JP5741161B2 - マイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シートの製造方法 - Google Patents
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Description
(a)先ず、透明基材1上に、表面に延在方向が互いに平行な溝状凹部が形成された透明樹脂層2を形成する、
(b)次に、上記溝状凹部の形成面上に、溝状凹部の内部及び外部も含めて全面に、暗色インクを塗工する、
(c)次に、暗色インクが塗工された塗工面をドクターブレード等で掻き取り溝状凹部の外の暗色インクを除去し、溝状凹部の内部のみに暗色インクを充填して暗色線条部3を形成する、
という方法である。
これは、図4(b)の断面図で示す様に、溝状凹部に充填形成された暗色線条部3は、その製法(ワイピング法)に起因して、一般に、暗色線条部3の表面露出面eには、1〜5μm程度の凹陥部rが不可避的に発生することによる。液状の暗色インクが硬化反応などで固化するときに硬化収縮などによる体積減少が生じるからである。このため、図5の断面図で示す粘着剤層付きの従来の光学シート20の様に、例えば反射防止シートなどを機能層6として、間に粘着剤層5を介してマイクロルーバー層4の面に貼り合せる際に、この凹陥部r内に空気が残留して残留気泡Gが生じ易くなる。残留気泡Gが発生すると、そこで画像光が散乱されるために画面が白化し、画質が低下するという問題があった。
(A)延在方向を互いに平行に面方向に多数配列された直線状の暗色線条部と該暗色線条部を少なくとも側面から支持する透明樹脂層とからなるマイクロルーバー層が、透明基材上に形成され、且つ暗色線条部がその露出面に凹陥部を有する光学シートを準備する光学シート準備工程、
(B)上記光学シートのマイクロルーバー層の暗色線条部が凹陥部を有する側の面に、粘着剤を塗工し粘着剤層を形成するときに、予め基材上に粘着剤層を形成した粘着フィルムから粘着剤層を転写する方法を用いて、該暗色線条部の延在方向と塗工方向との成す角度の小さい方の角度が、0°以上20°以下の範囲となるように塗工する粘着剤塗工工程、
(C)粘着剤層を介して機能層を積層する機能層積層工程、
の各工程をこの順に行う、マイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シートの製造方法。
本明細書において、以下の用語の意味は次のとおりである。
「主切断面形状」とは、光学シート10,100における入光面または出光面の平面に立てた法線N(図1に於いてはZ軸方向と一致)を含む断面である「縦断面」のうち、暗色線条部3が延びる延在方向(図1に於いてはY軸方向)に直交する断面(図1に於いてはZX平面)として定義される「主切断面」に於ける断面形状のことを意味する。
「面方向」とは、光学シート10,100の入光面または出光面の平面に平行な特定の方向であり、光学シート10,100の表裏面に平行な方向でもある。図1に於いては、XY平面と平行な面内に於ける特定方向(図1ではY軸方向)である。
本発明による、マイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シートの製造方法は、少なくとも、(A)光学シート準備工程、(B)粘着剤塗工工程、(C)機能層積層工程をこの順に実施する製造方法である。
(A)光学シート準備工程では、図1(a)、図1(b)及び図4で示す様に、延在方向を互いに平行に光学シート10の面方向に多数配列された直線状の暗色線条部3と該暗色線条部3を少なくとも側面から支持する透明樹脂層2とからなるマイクロルーバー構造のマイクロルーバー層4が、透明基材1上に形成され、且つ暗色線条部3がその露出面eに凹陥部rを有する光学シート10を準備する。
この様な暗色線条部3の露出面eに凹陥部rを有する光学シート10としては、従来公知のものを適宜使用することができる。ここでは、この様な光学シート10を構成する各層について、透明基材1、透明樹脂層2、暗色線条部3の順に以下説明する。
透明基材1としては、ガラス、樹脂等からなる透明な基材を使用できる。透明基材1の樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、或いはアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。これら樹脂は、フィルム、シート、板の形態で使用される。なお、「フィルム」、「シート」、「板」は通常厚みにより大まかに区別されるが、本発明では単に呼称上の違いのみであり、その意味の区別は特にない。なお、透明基材1の厚みは、樹脂シートの場合、例えば20〜500μmである。
これらのなかでも、樹脂シート乃至は樹脂フィルムとして使用される樹脂製の透明基材1は、可撓性を持たせることができるため、ロール・ツー・ロール方式での製造適性の点で好ましい。なお、ロール・ツー・ロール方式とは、透明基材1を、ロール(巻取り)から連続帯状シートとして巻き出して、所定の加工を施した後、ロールに巻き取る生産方式のことを意味する。
透明樹脂層2は、暗色線条部3と共にマイクロルーバー層4を構成する。透明樹脂層2は、光学シート10に入射した画像光を透過させて観察者側に出射する光透過部となる。
透明樹脂層2は、透明な樹脂材料から構成され、該樹脂材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂でも良いが、固化が迅速などの点で、好ましくは、硬化性樹脂、それも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いるのが望ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂が挙げられる。
透明樹脂層2の厚みは、例えば100〜300μm程度である。透明樹脂層2の厚みは、暗色線条部3の厚み以上となる。
暗色線条部3は、透明樹脂層2と共にマイクロルーバー層4を構成する。暗色線条部3は、外光を吸収してコントラストを向上させたり、画像光の進行方向を規制して視野角を規制したりする光吸収部となる。
暗色線条部3は、少なくとも面方向に於ける両側側面を透明樹脂層2によって支持されることで空間的位置を維持されている。さらに、通常は図1(a)、図1(b)及び図4の様に、暗色線条部3は面方向に垂直な法線Nの方向において、透明基材1側も透明樹脂層2によって支持されている。したがって、暗色線条部3の露出面eは、前記法線Nの方向において透明基材1から遠い方に存在し、この露出面eが平坦面ではなく窪んだ面となっており、凹陥部rを形成する。凹陥部rの深さは1〜5μm程度である。
暗色線条部3の寸法は、例えば、その配列方向での寸法である幅が5〜50μm、高さが50〜300μm、側面の法線Nに対する傾斜角が0〜30°程度である。暗色線条部3の配列周期は50〜200μm程度である。
上記樹脂バインダの樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂でも良いが、固化が迅速などの点で、好ましくは、硬化性樹脂、それも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いるのが望ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂が挙げられる。
透明樹脂層2と暗色線条部3とからなるマイクロルーバー構造のマイクロルーバー層4を形成する方法は(凹陥部rが生じてしまうものであれば)特に限定はない。ここでは、代表的なワイピング法を利用した形成法について説明する。
(c)次に、暗色インクが塗工された塗工面をドクターブレード等で掻き取り溝状凹部の外の暗色インクを除去し、溝状凹部の内部のみに暗色インクを充填して、固化させて暗色線条部3を形成する。
暗色インクの固化時の硬化収縮や溶剤乾燥による体積収縮により、暗色線条部3の露出面には凹陥部rが生成する。
なお、この際、暗色インクの掻き取り方向(ドクターブレード等の透明樹脂層2に対する相対的な進行方向)は、溝状凹部の延在方向と、平行方向、直交方向、或いは斜交方向の何れも可能である。但し、溝状凹部内へは暗色インクを充填し、且つ溝状凹部以外の暗色インクは除去する掻き取り適性が最適な掻き取り方向は、溝状凹部の延在方向と平行方向である。
以上の結果、透明基材1上に透明樹脂層2と暗色線条部3とからなるマイクロルーバー層4が形成された、光学シート10が得られる。
(B)粘着剤塗工工程では、図1(a)及び図1(b)で示す様に、上記の様にして準備した光学シート10に対して、そのマイクロルーバー層4の暗色線条部3が凹陥部rを有する側の面に、粘着剤5Cを該暗色線条部3の延在方向dに対して、塗工方向dcを平行乃至は略平行な方向に塗工し粘着剤層5を形成する。塗工方向dcとは、粘着剤5Cが被塗工面と初めて接触する部分が、経時的に移動する方向である。
粘着剤の塗工方向dcを、暗色線条部3の延在方向dに対して平行とすることにより、暗色線条部3の露出面eに凹陥部rが存在しても、塗工方向dcでみると、塗工面には凹陥部rに基づく表面凹凸が存在しなくなる。このため、空気の逃げ道が常に確保されることになり、空気が逃げ切れずに残留気泡Gが生じることを回避できる。また、粘着剤5Cの塗工方向dcが暗色線条部3の延在方向dに対して略平行である場合も、空気が逃げ切れない様な急激な表面凹凸が存在しない為に、同様に空気の逃げ道が常に確保されることになり、空気が逃げ切れずに残留気泡Gが生じることを回避できることになる。
剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂にシリコーン処理などの離型処理した公知のものを用いることができる。
粘着剤層5は、機能層で述べる近赤外線吸収層など特定光選択層で使用する色素や紫外線吸収剤を含有させて、特定光選択層を兼用させることもできる。或いは、粘着剤層5の厚みを200μm以上(1000μm以下)、より好ましくは500μm以上(800μm以下)とすることによって、耐衝撃層と兼用することもできる。
(C)機能層積層工程では、図1(c)で示す様に、上記粘着剤層塗工工程で形成された粘着剤層5の面に、機能層6を積層して、マイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シート100とする。
機能層6は、剛直な板状であっても良いが、フィルム状乃至はシート状のものが積層が容易な点で好ましい。機能層6の積層は、ラミネートローラなどによって粘着剤層面に加圧して順次積層していく。
光学機能層の例を挙げれば、近赤外線を吸収する近赤外線吸収層、紫外線を吸収する紫外線吸収層、或いは、視覚上の効果が得られる、プラズマディスプレイパネルからのネオン光を吸収するネオン光吸収層、表示画像を好みの色調に補正する色補正層などの、特定波長光の透過を抑制し残りの光は透過させる特定光選択層、通常最外層に設けられる反射防止層(防眩、反射防止、防眩及び反射防止兼用のいずれか)などがある。
光学機能層としては、マイクロルーバー層4であっても良い。この場合、マイクロルーバー層4を2層以上有する光学シート100が得られる。
非光学機能層の例を挙げれば、ディスプレイパネルからの電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層、表面を保護する表面保護層やハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、耐衝撃層、2層間の物質移動を防ぐバリア層などがある。
機能層6の厚みは、例えば20〜1000μmである。
反射防止層としては、例えば、フッ素系化合物を含む低屈折率物質の層や、中空シリカ等の低屈折粒子と樹脂バインダと含む組成物層を、塗工形成したものを用いる。
表面保護層やハードコート層は、例えば、硬化性樹脂として熱硬化性ウレタン系樹脂、或いは、アクリル系樹脂等からなる電離放射線硬化性樹脂などが用いられる。表面保護層としては、透明支持体自体でその機能を果たすことも可能である。
本発明による製造方法は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、上記した工程以外のその他の工程を含んでいても良い。例えば、機能層6は粘着剤層5を介して、透明樹脂層2と暗色線条部3とからなるマイクロルーバー層4の面に積層されるが、透明基材1の面にも機能層6を積層しても良い。或いは、透明基材1の面に、他の層や被着体に貼り付ける為の粘着剤層や、この粘着剤層の面を使用時まで一時的に保護しておく剥離フイルムを積層する工程などである。
本発明によるマイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シート100は、画像表示装置に於ける各種ディスプレイパネルの観察者側に配置される用途に好適に使用される。該ディスプレイパネルは、例えば、プラズマディスプレイパネル、液晶パネル、EL(電界発光)パネルなどである。この様な光学シートを、ディスプレイパネルなどの観察者側に備える画像表示装置は、テレビジョン受像機、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器、デジタルフォトフレーム等の画像表示装置として好適である。
この他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車両、航空機、船舶等の乗物の窓の覗き見防止或いは直射日光の遮光シートにも使用可能である。
2 透明樹脂層
3 暗色線条部
4 マイクロルーバー層
5 粘着剤層
5C 粘着剤
6 機能層
10 光学シート
20 従来の光学シート
100 マイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シート
d 暗色線条部の(大局的な)延在方向
dc 塗工方向
e 暗色線条部の露出面
N 法線
r 凹陥部
Claims (1)
- (A)延在方向を互いに平行に面方向に多数配列された直線状の暗色線条部と該暗色線条部を少なくとも側面から支持する透明樹脂層とからなるマイクロルーバー層が、透明基材上に形成され、且つ暗色線条部がその露出面に凹陥部を有する光学シートを準備する光学シート準備工程、
(B)上記光学シートのマイクロルーバー層の暗色線条部が凹陥部を有する側の面に、粘着剤を塗工し粘着剤層を形成するときに、予め基材上に粘着剤層を形成した粘着フィルムから粘着剤層を転写する方法を用いて、該暗色線条部の延在方向と塗工方向との成す角度の小さい方の角度が、0°以上20°以下の範囲となるように塗工する粘着剤塗工工程、
(C)粘着剤層を介して機能層を積層する機能層積層工程、
の各工程をこの順に行う、マイクロルーバー層に接して粘着剤層を有する光学シートの製造方法。
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