JP5727974B2 - 高結晶性物質含有組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水に容易に均一分散し、かつ低温・高温の過酷な条件下で長期間保存しても結晶や沈殿を生じることがない高い安定性を有する高結晶性物質含有組成物、及び高結晶性物質含有組成物を含有する飲食品、または化粧品に関する。
高結晶性物質の中には生体にとって重要な働きをもつものが多数存在する。水難溶性アミノ酸、γ−オリザノール、葉酸、ビタミンB1など、恒常的な摂取が望ましいものも多く、これを食品に適用することには大きな需要がある。しかしながら、その利用を妨げているのは高結晶性物質の結晶性、水性媒体や油性媒体への分散性が悪いことが挙げられる。そこで、これらの問題を解決する方法として、乳化剤及び油を用いて大豆油不けん化物を水中油型エマルジョンとする手法(例えば、特許文献1参照。)や、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を用いて長期間保存しても均質な乳化、分散または可溶化状態を保つ植物ステロールの水溶性組成物(例えば、特許文献2参照。)等が開示されている。
一方、製品中で高結晶性物質の結晶化が進行すると乳化破壊による内容の不均一化、食品への分散性の低下、生体への吸収性阻害、見た目の悪化を引き起こし、製品価値を大きく低下させてしまうこととなることから、強分散性の乳化装置を用いる手法が、脂溶性の高結晶性物質を水中に均一、かつ経時的に安定分散させる上で望まれている。そこで、高圧乳化機等の強分散性の乳化装置を使用し乳化処理を行なうことで、カロチノイド色素を水中に均一、かつ経時的に安定に分散させる手法(例えば、特許文献3参照。)等が開示されている。
特開平11−152229号公報 特開2002−291442号公報 特開平10−120933号公報
しかしながら、現在市販されている一般のポリグリセリン脂肪酸エステルは、1級水酸基の割合が50重量%未満であり、環状体を多く含んでいる。そのポリグリセリンと脂肪酸とのエステルでは高い乳化、可溶化力は発揮することができず、さらに、環状物の存在によって高結晶性物質を安定に水中へ分散させることを妨げるという問題がある。また、使用目的に併せてポリグリセリンの親水基の構造まで考慮して設計されておらず、ポリグリセリン中の環状体について着目した手法はない。
一方、強分散性の高圧乳化機を用いる手法は、いかなる生産ラインにも高圧乳化機が設置されているとは限らず汎用性が低く、設置されていたとしても原料の混合釜からラインを通じて高圧乳化機まで混合原料を移送させる必要があり、その間にラインコンタミネーションの可能性が高まることによる品質の劣化、それに伴うクレーム発生の危険性が高い。また高圧で乳化させるため、エネルギーの消費は高く、必ずしも生産性の高い手法であるとはいい難い。
また、高結晶性物質は、一般的に植物油などの液状油に加熱溶解した後、乳化の操作を行う方法が取られるが、その結晶性故に溶解状態を維持しながら乳化させることは難しい。また、一時的に乳化、可溶化分散しても、飲料などで想定されるような酸性溶液やアルコール溶液での低温、高温保存を繰り返すことにより濁りや結晶を生じ、乳化破壊を起こすという問題点がある。このような高結晶性物質は、安定分散が極めて困難であり、食品用途、化粧品用途における汎用性が極めて低い。
よって、これらの方法では、高結晶性物質の安定な乳化、可溶化状態を長期間保つことができ、安心して飲食品や化粧品に配合できる組成物として十分に満足しうるものは調製することは難しい。
従って、本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、高結晶性物質を水に容易に均一分散でき、かつ低温・高温の過酷な条件下で長期間保存しても結晶や沈殿を生じない高い安定性を有し、さらに耐酸性、耐塩性、耐熱性、耐アルコール性に優れた高結晶性物質含有組成物、ならびに前記組成物を含有する飲食品、または化粧品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、優れた結晶抑制効果、乳化、可溶化効果をもった特殊なポリグリセリン脂肪酸エステルと、結晶を溶解、安定化させる為の特定された液状油とを用いることによって、特殊な乳化装置を用いることなく高結晶性物質含有組成物を得る事ができ、また、乳化後に結晶析出などが起こらず、飲食品に添加する際に必要とされる耐酸性、耐塩性、耐熱性、耐アルコール性が共にすぐれ、長期保存、特に低温保存においてにおいても安定な乳化、または可溶化状態を保つ高結晶性物質含有組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に関するものである。
[1]下記(A)〜(C)を含有する高結晶性物質含有組成物。
(A)高結晶性物質
(B)水酸基価が1200以下、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50重量%以上であり、さらに環状体含有量が25重量%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)IOB(無機/有機バランス)値が0.20〜0.60である液状油であって、ジカプリン酸プロピレングリコール、ドデカ(カプリル・カプリン酸)デカグリセリン及びジイソステアリン酸トリグリセリンの群より選ばれる1種の液状油
[2]組成物が多価アルコール中油型(O/D型)の乳化物である前記[1]記載の高結晶性物質含有組成物。
[3]ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が10〜18である前記[1]または[2]記載の高結晶性物質含有組成物。
[4]前記[1]〜[3]いずれか記載の高結晶性物質含有組成物を含む飲食品。
[5]前記[1]〜[3]いずれか記載の高結晶性物質含有組成物を含む化粧品。
本発明の高結晶性物質含有組成物は、高結晶性物質を水又に容易に均一分散でき、かつ低温・高温の過酷な条件下で長期間保存しても結晶や沈殿を生じない高い安定性を有し、さらに耐酸性、耐塩性、耐熱性、耐アルコール性に優れるという効果を奏するものである。
本発明の高結晶性物質含有組成物は、(A)高結晶性物質、(B)水酸基価が1200以下、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50重量%以上であり、さらに環状体含有量が25重量%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステル、(C)IOB(無機/有機バランス)値が0.20〜0.60である液状油を含有することに1つの特徴を有する。前記(A)〜(C)を満たす場合には、特定の液状油により高結晶性物質が溶解され、さらに特殊なポリグリセリンエステルにより結晶化が抑制されることによって、高結晶性物質が水に安定して分散し、結晶化が抑制されるのではないかと推察される。
本明細書において、高結晶性物質とは、常温で固体の結晶性有機化合物であり、20℃の水100mlに0.1g添加し、添加直後を含め、添加直後から5分ごとに30分まで30秒間ずつ強く振り混ぜた場合に、目視観察により30分以内に完全に澄明溶解しない物質、および溶解したものを3℃で24時間冷却した時に結晶や沈殿を生じる物質をいい、化合物として特に限定するものではなく、各種有機物がその対象となる。なお、本明細書でいう常温とは、15〜25℃のことを言う。また、結晶とは原子の配列が空間的に繰り返しパターンを持つ物質を指す。結晶の種類としては一般に共有結合性結晶、イオン結晶、分子性結晶、金属結晶、水素結合性結晶等が知られているが、有機化合物がとる結晶であれば種類を限定するものではない。本発明の対象物質が結晶状態であることの確認は種々の方法で達成でき、例えばX線回折装置を用いて確認できるほか、簡便には偏光顕微鏡を用いて偏光の有無を観察することにより達成できる。
高結晶性物質の例としては、ロイシン、チロシン等の水難溶性アミノ酸類;ペプチド類;葉酸、ビタミンK等の水難溶性ビタミン類;多糖類;β−カロチン、アスタキサンチン、ルテイン等の色素類;ワックス類;乳脂、パーム核油、カカオ脂などの油脂類;大豆、米、菜種、ゴマなどの不けん化物などの生理活性成分や有用成分を例示することができる。また、化合物を別の観点から化学構造に着目して例示するならば、脂肪酸類;セラミド等のスフィンゴリン脂質類;フラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノノール、イソフラボン、アントシアン、フラバノール、カルコン、オーロン等のフラボノイド類;フェルラ酸、γ−オリザノール、リグニン、リグナン等のフェニルプロパノイド類;安息香酸の誘導体;クマリン誘導体;スチルベン誘導体;オキシアントラキノン誘導体;フロログルシノール、オルシノール等のフェノール誘導体;キサントン誘導体;クロモン誘導体;フタリド誘導体;アセチレン誘導体;テルペノイド、カロチノイド、ポリテルペノイド等のイソプレノイド類;ステロイド類;アルカロイド類;サンショオール、カプサイシン等の酸アミド化合物;クロロフィル、ヘム等のピロール誘導体;アラントイン、ビオチン等のイミダゾール誘導体;インドール誘導体;ピリジン誘導体;ピリミジン誘導体;プリン誘導体;プテリジン誘導体;グアニジン誘導体;α−リポ酸等の含硫化合物等が挙げられる。さらに、別の観点から分類すると、配糖体から糖が外れたアグリコンもその範疇に含まれ、例えばナリンゲニン、ケルセチン、ダイゼインなどが挙げられる。これらは単独で用いられるほか、2種以上を組み合わせて複合的な効果、あるいは相加相乗的な効果を期待することもできる。中でも食品に添加した際の有用性、および消費者の需要の観点から、ステロイド類、フェニルプロパノイド類、水難溶性のビタミン類、フラボノイド類、水難溶性アミノ酸類が本発明の対象としてより推奨される。
本発明の高結晶性物質含有組成物に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルに用いるポリグリセリンは、水酸基価が1200以下であり、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50重量%以上であり、さらに環状体含量が25重量%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されていることに一つの大きな特徴を有する。
以上のような特徴を有することにより、本発明の高結晶性物質含有組成物に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは高結晶性物質の水分散性の付与に優れ、かつ結晶化を抑制する界面活性剤として使用することができるものである。すなわち従来のポリグリセリン脂肪酸エステル、および食品用界面活性剤では性能が不十分であり代替できるものではない。
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンとは、グリセリンを脱水縮合するなどして得られるグリセリン骨格を基本単位として分子内に水酸基とエーテル結合を有している物質をいう。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンは、分子中の全ての水酸基のうち1級水酸基が50重量%以上であるポリグリセリンであり、得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの可溶化性能および乳化安定性をさらに向上する観点から、1級水酸基が好ましくは55重量%以上のポリグリセリン、より好ましくは60重量%以上のポリグリセリンである。さらに上限値は、特に規定するものではないが、その効果を最大限に発揮させるためには90重量%以下であることが望ましい。本願のポリグリセリンにおける全水酸基のうち1級水酸基の占める割合はポリグリセリンの縮合度に応じて変化するため、また一般的に流通しているポリグリセリンの種類がテトラ、ペンタ、ヘキサ、デカであることを考慮してその上限値を例示するならば、テトラグリセリンでは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、ペンタグリセリンでは75重量%以下、好ましくは70重量%以下、ヘキサグリセリンでは80重量%以下、好ましくは75重量%以下、デカグリセリンでは85重量%以下、好ましくは80重量%以下といった数値を示すことができる。
また、ポリグリセリンの水酸基価は、1200以下であり、用途に応じてポリグリセリン脂肪酸エステルの親水性(HLB)を調整できる観点から、1100以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。また、作業性および脂肪酸とのエステル化の容易性の観点から、水酸基価は770以上が好ましい。
全ての水酸基のうちの1級水酸基の割合は、炭素原子に対する核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定する方法を用いて測定される。また、水酸基価は当該分野で公知の方法により測定することができる。
なお、炭素原子に対する核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、以下のようにして測定することができる。ポリグリセリン500mgを重水2.8mlに溶解し、ろ過後ゲートつきデカップリングにより13C−NMR(125MHz)スペクトルを得る。ゲートデカップルド測定手法によりピーク強度は炭素数に比例する。1級水酸基と2級水酸基の存在を示す13C化学シフトはそれぞれメチレン炭素(CHOH)が63ppm付近、メチン炭素(CHOH)が71ppm付近であり、2種それぞれのシグナル強度の分析により、1級水酸基と2級水酸基の存在比を算出する。但し、2級水酸基を示すメチン炭素(CHOH)は、1級水酸基を示すメチレン炭素に結合するメチン炭素にさらに隣接するメチレン炭素ピークと重なり、それ自体の積分値を得られないため、メチン炭素(CHOH)と隣り合うメチレン炭素(CH)の74ppm付近のシグナル強度により積分値を算出する。
さらに、ポリグリセリンの環状体含有量が高結晶性物質の安定な水分散性の観点から、ポリグリセリン中25重量%以下であり、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%である。本明細書において、環状体含量とは液体クロマトグラフ−質量分析計(LC/MS)法を用いて測定される含有量のことをいい、後述の実施例に記載の方法により算出される。
また、ポリグリセリン調製方法は限定するものではないが、例えば、脱水縮合法、市販のポリグリセリンから分画精製または合成法の工夫などにより得る事ができるが、容易に環状体含量を低く抑えることができるという点でグリシドール開環重合法が好適である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのもう一つの構成成分である脂肪酸は天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離してあるいは分離せずに精製して得られるカルボン酸を官能基として含む物質であれば特に限定するものではない。あるいは石油などを原料にして化学的に合成して得られる脂肪酸であってもよい。あるいはまた、これら脂肪酸を水素添加などして還元したものや、水酸基を含む脂肪酸を縮重合して得られる縮合脂肪酸や、不飽和結合を有する脂肪酸を加熱重合して得られる重合脂肪酸であってもよい。これら脂肪酸の選択に当たっては所望の効果を勘案して適宜決めればよい。本発明に用いる脂肪酸の具体例としては、炭素数6〜22の飽和あるいは不飽和の脂肪酸、即ち、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、エルカ酸の他、分子中に水酸基を有するリシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸及びこれらの縮合物などが挙げられるが、なかでも乳化安定性の面からラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、縮合リシノール酸が好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸がより好ましい。エステル化度については特に限定するものではないが、モノエステル含有量の高い、低エステル化度のものが好ましい。
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化は、当該分野で公知の方法に従って行われる。例えばアルカリ触媒下、酸触媒下、あるいは無触媒下にて、常圧あるいは減圧下エステル化することができる。また、ポリグリセリンと脂肪酸の混合量を変更することにより種々の性質をもつポリグリセリン脂肪酸エステルを調製することができる。例えば、親水性の界面活性剤に使用するためのポリグリセリン脂肪酸エステルを得る場合、ポリグリセリンの水酸基価と脂肪酸の分子量から計算により等モルになるように重量を計算してポリグリセリンと脂肪酸を仕込めばよく、親油性の界面活性剤に使用するためのポリグリセリン脂肪酸エステルを得る場合、脂肪酸のモル数を増加させればよい。得られたポリグリセリン脂肪酸エステルは使用される製品の使用上の要求によってさらに精製してもよい。精製の方法は公知のいかなる方法でもよく特に限定するものではない。たとえば、活性炭や活性白土などにて吸着処理したり、水蒸気、窒素などをキャリアーガスとして用いて減圧下脱臭処理を行ったり、あるいは酸やアルカリを用いて洗浄を行ったり、分子蒸留を行ったりして精製してもよい。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、高結晶性物質の水相への分散性の観点から、10〜18であり、12〜16が好ましく、13〜16がより好ましい。なお、ここでいうHLB値は、下記式:
HLB=20×(1−S/A)
(式中、S:エステルのけん化価、A:構成脂肪酸の酸価)
により算出された値のことをいう。
本発明の高結晶性物質含有組成物に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは単独で用いる他に乳化安定性を向上する観点から、他の界面活性剤を併用してもよい。例えば混合される界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ただし、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)などの非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、レシチン、酵素分解レシチン、サポニン、キラヤ抽出物といった天然物由来の界面活性剤などが挙げられる。これらは1種または2種以上併用してよく、中でもグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドの1種または2種以上を組み合わせて使用するのが好ましい。さらに高結晶性物質の飲料使用時の安定化、結晶抑制を考慮するならば、グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸がステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸が好ましく、また有機酸モノグリセリドの有機酸部分がクエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸であることが望ましい。
本発明に用いる液状油は、高結晶性物質の溶解性、低温安定性の観点から、IOB値が0.20〜0.60、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.20〜0.40である。IOB値がこの範囲外のものでは、高結晶性油脂の十分な溶解、結晶抑制を得ることができないため、好ましくない。なお、ここでいうIOB値とは、有機概念図における化合物の官能基の無機性値及び有機性値から求められる数値であり、下記式により算出された値のことをいい、その値が大きいほど極性が高いことを意味する(甲田善生著「有機概念図―基礎と応用―」(三共出版、1984年発行)参照)。
式:IOB=無機性値/有機性値
IOBが0.20〜0.60の液状油の具体例としては、ジカプリン酸プロピレングリコール(0.27)、ドデカ(カプリル・カプリン酸)デカグリセリン(0.34)、ジイソステアリン酸トリグリセリン(0.59)、が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。なお、かっこ内の数字はIOB値を示す。
本発明の高結晶性物質含有組成物において、該組成物が飲食品中に均一かつ長期的に安定に分散することは勿論であるが、さらに多価アルコールを用いることによってハンドリング性、製剤安定性、水分散時の安定性が向上する。この場合の多価アルコールとしては特に限定するものではないが、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物の総称であり、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、乳糖、砂糖、カップリングシュガー、ブドウ糖、酵素水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、麦芽糖、異性化糖、果糖、還元麦芽糖水飴、還元澱粉糖水飴、蜂蜜、果糖ブドウ糖液糖、およびこれらの溶液が例示でき、これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも製剤の調製のしやすさ、安定性からプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリンが好適に使用でき、さらにプロピレングリコール、グリセリンが食品に使用できるという観点からも望ましい。
さらに、本発明品の高結晶性物質含有組成物を多価アルコール中油型(O/D型)の乳化物とすることによって、水に容易に分散でき、また経時的に結晶や沈殿などを生じない組成物とすることができる。
本発明中の多価アルコール中油型(O/D型)乳化は、界面活性剤の多価アルコール溶液中に油成分を分散させたものであり、油と多価アルコールが界面活性剤を介して両連続構造(バイコンティニュアス構造)を有していると考えられる。高結晶性の物質を含有する組成物が両連続構造を有する場合、強力な撹拌力がなくても容易にナノミセルを形成することが可能となるだけでなく、高結晶性の物質を同時にナノミセル中にカプセル化することが可能になると推定される。従来、高結晶性物質をそのまま飲食品、または化粧品中へ配合する場合には、高結晶性物質は析出しない程度にしか配合することができなかった。しかし、本組成物はバイコンティニュアス構造を有しているので、飲食品、または化粧品への安定かつ透明性を有した状態で高結晶性物質を高配合することが可能であり、よって付加価値の高い飲料などの水系食品、または化粧水、乳液などの化粧品を調製することが可能であることが判明した。なお、組成物が両連続構造を有しているかどうかは、界面活性剤と多価アルコールと油で3成分系の相図を作成することで容易に識別することができる。
本発明の高結晶性物質含有組成物の混合順序は特に限定するものではないが、例えば、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを多価アルコールに溶解したものを水相、別に高結晶性物質と液状油を溶解混合したものを油相として乳化する方法、また本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルと液状油、高結晶性物質を溶解混合した後に多価アルコールを加えて更に混合することなどの方法によって得られることができる。
高結晶性物質と液状油の混合比率は特に限定するものではないが好ましくは高結晶性物質99:1〜1:99の範囲、より好ましくは90:10〜2:98、さらに好ましくは50:50〜5:95の範囲が望ましい。
また、高結晶性物質、液状油およびポリグリセリン脂肪酸エステルの混合温度は特に限定するものではないが、両物質を均一に混合するという観点から、目視にて透明溶解が確認できる状態が好ましく、より好ましくは高結晶性物質の融点で溶解することが望ましい。
高結晶性物質との混合方法は特に限定するものではなく、攪拌、乳化装置を用い乳化することにより得られる。例えばプロペラ型、アンカー型、パドル型の攪拌機、より強力なせん断力を付与できるローター・ステーター型乳化機、磨砕機能を備えたミル型乳化機、高圧化でキャビテーションを発生させる高圧ノズル型乳化機、高圧下で液同士を衝突させ、衝撃力、乱流によるせん断力およびキャビテーションにより乳化させる高圧衝突型乳化機、超音波でキャビテーションを発生させる超音波乳化機、細孔を通して均一乳化を行う膜乳化機、エレメント内で液の分散集合を繰り返して均一混合するスタティックミキサーといったものが例示できる。これらは単独で使用できるほか、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、汎用性が高い点からローター・ステーター型乳化機、パドル型撹拌機が好適である。
本発明の高結晶性物質含有組成物の組成については特に限定するものではなく、使用する高結晶性物質の精製度、添加する飲食品、または化粧品の設計に合わせて任意に調製すればよいが、高結晶性物質の下限としては、生理作用上の効果及び、飲食品に応用した際の風味への影響の点より、好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上であり、最も好ましくは15重量%以上である。また上限としては、乳化の安定性の点より、好ましくは80重量%以下であり、さらに好ましくは60重量%以下である。ポリグリセリン脂肪酸エステルは0.01〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜40重量%が望ましい。液状油は0.1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜25重量%が望ましい。多価アルコールは1〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜80重量%が望ましい。
本発明の高結晶性物質含有組成物の製品価値を向上させたり、流動性を調整して取扱いを容易にしたりするために他の添加物素材を加えてもよい。そのような成分を例示するならば、カンゾウ抽出物、サッカリンナトリウム、アスパルテーム等の甘味料、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、ファーセレラン、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸、メチルセルロース等の増粘多糖類、クチナシ色素、黄色4号等の着色料、ソルビン酸、ヒノキチオール等の保存料、エリソルビン酸、アスコルビン酸、トコフェロール、フェルラ酸、米ヌカ油抽出物等の酸化防止剤、クエン酸、フィチン酸等の酸味料、イノシン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、柑橘系フレーバー、ミルクフレーバー、ヨーグルトフレーバー等の香料、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB群、パントテン酸等のビタミン類、L−リジン塩、L−トレオニン、L−トリプトファン等のアミノ酸類、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウム等のミネラル類、油脂、タンパク質、デキストリン、エタノール、水等の食品素材が挙げられる。
本発明の高結晶性物質含有組成物は、そのまま経口的に摂取することにより、高結晶性物質の生体への補給剤として使用することができる。例えば、高結晶性を目的とした液剤、錠剤、粉末製剤、カプセル剤等がある。よって、本発明の一態様として、本発明の組成物を含んでなる飲食品が提供される。
本発明の別の態様として、本発明は前記高結晶性物質含有祖生物を含むことを特徴とする飲食品を提供する。本発明の高結晶性物質含有祖生物を含有する飲食品とは特にヒトを対象とするものであるが、家畜や家庭用ペット等の飼料を排除するものではない。以下においては、ヒトを対象とした飲食品について説明するが、本発明の飲食品には、前記飼料も包含するものである。
飲食品としては、特に限定するものではなく、本発明の高結晶性物質含有組成物を含有してなる飲食品であればよい。かかる飲食品としては、例えば、即席麺、カップ麺、レトルト・調理食品、調理缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰、フリーズドライ食品等の即席食品、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料水、果肉飲料、果粒入り果実食品、野菜系飲料、豆乳・豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の嗜好飲料類、パン、マカロニ・スパゲッティ、麺類、ケーキミックス、から揚げ粉・パン粉、ギョーザ・春巻の皮等の小麦粉食品、キャラメル・キャンディー、チューイングガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、ケーキ・パイ、スナック・クラッカー、和菓子・米菓子・豆菓子、デザート菓子等の菓子類、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類、甘味料、魚醤、ニョクマム等の基礎調味料、風味調味料、調理ミックス、カレーの素、たれ類、ドレッシング、麺つゆ、スパイス等の複合調味料、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂食品、牛乳・加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、チーズ、アイスクリーム、調製粉乳、クリーム等の乳・乳製品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品、水産缶詰・ペースト類、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、水産乾物類、佃煮等の水産加工品、畜産缶詰・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ、畜産珍味類等の畜産加工品、農産缶詰、果実缶詰、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆、農産乾物類、シリアル等の農産加工品、ベビーフード、離乳食、ふりかけ、お茶漬けのり、サプリメント等を例示できる。
本発明の一態様として、本発明の高結晶性物質含有組成物を含むことを特徴とする化粧品を提供する。化粧品としては特に限定するものではなく、化粧水、乳液、シャンプー、リンス、毛髪用化粧品、ファンデーション、口紅、保湿クリームなどを例示できる。
本発明の飲食品、または化粧品は、例えば、既成の飲食品に対して本発明の高結晶性物質含有組成物を添加することにより得られるが、それらの飲食品、または化粧品を調製する際に、本発明の組成物を使用原料に予め添加するか、若しくは調製工程中に共に配合することにより、調製することができる。本発明の所望の効果を発現しうる飲食品、または化粧品が得られるのであれば、該製品への本発明の組成物の添加時期や添加方法については特に限定するものではない。
本発明の高結晶性物質含有組成物を含有してなる飲食品は、高結晶性物質が安定に分散しているため、本発明の飲食品、または化粧品は、高結晶性物質の析出による結晶、白濁、沈殿等が認められず、ざらつきや油っぽさがない。特に、飲食品で想定される塩、酸、アルコール溶液中での安定性にすぐれ、高温、低温を繰り返すような劣悪な流通、保管条件でも結晶の発生がないため、商品の外観、食感、使用感を悪化させることなく、高結晶性物質を飲食品、または化粧品に付与することができる。中でも、スポーツドリンク、機能性飲料、茶飲料などの飲料類は透明性を重視されるが、本発明の組成物は高結晶性物質が安定に乳化若しくは可溶化されているので、飲料等の透明感を損ねることなく、高結晶性物質を飲料に高配合することができる。
本発明の飲食品、または化粧品における本発明の高結晶性物質含有組成物の含有量は、本発明の目的が阻害されない範囲内で配合されていればよく、特に限定するものではないが、使用する乳化剤が飲食品の風味、化粧品の使用感に影響を与えないという観点から、好ましくは0.005〜50重量%、より好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%であることが望ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
実施例1〜24及び比較例1〜12
表2〜4に示す界面活性剤及び液状油をビーカーに入れ、80℃に加温した後、ホモミキサーを用いて6000r/minで攪拌して混合した。得られた混合物に表2〜4に示す高結晶性物質を加えさらに加熱、攪拌して混合した。高結晶性物質が完全に溶解し、溶液が透明になっていることを目視にて確認後、予め別のビーカーにて80℃に加温しておいた多価アルコールを加え、さらに、表2〜4の配合に応じて水またはアルコールを加え、6000rpmにて攪拌混合し、実施例1〜24及び比較例1〜12の組成物を得た。なお、用いたポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB、そのポリグリセリンの水酸基価、1級水酸基含量および環状体含量は表1に示すとおりである。
なお、用いたポリグリセリンの環状体含有量は、以下に示す条件で液体クロマトグラフ−質量分析計(LC/MS)を用いて分析した。
<LC/MS条件>
イオン化モード;APCI、negativ
測定範囲;90〜2000m/z
カラム;TSKgel α−2500(7.8×300mm)
温度;40℃
溶離液;HO/アセトニトリル 7/3
流量;0.8ml/min
注入量;10μl、100ppm
分析時間;20分
また、用いたポリグリセリンの水酸基価は、第7版食品添加物工程書「油脂類試験法」に準じて算出した。
1級水酸基の割合は、核磁気共鳴装置におけるスペクトル分析にて決定した。すなわち核磁気共鳴装置(13C−NMR:日本電子社製、JNM−A500)を使用して、ポリグリセリンの1級水酸基と2級水酸基の割合を分析した。ポリグリセリン500mgを重水2.8mlに溶解し、ろ過後ゲートつきデカップリングにより13C−NMR(125MHz)スペクトルを得る。ゲートデカップルド測定手法によりピーク強度は炭素数に比例する。1級水酸基と2級水酸基の存在を示す13C化学シフトはそれぞれメチレン炭素(CHOH)が63ppm付近、メチン炭素(CHOH)が71ppm付近であり、2種それぞれのシグナル強度の分析により、1級水酸基と2級水酸基の存在比を算出する。但し、2級水酸基を示すメチン炭素(CHOH)は、1級水酸基を示すメチレン炭素に結合するメチン炭素にさらに隣接するメチレン炭素ピークと重なり、それ自体の積分値を得られないため、メチン炭素(CHOH)と隣り合うメチレン炭素(CH)の74ppm付近のシグナル強度により積分値を算出した。
なお、本実施例に用いた被製剤化物質が常温で結晶状態であることは、偏光顕微鏡下の観察で、偏光を示すことにより確認した。
試験例1〔乳化安定性〕
得られた実施例1〜24及び比較例1〜12の組成物を、100mlの透明瓶に充填後、密栓した。各組成物について、5℃、25℃及び50℃の暗所にて4週間保存後の状態を目視で確認し、以下の評価基準より乳化安定性を評価した。結果を表2〜4に示す。
<乳化安定性の評価基準>
◎:結晶析出や濁りを認めず、透明である
○:濁りを認める
△:濁りを認め、結晶が少し析出する(数〜十数個程度)
×:濁りを認め、結晶が多く析出する(数十個以上)
××:結晶が多く析出し、完全に分相する
なお、全ての温度帯において◎および○を合格品とする。
試験例2〔水溶液中の安定性〕
実施例1〜24及び比較例1〜12の組成物を高結晶性物質の濃度が0.05重量%となるよう、クエン酸0.24重量%、クエン酸Na0.04重量%および食塩1重量%を加えたpH2.8の水溶液で希釈し、高結晶性物質を含む希釈溶液を調製した。得られた希釈溶液について、100mlの透明ガラス瓶に充填し、55℃、72時間保存の後、3℃、72時間の保存を1つのサイクルとし、このサイクルを5サイクル繰り返し暗所にて保存した。保存後の試料について、状態を目視で確認し、以下の評価基準より外観を評価した。結果を表2〜4に示す。
<安定性の評価基準>
◎:結晶析出や濁りを認めず、透明である(容器瓶越しに文字が確認可能)
○:濁りを認める
△:結晶が少し析出する(数〜十数個程度)
×:結晶が多く析出する(数十個以上)
なお、◎および○を合格品とする。
Figure 0005727974
Figure 0005727974
Figure 0005727974
Figure 0005727974
実施例25〜39及び比較例13〜19
表5のスポーツドリンク原料を混合し、pH3.4の飲料ベースを得た。実施例1、5、6、12〜24及び比較例1〜7の組成物を高結晶性物質の濃度が0.01重量%となるよう飲料ベースで希釈し、93℃達温にて加熱殺菌後、無色透明の500mlペットボトルにホットパック充填し、冷却して高結晶性物質を含有する透明〜乳白色のスポーツドリンクを得た。
Figure 0005727974
試験例3〔飲料中の安定性〕
実施例25〜39及び比較例13〜19のスポーツドリンクについて、37℃、24時間保存の後、−10℃、24時間保存、その後さらに5℃、24時間の保存を1つのサイクルとし、このサイクルを10サイクル繰り返し暗所にて保存した。保存後の飲料について、状態を目視で確認し、以下の評価基準より外観を評価した。なお、評価終了以前に結晶が発生した試料については、結晶発生日を示した。結果を表6に示す。
<分散安定性の評価基準>
◎:半透明溶液であり、結晶、沈殿物を認めない(容器越しに文字が認識可能能)
○:白濁溶液であり、結晶、沈殿物を認めない
△:白濁溶液であり、細かい結晶を認める
×:結晶、沈殿物を多数認める
尚、◎および○を合格品とする。
試験例4〔濁度の変化〕
また、試験例3と同条件で保存した実施例25〜39及び比較例13〜19のスポーツドリンクの濁度を、分光光度計を用いて波長650nmにおける吸収光度として測定した。保存後の濁度の変化を、保存前の試料の濁度を基準とし、次式にて変化率を算出した。なお、結晶が発生したものは、測定不能とした。結果を表6に示す。
<計算式>
変化率(%)=(保存後の濁度/保存前の濁度)×100
Figure 0005727974
実施例40〜42及び比較例20〜22
表7のアルコール飲料原料を混合し、飲料ベースとした。実施例1、4、10及び比較例8、11、12の組成物を高結晶性物質の濃度が0.05重量%となるよう飲料ベースで希釈し、180ml缶に充填後、80℃、10分にて殺菌、冷却して高結晶性物質を含有する透明〜乳白色のアルコール飲料を得た。
Figure 0005727974
試験例5〔飲料中の安定性〕
実施例40〜42及び比較例20〜22のアルコール飲料について、37℃、24時間保存の後、−10℃、24時間保存、その後さらに5℃、24時間の保存を1つのサイクルとし、このサイクルを10サイクル繰り返し暗所にて保存した。保存後の試料を100mlビーカーに移し、状態を目視で確認し、試験例3と同様の評価基準により外観を評価した。なお、評価終了以前に結晶が発生した試料については、結晶発生日を示した。結果を表8に示す。
試験例6〔粒子径の変化〕
また、試験例5と同条件で保存した実施例40〜42及び比較例20〜22のアルコール飲料の平均粒子径を粒度分布測定器(ベックマンコールター社製:LS−230)にて測定した。保存後の濁度の変化を、保存前の試料の粒子径を基準とし、次式にて変化率を算出した。結果を表8に示す。
<計算式>
変化率(%)=(保存後の平均粒子径(μm)/保存前の平均粒子径(μm))×100
Figure 0005727974
実施例43及び比較例23
表9に示す化粧料成分を攪拌混合し、実施例43及び比較例23の化粧水を得た。なお、比較例23で用いたフェルラ酸は実施例23と同じものである。
Figure 0005727974
試験例7〔水溶液の安定性〕
実施例43及び比較例23の化粧水について、55℃、1週間保存の後、3℃、1週間の保存を1つのサイクルとし、このサイクルを12サイクル繰り返し暗所にて保存した。保存後の試料について、状態を目視で確認し、試験例3と同様の評価基準により外観を評価した。なお、評価終了以前に結晶が発生した試料については、結晶発生日を示した。結果を表10に示す。
Figure 0005727974
実施例44及び比較例24
表11に示す割合にしたがって乳液を調製した。精製水にプロピレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミンを加え加熱混合し、水相部とした。また、他の成分を70℃にて混合し、この油相部を水相部に加えて予備乳化を行った。ここに実施例2、比較例1の組成物を高結晶性物質の濃度が0.5重量%となるよう配合し、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後30℃まで冷却して乳液を得た。
Figure 0005727974
試験例8〔使用感の確認〕
実施例44及び比較例24の乳液について、55℃、1週間保存の後、3℃、1週間の保存を1つのサイクルとし、このサイクルを12サイクル繰り返し暗所にて保存した。保存後の試料について、使用感を手に塗布して確認し、以下の評価基準より評価した。結果を表12に示す。なお、表12中の評価の点数は、下記の基準で採点した各パネルの平均点である。
<評価基準>
滑らかであり伸びがよい :4点
滑らかであるが伸びが悪い:3点
わずかにざらつきを感じる:2点
かなりざらつきを感じる :1点
Figure 0005727974
以上の結果より、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルにて調製された高結晶性物質含有組成物は、塩、酸、アルコールなどの乳化に悪影響を及ぼす要因の存在、および***保存においても良好な乳化状態を維持することが判明した。これは特定のポリグリセリン脂肪酸エステルおよび液状油を含有することにより、高結晶性物質が安定に乳化あるいは可溶化されているものと考えられる。これにより高結晶性物質を含む飲食品及び化粧品を調製するにあたり、何ら困難を伴うことなく化粧品へ汎用されることを確認できた。
上記試験例で示されたように、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルにて調製された本発明の高結晶性物質含有組成物は、従来安定に分散することが不可能であった高結晶性物質の結晶化、分離等を抑え飲食品、または化粧品に添加することが可能であることが明らかである。

Claims (4)

  1. 下記(A)〜(C)を含有する多価アルコール中油型(O/D型)の乳化物であって、高結晶性物質含有組成物。
    (A)高結晶性物質
    (B)水酸基価が1200以下、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50重量%以上であり、さらに環状体含有量が25重量%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステル
    (C)液状油がIOB(無機/有機バランス)値が0.20〜0.60であるドデカ(カプリル・カプリン酸)デカグリセリン
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が10〜18である請求項1記載の高結晶性物質含有組成物。
  3. 請求項1又は2記載の高結晶性物質含有組成物を含む飲食品。
  4. 請求項1又は2記載の高結晶性物質含有組成物を含む化粧品。
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