以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図6を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、本発明に係る制御装置を、筒内直噴4気筒式のディーゼルエンジンを搭載した車両に適用する場合について説明する。
まず、車両の構成について説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)1は、シリンダヘッド10と、不図示のシリンダブロックを備えており、シリンダヘッド10およびシリンダブロックは、4つの気筒5を形成している。これらの気筒5には、ピストンにより燃焼室7がそれぞれ画成されている。また、シリンダヘッド10には、外気を燃焼室7に導入するための吸気ポート、および排気ガスを燃焼室7から排出するための排気ポートが形成されている。
さらに、エンジン1は、各気筒5に燃料としての軽油を噴射するためのインジェクタ15を備えている。インジェクタ15は電磁駆動式の開閉弁により構成されており、後述するECU(Electronic Control Unit)100により所定電圧が印加されると、インジェクタ15は、各気筒5内に向けて燃料を噴射するようになっている。エンジン1は、インジェクタ15により各気筒5内に燃料が噴射されるとともに、ピストンが動作して混合気が圧縮されると自然着火により燃焼するようになっている。つまり、本実施の形態におけるエンジン1は、本発明に係る内燃機関を構成する。
また、本実施の形態における車両は、変速機、差動装置などにより構成される図示しない動力伝達装置を備えており、クランクシャフトのトルクが、動力伝達装置を介して車輪に伝達されるようになっている。
また、エンジン1は、シリンダヘッド10に接続される吸気マニホールド11aを有している。吸気マニホールド11aの下流側は、気筒5の数に合わせて複数に分岐され、各気筒5の吸気ポートにそれぞれ接続されている。さらに、吸気マニホールド11aの上流には、吸気管が接続されており、この吸気管内には、第1吸気通路60および第2吸気通路61が形成されている。第2吸気通路61は、空気の吸入方向で、第1吸気通路60よりも下流に位置している。ここで、吸気マニホールド11a、第1吸気通路60および第2吸気通路61は、本発明に係る吸気通路を構成する。
第1吸気通路60の上流には、エアクリーナ62が設けられている。エアクリーナ62は、第1吸気通路60に吸入される前の常温の空気を浄化するようになっている。また、エンジン1は、過給機としてのターボチャージャ63を備えている。
ターボチャージャ63は、タービン64およびコンプレッサ65を有している。タービン64は、排気マニホールド12aと、排気管45との間に設けられている。コンプレッサ65は、第1吸気通路60と第2吸気通路61との間に設けられている。このターボチャージャ63は、第1吸気通路60から吸入した空気を、圧縮して第2吸気通路61へ吐出するようになっている。
図1および図2に示すように、ターボチャージャ63の内部には、両端にコンプレッサホイール90およびタービンホイール86を有する回転軸70が配置されている。回転軸70は、センターハウジング52に収納されており、フルフロートタイプの一対のベアリング53を介してセンターハウジング52に回転可能に保持されている。なお、ベアリングのタイプはこれに限定されない。
コンプレッサホイール90は、センターハウジング52の一端に結合されたコンプレッサハウジング66に収納されている。コンプレッサハウジング66は、円板形状の壁部67、円筒形状のスリーブ68、外壁69を相互に固定して構成されている。また、タービンホイール86は、センターハウジング52の他端に結合されたタービンハウジング54に収納されている。なお、コンプレッサハウジング66は、鋳造により一体的に形成されていてもよい。
コンプレッサホイール90とスリーブ68との間には、通路71が形成されている。この通路71は、上流端が第1吸気通路60に開口するとともに、上流から下流に進むにしたがい、空気の流通面積が狭められている。
スリーブ68に形成された壁面68aと、壁部67に形成された壁面67aとの間には、回転軸70の半径方向で外側に向けて延ばされた通路としてのデフューザ72が形成されている。デフューザ72は、回転軸70の軸線に沿った方向の平面断面内で、その開口幅が一定に構成されている。このデフューザ72の上流端は、通路71の下流端に接続されている。デフューザ72の下流端は、外壁69に形成された通路69aに連通しており、通路69aは、第2吸気通路61の上流端に連通している。
ターボチャージャ63は、排気マニホールド12aから排気管45へ排出される排気ガスの運動エネルギーにより、タービン64のタービンホイール86が駆動されるようになっている。タービンホイール86のトルクは、回転軸70を介してコンプレッサホイール90に伝達される。コンプレッサ65は、コンプレッサホイール90が回転すると、第1吸気通路60から第2吸気通路61へ供給される空気を圧縮するようになっている。つまり、ターボチャージャ63の過給圧は、コンプレッサホイール90の回転速度に応じた空気圧となる。
また、本実施の形態におけるターボチャージャ63は、第2吸気通路61の過給圧を可変ノズル機構により変更可能な周知の可変容量型の過給機により構成されていてもよい。以下、ターボチャージャ63が可変容量型の過給機により構成されている場合を例に説明する。
可変ノズル機構は、タービンハウジング54のセンターハウジング52寄りに配設されている。可変ノズル機構は、タービンホイール86への排気流入部に配置された複数のノズル86aと、ノズル86aを軸55を介して揺動可能に保持するノズルプレート56と、各軸55の端部に固定されたアーム57を介して軸55を回転させるユニゾンリング58と、を有している。ユニゾンリング58が回転されると、ユニゾンリング58と係合しているアーム57が軸55を中心にして揺動され、軸55の回動によってノズル86aの開度が変わる。ユニゾンリング58は、リンク59を介してターボチャージャ63の外部から回転されるようになっており、リンク59の回動軸59aの端部に固定されたアーム59bを外部のアクチュエータ87により揺動させることで、アーム59bと係合するユニゾンリング58を回転させることができる。
ノズル86aは、排気マニホールド12aから排出された排気ガスをタービンホイール86に向けて噴射するようになっている。ここで、ノズル86aの開度とは、排気ガスが通る通路の断面積を意味する。
ターボチャージャ63は、アーム59bの動作がアクチュエータ87により制御されて、ノズル86aの開度が変化するようになっている。ターボチャージャ63は、ノズル86aの開度が狭くなるほど、タービンハウジング54を流れる排気ガスの流速が上昇するようになっている。
アクチュエータ87は、空気圧、油圧あるいは電磁力などの動力を調整して、アーム59bを動作するようになっている。アクチュエータ87は、例えば、空気圧室の空気圧または油圧室の油圧により、可動部材であるピストンが動作するようになっている。一方、動力として電磁力を用いる場合には、アクチュエータ87は、例えばソレノイドにより構成される。このように、ターボチャージャ63のノズル86aの開度が変更されると、タービンハウジング54を通る排気ガスの流速が変化する。この流速の変化に応じて排気ガスの運動エネルギーが変化するため、タービンホイール86およびコンプレッサホイール90の回転速度が変化し、コンプレッサ65の実際の過給圧が変更されるようになっている。つまり、ノズル86aは可変ノズルを構成する。
さらに、第2吸気通路61には、空気の吸入方向で上流から下流に沿って、インタークーラ73およびスロットルバルブ18が設けられている。インタークーラ73は、エンジン1を冷却する冷却水と、吸入空気との間で熱交換を行うことにより、吸入空気を冷却し、その空気の密度を上げるようになっている。
スロットルバルブ18は、吸気マニホールド11aに吸入される吸入空気量を調整するようになっており、その開度を無段階に調整することが可能な電子制御式の開閉弁により構成されている。ECU100は、スロットルバルブ18の図示しないスロットルモータを制御して吸入空気の流路面積を変更し、吸入空気の供給量を調節するようになっている。
また、エンジン1においては、燃焼室7から、シリンダとピストンの間の隙間を通り、クランクケース内に向けて、未燃焼の混合気や燃焼済みの燃焼ガス等を含んだブローバイガスが漏れ出る。そこで、エンジン1は、エンジンオイルの劣化防止等のために、クランクケース内を強制的に換気するPCV(Positive Crankcase Ventilation)方式のブローバイガス還流装置48を備えている。
ブローバイガス還流装置48は、図1に示すように、一端がシリンダヘッド10に接続され、他端が第1吸気通路60に接続されるブローバイガス還流経路74を有しており、ブローバイガスを第1吸気通路60に還流するようになっている。ブローバイガス還流経路74は、第1吸気通路60において、コンプレッサ65よりも上流で、かつ、EGR通路79の接続部分よりも下流に接続されている。ここで、本実施の形態に係るブローバイガス還流装置48およびブローバイガス還流経路74は、本発明に係る第2の還流部および第2の還流通路をそれぞれ構成する。
エンジン1は、各気筒5の燃焼室7に接続された排気マニホールド12aを有しており、燃焼室7で発生した排気ガスは、排気ポートを経由して排気マニホールド12aに排出される。排気マニホールド12aには、排気管45がタービン64を介して接続されている。排気管45は、内部に排気通路43が形成されている。また、排気マニホールド12aは、排気通路の一部を構成している。
エンジン1は、さらに、高圧EGR装置30を備えている。高圧EGR装置30は、排気マニホールド12a内の排気ガスの一部を、排気管45を介さずに吸気マニホールド11aに還流させるようになっている。高圧EGR装置30は、各気筒5の燃焼室7へ排気ガスを還流することにより、燃焼室7の燃焼温度を低下させ、これによってエンジン1におけるNOx発生量を低減させるようになっている。
高圧EGR装置30は、吸気マニホールド11aと排気マニホールド12aとを連通するEGR通路34を有している。このEGR通路34には、EGRガスの流量を制御するEGRバルブ32が設けられている。EGRバルブ32は、例えば、EGRバルブ駆動手段や弁体などを有する公知のバルブにより構成されている。EGRバルブ駆動手段は、例えば、ステップモータやDCモータにより構成されている。
EGRバルブ32は、EGRバルブ駆動手段への通電を制御することにより弁体が動作して、流路面積が変更されるようになっている。高圧EGR装置30は、EGRバルブ32の開度を変更することによって、EGR通路34を介して吸気マニホールド11aに還流される排気(以下、高圧EGRガスという)の流量を調節することができる。つまり、高圧EGR装置30は、高圧EGRガスの還流経路(HPL:High Pressure Loop)を構成している。ここで、本実施の形態に係る高圧EGR装置30およびEGR通路34は、本発明に係るもう一つの還流部およびもう一つの還流通路をそれぞれ構成する。また、本実施の形態に係るECU100およびEGRバルブ32は、本発明に係る流量制御部を構成する。
また、排気管45におけるタービン64の下流側には、排気浄化装置としての酸化触媒コンバータ(CCO:Catalytic Converter Oxidation)75が設けられている。酸化触媒コンバータ75は、排気ガス中に含まれるHC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)を酸化して浄化するようになっている。
また、排気管45における酸化触媒コンバータ75よりも下流には、パティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)76が設けられている。パティキュレートフィルタ76は、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集し、大気中に放出されるエミッションの量を低減するようになっている。
さらに、排気管45には、パティキュレートフィルタ76よりも下流側に排気絞り弁77が設けられている。排気絞り弁77は、図示しないスロットルモータにより排気ガスの流通面積が調整されるようになっている。そして、排気絞り弁77は、排気ガスの流通面積を調整することにより、大気中に排出される排気ガスの流量を制御するようになっている。
さらに、本実施の形態に係るエンジン1は、排気管45を通る排気ガスの一部を、第1吸気通路60へ還流させる低圧EGR装置78を備えている。低圧EGR装置78は、排気管45を流れる排気ガスの一部を第1吸気通路60に還流させるEGR通路79を有している。また、低圧EGR装置78は、EGR通路79を通る排気ガスの流量を制御するEGRバルブ80を有している。EGR通路79の一端は、排気管45におけるパティキュレートフィルタ76と排気絞り弁77との間に接続されている。EGR通路79の他端は、第1吸気通路60に接続するブローバイガス還流経路74の接続部よりも、上流であっても下流であってもよい。つまり、本実施の形態に係る低圧EGR装置78およびEGR通路79は、本発明に係る第1の還流部および第1の還流通路をそれぞれ構成する。
また、EGRバルブ80は、従来から知られているものと同様に、EGRバルブ駆動手段や弁体などを有している。EGRバルブ駆動手段は、ステップモータやDCモータなど公知の駆動手段により構成されている。EGRバルブ80は、ECU100によってEGRバルブ駆動手段への通電が制御されることにより、弁体が動作し流路面積が変更されるようになっている。低圧EGR装置78は、第1吸気通路60と排気管45との圧力差により、排気管45の排気ガスが第1吸気通路60に還流されるようになっている。低圧EGR装置78は、EGRバルブ80の開度を変更することによって、EGR通路79を介して第1吸気通路60に還流される排気(以下、低圧EGRガスという)の流量を調節することができる。
つまり、低圧EGR装置78は、低圧EGRガスの還流経路(LPL:Low Pressure Loop )を構成している。そして、ECU100は、EGRバルブ80の開度を制御することにより、EGR通路79を経由して第1吸気通路60に還流される排気ガスの流量を調節することにより、コンプレッサ65に吸入される空気やブローバイガスなどの混合気の温度を変更するようになっている。つまり、本実施の形態に係るEGRバルブ80およびECU100は、本発明に係る温度制御部を構成する。また、本実施の形態に係るECU100は、本発明に係る制御部を構成する。
ここで、EGR通路79内の排気ガス圧は、EGR通路34内の排気ガス圧よりも低圧である。これは、燃焼室7から排出された排気ガスが、タービン64を回転、エネルギーを回収され、さらに、酸化触媒コンバータ75やパティキュレートフィルタ76などを通過することにより低温低圧となった状態でEGR通路79を通るからである。
さらに、EGR通路79におけるEGRバルブ80と排気管45との間には、EGRクーラ81が設けられている。EGRクーラ81は、EGR通路79を介して第1吸気通路60に還流される排気ガスを冷却するようになっている。具体的には、EGRクーラ81は、エンジン1を冷却する冷却水と、排気ガスとの間で熱交換を行うことにより、排気ガスを冷却するようになっている。
エンジン1の冷却水は、不図示のウォーターポンプから吐出され、エンジン1のウォータージャケットに供給される。また、冷却水の一部は、ラジエータに送られて冷却された後、ウォーターポンプに戻るようになっている。そして、ECU100は、EGRクーラ81に供給される冷却水の流量および水温を調節することにより、冷却対象となる排気ガスの温度を調節するようになっている。例えば、ECU100は、EGRクーラ81に供給される冷却水の温度を低下させるか、または冷却水の流量を増加することにより、排気ガスの温度を低下するようになっている。
図3に示すように、エンジン1が搭載される車両は、本発明に係る制御装置の一部を構成するECU100を備えている。また、車両には、冷却水温センサ21、吸気温センサ23、圧力センサ24、A/Fセンサ25、排気温センサ26、アクセル開度センサ29、スロットル開度センサ27、外気温センサ38、バルブ開度センサ82ないし84、過給圧センサ85および車速センサ88が設けられている。
車両には、さらにエンジン1のクランクシャフトの回転数を検出し、エンジン回転数として出力するエンジン回転数センサ37および吸入空気量に応じた検出信号を出力するエアフロメータ22が設置されている。
バルブ開度センサ82は、EGRバルブ32の開度に応じた検出信号をECU100に出力する。バルブ開度センサ83は、EGRバルブ80の開度に応じた検出信号をECU100に出力する。バルブ開度センサ84は、排気絞り弁77の開度に応じた検出信号をECU100に出力する。冷却水温センサ21は、エンジン1のシリンダブロックに形成されたウォータージャケットに配置され、エンジン1の冷却水温に応じた検出信号をECU100に出力する。吸気温センサ23は、吸気マニホールド11aに配置され、吸入空気の温度に応じた検出信号をECU100に出力する。圧力センサ24は、吸気マニホールド11aに配置され、吸気圧に応じた検出信号をECU100に出力する。過給圧センサ85は、ターボチャージャ63とインタークーラ73との間における空気圧、つまり、過給圧P3に応じた検出信号をECU100に出力する。
A/Fセンサ25は、排気管45における酸化触媒コンバータ75よりも上流に配置され、排気ガス中の酸素濃度に応じた検出信号をECU100に出力する。排気温センサ26は、排気管45におけるパティキュレートフィルタ76よりも下流に配置されており、排気ガスの温度に応じた検出信号をECU100に出力する。外気温センサ38は、外気温を表す信号をECU100に出力する。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103およびバックアップRAM104などを備えている。
ROM102には、インジェクタ15による燃料噴射量および燃料噴射時期、スロットルバルブ18の開度、EGRクーラ81に供給される冷却水の温度や流量などを制御するための各種制御プログラムや、これらの各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。また、ROM102には、低圧EGR装置78、高圧EGR装置30による排気ガスの還流量および還流割合を算出し、算出結果に基づいて、EGRバルブ32、80の開度、排気絞り弁77の開度を制御するプログラムおよびマップが記憶されている。さらに、ROM102には、ターボチャージャ63による過給圧を制御するために、アクチュエータ87を制御するプログラムおよびマップなどが記憶されている。
CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行するようになっている。また、RAM103は、CPU101による演算結果や、上述した各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するようになっている。バックアップRAM104は、不揮発性のメモリにより構成されており、例えばエンジン1の停止時に保存すべきデータ等を記憶するようになっている。CPU101、ROM102、RAM103およびバックアップRAM104は、バス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105および出力インターフェース106と接続されている。
入力インターフェース105には、上述した各センサから検出信号が入力される。また、出力インターフェース106からは、スロットルバルブ18、EGRバルブ32、80、インジェクタ15、EGRクーラ81および排気絞り弁77を制御する信号が出力される。
次に、本実施の形態における車両の動作を説明する。
本実施の形態における車両は、エアクリーナ62および第1吸気通路60を介して空気を吸入すると、ターボチャージャ63により圧縮し、第2吸気通路61およびインタークーラ73を介して吸気マニホールド11aに供給する。エンジン1においては、インジェクタ15から燃料が噴射されて、燃焼室7で燃焼する。
また、エンジン1の燃焼室7から排気マニホールド12aへ排出された排気ガスの一部は、排気管45内に排出され、酸化触媒コンバータ75およびパティキュレートフィルタ76により浄化された後、排気絞り弁77およびメインマフラを介して大気中に放出される。
また、排気マニホールド12aに排出された排気ガスの一部は、高圧EGR装置30により吸気マニホールド11aに還流される。また、酸化触媒コンバータ75およびパティキュレートフィルタ76を通過した排気ガスの一部は、低圧EGR装置78により第1吸気通路60に還流する。また、燃焼室7から漏れたブローバイガスは、ブローバイガス還流経路74を介して第1吸気通路60に還流される。したがって、コンプレッサ65に吸入される空気とは、排気ガスおよびブローバイガスを含んだ混合気を意味する。
一方、ECU100は、各種センサから入力される信号、予め記憶されているプログラムおよびマップを用いて、以下に述べるような各種制御を実行する。
ECU100は、車速およびアクセル開度の検出信号、予め記憶されているマップを用いて、車両における駆動力の目標値を求める。また、ECU100は、駆動力の目標値や動力伝達装置の変速比などに基づいて目標エンジントルクを算出し、インジェクタ15による燃料噴射量の目標値、インジェクタ15による燃料噴射時期の目標値、エンジン1の吸気マニホールド11aにおける吸入空気量の目標値を求める。出力インターフェース106は、インジェクタ15による燃料噴射量の目標値、インジェクタ15による燃料噴射時期の目標値に基づいて、インジェクタ15の開度および開放時期を制御する信号を出力する。
さらに、ECU100は、エンジン1における吸入空気量の目標値に基づいて、新気吸入空気量の目標値および排気ガスの還流量の目標値を求める。ここで、新気吸入空気量の目標値とは、エアクリーナ62を介して吸気マニホールド11aに供給される吸入空気量の目標値を意味し、排気ガスの還流量の目標値とは、EGR通路34および79を介して吸気マニホールド11aに還流される排気ガス量の総量の目標値を意味する。
また、ECU100は、吸気マニホールド11aに還流される排気ガスの還流量に対し、高圧EGR装置30と低圧EGR装置78とにおいて分担される排気ガスの還流量の割合を求める。
具体的には、ECU100は、高圧EGR装置30および低圧EGR装置78による排気ガスの還流量の分担状態を求めるための還流モード切り換えマップをROM102に記憶している。還流モード切り換えマップは、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上である場合に、排気ガスの還流経路を選択するためのものであり、例えば、エンジン回転数およびエンジン負荷をパラメータとして、高圧EGR装置30および低圧EGR装置78における排気ガスの還流量の分担状態を定めている。コンプレッサ65の圧縮効率については後述する。
この還流モード切り換えマップには、高圧EGR装置30、低圧EGR装置78の両方を使用して、排気ガスを還流させる第1モード、低圧EGR装置78を使用せず高圧EGR装置30を使用して排気ガスを還流させる第2モード、高圧EGR装置30を使用せず低圧EGR装置78を使用して排気ガスを還流させる第3モードが設定されている。各モードは、エンジン回転数およびエンジン負荷(スロットル開度)をパラメータとして設定されている。
そして、ECU100は、排気ガスを還流する場合には、還流モード切り換えマップを参照し、第1モード、第2モードおよび第3モードのうちいずれかの制御を実行する。なお、還流モード切り換えマップは周知であるため、図示を省略する。
さらに、ECU100は、高圧EGR装置30および低圧EGR装置78における排気ガスの還流量の分担割合に基づいて、EGRバルブ32、80の目標開度を算出する。また、ECU100は、低圧EGR装置78における排気ガスの還流の分担状態に基づいて、排気絞り弁77の開度を制御する。ここで、ECU100は、低圧EGR装置78における還流量の分担割合が大きいほど、排気絞り弁77の開度を狭くする。
また、ECU100は、目標エンジン回転数および目標エンジントルクに基づいて目標過給圧を算出する。そして、ECU100は、算出した目標過給圧に基づいてノズル86aの開度を変更することにより、ターボチャージャ63の過給圧を制御する。
この場合、ECU100は、ノズル86aの開度を制御するにあたり、目標過給圧と実際の過給圧との偏差を検出し、その偏差をなるべく小さくするように、アクチュエータ87に対する制御値をフィードバック制御する。アクチュエータ87の制御値としては、アーム59bを動作させる油圧、空気圧、電磁力などが用いられる。
本実施の形態においては、ECU100は、フィードバック制御として、比例動作(Proportional)、積分動作(Integral)および微分動作(Differential)を含むPID制御を実行する。
ところで、エンジン1は、ブローバイガス還流経路74により、ブローバイガスを第1吸気通路60に還流するようになっている。そして、排気ガスおよびブローバイガスを含む混合気は、コンプレッサ65により圧縮すると温度が上昇する。すると、コンプレッサ65内では、流入するブローバイガス中のオイルが蒸発する。オイルが蒸発すると、不溶成分(スーツ)が高粘度化し、その不溶成分を含むオイルがデフューザ72に付着して堆積する可能性がある。
具体的には、ブローバイガス中のオイルが壁面67a、68aに付着した後に、高温の排気ガスによりオイル成分が蒸発すると、高粘度化したデポジットとなる。壁面67a、68aに高粘度化したデポジットが堆積すると、デフューザ72の流通面積が狭められて、圧縮効率が低下する可能性がある。ここで、コンプレッサ65の圧縮効率は、コンプレッサホイール90の回転速度と、コンプレッサホイール90の回転によって得られる圧縮空気量との関係により表される値である。コンプレッサ65の圧縮効率が低下すると、コンプレッサホイール90の回転速度が変化しないにも関わらず、圧縮空気量が減少して過給圧が低下する。
そこで、ECU100は、以下の2つの手法によりコンプレッサ65の圧縮効率を判断する。第1の判断手法は、目標過給圧P3tgtと、過給圧センサ85の検出信号から求めた実際の過給圧P3との偏差からコンプレッサ65の圧縮効率を判断するものである。この場合、ECU100は、目標過給圧P3tgtと、実際の過給圧P3との偏差が、予め定められた所定値(所定偏差)以上であると、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値(所定効率)よりも低下していると判断する。また、所定値(所定偏差)は、コンプレッサ65の圧縮効率が低下しているか否かを判断するための閾値として、ROM102に予め記憶されている。
また、第2の判断手法は、実際の過給圧P3を、目標過給圧P3tgtに近づけるフィードバック制御を行うにあたり、アーム59bを動作させる制御値のうち、学習制御量を表すI項が所定値以上大きくなったときに、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値(所定効率)よりも低下していると判断するものである。このように、本実施の形態に係るECU100および過給圧センサ85は、本発明に係る圧縮効率判断部を構成する。
そして、ECU100は、上記第1および第2の判断手法により、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値(所定効率)よりも低下していると判断した場合には、壁面67a、68aに付着しているデポジットを掃除して除去するデポジット掃除モードを実行する。このデポジット掃除モードは、EGR通路79を通る排気ガスの還流割合を、所定値以下に減少させる第1掃除モードと、EGR通路79を通りコンプレッサ65の吸入側に還流する排気ガスの温度を低下させる第2掃除モードと、を含んでいる。
第1掃除モードにおいては、ECU100は、EGR通路79を介してコンプレッサ65に還流する排気ガスの量を減少させる制御、またはEGR通路79を介してコンプレッサ65へ排気ガスが還流することを抑制する制御を実行するようになっている。つまり、ECU100は、第1掃除モードにおいて、還流モード切り換えマップで設定されているモードに関わりなく、EGRバルブ80を制御して、EGR通路79を通る排気ガス量を減少させるか、または排気ガスの還流経路をEGR通路79からEGR通路34に切り換える。
EGR通路79を通る排気ガス量の減少量は、エンジン回転数およびエンジン負荷(スロットル開度)をパラメータとして予め設定されている。ここで、この減少量は、アクチュエータ87に対する制御値に応じて補正されてもよい。あるいは、この減少量は、一定値として予め定められていてもよい。
また、ECU100は、第1掃除モードの制御を行うにあたり、EGR通路79を介してコンプレッサ65に還流される排気ガスの減少分を、EGR通路34を介して吸気マニホールド11aに還流される排気ガス量を増加して補うように、EGRバルブ32の開度を制御するようになっている。EGR通路34における排気ガス量の増加量とEGRバルブ32の開度との対応は、予めマップにより定められている。また、この増加量は、アクチュエータ87に対する制御値に応じて補正されてもよい。あるいは、この増加量は、一定値として予め定められていてもよい。
第1掃除モードは、コンプレッサ65の圧縮効率が、所定値よりも低下していると判断された時点から、予め定められた一定時間、または車両が一定距離を走行する間、行われるようになっている。
なお、ECU100は、還流モード切り換えマップに基づく制御から、第1掃除モードに切り換えた後も、吸気マニホールド11aに還流される排気ガス量の目標値を満たすように、EGR通路79またはEGR通路34を介して吸気マニホールド11aに還流される実際の排気ガス量を制御するようになっている。つまり、本実施の形態におけるECU100およびEGRバルブ32は、本発明に係る流量制御部を構成する。
このように、ECU100が第1掃除モードの制御を実行すると、コンプレッサ65に吸入される排気ガス量が減少するため、コンプレッサ65内の混合気の温度上昇が抑制される。これにより、コンプレッサ65内を通るオイルの蒸発が抑制されて、液体としてデフューザ72を通過するオイルの量が多くなり、そのオイルによりデポジットが洗い流される。したがって、デフューザ72に堆積しているデポジットを除去することができ、コンプレッサ65の圧縮効率が高められる。
第1掃除モードの制御は、図4のタイムチャートに示すように実行される。このタイムチャートにおいて、横軸は時間を表し、縦軸はコンプレッサ効率を表している。ECU100は、時刻t1以前に低圧EGR装置78を使用する制御を実行している。このとき、排気ガスは、EGR通路34およびEGR通路79の両方を介して吸気マニホールド11aに還流する。また、時刻t1以前においては、デフューザ72に堆積するデポジット量が増加しており、コンプレッサの圧縮効率(コンプレッサ効率)が低下する傾向にある。
ECU100は、時刻t1でコンプレッサの圧縮効率が所定値よりも低下したと判断すると、EGR通路34を介して排気ガスを吸気マニホールド11aに還流させるとともにEGR通路79を遮断する、低圧EGR装置78を使用しない制御を実行する。これにより、時刻t1以降は、オイルによりデポジットが除去されて、コンプレッサ65の圧縮効率が上昇している。そして、ECU100は、時刻t2でコンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上まで回復したと判断すると、低圧EGR装置78を使用する制御を実行する。
次に、第2掃除モードについて説明する。ECU100は、第2掃除モードとして、EGRクーラ81で排気ガスを冷却する冷却水の流量を多くすること、およびEGRクーラ81で排気ガスを冷却する冷却水の温度を低下させることのうち、少なくとも一方の制御を実行する。EGRクーラ81への冷却水の流量の調整は、例えば、ECU100が、EGRクーラ81の上流側あるいは下流側に設置されるバルブの開度を制御することにより行われる。また、冷却水の温度の低下は、例えば、ラジエータに供給される冷却水の割合を増加することにより実現される。
第2掃除モードの制御が行われると、コンプレッサ65に吸入される混合気の温度が低下し、第1掃除モードを実行したときと同様の作用により、デフューザ72に付着しているデポジットが洗い流され、コンプレッサ65の圧縮効率が向上する。なお、ECU100は、第1掃除モードおよび第2掃除モードの制御を併せて実行してもよい。
また、ECU100は、第1掃除モードの制御および第2掃除モードの制御の少なくとも一方を行った後、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上まで回復したか否かを判断する。そして、ECU100は、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上まで回復したと判断すると、所定時間が経過したか否かにかかわらず、実行中の第1掃除モードまたは第2掃除モードの制御を全て止める。
また、ECU100は、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下したことを条件として、PID制御の一部を補正するようになっている。以下、図5を参照してこの補正について説明する。図5のタイムチャートにおいて、横軸は時間を、縦軸はデフューザ72に付着するデポジット量およびI項の値を表している。このデポジット量は、ECU100により判断されるコンプレッサ効率から、間接的に求めたものである。ECU100は、時刻t1以前に車両を通常走行させる制御を実行している。通常走行とは、吸気マニホールド11aに排気ガスを還流させるために、還流モード切り換えマップに基づく制御を行っていることを意味する。また、時刻t1以前は、デポジット量およびPID制御におけるI項の値が増加傾向にある。
そして、ECU100は、時刻t1でコンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下したと判断すると、掃除モードの実行を開始する。この掃除モードは、デフューザ72のデポジットを除去するデポジット掃除モードを意味する。また、ECU100は、時刻t1以降において学習制御を行っていない。さらに、ECU100は、時刻t2においてコンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上に回復したと判断すると、掃除モードから通常走行を行う制御に切り換える。
そして、ECU100は、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上まで回復した時刻t2以降に、学習制御無しから学習制御ありに変更する。また、ECU100は、時刻t2で学習制御を開始する際に、PID制御に用いるI項の値として、実線で示すように、時刻t1以前のI項の値から所定量減らした値を使用するようになっている。
また、時刻t2においてI項の値を所定値減らさない場合の比較例を破線により示している。この比較例は、制御値のI項の変化量と、コンプレッサの過給圧の変化量との間に差が生じると、この制御値のI項が、デポジットが付着する以前の正常な状態に戻るのに時間を要することを表している。
なお、ターボチャージャ63が可変容量型のターボチャージャでない場合には、ECU100は、上記PID制御およびPID制御に対する補正を省略する。
次に、本実施の形態に係る制御装置の動作について説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係る制御装置の制御を説明するためのフローチャートである。なお、以下の処理は、ECU100を構成するCPU101によって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPU101によって処理可能なプログラムを実現する。
まず、ECU100は、エンジン負荷およびエンジン回転数を検出するとともに、還流モード切り換えマップで定めた通常モードに基づく制御を実行する(ステップS1)。ここでは、通常モードのうちの第1モードに基づき、排気ガスをEGR通路34およびEGR通路79を介して還流しているものとする。
そして、ECU100は、上述した方法でコンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下しているか否かを判断する(ステップS2)。ECU100は、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下していると判断すると(ステップS2でYES)、ステップS3に移行し、デポジット掃除モードを実行する。これにより、デフューザ72に付着しているデポジットがオイルにより洗い流されて、コンプレッサ65の圧縮効率が向上する。
一方、ECU100は、ステップS2において、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値以上であると判断すると(ステップS2でNO)、ターボチャージャ63が可変容量型であるか否かに関わりなく、STARTに移行する。
次に、ECU100は、ステップS3においてデポジット掃除モードを実行すると、ステップS4に移行し、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値まで回復したか否かを判断する。ECU100は、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値まで回復していないと判断したときは(ステップS4でNO)、ステップS3に戻る。
一方、ECU100は、コンプレッサ効率が所定値まで回復していると判断した場合には(ステップS4でYES)、ステップS5に移行し、PID制御のI項を所定値減らす制御を実行した後に、STARTに移行する。
なお、ECU100は、ターボチャージャ63が可変容量型のターボチャージャでない場合には、ステップS4でYESと判断すると、ステップS5の制御を行うことなくSTARTに移行する。
以上のように、本実施の形態における制御装置は、コンプレッサ65にデポジットが付着してコンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下した場合には、コンプレッサ65に吸入される混合気の温度を低下させることができる。これにより、温度が低下した混合気に含まれるオイルは蒸発することがなく液体の状態でコンプレッサ65内を通過する。このため、コンプレッサ65に付着しているデポジットをオイルにより洗い流すことができ、コンプレッサ65の圧縮効率が回復する。また、コンプレッサ65に付着しているデポジットを除去することができるので、デポジットを除去するために別部材を設ける必要はない。したがって、本実施の形態における制御装置は、部品点数の増加を抑制して、製造コストの上昇を抑制できる。
また、本実施の形態における制御装置は、EGR通路79を介してコンプレッサ65に吸気される排気ガスの流量を減少させて、コンプレッサ65により圧縮される混合気の温度を低下することができる。
また、上述した特許文献2に記載の排気循環装置においては、タービン側のデポジットを焼却するために還流される排気ガスが低減される。そのため、必要な排気ガスの還流量が維持されず、排気エミッションが悪化する可能性があった。これに対し、本実施の形態における制御装置は、EGR通路79を介して還流される排気ガスの流量を減少しても、EGR通路34を介して還流される排気ガスの流量を増加できるので、燃焼室7に還流される排気ガスの流量を維持し、排気エミッションが悪化することを抑制できる。
また、本実施の形態における制御装置は、EGR通路79を通る排気ガスを、エンジン1を冷却する冷却水との熱交換により冷却するので、コンプレッサ65に吸入される混合気の温度を低下させることができる。
また、本実施の形態における制御装置は、コンプレッサ65に吸入される混合気の温度を低下させて、コンプレッサ65に付着しているデポジットを除去した後、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値まで回復したことを条件として、フィードバック制御における学習制御量を減少させることができるので、コンプレッサ65の目標過給圧に対する実際の過給圧の追従性を向上できる。
また、本実施の形態における制御装置は、コンプレッサ65が空気を圧縮するときの目標過給圧と実際の過給圧との偏差に基づいて、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下したか否かを判断することができる。
また、本実施の形態における制御装置は、コンプレッサ65における目標過給圧と実際の過給圧との偏差を小さくするために行われるノズル86aの開度に対するフィードバック制御の学習制御量が所定値以上であることを条件として、コンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下したと判断することができる。
なお、以上の説明においては、ECU100が、通常モードにおいて第1モードに基づく制御を実行する場合について説明したが、以下に図7を参照して説明するように、通常モードにおいて第3モードに基づく制御を実行してもよい。この場合、ECU100は、図7に示す時刻t1以前に、第3モードに基づき低圧EGR装置78により排気ガスを還流させる制御(LPL−EGR)を行っている。この第3モードでは、EGR通路79を介して排気ガスをコンプレッサ65の吸入側に還流する一方、EGR通路34を介して吸気マニホールド11aに排気ガスを還流することはない。
そして、ECU100は、時刻t1でコンプレッサ65の圧縮効率が所定値よりも低下すると、低圧EGR装置78および高圧EGR装置30により排気ガスを還流させる掃除モード(HPL−EGR、LPL−EGR)に切り換える。ここで、ECU100は、第3モードから掃除モードに切り換えた後も、実際の排気ガスの還流量が、必要EGR量(還流する排気ガスの目標値)を満たすように、EGRバルブ32、80の開度を制御する。したがって、エンジン1の排気エミッションが悪化(増加)することを回避できる。
また、以上の説明においては、ECU100は、ターボチャージャ63の過給圧を制御する際にPID制御を実行する場合について説明したが、これに限定されず、ECU100は、PI制御など学習制御量を用いるフィードバック制御を実行すればよい。
また、以上の説明においては、エンジン1がディーゼルエンジンである例について説明したが、エンジン1は、ガソリンエンジン、LPGエンジン、メタノールエンジンなどであってもよい。例えば、ガソリンエンジンにEGR装置を設けると、エンジンの空気の吸入時におけるポンピングロスを低減させ、燃料消費率を低減することができる。
また、本発明の実施形態における制御装置は、エンジン1として、燃料が燃焼室7に直接噴射される筒内噴射式エンジンを説明しているが、エンジン1は、吸入ポートに燃料が噴射されるように構成されたエンジンであってもよい。
また、本発明の実施形態における制御装置は、エンジンおよび電動モータが車輪に動力伝達可能に接続されている車両、つまり、ハイブリッド車両に適用されてもよい。
また、本発明の実施の形態におけるLPL−EGRシステムのレイアウトは一例である。例えば、タービン64を通過した排気ガスに対する触媒として、SCR(Selective Catalytic Reduction)、NSR(NOx Storage Reduction)などを使用してもよい。また、図2に示した遠心式圧縮器(ターボチャージャ63)の構成は一例であり、この構成に限定されるものではない。
以上のように、本発明に係る制御装置は、ターボチャージャおよびブローバイガス還流装置を有する車両において、別部材を設けることなく、ターボチャージャのコンプレッサに付着したデポジットを除去できるという効果を奏するものであり、内燃機関の制御装置に有用である。