JP5725416B2 - 低炭素系鋳鋼ショット - Google Patents

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本発明は、Cを0.08〜0.20%含有する炭素系鋳鋼ショットに関する。より詳しくは、本発明は、ショットの形状が均一であり、金属組織と硬さにおけるバラツキが小さく、かつ、研掃能力が安定した、低炭素系鋳鋼ショットに関する。
従来、鋳鋼ショットは、幅広い用途に、使用されている。鋳物の砂落しをはじめとして、主に鉄系金属素材のバリ取り、付着物除去、酸化膜除去など幅広い用途に、使用されている。
鋳鋼ショットは、高炭素鋳鋼ショットと低炭素鋳鋼ショットに大別され、その化学組成および品質が規格化されており、例えば日本においてはJIS Z0311(2004年)に定められている。
高炭素鋳鋼ショットは、Cを0.80〜1.2%含有しており、焼入れ硬さを高くすることができるため、機械的に粉砕してグリットを製造することが可能である。グリットは大理石などの石材を切断するための大型ガングソーなどに大量に用いられるため、高炭素鋳鋼ショットはグリットの需要に対応できるメリットがある。よって、高炭素鋳鋼ショットは世界的に最も普及している。
一方、低炭素鋳鋼ショットは、Cを0.08〜0.20%含有し、焼入れ性を向上するためMnを0.35〜1.5%と高く設定することによって、溶湯を水ジェットや遠心力などで粉砕してショット粒を製造する段階でベイナイトを主体とした金属組織が形成される特徴があり、Hv390〜520程度(ビッカース硬さ)の硬さが得られる。このため、高炭素鋳鋼ショットのように焼入れ、焼戻しの熱処理を施す必要がないというメリットがある。また、高炭素鋳鋼ショットの場合は、溶湯を水ジェットや遠心力などで粉砕してショット粒を製造する段階で、ショット粒にクラック(焼割れ)が発生し易いが、低炭素鋳鋼ショットではクラックが発生しにくいため耐久性に優れている、と言われている。
低炭素鋳鋼ショットは、上記のように、熱処理を実施しないことが利点である反面、化学組成に大きく依存している。しかし、規格に定められた化学組成の範囲は非常に広い。
JIS Z0311(2004年)では、化学組成は質量%で以下の範囲である。
C:0.08〜0.20、Si:0.10〜2.0、Mn:0.35〜1.5、P:0.05以下、S:0.05以下。
また、中国のGB/T 18838.4(2008年)では、JIS Z0311と同じ化学組成の範囲が規格化されている。
一般に、鋳鋼の焼入れ性に最も大きく影響する元素はCであり、C%の増加に伴い、焼入れ性および焼入れ硬さは上昇する。しかし、低炭素鋳鋼ショットではC%が低いので、焼入れ性を向上する目的ため、Cの代わりに、Mn、Siを高目に設定している。ところが、Mn、Siはいずれも酸素との親和力が極めて強い元素であり、溶湯が酸化し易いためショットの形状が悪く、略球形以外の紡錘形、棒状といった非球状粒子の割合が高く、ひいては研掃力が安定しない、という問題があった。
低炭素鋳鋼ショットの化学組成を改良した先行技術として、Niを添加した以下の化学組成が提案されている(特許文献1)。
C:0.15〜0.30、Si:0.30〜0.80、Mn:0.40〜1.0、Ni:0.80〜1.20。
特許文献1による化学組成は、酸化し易い元素である、Si及びMnの添加量を減らすと共に、Niを新たに添加することで、焼入れ性を確保したものと推定される。
米国特許第2670281号公報
JIS Z0311(2004年)に定められた化学組成の低炭素鋳鋼ショットでは、焼入れ性を向上するためにMn、Siを高目に設定しているが、Mn、Siはいずれも酸素との親和力が極めて強い合金元素であり、溶湯が酸化し易いためショットの形状が悪く、略球形以外の紡錘形、棒状といった非球状粒子の割合が高いという問題があった。
特許文献1では、Niを0.80〜1.20%添加しているが、Niは比較的高価な合金元素であり、原料コストの上昇を招く、という問題があった。また、HRC45の硬さと優れた耐久性が得られたと記載されているが、ショットの形状や金属組織に関しては記載されておらず詳細は不明である。
本発明の目的は、微量成分の含有量を含む化学組成を最適化することによって、原料コストが安価であり、且つショットの形状が均一で、金属組織、硬さのバラツキが小さく、研掃能力が安定した低炭素系鋳鋼ショットを提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するために成されたものであり、Si、Mnの添加量を低目に設定すると同時に、Crを適量添加することが極めて効果的であることを見出し、発明を完成させたものである。
本発明の低炭素系鋳鋼ショットは、
鉄系金属素材の研掃を行うための低炭素系鋳鋼ショットであって、
質量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.4〜1.0%、Cr:0.3〜1.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有したベイナイトが主体である金属組織であり、当該低炭素系鋳鋼ショットは略球形であることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の低炭素系鋳鋼ショットは、
鉄系金属素材の研掃を行うための低炭素系鋳鋼ショットであって、
より好ましくは、質量%で、C:0.13〜0.22%、Si:0.15〜0.25%、Mn:0.5〜0.9%、Cr:0.4〜0.8%、P:0.03%以下、S:0.03%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有したベイナイトが主体である金属組織であり、当該低炭素系鋳鋼ショットは略球形であることを特徴とする(請求項2)。
さらに、本発明の低炭素系鋳鋼ショットは、請求項1〜2の化学組成に加えて、質量%で、NiとCuを単独又は合計で0.4〜1.0%含有することを特徴とする(請求項)。
また、本発明の低炭素系鋳鋼ショットは、請求項1〜3の化学組成に加えて、質量%で、Moを0.10〜0.30%含有することを特徴とする(請求項4)。
さらに、本発明の低炭素系鋳鋼ショットは、質量%で、Al:0.04〜0.12%を含有することが好ましい(請求項)。加えて、質量%で、B:0.001〜0.05%を含有することが好ましい(請求項)。さらに加えて、質量%で、V、NbおよびTiの1種以上を合計で0.05〜0.5%含有することができる(請求項)。
なお、本発明の低炭素系鋳鋼ショットは、溶湯を水ジェットや遠心力などで粉砕してショット粒を製造する段階でベイナイトを主体とした金属組織が形成される特徴があり、Hv390〜520程度(ビッカース硬さ)の硬さが得られる。このため、高炭素鋳鋼ショットのような焼入れ、焼戻しの熱処理を施す必要はないが、130〜280℃程度の低温で焼戻し処理を実施してショット粒を製造する段階で発生した残留応力を除去したり、金属組織や硬さの微調整を行うことができる。
本発明によれば、
鉄系金属素材の研掃を行うための低炭素系鋳鋼ショットであって、
質量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.4〜1.0%、Cr:0.3〜1.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有したベイナイトが主体である金属組織であり、当該低炭素系鋳鋼ショットは略球形であることにより、含有量が多いとショットの形状を悪化させる傾向のあるSi、Mnの含有量を低目に設定すると同時に、焼入れ性を向上する効果の高いCrを適量添加し、C、Si、Mn、Cr含有量の最適化を図ることによって、ショットの形状が均一で、金属組織、硬さのバラツキが小さく、研掃能力が安定した低炭素系鋳鋼ショットを提供可能となった。
本発明においては、Cの含有量が0.1%未満では硬さがHv400未満となり研掃力が低下し、0.25%を超えるとベイナイトが主体である金属組織中にマルテンサイトが増加し、焼戻しが必要となるため0.1〜0.25%の範囲とした。
また、Siの含有量が0.1%未満では溶湯の脱酸効果が不十分で内部欠陥(空孔)が増加し、0.3%を超えるとショットの形状が徐々に悪化するため0.1〜0.3%の範囲とした。
さらに、Mnの含有量が0.4%未満では焼入れ性が十分でなく、一部に軟らかいパーライト組織を含むため硬さがHv400未満となり、1.0%を超えるとショットの形状が急激に悪化するため0.4〜1.0%の範囲とした。
加えて、Crに関しては、SiとMnの含有量をやや低目に設定したことによって低下する焼入れ性を補うことを目的として含有量を調査した結果、0.3%未満では焼入れ性の向上効果が不十分のため硬さがHv400未満のショットが混在し、1.0%を超えると金属組織中にCrの炭化物が形成されて靭性が低下するため0.3〜1.0%の範囲とした。
なお、PとSはいずれも鋼の靭性を低下させる有害元素であり、0.05%以下に抑制する必要がある。
また、上記のようなショットの品質をさらに安定化するためには、
鉄系金属素材の研掃を行うための低炭素系鋳鋼ショットであって、
質量%で、C:0.13〜0.22%、Si:0.15〜0.25%、Mn:0.5〜0.9%、Cr:0.4〜0.8%、P:0.03%以下、S:0.03%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有したベイナイトが主体である金属組織であり、当該低炭素系鋳鋼ショットは略球形であることが好ましい。
また、本発明において、質量%で、NiとCuを単独又は合計で0.4〜1.0%含有することにより、ショットの形状を悪化させることなく焼入れ性を向上すると共に、靭性を改善することができる。NiおよびCuの添加による焼入れ性の向上効果はCrのように顕著ではないが、酸化しにくい合金元素であるため、ショットの形状に悪影響を及ぼさないことが確認された。NiとCuの単独又は合計の含有量が0.4%未満では効果が認められず、1.0%を超えると靭性の改善効果が低下するため0.4〜1.0%の範囲とした。
また、本発明において、質量%で、Moを0.10〜0.30%含有することにより、金属組織、硬さのバラツキは一層低減され、品質を安定化することができる。MoはMnに次いで鋼の焼入れ性を向上させる効果が高い有用な合金元素であるが、経済的に高価であり、0.10%未満では効果が認められず、0.30%を超えるとコストが上昇しただけの効果が得られないため0.10〜0.30%の範囲とした。
また、本発明において、質量%で、Al:0.04〜0.12%を含有することにより、Alによる適度な脱酸効果が発揮され、ショットの形状が改善されると同時に内部欠陥(空孔)を低減することができる。Alの含有量が0.04%未満では形状を改善する効果が発揮されず、0.12%を超えると形状が悪化するため上記の範囲とした。
また、本発明において、質量%で、B:0.001〜0.05%を含有することにより、焼入れ性が向上すると供に金属組織が微細化して靭性が改善される。Bの含有量が0.001%未満では効果が認められず、0.05%を超えるとやや靭性が低下するため0.001〜0.05%の範囲とした。
また、本発明において、質量%で、V、NbおよびTiの1種以上を合計で0.05〜0.5%含有することにより、結晶粒を微細化して靭性を改善することができる。0.05%未満では効果が認められず、0.5%を超えると、これらの元素が炭化物を形成して靭性が低下するため0.05〜0.5%の範囲とした。
本発明による低炭素系鋳鋼ショット(実施例)と比較例である低炭素系鋳鋼ショットの平均硬さ、硬さのバラツキの範囲(最大値〜最小値)を示したものである。
以下に、本発明の効果を確認するために行った、試験例(実施例・比較例)について説明する。
<試験例1>
本試験例では、C、Si、Mn、Cr、P、S、NiおよびCu、Moの影響を調査するため、スチールスクラップ、Fe−Si、Fe−Mn、Fe−Cr、Fe−Mo、電解Ni、純銅スクラップ(電線)、加炭材等を原材料として所望の成分になるように原料配合を調整し、鉄換算溶解量100kgの実験用高周波溶解炉を使用して溶解した。
溶解温度は1650〜1680℃として、水アトマイズ法によってショットを製作した。得られたショットを乾燥した後、篩い分けしてφ1mm(1.18mmの篩を通過し、1.00mmの篩に残ったもの)のサイズを取り出し、品質等を評価した。その結果を表1に示す。
空孔率、非球状粒子率、硬さについては、JIS−Z0311に定められた方法により測定した。即ち、空孔率については、ショット粒子を樹脂中に埋め込んで研磨し、拡大鏡によって粒子断面を観察した時に、その断面積に対して空孔が占める面積が10%以上のショット粒子の割合を求めた。観察したショット粒子の数は100とした。
非球状粒子率については、ショット粒子をガラス平板に広げて拡大鏡によって観察した時に、ショット粒子の長径が短径の2倍以上の粒子の割合を求めた。観察したショット粒子の数は100とした。
硬さについては、ショット粒子を樹脂中に埋め込んで研磨し、粒子断面のビッカース硬さを測定した。試験荷重は9.8N、荷重負荷時間は12秒とし、有効な20個の測定値の平均値を求めた。なお、表1にはカッコ内に測定値の最小値〜最大値を示すと供に、図1に硬さのバラツキをグラフ化して示す。
ショットの寿命に関しては、SAE(Society of Automotive Engineers,Inc.)J−445に定められた衝撃破砕試験を行った。即ち、上記φ1mmのショット100gを試験装置に投入し、60m/sの速度で耐摩耗鋳鉄製のターゲットに繰り返し衝突させ、一定衝突回数毎に破砕したショットを篩別除去(0.3mmの篩を使用)すると共に残留ショットの重量を測定し、残留ショットが最初の30%以下となるまで試験を行った。
この試験により得た衝突回数と残留ショット重量割合の関係を示す曲線を積分して求められる数値を寿命値とした。また、表1に示す寿命比とは、実施例1の寿命値を100とした場合の比率で表しており、寿命比の値が大きいほど耐久性が良好で靭性が高いことを示している。
化学組成については、発光分光分析法によって、試作したショットそのものの成分分析を行った。
表1の実施例1〜2は請求項1の化学組成を示す。これらは、従来の低炭素系鋳鋼ショットである比較例1〜2(Crを含有しない化学組成)と比較して空孔率が約1/2に低下し、非球状粒子率は約1/3〜1/4となって顕著に形状が改善されると供に、寿命比も約11〜13%向上した。
実施例1〜2の金属組織(ベイナイト状組織)は、比較例1〜2と比べて全体に微細かつ均一になっており、Crを含有することによって焼入れ性および金属組織が改善されていることが確認された。また、比較例1のようにMnが1%を超えると非球状粒子率が増加し、比較例2のようにSiが0.5%を超えるとMnと同様に非球状粒子率が増加する傾向が確認された。
比較例3〜7は、Si、Mn、Crの含有量が請求項1の化学組成の範囲を外れるように化学組成を調整した場合の結果を示している。これらのうち、Siの含有量が上限値である0.3%を超えた比較例3では、非球状粒子率が5%を超え、寿命比も低下した。
また、Mnの含有量が下限値の0.4%未満である比較例4では、実施例1〜2と比較して空孔率が増加すると供に、硬さが低下した。これはMnの含有量が過少であるために脱酸効果、焼入れ性が低下したためと考えられる。
Mnの含有量が上限値の1.0%を超えた比較例5では、比較例1と同様に非球状粒子率が増加し、寿命比が低下した。
また、Crの含有量が下限値の0.3%未満である比較例6では、SiとMnの含有量が適切な範囲に設定されたことにより、実施例1〜2と比較して空隙率および非球状粒子率は同等レベルであったが、硬さが低下すると供に硬さのバラツキが大きくなり寿命比が低下した。また、Crの含有量が上限値の1.0%を超えた比較例7では、硬さがやや高くなり寿命比が低下した。Crの含有量が過少であると焼入れ性が不足し、過多であると炭化物を形成して靭性が低下するものと思われる。
実施例3は、請求項2の化学組成を示す。これは、ショットの品質を安定化させるために、Si、Mn、Crの含有量をより狭い範囲に設定した例であり、実施例1〜2と比較して空孔率、非球状粒子率、寿命比がいずれも少し改善されている。なお、PとSに関しては、通常入手可能なスチールスクラップ等の原材料を使用すれば、含有量を0.03%以下にすることが可能であったため、あえて0.03〜0.05%に化学組成を調整して比較する試験は省略した。
実施例4〜6は、NiとCuを単独または同時に添加した場合の結果を示しており、実施例1〜3と比較して、空孔率と硬さは同等であるが、非球状粒子率が若干改善されると供に、寿命比が5%程度向上した。
一方、NiとCu合計の含有量が0.4%に満たない比較例8では、実施例1〜3と比較して寿命比が向上する効果が認められず、合計の含有量が1.0%を超えた比較例9も同様であった。
比較例9において寿命比が向上しなかった原因は確認できていないが、NiとCuはCrと比較して高価な元素であり、1.0%までの含有量で十分効果を得ることができる。
実施例7は、Moを添加した場合の結果を示しており、NiとCuを単独または同時に添加した場合よりも寿命比が高くなり、硬さもHv10程度高めになると供に硬さのバラツキが小さくなった(図1)。
MoはMnに次いで鋼の焼入れ性を向上する効果が高い元素であり、金属組織がさらに微細かつ均一になった。一方、Moの含有量が0.10%に満たない比較例10では、硬さや寿命比の変化が認められず、含有量が0.30%を超えた比較例11では硬さがさらに高くなった反面、寿命比が低下した。
<試験例2>
本試験例では、Al、B、VとNbおよびTiの影響を調査するため、スチールスクラップ、Fe−Si、Fe−Mn、Fe−Cr、Fe−Mo、Fe−B、Fe−V、Fe−Nb、Fe−Ti、電解Ni、純銅スクラップ(電線)、加炭材、純Al等を原材料として所望の成分になるように原料配合を調整し、鉄換算溶解量100kgの実験用高周波溶解炉を使用して溶解した。
溶解温度は1650〜1680℃として、水アトマイズ法によってショットを製作した。得られたショットを乾燥した後、篩い分けしてφ1mm(1.18mmの篩を通過し、1.00mmの篩に残ったもの)のサイズを取り出し、品質等を評価した。その結果を表2に示すと供に、硬さのバラツキを図1にグラフ化して示す。
なお、評価方法は試験例1と同様であるが、試験例1において非球状粒子率が高い場合は空孔率も高くなる傾向であったため、試験例2では評価項目として空孔率を省略した。
表2の実施例9〜10は、Alを添加した場合の結果を示す。表2において、実施例9〜10は、非球状粒子率が2%以下に低下し、形状の改善に効果が認められた。一方、Alの含有量が0.04%に満たない比較例12では形状の改善効果が認められず、含有量が0.12%を超えた比較例13では逆に形状が悪化した。Alは強力な脱酸元素であり、適切な含有量においてショットの形状を改善する効果を発揮するが、含有量が過多になると溶湯表面に酸化膜を形成して、逆に形状を悪化させると推定される。
実施例11〜12は、Bを添加した場合の結果を示す。Bの添加について、非球状粒子率への影響はほとんど無いが寿命比が少し向上した。一方、Bの含有量が0.05%を超えた比較例14では寿命比が少し低下した。Bは微量の含有量で鋼の靭性を向上する元素であるが、比較的高価な元素であり、0.05%までの含有量で十分効果を得ることができる。
実施例13〜15は、V、NbおよびTiの1種以上を添加した場合の結果を示す。これらは寿命比および硬さが僅かに高くなると供に、硬さのバラツキが最も小さくなった(図1)。一方、V、NbおよびTiの1種以上の含有量が0.5%を超えた比較例15では寿命比が低下した。実施例13〜15の金属組織は本発明の実施例の中で最も微細均一であり、V、NbおよびTiが金属組織の微細化に最も効果があることが認められたが、含有量が過多になると結晶粒界に炭化物を形成することにより靭性が低下し寿命比が低下したと推定される。

Claims (9)

  1. 鉄系金属素材の研掃を行うための低炭素系鋳鋼ショットであって、
    質量%で、C:0.1〜0.25%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.4〜1.0%、Cr:0.3〜1.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有したベイナイトが主体である金属組織であり、
    当該低炭素系鋳鋼ショットは略球形であることを特徴とする低炭素系鋳鋼ショット。
  2. 鉄系金属素材の研掃を行うための低炭素系鋳鋼ショットであって、
    質量%で、C:0.13〜0.22%、Si:0.15〜0.25%、Mn:0.5〜0.9%、Cr:0.4〜0.8%、P:0.03%以下、S:0.03%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる化学組成を有したベイナイトが主体である金属組織であり、
    当該低炭素系鋳鋼ショットは略球形であることを特徴とする低炭素系鋳鋼ショット。
  3. 質量%で、NiとCuを単独又は合計で0.4〜1.0%含有する請求項1又は2に記載の低炭素系鋳鋼ショット。
  4. 質量%で、Moを0.10〜0.30%含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の低炭素系鋳鋼ショット。
  5. 質量%で、Al:0.04〜0.12%を含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の低炭素系鋳鋼ショット。
  6. 質量%で、B:0.001〜0.05%を含有する請求項1〜のいずれか1つに記載の低炭素系鋳鋼ショット。
  7. 質量%で、V、NbおよびTiの1種以上を合計で0.05〜0.5%含有する請求項1〜のいずれか1つに記載の低炭素系鋳鋼ショット。
  8. 前記ベイナイトを主体とする金属組織は、溶湯を水ジェットあるいは遠心力で粉砕してショット粒を製造する段階で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の低炭素系鋳鋼ショット。
  9. 前記低炭素系鋳鋼ショットは、ショット粒子の長径が短径の2倍以上である粒子の割合で規定される非球状粒子率が1.6〜4.0%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の低炭素系鋳鋼ショット。
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