JP5728113B1 - 吸着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性を備える吸着材を提供する。【解決手段】活性炭繊維と、前記活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材であって、前記熱可塑性樹脂繊維は、芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と、芯鞘構造を有する第2の芯鞘型繊維とを有し、前記第1の芯鞘型繊維は、鞘部がポリオレフィン樹脂Aにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Aよりも融点が高いポリオレフィン樹脂Bにより形成されており、前記第2の芯鞘型繊維は、鞘部が前記ポリオレフィン樹脂Bよりも融点の低いポリオレフィン樹脂Cにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Bよりも融点が高い熱可塑性樹脂Dにより形成されている、吸着材。【選択図】なし

Description

本発明は、活性炭繊維と、活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材、当該吸着材からなる廃液処理材、及び当該吸着材からなる脱臭材に関する。
活性炭は、吸着材として工業的に極めて有用である。例えば、粉末状または粒状の活性炭は、廃液や排ガスなどに含まれる不純物を除去する吸着材などとして広く用いられる。しかしながら、粉末状の活性炭は、被処理物からの分離の操作などが複雑であるという欠点を有する。また、粉末状の活性炭に被処理物(気体や液体などの流体)を通過させる際の圧力損失が大きいという欠点もある。一方、粒状の活性炭は、粒径をある程度大きくすれば、圧力損失を低減させることはできる。しかしながら、活性炭の粒径が大きくなると、吸着表面が減少して吸着速度が低下する等の問題がある。
繊維状の活性炭、すなわち、活性炭繊維は、粉末状または粒状の活性炭に比して、被処理物との分離が容易であり、また表面積が大きく、吸着速度が速い等の利点がある。しかしながら、従来、活性炭繊維は、フェルト状やクロス状等で市販されることが多く、このような活性炭繊維を吸着材として使用する場合、吸着塔の形状や大きさ等に応じて切断したりして形を整える必要がある。
そこで、例えば特許文献1には、活性炭繊維10〜90重量%と熱可塑性合成繊維90〜10重量%とからなる繊維束を熱処理して熱可塑性合成繊維を融着させた棒状繊維集束体からなることを特徴とする吸着材が開示されている。特許文献1に開示された吸着材は、取り扱いが容易で、そのままの形状で吸着塔等の充填筒内に充填するだけで使用することが可能である。さらに、当該吸着材は、吸着速度が速く、微生物を担持させた生物処理用の担体とすることもできる。このため、当該吸着材は、廃液処理材、脱臭材などとして好適に使用することができる。
特開平10−76250号公報
上記のとおり、廃液処理材や脱臭材などとして使用される吸着材は、吸着塔などに充填して使用されることがある。このため、吸着塔などへの充填特性をより高める観点からは、吸着材には適度な弾力が求められる。また、特許文献1に開示されているように、吸着材の形状としては、断面形状が円形、楕円径、ドーナツ状、トリローバル状、十字形状、星形形状などの種々の形状が知られており、このような吸着材には優れた成形性が要求される。さらに、廃液処理材や脱臭材などとして使用される吸着材は、通常、長期間に亘り水と接触する環境で使用されるため、水分存在下での高い安定性も要求される。
このような状況下、本発明は、適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性を備える吸着材を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、活性炭繊維と、活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材において、熱可塑性樹脂繊維として、それぞれ特定の樹脂により形成された芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維とを併用することにより、適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性が奏されることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねて完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 活性炭繊維と、前記活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材であって、
前記熱可塑性樹脂繊維は、芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と、芯鞘構造を有する第2の芯鞘型繊維とを有し、
前記第1の芯鞘型繊維は、鞘部がポリオレフィン樹脂Aにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Aよりも融点が高いポリオレフィン樹脂Bにより形成されており、
前記第2の芯鞘型繊維は、鞘部が前記ポリオレフィン樹脂Bよりも融点の低いポリオレフィン樹脂Cにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Bよりも融点が高い熱可塑性樹脂Dにより形成されている、吸着材。
項2. 前記第1の芯鞘型繊維及び前記第2の芯鞘型繊維の全質量中における、ポリオレフィン樹脂の質量の合計割合が、30〜80%である、項1に記載の吸着材。
項3. 前記ポリオレフィン樹脂Aの融点及び前記ポリオレフィン樹脂Cの融点と、前記ポリオレフィン樹脂Bの融点との差が、それぞれ、30〜55℃である、項1または2に記載の吸着材。
項4. 前記ポリオレフィン樹脂Aの融点及び前記ポリオレフィン樹脂Cの融点と、前記熱可塑性樹脂Dの融点との差が、それぞれ、120〜145℃である、項1〜3のいずれかに記載の吸着材。
項5. 前記熱可塑性樹脂Dが、結晶性を有する、項1〜4のいずれかに記載の吸着材。
項6. 前記ポリオレフィン樹脂A及び前記ポリオレフィン樹脂Cが、それぞれ、ポリエチレンである、項1〜5のいずれかに記載の吸着材。
項7. 前記ポリオレフィン樹脂Bが、ポリプロピレンである、項1〜6のいずれかに記載の吸着材。
項8. 前記熱可塑性樹脂Dが、ポリエステル樹脂である、項1〜7のいずれかに記載の吸着材。
項9. 前記熱可塑性樹脂Dが、ポリエチレンテレフタレートである、項1〜8のいずれかに記載の吸着材。
項10. 前記第1の芯鞘型繊維と、前記第2の芯鞘型繊維との質量比が、1:1.5〜1:5の範囲にある、項1〜9のいずれかに記載の吸着材。
項11. 前記活性炭繊維の割合が5〜90質量%、前記熱可塑性樹脂繊維の割合が95〜10質量%である、項1〜10のいずれかに記載の吸着材。
項12. 項1〜11のいずれかに記載の吸着材からなる、廃液処理材。
項13. 項1〜11のいずれかに記載の吸着材からなる、脱臭材。
本発明によれば、適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性を備える吸着材を提供することができる。当該吸着材は、微生物を担持させる生物処理担体として使用することができる。さらに、当該吸着材は、廃液処理材や脱臭材として好適に使用することができる。
トリローバル状の断面形状を有する本発明の吸着材の断面模式図である。 十字形状の断面形状を有する本発明の吸着材の断面模式図である。 星型状の断面形状を有する本発明の吸着材の断面模式図である。 六葉断面を有する本発明の吸着材の断面模式図である。
本発明の吸着材は、活性炭繊維と、当該活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含み、熱可塑性樹脂繊維が、芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と、芯鞘構造を有する第2の芯鞘型繊維とを有し、熱可塑性樹脂繊維は、芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と、芯鞘構造を有する第2の芯鞘型繊維とを有し、第1の芯鞘型繊維は、鞘部がポリオレフィン樹脂Aにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Aよりも融点が高いポリオレフィン樹脂Bにより形成されており、第2の芯鞘型繊維は、鞘部がポリオレフィン樹脂Bよりも融点の低いポリオレフィン樹脂Cにより形成され、芯部がポリオレフィン樹脂Bよりも融点が高い熱可塑性樹脂Dにより形成されていることを特徴とする。以下、本発明の吸着材、当該吸着材からなる廃液処理材及び脱臭材について詳述する。
本発明の吸着材において、活性炭繊維の種類としては、特に制限されず、例えば、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、フェノール樹脂系、石炭ピッチ系、石油ピッチ系などの繊維を不融化し、所望により炭化処理した後、水蒸気、二酸化炭素を含有する雰囲気中、所定温度で所定時間保持することによって賦活することにより製造される任意の活性炭繊維を用いることができる。活性炭繊維としては、これらの中でも、石炭ピッチ、石油ピッチを原料とした活性炭繊維が好ましい。活性炭繊維は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
活性炭繊維の性状は、特に制限されないが、例えば、比表面積700〜2500m2/g程度、平均細孔径5〜35Å程度であることが好ましい。また、活性炭繊維の直径としては、例えば5〜20μm程度が挙げられる。
なお、活性炭繊維は、Mg、Mn、Fe、Y、Pt、及びGdからなる群から選択された少なくとも1種の金属成分を含むことによって、特定のメソ細孔モード直径を有する活性炭繊維となり得る。例えば、含有する金属成分の種類に応じて次のような構造・特性を有する活性炭繊維となる。本初発明においては、これらの活性炭繊維を使用してもよい。
(a)Mgを含む場合
77.4Kにおける窒素吸着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径30Å以上50Å未満の範囲のメソ細孔容積が0.02〜0.40ml/gであり、全細孔容積に対する上記メソ細孔容積の割合が5〜45%であり、かつ、メソ細孔モード直径が30〜36Åである活性炭繊維。
(b)Mn、Y、Pt、Gdの少なくとも1種を含む場合
77.4Kにおける窒素吸着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径30Å以上50Å未満の範囲のメソ細孔容積が0.02〜0.40ml/gであり、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合が5〜45%であり、かつ、メソ細孔モード直径が34〜40Åである活性炭繊維。
(c)Feを含む場合
77.4Kにおける窒素吸着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径30Å以上50Å未満の範囲のメソ細孔容積が0.02〜0.40ml/gであり、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合が5〜45%であり、かつ、メソ細孔モード直径が40Å〜45Åである活性炭繊維。
上記のような活性炭繊維は、公知の方法により製造することができ、例えば、特開2004−182511号公報に記載された方法により製造することができる。また、活性炭繊維の市販品としては、例えば、アドール社製のA−7等が挙げられる。
本発明の吸着材は、上記の活性炭繊維に加えて、活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維を含む。また、本発明においては、熱可塑性樹脂繊維が、芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と、芯鞘構造を有する第2の芯鞘型繊維とを有している。なお、本発明の吸着材においては、第1の芯鞘型繊維及び第2の芯鞘型繊維の全ての部分が熱融着しているわけではなく、第1及び第2の芯鞘型繊維が部分的に活性炭繊維に熱融着している。また、第1及び第2の芯鞘型繊維も、互いに部分的に熱融着している。
第1の芯鞘型繊維においては、鞘部がポリオレフィン樹脂Aにより形成されており、芯部が当該ポリオレフィン樹脂Aよりも融点の高いポリオレフィン樹脂Bにより形成されている。また、第2の芯鞘型繊維においては、鞘部が第1の芯鞘型繊維の芯部を形成するポリオレフィン樹脂Bよりも融点の低いポリオレフィン樹脂Cにより形成されており、芯部が第1の芯鞘型繊維の芯部を形成するポリオレフィン樹脂Bよりも融点の高い熱可塑性樹脂Dにより形成されている。
すなわち、本発明の吸着材において、第1の芯鞘型繊維の鞘部を形成するポリオレフィンA、当該繊維の芯部を形成するポリオレフィンB、第2の芯鞘型繊維の鞘部を形成するポリオレフィンC、及び当該繊維の芯部を形成する熱可塑性樹脂Dの融点は、以下の関係にある。なお、本発明において、各樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)における吸熱ピーク温度を意味する。
(各樹脂の融点の関係)
ポリオレフィン樹脂A,Cの融点<ポリオレフィン樹脂Bの融点<熱可塑性樹脂Dの融点
上記のとおり、例えば廃液処理材や脱臭材などとして使用される吸着材は、通常、長期間に亘り水と接触する環境で使用されるため、水分存在下での高い安定性も要求される。活性炭繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材において、水分存在下における高い安定性を発揮するためには、バインダーとなる熱可塑性樹脂繊維を単一のポリオレフィン樹脂のみにより形成することが考えられる。しかしながら、ポリオレフィン樹脂は、結晶性が高く、融点に達すると速やかに溶融する。また、ある程度の太さをもった吸着材を製造する際、吸着材の表面部分と該表面部分より中心側にある部分(中央部分)とが均一な温度となるように熱を加えることは困難である。従って、吸着材の製造工程において、吸着材の表面部分に位置する熱可塑性樹脂繊維を適度に軟化させるために高温で加熱した場合、バインダーとなる熱可塑性樹脂繊維を単一のポリオレフィン樹脂のみにより形成すると、吸着材の表面部分に位置する熱可塑性樹脂繊維が溶融し、繊維形状が保てなくなる。そうすると、吸着材の強度が極端に低くなり、成形などの際に吸着材が切断されやすくなる。一方、吸着材の表面部分に位置するポリオレフィン樹脂が溶融しすぎないように低温で加熱した場合、吸着材の中央部分に位置するポリオレフィン樹脂がほとんど溶融しない。そうすると、得られる吸着材は、表面部分だけ硬くて中央部分が柔らかいものとなってしまい、弾力性に乏しいものとなる。
このような問題を解消するために、バインダーとなる熱可塑性樹脂繊維として、芯部の融点が鞘部の融点よりも高いものを用いることが考えられる。具体例としては、熱可塑性樹脂繊維として、芯部がポリプロピレン、鞘部がポリエチレンにより形成された芯鞘型繊維を使用することが考えられる。しかしながら、分子量などによっても異なるが、ポリプロピレンの融点は160℃程度、ポリエチレンの融点は130℃程度であり、通常、両者の融点の差は小さい。従って、このような芯鞘型繊維を用いた場合にも、芯部の融点以上の温度で吸着材を加熱すると、特に吸着材の表面部分に位置する熱可塑性樹脂繊維の芯部まで溶融し、得られる吸着材としては、硬く、弾力に劣るものが得られる。一方、芯部の融点以下の温度で加熱すると、特に吸着材の中央部分に位置する熱可塑性樹脂繊維の鞘部が溶融するのに非常に時間がかかり、吸着材の生産性が大きく低下する。
そこで、本発明者等は、芯部がポリプロピレンよりも融点の高い樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)であり、鞘部がポリエチレンである芯鞘型複合繊維を用いることを検討した。しかしながら、このような繊維を用いた場合、得られる吸着材は柔らかくなりすぎ、弾力性に乏しくなるという問題が生じた。
このような状況下、本発明者等がさらに検討を重ねたところ、上記の第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維とを併用することにより、適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性を備える吸着材が得られることを見出した。より具体的な例としては、芯部がポリエチレンテレフタレートで鞘部がポリエチレンである芯鞘型複合繊維と、芯部がポリエチレンテレフタレートよりも柔らかい樹脂であるポリオレフィン樹脂(例えば、ポリプロピレン)であり、鞘部がポリエチレンである芯鞘型複合繊維とを併用したところ、意外にも、得られる吸着材は、芯部がポリプロピレンよりも融点の高い樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)であり、鞘部がポリエチレンである芯鞘型複合繊維を単独で用いた場合よりも硬くなり、しかも適度な弾力を有し、成形性に優れることを見出した。
本発明において、熱可塑性樹脂繊維として、上記の第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維とを併用することにより、適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性を備える吸着材が得られる機序の詳細は明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、本発明の吸着材においては、第1の芯鞘型繊維の鞘部が融点の低いポリオレフィン樹脂A、芯部が当該ポリオレフィン樹脂Aよりも融点の高いポリオレフィン樹脂Bより形成されていることに加えて、第2の芯鞘型繊維の鞘部がポリオレフィン樹脂Bよりも融点の低いポリオレフィン樹脂Cより形成され、芯部がポリオレフィン樹脂Bよりも融点が高い熱可塑性樹脂Dにより形成されている。このため、第1及び第2の芯鞘型繊維の表面部分(鞘部分)が、共に、加熱により素早く溶融すると考えられる。これにより、吸着材の中央部分にまで溶融が進行しやすく、吸着材全体において均一性高く部分的な熱融着が生じるものと考えられる。さらに、第1及び第2の芯鞘型繊維の鞘部の溶融にやや遅れて、第1の芯鞘型繊維の芯部のポリオレフィン樹脂Bが軟化することにより、第1の芯鞘型繊維の形状が加熱時の成形に追従して変化しやすくなり、結果、芯部がポリプロピレンよりも融点の高い樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)であり、鞘部がポリエチレンである芯鞘型複合繊維を単独で用いた場合よりも、吸着材の冷却後の形状において応力の低減された形状になっていると考えられる。さらに、第2の芯鞘型繊維の芯部を形成する熱可塑性樹脂Dの融点が高いため、成形後の吸着材の形状は維持されやすいと考えられる。以上の相乗効果により、本発明の吸着材においては、加熱による優れた成形性と、冷却後に適度な弾力が発現しているものと考えられる。また、第1および第2の芯鞘型繊維の鞘部は、それぞれ、ポリオレフィン樹脂により形成されているため、いずれも表面が加水分解し難い化学構造を有する。このため、例えばポリエステルが表面に存在する熱可塑性樹脂を用いる場合に比して、水分存在下における高い安定性を備えている。
本発明の吸着材の弾力性、成形性、及び水分存在下における安定性を向上させる観点から、第1の芯鞘型繊維の鞘部を形成するポリオレフィン樹脂Aの融点としては、好ましくは100〜140℃程度、より好ましくは120〜140℃程度、さらに好ましくは125〜135℃程度が挙げられる。同様の観点から、鞘部を形成するポリオレフィン樹脂Aは、ポリエチレンであることが好ましい。
また、第1の芯鞘型繊維において、芯部を形成するポリオレフィン樹脂Bの融点としては、鞘部を形成する上記のポリオレフィン樹脂Aよりも融点が高ければ特に制限されないが、上記の観点からは、好ましくは、145〜185℃程度、より好ましくは150〜180℃程度、さらに好ましくは160〜170℃程度が挙げられる。また、同様の観点から、第1の芯鞘型繊維の芯部を形成するポリオレフィン樹脂Bは、ポリプロピレンであることが好ましい。第1の芯鞘型繊維は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第2の芯鞘型繊維の鞘部を形成するポリオレフィン樹脂Cの融点としては、吸着材の弾力、成形性、及び水分存在下における安定性を向上させる観点から、好ましくは100〜140℃程度、より好ましくは120〜140℃程度、さらに好ましくは125〜135℃程度が挙げられる。同様の観点から、鞘部を形成するポリオレフィン樹脂Cは、ポリエチレンであることが好ましい。
また、第2の芯鞘型繊維において、吸着材の弾力、成形性を向上させる観点から、芯部を形成する熱可塑性樹脂Dの融点としては、好ましくは、190〜270℃程度、より好ましくは245〜265℃程度、さらに好ましくは250〜260℃程度が挙げられる。同様の観点から、熱可塑性樹脂Dは、結晶性を有することが好ましい。また、同様の観点から、芯部を形成する熱可塑性樹脂Dは、ポリエステルであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。第2の芯鞘型繊維は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第1の芯鞘型繊維の繊維径としては、例えば0.1〜20dtex程度、より好ましくは1〜10dtex程度が挙げられる。また、第1の芯鞘型繊維における鞘部と芯部との質量比(鞘部:芯部)としては、好ましくは1:4〜4:1程度、より好ましくは2:3〜3:2程度が挙げられる。
第2の芯鞘型繊維の繊維径としては、例えば0.1〜20dtex程度、より好ましくは1〜10dtex程度が挙げられる。また、第2の芯鞘型繊維における鞘部と芯部との質量比(鞘部:芯部)としては、好ましくは7:3〜3:7程度、より好ましくは1:1〜3:7程度が挙げられる。
本発明の吸着材の弾力、成形性、及び水分存在下における安定性を向上させる観点から、第1の芯鞘型繊維及び前記第2の芯鞘型繊維の全質量中における、ポリオレフィン樹脂の質量の合計割合としては、特に制限されないが、好ましくは30〜80%程度、より好ましくは35〜75%程度、さらに好ましくは40〜68%程度、特に好ましくは40〜63%程度が挙げられる。
また、本発明の吸着材において、吸着材の弾力、成形性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂Aの融点及びポリオレフィン樹脂Cの融点と、前記ポリオレフィン樹脂Bの融点との差としては、それぞれ、好ましくは30〜55℃程度、より好ましくは30〜50℃程度、さらに好ましくは25〜45℃程度が挙げられる。同様の観点から、本発明の吸着材において、ポリオレフィン樹脂Aの融点及びポリオレフィン樹脂Cの融点と、前記熱可塑性樹脂Dの融点との差としては、それぞれ、好ましくは120〜145℃程、より好ましくは120〜140℃程度、さらに好ましくは115〜135℃程度が挙げられる。
以上の観点から、第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維との最も好ましい組み合わせとしては、第1の芯鞘型繊維は、鞘部がポリエチレンにより形成され、芯部がポリプロピレンにより形成されており、第2の芯鞘型繊維は、鞘部がポリエチレンにより形成され、芯部がポリエチレンテレフタレートにより形成されている構成が挙げられる。
本発明の吸着材における第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維との質量比(第1の芯鞘型繊維の質量:第2の芯鞘型繊維の質量)としては、特に制限されないが、吸着材の弾力、成形性、及び水分存在下における安定性を向上させる観点からは、好ましく1:1.5〜1:5の範囲、より好ましくは1:2〜1:5の範囲、さらに好ましくは1:3.5〜1:4.5の範囲、特に好ましくは1:3.6〜1:4.2の範囲が挙げられる。
本発明の吸着材において、活性炭繊維と熱可塑性樹脂繊維との割合は、特に制限されないが、吸着材の弾力、成形性、及び水分存在下における安定性を向上させる観点からは、活性炭繊維の割合が5〜90質量%、熱可塑性樹脂繊維の割合が95〜10質量%であることが好ましく、活性炭繊維の割合が10〜85質量%、熱可塑性樹脂繊維の割合が90〜15質量%であることがより好ましく、活性炭繊維の割合が15〜80質量%、熱可塑性樹脂繊維の割合が85〜20質量%であることがさらに好ましく、活性炭繊維の割合が10〜20質量%、熱可塑性樹脂繊維の割合が90〜80質量%であることが特に好ましい。
本発明の吸着材の形状は、通常、棒状の繊維集束体である。吸着材の形状としては、最大直径が好ましくは2mm以上、より好ましくは3〜15mmであり、断面形状が円状、楕円状、ドーナツ状、トリローバル状(例えば図1)、十字形状(例えば図2)、星形状(例えば図3)、六葉断面(例えば図4)等のものが、吸着処理操作の際に取り扱いやすく、後述する生物処理担体としても適している点から好ましい。なお、吸着材における最大直径とは、球状、ドーナツ状の場合は直径、楕円状の場合は長軸の長さ、その他の形状の場合はその最大長さを意味する。
本発明の吸着材の長さとしては、特に制限されないが、製造のし易さ、取扱い易さなどの観点からは、好ましくは2mm以上、より好ましくは2〜50mm、さらに好ましくは2〜20mmが挙げられる。また、本発明の吸着材を例えば吸着塔等の充填筒に充填して使用する場合、吸着材の長さと直径とをほぼ同じ長さとすることにより、充填に際して異方性が少なく、充填筒内に異常な空隙を生ずることなく充填できる。さらに、吸着材の長さを充填筒の長さとほぼ同じにすれば、吸着材を充填筒の断面方向に充填するだけでよい。
本発明の吸着材は、上記の活性炭繊維と上記の熱可塑性樹脂繊維(第1の芯鞘型繊維及び第2の芯鞘型繊維)とからなる繊維束を熱処理することにより、活性炭繊維に熱可塑性樹脂繊維を熱融着させた、棒状の繊維集束体である。熱処理によって、熱可塑性樹脂繊維の熱融着の程度を調整し、集束体内部の繊維を部分的に接合させることが好ましい。これにより、吸着材の内部に均一性の高い空隙を有し、圧縮によりその空隙を容易に縮小できる。このような吸着材は、充填筒への充填密度を上げても、圧力損失が少なくて偏流を起こし難い。
本発明の吸着材においては、特定の第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維とを有する構成とすることにより、吸着材の弾力性を維持しながら、吸着材の軽量化も可能となる。具体的に、吸着材の見掛密度(g/L)としては、70〜100(g/L)が好ましく、80〜90(g/L)がより好ましく、82〜88(g/L)が特に好ましい。これにより、例えば、吸着材を吸着塔などに充填して使用する場合に吸着材の弾力性を維持しながら吸着塔の重量を軽量化でき、吸着塔を建築物の2階以上の階に設置しやすくなる等の効果を奏することが可能となる。ここで、吸着材の見掛密度の測定は、1Lのメスシリンダーを準備し、該メスシリンダーの重量X(g)を測定した後、吸着材を該メスシリンダー内に1L充填して重量Y(g)を測定し、下記式により算出する。
見掛密度(g/L)=Y−X
特に、吸着剤として、上記見掛密度とし、かつ、断面形状がトリローバル状、十字形状、星形状、六葉断面からなる群より選ばれた1種以上の形状のみからなる、好ましくは六葉断面のみからなるものとした場合、吸着材の弾力性を維持しながら、吸着材の軽量化も可能となるという効果をより一層向上させることができる。
次に、本発明の吸着材の製造方法の一例について詳述する。まず、活性炭繊維と、生糸状または捲縮を有する熱可塑性樹脂繊維(第1の芯鞘型繊維及び第2の芯鞘型繊維)とを、好ましくは20〜150mmに切断し、紡績用カード機で開繊、混合してスライバー状としたり、活性炭繊維と捲縮を有する熱可塑性樹脂繊維とを開繊、混合してトウ状で引取り、繊維束を得る。次に、この繊維束を熱処理して熱可塑性樹脂繊維を、活性炭繊維に熱融着(好ましくは部分的に熱融着)させて棒状の繊維集束体とする。熱処理の方法としては、熱風を吹きつける方法、高温雰囲気中を通過させる方法等を採用することができる。具体的な熱処理の方法としては、繊維集束体を円筒形や異形筒形の加熱体中に通して熱可塑性樹脂繊維を熱融着させる方法が挙げられる。熱処理の温度としては、適宜設定すればよいが、好ましくは160〜180℃程度、より好ましくは165〜175℃程度が挙げられる。次に、繊維集束体を圧縮して冷却することにより、棒状の繊維集束体を連続成形することができる。なお、本発明において、吸着材の成形性とは、繊維収束体を成形して所望の形状を有する吸着材とする際の成形のしやすさをいう。例えば、成形時において、吸着材中央部分の繊維同士の接点に熱融着部分が多く、かつ、ヒータ内を通過させた際の繊維集束体の切断が少ない場合には、成形性が良い。この棒状の繊維集束体を、所望の長さに切断することにより、本発明の吸着材が得られる。このように、本発明の吸着材は簡単な工程で安定して効率よく製造することができる。
本発明の吸着材の製造方法において、短繊維状の活性炭繊維と熱可塑性樹脂繊維を用いる場合、これらの繊維長としては、開繊、混合する際の各繊維間の絡まりやすさなどの観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは20〜150mmが挙げられる。なお、繊維長が1mm未満であると、繊維同士の絡まり合いが少なく、使用時に成形体としての形状が維持し難くなったり、微粉化して炭塵を発生させる原因となりやすい。
上述のとおり、本発明の吸着材は、活性炭繊維に対して、上記特定の2種類の熱可塑性樹脂繊維を熱融着させているため、適度な弾力を有し、優れた成形性及び水分存在下における高い安定性を備えている。また、当該吸着材は、微生物を担持させる生物処理担体として好適に使用することができる。さらに当該吸着材は、廃液処理材や脱臭材として好適に使用することができる。
例えば、本発明の吸着材を廃液処理材として用いる場合において、吸着材に対して微生物を担持させる方法としては、次の2つの方法が例示できる。第1の方法としては、予め生物膜を形成させた吸着材を処理材として用いる方法である。吸着材に予め生物膜を形成させる方法としては、例えば吸着材を樹脂などからなる充填筒に充填した後、有機物分解菌、硝化菌等の微生物を含有した培養液や排水を通水する方法や、吸着材をそのまま培養液や排水の槽に投入した後、曝気あるいは撹拌する方法などがある。
予め生物膜を形成させた吸着材を廃液処理材として用いる廃液処理方法の具体例としては、次の2つ方法が挙げられる。1つ目の方法は、吸着材を固定床として用いる方法である。この方法では、生物膜を形成した吸着材を充填筒に充填して処理槽に装着し、廃液を通液して吸着材表面の生物膜に接触させ、含有する有機物等を分解、処理する方法である。また、2つ目の方法は、吸着材を流動床として用いる方法である。この方法では、生物膜を形成した吸着材をそのまま被処理液の処理槽に投入し、曝気して廃液を吸着材表面の生物膜に接触させ、含有する有機物等を分解、処理する方法である。これらの方法では、生物膜を形成させる筒状体や槽を、廃液を処理する処理槽と共用してもよい。
吸着材に対して微生物を担持させる第2の方法としては、生物膜を形成させる前の吸着材を用いる方法が挙げられる。この方法においても、吸着材を固定床として用いる方法と流動床として用いる方法とがある。これらの方法においては、吸着材を充填筒に充填して処理槽に装着するか、吸着材を廃液の処理槽に充填し、処理槽に通液したり、処理槽を曝気または撹拌して吸着材表面に生物膜を形成させながら、廃液を生物膜に接触させ、含有する有機物等を分解、処理することができる。
本発明の吸着材を生物処理用担体として用い、この吸着材に生物膜を形成させれば、上水、中水、工場等の用水・排水などの廃液処理に利用することが可能である。例えば、上水処理では、アンモニアの硝化、農薬やトリハロメタン前駆物質等の有害物質の分解など、中水処理では、家庭用風呂水の浄化再生、大衆浴場やプール、観賞魚、活魚、養殖魚用の水槽等における水の循環再生など、工場排水処理では、各種洗浄水の再生、排水、下水の一次処理や高度処理等を行うのに好適である。
また、本発明においては、本発明の吸着材を生物処理用担体として用い、この吸着材に生物膜を形成させれば、気体中の臭い成分を除去する脱臭材としても好適に使用することができる。本発明の吸着材は、例えば、下水処理施設から発生する悪臭の生物脱臭などに有用である。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
(実施例1〜3)
活性炭繊維と活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材を以下のようにして作製した。活性炭繊維(アドール社製のA−7)17質量部と、熱可塑性樹脂繊維(83質量部)の第1の芯鞘型繊維として、鞘部がポリエチレン(融点130℃)、芯部がポリプロピレン(融点165℃)により形成された、芯部と鞘部との質量比率が1:1の芯鞘型複合繊維(NBF(H),2.2dtex×51mm、ダイワボウポリテック社製)と、熱可塑性樹脂繊維の第2の芯鞘型繊維として、鞘部がポリエチレン(融点130℃)、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)により形成された、芯部と鞘部との質量比率が1:1の芯鞘型複合繊維(メルティー6080、2.2dtex×51mm、ユニチカ社製)とを、カーディングマシーンで開繊、混合し、1m当たり6gのカードスライバー(685ゲレン)とした。なお、実施例1〜3における第1の芯鞘型繊維及び第2の芯鞘型繊維の割合は、それぞれ、表1に記載の組成の通りである。次に、このカードスライバーを170℃のエアジェットが吹き込まれた円筒状ヒータ内を通過させて加熱し、第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維とを活性炭繊維に部分的に熱融着させた後、常温の空気が吹き込まれた外径8mmの六葉断面のノズルに75cm/分で導入して圧縮成形しながら冷却し、外径8mmの六葉断面の棒状の繊維集束体を得た。得られた繊維収束体を長さ10mmに切断し、吸着材を得た。
なお、実施例1〜3で用いた活性炭繊維の比表面積は850m2/gであった。当該比表面積は、窒素を被吸着物質として用いたBET法で測定した。活性炭繊維の窒素ガス吸着量は、商品名「AUTOSORB−6」(QUANTCHROME製)を用いて測定した。細孔分布の解析は、付属の解析プログラムで実施した。また、活性炭繊維の全細孔容積は0.35ml/gであった。当該全細孔容積は、窒素の最大吸着量から計算した。
実施例1〜3で得られた吸着剤の見掛密度は、85g/Lであった。
(比較例1)
熱可塑性樹脂繊維として、鞘部がポリエチレン(融点130℃)、芯部がポリプロピレン(融点165℃)により形成された、芯部と鞘部との質量比率が1:1の芯鞘型複合繊維(NBF(H),2.2dtex×51mm、ダイワボウポリテック社製)83質量部のみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、吸着材を得た。
(比較例2)
熱可塑性樹脂繊維として鞘部がポリエチレン(融点130℃)、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)により形成された、芯部と鞘部との質量比率が1:1の芯鞘型複合繊維(メルティー6080、2.2dtex×51mm、ユニチカ社製)83質量部のみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、吸着材を得た。
<吸着材の弾力評価>
実施例1〜3及び比較例1,2で得られた吸着材の触感を手で確認し、以下の基準により、弾力評価を行った。結果を表1に示す。
5点:適度な硬さと十分な弾力を有し、実用上好ましいレベルであった。
4点:やや柔らかいが弾力を有するか、または、やや硬いが弾力性を有し、実用上全く問題ないレベルであった。
3点:柔らかいが弾力を有するか、または、硬いが弾力性を有し、実用上問題ないレベルであった。
2点:柔らかく弾力にやや劣るか、または、硬く弾力性にやや劣り、実用上やや問題あるレベルであった。
1点:柔らかすぎて弾力に劣るか、または、硬すぎて弾力性に劣り、実用上問題あるレベルであった。
<成形性評価>
実施例1〜3及び比較例1,2における吸着材を成形する際の成形性を、以下の基準により、成形性評価を行った。結果を表1に示す。
5点:吸着材中央部分の繊維同士の接点に熱融着部分が非常に多く、かつ、円筒状ヒータ内を通過させた際の繊維集束体の切断が少ないため、非常に成形性に優れていた。
4点:吸着材中央部分の繊維同士の接点に熱融着部分が多く、かつ、円筒状ヒータ内を通過させた際の繊維集束体の切断が少ないため、成形性に優れていた。
3点:吸着材中央部分の繊維同士の接点に熱融着部分がやや多く、かつ、円筒状ヒータ内を通過させた際の繊維集束体の切断が少ないため、成形性は実用上問題ないレベルであった。
2点:吸着材中央部分の繊維同士の接点に熱融着部分がやや少ない、または、円筒状ヒータ内を通過させた際の繊維集束体の切断がやや多いため、成形性は実用上やや問題のあるレベルであった。
1点:吸着材中央部分の繊維同士の接点に熱融着部分が少ない、または、円筒状ヒータ内を通過させた際の繊維集束体の切断が多いため、成形性は実用上問題のあるレベルであった。
Figure 0005728113
表1に示されるように、実施例1〜3では、吸着材の弾力に優れており、成形性も優れていることが分かる。実施例1〜3の吸着材においては、第1の芯鞘型繊維の鞘部が融点の低いポリエチレン、芯部が当該鞘部よりも融点の高いポリプロピレンにより形成されていることに加えて、第2の芯鞘型繊維の鞘部が融点の低いポリエチレンにより形成され、芯部が融点が高いポリエチレンテレフタレートにより形成されているため、第1及び第2の芯鞘型繊維の表面部分(鞘部分)が、共に、加熱により素早く溶融すると考えられる。これにより、吸着材の中央部分にまで溶融が進行しやすく、吸着材全体において均一性高く部分的な熱融着が生じるものと考えられる。さらに、第1及び第2の芯鞘型繊維の表面部分の溶融にやや遅れて、第1の芯鞘型繊維の芯部のポリプロピレンが軟化することにより、第2の芯鞘型繊維の形状が加熱時の成形に追従して変化しやすくなり、吸着材の冷却後の形状において応力の低減された形状になっていると考えられる。さらに、第2の芯鞘型繊維の芯部を形成するポリエチレンテレフタレートは融点が高いため、成形後の吸着材の形状は維持されやすいと考えられる。以上の相乗効果により、本発明の吸着材においては、加熱による優れた成形性と、冷却後に適度な弾力が発現しているものと考えられる。
また、第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維の配合比を1:2〜1:5の範囲設定した実施例1,2では、弾力に非常に優れていた。また、第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維の配合比を1:3.5〜1:4.5の範囲設定した実施例1の吸着材は、弾力に非常に優れていた。
一方、実施例1〜3で使用した第1の芯鞘型繊維と第2の芯鞘型繊維のいずれか一方のみを熱可塑性樹脂繊維として用いた比較例1及び比較例2では、弾力及び成形性の点で実施例1〜3に比して著しく劣っていた。これは、比較例1においては、熱可塑性樹脂繊維として芯部がポリプロピレン、鞘部がポリエチレンにより形成された繊維のみを用いているため、成形時の加熱によって、融点の低いポリエチレンが吸着材の表面部分において素早く溶融するが、該表面部分において芯部のポリプロピレンも溶融してしまい、冷却後には表面部分でポリエチレンとポリプロピレンの溶融物が固化した硬い吸着材になり、弾力及び成形性の点で実施例1〜3に比して著しく劣っていたと考えられる。一方、比較例2においては、芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部がポリエチレンにより形成された繊維のみを用いているため、結果として、柔らかく、弾力のない吸着材になり、弾力及び成形性の点で実施例1〜3に比して著しく劣っていた。

Claims (12)

  1. 活性炭繊維と、前記活性炭繊維に熱融着した熱可塑性樹脂繊維とを含む吸着材であって、
    前記熱可塑性樹脂繊維は、芯鞘構造を有する第1の芯鞘型繊維と、芯鞘構造を有する第2の芯鞘型繊維とを有し、
    前記第1の芯鞘型繊維は、鞘部がポリオレフィン樹脂Aにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Aよりも融点が高いポリオレフィン樹脂Bにより形成されており、
    前記第2の芯鞘型繊維は、鞘部が前記ポリオレフィン樹脂Bよりも融点の低いポリオレフィン樹脂Cにより形成され、芯部が前記ポリオレフィン樹脂Bよりも融点が高い熱可塑性樹脂Dにより形成されており、
    前記第1の芯鞘型繊維及び第2の芯鞘型繊維が、それぞれ、部分的に前記活性炭繊維に熱融着しており、かつ、前記第1の芯鞘型繊維及び第2の芯鞘型繊維が、互いに部分的に熱融着しており、
    前記第1の芯鞘型繊維と、前記第2の芯鞘型繊維との質量比が、1:1.5〜1:5の範囲にあり、
    前記活性炭繊維の割合が10〜20質量%であり、前記熱可塑性樹脂繊維の割合が90〜80質量%であり、
    最大直径が3〜15mmであり、長さが2〜50mmの繊維集束体の形状である、吸着材。
  2. 前記第1の芯鞘型繊維及び前記第2の芯鞘型繊維の全質量中における、ポリオレフィン樹脂の質量の合計割合が、30〜80%である、請求項1に記載の吸着材。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂Aの融点及び前記ポリオレフィン樹脂Cの融点と、前記ポリオレフィン樹脂Bの融点との差が、それぞれ、30〜55℃である、請求項1または2に記載の吸着材。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂Aの融点及び前記ポリオレフィン樹脂Cの融点と、前記熱可塑性樹脂Dの融点との差が、それぞれ、120〜145℃である、請求項1〜のいずれかに記載の吸着材。
  5. 前記熱可塑性樹脂Dが、結晶性を有する、請求項1〜のいずれかに記載の吸着材。
  6. 前記ポリオレフィン樹脂A及び前記ポリオレフィン樹脂Cが、それぞれ、ポリエチレンである、請求項1〜のいずれかに記載の吸着材。
  7. 前記ポリオレフィン樹脂Bが、ポリプロピレンである、請求項1〜のいずれかに記載の吸着材。
  8. 前記熱可塑性樹脂Dが、ポリエステル樹脂である、請求項1〜のいずれかに記載の吸着材。
  9. 前記熱可塑性樹脂Dが、ポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜のいずれかに記載の吸着材。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の吸着材からなる、廃液処理材。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の吸着材からなる、脱臭材。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の吸着材の製造方法であって、
    前記活性炭繊維、前記第1の芯鞘型繊維及び前記第2の芯鞘型繊維を含む繊維束を熱処理する工程を含む、吸着材の製造方法。
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