JP5732496B2 - Dna分子及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グラム陽性細菌細胞のDNAに変異を導入する分子を用いたDNA分子及び方法に関し、特にクロストリジウム綱の細胞に関する。
クロストリジウム綱は、クロストリジウム目、ハロアナエロビウム目及びサーモアナエロバクター目を含む。クロストリジウム目はクロストリジウム科を含み、クロストリジウム科はクロストリジウム属を含む。
クロストリジウムは、最も大きなバクテリア属の1つである。クロストリジウムは偏性嫌気性で、グラム陽性であり、胞子を形成する。特定のメンバー、例えば、クロストリジム・サーモセラム及びクロストリジウム・アセトブチリカムは、工業規模の化学燃料の生成に使用されうる。この後者のクロストリジウムの種類は、他の良性の代表的な種類と共に、癌に対する治療薬の搬送手段としての明白なポテンシャルを更に有する。しかしながら、前記属は、例えば、クロストリジウム・ディフィシレ、ボツリヌス菌及びクロストリジウム・パーフリンジェンスが人間や家畜の病気を引き起こすことから、最大の悪評を得るに至っている。
前記属の多大なコマーシャル及び医学的重要性に関わらず、それらが引き起こす病気に対抗する効果的な開発又は合理的取り組みの進展の進行程度は、分子レベルでの有機的組成体の生物学の基本的理解が欠如しているために、大幅に遅れている。これは、有効な遺伝的手段の不存在によるところが大きい。
近年では、すべての主たる種類の完全なゲノム配列は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ボツリナム及びクロストリジウム・パーフリンジェンスを含む少なくとも1つの代表的なストレインから決定されている。他の細菌種において、このような知識は、より効果的な疾病管理又は改善されたプロセスのプロパティによるストレインの生成のきっかけになりうる。このような取り組みにおける極めて重要な手段は、DNAをゲノムに合理的に組み込む機能である。このような技術は、(i)生理学及び病因論を理解するのに不可欠な最初の手段としての、機能を個々の遺伝子又は遺伝子セット(に帰着させる)のものとする手段としての特定の突然変異体の生成、(ii)所望の商業的商品の製造を増進する手段としての、規制又は構造遺伝子の挿入的な不活性化、及び(iii)外来要素をコードする遺伝情報の安定的な導入、に利用しうる。しかしながら、現在のところ、突然変異研究に効果的なインテグレーションベクターはいずれのクロストリジウム種にもなく、前記属の遺伝子を挿入的に不活性にする機能はひどく不十分なままである。
クロストリジウム種において突然変異体を作る従前の試みは、インテグレーションベクター及び宿主染色体の相同的組み換えに依存していた。クロストリジウム・パーフリンジェンス・ストレイン13、クロストリジウム・バイジェリンキーNCIMB8052、クロストリジウム・アセトブチリクムATCC824及びクロストリジウム・ディフィシレCD37において、宿主染色体の領域を運搬するマイナス鎖複製プラスミドの、相同的組み換えによるゲノムのインテグレーションが示されている(Shimizu等(1994)J.Bacteriol.176:1616−23; Wilkinson及びYoung(1994)Microbiol.140:89−95; Green等(1996)Microbiol.142:2079−2086; Liyanage等(2001)Appl.Environ.Microbiol.67:2004−2010)。クロストリジウム・バイジェリンキー及びクロストリジウム・ディフィシレの場合、ベクターはE.coliドナーから集められた。クロストリジウム・パーフリンジェンス及びクロストリジウム・アセトブチリカムでは、プラスミドは形質変換により導入された。受容体ごとに、10−6〜10−7の頻度で、クロストリジウム・バイジェリンキーの組込み体が生じ、それは複製能の高いプラスミドにより観察された伝達頻度(10−4〜10−5)より低い2桁を示した(Wilkinson及びYoung,1994、上記と同様)。クロストリジウム・ディフィシレの場合、達成される頻度の兆候は報告されなかった(Liyanage等,2001、上記と同様)。クロストリジウム・アセトブチリカムの場合、DNAμgあたりの0.8〜0.9「コロニー」の頻度で組込み体が生じた(Green等,1996、上記と同様)。上記の組込み体においては、標的部位におけるプラスミド配列の隣りに、インテグレーションを命令するDNAセグメントの直接反復コピーが配置されていた。結果として、それらは分離的に不安定であり、例えば、クロストリジウム・アセトブチリカムについて30生成ごとに1.8〜3.0×10−3の間の損失(Green等,1996、上記と同様)、クロストリジウム・バイジェリンキーについて0.37〜1.310−3の間の損失(Wilkinson及びYoung,1994、上記と同様)がある。
対立遺伝子の変化の結果得られる組込み体が好ましいということが理解される。したがって、クロストリジウム・パーフリンジェンスにおいてダブルクロスオーバー突然変異体が捜し出され、取得された(Awad等(1995)Mol.Microbiol.15:191−202; Bannam等(1995)Mol.Microbiol.16:535−551)。しかしながら、対立遺伝子の変化は、標的遺伝子の不活性化に利用される抗生物質対抗性遺伝子の両側にかなり長い(3.0kb)相同性の領域を含むことで可能となることが確認されるのみだった。更に、この対策によっても突然変異体の単離は非常に変化しやすいことが確認されており(例えば、plc突然変異体は10回の独立した実験のうち2しか取得されなかった)、多くの突然変異体は単離に最高で6か月かかる可能性があり、他はまったく単離されないこともある。DNAがこの有機的組織体内に移動しうる高い頻度の結果として、クロストリジウム・パーフリンジェンスにおいてまれなインテグレーションの事例が検知された。他のクロストリジウム種においてダブルクロスオーバー突然変異体を生成する試みは成功しなかった。
現在まで、伝統的な相同的組み換えを用いて、クロストリジウム・パーフリンジェンス以外のクロストリジウム種の範囲における、突然変異体の生成は、難しいことが確認されている。したがって、クロストリジウム・アセトブチリカムにおいては5つの突然変異体のみが作られている。複製欠損プラスミドの単一のクロスオーバーインテグレーションにより、4つ(butK,CAC3075;pta,CAC1742;aadCACP0162,及び;solR,CACP061)が作られ(Green等,1996、上記と同様;Green及びBennett(1996)Appl.Biochem.Biotechnol.213,57−58;Harris等(2002)J.Bacteriol.184,3586−3597)、一方で、成功していないが、複製欠損プラスミドを用いた相互交換によって突然変異の生成を行おうとする戦略により、spo0A(CAC2071)の5つが単離された(Nair等(1999)J.Bacteriol.181,319−330)。同様に、クロストリジウム・ディフィシレでは3つの特異的突然変異体のみの生成が報告されている。1つの突然変異体(gldA,CD0274)が、複製欠損プラスミドを用いて生成されたが(Liyanage等,2001、上記と同様)、この事例は致命的であり、突然変異体細胞は繁殖することができないようだった。他の不活性化された2つの遺伝子(rgaR,CD3255及びrgbR,CD1089)が、2つの構造遺伝子の内部フラグメントを担持する複製欠損プラスミドの導入に続いて生じる(O‘Conner等(2006)Mol.Microbiol.61,1335−1351)。これら後者のプラスミドは、「若干の問題」と共に導入されたようだが、組込み体が単離されたものの、単離頻度は書きとめられなかった。実際に、突然変異体が生成された頻度の表示が一般的に示されていないことから、双方の有機的組織体で用いられた突然変異生成手順の効率の評価を作るのは困難である。クロストリジウム・アセトブチリカムの場合、「μgプラスミドDNAにつき1未満の形質変換細胞」になることが認められている(Thomas等,(2005)Metabolic engineering of soventogenic closridia.In:Durre,P.Handbook on Clostridia,CRC Press.pp813−830)。更に、これらの突然変異体の大部分が単一のクロスオーバーインサーションによって作られるため、プラスミドのエクシジョンのために不安定である。例えば、クロストリジウム・ディフィシレrgaR突然変異体のサザンブロッティングは、個体群におけるいくつかの細胞のプラスミドを独立して複製し、「ループアウト(looped out)」の存在を明らかにする(O‘Conner等,2006、上記と同様)。
細菌ゲノムの効果的な組み換えをもたらす可動性の遺伝要素を含むシステムを利用する技術が、ますます考え出されている。乳酸連鎖球菌のグループIIイントロンL1.LtrBは、イントロンコード逆転写酵素(LtrA)及び切り出された投げ縄型RNAの働きを介して、それ自体の可動性を調整する要素である。更に、それは、イントロンRNA組み換えを介してほとんどのいかなる所望のDNA配列をも標的としうる(Guo等(2000)Science289:452−457;Mohr等(2000)Genes Dev.14:559−573)。このように、標的化に使用される15bp領域のイントロンの個々の塩基を適切に変異させることにより、Karberg等(Nature Biotech(2001)19:1162−1167)は、0.1〜22%の間の頻度で、いくつかの異なるE.coli遺伝子において区別可能な、決められた位置への要素の挿入を導くことができた。これらの遺伝子のうちの1つ、thyAが破壊されると、生来トリメトプリム耐性のクローンになる。したがって、この組込み体は、トリメトプリムの存在における培養により選択することが可能である。他の遺伝子組込み体は、L1.LtrBイントロンの存在について、個々のコロニーをスクリーニングすることにより識別された。E.coliのthyA遺伝子を破壊するのに用いるプラスミドは、S.フレックスネリ及びS.タイフィムリュウムにおけるthyA遺伝子の破壊にも用いられた。トリメトプリム耐性コロニーは、それぞれ1%及び0.3%の頻度で得られた。
乳酸連鎖球菌のグループIIイントロンL1.LtrBは、クロストリジウム・パーフリンジェンスのplc遺伝子においてノックアウトを生成するのに用いられた(Chen等(2005)Appl Environ Microbiol.71:7542−7)。とりわけplc遺伝子を標的とするように設計された変性L1.LtrBイントロンを含むクロラムフェニコール耐性プラスミドは、電気穿孔処理されてクロストリジウム・パーフリンジェンスに導入された。形質転換細胞は、クロラムフェニコールに基づいて選択され、PCRによるplc遺伝子における挿入の存在のテストを受けた。テストされた38コロニーのうち、大部分は挿入に対して陰性だったが、2つのコロニーは野生型及びイントロン挿入plc遺伝子の双方を含んでいた。後者のコロニーは、単一の変換された細菌から生じたとみなされ、挿入がおきる子孫と、挿入が起きない子孫とを生じさせた。これらの混合コロニーからの細菌は、10%がイントロン挿入plc遺伝子を含む、混じり気のないクローンを生じさせた。挿入突然変異体は、形質転換のためのクロラムフェニコール以外の、抗生物質による増殖を選別する必要がない2ラウンドのスクリーニングを介して識別された。つまり、抗生物質対抗性遺伝子のクロモソームへの導入の欠如は、この方法の特定の効果として識別される。特に、著者らは、この方法が、異なる変性L1.LtrBイントロンを担持する同じシャトルプラスミドを用いて、同じ細菌細胞における複数遺伝子の破壊を構成するのに用いられうることを想定している。クロストリジウム・パーフリンジェンスへの移動頻度は高く、他のクロストリジウム種より2桁大きい。更に、(plcにおける)遺伝子ノックアウトは、寒天プレートの上ですばやく視覚化され、容易に検知される表現型を生じさせる。
Yao等(RNA(2006)12:1−11)はブドウ球菌において選択なしに遺伝子を***させるのにL1.LtrBを用いた。カドミウム誘導性プロモーターがS.アウレウスにおけるL1.LtrBイントロンの表現を命令するのに用いられた;カドミウムによる誘導は、1つの遺伝子において挿入突然変異体を得るのに有益である。突然変異体が他の遺伝子において作られるとき、すべてのコロニーは、カドミウムなしでイントロンの挿入陽性をテストした。
Zhong等(Nucleic Acids Res.(2003)31:1656−64)は、グループIIイントロンへの「レトロ転位活性化選択可能マーカー」又はファージT4のtdイントロンを含むトリメトプリム(Tp)耐性カセットを含むRAMの挿入を含む、グループIIイントロンの再標的化について正の選択を行う方法を記載している。Tp耐性遺伝子は、タイプIIジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする。tdイントロンはグループIイントロン、つまり自己触媒のRNA要素であって、正しい向きにおいて、それが位置するRNA転写物からスプライスすることができる。tdがTpに挿入される方向は、遺伝子が転写されるときに要素がスプライスされない方向である。したがって、mRNAは突然変異体のままであり、Tp耐性に必要なタンパク質は生成されない。グループII要素がRNAに転写されるとき、再標的化の間、RAMの反対側のストランドはRNAの形で存在する。これらの環境下で、td要素は正しく方向づけられ、スプライスされる。その結果、グループII要素がクロモソームを再標的化するとき、Tp遺伝子はそのtd挿入を失い、機能的になる。その結果、再標的化が完了した細胞はTp耐性になる。したがって、それらは直接選択されうる。この方法は、大腸菌細胞に用いられる。
クロストリジウム種は、しばしばトリメトプリムに耐性があり、Tp耐性カセットに基づくRAMの使用を実行不能にする。例えば、Swenson等(1980)のAntimicrob.Agents Chemother.18:13−19の研究において、テストされた分離株の大部分は耐性があった。耐性は、非病原性の工業的に有用な株にも共通である。実は、クロストリジウム・セルロリチカムの固有の耐性は、Jennert等(2000)Microbiology.146:3071−80における遺伝子導入実験に用いられた接合方法の基礎となっている。
カナマイシン耐性(Km)カセットから成るRAMに基づく遺伝子ノックアウトを(主にE.coliにおいて)実行するキットは、Sigma−Aldrichにより「TargeTron(商標) Gene Knockout System」として販売されている。クロストリジウム種は本来的にカナマイシンに耐性があるため、カナマイシン耐性はクロストリジウムの選択マーカーとして用いることはできない。
クロストリジウムゲノムにおいて、マーカーの相互交換により規定の遺伝子ノックアウトを作製できないことは、クロストリジウム綱、特にクロストリジウム属のメンバーの商業的利用の主な障害である。それはすべてのエリアに影響を与える。したがって、改良された発酵特性により工業的な株を生成するメタボリックエンジニアリングの活用は、現在のところ検討することができない(例えば、クロストリジウム・アセトブチリクム及びアセトン−ブタノール発酵処理;癌治療に有用な、染色体性に配置された治療遺伝子を担持する株を生成することができない(臨床試験の必要条件、例えばクロストリジウム・スポロジェンヌ及びクロストリジウム指向エンザイムプロドラッグ療法));及び、効果的な対抗手段の定式化の重要な最初のステップである病理学的機構の基本的情報が著しく妨げられている(クロストリジウム・ディフィシレ及び院内感染))。
本明細書における先に発行された文献の列挙又は議論は、必ずしもこの文献が技術水準又は技術常識であると認めるものではないと解釈されるべきである。
発明者は、DNAのクロストリジウム種のゲノム又はクロストリジウム綱の他の細菌への効果的な挿入を可能とすることにより、ゲノムにおける遺伝子の標的化された突然変異を可能とするDNA分子及び方法を考え出した。
本発明の第1の側面は、イントロンコード逆転写酵素を発現しないが、変性されたグループIIイントロンと逆方向の変性された選択可能マーカー遺伝子を含む前記変性されたグループIIイントロンであって、前記選択可能マーカー遺伝子は選択可能マーカーをコードする領域及び前記選択可能マーカー遺伝子の領域に動作可能に結合されたプロモーターを有し、前記プロモーターは、前記選択可能マーカー遺伝子の単一のコピーに、前記選択可能マーカーがクロストリジウム綱の細菌性細胞の表現型を、前記選択可能マーカー遺伝子が欠如したクロストリジウム綱の細菌性細胞から識別することができるように変更するのに十分な量でコードされる選択可能マーカーの発現を起こすことができる、前記変性されたグループIIイントロンと、前記変性されたグループIIイントロンの転写のためのプロモーターであって、前記変性されたグループIIイントロンに動作可能に結合された前記プロモーターと、を有し、前記変性された選択可能マーカー遺伝子は、前記選択可能マーカー遺伝子の発現を妨害することができるように、前記変性されたグループIIイントロンに対して前方方向に位置するグループIイントロンを含み、前記DNA分子は、前記グループIイントロンが前記変性されたグループIIイントロンの前記RNA転写から除去されて前記選択可能マーカーをコードする領域を残すことを可能とし、前記RNA転写(又はそのDNAコピー)をクロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の部位に挿入することを可能にする、DNA分子を提供する。
グループIIイントロンは、真正細菌及びオルガネラにみられる可動遺伝因子である。自然界において、それらは、イントロンをコードする逆転写酵素(IERT)及び切り出されたイントロンラリアートRNAを含むリボヌクレオタンパク質(RNP)複合体により媒介されるレトロホーミングと呼ばれる可動機構を使用する。切り出されたイントロンRNAは、逆スプライシング反応により、ダブルストランドのDNA標的部位の一方のストランドに直接挿入され、一方、IERTも反対のストランドを部位特異的に開裂し、開裂されたストランドの3’末端を、挿入イントロンRNAのDNAプライム逆転写(TPRT)に用いる。その結果、イントロン(及び変性したイントロンに担持されたヌクレオチド酸)は標的のDNAに挿入される。TPRTシステムは、IERT及び切り出されたイントロンRNAのみを必要とする(Saldanha等(1999)Biochemistry 38,9069−083参照)。グループIIイントロンの詳細は、参照によりここに組み込まれるKargerg等(2001)Nature Biotechnology 19,1162−1167及びここに挙げられた文献に記載されている。
IERTは、本分野においてイントロンコードタンパク質(IEP)としても知られている。IEP(IERT)は、イントロンのコピーをDNAに挿入することを可能とするエンドヌクレアーゼ及びmaturase活性と共に、逆転写酵素活性を有する。
DNA基質を開裂し、ヌクレオチド酸分子を挿入する処理は、RNP複合体のグループIIイントロンRNAのDNA基質の特定の領域への塩基対合を含む。イントロンコード逆転写酵素及びDNA基質の認識部位の傍らにある領域との間で追加的な相互作用が起きる。典型的には、グループIIイントロンRNAは、DNA基質のトップストランドにあるIBS1及びIBS2とハイブリダイズすることができるEBS1及びEBS2の2つの配列を有する。典型的には、グループIIイントロンコード逆転写酵素は、基質の認識部位における第1の配列要素及び第2の配列要素と結合する。典型的には、グループIIイントロンRNAは、DNA基質のトップストランドの開裂部位に挿入される。認識部位の第1の配列要素は、推定上の開裂部位であるIBS1配列及びIBS2配列の上流にある。第1の配列要素は、約10から約12のヌクレオチド対を有している。認識部位の第2の配列要素は、推定上の開裂部位の下流にあり、約10から約12のヌクレオチドを有している。
ここに示すように、開裂部位の上流に位置するヌクレオチドは、開裂部位に対して(−)ポジションを有し、開裂部位の下流に位置するヌクレオチドは、開裂部位に対して(+)ポジションを有する。このように、開裂部位は、ダブルストランドDNA基質のトップストランドの−1ヌクレオチド及び+1ヌクレオチドの間に位置している。IBS1配列及びIBS2配列は、開裂部位に対してポジション−1あたりからポジション−14あたりまで延在する認識部位の領域にある。
典型的には、EBS1はグループIIイントロンRNAのドメインIに位置し、基質のIBS1配列のヌクレオチドにハイブリダイズすることができる約5から7のヌクレオチドを有する。
典型的には、EBS2はEBS1の上流であってグループIIイントロンRNAのドメインIに位置し、基質のIBS2配列のヌクレオチドにハイブリダイズすることができる約5から7のヌクレオチドを有する。
基質を効果的に開裂するために、グループIIイントロンRNAのEBS1の第1のヌクレオチドのすぐ前にくるヌクレオチド又は配列は、基質のトップストランドの+1にあるヌクレオチドを補完する。
本発明のDNA分子に含まれる変性されたグループIIイントロンは、IERTを発現しない。好ましくは、グループIIイントロンは、IERTのために機能オープンリーディングフレームを含まない。好ましくは、典型的にIERTを含むグループIIイントロンのドメインIVは、IERTを含まないよう部分的に削除される。
本発明の実施に使用できる種々のグループIIイントロンが知られている。これらは、Dia及びZimmerly(2002)Nucleic Acids Res.30:1091−1102で検討されている真正細菌性イントロンを含み、また、Zimmerly及びHausner及びWu(2001)Nucleic Acids Res.29:1238−1250で言及されているミトコンドリア及び葉緑体イントロンを含む。グループIIイントロンが乳酸連鎖球菌L1.LtrBイントロン(Mohr等(2000)、上記と同様)であれば好ましい。このグループIIイントロンのIERTはLtrAタンパク質である。サッカロマイシス・セレヴィシエのaI1及びaI2ヌクレオチドインテグラーゼも適している。
他の代替物は、クロストリジウム接合トランスポゾンTn5397からのグループIIイントロンである(Roberts等(2001)J.Bacteriol.183:1296−1299)。
LtrA RNP複合体は、切り出された、野生型の又は変性された、乳酸連鎖球菌LtrB遺伝子のグループL1.LtrBグループIIイントロンRNAであって、以下「L1.LtrBイントロン」と呼ばれるものを含み、また、野生型の又は変性されたL1.LtrBイントロンコード逆転写酵素であって、以下LtrAタンパク質と呼ばれるものを含む。L1.LtrBイントロンRNAのEBS1は、7ヌクレオチドを含み、457から463のポジションに位置する。野生型L1.LtrBイントロンRNAのEBS1配列は、配列5´‐GUUGUGG(配列番号1)を有する。L1.LtrBイントロンRNAのEBS2は、6ヌクレオチドを含み、401から406を含むポジションに位置する。野生型L1.LtrBイントロンRNAのEBS2配列は、配列5´‐AUGUGU(配列番号2)を有する。
本発明のDNA分子におけるグループIIイントロンは、変性された選択可能なマーカー遺伝子を含むように変性されてきている。選択可能なマーカー遺伝子は、それが発現される細菌細胞に変化した表現型を与える遺伝子である。変性された選択可能なマーカー遺伝子は、選択可能なマーカーの発現を妨げるグループIイントロンを含むことにより(変性されない選択可能なマーカー遺伝子と比較して)変性される。「変性されない選択可能なマーカー遺伝子」という用語は、プロモーターを含む遺伝子及び遺伝子のコード領域であって、プロモーターが自然発生的な遺伝子のプロモーターではないものを含む。また、「変性されない選択可能なマーカー遺伝子」は、プロモーターが自然発生的な遺伝子のプロモーターであるものも含む。選択可能なマーカー遺伝子の変性の更なる詳細は後述するが、基本的に、グループIイントロンの存在が選択可能なマーカーの発現を妨げるが、グループIイントロンの切除により、結果として生じるヌクレオチド酸(すなわち変性されない選択可能なマーカー遺伝子)は選択可能なマーカーを発現することができる。好ましくは、選択可能なマーカー遺伝子は、グループIIイントロンのドメインIVに位置する。
選択可能なマーカーの発現が、グループIイントロンの存在によって妨げられる限り、グループIイントロンは選択可能なマーカー遺伝子のいずれの場所に位置することもできることが好ましい。グループIイントロンは、プロモーターの範囲内、例えば、プロモーターの−10及び−35要素の間や、プロモーターとコード領域の間又はコード領域内に位置することが好ましい。
グループIイントロン(すなわち変性された選択可能なマーカー遺伝子)を含む選択可能なマーカー遺伝子は、レトロ転位活性マーカー(RAM)と考えることができる。
グループIイントロンは、切除されるためにタンパク質等の補助因子を要求することができ、又は要求することができないセルフスプライシングイントロンである。本発明の実施に使用可能な種々のグループIイントロンは、バクテリオフォージイントロン(Sandegran及びSjogerb(2004)J.Biol.Chem.279:22218−22227)及びテトラヒメナグループIイントロン(Roman(1998)Biochem.95:2134−2139)を含むことが知られている。グループIイントロンは、切除されるためにタンパク質等の補助因子を要求しないことが望ましい。グループIイントロンが、ファージT4からのtdグループIイントロンであれば望ましい。
DNA分子内の種々の構成要素の方向が非常に重要であることが望ましい。したがて、図2から、変性された選択可能なマーカー遺伝子は、グループIIイントロンの逆方向においてグループIIイントロン内に存在することになる。また、グループIイントロンは、変性された選択可能なマーカー遺伝子において、選択可能なマーカー遺伝子と逆方向であって、グループIIイントロンと同じ前方向を向いて存在することになる。グループIイントロンが選択可能なマーカー遺伝子と同じ方向であると、イントロンは選択可能なマーカー遺伝子のmRNA転写体から切り取られることが可能となり、選択可能なマーカーに与えられる表現型は、選択可能なマーカーを含むグループIIイントロンが染色体を再標的化するか否かにかかわらず存在する。したがって、グループIイントロン及び選択可能なマーカー遺伝子は逆方向でなければならない。
選択可能なマーカー遺伝子がグループIIイントロンと同じ方向であった場合は、上記の論理に従い、グループIイントロンはグループIIイントロンと反対方向になる。しかしながら、この方向では、mRNA転写体から切り取られることが不可能であり、グループIIイントロンが染色体を再標的化したとしても、選択可能な表現型がないことになる。
種々の構成要素が図2に示すように方向づけられたときだけ、グループIIイントロンの染色体への再標的化が必要となり、選択可能なマーカーの表現型を発現するのに十分となる。
本発明のDNA分子が、(以下により詳細に記載するように)ヌクレオチド酸分子をクロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の部位に導入するのに用いられるとき、グループIイントロンは、選択可能なマーカーをコードする領域を残して、変性されたグループIIイントロンから生成されたRNA転写体から除去され、RNA転写体(又はそのDNAコピー)は、クロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の部位に導入される。このようにして、クロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子に導入されるヌクレオチド酸は、細菌性細胞において選択可能なマーカーを発現することができる選択可能なマーカー遺伝子を有する。
好ましい実施形態では、変性されたグループIIイントロンは、グループIIイントロンのRNA転写体のスプライシングを可能とするエクソンの傍らに配置されている。
選択可能なマーカー遺伝子のプロモーターは、それが選択可能なマーカー遺伝子が欠如したクロストリジウム綱の細菌性細胞から区別することができるように、選択可能なマーカーがクロストリジウム綱の細菌性細胞の表現型を変更するのに十分な量で、それが選択可能なマーカー遺伝子の単一配列によりコードされるとき、選択可能なマーカーを発現させることができる。例えば、プロモーターが細菌性染色体の単一配列に存在するとき、及び選択可能なマーカーのコード領域と動作可能に連携しているとき、プロモーターは、検出量の選択可能なマーカーを発現するものでありうる。選択可能なマーカー遺伝子のプロモーターは、クロストリジウム綱の細菌性細胞において機能的なものであり、上述のように単一配列に存在するとき、十分な発現を起こすものである。プロモーターは、クロストリジウム種において機能的であることが望ましい。適当なプロモーターは、クロストリジウム・パーフリンジェンスのfdx遺伝子プロモーター(Takamizawa等(2004)Protein Expression Purification 36:70−75);クロストリジウム・アセトブチリカムのptb,thl及びadcプロモーター(Tummala等(1999)App.Environ.Microbiol.65:3793−3799)及びクロストリジウム・パーフリンジェンスのcpeプロモーター(Melville,Labbe及びSonenshein(1994)Infection and Immunity62:5550−5558)及びクロストリジウム・アセトブチリカムからのチオラーゼプロモーター(Winzer等(2000)J.Mol.Microbiol.Biotechnol.2:531−541)を含む。
プロモーターが本発明の選択可能なマーカーとして効果的になりやすいか否かをテストするために、RAMのスプライスした変異体(すなわちグループIイントロンは除去されているので選択可能なマーカーをコードする)は、その転写調節下におかれてもよく、標的であるクロストリジウムに、低いコピー数、好ましくは染色体のコピー数と同等のコピー数で導入されてもよい。これは、Swinfield等(1990)Gene.87:79−90に記載されたプラスミドpAMβ1の低いコピー数の誘導体等の低いコピー数のプラスミドを用いることにより、又はより好ましくは接合トランスポゾン並びにMullany等(Plasmid(1994)31:320−323)及びRobert等(J Microbiol Methods(2003)55:617−624)に記載された方法を用いることにより達成することができる。後者を達成するために、評価段階にあるプロモーターと共にスプライスされたRAMを、グラム陽性の細菌にで複製することができないが抗生物質対抗性遺伝子(すなわちcatP)及びTn916等の接合トランスポゾンから派生したDNAのセグメントを担持するベクター内に複製してもよい。その後、プラスミドは、適当な接合トランスポゾンをそのゲノム(Tn916)において担持する枯草菌細胞に導入され、クロラムフェニコールを含むプレートに基づいて形質転換細胞が選択される。プラスミドは複製できないため、クロラムフェニコール耐性コロニーが生じる唯一の場合は、プラスミドが、Tn916及びプラスミドに担持されるホモロジーの領域の相同的組み換えの結果としてゲノムに組み入れられる場合である。これは、スプライスされたRAM及びテストされているプロモーターを担持するトランスポゾン::プラスミドがゲノム中に単一コピー存在するような共挿入をもたらす。得られた枯草菌細胞トランス接合体は、標的とされるクロストリジウムと抱合したドナーとして用いることができる。これらの接合により、トランスポゾン::プラスミド共挿入のクロストリジウム受容体への転移はチアンフェニコールへの耐性の取得に基づいて選択することができる。取得されるとすぐに、トランス接合体はRAMでコードされる耐性、すなわちエリスロマイシンを試験されてもよい。
変性されたグループIIの転写を調整するプロモーターは、クロストリジウム綱の細菌性細胞において機能的ないかなる適当なプロモーターであってもよい。プロモーターは、構成性プロモーター又は誘導型プロモーターであってもよい。誘導型プロモーターは、構成的なやり方で発現を促進するように活性化されてもよい。実施例に記載された特定の実験において、発明者は、変性されたグループIIの調整された発現型は、構成的な発現と比較して、高いイントロン挿入頻度を可能とするのに何ら効果をもたらさないことを発見した。しかしながら、他の状況では、それは変性されたグループIIの発現型の調整をかのうとするのに有用でありうる。当業者であれば、十分なイントロン挿入率を可能とするのに適した特定のプロモーターであるか否かを決定するための試験を行うことが可能である。
Gircal等(2003)のAppl.Environ.Microbiol.69:4985-4988は、ブドウ球菌キシロサスキシローゼオペロンプロモーターリプレッサー規制システムに基づき、クロストリジウム・アセトブチルカムにおいて好ましいキシロース誘導プロモーターを記載している。適した誘導プロモーターはIPTG又はキシロース誘導である。好都合なことに、例えばDNA分子がクロストリジウム細胞に用いられるものである場合は、プロモーターはE.coli lac オペロンのlacオペレーター領域の制御下にあるクロストリジウム・パスツリアヌム・フェレドキシン遺伝子のプロモーター領域である。好都合なことに、DNA分子はE.coliのlacI遺伝子を更に有する。
変性されたグループIIイントロンの転写を調整するプロモーターは、構成的プロモーターでありうる。当業者であれば、一般に、すべてのプロモーターが、その条件が未知であったとしても、1つの又は他の条件下で調整されることを理解するであろう。したがって、我々は「構成的プロモーター」を、再標的化プロトコルに用いられる標準的培地条件の下、プロモーターによって駆動される発現を活性化させる薬剤を添加する必要もなく、クロストリジウム細胞において活性なプロモーターを含むものとして、広く解釈する意図である。一次代謝に不可欠な遺伝子のプロモーターは、適当な「構成的プロモーター」となりうる。例えば、実施例に記載されたチオラーゼプロモーター、thlは適当なプロモーターである。他の適当なプロモーターは、クロストリジウム・アセトブチルカムプロモーターhbd,crt,etfA,etfB及びbcdである(Alsaker及びPapoutsakis(2005)J Bateriol 187:7103-7118)。RAMの変性された選択可能マーカーの発現を駆動するのに適するものとして挙げられるプロモーターもまた、適している。
誘導プロモーターの使用は、後述のRAMの細菌性染色体への再標的化後、グループIイントロンに妨害された選択可能なマーカー遺伝子を含むグループIIイントロン(RAMと呼んでもよい)の転写のスイッチオフを可能にする。RAMが誘導プロモーターから転写されると、選択可能マーカーの発現が効果を有しなくなる。これは染色体から転写されたコーディングストランドの転写体及びDAN分子から転写された非コードストランドの間の二重鎖形成に起因すると考えられる。
本発明のDNA分子は、クロストリジウム綱の細菌性細胞における複製が可能であることが望ましい。より好ましくは、条件付きの複製を行うことができる。好都合なことに、DNA分子は、グラム陽性細菌性細胞における複製を可能とする適当な複製起点及び複製遺伝子(すなわち適用なrep遺伝子)を含んでいる。好ましくは、DNAはプラスミドである。そうでない場合は、DNAは直鎖状であり、又はM13のような繊維状ファージである。好都合なことに、DNA分子は、大腸菌等のグラム陰性細菌性細胞において複製及び繁殖を可能とし、グラム陽性細胞、特にクロストリジウム綱、より詳しくはクロストリジウム属の細胞における複製を可能とするシャトルベクターである。追加的又は代替的に、本発明のDNA分子は1つの細菌性細胞からクロストリジウム綱の細菌性細胞への接合伝達を可能とする領域を含んでいる。これは特に、DNA分子が、E.coli及びクロストリジウム綱、より詳しくはクロストリジウム属の細菌の間の接合伝達を可能とする領域を含んでいる場合に好ましい。例えば、DNA分子は、traJ遺伝子を含むoriT(転移の起点)領域を含んでもよい。
クロストリジウムにおける形質転換又は接合方法は、Davis,I,Carter,G,Young,M and Minton,NP(2005)“Gene Cloning in Clostridia”,In:Handbook on Clostridia(Durre P,ed)pages 37−52,CRCPress,Boca Raton,USAにおいて提供されている。
選択可能なマーカーは、選択可能なマーカーを含むクロストリジウム綱の細胞において発現される又は前記細胞を選択するのに適したいかなる選択可能なマーカーであってもよい。適当な選択可能なマーカーは、プロドラッグ変換エンザイム等の毒を解毒するエンザイムを含む。また、選択可能なマーカーは、原栄養遺伝子(対応する栄養要求性変異株に使用する)を含む。好ましくは、選択可能なマーカーは、それが発現されるクロストリジウム綱の細菌性細胞に増殖優位性を与えるものである。したがって、典型的には、与えられた成長条件の下、選択可能なマーカーを発現する細菌性細胞が、選択可能なマーカーを発現しない同等の細胞と比べて成長することができる(又はより早く成長することができる)。
便利な選択可能なマーカーは、抗生物質対抗性要因を含んでいる。したがって、選択可能なマーカー遺伝子は、適当にクロストリジウム綱の細菌性細胞に抗生物質対抗性を与えるものである。
抗生物質対抗性遺伝子のすべてが、クロストリジウム綱のすべての細胞に使用できるとは限らない。例えば、クロストリジウム種は、本来的にカナマイシンに耐性があり、しばしばトリメトプリムにも耐性がある。したがって、選択可能なマーカー遺伝子は、特に細菌性細胞がクロストリジウム属である場合は、カナマイシン耐性遺伝子又はトリメトプリム耐性遺伝子でないことが好ましい。クロストリジウム種等のクロストリジウム細胞に用いるのに適当な抗生物質対抗性遺伝子は、エリスロマイシン耐性遺伝子(Erm等)及びクロラムフェニコール耐性遺伝子(capP等)を含む。他の適当な抗生物質対抗性遺伝子はtetMであり、例えば、大便連鎖球菌Tn916共役トランスポソンからのtetMである(Robert等(2001)Microbiol.147:1243−1251)。他の適当な抗生物質対抗性遺伝子で、クロストリジウム綱の細菌に広く用いられるものは、スペクチノマイシンアデニル転移酵素aadである(Charpentier等(2004)Appl.Environ.Microbiol.70,6076−6085)。
本発明の方法及びDNA分子は、機能が知られていない遺伝子の研究に用いることもできる。例えば、本発明のDNA分子は、タグとしての固有のオリゴヌクレオチド配列であって、クロストリジウム綱の細胞のDNAに導かれるものを含むように構成されてもよい。好都合なことに、本発明の、各々が異なるタグ配列を含む複数のDNA分子が生成されている。DNAが細菌性染色体に挿入されるとき、タグはゲノムのDNAに存在し、例えば、タグの部分を補完する配列を有する領域のある標識オリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズして増幅することにより検出されてもよい。増幅及びハイブリダイズに適当なタグ、プローブ及び方法は、Hensel等(1995)Science 269:400−403に記載されている。複数の突然変異体は、各々が異なる遺伝子に挿入されるDNAを有し、各々が固有のタグにより識別されうる本発明の方法により生成されうる。典型的には、各々の異なる再標的化核酸は、それをクロストリジウム綱の細胞のDNAにおける異なる遺伝子に向ける標的化領域を含んでいる。複数の突然変異体は一定時間内に環境に導入されうる。その後、突然変異体は環境から回収される。突然変異体の回収プールで検知される個々のタグの機能は、特定の突然変異体が他の突然変異体と同様に成長又は存続することができるか否かを示す。これにより、環境において成長又は存続することが要求されている遺伝子を識別することができる。Hensel等(1995;上記と同様)は、サルモネラの毒性遺伝子を識別するのに同様の方法を用いている。
上記方法の組み換えでは、同じタグを有するが、異なる任意抽出グループIIイントロン標的化部分及び対応するエクソン配列を有する本発明のDNA分子を生成し、プールし、使用して細菌突然変異体を作ることができる。任意抽出標的化部分を有するグループIIイントロンは、WO01/29059に記載されている。DNA分子の多くは細菌ゲノムのどこにでも挿入できるわけではない。しかしながら、いくつかは、標的部分の配列によって制御される細菌ゲノムの未知の部分に挿入されることができる。本発明のDNA分子の十分に大きいプールは、DNAが染色体に挿入された一以上のコロニーを取得する方法に使用することができる。単一のクローンを選択することができる。この処理を、異なる固有のタグを有する本発明のDNA分子のプールに繰り返して、固有のタグを有する他の単一の突然変異体細菌クローンを取得してもよい。これにより、各々が固有のタグを有する複数の細菌突然変異体が生成される。複数の突然変異体は、上述のように環境にさらされて、その環境における成長又は存続のために損なわれる特定の突然変異体を識別することができる。このようなスクリーンから識別される突然変異体は、その後、どの遺伝子にDNA挿入されたかを決定するように特徴づけられうる。
選択可能なマーカーの発現を妨害するグループIイントロンを含む、変性された選択可能なマーカーをコードする遺伝の更なる詳細は、以下に示される。
選択可能なマーカー遺伝子又はそのコード領域は、染色体に組み込まれた後、例えば選択可能なマーカー遺伝子またはそのコード領域の切除を可能とするDNAの領域の傍らに配置されるDNAの領域と関連付けられてよい。したがって、選択可能なマーカーを発現する突然変異体クロストリジウム細胞のクローンは、選択され、操作されて選択可能なマーカー遺伝子の除去を可能とする。リコンビナーゼは、DNAの領域を切除するのに用いられうる。典型的には、リコンビナーゼは、切除される領域の傍らの特定のDNA配列を認識する。Creリコンビナーゼ又はFLPリコンビナーゼが好ましいリコンビナーゼである。若しくは、非常に珍しい切断の制限エンザイムを用いて、選択可能なマーカー又はそのコード領域の傍らにある導入された制限部位のFNAを切断することができる。好ましい制限エンザイムはI−SceIである。
選択可能なマーカー遺伝子が切除される突然変異体細菌性細胞は、グループIIイントロン挿入を保持する。したがって、それは、選択可能なマーカー遺伝子を伴う又は伴わない挿入により同じ表現型を有する。このような突然変異体細菌性細胞は、RAMに存在する選択可能なマーカー遺伝子が欠如していることから、本発明の方法による更なる突然変異の対象となることができる。
本発明のDNA分子における変性されたグループIIイントロンは、IERTを発現せず、好都合なことに、DAN分子は他の位置にIERTを発現することができる遺伝子を含む。
グループIIイントロンが挿入されるクロストリジウム細胞が、グループIIイントロンと異なる遺伝コード及び関連するグループIIイントロンコード逆転写酵素を使用する場所では、グループIIイントロンコード逆転写酵素の配列は、ホスト細胞の遺伝コードに対応するコドンを含むように変性されることが望ましい。
本発明の特に好ましい実施形態は、変性されたグループIIイントロンが標的部分を有することである。典型的には、標的部分は、変性されたグループIIイントロンのRNA転写物の、クロストリジウム綱細胞のDNA分子内の部位への挿入を可能とする。典型的には、この部位は選択された部位であり、変性されたグループIIイントロンの標的部分は選択された部位を標的化するのに選択される。好ましい実施形態では、選択された部位はクロストリジウム細胞の染色体DNAにある。典型的には、選択された部位は特定の遺伝子又は特定の遺伝子の発現に作用するDNAの部分の範囲内にある。変性されたグループIIイントロンのこのような部位への挿入は、典型的には遺伝子の発現を阻害し、表現型の変更を促す。
遺伝子は、メタボリックエンジニアリングを目的とする突然変異体のために選択されうる。例えば、サーモアナエロバクテリウム・サッカロリチカム等の有機的組織体又は同様の代謝作用を有するクロストリジウム綱の他のメンバーにおいて、乳酸塩及び酢酸塩の形成をそれぞれ阻害するための乳酸脱水素酵素及びホスホトランスアセチラーゼの削除は、エタノールの上昇レベルに用いられる(Desai等(2004)Appl Microbiol Biotechnol.65:600−5)。クロストリジウム・アセトブチリカム及びクロストリジウム・バイジェリンキー等のソルベントジェニッククロストリジウムでは、特定の削除が、アセトン及びブタノールを最大にする溶媒及び酸生成に関与するエンザイムをコードする遺伝子になされる(Jones及びWoods(1986)Microbiol Rev.50:484−524参照)。したがって、酢酸塩(ホスホトランスアセチラーゼ及び/又は酢酸キナーゼ)、ブチラート(ホスホトランスブチリラーゼ及び/又はブチラートキナーゼ)、ブタノール(ブタノールデヒドロゲナーゼA及び/又はブタノールデヒドロゲナーゼB)及び/又はアセトン(アセトアセテートデカルボキシラーゼ及び/又はアセトアセチル‐CoA トランスフェラーゼ)の生成に関与するエンザイムの除外により、アセトン及びブタノールのみを生成する株を生成することができる。更に、このような株の発酵能は、染色体への遺伝子の追加により拡張することができ、これにより新たな基質が劣化し(糖類、リグノセルロース、ヘミセルロース等)及び/又は新たな末端生成物が作られる(イソプロパノール,1,3‐プロパンジオール等)。
遺伝子は、それらのコード生成物の毒性における役割、ワクチンの発展の必要条件及び他の対抗手段を決定するために、突然変異体に選択されることができる。クロストリジウム・ディフィシレでは、例えば、毒素A及び毒素B(CdtA及びCdtB)の関連する役割は、以前から同質突然変異体を生成することができていないため、確立されていないままである(Bongaerts及びLyerly(1994)Microbial Pathogenesis17:1−12)。特定の株(Perelle等(1994)Infect. Immun.65:1402−1407)は、アクチン特有のADP−リボシルtランスファーゼCDT(CdtA及びCdtB)をも生成する。他の要素は、特に初期の定着処理において、間違いなく毒性を助長する。多くの遺伝子生成物の関与が提案されており(Tasteyre等(2001)Infect Immun 69:7937−7940;Calabi等(2002)Infect Immun 70:5770−5778;Waligora等(2001)Infect Immun 69:2144−2153)、接着に含まれるもの、S層タンパク質(SplA)及び運動性(FliC及びFliD)を含んでいる。突然変異体の生成を通じてこれらの要素が病気に含まれることの決定的証拠は、現在のところ不可能である。
クロストリジウム綱の多くの細菌のゲノムのDNA配列が知られている。例えば、クロストリジウム・アセトブチリカムのゲノムのDAN配列(ATCC824(GenBank Accession No AE001437))、クロストリジウム・ディフィシレ(GenBank Accession No AM180355)、クロストリジウム・テタニE88(GenBank Accession No AE015927)及びクロストリジウム・パーフリンジェンス株13(GenBank Accession No BA000016)及びボツリヌス菌が知られている。クロストリジウム・スポロジェンヌの配列は、部分的に知られており、ボツリヌス菌の配列に大変似ている。この情報から、挿入部位は、例えばオープンリーディングフレームの範囲内ですばやく識別される。本発明のDNA分子は、これらのうち一種の細菌種のゲノム中の遺伝子を標的とする標的化部分を含む変性されたグループIIイントロンであり、当該標的化部分は、変性されたグループIIイントロンのRNA転写物(又はそのDNAコピー)に、当該標的化された遺伝子に標的とさせることが好ましい。
上述のように、グループIIイントロンは、イントロンを標的DNAの特定の配列に標的化する領域を本来的に含む。DNA基質の認識部位がRNP複合体の切除されたグループIIイントロンRNAとの塩基対合等を通じて認識されるので、DNA基質内における核酸挿入部位を制御することが可能である。これは、EBS1配列、EBS2配列、δ配列又はこれらの組合せを変性することにより行われる。このような変性されたグループIIイントロンは、ゲノムの新たな認識部位において、DNA基質の開裂及び核酸分子の挿入が可能なRNP複合体を生成する。例えば、図1A及び図1Bに図示された乳酸連鎖球菌のL1.LtrBグループIIイントロンを参照することにより、EBS1,EBS2及びδは、変性されたグループIIイントロンのRNA転写体の標的部位への塩基対合を可能とするように変性される。イントロンの特定のDNA配列への最標的を可能とする、L1.LtrBグループIIイントロンによるDNA標的部位の認識のルールが、参照によりここに組み込まれるMohr等(2000)Genes&Development 14,559−573に記載されている。標的部位のコンピュータによる設計が、参照によりここに組み込まれるPerutka等(2004)J.Mol.Biol.336,421−429に記載されている。
参照によりここに組み込まれるOhio State University Reseach FoundationのWO01/29059は、所望のDNA標的部位が、プロモーターを持たないtet遺伝子の受容体ベクター上流にコピーされる、選択に基づくアプローチを記載している。この部位に挿入するイントロンは、任意抽出の標的部分(EBS及びδ)及びIBSエクソン配列を有する組合せドナーライブラリから選択される。変性されたL1.LtrBイントロンは、異種プロモーターを含み、受容体ベクターの標的部位に挿入される際に、tet遺伝子が転写され、ベクターを含む細菌性細胞が選択されうる。変性されたイントロンの配列は、PCRにより決定されうる。したがって、クロストリジウム綱内の標的DNA部位への挿入を可能とする変性されたグループIIイントロンDNAが単離されうる。
L1.LtrBグループIIイントロンの場合、δ領域の標的DNAのaδ´領域との相互作用は、グループIIイントロンの効果的なレトロホーミングにとって決定的に重要なわけではない。しかしながら、イントロンRNA中のEBS2及びEBS1、並びに標的DNA中のIBS2及びIBS1との相互作用がより重要である。
グループIIイントロンがRNA転写体から切り離されるとき、隣接するエクソンRNAの部分と一時的に塩基対合すると考えられている。特に、EBS2及びEBS1領域は、それぞれ5´エクソンのIBS2及びIBS1と塩基対合する。したがって、5´エクソンのIBS2及びIBS1は、イントロンRANの変性されたEBS2及びEBS1領域との塩基対合を推進するよう変性されることが望ましい。これはグループIIイントロンのそのRNA転写体からの効果的な切除を促進する。
EBS2及びEBS1δ部位並びにIBS2IBS1部位の組み換えは、好都合なことに、既知である適当な部位特異的突然変異方法、例えば、オリゴヌクレオチド特異的突然変異又はPCRをベースとする方法を用いて実行される。
典型的には、本発明のDNA分子は、選択可能なマーカーと異なる抗生物質抵抗性マーカーを発現することができる。例えば、選択可能なマーカー遺伝子が第1の抗生物質抵抗性遺伝子である場合は、DNAは第2の抗生物質抵抗性遺伝子を含む。これは特に、双方の抗生物質抵抗性遺伝子が、クロストリジウム細胞において抗生物質抵抗性を生じさせるものである場合に好ましい。例えば、DNA分子の選択可能なマーカー遺伝子は、エリスロマイシン抵抗性遺伝子であってもよく、DNA分子はクロラムフェニコール抵抗性遺伝子を更に含んでもよい(又はその逆であってもよい)。DNA分子がクロストリジウム種に使用される場合、抗生物質抵抗性遺伝子がエリスロマイシン抵抗性遺伝子(すなわちermB)又はクロラムフェニコール抵抗性遺伝子(すなわちcatP)のいずれから選択されてもよいことは特に好ましい。
本発明のDNA分子にとって、それ自体がIERTを発現することができる遺伝子を含むことは都合がよいが、これは別個のDNA分子に提供されてもよい。したがって、本発明の更なる側面は、本発明の第1の側面のDNA分子を備えるパーツのキットと、IERTを発現することができる別個のDNA分子とを備える。典型的には、DNA分子はプラスミドであり、好ましくは互換プラスミドである。キットが、ラックリプレッサータンパク質を発現することができるDNA分子(典型的にはプラスミド)を更に含みうる。これは、本発明のDNA分子が、グループIIイントロンに動作可能につながっているIPTG誘導プロモーターを有するが、本発明のDNA分子がlacI遺伝子を含まない場合に有用である。
本発明の第3の側面は、核酸分子をクロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の部位に導入する方法であって、
(i)クロストリジウム綱の細菌性細胞に、本発明のDNA分子及びグループIIイントロンコード逆転写酵素を発現することができるDNA分子を提供する工程と、
(ii)細菌性細胞を、グループIイントロンの変性されたグループIIイントロンのRNA転写体からの除去及び選択可能なマーカー遺伝子を含むRNA転写体(またはそのDNAコピー)の挿入が可能な条件下で培養する工程と、
を含む方法である。
好ましくは、クロストリジウム綱の細菌性細胞は、選択可能なマーカーが発言することができる条件下で培養される。典型的には、細胞(すなわち突然変異細胞)内のDNA部位において核酸が導入されるクロストリジウム目の細菌性細胞が、選択可能なマーカーにより与えられた変化した表現型に基づいて選択される。
好都合なことに、選択可能なマーカーは抗生物質抵抗性マーカーであり、突然変異したクロストリジウム細胞が、関連のある抗生物質の存在下で成長する能力に基づいて選択される。
好都合なことに、選択された細胞はコピーされ、細胞の単一のクローンが取得される。
本発明の更なる側面は、核酸分子を、クロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の選択された部位に標的化させる方法であって、クロストリジウム綱の細菌性細胞に、標的化部分を有する変性されたグループIIイントロンを含む本発明のDNA分子、及びグループIIイントロンコード逆転写酵素を発現することができるDNA分子を提供する工程、及び、細菌性細胞を、グループIイントロンを変性されたグループIIイントロンのRNA転写体からの除去及び選択可能なマーカー遺伝子を有するRNA転写体(又はそのDNAコピー)の選択された部位への挿入を可能とする条件下で培養する工程と、を有する。
これにより、クロストリジウム種等のクロストリジウム綱の細菌性細胞のDNA(ゲノム等)において部位特異的突然変異体を作成できることは好ましい。
本発明の方法により得られたクロストリジウム綱の突然変異細菌性細胞もまた、本発明の一部である。
本発明のすべての側面に関して、クロストリジウム綱の細菌性細胞はクロストリジウム種であることが望ましい。また、クロストリジウム細胞が、クロストリジウム・サーモセラム、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ディフィシレ、ボツリヌス菌、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・スパロゼネス、クロストリジウム・バイジェリンキー、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・セルリチカム又はクロストリジウム・セプティカムであれば特に好ましい。クロストリジウム細胞は、工業的エタノールの生成に重要な種であるサーモアナエロバクテリア サッカロリチカムに代替されてもよい。用語「クロストリジウム」に、我々はプロバイオティクス細菌であるRoseburia intestinais等のRoseburiaを含める。したがって、好ましくは、本発明のDNA分子における選択可能なマーカー遺伝子は、これらの種の選択に用いることができる遺伝子である(すなわち、エリスロマイシン抵抗性遺伝子又はクロラムフェニコール抵抗性遺伝子又はテトラサイクリン抵抗性遺伝子又はスペクチノマイシン抵抗性遺伝子である)。また、好ましくは、本発明のDNA分子は複製の起点及びこれらの細菌種の複製を可能とするどんな複製遺伝子をも含む。
本発明の特定の特徴は、変性された選択可能なマーカー遺伝子は選択可能なマーカーの発現を妨害するグループIイントロンを含むものであることである。選択可能なマーカーは、クロストリジウム綱の細菌性細胞、特にクロストリジウム細胞において発現され、又は選択に使用されうるものである。
選択可能なマーカーは、クロストリジウム種の選択に使用することができる抗生物質抵抗性遺伝子であることが特に望ましい。
本発明の更なる側面は、グループIのイントロンを含む、変性されたエリスロマイシン抵抗性遺伝子を有するDNA分子を提供する。
本発明の更なる側面は、グループIのイントロンを含む、変性されたクロラムフェニコール抵抗性遺伝子を有するDNA分子を提供する。
本発明の更なる側面は、グループIのイントロンを含む、変性されたテトラサイクリン抵抗性遺伝子を有するDNA分子を提供する。
本発明の更なる側面は、グループIのイントロンを含む、変性されたスペクチノマイシン抵抗性遺伝子を有するDNA分子を提供する。
また、本発明は、宿主細胞、例えばE.coli細胞又はクロストリジウム綱の細胞に存在するこれらのDNA分子を含む。
好ましくは、グループIイントロンは、抗生物質抵抗性遺伝子と反対の方向に存在する。
グループIイントロンは、抗生物質抵抗性遺伝子のいずれに存在してもよく、例えば、コード領域に存在して翻訳を妨害してもよく、コード領域の上流に存在して翻訳または転写を妨害してもよい。
グループIイントロンは、抗生物質抵抗性遺伝子中に、イントロンが転写されるときにRNA転写体から自らを切除(スプライス)することができる形状で存在する。
より大きなRNAから方向依存方法により自らをスプライスすることができるいかなる自己触媒的なRNAも、本発明のグループIイントロンを代替しうる。グループIイントロン及びIS要素の融合と考えられている「IStron」が適宜使用されうる(Haselmayer等(2004)Anaerobe 10:85−92;Braun等(2000)Mol.Microbiol.36:1447−1459)。
誤解を避けるために、本発明のすべての側面の目的のために、より大きなRNAから方向依存方法により自らをスプライスすることができるいかなる自己触媒的なRNAは、補完的要素を必要とするか否かに関わらず、グループIイントロンと考えられる。好ましくは、グループIイントロンは補完的要素を必要としない。
グループIイントロンは、イントロンコード逆転写酵素等のイントロンコードタンパク質をコードしないことが望ましい。この特徴は、切除されたグループIイントロンRNAが、細菌ゲノム内の他の部位に再挿入されることを防止する。
典型的には、グループIイントロン(ファージT4のtdイントロン等)のスプライシングは、挿入ポイントの傍らにあるエクソン配列に依存するということが知られている。したがって、本発明の変性された選択可能なマーカー遺伝子(及び、特に、本発明の本側面のエリスロマイシン抵抗性、クロラムフェニコール抵抗性、テトラサイクリン抵抗性及びスペクチノマイシン抵抗性をコードする変性された抗生物質抵抗性遺伝子)は、そこに挿入されることによりRNA転写体からのスプライスを可能とする適切なエクソン配列の横に配置されたグループIイントロンを含み、また、結果として得られるスプライスされた転写体(又はそのDNAコピー)が機能的選択可能マーカー(機能的エリスロマイシン抵抗性又は機能的クロラムフェニコール抵抗性)をコードする。適切なフランキング配列は、グループIイントロンとして知られている公知である。例えば、ファージT4tdグループIイントロンに対しては、イントロンは典型的にG残基に先行され(すなわち、イントロンの5´に存在し)、また、典型的に配列5´‐ACCCAAGAGA‐3´(配列番号3)に続く(すなわち、イントロンの3´に存在する)。若しくは、イントロンは配列5´‐ACCCAAGAA‐3´(配列番号4)に続いてもよい。
本発明の好ましい実施形態では、選択可能なマーカー(エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン又はスペクチノマイシン抵抗性遺伝子)のコード領域は、イントロンの傍らに配置される適当な配列を有する。これは、tdイントロン及び結合された5´及び3´フランキング配列5´‐GACCCAAGAGA‐3´(配列番号5)との関係では、(実施例においてより詳細に説明するように、)リーディングフレームに応じて、いくつかのアミノ酸配列のためにコード化することができる。
フレーム1では、それはアミノ酸配列DPRD/E(配列番号6)をコードし;フレーム2では、それはアミノ酸配列R/GPKR(配列番号7)をコードし;フレーム3では、それはアミノ酸配列“X”TQE“Z”(配列番号8)をコードし、XはG,E,A,V,L,S,W,P,Q,R,M,T又はKのいずれであってもよく、“Z”はK,S,R,I,M,T又はNのいずれであってもよい。
したがって、好ましい実施形態では、選択可能なマーカー遺伝子のコード領域は、上記のアミノ酸配列を含むペプチドの部分をコードする。
更に好ましい実施形態では、イントロンのエクソン配列3´は、選択可能なマーカーのコード配列の5´末端において適切なリーディングフレームに存在し、これによりイントロンの不存在下において、コード配列は、選択可能なマーカーポリペプチドのN末端においてリンカーペプチドを含む機能的選択可能マーカーをコードする。
リンカーペプチドは、典型的には4〜20、好ましくは4〜15、典型的には、4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14又は15アミノ酸残基によるペプチドであり、その一部がイントロンの傍らに配置されるエクソンコーディング配列によりコード可能である。リンカーペプチドの存在は、抗生物質抵抗活性を実質的に妨害しない。すなわち、グループIイントロンが切除されるときに生成される核酸分子の発現から生成されるポリペプチドは、抗生物質抵抗活性を有する。
あるいはグループIイントロンフランキング配列は、グループIイントロンの挿入が選択可能なマーカー遺伝子の転写を妨害するように配置されうる。例えば、プロモーターの−35要素及び−10要素の間に配置されてもよい。
更に、あるいはグループIイントロンフランキング配列は、グループIイントロンの挿入が選択可能なマーカー遺伝子の翻訳を妨害するように配置されうる。例えば、リボソーム結合部位及び開始コドンの間に配置されてもよい。
本発明のDNA分子は、Sambrook等,「Molecular cloning:A laboratory manual」,2001年,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されているような標準的な分子生物学的技術を用いて作られてもよいことが好ましい。
Lt.LtrBグループIIイントロンの第2構造モデルである。 Lt.LtrBグループIIイントロンによるDNA標的部位の認識機構である。 再標的化核酸由来の突然変異体の正の選択である。 クロストリジウム・スポロジェンヌ及びクロストリジウム・アセトブチリカムにおけるpMTL5401Fcatの誘導性発現である。 tdグループIイントロンの良好なスプライシングのための選択可能なマーカー遺伝子に適した配列である。 リンカーを用いたermBへのRAM機能性追加である。 は、ErmBtdRAM1の特徴及び配列。ErmBtdRAM1配列である(配列番号13)。 ErmBtdRAM1がE.coliでスプライスされる直接的証拠である。 pBRR3におけるマルチクローニング部位の構造である。 thl及びthl2プロモーターの配列である。 ErmBtdRAM2の特徴及び配列である。 pMTL007の特徴及び配列である。 pMTL007の特徴及び配列である。 pMTL007の特徴及び配列である。 pMTL007の特徴及び配列である。 pMTL007の特徴及び配列である。 pMTL007の特徴及び配列である。 pMTL5401Fの構造である。 pMTL5401Fの構造である。 pMTL5402F及びpMTL5402F‐lacZTTErmBtdRAM1の構造である。 pMTL5402F及びpMTL5402F‐lacZTTErmBtdRAM1の構造である。 pMTL007の構造である。 pMTL007の構造である。 突然変異体のスクリーニング及び特性解析の例である。 胞子を形成しないspo0A突然変異体である。
本発明は、下記の限定されない実施例及び図面に言及して説明される。
図1A:Lt.LtrBグループIIイントロンの第2構造モデル。予測第2構造モデルは、6つのドメイン(I−VI)から成る。イントロンと、スプライスされていない先駆体RNAにおけるフランキングエクソンとの間のEBS2/IBS2,EBS1/IBS1及びδ‐δ’相互作用は、破線で示されている。変性されていないLt.LtrBイントロンでは、LtrAタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが、ドメインIVとして示される非構造ループに存在している。B:Lt.LtrBグループIIイントロンによるDNA標的部位の認識機構。LtrAタンパク質は、Lt.LtrBグループIIイントロンRNAに結合し、リボヌクレオタンパク質複合体を形成する。イントロンはpre‐mRNAからスプライスされ、リボヌクレオタンパク質を粒子として遊離させる。リボヌクレオタンパク質粒子は、細胞内において、標的DNA配列の場所を示す。変性されていないリボヌクレオタンパク質の標的DNA配列は、ltrB遺伝子のイントロンを含まないコピーであり、その配列が示される(配列番号9)。イントロンRNAは、トップストランド(IS)の挿入部位に挿入される。その後、ボトムストランドは、開裂部位(CS)において開裂され、LtrAは切断DNAから準備してイントロンRNAを逆転写する。宿主修復活性が組み込み処理を完了させる。標的の認識は、LtrA及び標的配列のヌクレオチドの間、並びにイントロンRNAのEBS2及びEBS1、並びに標的遺伝子における相補的配列であるIBS2及びIBS1との相互作用によって行われる。LtrAタンパク質によって認識されるヌクレオチドで最も重要なものは、網掛けにより示されている。
図2.再標的化核酸由来の突然変異体の正の選択。A.生成されたmRNAはtdグループIイントロンの挿入を保持し、これにより選択可能なマーカー遺伝子の発現が妨害されるため、選択可能なマーカー遺伝子の、プラスミドに位置する再標的化核酸からの転写は、耐性をもたらさない。td要素は、誤った方向で転写されているため、mRNAからスプライスすることができない。B.L1.LtrAグループIIイントロンRNA生成は、IPTGの添加により誘発され、クロストリジウムプロモーターfacからの転写を引き起こす。
選択可能なマーカー遺伝子内のtdグループIイントロンは正しい方向で転写され、tdRNAは生成されたRNAからスプライスされる。C.L1.LtrA RNA及び選択可能なマーカー遺伝子は、染色体の標的部位に挿入される。選択可能なマーカー遺伝子はtdグループIイントロンを含まないため、選択可能なマーカー遺伝子の発現は妨害されない。したがって、細胞は選択可能なマーカーに関連する表現型を表し、これによって選択されることができる。
図3.クロストリジウム・スポロジェンヌ及びクロストリジウム・アセトブチリカムにおけるpMTL5401Fcatの誘導性発現。(a)E.coli/クロストリジウムシャトルプラスミドpMTL5401Fcat(b)pMTL5401Fcatを含む、クロストリジウム・スポロジェンヌのクローン又は(c)pMTL5401Fcatを含むクロストリジウム・アセトブチリカムのクローンが初期の指数成長期に培養され、細胞溶解物におけるCAT活性が、1mM IPTGによる誘導の後で(■)又は誘導なしで(▲)観測された。
図4.tdグループIイントロンの良好なスプライシングのための選択可能なマーカー遺伝子に適した配列。3つの翻訳リーディングフレームのいずれかにおいて要求されるアミノ酸配列(配列番号6〜8)は、上記のヌクレオチド配列(配列番号132〜134)に示されている。位置‘X’におけるアミノ酸は、G,E,A,V,L,S,W,P,Q,R,M,T又はKのいずれであってもよい。位置‘Z’では、それらはK,S,R,I,M,T又はNでありうる。
図5.リンカーを用いてermBに追加されるRAM機能。
(a)tdイントロン及びそのエクソスを含むリンカーは、ermBORF及びそのプロモーター(配列番号10)の間に挿入されて、エリスロマイシン耐性を妨害する。tdイントロンの逆ストランドからのスプライシングは、N末端(配列番号12)において12の追加的なアミノ酸と共に機能的タンパク質をコードする、変質されたermB遺伝子(配列番号11)を産出する。ErmBtdRAM1のermBプロモーターは、ErmBtdRAM2のthlプロモーターに置き換えられる。
(b)種々のテンプレート及びプライマーErrmB‐Pro‐F3及びErmB‐R1であって、ErmBtdRAM1のtdイントロンの傍らに位置するプライマーを用いたPCR。
レーン1:ErmBtdRAM1 DNA;レーン2:ErmBtdRAM1のPCR;レーン3:IPTG誘導の後にpMTL201acZTTErmBtdRAM1を含む細胞から単離されたRNAから合成されたcDNA;レーン4:cDNA合成前の、同じRNA調製物。
(c)種々のテンプレート及びプライマーThio‐F1及びErmB−R1であって、ErmBtdRAM2のtdイントロンの傍らに位置するプライマーを用いたPCR。レーン1:クロストリジウム・スポロジェンヌspo0A突然変異体ゲノムのDNA;レーン2:pMTL007::Csp‐spo0A‐249sプラスミドDNA;レーン3:クロストリジウム・スポロジェンヌ野生型ゲノムのDNA;レーン4:水。
図6.ErmBtdRAM1の特徴及び配列。ErmBtdRAM1配列(配列番号13)。
図7.ErmBtdRAM1がE.coliでスプライスされる直接的証拠。tdグループIイントロンが、グループIIイントロンRNA発現の誘導に続いて、ErmBtdRAM1からスプライスされることを試験するために、pMTL201acZTTErmBtdRAM1を発現する細胞からRNAが調製された。tdの挿入部位の傍らに位置するプライマーを用いて、RT‐PCRが実行された。コントロールとしての反応において、同様のプライマーが、PCRによりErmBtdRAM1及びスプライスされた等価物SE DNAを増幅するのに用いられた。レーン1:DNAマーカー;レーン2,ErmBtd RAM1noPCR;レーン3,ErmBtd RAM1SEのPCR;レーン4,pMTL201acZTTErmBtdRAM1を含む細胞からのすべてのRNAにおけるRT−PCR,及び;レーン5RT‐PCRのネガティブコントロール。
図8.pBRR3におけるマルチクローニング部位の構造。pBRR3‐LtrBのクローニング部位の配列(配列番号14)及びpCR2.1‐TOPOプラスミドのクローニングの部位の配列(配列番号15)。描かれたマルチクローニング部位フラグメント(配列番号16)は、開裂されたpBRR3‐LtrBに挿入されて、pCR2.1‐TOPOにみられる制限部位を含む、描かれたpBRR3‐MCS1(配列番号17)が作られた。
図9.thl及びthl2プロモーターの配列。thl(配列番号18)及びthl2(配列番号19)の配列が、コンセンサスプロモーター(配列番号20)との比較において示される。「x」は、コンセンサス配列と比較したヌクレオチド置換を示している。−10要素及び−35要素の間隔が各配列について示されている。
図10.ErmBtdRAM2の特徴及び配列。ErmBtdRAM2配列(配列番号21)。
図11.pMTL007の特徴及び配列。最終的なクロストリジウム再標的化システムのプラスミドマップ(図示例はlacZを再標的とするように改良された派生物)及び配列(配列番号22)。
図12.pMTL5401Fの構造。各工程で用いられる制限部位が示される。T4 DNAポリメラーゼを用いてDNAの平滑末端化が実行された。
図13.pMTL5402F及びpMTL5402F‐lacZTTErmBtdRAM1の構造。各工程で用いられる制限部位が示される。T4 DNAポリメラーゼを用いてDNAの端鈍化が実行された。
図14.pMTL007の構造。各工程で用いられる制限部位が示される。
図15.突然変異体のスクリーニング及び特性解析の例。(a)プラスミドpMTL007.(b,c)PCRが、イントロン固有プライマーEBSユニバーサル及び遺伝子固有プライマーCd‐spo0A‐R2を用いて、クロストリジウム・ディフィシレspo0A遺伝子におけるイントロン挿入の初期のスクリーンに用いられた(小矢印)。レーン1:水;レーン2:クロストリジウム・ディフィシレ母株ゲノムのDNA;レーン3:pMTL007::Cdi‐spo0A‐178aプラスミドDNA;レーン4〜6:pMTL007::Cdi‐spo0A‐178aを用いて生成された3つの任意抽出のEmクロストリジウム・ディフィシレクローンからのDNA。(d)ermBへのプローブを用いたクロストリジウム・ディフィシレのspo0A及びpyrF突然変異体のサザンブロット。このプローブの先在(機能的でない)染色体ermB ORFへのハイブリダイゼーションは、第2バンドを引き起こし、母体レーンで見ることができる。spo0A突然変異体のEcoRV消化物において、双方のバンドは同じサイズである。(e)クロストリジウム・アセトブチリカムの等価サザンブロット及び(f)クロストリジウム・スポロジェンヌ。
図16.spo0A突然変異体は胞子を形成しない。固体培地においてそれぞれ14日、4日又は3日培養した、クロストリジウム・ディフィシレ、クロストリジウム・アセトブチリカム及びクロストリジウム・スポロジェンヌのspo0A突然変異体及び母株の位相差顕微鏡写真。異なる3つの実験の平均胞子形成頻度がパーセンテージで示されている。
実施例1:IPTG‐誘導‘fac’プロモーターの開発
人工プロモーター‘fac’を担持するE.coli/クロストリジウムシャトルベクター(pMTL540F)の使用は既に説明されている。それは、E.coli lacZオペロンのオペレータを、クロストリジウム・パスツリアヌム・フェレドキシン遺伝子(Fox等(1996)Gene Ther.3:173〜178)のプロモーターのすぐ下流に挿入することにより生成された。このプロモーター要素はクロストリジウムの異種遺伝子の高レベル発現に直接用いられたが、安定化した転写は実証されていない。そこで、新たなE.coli/クロストリジウムシャトルベクターpMTL5401Fが、facプロモーター、クロストリジウム・アセトブチリカム・ホスホトランスブチリラーゼ(ptb)遺伝子のプロモーターの転写制御下にあるlacIリプレッサー遺伝子、及びクロストリジウム・スポロジェンヌ、ボツリヌス菌及びクロストリジウム・ディフィシレへの接合伝達を促進するプラスミドRK2のoriT領域を用いて構築された。pMTL5401Fをテストするため、我々はプロモーターを有しないpC194 cat 遺伝子を挿入して、その転写が得られたプラスミド、pMTL5401Fcatのfacプロモーターの制御下となるようにした(図3)。我々はその後、外来栄養のIPTGの存在下又は不存在下で培養された、pMTL5401Fcatを担持するクロストリジウム・スポロジェンヌ又はクロストリジウム・アセトブチリカム細胞の溶解物におけるcat遺伝子生成物のエンザイム活性を測定した。誘導は双方の有機的組織体において観察されたが、IPTGの不存在下では、クロストリジウム・スポロジェンヌにおいて転写の強い抑制が明らかだった一方で(図3)、クロストリジウム・アセトブチリカムにおいて発現の顕著な基礎レベルが観察された(図3)。pMTL5401Fはクロストリジウム・ディフィシレに導入されることができるが、pCB102レプリコンはこのクロストリジウム宿主において比較的有効でなく機能し(Purdy et al (2002) Mol. Microbiol. 46: 439−452)、抗生物質添加液体培養においてその接合体の成長を支持することができない。したがって、同等の誘導実験を行うことはできなかった。
実施例2:クロストリジウムに対する選択可能なマーカーとしてのErmBtdの開発
tdグループIイントロンのスプライシングは、挿入ポイントの傍らに配置されるエクソン配列に依存する。ファージT4tdグループIイントロンに認識される標的部位は5’‐GACCCAAGAA‐3’(配列番号23)であり、イントロンは初めの‘G’の後に挿入する。しかしながら、tdグループIイントロンは5’‐GACCCAAGAGA‐3’(配列番号5)部位にも挿入する(Sigma Aldrich TargeTronTM Gene Knockout System)。クロストリジウムにおいて現在使用される抗生物質遺伝子の配列は、これらの配列の存在について評価されたが、これらの配列のいずれも組み込んだ遺伝子は識別されていない。スプライス部位5’‐GACCCAAGAGA‐3’(配列番号5)がタンパク質コード領域に存在する場合は、それがコードするアミノ酸配列はそのリーディングフレームに依存する。スプライス部位にコードされうるアミノ酸配列(3つの可能なフレームに対応する)が図4に示されている。クロストリジウムに耐性を与えると知られているすべてのタンパク質のタンパク質配列のスクリーニングは、所望のアミノ酸配列のいずれかを含む候補タンパク質を識別することができなかった。
したがって、選択可能なマーカーをコードする遺伝子は、tdグループIイントロンの挿入部位を含むように設計された。これはクロストリジウムRAMの基礎を形成することである。エリスロマイシンに耐性を与える大便連鎖球菌プラスミドpAMβ1の天然ermB遺伝子は、この遺伝子はE.coli/クロストリジウムシャトルベクターの生成に広く用いられていることから、選択可能なマーカー遺伝子として選択された(Durre,P.Handbook on Clostridia.2005.Taylor and Francis,CRC Press)。
要求されたスプライス部位を含むようにリンカー配列が設計され、そのリンカー配列がermB遺伝子のコード領域の5’末端に融合され、実質的にタンパク質のN末端を12アミノ酸延長した(図5)。この配列の設計において、選択されたリーディングフレームは、できる限り不活性で、可溶性であり、ErmBタンパク質の機能に悪影響を及ぼさないアミノ酸をコードするものだった。フレーム1(DPRD;配列番号6)は、可溶性を支持するべき3つの帯電した残基(Asp −ve,Arg +ve)を含むことから、ベストな選択肢だった。電荷の混合物がタンパク質の残りの部分との強い相互作用の妨害を助長することが望まれていた。リンカーの残りの部分は、単一のSerと共に小さく不活性な残基Gly及びAlaから成り、タンパク質の溶解性を低減しうる疎水性残基が長く延びることを避ける。更に、選択されたヌクレオチド配列は、クロストリジウムコドンの使用を含み、いかなる潜在的発現問題も最小化している。
2つの構成物は、後述のようにSOEing PCRを用いて、下記の表1に示すオリゴヌクレオチドプライマーを用いて組み立てられた。ErmBtd RAM1(図6の示された部位に挿入されたtdイントロンを含む変性されたermB遺伝子(配列番号13))及びtdイントロンが存在しないスプライスされた等価物(SE)。ErmBtdRAM1及びErmBtdRAM1 SEは、それぞれfacプロモーターと反対方向でハイコピープラスミドpMTL5402Fに複製された(与えられた耐性はRAM又はSE自体のプロモーターによるものとなる)。
Figure 0005732496
ErmBtdRAM1 SEは、以下のように作られる。ermBプロモーターは、プライマーErmB‐Pro‐F3及びErmB‐Pro‐RAを用いて、pMTL5402FからPCR増幅された。ermB ORFは、プライマーlinker1‐ErmB‐F1及びErmB‐R1を用いて、pMTL5402FからPCR増幅された。PCR生成物はゲル精製され、アウタープライマーErmB‐Pro‐F3及びErmB‐R1を用いてSOEing PCRにおいてテンプレートとして使用された。ErmBtdRAM1 SEをコードするPCR生成物は、pCR2.1‐TOPOに複製される。ErmBtdRAM1 SEは、pCR2.1::ErmBtdRAM1SEからHindIII/XhoIフラグメントとして切除され、同じエンザイムでリニアライズされたpMTL5402Fに結紮された。これはErmBtdRAM1 SEを、得られたプラスミドpMTL5402F::ErmBtdRAM1SEにおいて、facpロモーターと反対方向に配置する。
ErmBtdRAM1構成物は以下のように作られる。ermBプロモーターは、プライマーErmB‐Pro‐F3及びErmB‐Pro‐RBを用いて、pMTL5402FからPCR増幅された。ermB ORFは、プライマーlinker1‐ErmBF1及びErmB‐R1を用いて、pMTL5402FからPCR増幅された。転写減衰されたtdグループIイントロン及びそのエクソンは、プライマーtdGpI‐F1及びtdGpI−R1を用いて、pACD4K‐CからPCR増幅された。PCR生成物はゲル精製され、アウタープライマーErmB‐Pro‐F3及びErmB‐R1を用いて、3ウェイSOEing PCRにおいてテンプレートとして使用された。ErmBtdRAM1をコードするPCR生成物は、pCR2.1‐TOPOに複製された。ErmBtdRAM1は、HindIII/XhoIフラグメントとしてのpCR2.1::ErmBtdRAM1から切除され、同じエンザイムでリニアライズされたpMTL5402Fに結紮された。
pMTL5402F::ErmBtdRAM1を担持するE.coliは、500及び125μg/mlでエリスロマイシンに敏感だった(37℃において一晩中成長しなかった)。pMTL5402F::ErmBtdRAM1SEを担持するE.coliは、500及び125μg/mlでエリスロマイシンに耐性があった(37℃において一晩中成長した)。これら実験は、変性されたermB遺伝子がE.coliのエリスロマイシンに耐性を与えたこと、また、同じくらい重要なこととして、tdの挿入が遺伝子を不活性化することを立証した。
実施例3:E.coliにおけるErmBtd選択可能マーカーの検証
pACD4K‐Cの再標的化核酸構成要素は、NaeI(blunt)フラグメントとして、HindIII及びSmaI部位の間でpMTL20にサブクローニングされ(Chambers等(1988)Gene 68:139〜149)、E.coli宿主HMS174(DE3)においてlacZ遺伝子をノックアウトできるように、lacZ再標的化領域が再び示された。次に、pMTL201acZTTのkanRAMが、MluIフラグメントであるErmBtdRAM1に置き換えられた。tdグループIイントロンが、グループIIイントロンRNA発現の誘導に続いて、ErmBtdRAM1からスプライスされていることをテストするため、pMTL201acZTTErmBtdRAM1を担持するE.coli細胞が採取され、RNAが作成された。その後、td挿入部位の傍らにあるプライマーを用いてRT‐PCR反応が開始された。コントロールとして、ErmBtd RAM1及びErmBtd RAM1 SE(ErmBtd RAM1のスプライスされた等価物)に標準的PCRが実行された。図7にみられるように、IPTG誘導RNAサンプルから得られた主な生成物は、SE遺伝子に対応するより小さいものだった。これは、tdが、ErmBtd RAM1における変性されたermB遺伝子のRNAからスプライスされたことを明確に立証している。
ErmBtd RAM1のスプライシングが起きることが明らかに実証されたにも関わらず、エリスロマイシン耐性コロニーは、500,250又は125μg/mlのエリスロマイシンが添加された寒天培地にIPTG誘導細胞を植菌しても取得されなかった。E.coliは本来的により低いレベルの抗生物質に耐性を有することから、抗生物質の濃度をこれ以上低減することは不可能である。
エリスロマイシン耐性コロニーを取得できないことは、遺伝子数による効果であると考えられている。したがって、ゲノムに挿入された単一のコピーは、抗生物質への耐性を、野生型E.coliに固有の低レベルの耐性より上げるのに不十分であった可能性がある。この可能性をテストするために、ErmBtdRAM1 SEを担持するDNAフラグメントは、開裂したpACYC184に結紮され、結紮混合物はE.coliに導入され、500,250及び125μg/mlの3つの異なる濃度でテトラサイクリン又はエリスロマイシンのいずれかを含む2YTの上に蒔かれた。同等数のコロニーがErm125及びTetの上で成長したが、Erm250の上では数倍少なく成長し、Erm500の上ではごく少量が成長した。この対照実験では、pACYC184上に存在するときのErmBtdRAM1 SEの遺伝的形質の実用限界を125μg/mlに設定した。
E.coliにおけるErmBtdRAM1 SEのスクリーンに必要なエリスロマイシンのレベルを確立して、標的領域にわたるlacZの領域は、プライマーlacZ target‐F(ACGAATTCCGGATAATGCGAACAGC‐GCACGG;配列番号33)及びlacZ target‐R(TGCGATCGCACCGCCGA‐CGGCACGCTGATTG;配列番号34)によりPCR増幅され、pCR2.1TOPOに複製されて、その後、E.coli細胞に数コピー存在するpACYC184にサブクローニングされた。その後、再標的化実験は、pMTL201acZTTErmBtdRAM1を、pACYC184::lacZを担持するE.coli細胞に導入することにより繰り返された。IPTGの誘導に続いて、細胞はエリスロマイシンを含む媒体に蒔かれた。以前の実験とは対照的に、適切な数の耐性コロニーが得られた。診断PCRにおける適切なプライマーの使用が、グループIIイントロンの、lacZ遺伝子への再標的化がpACYC184の上で起こったことを確実にした。したがって、ErmBtdRAM1 SEが単一のコピーとして存在するとき、ErmBの発現はエリスロマイシンに耐性を与えるのに不十分であるが、複数のコピーに存在するときは、ErmBは耐性表現型を与えるのに十分な量で発現される。
実施例4:ErmBtd選択可能マーカーを用いたクロストリジウム再標的化システムの構築
ErmBtdRAM1がSigma‐AldrichグループIIイントロンにおいてKanRAMの代わりになりうることを確立して、全体の要素は、lacZの再標的化領域と共に、(HindIII/SacI及びSacI/Nhelフラグメントとしての)pMTL201acZTTErmBtdRAM1から(HindIII‐NheIで切断された)クロストリジウム発現ベクターpMTL5402Fにサブクローニングされて、pMTL5402FlacZTTErmBtdRAM1を与えた。その結果、グループIIイントロンの発現はfacプロモーターの制御下にあった。グループIIイントロンの発現はIPTGによって調節される。
このベクターが、E.coliにおけるpACYC184::lacZ上のlacZ遺伝子を再標的化する能力をテストした。IPTG誘導及びエリスロマイシンに蒔くことに続いて、良好な再標的化が実証された。
実施例5:グループIIイントロン再標的化におけるErmBtdRAM1の効率の決定
ErmBtdRAM1が、KanRAMと比較して、グループIIイントロンが標的化できる頻度に影響するか否かを評価するために、我々は、Karberg等(2001,上記と同様)が開発した2プラスミドシステムを用いて、いくつかのモビリティアッセイに着手した。IPTG誘導に続くpACD2からのグループIIイントロンの(本来的な標的であるLtrBを担持する)pBRR3‐LtrBへの再標的化は、後者のプラスミド上のTet遺伝子の活性化をもたらした。このように個々の再標的化事象はテトラサイクリンへの耐性の取得に基づいて検知することができる。
したがって、プラスミドpACD2は、ErmBtdRAM1又はKanRAMのいずれかのこのベクター固有MluI部位への挿入により、変性された。これら2つのプラスミドは、pBRR3‐LtdBすなわち野生型標的配列を含む受容体プラスミドを含むHMS174(DE3)細胞に導入された。ドナープラスミドについての選択の後、細胞は500μM IPTGで1時間誘導され、LB中で再懸濁され、1時間回復させられて、その後、種々の希釈物が種々の選択的なプレート上に蒔かれた。それらのRAMを含む構造体のために、TetコロニーがまずTetプレートに再植菌され、その後再び適切な抗生物質を含むプレートに植菌されてRAMスプライシングをテストする。結果を表2に示す。
この実験は、KanRAM及びErmBtdRAM1は恐らく主にイントロンの増大したサイズに起因して、イントロン効率に同様の影響をもたらすことを実証した。重要なことには、データは双方のRAMが同じ効率ですプライスしたことを示している。
Figure 0005732496
いずれのRAMのスプライシングも当初は抗生物質耐性により検出できないが、Tetコロニーから再植菌される場合のみ検出できる。
実施例6:効果的なクロストリジウム再標的化配列の識別
ErmBtdRAM1の再標的化を評価するために、3つの異なるクロストリジウム種から8つの異なるテスト遺伝子が選択された。これらは、クロストリジウム・スポロジェンヌpyrF,spo0A,codY及びSONO,クロストリジウム・ディフィシレpyrF(ゲノム注釈番号CD3592)及びspo0A(ゲノム注釈番号CD1214)、クロストリジウム・アセトブチリカムpyrF(ゲノム注釈番号CAC2652)及びspo0Aだった。
各遺伝子はhttp://www.sigma-genosys.com/targetron/で解析され、再標的化を可能とするのに適切な変更が特定された。適切なプライマーを用いて、適切な変性グループIIイントロンの生成は、Sigma‐Aldrich TargeTronTM Gene Knockout System User Guideで示される、PCRによって行われた。各PCRは、グループIIイントロン又はその5’エクソンの標的部分を変性するように設計された固有のIBS,EBS2及びEBS1dプライマーと、EBSユニバーサルプライマーとを要求する。各遺伝子の標的挿入部位及びプライマーの配列を表3及び表4に示す。
Figure 0005732496
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変性されたグループIIイントロンが選択されたクロストリジウム遺伝子を再標的化することができることを保証するために、実験はまず効果的に機能することが知られているプラスミドシステムを用いたE.coliにおいて行われた。利用されたシステムは、実施例5に記載したように、Karberg等(2001)が開発した2プラスミドシステムである。このシステムを用いて、処理されたグループIIイントロンは1つのプラスミド(pACD2)上に載置され、その標的(この場合複製されたクロストリジウム遺伝子)は2つ目のプラスミド(pBRR3)上に載置された。pACD2からのグループIIイントロンのpBRR3への再標的化は、後者のプラスミド上のTet遺伝子の活性化をもたらす。このように、個々の再標的化事象はテトラサイクリンの耐性の取得により検出することができる。細菌の一部は選択的でない寒天プレート上に蒔かれて、すべての成長できる細菌を示唆し、一部はテトラサイクリンを含む寒天プレート(Tetプレート)上に蒔かれる。再標的化の効率は、テトラサイクリンに耐性があるすべての成長可能な細菌の割合に基づいて評価される。
標的遺伝子のpCR2.1/pCRIITOPOプラスミドからpBRR3へのサブクローニングを促進するために、複数クローニング部位がpBRR3‐LtrBに導入されpBRR3‐MCS1を作る。これは、pCR2.1‐TOPOプラスミドにみられる制限部位を含む、AatII及びEcoRI部位の間のマルチクローニング部位フラグメントの挿入によって行われる。クローニング部位の配列は、図8に示される。図8に示されるマルチクローニング部位フラグメントは、MCS1aオリゴヌクレオチドCTCGAGGTACCATGCATAGGCCTGAGCTCA‐CTAGTGCGGCCGCG(配列番号68)及びMCS1bオリゴヌクレオチドAATTC‐GCGGCCGCACTAGTGAGCTCAGGCCTATGCATGGTACCTCGAGACGT(配列番号69)から作られる。
4つの再標的化核酸(各々がクロストリジウム・スポロジェンヌ遺伝子pyrF,spo0A,codY及びSONOのいずれか1つにおける挿入を対象としている)は、2プラスミドイントロンモビリティアッセイを用いて評価される。4つすべてが予想より遥かに効果的な再標的化を可能とした。したがって、Tetプレートに蒔かれるよう選択された希釈物は理想的でなく、単にちょうどコロニー数の範囲内であり、したがって前で示された効率は、より少ない細菌が蒔かれた場合より精度が低い可能性がある。次の4つの再標的化核酸(各々がクロストリジウム・ディフィシレpyrF及びspo0A遺伝子又はクロストリジウム・アトブチリカムpyrF及びspo0A遺伝子のいずれか1つにおける挿入を対象としている)が、再標的化の評価を受けた。再標的化事象は、Tetプレートに蒔かれた細菌により評価された。この初期実験では、SONOはEmコロニーをもたらさなかった。結果を表5に示す。
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実施例7:クロストリジウムにおける核酸の再標的化の評価
初めの4つの新たな再標的化核酸(各々がクロストリジウム・スポロジェンヌ遺伝子pyrF,spo0A,codY及びSONOのいずれか1つにおける挿入を対象としている)がプロトタイプベクターpMTL5402FTTErmBtdRAM1にサブクローニングされ、その後当該プロトタイプベクターがE.coliドナーCA434に導入され続いて、そのE.coliは受容体としてのクロストリジウム・スポロジェンヌ又はクロストリジウム・ディフィシレのいずれかとの接合に用いられた。後者の場合、接合体は得られなかった。クロストリジウム・スポロジェンヌの場合は、双方のプラスミドにより接合体が得られた。単一の接合体が、250μg/mlのサイクロセリン及び7.5μg/mlのチアンフェニコール(後者はプラスミドメンテナンスを保証する)が補充された1.5mlの適当な成長媒体に植菌され、培養地は37℃で、一晩、嫌気的培養で静止期まで成長させられた。この培養地の150μlが、同じタイプで、同じ抗生物質を含む1.5mlの未使用の培養液の植菌に使用され、その後37℃で嫌気的に培養された。培養地の中において増殖が視認可能となってすぐに、典型的には1時間後に、培養地は1mMのIPTGで誘導され、1時間培養された。
2mlの誘導細胞が、7000rpmで1分間の遠心分離により採取され、PBSにおいて再懸濁により洗浄され、元の通り採取される。沈殿物は、サプルメントを含まない同量(2ml)の適当な成長媒体中で再懸濁だれ、37℃で1時間嫌気的に培養された。それから、培養地の連続希釈は、1時間、24時間及び48時間後、1〜10μg/mlのエリソマイシンが補充された適当な固体成長媒体に食菌され、37℃で嫌気的に培養された。
2回の別々の試みにおいて、エリソマイシンコロニーは得られなかった。
実施例8:天然ermBプロモーターが選択可能なマーカーとして機能するのに十分なErmBの発現を促進するには弱すぎることの証拠
実施例7に記載したように、再標的化核酸が再標的化を検出できないことの1つの説明は、ermBプロモーターが、細胞の染色体における遺伝子の1つのコピーがエリソマイシン耐性を与えることを可能とするのに弱すぎることである。大腸連鎖球菌プラスミドpAMβ1のermBプロモーター配列の解析は、プロモーターの−35及び−10領域の間隔は21bpであることを示した。グラム陽性プロモーターの最適条件は17±1bpである。
ErmBtdRAM1 SEは、pMT5402Fにおいてfacと異なる2方向に複製された。遺伝子がfacの制御下にあるときのみ、ErmBtdRAM1 SEを担持するプラスミドは、クロストリジウム・スポロジェンヌ宿主にエリスロマイシン耐性を与えることができる。反対の方向において、ermBコード領域の転写がそれ自身のプロモーターに依存しており、ermBがマルチコピープラスミドに存在するにも関わらず、発現は耐性に不十分である。
実施例9:強いプロモーターを有するクロストリジウムErmBtdRAMの開発
クロストリジウム・アセトブチリカムのthl遺伝子のプロモーターは、強く構成的なプロモーターとして認識されている。プライマーは、ErmBtdRAM1プロモーターをthlプロモーターに置き換えるように設計された。これらは、転写開始部位及びリボソーム結合部位の間における不要な配列を削除し、開始コドンにNdeI部位を挿入して、プロモーターが必要に応じて再度変更されることを容易にしている。thlプロモーターが強くなりすぎるのを防ぐために、−35及び−10〜16ntの間隔を変更し、−35及び−10要素にマイナーチェンジを行うことにより、突然変異体thlプロモーター‘thl2’も設計された。−35及び−10要素にわたるthl及びthl2プロモーターが、コンセンサスグラム陽性増殖期プロモーターとの比較において、図9に示されている。完全なthlプロモーターの配列は、図10のErmBtdRAM2配列における15〜84ポジションに示されている。完全なthl2プロモーターの配列は、図9に示される部分のみ、thlプロモーターと異なっている。
thl及びthl2プロモーターは、SOEing PCR及びクローニング処理を用いて、ErmBtdRAM1及びErmBtdRAM1 SE開始コドンに接合され、それぞれがthlプロモーターを含むErmBtdRAM2及びErmBtdRAM2 SE、及びそれぞれがth2プロモーターを含むErmBtdRAM3及びErmBtdRAM3 SEを生成した。RAM2及びRAM3双方の正しい配列が得られ、評価のためにpACD2及びpMTL201acZTTにサブクローニングされた。ErmBtdRAM2特徴及び配列は、図10に示されている。
RAM2及びRAM3部分の、E.coli TOP10細胞のエリスロマイシンへの耐性を与える能力は、下記の表6に示すように、これらの部分を含むプラスミドに対して決定された。
Figure 0005732496
SE TOPOプラスミド以外のすべてにおいて、ermB遺伝子はグループIイントロンにより妨害されるため、耐性は期待されなかった。SE TOPOプラスミドにおいては、ermB遺伝子は妨害されないため、ermBのプロモーターが十分に強ければ、耐性表現型が得られるはずである。予期外に、E.coliにおいてRAM2 TOPOクローンがエリスマイシン耐性を与えた。非常に強いthlプロモーター及び非常に高いコピー数が、恐らく天然ATGの珍しい翻訳開始により、この状況でグループIイントロンに打ち克つようである。この効果は、遺伝子がTOPOに存在するときにのみ見られる。pACD2及びpMTL201acZTTRAM等の再標的化に関連するプラスミドに挿入されたとき、E.coli細胞はエリスマイシンに耐性を持たない。RAM3耐性プロファイルは予想通りだった。したがって、いずれのプロモーターもクロストリジウム再標的化核酸における選択可能なマーカーの発現を促進するのに有用なようであった。
実施例10:pACD2/pBRR3システムにおけるErmBtdRAM2及び3の評価
ErmBtdRAM2及び3の再標的化効率は、実施例5に記載した再標的化アッセイを用いて評価した。結果を下記の表7に示す。
Figure 0005732496
RAM2及びRAM3のスプライシングは効率的であり(90%)、オリジナルRAM(RAM1)と同様であった。
実施例11:E.coliにおけるpMTL201acZTTシステムにおけるErmBtdRAM2及び3の評価
上述のように、いずれのRAMも、Ery500又はEry125のいずれかを用いて、グループIIイントロンのE.coli HMS174(DE3)染色体のlacZへの再標的化を検出するのに用いることはできない。RAM3ではなくRAM2の場合、非常に多くのEryRコロニーが出来るが、PCRの結果、LacZ遺伝子に再標的化されたグループIIイントロンの存在を確認することが出来なかった。恐らくこれらのコロニーは、プラスミドが与える弱い耐性により生じる。
実施例12:
図11は、pMTL5402FlacZTTErmBtdRAM2とも呼ばれるベクターpMTL007の主要な構成要素を図示している。このグループIIイントロンは、lacZ遺伝子を再標的とするように変性される。それはクロストリジウム綱の細菌性細胞の遺伝子を再標的とするように変性されてもよい。
プラスミドの主要な要素は以下のとおりである。
図示例で誘導facプロモーターである、再標的化核酸要素の発現を引き起こすクロストリジウムプロモーター。他のプロモーター、すなわちlacオペレーターの存在により誘導性とされるもの、例えばfac2も、同様に用いられる。誘導を仲介するために、プラスミドは、クロストリジウムプロモーター、この例ではクロストリジウム・アセトブチリカムのptb遺伝子(ホスホトランスブチリラーゼをコードする)のプロモーターの制御下のE.coli lacI 遺伝子をも担持する。構成的プロモーターは、誘導プロモーターの代わりに用いられうる。プラスミドは、プラスミドpMTL20EのCo1E1レプリコンをも担持し、E.coliにおけるプラスミドのメンテナンスを可能とし、更にクロストリジウム・ブチリカム・プラスミドpCB102のレプリケーション領域をも担持することでクロストリジウム種におけるメンテナンスを可能とする。プラスミドのメンテナンスは、E.coli(クロラムフェニコールを含む媒体の補給を通じて)及びクロストリジウム(チアンフェニコールを含む媒体の補給を通じて)におけるプラスミドの選択を可能とするcatP遺伝子の含有によっても提供される。導入に加えてプラスミドのクロストリジウム受容体への接合を容易にするために、ベクターはプラスミドRP4のoriT領域をも担持する。
これらの要素のすべては他のソースからの等価の要素との互換性がある。したがって、Co1E1はE.coliにおいてレプリケーションを可能とする、p15a、pVW01等の他のレプリコン又はM13等のファージオリジンに置き換えられてもよい。catP遺伝子は、tetM又はaad等の他の適当な抗生物質抵抗性遺伝子に置換されてもよい。同様に、pIM13,pIP404,pAMβ1,pCD6,pC194,pE194,pT181,pCB101,pBP1等の、標的のクロストリジウム又はグラム陽性細菌宿主において複製可能ないかなるレプリコンが用いられてもよい。レプリケーションに条件を有する、例えばレプリケーションのための温度に敏感である又は外性的な要素に依存するレプリコンを含む、レプリケーションに欠陥があるレプリコンも用いることができる。グラム陽性プラスミドにおいてレプリケーションに対する条件を欠くプラスミド、すなわちCo1E1レプリコンのみを担持する自殺ベクターを用いてもよい。
オペレーター及びリプレッサー遺伝子の他の組合せが用いられてもよい。テトラサイクリン(Tet)により調整されるコンジュゲイティブトランスポゾンTn5397で同定されるプロモーターは、他の対象を示す(Roberts,博士論文,UCL)。あるいは、近年、S.xylosusから生成されたキシロース誘導プロモーターがクロストリジウム・アセトブチリカムで機能することが示されている(Girbal等(2003)Appl Environ Microbiol.69:4985‐8)。他の対象候補は、枯草菌において作成されたtet調節プロモーターである(Geissendorfer and Hillen(1990)Appl.Microbial.Biotechnol.33:657−63)。それは、tetオペレーター(tet O)配列を強いxylプロモーターの−35及び−10の間に加えることによって作られた(Geissendorfer and Hillen,1990、上記と同様)。tet R遺伝子(リプレッサーをコードしている)の存在下において、誘導体化プロモーターは、亜致死量濃度のTetにより100倍誘導可能だった。得られた発現の基礎レベルは、第2のtetオペレーターの追加により、この追加により発現レベルの全体の低減を引き起こすものの、完全になくすことができた。続いて、このプロモーターは、1つのオペレータのみが必要と証明された黄色ブドウ球菌に応用されてきた(Bateman等(2001)Infect Immun,69:7851‐7:Ji等(2001)Science 293:2266‐2269)。
tet調整プロモーターは、我々が開発したfac/lacIシステムの理想的な代替品になる。このように、我々はlacIの発現に用いられる同じプロモーターを用いてtetを発現することができる(クロストリジウム・アセトブチリカムptbプロモーター)。枯草菌において、誘導の度合いはテスト範囲にわたって用量依存的だった。しかしながら、枯草菌は抗生物質に敏感であることから、高濃度のTerは加えられなかった。同様の制約は、抗生物質に耐性があるクロストリジウム・ディフィシレ等のクロストリジウムには適用されない。システムの実現可能性をテストするために、facを再合成して、−35及び−10の間の領域をtetOで置き換える。Tetの非存在下で高基礎レベルが観察されれば、第2のオペレーターを加えることができる。更なる合成lacO配列の追加は、LacIによるプロモーターの抑圧を強めるのにも用いることができる(Muller等(1996)J Mol Biol.257:21‐9)。
pMTL007の構造
前記構造で用いられるオリゴヌクレオチドプライマーは下記の表8に示される。
Figure 0005732496
1.627 kb LspI‐HindIII フラグメントは、クロストリジウム・ブチリカム・プラスミド pCB102から単離され(Minton及びMorris(1981)J Gen Microbiol 127:325‐33)、かつ、クレノウポリメラーゼにより平滑末端化された。レプリコンクローニングベクターpMTL21E(Swinfield等(1990)Gene 87:79−89)はNhelにより開裂され、クレノウポリメラーゼにより平滑末端化されて単離されたpCB102レプリコンフラグメントと結紮された。結果として得られたプラスミドは、図12に示すように、pMTL540Eと名付けられた(T Davis,PhD Thesis,The Open University,1989)。
誘導プロモーター要素は、クロストリジウム・パスツリアヌムのフェレドキシン遺伝子プロモーターから生成された。現在facと呼ばれており、E.coli lac オペレーターをフェレドキシン遺伝子プロモーターの+1のすぐ後に加えることにより生成され、フェレドキシン構造遺伝子のATG開始コドンのすぐ前の配列をCATに変更し、これによりNdeI制限部位(CATATG)を生成した(Minton等(1990)Vector systems for the genetic analysis of Clostridium acetobutylicum In:Anaerobes in Human Medicine and Industry(eds P Boriello & J Hardie), Wrightson Publishing,Petersfield,UK pp.187‐206)。この特定の例では、lacプロモーターに比べ、lacオペレーターは転写と反対方向に挿入された。しかしながら、これは機能的に影響せず、LacIプロテインはまだ結合して、プロモーターを抑制する。
その後、facプロモーターは、NdeI及びEcoRI制限フラグメントとしてプラスミドpMTL1003の同等の部位の間にサブクローンされ(Brehm等(1991)Appl.Biotechnol.36,358‐363)、プラスミドpMTL1006を生成する。このサブクローニング処理は、pMTL1003のtrpプロモーターを除去し、lacZ’の発現を変性されたfdプロモーターの制御下に置いた。その後、プラスミドpMTL1006は、BglIで切断され、2つのフラグメントのうち大きいほうが単離された。プラスミドpMTL500E(Oultrarn et al (1998) FEMS Microbiol Lttts 56: 83−88)が、同様にBglIで開裂され、2つのフラグメントのうち大きいほうが単離され、それがpMTL1006から単離されたより大きいフラグメントと結紮された。得られたプラスミドはpMTL500Fと名付けられた(Fox等、1996、上記と同様)。
pMTL500Fはクロストリジウムにおいて複製の盛んなpMTL500Fであるが、我々は、pAMβ1をベースとしたシャトルベクターの転送頻度は、比較的効率が悪いことを発見した。それゆえ我々は、レプリコンをpCB102のそれに変えることを決めた。したがって、pMTL540E及びpMTL500Fは、BglIによって切断され、pMTL540Eのより大きいフラグメントは、pMTL500Fのより小さいフラグメントに結紮した。得られたプラスミドは、指定のpMTL540Fだった(Fox等,1996、上記と同様)。簡潔化のために、pMTL500E及びpMTL1006フラグメントの結紮と、pMTL540E及びpMTL500Fフラグメントの結紮とは、pMTL540E及びpMTL1006の1つの結紮として図12に示されている。
形質転換がまた実証されていないプラスミドの接合伝達を可能とするために、我々はプラスミドにプラスミドRP4のoriT(転写の複製起点)を与えることを選択した。そのようなものとして、RP4 oriT領域は、pEoriT(Purdy等,2002)からEcoRV及びSmaIを用いて切除され、pMTL540FのEcoRV制限部位にサブクローンされて、pMTL5400Fを生成した(図12参照)。
LacIリプレッサータンパク質の生成を引き起こすために、E.coli lacI遺伝子のプロモーターを含まないコピーは、PCRプライマーlacP1及びlacIP2を用いて、pNM52(Gilbert等(1986)J.Gen.Microbiol.132:151−160)から約1.0kbのNdel‐EcoRIフラグメントに増幅された。同時に、クロストリジウム・アセトブチリカムptb(ホスホトランスブチリラーゼ)のプロモーター領域は、プライマーptb‐P1及びptb‐P2を用いてPCR増幅された。これは、遺伝子が578bp EcoRI‐Ndelフラグメントに配置する。2つのフラグメントは単離され、EcoRI‐切断pMTL20Eにより結紮して、lacI遺伝子をptbプロモーターの転写制御下におき、運搬可能なEcoRIフラグメントに変性された遺伝子を配置した。このフラグメントは、生成されたプラスミドから切除され、クレノウポリメラーゼにより平滑末端化され、EcoRV‐切除pMTL5400Fに結紮した。得られたプラスミドは、図12に示すように、pMTL5401Fと名付けられた。
プラスミドpMTL5401Fは、erm遺伝子を選択可能なマーカーとして担持する。したがって、それはErmRAMと混合することはできない。したがって、erm遺伝子はpJIR418のcatP遺伝子と置き換えられた(Sloan等(1992)Plasmid 27:207‐219)。これは、AhdI/TthIII1によりpMTL5401Fを切除し、DNAをクレノウポリメラーゼにより平滑末端化し、その後、AhdI及びTthIII1による切断によって生成された2つのpMTL5401Fフラグメントの大きい方にpJIR418catP遺伝子を運ぶ1.1kbのPvuIIフラグメントに結紮することにより達成された。この操作は、ermBの削除及びbla遺伝子の大部分の除去を完了させた。得られたプラスミドは、図13に示すように、pMTL5402Fと名付けられた。
この置換に先立って、catPフラグメントのBsrG1部位は、catPコード配列を変化させることなく、BsrG1パリンドロームを破壊するように配列を突然変異させることにより除去された。これはプライマーCatPSOEF及びCatPSOERを用いた、Sewing Overlap Extension(SOE) PCR(Horton等,1990)を用いた仕事だった。更に、使用された傍らのプライマーCatPFwd及びCatPRevは、PvuII部位及び内部AgeI部位の双方を包含するように作られた。前者は、後に続くプラスミドのpMTL5401Fへの挿入のために組み込まれ、後者は、最終プラスミドpMTL007のcatPの将来的な代用マーカーとの後々の置換を促進するために導入された。
pML T007は以下のように構成された。
TargetronTM プラスミド pACD4K‐Cは、Sigmaから購入され、PCR生成物がまず複製されてその配列がHindIII/BsrGIフラグメントのpACD4K‐Cへのサブクローニングの前に検証される以外は、与えられたプロトコルに従って、キットに提供された制御プライマーを用いてE.coli lacZ遺伝子に再標的化された。
lacZ‐再標的化核酸領域は、図13に示すように、5099bp NaeIフラグメントとして切除され、HindIII端のT4ポリメラーゼ平滑末端化と共に、HindIII及びSmaIによる分解によって予め生成されたpMTL20の2412bpフラグメントに結紮された。構成は、HindIII及びNheI部位が再標的化核酸領域の傍らに位置する方向から選択された。
KanRAMはMluIを用いて切除され、図13に示すように、ErmBtdRAM2を含むMluIフラグメントに置き換えられた。
ErmRAMを含む全体のlacZ‐再標的化核酸領域は、その後、HindIII及びNheIに分解されたpMTL5402Fに共に結紮する〜3.3kbpのHindIII/SacIフラグメント及び〜1.8kbpのSacI/NheIフラグメントとして切除された。結果として得られたプラスミドは、指定のpMTL5402FlacZTTErmBtdRAM1だった。
クロストリジウム・アセトブチリカムATCC 824のthlプロモーターは、pSOS95(Tummala等(2003)J.Bacteriol.185:1923〜1934)から、プライマーThio‐F1及びThio‐R‐RAMを用いてPCR増幅された。PCR生成物は、ゲル精製され、ErmBtdRAM1構造物からのtdグループIイントロンPCR生成物と共に、アウタープライマーThio‐F1及びtdGpI‐R1を用いたSOEing PCRにおけるテンプレートとして用いられた。thlプロモーター及びtdイントロンの一部分は、このPCRプロダクトから143bpSpeI/NspIフラグメントとして切除された。tdイントロンの残りの部分及びpCR2.1::ErmtdRAM1からのermB ORFは、共にNspI/NotIフラグメントとして切除された。これらのフラグメントは、SpeI及びNotIにより線形化されたpCR2.1::ErmBtdRAM2 SEに3ウェイライゲーションで結紮され、プラスミドpCR2.1::ErmBtdRAM2を生成した。
図14に示すように、RAMを含むpCR2.1::ErmBtdRAM2のMlul/Mlulフラグメントは、pMTL201acZTTのより大きいMlul/Mlulフラグメントと結紮して、pMTL201acZTTErmBtdRAM2を形成した。
図14に示すように、RAMを含むpMTL201acZTTErmBtdRAM2のBsrGI/BstBIフラグメントは、BsrGI/BstBI切断pMTL5402FlacZTTErmRAM1にサブクローンされ、pMTL007を生成する。
pMTL007は初めに指定したpMTL5402FlacZTTErmBtdRAM2であり、pMTL5402FlacZTTErmRAM2又はpMTL5402FlacZTTRAM2又はpMTL5402FlacZTTR2と呼ばれることもある。
再標的化されれば、プラスミドは、「標的領域」(TR)の識別字が末尾に付いたpMTL007(又はpMTL5402FTTErmBtdRAM2又はpMTL5402FTTErmBRAM2又はpMTL5402FTTRAM2又はpMTL5402FTTR2)と名付けられる。TRは、再標的化PCRにより生成された配列のHindIII及びBsrGI部位の間の全体の領域である。例えば、プラスミドが、適当なTRフラグメントをHindIII/BsrGIとして複製することにより、spo0A ORFのポジション178において、クロストリジウム・ディフィシレ630遺伝子spo0Aに再標的化されれば、プラスミドはpMTL5402FTTErmBtdRAM2::Cd‐spo0A‐178aTRと名付けられる。
実施例13:クロストリジウム・スポロジェンヌにおけるpMTL5402FlacZTT体系におけるErmBtdRAM2及び3のcodYに対する評価
クロストリジウムにエリスロマイシン耐性を与えることができる新たなRAMを生成して、イントロンがクロストリジウム・スポロジェンヌのcodYを再標的化するように構成された標的化部分を有する変性されたグループIIイントロンを有するクロストリジウム再標的化核酸が作られた。RAM2又はRAM3のいずれかを含む2つのプラスミドが作られ、それぞれpMTL5402FCs‐codY‐417sTT::RAM2及びRAM3と命名された。RAM2バージョンは、グループIIイントロンの再標的化部分及びIBS配列がE.coli lacZではなくクロストリジウム・スポロジェンヌのcodYに対する再標的化を可能とするように作られている以外は、図10に示されたものと同様である。いずれもプラスミドも、クロストリジウム・スポロジェンヌに接合された。接合体はPCRにより実証され、Ery1.25に対して完全に敏感であることが示された。各RAMの選択された接合体は、その後IPTGにより誘導され、遠心分離及び洗浄により誘導物質を除去した後、ある範囲の濃度のエリスロマイシンを含む寒天プレート上に塗抹される前に、3時間の回復を与えられた。
得られたコロニーの数を下記の表9に示す。
Figure 0005732496
これらのデータは、十分な誘導期間の必要性及びRAM3に比べてRAM2を用いると優れた効果が得られることを実証した。
実施例14:更なる突然変異体の生成
我々は、その不活性化が容易に検出できる表現型に導く2つの遺伝子を標的とすることにした。これらはpyrF及びspo0Aである。後者の***が胞子非形成を引き起こすのに対し、前者の不活性化はウラシル要求性を引き起こすと考えられる。
pMTL007は、クロストリジウム・スポロジェンヌspo0A遺伝子を再標的とされ、クロストリジウム・スポロジェンヌの数百のEmコロニーがIPTG誘導の後にただちに得られた。DNAは4つの任意のコロニーから抽出され、PCRにおいてテンプレートとして用いられた。すべての場合において、RAMに固有のプライマーはtdイントロンの損失に一致するサイズのDNAフラグメントを生成した(図15)。
pMTL007::Csp‐spo0A‐249sによるRAMの明らかの機能性を実証して、我々は、3つすべてのクロストリジウム種において、メソッドセクションで概説されたプロトコルを用いて、2つの遺伝子(pyrF及びspo0A)の突然変異体を生成し始めた。Emクローン(図15b,c)のPCRスクリーニングは、対象とする染色体の部位への挿入の非常に高い頻度を明らかにし(表10)、この方法を用いていかに容易に組込み体が得られるかを実証した。単離の後、組込み体のシングルコロニーがチアンフェニコール感受性表現型によるプラスミド損失の検査を受け、プラスミドがキュアリングされたコロニーは、更なる継代なしで、これらのすべての有機的組織体の中で優位であることがわかった。挿入部位は、イントロン‐エクソン接合を超えたシークエンシングにより検証され(表10)、RAMに対する、プローブによるサザンブロッティングは、挿入要素の単一のコピーの存在を裏付けた(図15d,e及びf)。
クロストリジウム・スポロジェンヌにおけるpMTL007::Csp‐spo0A‐249sからのイントロン発現のIPTG誘導は、pMTL5401Fcatからのレポーターデータと一致するように、100倍以上挿入頻度を増加させた(表10)。
Figure 0005732496
イントロンの調整性発現が構成的発現に対して優位であることを確立するために、我々は、フレームシフト突然変異のpMTL007::Csp‐spo0A‐249sのlac遺伝子への導入により、facプロモーターを非抑制化した。10倍以上の更なる挿入頻度の増加が観察され(表10)、イントロンの調整性発現は構成的発現に対して優位ではないことを示した。我々は、同等の実験をpMTL007::Cac‐spo0A‐242aを含むクロストリジウム・アセトブチリカムにおいて行い、IPTGの追加によって組込み頻度に変化がないことを観察した(データ図示せず)。pMTL5401Fcatレポーターデータに従って、この有機的組織体におけるfacプロモーターからの基礎イントロン発現が明らかに容易に検出可能な組込み頻度を達成するのに十分であった。pMTL5401Fのように、pMTL007は、抗生物質補充液体培地においてその接合完了体の成長を支持するには、クロストリジウム・ディフィシレにおいて不安定すぎた(Purdy等(2002)Mol.Microbiol.46:439‐452)。したがって、クロストリジウム・スポロジェンヌで行われたIPTG誘導実験とのいかなる比較IPTG誘導実験も行われなかった。しかしながら、クロストリジウム・ディフィシレ及びクロストリジウム・アセトブチリカムの双方において、Em組込み体は、接合完了体コロニーを、IPTGの追加なしで、エリスロマイシンを含む成長媒体に単に再ストリーキングすることにより、容易に得ることができた。
予想したように、すべてのspoA突然変異体は内生胞子を形成することができなかった(図16)。すべてのpyrF突然変異体は50μg/Lのウラシルを補充しない限り最少培地では成長することができなかった。我々は、3つすべてのクロストリジウム突然変異体をエリスロマイシン選択のない栄養豊富な溶液媒体で成長させ、その後、それらを最少寒天培地にウラシルと共に、又はウラシルなしで蒔くことにより、ウラシル原栄養性に復帰突然変異株を選択しようと試みた。少なくともこの3種の実験では、ウラシルを欠いた培地では復帰突然変異株は一切得られなかった。ウラシルで補完される媒体における細胞数の比較によって、細胞ごとの復帰頻度がクロストリジウム・ディフィシレにおいて9.36×10−9未満、クロストリジウム・アセトブチリカムにおいて9.60×10−7未満、クロストリジウム・ズポロジェンヌにおいて5.50×10−9未満と評価された。これらの発見は、イントロン組込み体は非常に安定‐非常に望ましい突然変異体特性であることを示す文献(Frzier等(2003)Appl.Environ。Microbiol.69:1121‐1128)のデータと一致した。
実施例15:他のターゲットに対するErmBtdRAM2体系の評価
標準プロトコルは、クロストリジウムにおいて再標的化のために以下のように作成された。
1. 対象の遺伝子に対するイントロン再標的化配列は、基本的にTargetron TM キットでSigmaにより提供された方法に従って生成される
Sigmaのウェブサイト[http://www.sigma-genosys.com/targetron]で提供されたコンピュータアルゴリズムが、対象の遺伝子の配列内で可能なイントロンターゲットを識別し、PCRプライマーを設計するのに用いられる。これらのプライマーは、その後、Sigma TargetronTM プロトコルに従って使用され、Sigma TargetronTMキットで提供されるPCR試薬を使用して、イントロンの部分に対応し変性されたIBS,EBS1d及びEBS2配列を含む353bp PCR生成物を生成し、これによりイントロンは対象の遺伝子を再標的化することができる。このPCR生成物はpCR2.1等の適当なクローニングベクターに複製され、その配列が検証される。あるいは、それはpMTL007に直接サブクローンされてもよい。
2. 原型クロストリジウム再標的化プラスミドpMTL5402FlacZTTR2は、基本的にTargetron TM キットでSigmaにより提供された方法に従って再標的化される。
工程1のPCR生成物がクローニングベクターに複製されたとすると、所望の再標的化配列が、制限エンザイムHindIII及びBsrGIの消化により、そのプラスミドから切除され、同じエンザイムにより消化されるpMTL5402FlacZTTR2に複製される。いずれの場合でも、結果として得られる構成体は限定解析及び/又はシーケニングにより検証される。
3. 良好に再標的化されたクロストリジウム再標的化プラスミドは、ターゲット有機的組織体に導入される。
組み換え型プラスミドは、電気形質転換又は接合のいずれかに基づく標準DNA導入方法により、クロストリジウム宿主に導入されうる。いずれの方法も、Davis I,Carter G,Young M及びMinton NP(2005)の「Gene Cloning in Clostridia」、In:Handbook on Clostridia(Durre P,ed)pp.37‐52,CRC Press,Boca Raton,USAで提供される。我々の実験では、プラスミドはE.coliドナーからの接合によりクロストリジウム・ディフィシレ及びクロストリジウム・スポロジェンヌに導入された。対照的に、プラスミドは形質転換によりクロストリジウム・アセトブチリカムに導入された。
4. 再標的化核酸発現及びそれに続く組込みは、IPTGによる形質転換体の誘導によって達成される:
個々の形質転換細胞コロニーは、250μg/mlのサイクロセリン及び7.5μg/mlのチアンフェニコール(後者はプラスミドメンテナンスを補強する)が補充された1.5mlの適当な成長媒体を植菌するのに用いられ、培地は嫌気的培養により37℃で一晩、静止期まで成長させられる。この培地の150μlが、同じタイプで同じ抗生物質を含む1.5mlの未使用の培養液の植菌に用いられ、その後、37℃で嫌気的に培養される。培地の中で増殖が視認されるとすぐに、典型的には1時間後に、培地は1mMのIPTGに誘導され、3時間培養される。
5. 再標的化核酸組込み体は、回復工程に続く細胞の選択溶液培地への植菌及び培養によって検出され、単離される。
1分間7000rpmの遠心分離により2mlの誘導細胞が採取され、PBSにおける再懸濁により洗浄され、もとの通り採取される。沈殿物は同量(2ml)のサプルメントなしの適当な成長媒体に再懸濁され、37℃で3時間嫌気的に培養される。その後、培地の連続希釈物が、1〜10μm/mlのエリスロマイシンが補充された適当な固体成長メディア(生育培地)に蒔かれ、37℃で嫌気的に培養される。再標的化核酸組込み体クローンに対応するエリスロマイシン耐性コロニーは、使用された有機的組織体及びエリスロマイシン濃度に応じて、18〜48時間後にこれらのプレートから集められる。
任意に、組込み事象の頻度を決定するために、培地の連続希釈物が、追加的に薬物が加えられていない固体成長媒体又はエリスロマイシンの代わりに15μg/mlのチアンフェニコールが補充された固体成長媒体に蒔かれてもよい。
表11に示すように、クロストリジウム突然変異体を作るのに標準プロトコルが使用された。
Figure 0005732496
再標的化が不十分な場合もあった。したがって、いかなる所定の遺伝子も破壊するために複数の標的化部分を試すことが勧められる。更に、コロニーは、混合バッチのPCRスクリーニングの前にプールされうる。もし、約10又は100コロニーの一部分が混合されて、再標的化された突然変異体のために予想されるサイズのPCR生成物が生成されると、その後、コロニーは個々にスクリーニングされることができる。
実施例16:更なる突然変異体の生成
前記方法の利便性を更に確立するために、我々は前述の3つの種それぞれからいくつかの他の遺伝子を選択して、突然変異生成手順を繰り返した。標的化された遺伝子は表12に挙げられており、pMTL007のグループIIイントロンの組み換えのための標準プロトコルに従ってPCR生成物を生成するのに使用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、表4又は表14に示されている。すべての場合において、所望の組込み体が得られた。各挿入はPCRスクリーニングにより確認され、挿入ポイントはヌクレオチドシーケニングにより検証された。
Figure 0005732496
Figure 0005732496
実施例17:catPベースのRAMの構造
クロラムフェニコール又はチアンフェニコールに耐性を与える代替的な変性選択可能マーカー遺伝子、すなわちcatPを含むRAMが構成される。
catP ORFは、プライマー伸長法を用いてcatP ORFの5’にtdイントロン及びリンカーの小部分を加える、プライマー linker‐catP‐F 5’‐ATACTCAGGCCTCAATTAAC‐CCAAGAGA‐TGCTGGTGCTTCTGGTGCTGGTATGGTATTTGAAAAAATTGATAAAAATAGTTGGAACAG‐3’(配列番号130)及びcatP‐MluI‐R1 5’‐ATACGC‐GTTTAACTATTTATCAATTCCTGCAATTCGTTTACAAAACGGC‐3’(配列番号131)を用いて、pMTL5402FプラスミドDNAテンプレートからPCR増幅された。
PCR生成物は、StuI及びMluIにより消化された。thlプロモーター、リンカー及びtdグループIイントロンの大部分を含むErmBtdRAM2の部分は、pCR2.1::ErmBtdRAM2からSpeI/StuIフラグメントとして切除された。これら2つの制限フラグメントは、共に、SpeI及びMluIに線形化されたpCR2.1::ErmBtdRAM2に結紮され、新たなRAM要素RAM‐C1を含むプラスミドpCR2.1::RAM‐C1を産出した。
RAM‐C1におけるcatP ORFのすぐ前の配列は、ErmBtdRAM2におけるermB ORFのすぐ前の配列と同一であり、thlプロモーター、リンカー及びtdグループIイントロンを含む。全体のRAM‐C1要素は、MluI部位と隣り合っており、RAMとしての使用のために、L1.LtrBイントロンのMluI部位へのサブクローニングを促進する。
RAM‐C1又はその派生物は、pMTL007に類似するプラスミドにおいてRAM要素として使用されることができ、チアンフェニコール又はクロラムフェニコール耐性の取得に基づいて、クロストリジウムにおける再標的化事象を選択する。宿主中でプラスミドを維持することを要求される選択可能マーカーは、RAMにより与えられる耐性と異なる薬剤に対する耐性を与えなければならないと認められる。したがって、pMTL007は、そのcatP選択可能マーカーのクロストリジウムに有効なermB等の異なる選択可能マーカーとの置き換えにより変性される。このようにして変性されたプラスミドは、クロストリジウムの再標的化に用いることができる。
ここに記載したように、選択可能マーカーをコードする領域に動作可能に結ばれるプロモーターは、選択可能マーカー遺伝子の単一のコピーに、選択可能マーカーがクロストリジウム細胞の表現型を選択可能マーカー遺伝子が欠如したクロストリジウム細胞から識別できるように変更するのに十分な量でコードされる選択可能マーカーの発現を起こすことができなければならない。RAM‐C1要素におけるthlプロモーターがこの基準を満たさない場合は、ここに開示される方法を用いて置き換え又は変性されてもよい。同様に、tdグループIイントロンの位置が、選択可能マーカーがRAMに存在するときにその発現を妨害するのに又は選択可能マーカーがRAMからスプライスされたときにその発現を許可するのに不適である場合、その位置は変更されてもよい。RAMの要素の機能は、Karberg等(2001)により開発された2プラスミドシステム(実施例5参照)を用いてテストされてもよい。最後に、RAM‐C1又はその派生物は、クロストリジウムにおける再標的化突然変異体を生成するのに用いることができるであろう。

Claims (40)

  1. DNA分子であって、
    イントロンコード逆転写酵素を発現しないが、変性されたグループIIイントロンと逆方向の変性された選択可能マーカー遺伝子を含む前記変性されたグループIIイントロンであって、前記選択可能マーカー遺伝子は選択可能マーカーをコードする領域及び前記領域に動作可能に結合されたプロモーターを有し、前記プロモーターは、前記選択可能マーカー遺伝子の単一のコピーに、前記選択可能マーカーがクロストリジウム綱の細菌性細胞の表現型を、前記選択可能マーカー遺伝子が欠如したクロストリジウム綱の細菌性細胞から識別することができるように変更するのに十分な量でコードされる選択可能マーカーの発現を起こすことができる、前記変性されたグループIIイントロンと、
    前記変性されたグループIIイントロンの転写のためのプロモーターであって、前記変性されたグループIIイントロンに動作可能に結合された前記プロモーターと、
    を有し、
    前記変性された選択可能マーカー遺伝子は、前記選択可能マーカー遺伝子の発現を妨害することができるように、前記変性されたグループIIイントロンに対して方向に位置するグループIイントロンを含み、
    前記DNA分子は、前記グループIイントロンが前記変性されたグループIIイントロンのRNA転写体から除去されて前記選択可能マーカーをコードする領域を残すことを可能とし、前記RNA転写体又はそのDNAコピーをクロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の部位に挿入することを可能にする、DNA分子。
  2. 前記変性されたグループIIイントロンの傍らにはエクソンが位置し、前記エクソンは前記グループIIイントロンの前記RNA転写体のスプライシングを可能とする、請求項1に記載のDNA分子。
  3. 前記変性されたグループIIイントロンは標的化部分を有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載のDNA分子。
  4. 前記標的化部分は、前記変性されたグループIIイントロンの前記RNA転写体の、前記クロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の範囲内の部位への挿入を可能とする、請求項3に記載のDNA分子。
  5. 前記部位は選択された部位である、請求項4に記載のDNA分子。
  6. 前記DNA分子はプラスミドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のDNA分子。
  7. 前記プラスミドは大腸菌クロストリジウムシャトルベクターである、請求項6に記載のDNA分子。
  8. 前記大腸菌から前記クロストリジウム鋼の細菌性細胞への接合伝達を可能とするタンパク質をコードする遺伝子を更に有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のDNA分子。
  9. 前記選択可能マーカーをコードする前記領域に動作可能に接合された前記プロモーターは、クロストリジウム・アセトブチリカムのthl,ptb若しくはadc遺伝子又はクロストリジウム・パーフリンジェンスのfdx若しくはcpe遺伝子のプロモーターである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のDNA分子。
  10. 前記選択可能マーカーは、前記選択可能マーカー遺伝子が欠如した前記クロストリジウム綱の細菌性細胞と比較して、前記選択可能マーカーが発現する前記クロストリジウム綱の細菌性細胞に増殖優位性を与える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のDNA分子。
  11. 前記選択可能マーカーは、前記クロストリジウム綱の細菌性細胞にエリスロマイシン耐性又はクロラムフェニコール耐性を与える、請求項1〜10のいずれか一項に記載のDNA分子。
  12. 前記グループIイントロンは、前記選択可能マーカーをコードする前記領域の範囲内又はその上流に位置する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のDNA分子。
  13. 前記変性されたグループIIイントロンに動作可能に結合する前記プロモーターは誘導プロモーターである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のDNA分子。
  14. 前記誘導プロモーターは、IPTG又はキシロース誘導性である、請求項13に記載のDNA分子。
  15. プロモーターに動作可能に接続されているが前記変性されたグループIIイントロンに含まれないグループIIイントロンコード逆転写酵素をコードする、オープンリーディングフレームを更に有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のDNA分子。
  16. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のDNA分子と、
    グループIIイントロンコード逆転写酵素を発現することができるDNA分子と、
    を有するパーツキット。
  17. 核酸分子をクロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の部位に導入することができる方法であって、
    (i)請求項1〜14のいずれか一項に記載のDNA分子と、グループIIイントロンコード逆転写酵素を発現することができるDNA分子と、をクロストリジウム綱の細菌性細胞に提供する工程と、
    (ii)前記細菌性細胞を、前記変性されたグループIIイントロンの前記RNA転写体からの前記グループIイントロンの除去と、前記選択可能マーカー遺伝子又はそのDNAコピーを含む前記RNA転写体の前記部位への挿入を可能とする条件下で培養する工程と、
    を有する、方法。
  18. 前記選択可能マーカーを発現することができる条件下で前記クロストリジウム綱の細菌性細胞を培養する工程を更に有する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記選択可能なマーカーにより与えられた変化した表現型に基づいて前記クロストリジウム綱の細菌性細胞を選択する工程を更に有する、請求項18に記載の方法。
  20. 請求項17で得られた細胞より生じた細胞の単一のクローンを単離する工程を更に有する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記グループIIイントロンコード逆転写酵素を発現することができる前記DNA分子は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の前記DNA分子と同一である、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記クロストリジウム綱の細菌性細胞はクロストリジウム属のものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載のDNA分子。
  23. 記クロストリジウム属である前記細胞はクロストリジウム・サーモセラム、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ディフィシレ、ボツリヌス菌、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ベイジェリンキー、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・セルリチカム又はクロストリジウム・セプティカムである、請求項22に記載のDNA分子。
  24. 前記クロストリジウム綱の細菌性細胞における前記DNA分子の前記部位は、遺伝子の範囲内又は遺伝子の発現に影響を及ぼすDNAの部分に位置する、請求項1〜15,22又は23のいずれか一項に記載のDNA分子。
  25. 前記部位は、細菌ゲノムの範囲内に位置する、請求項1〜15若しくは22〜24のいずれか一項に記載のDNA分子。
  26. 前記クロストリジウム綱の細菌性細胞はクロストリジウム属のものである、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記クロストリジウム属である前記細胞はクロストリジウム・サーモセラム、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ディフィシレ、ボツリヌス菌、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ベイジェリンキー、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・セルリチカム又はクロストリジウム・セプティカムである、請求項26に記載の方法。
  28. 前記クロストリジウム綱の細菌性細胞における前記DNA分子の前記部位は、遺伝子の範囲内又は遺伝子の発現に影響を及ぼすDNAの部分に位置する、請求項17〜21、26、又は27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記部位は、細菌ゲノムの範囲内に位置する、請求項17〜21又は26〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の前記DNA分子を有する前記クロストリジウム綱の細菌性細胞を提供する工程は、前記DNA分子を前記クロストリジウム綱の細菌性細胞に形質導入若しくは転移する工程、又は前記DNA分子をドナー細菌性細胞から前記細菌性細胞にトランス接合させる工程を有する、請求項17〜21又は26〜28のいずれか一項に記載の方法。
  31. 核酸分子をクロストリジウム綱の細菌性細胞におけるDNA分子の選択部位に標的化させる方法であって、
    (i)請求項3に記載のDNA分子と、グループIIイントロンコード逆転写酵素を発現することができるDNA分子と、をクロストリジウム綱の細菌性細胞に提供する工程と、
    (ii)前記細菌性細胞を、前記変性されたグループIIイントロンの前記RNA転写体からの前記グループIイントロンの除去と、前記選択可能マーカー遺伝子又はそのDNAコピーを含む前記RNA転写体の前記選択部位への挿入を可能とする条件下で培養する工程と、
    を有する、方法。
  32. 前記DNA分子の前記選択部位は、遺伝子又は遺伝子の発現に影響を及ぼすDNAの部分である、請求項31に記載の方法。
  33. 請求項17〜21又は26〜31のいずれか一項に記載の方法によって得られる、クロストリジウム綱の突然変異細菌性細胞。
  34. エリスロマイシン耐性の発現を妨害するグループIイントロンを含む変性されたエリスロマイシン耐性遺伝子を有するDNA分子であって、前記グループIイントロンはエリスロマイシン耐性遺伝子に対して逆方向に位置し、前記グループIイントロンが転写されるときは、RNA転写物から自身を切除することができるDNA分子。
  35. クロラムフェニコール耐性の発現を妨害するグループIイントロンを含む変性されたクロラムフェニコール耐性遺伝子を有するDNA分子であって、前記グループIイントロンはクロラムフェニコール耐性遺伝子に対して逆方向に位置し、前記グループIイントロンが転写されるときは、RNA転写物から自身を切除することができるDNA分子。
  36. テトラサイクリン耐性の発現を妨害するグループIイントロンを含む変性されたテトラサイクリン耐性遺伝子を有するDNA分子であって、前記グループIイントロンはテトラサイクリン耐性遺伝子に対して逆方向に位置し、前記グループIイントロンが転写されるときは、RNA転写物から自身を切除することができるDNA分子。
  37. スペクチノマイシン耐性の発現を妨害するグループIイントロンを含む変性されたスペクチノマイシン耐性遺伝子を有するDNA分子であって、前記グループIイントロンはスペクチノマイシン耐性遺伝子に対して逆方向に位置し、前記グループIイントロンが転写されるときは、RNA転写物から自身を切除することができるDNA分子。
  38. プラスミドである、請求項34〜37のいずれか一項に記載のDNA分子。
  39. 請求項34〜38のいずれか一項に記載のDNA分子を有する宿主細胞。
  40. クロストリジウム綱の突然変異体細菌性細胞の作成における、請求項1〜15又は34〜38のいずれか一項に記載のDNA分子の使用。
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