JP5742214B2 - 連続焼入れ炉を用いた環状体の焼入れ方法 - Google Patents
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Description
図1は、転がり軸受の内輪や外輪に対する一般的な連続熱処理設備を示す。この設備は、連続加熱炉1と、その内部に配置された耐熱リンクベルト3と、このベルト3の上流側にワーク5を導入するためのフィーダー2と、ベルト3の下流に達したワーク(加熱後のワーク)6を、焼入れ油8を入れた容器7に落とすシューター4を備えている。
焼入れ油8を入れた容器7に自然落下させた時のワーク6の姿勢や落下のタイミングによって、ワーク6の冷却状態が変わり、図2(a)に示すように、比較的素直に落下する場合と、図2(b)に示すように、後ろのワーク6と干渉して落下が遅れる場合とでは、後者の方が冷却ムラが発生し易いため、焼入れ変形が大きくなる。
図1に示す連続熱処理設備で、呼び番号が6009である深溝玉軸受の外輪を熱処理し、各工程を行うことによって生じる外輪の変形量を調べる試験を行った。
この外輪は、外径が75mmで、有効肉厚が3.734mmで、幅が16mmの環状体である。また、この外輪の材質は高炭素クロム軸受鋼2種(SUJ2)である。
連続加熱炉1としては、リンクベルト3で搬送する方式のものを用い、フィーダー2としては振動を加えてワーク5をリンクベルト3に向かわせる振動フィーダーを用いた。焼入れ剤としては、出光興産(株)製の「ダフニーブライドクエンチ油」を用い、洗浄槽に入れる洗浄液としては、カンエイ産業(株)製「クリンスーパー285N」を用いた。
その結果を下記の表1と図4に示す。
次に、焼入れ時の加熱工程のみでのワークの変形量を調べるために、リンクベルト3の最も下流の位置に達したワークを、リンクベルト3の回転の向きを交互に変えることで、その位置にとどめた状態で炉内で徐冷し、焼入れしない状態で取り出して変形率を調べた。また、徐冷後に、洗浄および焼き戻し工程を行った後のワークの変形率も調べた。その結果を、下記の表2と図5に併せて示す。
次に、加熱焼入れによって発生する変形の一部として、前工程として行った旋削などの機械加工で付与された残留応力が解放されることで発生する変形があるため、この残留応力の解放による変形のみを調べた。すなわち、バッチ式の熱処理炉を用いてワークを加熱した後、球状焼鈍の熱処理パターンで時間をかけてゆっくり冷却した場合の変形量を測定した。その結果を表3と図6に示す。
以上のことから、図1に示す連続熱処理設備で処理されたワークは、加熱炉1での加熱工程で大きく楕円変形しているが、その主な原因は残留応力の解放ではないことが分かる。
このように、従来の連続焼入れ方法ではワークの楕円変形を抑えることは困難であり、従来のバッチ式焼入れにおいてもワークの反り変形を抑えることは困難である。
特許文献1には、焼入れ変形を小さくするために、処理材を投入する際の焼入れ油の面圧を減圧し、処理材の表面が蒸気膜段階または沸騰段階にある状態で不活性ガスあるいは空気を導入して焼入れ油面圧を大きくすることで、冷却ムラに起因して発生する歪みを小さくする方法が記載されている。しかし、この方法は連続焼入れ炉ではなく、バッチ式の焼入れ炉に適用される方法である。
しかし、特許文献3の方法では、環状体の軸方向での変形(反り変形)を抑制することができない。また、この方法は、加熱炉の搬送ベルト上において、全ての環状体同士を接触しない状態に保持しながら移動させるため、加熱炉で処理できるワーク数が少ないことから、生産性の点で改善の余地がある。
図10は、この実施形態の方法を示す平面図(a)と側面図(b)である。この方法で使用する設備は、ワーク(環状体)5a,5bをベルト3で搬送しながら連続的に加熱する連続加熱炉1と、ベルト3上にワーク5a,5bを、径方向が水平方向に沿って置かれるように導くフィーダー2と、焼入れ油(焼入れ剤)8を入れた容器7と、加熱後のワーク6a,6bを搬送ベルト3から容器7内に配置された搬送メッシュベルト9上に落下させるシューター4と、からなる。
この実施形態では、ワークを鉛直方向に2個積み上げられた状態にしているが、鉛直方向にワークを積み上げる個数は3個以上であってもよく、最上段のワークは製品として使用しないダミーを用いてもよい。
この結果から従来例(表5と図12(a)および図13(a))よりも実施例(表6と図12(b)および図13(b))の方が、加熱放冷後も焼戻し後も変形率が少なくなることが分かる。ただし、従来例と実施例とで加熱放冷後と焼戻し後での変形率の増加量が同じになっている。このことから、実施例の方法により、焼入れの冷却工程での変態応力を制御する効果があると推測される。
また、実施例の方法では、図14に示すように、ワーク6をベルト3から焼入れ油8を入れた容器7に自然落下させる際に一定のタイミングで安定して落下するが、従来法では図2(a)および図2(b)に示すように、ワーク6の落下のタイミングがばらついたり、落下姿勢や落下時の回転量が異なるため安定しない。
特許文献3の方法としては、図10において上側のワーク5aを載せずに下側のワーク5bのみを同じ配置となるようにした以外は実施形態と同じ方法(すなわち、図9に示す方法)を実施した。
図15(a)は肉厚率と楕円変形不良率との関係を示すグラフであり、図15(b)は「D/B」と反り変形不良率との関係を示すグラフである。これらのグラフにおいて、「●」は実施例の方法による結果を、「○」は従来例の方法による結果を示す。また、図15(b)において、「△」は特許文献3(比較例)の方法による結果を示す。
また、同じ肉厚率の従来例の2種類の楕円変形不良率と本発明例の2種類の楕円変形不良率のうち、従来例の楕円変形不良率の最小値から本発明例の楕円変形不良率の最大値を引いた値を、楕円変形不良率の差として算出した。この結果を下記の表7に併せて示すとともに、肉厚率と「楕円変形不良率の差」との関係を図16(a)にグラフで示す。
これらの結果も下記の表7に併せて示すとともに、「D/B」と「反り変形不良率の差」との関係を図16(b)にグラフで示す。図16(b)において、「○」は従来例との差を示し、「△」は比較例(特許文献3の方法で得られたもの)との差を示す。
2 フィーダー
3 耐熱リンクベルト
4 シューター
5 ワーク
5a 上側のワーク
5b 下側のワーク
6 加熱後のワーク
6a 加熱後の上側のワーク
6b 加熱後の下側のワーク
7 容器
8 焼入れ油
9 搬送メッシュベルト
10 焼入れ後のワーク
11 洗浄槽
12 焼戻し炉
14 洗浄後のワーク
15 焼戻し完了後のワーク
16 搬送ベルト
17 搬送ベルト
Claims (2)
- 環状体からなるワークをベルトで搬送しながら連続的に加熱する加熱炉と、この加熱炉の搬送ベルト上に環状体を、径方向が水平方向に沿って置かれるように導くフィーダーと、焼入れ剤を入れた容器と、加熱後のワークを搬送ベルトから前記容器内に配置された搬送メッシュベルト上に落下させるシューターと、を備え、搬送メッシュベルトはワークを焼入れ剤に浸漬しながら容器外まで導くものである連続焼入れ炉を用いた環状体の焼入れ方法において、
環状体の厚さをtとし、外径をDとし、軸方向寸法をBとしたとき、「D/t」で表される肉厚率が11.2以上27.2以下であり、「D/B」が3.5以上8.2以下である環状体を対象とし、
前記フィーダー上および前記加熱炉の搬送ベルト上で、全ての環状体を、互いに外周面が接触せず、鉛直方向に2個以上が積み上げられた状態に保持しながら移動させ、前記搬送メッシュベルト上で、全ての環状体を互いに接触しない状態に保持しながら移動させることを特徴とする連続焼入れ炉を用いた環状体の焼入れ方法。 - 環状体からなるワークをベルトで搬送しながら連続的に加熱する加熱炉と、この加熱炉の搬送ベルト上に環状体を、径方向が水平方向に沿って置かれるように導くフィーダーと、焼入れ剤を入れた容器と、加熱後のワークを搬送ベルトから前記容器内に配置された搬送メッシュベルト上に落下させるシューターと、を備え、搬送メッシュベルトはワークを焼入れ剤に浸漬しながら容器外まで導くものである連続焼入れ炉を用いた環状体の焼入れ方法において、
環状体の厚さをtとし、外径をDとし、軸方向寸法をBとしたとき、「D/t」で表される肉厚率が11.2以上27.2以下であり、「D/B」が3.5以上8.2以下である環状体を対象とし、
前記フィーダー上および前記加熱炉の搬送ベルト上で、全ての環状体を、互いに外周面が接触せず、鉛直方向に2個積み上げられた状態に保持しながら移動させ、前記搬送メッシュベルト上で、全ての環状体を互いに接触しない状態に保持しながら移動させることを特徴とする連続焼入れ炉を用いた環状体の焼入れ方法。
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