JP5734123B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法等の記録方法に用いられるトナーに関する。詳しくは、本発明は、静電潜像担持体上にトナー画像を形成後、転写材上に転写し、熱圧力下で定着して定着画像を得る、複写機、プリンター、ファックスに用いられるトナーに関する。
近年、電子写真装置に於いても省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が挙げられている。従って、トナーにおいて、より低エネルギーで定着が可能であることが求められている。
従来、より低温での定着を可能とするためには、結着樹脂をよりシャープメルトにする手法が効果的な方法の一つとして知られている。こうした観点から、結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーが紹介されている。結晶性ポリエステルは、分子鎖が規則的に配列することにより、明確なガラス転移温度を示さず、結晶融点まで軟化しにくい特性をもつため、耐熱保存性と低温定着性を両立できる材料として注目されている。しかしながら、結晶性ポリエステル単独では、シャープメルト性は有するものの、高温での弾性が不足し、高温オフセットが発生しやすいという問題が生じる。そのため、一般に結晶性ポリエステルは、非晶性のポリエステルと組み合わせて使用する検討が行われている。
結着樹脂に結晶性ポリエステルを用いるトナーとして、特許文献1では、結晶性ポリエステルと無定形高分子を含有したカプセル型のトナーにおいて、融点+20℃での貯蔵弾性率と損失弾性率を制御することにより、定着のラチチュードの向上を図っている。
特許文献2では、結晶性ポリエステルブロックと非結晶性ポリエステルブロックとのエステル化によって得られたブロック共重合体を用いることにより、低温度加熱による定着が可能であることが示されている。
特許文献3では、結晶性ポリエステルのセグメントと無定形ポリエステルのセグメントがアミノ架橋剤によって結合されてなるウレア変性ポリエステルにより、耐熱保存性及び耐高温オフセット性を改良したトナーが示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたトナーは、結晶性ポリエステルと無定形高分子を混合して用いているために高温での弾性が十分ではなく、紙への染み込みによる光沢度の低下を招きやすく、高温オフセットにより定着の温度幅が狭くなってしまうことがわかった。
また、特許文献2および特許文献3に開示されたトナーは、非晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとを結合したブロックポリマーを用いているため、非晶性ポリエステルによる高温での粘度の調整が可能で、高温オフセットを抑えることが出来る。ところが、これらのトナーは、結着樹脂全体に占める結晶性ポリエステルの含有量が少なく、しかも、示差走査熱量計(DSC)測定によって検出される、結晶性ポリエステル由来の吸熱ピークが極めてブロードであることから、結晶性の低いものであることがわかった。
その理由として、これらのトナーは、製造過程において結晶性ポリエステルの融点以上の加熱工程を経たものであり、このような熱履歴を受けたことによって結晶性が低下したものと考えている。結果として、結晶性ポリエステル本来のシャープメルト効果を十分に発揮することができず、低温定着性に対する効果が十分ではなかった。
このように、これらの結晶性ポリエステルを用いた場合でも、低温から高温に渡る広い定着温度領域を有するトナーを得ることは難しく、更に改良したトナーが望まれている。
特開2004−191927号公報 特開2007−114635号公報 特開2008−052192号公報
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、低温から高温にわたる広い定着の幅を有し、耐熱保存性が高いトナーを提供することにある。更には、光沢度が高く、高品位な画像を得ることが可能なトナーを提供することにある。
本発明のトナーは、ポリエステルユニットを主成分とする樹脂(a)を含有する結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子を含有するトナーであって、
該樹脂(a)は結晶性樹脂であり、
示差走査熱量計を用いた該トナーの吸熱量測定において、該結着樹脂に由来する吸熱ピーク温度(Tp)が50℃以上80℃以下であり、
該トナーの粘弾性測定において、温度T[℃]における損失弾性率G”[Pa]をG”(T)とした時、G”(Tp−10)が5.0×10Pa以上5.0×10Pa以下、G”(Tp+10)が5.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であり、且つ、損失弾性率G”[Pa]が下式(1)乃至(3)
−0.10≦Log[G”(Tp−20)]−Log[G”(Tp−10)]≦0.50・・・(1)
0.10≦Log[G”(Tp+10)]−Log[G”(Tp+30)]≦1.00・・・(2)
Log[G”(Tp−5)]−Log[G”(Tp+5)]≧1.0 ・・・(3)
を満足することを特徴とする。
本発明によれば、低温定着性に優れ、高温オフセットの発生が抑制されたトナーが得られる。また、耐熱保存性に優れたトナーが得られる。更に、高い光沢度を示し、高品位な画像を作成することができるトナーが得られる。
本発明のトナーの、製造装置の一例を示す概略図である。 本発明のトナーの粘弾性を測定する測定サンプル及び治具の概略図である。 本発明のトナーの粘弾性を示す図である。
以下に、本発明のトナーについて、好ましい実施の形態を挙げて説明する。
本発明者らは、上述した結晶性ポリエステルを用いたトナーの種々の問題点について検討を重ねた結果、本発明に至った。
本発明のトナーは、結着樹脂としてポリエステルユニットを主成分とする樹脂(a)を少なくとも含有する。ここで「主成分」とは、上記樹脂(a)の総量に対し50質量%以上をポリエステルが占めることを意味する。また、本発明において、上記樹脂(a)は、結晶構造を有しており、トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、検出される最大吸熱ピークが明確な結晶構造の特徴を有するものである。そして、上記結晶構造は、結晶性ポリエステル成分により構成されることが好ましい。
本発明のトナーでは、示差走査熱量計を用いた該トナーの吸熱量測定に関し、1回目の昇温過程において、該結着樹脂に由来する吸熱ピーク温度(Tp)が50℃以上80℃以下である。ピーク温度(Tp)は、本発明に用いる結晶性ポリエステルの軟化温度を変更することにより制御することが出来る。上記ピーク温度(Tp)を50℃以上80℃以下にすることにより、耐熱保存性と、低温定着性を満足するトナーを設計することが可能になる。ピーク温度の下限は好ましくは55℃以上であり、ピーク温度の上限は好ましくは70℃以下である。
本発明のトナーは、温度Tp−10(℃)における損失弾性率G”(Tp−10)が、5.0×10Pa以上5.0×10Pa以下である。G”(Tp−10)の値が5.0×10Paより小さい場合、耐熱保存性の低下や耐久時のトナーの劣化が起こりやすい。一方、G”(Tp−10)の値が5.0×10Paより大きい場合、トナーの粘弾性の制御が厳しく、定着温度領域でのシャープメルト性のあるトナーを設計できなくなる。G”(Tp−10)は、より好ましくは7.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である。尚、本発明のトナーにおける損失弾性率のカーブの一例を図3に示す。また、G”(Tp−10)の場合と同様に、温度T[℃]における損失弾性率G”[Pa]をG”(T)と表す。
また、本発明のトナーは、上記ピーク温度(Tp)より10℃高い温度Tp+10(℃)における損失弾性率G”(Tp+10)が、5.0×10Pa以上5.0×10Pa以下である。G”(Tp+10)の値が5.0×10Paより小さい場合、高温での弾性が不足し、高温オフセットを引き起こしやすい。一方、G”(Tp+10)の値が5.0×10Paより大きい場合、定着した場合においても画像の光沢度の低下や、折り曲げによる画像剥離を引き起こしやすい。G”(Tp+10)は、より好ましくは7.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である。
更に、本発明のトナーは、粘弾性の測定により求められる以下の式(1)乃至式(3)を満足する。
−0.10≦Log[G”(Tp−20)]−Log[G”(Tp−10)]≦0.50・・・(1)
0.10≦Log[G”(Tp+10)]−Log[G”(Tp+30)]≦1.00・・・(2)
Log[G”(Tp−5)]−Log[G”(Tp+5)]≧1.0・・・(3)
結着樹脂である樹脂(a)中の結晶性ポリエステル成分の割合が少なすぎる場合、樹脂(a)は非晶性成分の物性が支配的となってガラス転移温度を持つようになるため、(1)式は−0.10よりも小さい値を示す。この場合、耐熱保存性を満足させるためには、ガラス転移温度を十分に高く設計する必要があるため、結晶性ポリエステルの持つシャープメルト性による低温定着効果が発揮されにくくなる。一方、上記樹脂(a)中に比較的多量の結晶性ポリエステルを導入した場合であっても、前記結晶性ポリエステルの結晶化度が低いと、(1)式は0.50より大きい値を示す。この場合、トナーの低温領域における損失弾性率の変化が大きく、十分な耐熱保存性を得ることができなくなる。
すなわち、上記(1)式を満足することによって、耐熱保存性と低温定着性とが両立されたトナーを得ることができる。(1)式の値は、より好ましくは0.00以上0.30以下である。
通常、結晶性の材料と非晶性の材料を併用する場合、トナーの製造過程でこれらの材料を有機溶剤に溶解したり、結晶性材料の融点以上に加熱したりして均一化する必要があるため、各成分が互いに相溶して結晶構造が維持できなくなり、結晶化度が低下する。
本発明において、(1)式の値は、単に樹脂(a)中の結晶性ポリエステル成分と非晶性成分の割合を調整するだけでは達成は困難であり、トナー作製時に結晶性ポリエステルの結晶性を制御する方法により達成することが出来る。具体的には、トナー粒子製造後に前記結晶性ポリエステル成分の融点よりも低い温度で熱処理を施して結晶化度を高める処理を行う。本発明では、以後、この熱処理を“アニール処理”と称する。
一般に、結晶性樹脂は、アニール処理を施すことによって結晶性が高まることが知られている。その原理は以下のように考えられている。結晶性材料にアニール処理を行うと、その熱によって高分子鎖の分子運動性がある程度高くなるために、高分子鎖がより安定な構造、すなわち規則的な結晶構造へと再配向することで、結晶化が起こるというものである。結晶性材料の融点以上の温度で処理した場合には、高分子鎖は再配向に必要なエネルギーよりも高いエネルギーを得ることになるため、再結晶化は起こらない。
したがって、本発明におけるアニール処理は、トナー中の結晶性ポリエステル成分の分子運動を可能な限り活発化させるため、結晶性ポリエステル成分の融点に対して、限られた温度範囲内で行うことが重要である。
上記(2)式は、損失弾性率の高温領域での変位量を示している。
上記(2)式の値が0.10より小さい場合、温度変化に対する粘性の変化が小さいため、定着時において粘性を十分に低下させることが出来なくなり、得られる画像は光沢度が不足しやすくなる。一方、(2)式の値が1.00より大きい場合、温度変化に対する粘性の変化が大きいため、高温オフセットを生じやすくなり、また、定着器の温度ムラの影響を受けやすく、画像の光沢度ムラが発生しやすくなる。
すなわち、上記(2)式を満足することによって、高温オフセットの発生を抑制することができ、好適な光沢度を発現することが可能なトナーを得ることができる。(2)式の値は、0.20以上0.80以下であることがより好ましい。
上記(2)式を満足させるため、本発明のトナーに使用する樹脂(a)は、結晶構造をとりうる部位と結晶構造をとらない部位とが化学的に結合したコポリマーであることが好ましい。化学的に結合したコポリマーの例としては、ブロックポリマー、グラフトポリマー、スターポリマーが挙げられるが、本発明においては、ブロックポリマーであることが好ましい。
ここで、ブロックポリマーとは、一分子内でポリマー同士が共有結合にて結ばれたポリマーである。上記結晶構造をとりうる部位とは、それ自体が多数集合すると、規則的に配列し結晶性を発現する部位であり、結晶性ポリマー鎖を意味する。また、上記結晶構造をとらない部位とは、それ自体が集合しても規則的に配列せず、ランダムな構造をとる部位であり、非晶性ポリマー鎖を意味する。
上記ブロックポリマーは、結晶性ポリエステルを「A」、非晶性ポリマーを「B」としたとき、AB型ジブロックポリマー、ABA型トリブロックポリマー、BAB型トリブロックポリマー、ABAB・・・型マルチブロックポリマーのいずれの形態であってもよい。
本発明において、(2)式の値は、樹脂(a)中の非晶性成分の含有割合や、非晶性成分の粘弾性を制御することにより達成することが出来る。
具体的には、上記ブロックポリマーの結晶構造をとりうる部位と結晶構造をとりえない部位の割合を調整して、樹脂(a)中の非晶性成分の含有量を高くする方法が有効である。
また、上記ブロックポリマーの結晶性をとりうる部位と結晶構造をとりえない部位との結合形態としては、エステル結合、ウレア結合、ウレタン結合が挙げられるが、非晶性成分の粘弾性の制御、とりわけ高温における粘性を上げるためには、ウレタン結合で結合したブロックポリマーを用いることが特に有効である。
さらに、本発明トナーは、上記(3)式を満たす。
上記(3)式が1.0より小さい場合、結晶性成分の持つシャープメルト性が発揮しにくく、低温での定着性が低下する。
本発明のトナーは、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において、数平均分子量(Mn)が8,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が15,000以上60,000以下であることが好ましい。この範囲であることで、トナーに適度な粘弾性を付与することが可能となる。Mnが8,000、Mwが15,000よりも小さいと、トナーが軟らかくなりすぎ、長期における耐熱保存性に劣るようになりやすい。Mnが30,000、Mwが60,000よりも大きいと、トナーが硬くなりすぎ、定着性を低下させ、画像のグロスが出にくくなるので好ましくない。また、低温での定着性が十分でない場合定着画像からトナーが剥離しやすくなる。Mnのより好ましい範囲は、10,000以上25,000以下、Mwのより好ましい範囲は、25,000以上50,000以下である。さらに、Mw/Mnは6以下であることが好ましい。Mw/Mnのより好ましい範囲は3以下である。
以下、上記ブロックポリマーにおける、結晶構造をとりうる部位について述べる。
結晶構造をとり得る部位を形成する好適な成分は、結晶性ポリエステルである。結晶性ポリエステルは、炭素数4以上20以下の脂肪族ジオールおよび多価カルボン酸を原料として用いるのが好ましい。
さらに、前記脂肪族ジオールは直鎖型であることが好ましい。直鎖型であることで、トナーの結晶性を上げやすく、本発明のトナーとなりやすい。
本発明にて使用可能な脂肪族ジオールとしては、例えば以下を挙げることが出来るが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール。これらのうち、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。前記二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、例えば以下を挙げることができる。2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、4−オクテン−1,8−ジオール。
次に、結晶性ポリエステルの調製に用いられる酸成分について述べる。結晶性ポリエステルの調製に用いられる酸成分は、多価カルボン酸が好ましい。多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸が好ましく、中でも脂肪族ジカルボン酸が好ましい、結晶性の観点から、特に直鎖型のジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば以下を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸。あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物。これらのうち、セバシン酸、アジピン酸、1,10−デカンジカルボン酸あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば以下を挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸。
これらのうちテレフタル酸が、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
二重結合を有するジカルボン酸を用いることもできる。二重結合を有するジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時の高温オフセットを防ぐために好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸が好ましい。
前記結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。また、モノマーの種類によって、直接重縮合、エステル交換法を使い分ければよい。
前記結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させるのがよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるのが好ましい。
前記結晶性ポリエステルの製造時に使用可能な触媒としては、例えば以下を挙げることができる。チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシドの如きチタン触媒。ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシドの如きスズ触媒。
前記結晶性ポリエステルはアルコール末端であるのが前記ブロックポリマーを調製する上で好ましい。そのため、前記結晶性ポリエステルの調製では酸成分とアルコール成分のモル比(アルコール成分/カルボン酸成分)は1.02以上1.20以下が好ましい。
本発明の樹脂(a)は、ブロックポリマー中の結晶構造をとりえない部位としての非晶性成分を含有する。
前記非晶性成分を形成する樹脂としては、非晶性であれば特に限定しない。公知のトナー用非晶性結着樹脂をそのまま使用できる。ただし、前記非晶性成分を形成する樹脂のガラス転移温度は、50℃以上130℃以下であるのが好ましい。より好ましくは、70℃以上130℃以下である。この範囲内であることで、定着領域における弾性が維持されやすい。
前記非晶性成分を形成する樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリスチレンやスチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。また、これら樹脂は、ウレタン、ウレア、エポキシの変性を行っても良い。なかでも、弾性維持の観点から、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好適に使用される。
前記非晶性成分としてのポリエステル樹脂に用いるモノマーとしては、例えば、高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されているようなモノマー成分である、従来公知の2価または3価以上のカルボン酸と、2価または3価以上のアルコールが挙げられる。これらのモノマー成分の具体例としては、例えば以下を挙げることができる。2価のカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸の二塩基酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸の脂肪族不飽和ジカルボン酸。3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、例えば以下を挙げることができる。ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール。3価以上のアルコールとしては、例えば以下を挙げることができる。グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、必要に応じて、酸価や水酸基価を調整する目的で、酢酸、安息香酸の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールの1価のアルコールも使用することができる。
前記ポリエステル樹脂は、前記のモノマー成分の中から任意の組み合わせで、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社編)に記載の従来公知の方法を用いて合成することができる。例えば、エステル交換法や直接重縮合法を単独で、或いは、組み合わせて合成することができる。
前記非晶性成分としてのポリウレタン樹脂について述べる。前記ポリウレタン樹脂はジオールとジイソシアネート基を含有する物質との反応物であり、ジオール、ジイソシアネートの調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることができる。
前記ジイソシネート成分としては以下のものが挙げられる。
炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう)、並びにこれらの2種以上の混合物。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。m−及び/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
これらのうちで好ましいものは炭素数6以上15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上12以下の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはHDI及びIPDI、XDIである。
また前記ポリウレタン樹脂は、前記したジイソシアネート成分に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
また、前記ウレタン樹脂に用いることのできるジオール成分としては、以下のものが挙げられる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール)、アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール)、ビスフェノール類(ビスフェノールA)、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド)付加物。
前記アルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。本発明においては分岐構造のアルキレングリコールも好ましく用いることができる。
本発明において、ブロックポリマーを調製する方法としては、結晶部を形成するユニットと非晶部を形成するユニットとを別々に調製し、両者を結合する方法(二段階法)、結晶部を形成するユニットおよび非晶部を形成するユニットの原料を同時に仕込み、一度で調製する方法(一段階法)を用いることができる。
本発明におけるブロックポリマーは、それぞれの末端官能基の反応性を考慮して種々の方法より選択してブロックポリマーとすることができる。ポリエステルどうしの場合は、結合剤を用いても良いが、用いなくとも、加熱減圧しつつ、縮合反応を進めることができる。特に片方のポリエステルの酸価が高く、もう一方のポリエステルの水酸基価が高い場合、反応がスムーズに進行する。反応温度は200℃付近で行うのが好ましい。
結合剤を使う場合は、種々の結合剤が使用できる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、多酸無水物を用いて、脱水反応や付加反応を行うことができる。
また、結晶部がポリエステル樹脂で、非晶部がポリウレタン樹脂であるブロックポリマーの場合は、各ユニットを別々に調製した後、結晶性ポリエステルのアルコール末端とポリウレタンのイソシアネート末端とをウレタン化反応させることにより調製できる。また、アルコール末端を持つ結晶性ポリエステルおよびポリウレタンを構成するジオール、ジイソシアネートを混合し、加熱することでも合成が可能である。この場合、前記ジオールおよびジイソシアネートの濃度が高い反応初期は、これらが選択的に反応してポリウレタンを形成し、ある程度分子量が大きくなった後に、ポリウレタンのイソシアネート末端と結晶性ポリエステルのアルコール末端とのウレタン化が起こる。
上記ブロックポリマーの効果を有効に発現するためには、可能な限り結晶性ポリエステルのホモポリマーや非晶性ポリマーのホモポリマーがトナー中に存在しないほうが好ましい。すなわち、ブロック化率が高いことが好ましい。
上記樹脂(a)は、結晶部を形成するユニットを、上記樹脂(a)の全量に対し、50質量%以上含有することが好ましい。上記樹脂(a)がブロックポリマーである場合は、ブロックポリマー中における結晶部を形成するユニットの組成割合が50質量%以上であることが好ましい。結晶部を形成するユニットの割合が50質量%以上であることで、シャープメルト性が有効に発現されやすくなる。より好ましくは、60質量%以上である。
一方、上記非晶部を形成するユニットの割合は、上記樹脂(a)に対して10質量%以上であることが好ましい。非晶部を形成するユニットの含有量が10質量%以上であることで、シャープメルト後の弾性の維持が良好になる。より好ましくは、15質量%以上である。
すなわち、上記樹脂(a)に対する結晶部を形成するユニットの割合は、50質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、85質量%以下であることがより好ましい。
本発明における結着樹脂としては、上記の樹脂(a)に加えて、トナー用の結着樹脂として知られているその他の公知の樹脂を含有させてもよい。その場合の含有量としては特に限定されない。結着樹脂中における樹脂(a)の含有量は好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上である。
本発明に用いられるワックスとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナウバワックスの如き脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスは、溶解懸濁法においては、ワックス分散液の作製のしやすさ、作製したトナー中への取り込まれやすさ、定着時におけるトナーからの染み出し性、離型性から、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステルワックスが好ましい。
本発明においてエステルワックスとは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
合成エステルワックスとしては、例えば、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和アルコールから合成されるモノエステルワックスが挙げられる。長鎖直鎖飽和脂肪酸は一般式C2n+1COOHで表され、n=5以上28以下のものが好ましく用いられる。また長鎖直鎖飽和アルコールはC2n+1OHで表され、n=5以上28以下のものが好ましく用いられる。
また、天然エステルワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスおよびその誘導体が挙げられる。
上記のうち、より好ましいワックスとしては、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールとによる合成エステルワックスもしくは、上記エステルを主成分とする天然ワックスである。
さらに、本発明においては上記した直鎖構造に加えてエステルがモノエステルであることがより好ましい。
本発明においては、炭化水素系ワックスを使用することも好ましい形態の一つである。
本発明において、トナー中におけるワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し好ましくは2質量部以上20質量部以下、より好ましくは2質量部以上15質量部以下である。上記の範囲内であれば、トナーの離型性と耐熱保存性の両立をより良好に達成することができる。さらに、低温で定着を行った場合における転写紙の巻きつきの発生を良好に抑制でき、カブリや融着の発生を抑制できる。
本発明においてワックスは、示差走査熱量測定(DSC)において、60℃以上120℃以下に最大吸熱ピークのピーク温度を有することが好ましい。より好ましくは60℃以上90℃以下である。ピーク温度が上記の範囲内であれば、耐熱保存性、低温定着性、耐オフセット性をよりバランスよく改善することができる。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を必要とする。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粉体が挙げられ、従来トナーに用いられている着色剤を用いることが出来る。
イエロー着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、好ましくは結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合も同様に、1質量%以上20質量%以下添加して用いることが好ましい。また黒色着色剤として磁性粉体を用いる場合、その添加量は結着樹脂100質量部に対し、40質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。また、トナー粒子製造時に添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上含有することができる。
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
本発明のトナーは、非加熱にて製造されたトナーであることが好ましい。非加熱にて製造されたトナーとは、トナー製造時に、結晶性ポリエステルの融点よりも高い温度を一度も経ることがないことを表し、結晶性ポリエステルのトナー材料の製造時における加熱は考慮しない。結晶性ポリエステルは、融点以上の加熱を行うと、結晶性を崩すことが考えられる。非加熱にてトナー製造を行うことで、結晶性ポリエステルの結晶性を崩すことなく製造可能なため、結晶性を維持しやすくなり、本発明のトナーを実現可能となりやすい。非加熱でのトナー製法としては、例えば、溶解懸濁法が挙げられる。
結晶性ポリエステル成分を含有するトナーの製造においては、分散媒体として高圧状態の二酸化炭素を用いることもできる。すなわち、上記樹脂溶解液を高圧状態の二酸化炭素中に分散させて造粒を行い、造粒後の粒子に含まれる有機溶媒を二酸化炭素の相に抽出して除去した後、圧力を開放することによって二酸化炭素を分離し、トナー粒子として得る方法である。本発明において好適に用いられる高圧状態の二酸化炭素とは、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素である。
ここで、液体の二酸化炭素とは、二酸化炭素の相図上における三重点(温度=−57℃、圧力=0.5MPa)と臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線、および固液境界線に囲まれた部分の温度、圧力条件にある二酸化炭素を表す。また、超臨界状態の二酸化炭素とは、上記二酸化炭素の臨界点以上の温度、圧力条件にある二酸化炭素を表す。
本発明において、分散媒体中には他の成分として有機溶媒が含まれていてもよい。この場合、二酸化炭素と有機溶媒とが均一相を形成することが好ましい。
この方法によれば、高圧下で造粒が行われるため、結晶性ポリエステル成分の結晶性を維持しやすいばかりでなく、より高めることも可能である点で特に好適である。
以下に、本発明のトナー粒子を得る上で好適な、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体として用いるトナー粒子の製造法を例示して説明する。
まず、樹脂(a)を溶解することのできる有機溶媒中に、樹脂(a)、着色剤、ワックスおよび必要に応じて他の添加物を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機によって均一に溶解または分散させる。
次に、こうして得られた溶解あるいは分散液(以下、単に樹脂(a)溶解液という)を、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素中に分散させて油滴を形成する。
このとき、分散媒体としての液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素中には、分散剤を分散させておく必要がある。分散剤としては、無機微粒子分散剤、有機微粒子分散剤、それらの混合物のいずれでもよく、目的に応じて単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記無機微粒子分散剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、酸化カルシウムの無機微粒子が挙げられる。
上記有機微粒子分散剤としては、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、セルロースおよびこれらの混合物が挙げられる。
非晶性樹脂からなる有機樹脂微粒子を分散剤として使用すると、二酸化炭素が前記樹脂中に溶解して樹脂を可塑化させ、ガラス転移温度を低下させるため、造粒の際に粒子同士が凝集を起こしやすくなる。したがって、有機樹脂微粒子としては結晶性を有する樹脂を使用することが好ましく、非晶性樹脂を用いる場合は、架橋構造を導入することが好ましい。また非晶性樹脂粒子を結晶性樹脂で被覆した微粒子であってもよい。
上記分散剤は、そのまま用いてもよいが、造粒時における上記油滴表面への吸着性を向上させるため、各種処理によって表面改質したものを用いてもよい。具体的には、シラン系、チタネート系、アルミネート系のカップリング剤による表面処理や、各種界面活性剤による表面処理、ポリマーによるコーティング処理が挙げられる。
油滴の表面に吸着した分散剤は、トナー粒子形成後もそのまま残留するため、分散剤として樹脂微粒子を用いた場合には、樹脂微粒子で表面が被覆されたトナー粒子を形成することができる。
上記樹脂微粒子の粒径は、個数平均粒子径(D1)で30nm以上、300nm以下であることが好ましい。より好ましくは、50nm以上、100nm以下である。樹脂微粒子の粒径が小さ過ぎる場合、造粒時の油滴の安定性が低下する傾向にある。大き過ぎる場合は、油滴の粒径を所望の大きさに制御することが困難になる。
また、上記樹脂微粒子の配合量は、油滴の形成に使用する上記樹脂(a)溶解液中の固形分100質量部に対して3.0質量部以上、15.0質量部以下であることが好ましく、油滴の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
本発明において、上記分散剤を液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素中に分散させる方法は、如何なる方法を用いてもよい。具体例としては、上記分散剤と液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を容器内に仕込み、撹拌や超音波照射により直接分散させる方法が挙げられる。また、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を仕込んだ容器に、上記分散剤を有機溶媒に分散させた分散液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。
また、本発明において、上記樹脂(a)溶解液を液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素中に分散させる方法は、如何なる方法を用いてもよい。具体例としては、上記分散剤を分散させた状態の液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を入れた容器に、上記樹脂(a)溶解液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。また、上記樹脂(a)溶解液を仕込んだ容器に、上記分散剤を分散させた状態の液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を導入してもよい。
本発明において、上記液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素による分散媒体は、単一相であることが重要である。上記樹脂(a)溶解液を液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素中に分散させて造粒を行う場合、油滴中の有機溶媒の一部は分散体中に移行する。このとき、二酸化炭素の相と有機溶媒の相が分離した状態で存在することは、油滴の安定性が損なわれる原因となり好ましくない。したがって、上記分散媒体の温度や圧力、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素に対する上記樹脂(a)溶解液の量は、二酸化炭素と有機溶媒とが均一相を形成し得る範囲内に調整することが好ましい。
また、上記分散媒体の温度および圧力については、造粒性(油滴形成のし易さ)や上記樹脂(a)溶解液中の構成成分の上記分散媒体への溶解性にも注意が必要である。例えば、上記樹脂(a)溶解液中の樹脂(a)やワックスは、温度条件や圧力条件によっては、上記分散媒体に溶解することがある。通常、低温、低圧になるほど上記成分の分散媒体への溶解性は抑制されるが、形成した油滴が凝集・合一を起こし易くなり、造粒性は低下する。一方、高温、高圧になるほど造粒性は向上するものの、上記成分が上記分散媒体に溶解し易くなる傾向を示す。
さらに、上記分散媒体の温度については、結晶性ポリエステル成分の結晶性が損なわれないよう、結晶性ポリエステル成分の融点よりも低い温度でなければならない。
したがって、トナー粒子の製造において、上記分散媒体の温度は20℃以上、結晶性ポリエステル成分の融点未満の温度範囲であることが好ましい。
また、上記分散媒体を形成する容器内の圧力は、3MPa以上、20MPa以下であることが好ましく、5MPa以上、15MPa以下であることがより好ましい。尚、本発明における圧力とは、分散媒体中に二酸化炭素以外の成分が含まれる場合には、その全圧を示す。
また、本発明における分散媒体中に占める二酸化炭素の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
こうして造粒が完了した後、油滴中に残留している有機溶媒を、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素による分散媒体を介して除去する。具体的には、油滴が分散された上記分散媒体にさらに液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を混合して、残留する有機溶媒を二酸化炭素の相に抽出し、この有機溶媒を含む二酸化炭素を、さらに液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素で置換することによって行う。
上記分散媒体と上記液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素の混合は、上記分散媒体に、これよりも高圧の液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を加えてもよく、また、上記分散媒体を、これよりも低圧の液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素中に加えてもよい。
そして、有機溶媒を含む二酸化炭素をさらに液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素で置換する方法としては、容器内の圧力を一定に保ちつつ、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を流通させる方法が挙げられる。このとき、形成されるトナー粒子は、フィルターで捕捉しながら行う。
上記液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素による置換が十分でなく、分散媒体中に有機溶媒が残留した状態であると、トナー粒子を回収するために容器を減圧する際、有機溶媒が凝縮してトナー粒子が再溶解したり、トナー粒子同士が合一したりする場合がある。したがって、上記液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素による置換は、有機溶媒が完全に除去されるまで行う必要がある。流通させる液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素の量は、上記分散媒体の体積に対して1倍以上、100倍以下が好ましく、さらに好ましくは1倍以上、50倍以下、最も好ましくは1倍以上、30倍以下である。
容器を減圧し、トナー粒子が分散した液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を含む分散体からトナー粒子を取り出す際は、一気に、常圧まで減圧してもよいが、独立に圧力制御された容器を多段に設けることによって段階的に減圧してもよい。減圧速度は、トナー粒子が発泡しない範囲で設定することが好ましい。
尚、本発明において使用する有機溶媒や、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素は、リサイクルすることが可能である。
更に本発明のトナーは、結晶性ポリエステルの融点よりも低い温度条件にてアニール処理(加熱処理)する工程を経ることが好ましい。
アニール処理温度は、予め得られたトナー粒子の示差走査熱量計(DSC)測定を行い、結晶性ポリエステル成分に由来する吸熱ピークのピーク温度を求めた後、このピーク温度に応じて決めればよい。具体的には、昇温速度10.0℃/minの条件でDSC測定したときに求められるピーク温度から15℃差し引いた温度以上、5℃差し引いた温度以下でアニール処理を行うことが好ましい。より好ましくは、上記ピーク温度から10℃差し引いた温度以上、5℃差し引いた温度以下の温度範囲である。
本発明において、アニール処理は、トナー粒子の形成工程後であればどの段階で行ってもよく、例えば、スラリー状態にある粒子に対して処理を行ってもよく、外添工程の前に処理を行ってもよく、さらには外添工程の後に処理を行ってもよい。
また、アニール処理時間は、トナー中の結晶性ポリエステル成分の割合や種類、結晶状態によって適宜調整可能であるが、通常は1時間以上、50時間以下の範囲で行うことが好ましい。アニール処理時間が1時間に満たない場合は、再結晶化の効果は得られない。一方、50時間を超えるアニール処理を行っても、それ以上の効果は期待できない。より好ましくは、5時間以上、24時間以下の範囲である。
本発明のトナー粒子には流動性向上剤として、無機微粉体を添加することが好ましい。
本発明のトナー粒子に添加する無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体またはそれらの複酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。該無機微粉体の中でもシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が好ましい。
シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のためにトナー粒子に外添されることが好ましい。無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることがより好ましい。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で用いても良く、併用しても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
上記無機微粉体の添加量は、良好な流動性を付与する観点から、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上3.5質量部以下である。
本発明におけるトナーは、重量平均粒径(D4)は、3.0μm以上8.0μm以下であることが好ましい。更に好ましくは、5.0μm以上7.0μm以下である。このような重量平均粒径(D4)のトナーを用いることは、ハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足する上で好ましい。
更に、本発明のトナーの重量平均粒子径(D4)と個数平均粒子径(D1)の比D4/D1は1.25以下であることが好ましい。より好ましくは1.20以下である。
本発明のトナーの各種物性の測定方法について以下に説明する。
<トナーの結着樹脂に由来する吸熱ピーク温度Tpの測定方法>
本発明におけるトナー中の結着樹脂に由来する吸熱ピーク温度Tpは、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度をTpとする。
測定において得られる最大吸熱ピーク(結着樹脂由来の吸熱ピーク)がワックスの吸熱ピークと重なっていない場合には、得られた最大吸熱ピークをそのまま結着樹脂に由来する吸熱ピークとして扱う。一方、ワックスの吸熱ピークが最大吸熱ピークと重なる場合は、ワックスに由来する吸熱量を最大吸熱ピークから差し引く必要がある。
例えば、以下の方法により、ワックスに由来する吸熱量を得られた最大吸熱ピークから差し引き、結着樹脂に由来する吸熱ピークを得ることができる。
先ず、別途ワックス単体のDSC測定を行い、吸熱特性を求める。次いで、トナー中のワックス含有量を求める。トナー中のワックス含有量の測定は、特に制限されないが、例えばDSC測定におけるピーク分離や、公知の構造解析によっても行うことができる。その後、トナー中のワックス含有量からワックスに起因する吸熱量を算出し、最大吸熱ピークからこの分を差し引けばよい。ワックスが樹脂成分と相溶しやすい場合には、前記ワックスの含有量に相溶率を乗じた上でワックスに起因する吸熱量を算出して差し引いておく必要がある。相溶率は、樹脂成分の溶融混合物とワックスとを所定の比率で混合したものについて求めた吸熱量を、予め求めておいた前記溶融混合物の吸熱量とワックス単体の吸熱量から算出される理論吸熱量で除した値から算出する。
尚、結晶性ポリエステルの融点、ブロックポリマーの融点も、試料としてそれぞれを用いる以外は同様にして測定する。
<ワックスの融点の測定方法>
ワックスの融点は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行った。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、測定する。測定は、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30℃から200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度をワックスの融点とする。上記最大吸熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も吸熱量の大きいピークをいう。
<非晶性樹脂のガラス転移温度Tgの測定方法>
本発明におけるTgの測定方法は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を用いて以下の条件にて測定を行った。
《測定条件》
・モジュレーションモード
・昇温速度:0.5℃/分
・モジュレーション温度振幅:±1.0℃/分
・測定開始温度:25℃
・測定終了温度:130℃
昇温速度を変えるときは、新しい測定サンプルを用意した。昇温は1度のみ行い、「Reversing Heat Flow」を縦軸にとることでDSCカーブを得、オンセット値を本発明のTgとした。
<トナーの損失弾性率G”の測定方法>
粘弾性測定装置(レオメーター)ARES(Rheometrics Scientific社製)を用いて測定を行う。測定の概略は、Rheometrics Scientific社製発行のARES操作マニュアル902−30004(1997年8月版)、902−00153(1993年7月版)に記載されているが、以下の通りである。
・測定治具:torsion rectangular
・測定試料:トナー粒子を、加圧成型機を用い幅約12mm、高さ約20mm、厚み約2.5mmの直方体型試料を作製する(常温で1分間15kNを維持する)。加圧成型機はNPaシステム社製100kNプレスNT−100Hを用いる。
治具及びサンプルを常温(23℃)に1時間放置した後、治具にサンプルを取り付ける。図2参照。図のように、測定部の幅約12mm、厚さ約2.5mm、高さ5mmになるように固定する。測定開始温度30.00℃まで10分間かけて温調した後、下記設定で測定を行う。
・測定周波数 :6.28ラジアン/秒
・測定歪みの設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行う。
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整。
・測定温度 :30℃から150℃まで毎分2℃の割合で昇温する。
・測定間隔 :30秒おき、すなわち1℃おきに粘弾性データを測定する。
Microsoft社製Windows(登録商標)2000上で動作するRSI Orchesrator(制御、データ収集および解析ソフト)(Rheometrics Scientific社製)へ、インターフェースを通じてデータ転送する。
このうち、上記<トナーの吸熱ピーク温度Tpの測定方法>によって求めたTpの値に対し、Tp−20℃、Tp−10℃、Tp−5℃、Tp+5℃、Tp+10℃、Tp+30℃の各温度でのトナーの損失弾性率の値を読み取る。図3参照。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布、ピーク分子量、及び数平均分子量の測定方法>
樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布、ピーク分子量、及び数平均分子量は、樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分を、THFを溶媒としたGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフィ)により測定した。測定条件は以下の通りである。
(1)測定試料の作製
樹脂(試料)とTHFとを約0.5乃至5mg/ml(例えば約5mg/ml)の濃度で混合し、室温にて数時間(例えば5乃至6時間)放置した後、充分に振とうし、THFと試料を試料の合一体がなくなるまで良く混ぜた。更に、室温にて12時間以上(例えば24時間)静置した。この時、試料とTHFの混合開始時点から、静置終了の時点までの時間が24時間以上となる様にした。
その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45乃至0.5μm、マイショリディスクH−25−2[東ソー社製]、エキクロディスク25CR[ゲルマン サイエンスジャパン社製]が好ましく利用出来る)を通過させたものをGPCの試料とした。
(2)試料の測定
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度に於けるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.5乃至5mg/mlに調整した樹脂のTHF試料溶液を50乃至200μl注入して測定した。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.製或いは東洋ソーダ工業社製の、分子量が6.0×10、2.1×10、4.0×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2.0×10、4.48×10のものを用いた。又、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
尚、カラムとしては、1×10乃至2×10の分子量領域を適確に測定する為に、市販のポリスチレンゲルカラムを下記のように複数組み合わせて用いた。本発明における、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
装置:LC−GPC 150C(ウォーターズ社製)
カラム:KF801,802,803,804,805,806,807(ショウデックス製)の7連
カラム温度:40℃
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
<樹脂微粒子の粒子径の測定方法>
樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm乃至10μmのレンジ設定で測定を行い、個数平均粒子径(μm又はnm)として測定した。なお、希釈溶媒としては水を選択した。
<結晶構造をとりうる部位の割合の測定方法>
樹脂(a)中の結晶構造をとりうる部位の割合の測定は、H−NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定ブロックポリマー50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH−NMRチャートより、結晶構造をとりうる部位の構成要素に帰属されるピークの中から、他の構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。同様に、非晶性部位の構成要素に帰属されるピークの中から、他の構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
結晶構造をとりうる部位の割合は、上記積分値Sおよび積分値Sを用いて、以下のようにして求める。尚、n、nは、それぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
結晶構造をとりうる部位の割合(モル%)
={(S/n)/((S/n)+(S/n))}×100
上記結晶構造をとりうる部位の割合(モル%)を各成分の分子量により質量%に換算する。
以下、実施例を持って本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
<結晶性ポリエステル1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 136.8質量部
・1,4−ブタンジオール 63.2質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステル1を合成した。結晶性ポリエステル1の物性を表1に示す。
<結晶性ポリエステル2の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル2を合成した。結晶性ポリエステル2の物性を表1に示す。
・セバシン酸 76.0質量部
・アジピン酸 55.0質量部
・1,4−ブタンジオール 69.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル3の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル3を合成した。結晶性ポリエステル3の物性を表1に示す。
・ドデカン二酸 112.2質量部
・1,10−デカンジオール 87.8質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル4の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル4を合成した。結晶性ポリエステル4の物性を表1に示す。
・セバシン酸 107.0質量部
・アジピン酸 27.0質量部
・1,4−ブタンジオール 66.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル5の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル5を合成した。結晶性ポリエステル5の物性を表1に示す。
・オクタデカン二酸 152.6質量部
・1,4−ブタンジオール 47.4質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル6の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル6を合成した。結晶性ポリエステル6の物性を表1に示す。
・セバシン酸 112.5質量部
・アジピン酸 22.0質量部
・1,4−ブタンジオール 65.5質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル7の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル7を合成した。結晶性ポリエステル7の物性を表1に示す。
・テトラデカン二酸 135.0質量部
・1,6−ヘキサンジオール 65.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル8の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル8を合成した。結晶性ポリエステル8の物性を表1に示す。
・セバシン酸 125.0質量部
・1,6−ヘキサンジオール 75.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル9の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外は全て同様にして、結晶性ポリエステル9を合成した。結晶性ポリエステル9の物性を表1に示す。
・セバシン酸 138.0質量部
・1,4−ブタンジオール 62.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<非晶性樹脂1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30.0質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
34.0質量部
・テレフタル酸 30.0質量部
・フマル酸 6.0質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に5時間保持し反応を進ませた。非晶性ポリエステルである非晶性樹脂1を得た。非晶性樹脂1は、Mnが2,200、Mwが9,800、Tgは60℃であった。
<非晶性樹脂2の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30.0質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
33.0質量部
・テレフタル酸 21.0質量部
・無水トリメリット酸 1.0質量部
・フマル酸 3.0質量部
・ドデセニルコハク酸 12.0質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、非晶性ポリエステルである非晶性樹脂2を得た。非晶性樹脂2は、Mnが7,200、Mwが43,000、Tgは63℃であった。
<非晶性樹脂3の合成>
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 117.0質量部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 83.0質量部
・アセトン 200.0質量部
撹拌装置および温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記原料を仕込んだ。50℃まで加熱し、15時間かけてウレタン化反応を施した。その後、ターシャリーブチルアルコール3.0質量部を添加し、イソシアネート末端を修飾した。溶媒であるアセトンを留去し、非晶性樹脂3を得た。得られた非晶性樹脂3はMnが4,400、Mwが20,000であった。
<ブロックポリマー1の合成>
・結晶性ポリエステル1 210.0質量部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 56.0質量部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 34.0質量部
・テトラヒドロフラン(THF) 300.0質量部
撹拌装置および温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記原料を仕込んだ。50℃まで加熱し、15時間かけてウレタン化反応を施した。その後、ターシャリーブチルアルコール3.0質量部を添加し、イソシアネート末端を修飾した。溶媒であるTHFを留去し、ブロックポリマー1を得た。得られたブロックポリマーの物性を表3に示す。
<ブロックポリマー2乃至24の合成>
ブロックポリマー1の合成において、表2に示す材料、配合量に変更することによりブロックポリマー2乃至24を得た。得られたブロックポリマー2乃至24の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー25の合成>
・結晶性ポリエステル1 195.0質量部
・非晶性ポリエステル1 105.0質量部
・酸化ジブチル錫 0.1質量部
撹拌装置および温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記原料を仕込んだ。200℃まで加熱し、5時間かけてエステル反応を施した。ブロックポリマー25を得た。得られたブロックポリマー25の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー樹脂溶液1乃至25の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、アセトンを100.0質量部、ブロックポリマー1を100.0質量部投入し、温度40℃で完全に溶解するまで撹拌を続け、ブロックポリマー樹脂溶液1を調製した。ブロックポリマー1に代えてブロックポリマー2乃至25を用いる以外は同様にして、ブロックポリマー樹脂溶液2乃至25を調製した。
<非晶性樹脂溶液1の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、アセトンを100.0質量部、非晶性樹脂2を100.0質量部投入し、温度40℃で完全に溶解するまで撹拌を続け、非晶性樹脂溶液1を調製した。
<樹脂微粒子分散液1の調製>
滴下ろうとを備え、加熱乾燥した二口フラスコに、ノルマルヘキサン870.0質量部を仕込んだ。別のビーカーに、ノルマルヘキサン42.0質量部、ベヘニルアクリレート52.0質量部、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部を仕込み、20℃にて撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ろうとに導入した。反応容器を窒素置換した後、密閉下、40℃にて1時間かけて単量体溶液を滴下した。滴下終了から3時間撹拌を続け、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部およびノルマルヘキサン42.0質量部の混合物を再度滴下し、40℃にて3時間撹拌を行った。その後、室温まで冷却し、個数平均粒径200nm、固形分量20.0質量%の樹脂微粒子分散液1を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液1の調製>
・結晶性ポリエステル9 115.0質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0質量部
・イオン交換水 180.0質量部
以上の各成分を混合し100℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、個数平均粒径が180nm、固形分量が40.0質量%の結晶性ポリエステル樹脂分散液1を得た。
<非晶性樹脂分散液1の調製>
・非晶性樹脂2 115.0質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0質量部
・イオン交換水 180.0質量部
以上の各成分を混合し100℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、個数平均粒径が210nm、固形分量が40.0質量%の非晶性樹脂分散液1を得た。
<非晶性樹脂分散液2の調製>
・非晶性樹脂3 115.0質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0質量部
・イオン交換水 180.0質量部
以上の各成分を混合し100℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、個数平均粒径が200nm、固形分量が40.0質量%の非晶性樹脂分散液2を得た。
<ワックス分散液1の調製>
・カルナウバワックス(融点81℃) 16.0質量部
・ニトリル基含有スチレンアクリル樹脂(スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリロニトリル=60.0/30.0/10.0(質量比)、ピーク分子量8500)
8.0質量部
・アセトン 76.0質量部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を70℃に加熱することでカルナウバワックスをアセトンに溶解させた。
ついで、系内を50rpmで緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃まで冷却させ乳白色の液体を得た。
この溶液を1mmのガラスビーズ20.0質量部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて3時間の分散を行い、ワックス分散液1を得た。
上記ワックス分散液1中のワックス粒子径をマイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)にて測定したところ、個数平均粒子径で170nmであった。特性を表4に示す。
<ワックス分散液2の調製>
・パラフィンワックス(HNP10;融点75℃、日本精蝋社製) 45.0質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0質量部
・イオン交換水 200.0質量部
以上を混合し95℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、個数平均粒径が200nm、固形分量が25.0質量%のワックス分散液2を得た。
<着色剤分散液1の調製>
・C.I.ピグメントブルー15:3 100.0質量部
・アセトン 150.0質量部
・ガラスビーズ(1mm) 200.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカーにて5時間分散を行い、ナイロンメッシュでガラスビーズを取り除き、着色剤分散液1を得た。
<着色剤分散液2の調製>
・C.I.Pigment Blue15:3 45.0質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0質量部
・イオン交換水 200.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカーにて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、着色剤分散液2を得た。
<キャリアの製造>
個数平均粒径0.25μmのマグネタイト粒子に対して、4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で、100℃以上で高速混合撹拌し、マグネタイト粒子を親油化処理した。同様にして、個数平均粒径0.60μmのヘマタイト粉の親油化処理も行った。
・フェノール 10.0質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%) 6.0質量部
・親油化処理したマグネタイト 63.0質量部
・親油化処理したヘマタイト 21.0質量部
上記材料と、28%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃で乾燥して、磁性体が分散された状態の球状の磁性樹脂粒子を得た。
コート樹脂として、メチルメタクリレートとパーフルオロアルキル基を有するメチルメタクリレートの共重合体(共重合比8:1、重量平均分子量45,000)を用いた。該コート樹脂100.0質量部に、粒径290nmのメラミン粒子を10.0質量部、比抵抗1×10−2Ω・cmで粒径30nmのカーボン粒子を6.0質量部加え、超音波分散機で30分間分散させた。更に、コート樹脂分がキャリアコア100質量部に対し、2.5質量部となるようにメチルエチルケトン及びトルエンの混合溶媒コート溶液を作製した(溶液濃度10.0質量%)。
このコート溶液を、剪断応力を連続して加えながら溶媒を70℃で揮発させて、磁性樹脂粒子表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、冷却、解砕した後、200メッシュの篩で分級して個数平均粒径33μm、真比重3.53g/cm、見かけ比重1.84g/cm、磁化の強さ42Am/kgのキャリアを得た。
<実施例1>
(トナー粒子(処理前)1の製造工程)
図1の実験装置において、まず、バルブV1、V2、および圧力調整バルブV3を閉じ、トナー粒子を補足するためのフィルターと撹拌機構とを備えた耐圧の造粒タンクT1に樹脂微粒子分散液1を仕込み、内部温度を30℃に調整した。次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素(純度99.99%)を耐圧容器T1に導入し、内部圧力が5MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。
一方、樹脂溶解液タンクT2にブロックポリマー樹脂溶液1、ワックス分散液1、着色剤分散液1、アセトンを仕込み、内部温度を30℃に調整した。
次に、バルブV2を開き、造粒タンクT1の内部を2000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて樹脂溶解液タンクT2の内容物を造粒タンクT1内に導入し、すべて導入を終えたところでバルブV2を閉じた。
導入後の、造粒タンクT1の内部圧力は8MPaとなった。
尚、各種材料の仕込み量(質量比)は、次の通りである。
・ブロックポリマー樹脂溶液1 160.0質量部
・ワックス分散液1 62.5質量部
・着色剤分散液1 12.5質量部
・アセトン 15.0質量部
・樹脂微粒子分散液1 25.0質量部
・二酸化炭素 280.0質量部
尚、導入した二酸化炭素の質量は、二酸化炭素の温度(30℃)、および圧力(8MPa)から、二酸化炭素の密度を文献(Journal of Physical and Chemical Refarence data、vol.25、P.1509〜1596)に記載の状態式より算出し、これに造粒タンクT1の体積を乗じることにより算出した。
樹脂溶解液タンクT2の内容物の造粒タンクT1への導入を終えた後、さらに、2000rpmで3分間撹拌して造粒を行った。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を造粒タンクT1内に導入した。この際、圧力調整バルブV3を10MPaに設定し、造粒タンクT1の内部圧力を10MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶媒(主にアセトン)を含む二酸化炭素を、溶剤回収タンクT3に排出し、有機溶媒と二酸化炭素を分離した。
造粒タンクT1内への二酸化炭素の導入は、最初に造粒タンクT1に導入した二酸化炭素質量の5倍量に到達した時点で停止した。この時点で、有機溶媒を含む二酸化炭素を、有機溶媒を含まない二酸化炭素で置換する操作は完了した。
さらに、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、造粒タンクT1の内部圧力を大気圧まで減圧することで、フィルターに捕捉されているトナー粒子(処理前)1を回収した。得られたトナー粒子(処理前)1のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、58℃であった。
(アニール処理工程)
アニール処理は、恒温乾燥器(佐竹化学製41−S5)を用いて行った。恒温乾燥器の内部温度を51℃に調整した。
上記トナー粒子(処理前)1を、ステンレス製バットに均等になるように広げて入れ、これを前記恒温乾燥器に入れて12時間静置した後、取り出した。こうして、アニール処理されたトナー粒子(処理後)1を得た。
(トナー1の調製(外添処理))
次に、上記トナー粒子(処理後)1の100.0質量部に対し、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、個数平均粒径(D1)15nm、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.9質量部をまずヘンシェルミキサーにより外添した。さらにオイル処理シリカ微粒子(BET比表面積95m/g、シリコーンオイル15質量%処理)1.2質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子;BET比表面積24m/g、個数平均粒径(D1)110nm)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)FM−10Bにて混合し、トナー1を得た。
トナー1の特性を表4に示す。また、以下に示す手順に従って行った評価の結果を表5に示す。
<耐熱保存性>
約10gのトナー1を100mlのポリカップに入れ、50℃で3日及び50℃で30日放置した後、目視で評価した。
(評価基準)
A:まったく凝集物は確認されず、初期とほぼ同様の状態。
B:若干、凝集気味であるが、ポリカップを軽く5回振る程度で崩れる状態であり、特に問題とならない。
C:凝集気味であるが、指でほぐすと簡単にほぐれる状態である。
D:凝集が激しく発生。
E:固形化しており、使用できない。
<低温定着性の評価>
上記トナー1を8.0質量部と上記キャリア92.0質量部を混合してなる二成分現像剤を調製した。
評価には上記二成分現像剤、カラー複写機CLC5000(キヤノン社製)を用いた。紙上のトナー載り量を0.6/cmになるように上記複写機の現像コントラストを調整し、単色モードで、先端余白5mm、幅100mm、長さ280mmの、「べた」の未定着画像を常温常湿度環境下(23℃/60%RH)で作成した。紙は、厚紙A4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。
次に、LBP5900(キヤノン社製)の定着器を手動で定着温度設定が可能となるように改造し、定着器の回転速度を270mm/s、ニップ内圧力:120kPaに変更した。該改造定着器を用い、常温常湿度環境下(23℃/60%)で、80℃から180℃の範囲で10℃ずつ定着温度を上昇させながら、上記「べた」の未定着画像の各温度における定着画像を得た。
得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)を被せ、該薄紙の上から4.9kPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。このΔD(%)が10%未満のときの温度を定着開始温度とし、以下のような評価基準で低温定着性を評価した。定着開始温度が120℃以下であれば、良好な低温定着性を有すると判断した。
尚、画像濃度はカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A:製造元 X−Rite社製)で測定した。
ΔD(%)={(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度}×100
<定着可能温度領域の評価>
上記低温定着性の評価より、紙を普通紙A4用紙(「オフィスプランナー」:64g/m、キヤノン製)に変更して定着性の評価を行った。定着後の画像より、目視にて定着器2周目に、前周期の高温オフセットトナーが見られた点を高温オフセット開始温度と判断し、高温オフセット開始温度より低い温度の最高温度を高温定着温度と判断した。なお、180℃まで高温オフセットが発生しなかったものに関しては、180℃を高温定着温度とした。
上記低温定着性の定着開始温度と高温定着温度の差(高温定着温度−定着開始温度)を定着可能温度領域とし、以下の判断を行った。尚、定着可能温度領域は、広い方が優れている。
<光沢度>
上記定着可能温度領域の評価で得た定着画像を用い、画像の光沢度を評価した。光沢度の測定には、日本電色社製光沢度計を用いた。測定にあたっては、受光角度を75°の条件で、標準板を用い0点調整を行い、標準設定を行った後に、白色紙を3枚重ねた上に試料画像を置き測定を行う。表示部に示される数値を%単位で読み取り、各温度で定着された定着画像のうちの最高値で評価した。尚、光沢度は、高い数値の方が優れている。
<低温での折り曲げ試験>
定着開始温度よりも10℃高い条件で転写紙上に「べた」の定着画像を形成した。画像側を上面にして画像部に折り目が来るようにして転写紙を谷折にし、折り曲げ部の画像うらから4.9kPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。折り曲げた転写紙を元に戻し、転写紙を90°回転して折り目がほぼ垂直に交差するように再び谷折にした。そして、折り曲げ部の画像裏から4.9kPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。更に折り曲げた画像を元に戻し、2回の折り曲げで出来た交差部分の画像領域に、柔和な薄紙(商品名「ダスパー」、小津産業社製)を被せ、該薄紙の上から4.9kPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。
(評価基準)
A:交差部分に剥離が見られず、色の変色のないもの。
B:交差部分に剥離はおきていないが、若干の色味が変わっているもの。
C:交差部分に若干の剥離が発生し、紙の下地部分が見えるもの。
D:交差部分にだけでなく、折り曲げ部にも若干の下地部分が見えるもの。
E:折り曲げ部の摺擦部分が完全に剥離しているもの。
<比較例1>
(トナー粒子2の製造工程)
・結晶性ポリエステル樹脂分散液1 42.5質量部
・非晶性樹脂分散液1 170.0質量部
・着色剤分散液2 25.0質量部
・ワックス分散液2 40.0質量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.41質量部
以上の各成分を丸型ステンレス製フラスコ中に入れ、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36質量部を加え、ウルトラタラックスT50で分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら47℃まで加熱し、この温度で60分間保持した後、ここに樹脂微粒子分散液1の31.0質量部を緩やかに追加した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.4にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、300rpmで15分間撹拌・洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.0になったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続し、トナー粒子2を得た。得られたトナー粒子2のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は50℃であった。
(トナー2の製造工程)
次に、上記トナー粒子2を用いて、アニール工程をかけることなく、実施例1と同様の外添処理を行いトナー2を得た。トナー2の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<比較例2>
上記トナー粒子2を用い、アニール温度を43℃に変更した以外は実施例1と同様のアニール処理を行いトナー粒子3を得た。得られた粒子に対して、実施例1と同様に外添処理を行いトナー3を得た。トナー3の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<比較例3>
トナー粒子2の製造工程における、分散液の配合量を以下のように変更してトナー粒子(処理前)4を作製した。
・結晶性ポリエステル樹脂分散液1 150.0質量部
・非晶性樹脂分散液2 64.0質量部
・着色剤分散液2 25.0質量部
・ワックス分散液2 40.0質量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.41質量部
得られたトナー粒子(処理前)4のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は58℃であった。実施例1と同様のアニール処理を行いトナー粒子(処理後)4を得、実施例1と同様に外添処理を行いトナー4を得た。トナー4の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<比較例4>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液25に変更し、トナー粒子(処理前)5を得た。得られたトナー粒子(処理前)5のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は58℃であった。実施例1と同様のアニール処理を行いトナー粒子(処理後)5を得た。得られた粒子を用いて、実施例1と同様の外添処理を行いトナー5を得た。トナー5の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<比較例5>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液2に変更し、トナー粒子(処理前)6を得た。得られたトナー粒子(処理前)6のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は59℃であった。このトナー粒子(処理前)6に対して、アニール工程をかけることなく、実施例1と同様の外添処理を行いトナー6を得た。トナー6の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<参考例1、2>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液3、4に変更し、トナー粒子(処理前)7、8を得た。得られたトナー粒子(処理前)7、8のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は、夫々42℃、79℃であった。得られたトナー粒子(処理前)7、8を用いて、アニール温度を夫々35℃、72℃に変更する以外は実施例1と同様のアニール処理を行った。得られた粒子に対して、実施例1と同様の外添処理を行いトナー7、8を得た。トナー7、8の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<参考例3、4>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液5、6に変更し、トナー粒子(処理前)9、10を得た。得られたトナー粒子(処理前)9、10のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は、どちらも58℃であった。得られたトナー粒子(処理前)9、10を用いて、実施例1と同様のアニール処理を行った。得られた粒子に対して、実施例1と同様にして外添処理を行いトナー9、10を得た。トナー9、10の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<参考例5乃至7>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液7乃至9に変更し、トナー粒子(処理前)11乃至13を得た。得られたトナー粒子(処理前)11乃至13のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は、いずれも58℃であった。得られたトナー粒子(処理前)11乃至13を用いて、実施例1と同様のアニール処理を行った。得られた粒子に対して、実施例1と同様にして外添処理を行いトナー11乃至13を得た。トナー11乃至13の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<実施例2乃至5>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液10乃至13に変更し、トナー粒子(処理前)14乃至17を得た。得られたトナー粒子(処理前)14乃至17のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は、夫々50℃、75℃、53℃、66℃であった。アニール温度を、夫々43℃、68℃、46℃、59℃に変更する以外は実施例1と同様のアニール処理を行った。得られた粒子に対して、実施例1と同様にして外添処理を行いトナー14乃至17を得た。トナー14乃至17の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<実施例6、7>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液14、15に変更し、トナー粒子(処理前)18、19を得た。得られたトナー粒子(処理前)18、19のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は、どちらも58℃であった。実施例1と同様のアニール処理、外添処理を行いトナー18、19を得た。トナー18、19の特性を表4に、評価結果を表5に示す。
<実施例8>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1の代わりに、ブロックポリマー樹脂溶液2を152.0質量部と非晶性樹脂溶液1を8.0質量部使用して、トナー粒子(処理前)20を得た。得られたトナー粒子(処理前)20のDSC測定での最大吸熱ピークのピーク温度は59℃であった。アニール温度を52℃に変更する以外は、実施例1と同様のアニール処理を行った。得られた粒子に対して、実施例1と同様にして外添処理を行いトナー20を得た。トナー20の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<実施例9>
比較例5のトナー粒子(処理前)6を用いて、アニール温度を49℃に処理時間を2時間に変更する以外は実施例1と同様のアニール処理を行った。得られた粒子に対して、実施例1と同様にして外添処理を行いトナー21を得た。トナー21の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<実施例10>
アニール温度を52℃に、処理時間を50時間に変更する以外は実施例9と同様にしてトナー22を得た。トナー22の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<実施例11>
アニール温度を52℃に、処理時間を2時間に変更する以外は実施例9と同様にしてトナー23を得た。トナー23の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
<実施例12乃至20>
実施例1のトナー粒子(処理前)1の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液16乃至24に変更し、トナー粒子(処理前)24乃至32を得た。得られたトナー粒子(処理前)24乃至32のDSC測定での最大級熱ピークのピーク温度はいずれも58℃であった。実施例1と同様のアニール処理を行い、得られた粒子に対して、実施例1と同様にして外添処理を行いトナー24乃至32を得た。トナー24乃至32の特性を表4に、実施例1と同様にして行った評価の結果を表5に示す。
T1 造粒タンク
T2 樹脂溶解液タンク
T3 溶剤回収タンク
B1 二酸化炭素ボンベ
P1、P2 ポンプ
V1、V2 バルブ
V3 圧力調整バルブ

Claims (5)

  1. ポリエステルユニットを主成分とする樹脂(a)を含有する結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子を含有するトナーであって、
    該樹脂(a)は結晶性樹脂であり、
    示差走査熱量計を用いた該トナーの吸熱量測定において、該結着樹脂に由来する吸熱ピーク温度(Tp)が50℃以上80℃以下であり、
    該トナーの粘弾性測定において、温度T[℃]における損失弾性率G”[Pa]をG”(T)とした時、G”(Tp−10)が5.0×10Pa以上5.0×10Pa以下、G”(Tp+10)が5.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であり、且つ、損失弾性率G”[Pa]が下式(1)乃至(3)
    −0.10≦Log[G”(Tp−20)]−Log[G”(Tp−10)]≦0.50・・・(1)
    0.10≦Log[G”(Tp+10)]−Log[G”(Tp+30)]≦1.00・・・(2)
    Log[G”(Tp−5)]−Log[G”(Tp+5)]≧1.0 ・・・(3)
    を満足することを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定において、数平均分子量(Mn)が8,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が15,000以上60,000以下であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
  3. 該樹脂(a)は、結晶構造をとりうる部位を有するブロックポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 該樹脂(a)は、結晶構造をとりうる部位と結晶構造をとらない部位とが、ウレタン結合で結合したブロックポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  5. 該樹脂(a)は、結晶構造をとりうる部位を、該樹脂(a)の全量に対し50質量%以上含有することを特徴とする請求項3又は4に記載のトナー。
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