JP5742610B2 - 電池及び電池の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、このようなゴム栓部材及び金属蓋部材を有する封止部材で貫通孔を封止した形態の電池として、例えば特許文献1に開示された電池が挙げられる。
しかしながら、このようにした電池は、製造直後にはゴム栓部材がまだ劣化しておらず、ゴム栓部材と貫通孔との間が気密に封止されている。つまり、この電池は、ゴム栓部材と貫通孔との密着、及び、金属蓋部材と電池ケースとの接合により、二重に封止されている。このため、金属蓋部材と電池ケースとの接合の不具合で封止不良が生じていたとしても、この封止不良が生じた電池を検査により判別するのが困難であった。
更に、この電池では、気体供給体が、封止空間を臨む部位である第1臨空間部、第2臨空間部及び第3臨空間部の少なくともいずれかの上に配置されている。このため、気体供給体から発生した検知可能気体を、確実に封止空間内に供給できる。
また、「空間内気体」は、その全てが検知可能気体のみからなるものとしても、或いは、その一部にのみ検知可能気体を含むものとしてもよい。空間内気体の一部にのみ検知可能気体を含む場合、検知可能気体以外の気体成分としては、例えば、大気や窒素ガスなどを用いることができる。
また、「気体供給体」としては、例えば、ガス化して検知可能気体となる物質(液体または固体)を含む塗膜、接着層、ゲルが挙げられる。また、検知可能気体自身を、或いはガス化して検知可能気体となる物質(液体または固体)を内包したマイクロカプセル、ガス化して検知可能気体となる物質(液体)を含浸させたスポンジなども挙げられる。
このため、内側封止部材で貫通孔が気密に封止されているにも拘わらず、外側封止部材と電池ケース(その孔周囲部)との間の気密性を容易かつ確実に検査できる。即ち、気体供給体から封止空間に供給された検知可能気体が、封止空間から電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、外側封止部材と電池ケース(その孔周囲部)との間の気密性を容易かつ確実に検査できる。
更に、この電池では、内側封止部材のゴム栓部のうち、少なくとも、封止空間に臨む部位である臨空間部自身が、気体供給体を兼ねる。このため、気体供給体を別途設ける必要がなく、しかも、ゴム栓部の臨空間部から発生した検知可能気体を、確実に封止空間に供給できる。なお、このような気体供給体としては、例えば、ゴム栓部の少なくとも臨空間部に、ガス化して検知可能気体となる物質やこれを内包したマイクロカプセルを含めたものが挙げられる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態1に係るリチウムイオン二次電池(電池)100(以下、単に電池100とも言う)を示す。また、図2及び図3に、この電池100を構成する捲回型の電極体120及びこれを展開した状態を示す。また、図4に、ケース蓋部材113、正極端子150及び負極端子160等の詳細を示す。また、図5及び図6に、注液孔(貫通孔)170及び封止部材180の近傍の形態を示す。なお、図1,図4及び図5における上方を電池100の上側、下方を電池100の下側として説明する。
また、セパレータ141は、樹脂からなる多孔質膜であり、帯状をなす。
凹部175は、ケース蓋部材113の内表面113c側(図5、下方)に凹む平面視円形状の凹部である。この凹部175は、円筒状をなす凹部側面175f1と、内表面113cに平行に延びる平面をなす凹部底面175f2とにより構成されている。
このうち外側封止部材181は、電池ケース110の材質と同じ材質、具体的には、アルミニウムからなる。この外側封止部材181は、封止部材180の軸線CX方向の内側CC(ケース蓋部材113側、図5及び図7中、下方)に位置する主面である内表面181cと、これに平行で軸線CX方向の外側CD(ケース蓋部材113とは反対側、図5及び図7中、上方)に位置する主面である外表面181dとを有し、凹部175の内径と同じ外径を有する円板状をなす。
このうち挿入部184は、径小な頂面184cと径大な底面184dとこれらの間を結ぶ側面184fとを有する円錐台状をなす。このうち頂面184cは、注液孔170の内径よりも径小となっている。一方、底面184dは、頂面184cよりも径大で、かつ、注液孔170の内径よりも径大となっている。
また別途、外側封止部材181と内側封止部材183とからなる封止部材180(図7参照)を形成しておく。具体的には、金属板からなる外側封止部材181を射出成形用の金型にセットし、射出成形により挿入部184及び環状圧接部185からなる内側封止部材183を外側封止部材181と一体に成形する。
ところで、注液孔170が封止されていない場合には、電池ケース110内に収容された電解液117が、電池外部に漏れ出たり、電池ケース110の孔周囲部113mに付着するおそれがある。しかし、本実施形態1では、前述の第1封止工程において内側封止部材183(その挿入部184)で注液孔170を気密に封止している。従って、電解液117が電池外部に漏れ出るのを確実に防止できる。また、次述する第2封止工程も、電池ケース110内を減圧状態に保ったまま、大気圧下で行うことができる。
この気密検査工程は、電池100を真空チャンバ内に置いて、真空チャンバ内を減圧する。そして、封止部材180の近傍に、検知可能気体であるジエチレングリコールモノブチルエーテルガスを大気中の気体成分と区別して検知可能な炭化水素ガス検知器(例えば、HORIBA製:APHA−370)を設置して、所定時間、ジエチレングリコールモノブチルエーテルガスを検知することにより行う。
次いで、第2の実施の形態について説明する。本実施形態2に係るリチウムイオン二次電池(電池)200では、封止部材280及び気体供給体290が(図9及び図10参照)、実施形態1に係る電池100の封止部材180及び気体供給体190,191,192と異なる。また、これに伴って、電池200の製造方法も、実施形態1に係る電池100の製造方法と異なる。それ以外は、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
なお、乾燥後の接着層290に十分な量のジエチレングリコールモノブチルエーテルが残るように、接着層290の厚み及び乾燥条件等を調整しておく。また、本実施形態2では、この接着層290を形成する工程が、前述の供給体形成工程にも相当する。
次いで、第3の実施の形態について説明する。本実施形態3に係るリチウムイオン二次電池(電池)300では、封止部材380、気体供給体384及び空間内気体GS3(図11参照)、実施形態1,2に係る電池100,200の封止部材180,280、気体供給体190,191,192,290及び空間内気体GS1と異なる。また、これに伴って、電池300の製造方法も、実施形態1,2に係る電池100,200の製造方法と異なる。それ以外は、実施形態1または2と同様であるので、実施形態1または2と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
次いで、第4の実施の形態について説明する。本実施形態4に係るハイブリッド自動車(車両)700(以下、単に自動車700とも言う)は、実施形態1に係る電池100を搭載し、この電池100に蓄えた電気エネルギを、駆動源の駆動エネルギの全部または一部として使用するものである(図12参照)。
前述したように、電池100は、長期間にわたり封止部材180の外側封止部材181で注液孔170を気密に封止できるので、この自動車700の耐久性を高くできる。なお、実施形態1に係る電池100に代えて、実施形態2または3に係る電池200,300を搭載してもよい。
次いで、第5の実施の形態について説明する。本実施形態5のハンマードリル800は、実施形態1に係る電池100を搭載した電池使用機器である(図13参照)。このハンマードリル800は、本体820の底部821に、電池100を含むバッテリパック810が収容されており、このバッテリパック810を、ドリルを駆動するためのエネルギー源として利用している。
前述したように、電池100は、長期間にわたり封止部材180の外側封止部材181で注液孔170を気密に封止できるので、このハンマードリル800の耐久性を高くできる。なお、実施形態1に係る電池100に代えて、実施形態2または3に係る電池200,300を搭載してもよい。
また、実施形態1〜3では、電池ケース110に設けた凹部175に、外側封止部材181を嵌合させた状態で、外側封止部材181を電池ケース110に固着しているが、この形態に限られない。例えば、外側封止部材の径を外側封止部材181よりも更に大きくして、外側封止部材の周縁部を、凹部175の周囲に電池ケース110の外部から当接させ、この状態で外側封止部材を電池ケース110に固着してもよい。
また、「気体供給体」として、実施形態1では、検知可能気体を供給する塗膜190,191,192を例示し、実施形態2では、検知可能気体を供給する接着層290を例示し、実施形態3では、検知可能気体を供給する内側封止部材(ゴム栓部)383の第2臨空間部(臨空間部)385jを例示したが、気体供給体はこれらに限られない。気体供給体としては、例えば、ガス化して検知可能気体となる物質やこれを内包したマイクロカプセルを含むゲルや、検知可能気体自身を、或いはガス化して検知可能気体となる物質(液体または固体)を内包したマイクロカプセル、ガス化して検知可能気体となる物質(液体)を含浸させたスポンジなどが挙げられる。
110 電池ケース
111 ケース本体部材
113 ケース蓋部材
113c 内表面
113d 外表面
113m 孔周囲部
117 電解液
120 電極体
150 正極端子
160 負極端子
170 注液孔(貫通孔)
175 凹部
175j 第1臨空間部
180,280,380 封止部材
181 外側封止部材
181j 第3臨空間部
181m 周縁部
181y 溶接部
183,383 内側封止部材(ゴム栓部)
184,384 挿入部
185,385 環状圧接部
185j 第2臨空間部
385j 第2臨空間部(気体供給体)
190,191,192 塗膜(気体供給体)
290 接着層(気体供給体)
700 ハイブリッド自動車(車両)
710 組電池
800 ハンマードリル(電池使用機器)
810 バッテリパック
GS1,GS3 空間内気体
KC 封止空間
Claims (5)
- 自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された電極体と、
ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなるゴム栓部を有する内側封止部材と、
前記内側封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、を備え、
前記電池ケースと前記内側封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、
前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、
前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、
前記封止空間へ前記検知可能気体を供給する気体供給体を有し、
前記電池ケースのうち、前記封止空間を臨む部位を、第1臨空間部とし、
前記内側封止部材のうち、前記封止空間を臨む部位を、第2臨空間部とし、
前記外側封止部材のうち、前記封止空間を臨む部位を、第3臨空間部としたとき、
前記気体供給体は、
前記第1臨空間部、前記第2臨空間部、及び、前記第3臨空間部の少なくともいずれかの上に配置されてなる
電池。 - 自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された電極体と、
ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなるゴム栓部を有する内側封止部材と、
前記内側封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、を備え、
前記電池ケースと前記内側封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、
前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、
前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、
前記封止空間へ前記検知可能気体を供給する気体供給体を有し、
前記内側封止部材の前記ゴム栓部のうち、少なくとも、前記封止空間に臨む部位である臨空間部自身が、前記気体供給体を兼ねる
電池。 - 自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された電極体と、
ゴム状弾性体からなり、前記貫通孔を前記電池ケースの外部から気密に封止してなるゴム栓部を有する内側封止部材と、
前記内側封止部材を前記外部から覆いつつ、前記電池ケースのうち前記貫通孔を囲む環状の孔周囲部に気密かつ環状に固着してなる外側封止部材と、を備え、
前記電池ケースと前記内側封止部材と前記外側封止部材との間に形成された気密に封止された空間を、封止空間としたとき、
前記封止空間内に存在する気体である空間内気体は、
前記封止空間から電池外部に漏出したときに、大気中の気体成分と区別して検知可能な検知可能気体を含み、
前記封止空間へ前記検知可能気体を供給する気体供給体を有する
電池の製造方法であって、
前記電池ケースの前記貫通孔を、前記外部から前記内側封止部材の前記ゴム栓部で塞いで、前記貫通孔を気密に封止する第1封止工程と、
前記第1封止工程の後、前記内側封止部材を前記外部から覆いつつ、前記外側封止部材を前記電池ケースの前記孔周囲部に気密かつ環状に固着し、前記封止空間を形成する第2封止工程と、
少なくとも前記第2封止工程よりも前に、前記電池ケースのうち、前記封止空間を臨む部位である第1臨空間部、前記内側封止部材のうち、前記封止空間を臨む部位である第2臨空間部、及び、前記外側封止部材のうち、前記封止空間を臨む部位である第3臨空間部の少なくともいずれかの上に、前記気体供給体を配置する供給体配置工程、または、
前記第1封止工程よりも前に、前記内側封止部材の前記ゴム栓部のうち、少なくとも、前記封止空間に臨む部位である臨空間部自身を前記気体供給体とする供給体形成工程と、を備える
電池の製造方法。 - 請求項3に記載の電池の製造方法であって、
前記第2封止工程の後、前記検知可能気体が前記封止空間から電池外部に漏れ出るか否かを検査することにより、前記外側封止部材と前記電池ケースの前記孔周囲部との間の気密性を検査する気密検査工程を更に備える
電池の製造方法。 - 請求項3または請求項4に記載の電池の製造方法であって、
前記第1封止工程は、減圧下で行い、
前記第2封止工程は、大気圧下で行う
電池の製造方法。
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