JP5733550B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、容量が向上されたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と、それら両電極間に介在された電解質とを備え、該電解質中のリチウムイオンが両電極間を行き来することにより充放電を行う。正極においてリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する活物質としては、主としてリチウム含有遷移金属酸化物が使用される。正極材料に関する技術文献として特許文献1および2が挙げられる。
特開2008−84766号公報 特開2005−285545号公報
近年、リチウムイオン二次電池の利用拡大に伴い、更なる性能向上が求められている。例えば、NiOを添加した正極活物質を用いることにより、充電状態での高温保存性や出力特性を向上させ得ることが報告されている(特許文献1,2)。しかし、かかる電池は、NiOの添加により単位質量当たりのLi量が減少し、十分な容量が得られない場合があった。
本発明は、NiOを含む正極を備え、且つより高い容量を示し得るリチウムイオン二次電池を提供することを一つの目的とする。また、かかるリチウムイオン二次電池を製造する方法を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者は、正極活物質として、LiMOとLiMnOとの固溶体(LiMO−LiMnO)に着目した。かかる正極活物質を用いた電池は、使用時の上限電圧を通常値(典型的には4.1〜4.3V程度)よりも高い値(例えば、4.5〜4.8V程度)に設定することにより、高容量化することができる。しかし、このように高い電圧域でかかる電池を初期充電すると、著しい量のLiが不可逆容量として失われる場合がある。本発明者は、LiMO−LiMnO系正極活物質にNiOを単に添加するだけでなく、所定の加工処理を施すことにより、NiO使用による容量低下および上述のような不可逆容量発生による容量低下が十分に低減され、より高い容量のリチウムイオン二次電池が実現され得ることを見出して本発明を完成した。
本発明によると、正極と負極と非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池が提供される。その正極は、LiMOとLiMnOとNiOとの固溶体を正極活物質として含む。かかるリチウムイオン二次電池によると、NiOを固溶させたLiMO−LiMnO系正極活物質を用いることから、上限電圧を通常より高く設定しても、初期充電の際に正極特性に起因する容量低下が低減され得ることから、より高い電池容量を実現することができる。
一態様では、上記正極活物質に含まれるNiOの量は、3〜13質量%である。かかる構成のリチウムイオン二次電池によると、初期充電時、通常の上限電圧値より高い電圧域における容量低下をより高度に低減することができる。
本発明によると、また、リチウムイオン二次電池の製造方法が提供される。その製造方法は、
(A)LiMOとLiMnOとの固溶体とNiOとを混合したものに固溶処理を施して正極活物質を調製すること;および、
(B)上記正極活物質を含む正極を用いてリチウムイオン二次電池を構築すること;
を特徴とする。
かかる製造方法によると、初期充電時、通常の上限電圧値より高い電圧値まで充電しても、容量低下が抑制され、より高い容量を示し得るリチウムイオン二次電池が実現され得る。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の一態様では、上記中間体に固溶させるNiOの量が、上記正極活物質の3〜13質量%である。かかる製造方法によると、上述のような容量低下がより高度に低減され、より高い容量のリチウムイオン二次電池が実現され得る。
本明細書に開示される内容には、
(C)LiMOとLiMnOとの固溶体とNiOとを混合したものを、500〜800℃にて加熱して正極活物質を調製すること;および、
(D)上記正極活物質を含む正極を用いてリチウムイオン二次電池を構築すること;
を特徴とする、リチウムイオン二次電池の製造方法が含まれる。かかる製造方法によると、LiMO−LiMnO固溶体とNiOとの混合物に対する固溶処理を好適に行うことができる。
上述のように通常よりも高い上限電圧まで使用可能であり、且つ容量のより高い電池は、車両において使用される電源として好適である。したがって、本発明によると、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池またはここに開示されるいずれかの方法により製造されたリチウムイオン二次電池を備えた車両が提供される。特に、かかるリチウムイオン二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好ましい。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。 実施例において作製したコインセルの形状を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、正極活物質として、LiMOとLiMnOとNiOとの固溶体を、一種または二種以上含む。これら酸化物は、それぞれ、この固溶体の結晶を構成する相の組成を示すものであって、該固溶体の形成に用いられる出発原料は、これらと同じであってもよく、異なってもよい。上記固溶体は、LiMOおよびLiMnOの二相が共存する正極活物質の結晶内に、NiOが固溶によって取り込まれたもの(すなわち、NiOが固溶されたLiMO−LiMnO系正極活物質)としても把握され得る。なお、本明細書において、固溶体とは、その原料が単に混合されたものではなく、混合後に固溶処理を施されたものを指し、該固溶体の結晶構造は、均一でなくてもよく、各構成元素の分布に部分的な偏差があってもよい。また、固溶処理後、NiOの一部は結晶外(例えば、結晶表面)に存在する状態であってもよい。
LiMOは、層状岩塩型の結晶構造を有する。Mは、遷移金属イオンを表し、例えば、Ni,Co,Mn,V,Ti,Cu,Zn,Mo,Fe,Zr等から選択される一種または二種以上であり得る。LiMOは、Mとして、これら遷移金属に加え、層状岩塩型結晶構造が損なわれない範囲で、非遷移金属または半金属(例えば、Al,Si,Mg,Ca等から選択される一種または二種以上)を含んでもよい。LiMOの具体例としては、LiNiCoMn(x+y+z=1),LiNiAl(x+y=1),LiCoAl(x+y=1),LiMnAl(x+y=1)等が挙げられる。特に好ましい例として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3が挙げられる。なお、本明細書におけるLiMOの概念に、下記のLiMnOは含まれないものとする。
LiMnOは、LiMOと同様の層状岩塩型結晶構造を有する。LiMnOは、LiLi1/3Mn2/3と表すこともでき、上記LiMOにおけるMがLi1/3Mn2/3である化合物としても把握され得る。すなわち、上記組成式LiLi1/3Mn2/3は、LiMnO中、25%のLi(LiLi1/3Mn2/3中のLi1/3に相当するLi)は、結晶内において、層間ではなく、LiMO中のMと同様に、八面体サイトに位置していることを示す。上記固溶体に含まれるLiMnOの量は、1モルのLiMOに対し、0.1モル〜5モル(例えば、0.5モル〜4モル)程度とすることが好ましい。LiMO量に対するLiMnOの量が多すぎると、初期充電時の容量低下が大きくなりすぎる場合がある。LiMnOの量が少なすぎると、十分な容量を得られないことがある。
NiOは、固溶により、LiMOおよびLiMnOから形成される層状岩塩型結晶構造の一部(典型的には、八面体構造部)に組み込まれた態様をなす。上記固溶体に含まれるNiOの量は、1モルのLiMnOに対し、凡そ0.08モル〜0.45モル(例えば、0.1モル〜0.4モル)程度とすることが好ましい。一態様では、例えば、NiOが、正極活物質の総量の3〜13質量%程度となるように、該固溶体を形成する。かかる態様は、LiMOとしてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いた場合に好適である。NiOの固溶量が多すぎると、相対的にLi量が少なくなり、十分な容量が得られない場合がある。NiOの固溶量が少なすぎると、初期充電時の容量低下を抑制する効果が十分に得られない場合がある。
上記固溶体の製造方法は、層状岩塩型の結晶構造を構築可能であれば特に制限されず、従来公知の方法(例えば、ソルゲル法、共沈法、フラックス法、焼結法等)を適宜採用することができる。上記固溶体の形成は、一度に行ってもよく、多段階に亘って行ってもよい。
ここに開示される正極活物質としての固溶体は、例えば、LiMOとLiMnOとの固溶体(中間体)を用意し、当該中間体とNiOとの混合物に対して、固溶処理を行うことによって製造することができる。かかる製造方法によると、LiMOとLiMnOとから、層状岩塩型の結晶骨格を構築した後、NiOを効率よく結晶内に組み込むことができる。
上記中間体は、例えば、LiMO相およびLiMnO相に含まれる各金属(すなわち、Li,一種または二種以上のM,Mn)の塩(酢酸塩、アルコキシド、塩化物塩等)を、各金属元素が所望のモル比となるように秤量し、適当な溶媒(混合溶媒であり得る。)に溶解または分散した後、必要であれば溶媒除去等の処理を行ってから、200〜1100℃(例えば200〜1000℃)程度で焼成することによって形成することができる。該焼成は、一度に行ってもよく、あるいは、異なる温度設定で多段階に亘って行ってもよい。例えば、仮焼成を200〜700℃程度で行った後、典型的には粉砕混合した後、本焼成を600〜1100℃程度で行うことができる。
上記固溶処理の方法は特に制限されないが、例えば、所望の質量比またはモル比となるように秤量した上記中間体とNiOとの混合物を、適当な溶媒(混合溶媒であり得る。)に溶解または分散した後、必要であれば溶媒除去等の処理を行ってから、500〜800℃程度で加熱することによって実施することができる。NiOとしては、純度が凡そ90%以上のものを特に制限なく使用することができる。
上記溶媒としては、例えば、水、エタノール等のアルコール類、ヘキサン等の有機溶媒、またはこれらを二種以上含む混合溶媒等を使用することができる。
上記(A)工程において、焼成温度が高すぎると、活物質中のLiが蒸発する場合がある。焼成温度が低すぎると、十分に固溶させることが困難になる場合がある。また、上記(B)工程において、焼成温度が高すぎると、表面積が小さくなりすぎる場合がある。焼成温度が低すぎると、固溶が不完全となり、初期充電時に十分な容量低下抑制効果が得られない場合がある。焼成時間は、いずれの場合も、例えば、1時間〜5時間程度とすることができる。これら焼成工程は、大気中にて行うことができる。
本発明によると、ここに開示されるいずれかの正極活物質を有する正極を備えることを特徴とする、リチウムイオン二次電池が提供される。かかるリチウムイオン二次電池の一実施形態について、電極体および非水電解液を角型形状の電池ケースに収容した構成のリチウムイオン二次電池100(図1)を例にして詳細に説明するが、ここに開示される技術はかかる実施形態に限定されない。すなわち、ここに開示されるリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、その電池ケース、電極体等は、用途や容量に応じて、素材、形状、大きさ等を適宜選択することができる。例えば、電池ケースは、直方体状、扁平形状、円筒形状等であり得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
リチウムイオン二次電池100は、図1および図2に示されるように、捲回電極体20を、図示しない電解液とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10の開口部12より内部に収容し、該ケース10の開口部12を蓋体14で塞ぐことによって構築することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14の表面側に突出するように設けられている。
上記電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に正極活物質層34が形成された正極シート30と、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40とを、2枚の長尺シート状のセパレータ50と共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極活物質層34が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体32が露出するよう形成されている。同様に、捲回される負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極活物質層44が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
上記正極シート30は、例えば、ここに開示されるいずれかの正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(正極合材)を正極集電体32に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。導電材は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。正極合材に含まれる導電材の量は、正極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよい。
結着剤としては、例えば、水に溶解する水溶性ポリマーや、水に分散するポリマー、非水溶媒(有機溶媒)に溶解するポリマー等から適宜選択して用いることができる。また、一種のみを単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
水分散性ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類等が挙げられる。
非水溶媒(有機溶媒)に溶解するポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等が挙げられる。
結着剤の添加量は、正極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよい。
正極集電体32には、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状のアルミニウム製の正極集電体32が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシートが好ましく使用され得る。
負極シート40は、例えば、負極活物質を、必要に応じて結着剤(バインダ)等とともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(負極合材)を負極集電体42に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、好適な負極活物質としてカーボン粒子が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。中でも特に、天然黒鉛等の黒鉛粒子を好ましく使用することができる。
結着剤には、上述の正極と同様のものを、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に限定するものではないが、負極活物質100質量部に対する結着剤の使用量は、例えば0.1〜10質量部の範囲とすることができる。
負極集電体42としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。また、負極集電体42の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状の銅製の負極集電体42が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが6μm〜30μm程度の銅製シートを好ましく使用され得る。
上記非水電解液は、非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩を含む。該支持塩としては、一般的なリチウムイオン二次電池に支持塩として用いられるリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。かかるリチウム塩として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解液は、例えば、上記支持塩の濃度が0.7〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる有機溶媒を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、ECおよびDECの混合溶媒を好ましく使用することができる。
上記セパレータ50は、正極シート30および負極シート40の間に介在する層であって、典型的にはシート状をなし、正極シート30の正極活物質層34と、負極シート40の負極活物質層44にそれぞれ接するように配置される。そして、正極シート30と負極シート40における両電極活物質層34,44の接触に伴う短絡防止や、該セパレータ50の空孔内に上記電解液を含浸させることにより電極間の伝導パス(導電経路)を形成する役割を担っている。かかるセパレータ50としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。特に、PEシート、PPシート、PE層とPP層とが積層された多層構造シート、等を好適に使用し得る。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
本発明を実施する上で、LiMO−LiMnO系正極材料にNiOを固溶させることにより、初期充電時の容量低下が低減される機構について解明する必要はないが、以下のようなことが考えられる。
NiOを添加すると、高温保存性や出力特性の向上等が実現され得る反面、単位質量当たりのリチウム量が減少することにより、電池容量が低下し得る。また、LiMO−LiMnO系リチウムイオン二次電池を初期充電すると、両端子間の電圧が低い段階では、主に層間のLiが脱離し、該電圧が4.5V以上になると、LiMnO相の八面体サイトのLiが脱離しはじめる。そして、八面体サイトのLi脱離に伴い、該八面体の頂点を形成するOが電荷補償のため結晶外へ放出され、結晶構造に酸素ホールが発生する。このようにして、Oで囲まれた八面体サイトが減少するため、脱離したLiの一部が、放電時、結晶内に戻れなくなり、不可逆容量となってしまい、これもまた電池の容量低下を招く。
一方、NiOが固溶されたLiMO−LiMnO系リチウムイオン二次電池では、NiOが結晶構造(八面体構造部)に組み込まれ、結晶内にNi2+が存在することから、LiMnO相の八面体サイトからLiが脱離する際、例えば、反応式:NiO + xO → NiO1+x;で表されるように、Ni2+の価数が変化することにより電荷補償が行われる。このことにより、初期充電時、Oの放出が防がれ、Liを吸蔵可能な八面体サイトが維持されることにより、不可逆容量の発生が抑制され得る。すなわち、NiOによる容量低下分の少なくとも一部が、LiMnOの使用と高い上限電圧設定による容量増加効果と固溶されたNiOによる不可逆容量低減効果とで相殺される。ここで、NiOがLiMO−LiMnO系正極材料に固溶されず、単に混合されているだけでは、結晶内にNi2+が組み込まれていないことから、上述のような電荷補償機構が機能しない。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
モル比Li:Ni:Co:Mnが9:1:1:4となるよう各々精秤した酢酸リチウム、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、酢酸マンガンを、グリコール酸とともに純水に加え攪拌、溶解した。80℃で水を蒸発させて除去した後、500℃にて焼成(仮焼成)した。これを粉砕・混合した後、さらに800℃にて焼成(本焼成)し、本例に係る正極活物質として、組成式がLiNi1/3Co1/3Mn1/3:LiMnO(モル比 1:1)である化合物Mを得た。化合物MとNiOとを、質量比が90:10となるように粉砕・混合して本例の正極活物質を得た。
この正極活物質とカーボンブラック(導電材)とを質量比が80:15となるように混合した。これに、PVDFを溶解したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、スラリー状の正極合材を得た。このスラリーを、厚さ10μmのアルミニウム箔に塗布して正極シートを得た。
上記正極シートを直径16mmの円形に打ち抜いて、試験用正極を得た。図4に示されるように、この正極61と、リチウム負極62(直径19mm、厚さ0.15mmの金属リチウム箔)と、電解液(1M LiPF溶液(体積比3:7のEC/DMC混合溶媒))の含浸したセパレータ63(直径22mmの円形多孔質ポリエチレンシート)と、をステンレス製容器65(対極端子)に組み込み、ガスケット64および蓋66(作用極端子)で封止して、直径20mm、厚さ3.2mmの2032型コインセル60(評価用ハーフセル)を構築した。
<例2>
例1で得た化合物MとNiOとを、質量比M:NiOが95:5となるように粉砕・混合し、600℃で焼成して本例の正極活物質を得た。この正極活物質を用いた他は例1と同様にして、2032型コインセルを構築した。
<例3>
M:NiOを90:10とした他は例2と同様にして、2032型コインセルを構築した。
<例4>
M:NiOを85:15とした他は例2と同様にして、2032型コインセルを構築した。
<例5>
M:NiOを80:20とした他は例2と同様にして、2032型コインセルを構築した。
<例6>
例1で得た化合物Mのみを正極活物質として用いた他は例1と同様にして、2032型コインセルを構築した。
[初期放電容量測定]
各電池セルに対し、0.1C(1Cは、1時間で満充放電可能な電流値)のレートで両端子間の電圧が4.8Vとなるまで充電した。次いで、1Cのレートで両端子間電圧が2.5Vとなるまで放電し、その際の容量を初期放電容量(mAh/g)として測定した。その測定結果を、各例において使用したNiO量と併せて表1に示す。
Figure 0005733550
表1に示されるとおり、LiMO−LiMnO固溶体とNiOとの混合物を用いてなる例1の電池と比べ、LiMO−LiMnO固溶体とNiOとを固溶させてなる例2〜5の電池は、初期充電後の容量が10〜35mAh/gも高かった。中でも、例2,3の電池は、NiOが使用されているにも拘わらず、NiO不使用の例6の電池よりも高い容量を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 車両
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
38 正極端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50 セパレータ
60 2032型コインセル
100 リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. 正極と負極と非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、LiMOとLiMnOとNiOとの固溶体であって、該固溶体に含まれるNiOの量が1モルのLi MnO に対して0.08モル〜0.45モルである固溶体を正極活物質として含
    ここで前記LiMO およびLi MnO は何れも層状岩塩型結晶構造を有する化合物であり、LiMO 中の元素Mは、該層状岩塩型結晶構造のLiMO を形成可能な必須の構成元素として一種または二種以上の遷移金属元素を包含し、それ以外の任意構成元素として一種又は二種以上の非遷移金属元素または半金属元素を包含するか若しくは該任意構成元素を含まない、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記正極活物質が、NiOを3〜13質量%含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. リチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
    (A)LiMOとLiMnOとの固溶体とNiOとの混合物に固溶処理を施してLiMO とLi MnO とNiOとの固溶体であって該固溶体に含まれるNiOの量が1モルのLi MnO に対して0.08モル〜0.45モルである固溶体からなる正極活物質を調製すること、ここで前記LiMO およびLi MnO は何れも層状岩塩型結晶構造を有する化合物であり、LiMO 中の元素Mは、該層状岩塩型結晶構造のLiMO を形成可能な必須の構成元素として一種または二種以上の遷移金属元素を包含し、それ以外の任意構成元素として一種又は二種以上の非遷移金属元素または半金属元素を包含するか若しくは該任意構成元素を含まない;および、
    (B)上記正極活物質を含む正極を用いてリチウムイオン二次電池を構築すること;
    を特徴とする、リチウムイオン二次電池製造方法。
  4. 前記固溶処理として、前記混合物を500〜800℃にて加熱する、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池製造方法。
  5. 前記正極活物質に含まれるNiOの量が、該正極活物質の総量の3〜13質量%である、請求項3または4に記載のリチウムイオン二次電池製造方法。
  6. 請求項1もしくは2に記載のリチウムイオン二次電池、または請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法により製造されたリチウムイオン二次電池を備える、車両。
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