の吐出口4aから押し出されて図3の(b) に示すようなストランド6を形成するようになっている。
そして、各ノズル4は、図1の(a) ,(b) に示すように、ノズル4全体が、耐食性及び耐摩耗性の良好な合金粉末(図示省略)をHIP処理によってダイ本体2の母材に直接拡散接合させて形成したHIP層7を貫通するように形成されると共に、各ノズル4の吐出口4aが開口するダイ本体2の先端面2aであるHIP層7の表面、及び各ノズル4の内面(ノズル孔の内面)が鏡面研削加工されている。また、ダイ本体2のマニホールド3の内壁面及びダイ本体2の外表面には硬質材料によるコーティング層8が被覆形成されている。
上記HIP処理のHIPとは、「Hot Isostatic Pressing」の略称で、熱間等方圧加圧処理を言い、粉末成形品をHIP処理することにより、組織が緻密化され、これによって曲げ強度などの機械的性質が大幅に改善され、表面硬度が増すとともに、表面の面粗度が大幅に改善される。
上記構成のダイ1Aの製造方法を以下に説明する。先ず、ダイ本体2を形成する直方体状の母材の一側面に、HIP層7を形成するための凹部5を形成し、この凹部5の開口部をカバー体で塞ぐと共に、凹部5内に耐食性及び耐摩耗性の良好な合金粉末を充填するための充填口を設け、そして合金粉末を充填口より凹部5内に充填した後、その充填口を蓋体で塞ぐことによりカプセルを形成する。このカプセルをHIP装置の処理室に収容して、例えば1300℃、1300Kgf/cm2 の高温高圧下でHIP処理を行うことによって、凹部5内の合金粉末が母材に直接拡散接合されたHIP層を形成する。HIP処理終了後に、蓋体及びカバー体を取り外せば、前記一側面側にHIP層が露出したダイ素材となるから、このダイ素材に切断及び切削加工を適宜に施すことによって、図1の(a) ,(b) に示すダイ本体2の外形を形成し、この後、ダイ本体2の他側面側(背面側)を切削加工して、マニホールド3をHIP層7と接するように形成し、そしてHIP層7には、マニホールド3に連通して、ダイ本体2の先端面であるHIP層7の表面に吐出口4aが開口する複数のノズル4・・・を貫設する。
この後、マニホールド3の内壁面及びダイ本体2の外表面に硬質材料によるコーティング層8を被覆形成し、そしてダイ本体2の先端面2aであるHIP層7の表面を鏡面研削加工すると共に、各ノズル4の内面(ノズル孔の内面)も鏡面研削加工することによって、図1の(a) ,(b) に示すようなダイ1Aを形成する。尚、この実施形態では、ノズル4の断面形状を円形としているが、楕円形(長孔)にすることもある。そして、各ノズル4内面の鏡面研削加工は、20000回転/分以上で超高速回転するスピンドルに取り付けた砥石により行い、その表面粗度(粗さ)はRy0.2μm(Ra0.02μm)以下に仕上げ、またノズル孔の加工精度(断面円形孔の真円度)はミクロン単位で仕上げている。ダイ本体2の先端面2aであるHIP層7の表面も、粗度がRy0.2μm(Ra0.02μm)以下に仕上げている
上記ダイ1Aの製造において、HIP処理される耐食性及び耐摩耗性の良好な合金粉末としては、ニッケル系合金粉末又はコバルト系合金粉末を使用する。ニッケル系合金粉末として好ましいものの構成元素比率は、ニッケル69.75重量%、クロム16.5重量%、ホウ素3.3重量%、珪素4.0重量%、炭素0.65重量%、鉄3.5重量%、モリブデン3.0重量%及び銅2.3重量%からなるものである。他の好ましいニッケル系合金粉末は、ニッケル58.2重量%、クロム18.0重量%、ホウ素3.3重量%、珪素3.7重量%、炭素0.8重量%、鉄1.5重量%、モリブデン2.5重量%及びタングステン12.0重量%からなるものである。更に他の好ましいニッケル系合金粉末は、ニッケル50.05重量%、クロム19.0重量%、ホウ素3.0重量%、珪素3.1重量%、炭素0.85重量%、鉄1.5重量%、モリブデン2.5重量%及びタングステン20.0重量%からなるものである。一方、コバルト系合金粉末として好ましいものは、その構成元素比率が、コバルト45.7重量%、クロム19.0重量%、タングステン15.0重量%、銅1.3重量%、ニッケル13.0重量%、ホウ素3.0重量%及び珪素3.0重量%からなるものである。
前記HIP層7は、上記のようなニッケル系合金粉末又はコバルト系合金粉末のHIP処理によって組織が超緻密化され、これによって良好な耐摩耗性及び耐食性が確保され、曲げ強度などの機械的性質が大幅に改善されて表面硬度が増大(硬度HRC55〜68)すると共に、表面粗さ(面粗度)が著しく改善された硬質層である。従って、このHIP層7に貫通形成されるノズル4は、その内面(ノズル孔の内面)が滑らかになると共に、ノズル出口部である吐出口4aのエッジが1μm単位の高精度のシャープエッジとなり、そしてノズル4の吐出口4aが開口するダイ本体2の先端面2aが非常に滑らかとなる。尚、HIP処理される合金粉末がニッケル系合金粉末又はコバルト系合金からなることで、耐食性が一層良好となる。
また、ダイ本体2の母材としては、HIP層7の合金粉末に使用されるニッケル系合金粉末又はコバルト系合金粉末と熱膨張率の近いSUS329J1〜4(オーステナイト/フェライトの2相系ステンレス)が好ましい。このようにダイ本体2の母材がオーステナイト/フェライトの2相系ステンレスからなる場合は、HIP処理によってダイ本体2の母材に拡散接合する合金粉末の熱膨張率近いため、熱膨張差に起因する曲がり変形が少なくなる。しかし、ダイの形状によっては、熱膨張率を考慮してカプセルの製作を行なうようにすれば、ダイ本体2の母材として機械構造用合金SCM435、440を使用することも可能である。
ダイ本体2のマニホールド3内壁面及びダイ本体2の外表面に被覆形成される硬質材料によるコーティング層8としては、PVDコーティング層からなるものか、あるいは硬質クロムメッキ層又は無電解ニッケルメッキ層からなるものが好ましいとされる。
PVDコーティングは、電気エネルギーを利用し、300〜800℃という比較的低温下でコーティング物をイオン化して反応させ蒸着させる物理的気相蒸着法で、具体的に、処理炉内の温度を真空状態で例えば500℃加熱し、アーク放電により、硬質材料である炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン又はダイヤモンドライクカーボン(コーティング物)をイオン化し、処理炉内に入れた前記ダイ1Aにバイアス電圧をかけることによって反応ガスとともにイオン化したコーティング物をダイ1Aの表面に蒸着する。この場合、PVDコーティング処理温度は、ダイ本体2にHIP層7を形成するHIP処理温度(例えば1300℃)より低いため、HIP層7が溶けるなどの不都合がない。そして、このPVDコーティングによってコーティング層8を形成した場合は、ダイ本体2の母材との密着強度が高く、良好な耐摩耗性、耐酸化性を有するため、使用寿命が長くなる。
このPVDコーティングでは、HIP層7を形成したダイ本体2にマニホールド3を形成し、HIP層7にはノズル4を形成していない状態で、ダイ1A全面にコーティング処理を施した場合は、PVDコーティング処理の後にHIP層7にノズル4を形成し、ダイ本体2の先端面2aであるHIP層7の表面、及び各ノズル4の内面を鏡面研削加工すればよい。また、ダイ本体2にマニホールド3を形成し、HIP層7にノズル4を形成した状態で、ダイ1A全面にコーティング処理を施す場合には、PVDコーティング処理の後に、ダイ本体2の先端面2aであるHIP層7の表面を鏡面研削加工すると共に、ノズル4の内面(ノズル孔の内面)も鏡面研削加工して、PVDコーティング層8を除去する。何れにしても、マニホールド3の内壁面にPVDコーティングのコーティング層8を被覆形成することが重要であり、コーティング層8の蒸着被膜厚は10μm前後とされる。
コーティング層8を形成するのに、上記のようなPVDコーティング処理の代わりに、硬質クロムメッキ処理又は無電解ニッケルメッキ処理を行なってもよい。この硬質クロムメッキ処理又は無電解ニッケルメッキ処理によって形成されたコーティング層8のメッキ被膜厚も10μm前後とする。この硬質クロムメッキ処理又は無電解ニッケルメッキ処理は、PVDコーティング処理に比べて設備が簡単であるから、処理コストを軽減できる。硬質クロムメッキの場合は、摩擦係数が小さく非常に滑りが良好で、他の物質が付着し難く、防錆力をもったメッキであるため、溶融樹脂との摩擦を低減し、摩擦性の強い溶融樹脂を使用した場合でも、接液部に傷、摩耗を発生することがなく、永続的に使用できる。また、無電解ニッケルメッキ層の場合は、母材との密着性が良く、硬質クロムメッキ層と同等の優れた耐摩耗性を有する。
この実施形態のように、ダイ本体2におけるノズル形成部分をHIP層7で形成することなく、ダイ本体2の全部をHIP層7で形成するとよいが、そうするとダイ1Aの製造コストが非常に高騰することから、上記のようにダイ本体2のマニホールド3の内壁面に硬質材料によるコーティング層8を被覆形成することによって、ダイ1Aの製造コストを低減できると共に、ダイ本体2のマニホールド3内におけるペレット形成用溶融樹脂との摩擦を軽減することができる。
以上説明したように、図1に示されるダイ1Aによれば、各ノズル4は、ノズル4全体が、耐食性及び耐摩耗性の良好な合金粉末をHIP処理によってダイ本体2の母材に直接拡散接合させて形成したHIP層7を貫通するように形成されており、HIP層7は、組織が超緻密化されて、良好な耐摩耗性及び耐食性が確保される共に、表面硬度が増大し、面粗度が著しく改善された硬質層であるから、このHIP層7に貫通形成されるノズル4は、その内面(ノズル孔内面)が滑らかになると共に、ノズル出口部である吐出口4aのエッジが1μm単位の高精度のシャープエッジとなり、そのうえノズル4の吐出口4aが開口するダイ本体2の先端面2aが非常に滑らかとなっている。
従って、上述した図1に示すようなダイ1Aを、例えば図3の(a) に示すようなペレット製造装置の一部であるストランド押出機20の先端部に取り付けて、所定の溶融樹脂をペレット形成用ストランドとしてダイ1から押し出す時に、マニホールド3内の溶融樹脂は、各ノズル4を通過し、その吐出口4aから連続して吐出しながら紐状のストランドを形成する。この時、図3の(b) に示すような従来のダイ11であれば、ダイ本体12の先端面12aに開口するノズル吐出口14aの出口近傍に目ヤニ状の樹脂塊Mが付着し易かったが、この発明に係るダイ1Aの場合には、ノズル4の内面が非常に滑らかで、ノズル吐出口4aのエッジが高精度のシャープエッジとなっていると共に、ノズル吐出口4aが開口するダイ本体2の先端面2aであるHIP層7の表面が非常に滑らかであるために、ノズル吐出口4aの出口近傍に目ヤニ状の樹脂塊が付着することは非常に少なく、そのような目ヤニ状樹脂塊の掻き落としを行なう事が少ないから、ペレット製造作業を効率よく行なえると共に、ペレット商品の価値を低下することがなく、しかも樹脂材料のロスも最小限に抑えることができる。この場合、ダイ本体2の先端面2a(HIP層7の表面)及びノズル4の内面は、その面粗度(表面粗さ)がRy0.2μm(Ra0.02μm)以下となるように鏡面研削加工されている。
図2は、ノズル4の少なくとも吐出口4a側端部が、耐食性及び耐摩耗性の良好な合金粉末をHIP処理によってダイ本体2の母材に直接拡散接合させたHIP層7を貫通するように形成されたダイ1Bの実施形態を示している。このダイ1Bの場合、各ノズル4の内壁面は、図示のように吐出口4a側端部だけがHIP層7に形成され、他の内壁部分はダイ本体2の母材に形成されているから、その内壁部分には、図1に示すダイ1Aの場合と同様に硬質材料によるコーティング層8が被覆されている。HIP層7及び硬質材料によるコーティング層8については、前述したダイ1Aの場合と全く同様である。尚、この図2に示すダイ1Bの場合には、ノズル4の内壁面におけるHIP層7側の内壁面部とコーティングされた内壁面部との間に段差がなく、確実に面一となるように仕上げ加工すると共に、そのノズル4の内面全体を鏡面研削加工する。しかして、このダイ1Bも、上述したダイ1Aの場合と同様、ノズル吐出口4aの出口近傍に目ヤニ状の樹脂塊が付着することは非常に少なかった。
次の表−1は、図2に示す本発明に係るダイ1Bを使用したペレット製造装置と、図2に示すダイ1Bと同じ様な構造ではあるが、HIP層を有しておらず、図3の(b) に示すようにダイ本体の母材に直接ノズルが形成されたダイを使用した従来タイプのペレット製造装置との性能を比較したもので、2011年の7月から11月までの5カ月間における各月毎の樹脂総押出量(Kg)と、目ヤニ状樹脂塊の発生に起因する材料(樹脂)のロス量(Kg)と、樹脂総押出量に対するロス量の割合である目ヤニ不良率(%)を示している。樹脂はポリカーボネートである。
Figure 0005745437
上記の表−1から分かるように、従来のダイを使用をした場合には、目ヤニ状樹脂塊の発生が可なり多く、従って目ヤニ起因ロス量が多くなって、樹脂総押出量(Kg)に対する目ヤニ起因ロス量(Kg)の割合である目ヤニ不良率は、1.499%である。これに対して、本発明に係るダイを使用した場合には、目ヤニ状樹脂塊が全く発生しないことはないが、その発生は非常に少なく、従って目ヤニ起因ロス量も少なく、目ヤニ不良率は0.091%と、従来のダイを使用をした場合に比べて著しく小さい。
A,1B ダイ
2 ダイ本体
2a ダイ本体の先端面
3 マニホールド
4 ノズル
4a ノズルの吐出口
5 凹部
6 ストランド
7 HIP層
8 コーティング層
M 目ヤニ状樹脂塊

Claims (3)

  1. ダイ本体に、マニホールドと、これに連通してダイ本体先端面に吐出口が開口する複数のノズルとを設け、マニホールド内の溶融樹脂をペレット形成用のストランドとしてノズルの吐出口から押し出すようにしたペレット製造用のダイにおいて、
    前記ダイ本体の母材がオーステナイト/フェライトの2相系ステンレスからなり、該母材にダイ本体先端面に臨む凹部が形成され、この凹部内に充填したニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末のHIP処理によって前記母材に直接拡散接合させて形成したHIP層を備え、該HIP層の表面が平坦なダイ本体先端面を構成し、
    該HIP層に前記複数のノズルがダイ本体先端面に対する直交方向に貫通するように穿設されることにより、各ノズルの全体又は少なくとも吐出口側端部の周囲がHIP層にて形成されると共に、その吐出口周縁がシャープエッジをなし、
    各ノズルの内面と、平坦なダイ本体先端面を構成する前記HIP層の表面とが鏡面研削加工によって表面粗度Ry:0.2μm以下に仕上げられてなることを特徴とするペレット製造用のダイ。
  2. 前記ダイ本体のマニホールドの内壁面及びHIP層に形成されていないノズル部分の内壁面には、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン又はダイヤモンドライクカーボンのPVDコーティングによるコーティング層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペレット製造用のダイ。
  3. 前記ダイ本体のマニホールドの内壁面及びHIP層に形成されていないノズル部分の内壁面には、硬質クロムメッキ又は無電解ニッケルメッキによるコーティング層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペレット製造用のダイ。
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