ところが、上記特許文献1の技術では、天井の高い施設とは異なり、一般家庭など狭小な場所では使用できない。また、介助者がいないときには、立位解除ができず、認知症患者にはそのまま適用することができない。すなわち、パラシュートハーネスを低く設定したのでは、車いすでよくみられるように、利用者が座ったまま足を使って歩くようになってしまう。一方、パラシュートハーネスを高く設定したのでは、利用者が座り込もうとして足を縮めたとたん身体が宙に浮いた状態となってしまうが、認知症患者は、そのことが理解できずにじたばたする結果、身体が揺れて歩行器本体にぶつけてしまうおそれがあった。
このため、認知症患者が歩きたいという自律の意思が妨げられ、今は自立歩行が可能な人間もそのうち自ら歩くことが不可能となり、人間の第二の心臓と呼ばれる足のポンプが働かず、全身の機能低下につながっていくおそれがあった。かかる認知症患者のみならず、視覚障碍者や歩き始めた赤ちゃんなどについても、自ら歩きたいという自律心を尊重し、自分の足で自立歩行するための補助をするような歩行補助具の開発要請があった。
本発明は、上記事情に鑑みたものであり、その目的とするところは、利用者の自ら歩きたいという自律心を尊重し、自分の足で自立歩行するための補助をする歩行補助具を提供することである。
本発明は、利用者の自律心による自立歩行を促すための歩行補助具であって、車輪つきの脚部を備えかつ利用者が把持可能な第一枠体フレームと、第一枠体フレームに伸縮自在に接続されかつ利用者が座り込み可能な座部が取り付けられるとともに、車輪なしの脚部を備えた第二枠体フレームとを有し、利用者の立ち上がり動作に連動して第二枠体フレームの脚部が浮遊状態となるとともに、利用者の座り込み動作に連動して前記第二枠体フレームの脚部が接地状態となる第一ブレーキを備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、車輪つきの脚部を備えかつ利用者が把持可能な第一枠体フレームと、第一枠体フレームに伸縮自在に接続されかつ利用者が座り込み可能な座部が取り付けられるとともに、車輪なしの脚部を備えた第二枠体フレームとを有し、利用者の立ち上がり動作に連動して第二枠体フレームの脚部が浮遊状態となるとともに、利用者の座り込み動作に連動して前記第二枠体フレームの脚部が接地状態となる第一ブレーキを備えたので、その利用者が起き上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者が歩行意思を失くして休憩しようとした際には、その利用者が着座可能となるが、このときには、第二フレームの脚部が接地状態となっているので、利用者が座ったまま足を使って歩くことが防止される。
その結果、利用者の自律心による自立歩行(じりつ歩行)を促し、日々の運動量を向上させるとともに、全身運動により筋力増強と、新陳代謝の活性とを促すことにつながる。そして、利用者自身が安全に自ら運動することにより、通常必要とされる見守りが煩雑でなくなり、介護従事者等の仕事量が抑えられるなど、さらなる社会的意義も存在する。
請求項2記載の発明のように、前記座部は、利用者が装着可能なハーネスと一体形成されることが好ましい。
請求項2記載の発明によれば、前記座部は、利用者が装着可能なハーネスと一体形成されるので、その利用者が立ち上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者が歩行意思を失くして休憩しようとした際には、ハーネスがハンモックのように吊り下げられた状態となって、その利用者が着座可能となる。
ところで、各枠体フレーム内に利用者が入って歩行するには、座部が邪魔になることがあるが、従来は座部を介助者が背面側に起こしていた。しかし、これでは、立ち上がって歩行するには必ず介助者が必要となり、また各枠体フレーム内のスペースが狭いと、座部を背面側に起こしたときに、立ち上がっている利用者に干渉してしまうから、いきおい、各枠体フレームが大型化してくるといった種々の問題がある。そこで、請求項3記載の発明のように、利用者の立ち上がり動作に連動して前記座部が背面側に垂下するとともに、利用者の座り込み動作に連動して前記座部が元の位置に復帰することが好ましい。
請求項3記載の発明によれば、利用者の立ち上がり動作に連動して前記座部が背面側に垂下するとともに、利用者の座り込み動作に連動して前記座部が元の位置に復帰するので、立ち上がって歩行する際の介助者が不要となる。また、座部を背面側に垂下することにより、利用者の立ち上がり動作を阻害しなくなり、各枠体フレームの小型化が可能となる。さらに、座部の復帰動作により、利用者の座り込み時の衝撃が吸収される。
請求項4記載の発明のように、第一枠体フレームは、円環状フレームの周囲を略等分する複数箇所に車輪つきの脚部を固定したものであり、第二枠体フレームは、前記第一枠体フレームとは異なる径の円環状フレームの周囲を略等分する複数箇所に車輪なしの脚部を固定したものであることが好ましい。
請求項4記載の発明によれば、第一枠体フレームは、円環状フレームの周囲を略等分する複数箇所に車輪つきの脚部を固定したものであり、第二枠体フレームは、前記第一枠体フレームとは異なる径の円環状フレームの周囲を略等分する複数箇所に車輪なしの脚部を固定したものであるので、全ての向きへの歩行が可能となり、その歩行中に利用者がバランスを崩すことや、座り込みによる転倒事故を確実に防ぐことができる。
請求項5記載の発明のように、第二枠体フレームは、第一枠体フレームに伸縮自在に接続され、かつ利用者が着座可能な座部が取り付けられた第一補助フレームと、第一補助フレームに同軸で回転自在に接続され、かつ車輪なしの脚部を備えた第二補助フレームとを有することが好ましい。
請求項5記載の発明によれば、第二枠体フレームは、第一枠体フレームに伸縮自在に接続され、かつ利用者が着座可能な座部が取り付けられた第一補助フレームと、第一補助フレームに同軸で回転自在に接続され、かつ車輪なしの脚部を備えた第二補助フレームとを有するので、第一ブレーキや後述する第二ブレーキが利いた状態にあっても、利用者は第一枠体フレームを把持したまま身体をひねることにより、その第一枠体フレームに座部が追従して回転する結果、利用者の方向転換がしやすくなる。
請求項6記載の発明のように、各枠体フレームは、該各枠体フレームの内側に利用者を出入させる際に、開閉可能とすることが好ましい。
請求項6記載の発明によれば、各枠体フレームは、該各枠体フレームの内側に利用者を出入させる際に、開閉可能としたので、各枠体フレーム内に利用者を容易に出入させることができる。
或いは、請求項7記載の発明のように、前記第一枠体フレームは平面視で馬蹄形又はコの字状に形成されるとともに、前記第二枠体フレームは該第一枠体フレームに支持される棒状部材であることが好ましい。
請求項7記載の発明によれば、前記第一枠体フレームは平面視で馬蹄形又はコの字状に形成されるとともに、前記第二枠体フレームは該第一枠体フレームに支持される棒状部材であるので、各枠体フレーム内に利用者をさらに容易に出入させることができる。
請求項8記載の発明のように、利用者の座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキのブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えることが好ましい。
請求項8記載の発明によれば、利用者の座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキのブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えたので、利用者が座り込んだままであっても、介助者が前記ブレーキ動作を禁止して、そのトランスファー機能を活用できる。
ところで、認知症患者は障害物を認識しにくいので、例えば施設の壁などに衝突するおそれがあり、しかも、なんらかの原因でその場からの移動を阻害された場合、認知症特有のストレスによる不穏行動をとることが知られている。また、視覚障害者や歩き始めた赤ちゃんなどについても同様である。そこで、請求項9記載の発明のように、障害物を検知するセンサを設けるとともに、該センサの検知信号に応じて、第二枠体フレームの脚部を伸ばして接地状態とする第二ブレーキを備えることが好ましい。
請求項9記載の発明によれば、障害物を検知するセンサを設けるとともに、該センサの検知信号に応じて、第二枠体フレームの脚部を伸ばして接地状態とする第二ブレーキを備えたので、利用者が障害物に設定距離まで近づくと、それ以上進めなくなるロック状態となる。そこで、利用者が方向転換すると、そのロック状態が解除される。このようにして、利用者の方向転換の意思とともに、障害物から離れていくため、認知症特有のストレスなどによる不穏行動を抑制する効果が期待できる。
請求項10記載の発明のように、利用者の立ち上がり動作又は座り込み動作の回数をカウントするカウンタを備えることが好ましい。
請求項10記載の発明によれば、利用者の立ち上がり動作又は座り込み動作の回数をカウントするカウンタを備えたので、その回数などによって利用者の健康状態などが把握される。
ところで、歩行補助具は、利用者の全体重を受けるので、できるだけ頑健でなければならないが、その一方で、保管場所等を考慮して、できるだけ軽量でコンパクトであることが好ましく、さらには、利用者の起き上がり機能などを付加して、できるだけ多目的であることが好ましい。かかる要請を受けて開発された請求項11記載の発明は、利用者の自律心による自立歩行を促すための歩行補助具であって、車輪を備えかつ利用者が把持可能な枠体フレームと、枠体フレームに取り付けられかつ利用者が座り込み可能な座部と、利用者の立ち上がり動作時に枠体フレームの進行を許容するとともに、利用者の座り込み動作時に枠体フレームの進行を禁止する第一ブレーキと、利用者の立ち上がり動作回数又は座り込み動作回数をカウントするカウンタとを備え、前記枠体フレームは、利用者が把持可能な円環状第一フレームと、該円環状第一フレームと同径の車輪付き円環状第二フレームとを支柱を介して備えたものであり、前記座部は、リードを介して前記枠体フレームに取り付けられ、前記第一ブレーキは、利用者の立ち上がり動作に連動して車輪の回転を許容するとともに、利用者の座り込み動作に連動して車輪の回転を規制するものであることを特徴とするものである。
請求項11記載の発明によれば、車輪を備えかつ利用者が把持可能な枠体フレームと、枠体フレームに取り付けられかつ利用者が座り込み可能な座部と、利用者の立ち上がり動作時に枠体フレームの進行を許容するとともに、利用者の座り込み動作時に枠体フレームの進行を禁止する第一ブレーキと、利用者の立ち上がり動作回数又は座り込み動作回数をカウントするカウンタとを備え、前記枠体フレームは、利用者が把持可能な円環状第一フレームと、該円環状第一フレームと同径の車輪付き円環状第二フレームとを支柱を介して備えたものであり、前記座部は、リードを介して前記枠体フレームに取り付けられ、前記第一ブレーキは、利用者の立ち上がり動作に連動して車輪の回転を許容するとともに、利用者の座り込み動作に連動して車輪の回転を規制するものであるので、頑健、軽量かつコンパクトな構成でもって、その利用者が起き上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者が歩行意思を失くして休憩しようとした際には、その利用者が着座可能となるが、このときには、第二円環状フレームの車輪の回転が規制されるので、利用者が座ったまま足を使って歩くことが防止される。さらに、利用者の立ち上がり動作回数又は座り込み動作回数をカウントするカウンタを備えたので、その回数などによって利用者の健康状態などが把握される。
その結果、利用者の健康状態などを把握しながら、利用者の自律心による自立歩行(じりつ歩行)を促し、日々の運動量を向上させるとともに、全身運動により筋力増強と、新陳代謝の活性とを促すことにつながる。そして、利用者自身が安全に自ら運動することにより、通常必要とされる見守りが煩雑でなくなり、介護従事者等の仕事量が抑えられるなど、さらなる社会的意義も存在する。
請求項12記載の発明のように、前記座部は、利用者が装着可能なリード付ハーネスと一体形成されることが好ましい。
請求項12記載の発明によれば、前記座部は、利用者が装着可能なリード付ハーネスと一体形成されるので、その利用者が立ち上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者が歩行意思を失くして休憩しようとした際には、ハーネスがハンモックのように吊り下げられた状態となって、その利用者が着座可能となる。
請求項13記載の発明のように、前記円環状第一フレームと前記円環状第二フレームとは、該各フレームの内側に利用者を出入させる際に、開閉可能とすることが好ましい。
請求項13記載の発明によれば、前記円環状第一フレームと前記円環状第二フレームとは、該各フレームの内側に利用者を出入させる際に、開閉可能とするので、両フレーム内に利用者を容易に出入させることができる。
請求項14記載の発明のように、利用者の座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキのブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えることが好ましい。
請求項14記載の発明によれば、利用者の座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキのブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えたので、利用者が座り込んだままであっても、介助者等が前記ブレーキ動作を禁止して、そのトランスファー機能を活用できる。
請求項15記載の発明のように、障害物を検知するセンサを設けるとともに、該センサの検知信号に応じて、車輪の回転を規制する第二ブレーキを備えることが好ましい。
請求項15記載の発明によれば、障害物を検知するセンサを設けるとともに、該センサの検知信号に応じて、車輪の回転を規制する第二ブレーキを備えたので、利用者が障害物に設定距離まで近づくと、それ以上進めなくなるロック状態となる。そこで、利用者が方向転換すると、そのロック状態が解除される。このようにして、利用者の方向転換の意思とともに、障害物から離れていくため、認知症特有のストレスなどによる不穏行動を抑制する効果が期待できる。
請求項16記載の発明のように、前記センサは複数設けられ、各センサの検知信号に応じて、各車輪をロックし、或いは、ロックを解除することにより、前記枠体フレームの方向転換を可能とすることが好ましい。
請求項16記載の発明によれば、前記センサは複数設けられ、各センサの検知信号に応じて、各車輪をロックし、或いは、ロックを解除することにより、前記枠体フレームの方向転換を可能としたので、利用者が障害物に設定距離まで近づいても、そのまま前進するだけで自然に方向転換できる。このようにして、利用者の方向転換の意思の有無にかかわらず、障害物から離れていくため、認知症特有のストレスなどによる不穏行動を抑制する効果が期待できる。
請求項17記載の発明のように、前記円環状第一フレームと前記円環状第二フレームとが平行輪をなすように横置きされ、前記座部が、前記円環状第一フレームの外周面の比較的下側に取り出され、該座部に利用者を載せた状態で前記円環状第一フレームの外周面の比較的上側になるまで、前記円環状第一フレームと前記円環状第二フレームとが平行輪として回転されることにより、前記利用者を起立させることが好ましい。
請求項17記載の発明のように、前記円環状第一フレームと前記円環状第二フレームとが平行輪をなすように横置きされ、前記座部が、前記円環状第一フレームの外周面の比較的下側に取り出され、該座部に利用者を載せた状態で前記円環状第一フレームの外周面の比較的上側になるまで、前記円環状第一フレームと前記円環状第二フレームとが平行輪として回転されることにより、前記利用者を起立させるので、利用者の起き上がり機能を付加して、多目的とすることができる。
本発明によれば、車輪つきの脚部を備えかつ利用者が把持可能な第一枠体フレームと、第一枠体フレームに伸縮自在に接続されかつ利用者が座り込み可能な座部が取り付けられるとともに、車輪なしの脚部を備えた第二枠体フレームとを有し、利用者の立ち上がり動作に連動して第二枠体フレームの脚部が浮遊状態となるとともに、利用者の座り込み動作に連動して前記第二枠体フレームの脚部が接地状態となる第一ブレーキを備えたので、その利用者が起き上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者が歩行意思を失くして休憩しようとした際には、その利用者が着座可能となるが、このときには、第二フレームの脚部が接地状態となっているので、利用者が座ったまま足を使って歩くことが防止される。
その結果、利用者の自律心による自立歩行(じりつ歩行)を促し、日々の運動量を向上させるとともに、全身運動により筋力増強と、新陳代謝の活性とを促すことにつながる。そして、利用者自身が安全に自ら運動することにより、通常必要とされる見守りが煩雑でなくなり、介護従事者の仕事量が抑えられるなど、さらなる社会的意義も存在する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る歩行補助具1の全体構成を示す側面図、図2はその平面図、図3はハーネス40の概念図である。なお、各図における上下(Z方向)・前後(Y方向)・左右(X方向)は、歩行補助具1を使用中の利用者Pを基準に設定している。
本実施形態1に係る歩行補助具1は、図1〜図3に示すように、前後左右にそれぞれキャスター(車輪を含む。)13付きの脚部12を備えた第一枠体フレーム10と、第一枠体フレーム10に伸縮自在に接続されるとともに、キャスターなしの脚部22を備えた第二枠体フレーム20と、利用者Pが座り込み可能な座部と一体形成されたハーネス40とを備えている。
ハーネス40は、いわゆるパラグライダーハーネスを改良したものであって、利用者Pの背面から臀部にかけて覆うように装着する異形の本体41と、本体41に利用者Pを固縛するベルト44と、ベルト44の長さを調整する調整部45と、ベルト44同士を分離可能に接続するコネクタ46,47と、利用者Pを第二枠体フレーム20に伸縮可能に連結する下ハーネス42,43と、利用者Pを第一枠体フレーム10に固縛する上ハーネス48とを備えている。ただし、通常のパラグライダーハーネスとは異なり、ここでは利用者Pになるべく拘束感を与えないように、本体41の首回りを大きく切り込むなどの工夫がなされている。
第一枠体フレーム10は、利用者Pを囲繞するように形成された円環状フレーム11を備えるとともに、この円環状フレーム11の下側の前後左右(周囲4箇所)にキャスター13付きの脚部12と、伸縮バネ14と、その保護カバー15と、センサ16と、カウンタ18とを備えている。また、円環状フレーム11は介助者用グリップバーを兼用しており、脚部12はその斜め下方に広がるように固着されており、その脚部12の下端にはキャスター13が縦軸まわりに回転自在、且つ横軸まわりに回転自在に装着されている。
第二枠体フレーム20は、第一枠体フレーム10に伸縮自在に接続され、かつ利用者Pが装着可能なハーネス40が取り付けられた第一補助フレームとしての円環状フレーム31と、この円環状フレーム31に同軸で回転自在に接続され、かつキャスターなしの脚部22を備えた第二補助フレームとしての円環状フレーム21とを有する。脚部22の先端には、図示しない当板を設けて、床Gとの摩擦抵抗を高めることとしてもよい。
各枠体フレーム10,20は、該各枠体フレーム10,20の内側に利用者Pを出入させる際に、第一枠体フレーム10の円環状フレーム11の切れ目に、第二枠体フレーム20の円環状フレーム31,21の切れ目の延長線を合わせた状態で開閉可能となっている。すなわち、図2中の二点鎖線で示すように、第一枠体フレーム10のヒンジ17を中心として、A方向と逆向きに回転することにより、各枠体フレーム10,20の一部を開き、A方向に回転することにより、閉じるようになっている。各枠体フレーム10,20の開閉の向きや開閉箇所の数は、上記に限定されず、例えば各枠体フレーム10,20の背面側中央にヒンジを設けて左右に開閉させる、いわゆる観音開き方式としてもよいし、各枠体フレーム10,20の一部を開閉する代わりに、それらを昇降させてもよい。
また、従来の車椅子でよく見られるが、利用者Pが座ったまま足を使って歩くことを防止することにより、その利用者Pの自律心を触発して自立歩行を促すようにしたい。そこで、図1に示すように、利用者Pの立ち上がり動作に連動して第二枠体フレーム20の脚部22が浮遊状態となるとともに、図4に示すように、利用者Pの座り込み動作に連動して前記第二枠体フレーム20の脚部22が接地状態となる第一ブレーキ32を備えている。
図4は第一ブレーキ32の動作説明図である。ここでは、利用者Pの座り込み動作により、伸縮バネ14の弾性に抗してハーネス40がB方向に下がる。すると、円環状フレーム21,31が下がり、その脚部22が床Gに接触してロック状態となる。一方、利用者Pの立ち上がり動作により、伸縮バネ14が弾性復帰してハーネス40がB方向と逆向きに上がる。すると、円環状フレーム21,31が上がり、その脚部22が床Gから浮いてロック状態が解除される。そのとき、保護カバー15で伸縮バネ14に利用者Pが接触して受傷しないようになっている。
また、認知症患者である利用者Pは障害物を認識しにくいので、例えば施設の壁などに衝突するおそれがあり、しかも、なんらかの原因でその場からの移動を阻害された場合、認知症特有のストレスによる不穏行動をとることが知られている。そこで、障害物を検知するセンサ16を設けるとともに、このセンサ16の検知信号に応じて、第二枠体フレーム20の脚部22に備えたアクチュエータ23を伸長させて制動する第二ブレーキ90を設けている。図5は第二ブレーキ90等の動作説明図、図6はその制御ブロック図である。
図1,図5,図6に示すように、第二ブレーキ90等は、例えば第一枠体フレーム10の前部に位置する脚部12のやや下側に設けられ、障害物を検知するセンサ16と、カウンタ18と、バッテリ92及び制御装置93を含む搭載ボックス91とを備えている。
センサ16としては、例えば壁などの障害物を検知可能な光学式距離センサを採用し、カウンタ18としては、例えばロードセルを採用し、バッテリ92としては、繰り返し充電可能な蓄電池を採用し、制御装置93としては、例えばアルマジロ(株式会社アットマークテクノ社の登録商標)のボードを採用している。制御装置93は、機能的には、記憶部931と、計測部932と、判断部933と、制御部934とを備えている。
記憶部931は、各種プログラムと、各種設定値とを記憶するものである。計測部932は、センサ16で検知された障害物の距離と、カウンタ18で検出された利用者Pの立ち上がり動作の回数・時間(又は座り込み動作の回数・時間)を計測するものである。判断部933は、計測部932での計測値を記憶部931に記憶しておいた設定値と比較するものである。制御部934は、判断部933での比較結果に基づいてアクチュエータ23の伸縮動作の制御をするとともに、必要に応じて図示しない警報器からアラームを発するものである。アクチュエータ23の種類と、その制御方法とによっては、適当なドライバを必要とする。
以下、本実施形態に係る歩行補助具1の使用例を説明する。この歩行補助具1は、図2の二点鎖線で示すように、各枠体フレーム10,20の一部を開いておいて、そこから入り込んだ利用者Pがいつでも使用可能な状態となっている。
利用者Pはハーネス40を装着後、歩行補助具1の各枠体フレーム10,20に入り込む。この利用者Pが入ると、自動的に第一ブレーキ32が動作するので、安全である。すなわち、利用者Pの座り込み動作に連動して、前記第二枠体フレーム20の脚部22が接地状態となる。そして、利用者Pは、第一枠体フレーム10の円環状フレーム11を把持して、立ち上がるとする。すると、利用者Pの立ち上がり動作に連動して、第二枠体フレーム20の脚部22が浮遊状態となる。したがって、利用者Pは、第一枠体フレーム10の円環状フレーム11を把持して、歩行することができるようになる。
ここで、第二ブレーキ90とカウンタ18との動作について説明しておく。
図7は第二ブレーキ90等の動作例を示すフローチャートである。図示しない電源スイッチをONすると、制御装置93の記憶部931に予め記憶していた各種プログラムや設定値が読みだされて、計測部932,判断部933,制御部934がそれぞれ構築される。
しかる後、各部932〜934の働きでもって、図7に示すように、初期設定として、フラグi=0とされ、カウンタ18はリセットされる(ステップS1)。次いで、センサ16は距離計測を開始し、カウンタ18は利用者Pの立ち上がり動作回数等の計測を開始する(ステップS2)。次いで、フラグi=0であるか否かが判断される(ステップS3)。ここでフラグi=0であると判断されると、障害物に設定値(例えば50cm)以内に接近しているか否かが判断される(ステップS4)。そして、障害物に50cm以内に接近していないと判断されると、ステップS2に戻る。一方、障害物に50cm以内に接近していると判断されると、第二ブレーキ90を利かせてロックする(ステップS5)。具体的には、障害物までの距離の計測値に応じて、アクチュエータ23を最大になるまで伸長させればよい。しかる後に、フラグi=1に代えてから(ステップS8)、ステップS2に戻る。
このときには、前記ステップS3でフラグi=0でないと判断されるので、障害物から50cmを超えているか否かが判断される(ステップS10)。そして、障害物から50cmを超えてないと判断されると、ステップS2に戻る。一方、障害物から50cmを超えていると判断されると、ロックを解除する(ステップS11)。具体的には、アクチュエータ23を最小になるまで縮小させればよい。しかる後に、フラグi=0に代えてから(ステップS12)、ステップS2に戻る。以上のステップを、図示しない電源スイッチがOFFとされるまで繰り返す。
そして、利用者Pが歩行をやめて休憩したくなれば、そのまま着座姿勢をとるだけで、先ほどと逆手順にて確実に着座できるとともに、第二枠体フレーム20の脚部22が接地状態となって、確実に制動される。また、第一枠体フレーム10に接続された上ハーネス48で利用者Pが倒れこむこともない。
ここで、利用者Pの座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキ32のブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えている。このキャンセラは、例えば座部30と支持フレーム21との間に伸縮バネ14の圧縮させないための図示しない規制部材を着脱自在に設けておく。これにより、利用者Pが座り込んだままであっても、介助者が前記第一ブレーキ32のブレーキ動作を禁止して、そのトランスファー機能を活用できるようになる。そして、利用者Pが使用を完全に中止するときには、着座状態で第一枠体フレーム10と上ハーネス48及び第二枠体フレーム20と下ハーネス42,43との接続を解除してから、各枠体フレームの一部を再び開状態にするとともに、そこから利用者Pを退出させてから、ハーネス40を取り外す。
以上説明したように、本実施形態1の歩行補助具1によれば、キャスター13つきの脚部12を備え、かつ利用者Pが把持可能な第一枠体フレーム10と、第一枠体フレーム10に伸縮バネ14を介して接続され、かつ利用者Pが装着可能なハーネス40が取り付けられるとともに、キャスターなしの脚部22を備えた第二枠体フレーム20とを有し、利用者Pの立ち上がり動作に連動して第二枠体フレーム20の脚部22が浮遊状態となるとともに、利用者Pの座り込み動作に連動して第二枠体フレーム20の脚部22が接地状態となる第一ブレーキ32の働きでもって、その利用者Pが立ち上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者Pが歩行意思を失くして休憩しようとした際には、ハーネス40がハンモックのように吊り下げられた状態となって、その利用者Pが着座可能となるが、このときには、第二枠体フレーム20の脚部22が接地状態となっているので、利用者Pが座ったまま足を使って歩くことが防止される。さらに、カウンタ18の動作でもって、その利用者Pの立ち上がり動作回数等がカウントされ、必要に応じて図示しない警報器からアラームが発せられる。例えば利用者Pが座り込んでいる時間が設定値を超えると、警報器からアラームが発せられ、介助者の注意を喚起する。これにより、利用者Pの健康状態が把握される。
その結果、利用者Pの健康状態を把握しながら、利用者Pの自律心による自立歩行を促し、日々の運動量を向上させるとともに、全身運動により筋力増強と、新陳代謝の活性とを促すことにつながる。そして、利用者P自身が安全に自ら運動することにより、通常必要とされる見守りが煩雑でなくなり、介助者を含む介護従事者の仕事量が抑えられるなど、さらなる社会的意義も存在する。
(実施形態2)
図8は本発明の実施形態2に係る歩行補助具1aの全体構成を示す側面図、図9はその平面図、図3は座部30aまわりの概念図である。なお、各図における上下(Z方向)・前後(Y方向)・左右(X方向)は、歩行補助具1aを使用中の利用者Pを基準に設定している。ただし、上記実施形態1と同様の要素には、同一番号を付して、その重複説明を省略する。
本実施形態2に係る歩行補助具1aは、図8〜図10に示すように、前後左右にそれぞれキャスター(車輪を含む。)13a付きの脚部12aを備えた第一枠体フレーム10aと、第一枠体フレーム10aに伸縮バネ14aを介して接続されるとともに、キャスターなしの脚部22aを備えた第二枠体フレーム20aと、利用者Pが座り込み可能な座部30aとを備えている。
座部30aは、平面視で横長の長四角形状をなしている。座部30aの前端は、第二枠体フレーム20aの直前にて、左右軸まわりに0〜90度の範囲で、下向きに回転自在となるように取り付けられている(図10におけるD’方向である)。このようにしたのは、利用者Pが立ち上がり姿勢をとりさえすれば、その座部30aは図示しない滑車とロープ状のものとの組み合わせ機構、リンク機構、ラックアンドピニオン機構、モータ駆動機構などの動作により、必ず垂下して、その利用者Pの歩行の妨げにならなくなるからである。例えば滑車機構では、座部30aの前部の左右両端には、下ハーネス42,43が滑車を介して着脱自在に取り付けるようになっている。そして、ハーネス40を装着した利用者Pが立ち上がると、下ハーネス42,43が引き上げられ、滑車で方向転換して座部30aを引き下げる結果、座部30aは垂下する向きに回転する一方、ハーネス40を装着した利用者Pが座り込むと、下ハーネス42,43が引き下げられ、滑車で方向転換して座部30aを引き上げる結果、座部30aは横軸を中心として元の水平姿勢に復帰する向きに回転する。この回転する座部30aが利用者Pの座り込み時の衝撃を吸収するので、利用者Pはいつでも安心して着座できる。座部30aを垂下させる代わりに、座部30aを背面側に引っ込めるようにしてもよい。
ここで、従来の車椅子は、利用者Pが長時間着座しても疲れが出ない座りやすい構造であるのに対して、本発明では、歩行用具としてセルフコントロール(自己制御)の困難な利用者Pが自律心から発生する自立歩行をするために、あえて座部30aを浅くして、さらに骨盤のみが最低限接するような構造を採用しており、利用者Pが起き上がりたいという自律心を促進するようになっている。ただし、クッションやガードなどが適宜箇所に配置されている点は、通常の歩行器や車椅子と同様であるので、説明の便宜上、それらの図示と説明とは割愛している。
第一枠体フレーム10aは、利用者Pをその前側以外で囲繞するように形成された馬蹄形状(又はコの字状)フレーム11aを備えるとともに、この馬蹄形状フレーム11aの下側の前後左右(周囲4箇所)にキャスター13a付きの脚部12aと、伸縮バネ14aと、センサ16と、カウンタ18とを備えている。伸縮バネ14aの保護カバーは、必要に応じて設ければよい。センサ16は、図示しないフレキシブルジョイントなどを用いて、利用者Pの足と干渉しない場所まで延設してもよい。また、馬蹄形状フレーム11aは後部に介助者用グリップバーを兼用しており、脚部12aはその斜め下方に広がるように固着されており、脚部12aの下端にはキャスター13aが縦軸まわりに回転自在、且つ横軸まわりに回転自在に装着されている。
第二枠体フレーム20aは、第一枠体フレーム10aの左右脚部12a,12a間に架設された支持フレーム21aと、この支持フレーム21a上に伸縮自在かつ回転自在に接続され、先端に利用者Pが着座可能な座部30aが取り付けられとともに、下側に伸縮自在なアクチュエータ23が取り付けられたキャスターなしの脚部22aを有している。脚部22aの先端には、図示しない当板を回転自在に設けて、床Gとの摩擦抵抗を高める一方、第一枠体フレーム10aの方向転換をここで許容するようにしてもよい。
また、ここでは、各枠体フレーム10aの開放側から利用者Pを出入させることができるので、上記実施形態1のような、開閉機構等は不要であるが、グリップバー19aが開閉自在に設けられている。そして、利用者Pの立ち上がり動作に連動して第二枠体フレーム20aの脚部22aが浮遊状態となるとともに、利用者Pの座り込み動作に連動して前記第二枠体フレーム20aの脚部22aが接地状態となる第一ブレーキ32aを備えている。
また、ここでも、障害物を検知するセンサ16を設けるとともに、このセンサ16の検知信号に応じて、第二枠体フレーム20aの脚部22aに備えたアクチュエータ23を伸長させて制動し、或いは該制動を解除する第二ブレーキ90を設けた。
以下、本実施形態2に係る歩行補助具1aの使用例を説明する。この歩行補助具1aは、図9の二点鎖線で示すように、グリップバー19aを縦軸まわりにE方向に回転させることにより、第一枠体フレーム10を開けておき、利用者Pがいつでも使用可能な状態となっている。
利用者Pはハーネス40を装着後、歩行補助具1の第一枠体フレーム10a内に入り込む。この利用者Pが入り込むと、グリップバー19aを縦軸まわりにE方向と逆向きに回転させて第一枠体フレーム10aを閉じる。このとき、利用者Pが座部30aに座り込むと、自動的に第一ブレーキ32aが動作するので、安全である。すなわち、利用者Pの座り込み動作に連動して、前記第二枠体フレーム20aの脚部22aが接地状態となる。そして、利用者Pは、第一枠体フレーム10aのグリップバー19aを把持して、立ち上がろうとする。すると、利用者Pの立ち上がり動作に連動して、伸縮バネ14aの弾性復帰力で、座部30aが、上向き(図10(a)のB’方向)に移動する結果、第二枠体フレーム20aの脚部22aが浮遊状態となる。これと同時に、図示しないリンク機構等の作用により、座部30aは下向き(同D’方向)に回転する結果、利用者Pの足元が広がる。したがって、利用者Pは、第一枠体フレーム10aのグリップバー19aを把持して、歩行しやすくなる。そして、カウンタ18は、この立ち上がり動作回数等をカウントする。
第二ブレーキ90等の動作は、上記実施形態1の場合と同様である。すなわち、センサ16が障害物を検知しないときには検知信号を発しないが、このときには第二枠体フレーム20aのアクチュエータ23で脚部22aを縮めて浮遊状態とする(図10(a)参照)。一方、センサ16が障害物を検知したときには検知信号を発するが、このときには第二枠体フレーム20aのアクチュエータ23で脚部22aを伸ばして接地状態とする(図10(c)参照)。例えば、センサ16により検知された障害物に設定値(例えば50cm)にまで達すると、利用者Pはそれ以上進めなくなるロック状態となる。そこで、利用者Pが方向転換すると、センサ16も方向転換する結果、そのロック状態が解除される。このようにして、利用者Pの方向転換の意思とともに、障害物から離れていくため、認知症特有のストレスによる不穏行動を抑制する効果が期待できる。
そして、利用者Pが歩行をやめて休憩したくなれば、そのまま着座姿勢をとるだけで、先ほどと逆手順にて確実に着座できるとともに、第二枠体フレーム20aの脚部22aが接地状態となって、確実に制動される(図10(b)参照)。また、第一枠体フレーム10aに接続された上ハーネス48で利用者Pが倒れこむこともない。
ここで、利用者Pの座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキ32aのブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えている。このキャンセラは、例えば座部30aと支持フレーム21aとの間に伸縮バネ14aの圧縮させないための図示しない規制部材を着脱自在に設けておく。これにより、利用者Pが座り込んだままであっても、介助者が前記第一ブレーキ32aのブレーキ動作を禁止して、そのトランスファー機能を活用できるようになる。このとき、跳ね上げ式のフットプレート50aを水平にして使用することができる。
利用者Pが使用を完全に中止するときには、着座状態で第一枠体フレーム10aと上ハーネス48及び座部30aと下ハーネス42,43との接続を解除してから、第一枠体フレーム10aのグリップバー19aを開けて、その開放端から利用者Pを退出させてから、ハーネス40を取り外す。
以上説明したように、本実施形態2の歩行補助具1aによれば、キャスター13aつきの脚部12aを備え、かつ利用者Pが把持可能な第一枠体フレーム10aと、第一枠体フレーム10aに伸縮バネ14aを介して接続され、かつ利用者Pが着座可能な座部30aが取り付けられるとともに、キャスターなしの脚部22aを備えた第二枠体フレーム20aを有し、利用者Pの立ち上がり動作に連動して第二枠体フレーム20aの脚部22aが浮遊状態となるとともに、座部30aが垂下され、利用者Pの座り込み動作に連動して第二枠体フレーム20aの脚部22aが接地状態となる第一ブレーキ32aの働きでもって、その利用者Pが立ち上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者Pが歩行意思を失くして休憩しようとした際には、座部30aが略水平状態となって、その利用者Pが着座可能となるが、このときには、第二枠体フレーム20aの脚部22aが接地状態となっているので、利用者Pが座ったまま足を使って歩くことが防止される。さらに、カウンタ18の働きでもって、利用者Pの立ち上がり動作回数等がカウントされ、必要に応じて図示しない警報器からアラームが発せられる。例えば利用者Pが座り込んでいる時間が設定値を超えると、警報器からアラームが発せられ、介助者の注意を喚起する。これにより、利用者Pの健康状態が把握される。
その結果、利用者Pの健康状態を把握しながら、利用者Pの自律心による自立歩行(じりつ歩行)を促し、日々の運動量を向上させるとともに、全身運動により筋力増強と、新陳代謝の活性とを促すことにつながる。そして、利用者P自身が安全に自ら運動することにより、通常必要とされる見守りが煩雑でなくなり、介護従事者の仕事量が抑えられるなど、さらなる社会的意義も存在する。
なお、上記実施形態1,2では、第一ブレーキ32(32a)と第二ブレーキ90とを備えているが、その一方のみを備えることとしてもよい。例えば第二ブレーキ90に代えて、図11(a)(b)に示すような、歩行補助具1,1aの行動範囲を規制するためのクッションガイド100を床上の適宜箇所に設けておくこととすればよい。クッションガイド100は、薄いベース101と、厚いガイド102とからなっており、障害物の手前の床上にベース101を載置しておくと、歩行補助具1,1aはベース101に乗り上げることにより、ガイド102が倒れにくくなり、ガイド102を超えることがなくなるので、簡易に安全確保ができて便利である。ガイド102の左右のベース101の寸法・形状は、その載置場所などに応じて設定される。また、金属テープを床に貼り付けておき、それを磁気センサで検出するか、或いは、ゲートを設置しておき、それでICチップを読み取ることとしてもよい。さらに、第一ブレーキ32(32a)と第二ブレーキ90とを第一枠体フレーム10(10a)の脚部12(12a)のキャスター13(13a)に組み込むこととしてもよい。第一ブレーキ32(32a)と第二ブレーキ90との動作状況によっては、図示しない警報器からさらなるアラームを発するようにしてもよい。例えば利用者Pが何らかの原因で歩行が許容されている範囲を脱した場合などである。
また、上記実施形態1では、ハーネス40と座部とを一体形成しており、上記実施形態2では、ハーネス40aと座部30aとを別体として両者を連結しているが、逆にしてもよい。例えば実施形態1のハンモック状のハーネス40と座部とを一体形成したもので、実施形態2の着座時の衝撃を吸収するように構成してもよい。また、上記実施形態2では、座部30aまわりに両ブレーキ32a,90を集中配備してモジュール化しておき、これを市販の歩行器に組み合わせ適用すると便利である。さらには、座部30aをサドルとして、これを市販の歩行器にさらに組み合わせ適用すると、さらに便利である。かかるモジュールは、既存の歩行器への後付も可能である。
また、上記実施形態1では、第一枠体フレーム10の内側に、第一枠体フレーム10よりも小径の第二枠体フレーム20を配置しているが、第一枠体フレーム10の外側に、第一枠体フレーム10よりも大径の第二枠体フレーム20を配置してもよい。
また、上記実施形態1では、第一枠体フレーム10の脚部12を下方で広がるようにして、コンパクトな構成の中での安定性の確保と、利用者Pの歩行スペースの確保とを図っているが、もし可能であれば、第一枠体フレーム10の下方に、第一枠体フレーム10と同径の円環状フレームを追加して補強してもよい。さらに、それを横倒しにして転動させることにより、利用者Pの起き上がりを手助けする装置として利用することもできる。この場合、転動を阻害するような突出部を設けないことはいうまでもない。かかる構成は、実施形態3として後述する。
また、上記実施形態2では、第一枠体フレーム10aを馬蹄形状(又はコの字状)とし、第二枠体フレーム20aを棒状部材であるとしているが、この第二枠体フレーム20aを第一枠体フレーム10aと同じく馬蹄形状(又はコの字状)とすることとしてもよい。その場合、第一枠体フレーム10の内側に、第一枠体フレーム10よりも小型の第二枠体フレーム20を配置してもよいし、第一枠体フレーム10の外側に、第一枠体フレーム10よりも大型の第二枠体フレーム20を配置してもよい。さらに、上記実施形態1では、第一枠体フレーム10の脚部12と、第二枠体フレーム20の脚部22とは、いずれも4本ずつ設けているが、本発明の範囲はこれに限定されず、例えば3本以下であってもよいし、5本以上であってもよい。また、第一枠体フレーム10の脚部12と、第二枠体フレーム20の脚部22とは、同じ本数とする必要はなく、異なる本数であってもよい。上記実施形態2についても同様である。
(実施形態3)
図12は本発明の実施形態3に係る歩行補助具1bの全体構成を示す側面図、図13はその平面図、図14はその概略構成を示す斜視図である。なお、各図における上下(Z方向)・前後(Y方向)・左右(X方向)は、歩行補助具1bを使用中の利用者Pを基準に設定している。ただし、上記実施形態1,2と同様の要素には、同一番号を付して、その重複説明をできるだけ省略する。
本実施形態3に係る歩行補助具1bは、図12〜図14に示すように、前後左右にそれぞれキャスター(車輪を含む。)13bを備え、かつ、利用者Pが把持可能な枠体フレーム10bと、利用者Pが座り込み可能な座部30bと、第一ブレーキ32と、第二ブレーキ90bとを備えている。
座部30bは、利用者Pが装着可能なハーネスと一体形成されている(以下、リード40b付ハーネスを含めて、座部30bと呼ぶことがある)。これにより、その利用者Pが立ち上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、歩行用具として使用中の利用者Pが歩行意思を失くして休憩しようとした際には、その利用者Pが座部30bに着座可能となる。
枠体フレーム10bは、利用者Pを囲繞するように形成された円環状第一フレーム11bと、この円環状第一フレーム11bと同径の円環状第二フレーム12bとを平面視で重なるように配置し、それらの前後左右に設けられた4本の支柱14bを介して相互に連結したものである。そして、円環状第一フレーム11bの支柱14bの上側連結部からやや離間した部位には、ロードセル18b付のリード40bを介して、座部30bが吊り下げられている。また、円環状第二フレーム12bの支柱14bの下側連結部付近には、キャスター13bと、アクチュエータ15bと、センサ16bとがそれぞれ取り付けられている。
円環状第一フレーム11bと、円環状第二フレーム12bとは、両フレーム11b,12b内に利用者Pを出入させる際に、円環状第一フレーム11bの切れ目に、円環状第二フレーム12bの切れ目の延長線を合わせた状態で開閉可能となっている。すなわち、図13中の二点鎖線で示すように、円環状第一フレーム11bのヒンジ17bを中心として、E方向と逆向きに回転することにより、各フレーム11b,12bの一部を開き、E方向に回転することにより、閉じるようになっている。各フレーム11b,12bの開閉の向きや開閉箇所の数は、上記に限定されず、例えば各フレーム11b,12bの背面側中央にヒンジを設けて左右に開閉させる、いわゆる観音開き方式としてもよいし、各フレーム11b,12bの一部を開閉する代わりに、それらを昇降させてもよい。
第一ブレーキ32bは、利用者Pの立ち上がり動作に連動して、すべてのアクチュエータ15bを縮小させることにより、キャスター13bの回転を許容するとともに、利用者Pの座り込み動作に連動して、すべてのアクチュエータ15bを伸長させることにより、キャスター13bの回転を規制するものである。アクチュエータ15bの先端には、図示しない当板を設けて、床Gとの摩擦抵抗を高めることとしてもよい。
第二ブレーキ90bは、センサ16bからの検知信号に応じて、アクチュエータ15bを縮小させることにより、キャスター13bの回転を許容するか、あるいは、アクチュエータ15bを伸長させることにより、キャスター13bの回転を規制するものである。このようにして、キャスター13bをロックし、或いは、ロックを解除することにより、枠体フレーム10bの進行を禁止したり、その方向転換を可能とするものである。
図15は第一ブレーキ32bと第二ブレーキ90との動作説明図、図16はその制御ブロック図、図17はそのフローチャートである。ここで、図15中の○印は、ロードセル18b、アクチュエータ15b、センサ16bの平面的な位置を示しているが、そのうちの●印は、ロードセル18bとセンサ16bについてはオン状態、アクチュエータ15bについては伸長状態を示す。
図12,図15,図16に示すように、第一ブレーキ32bと、第二ブレーキ90bとは、アクチュエータ15b(151,152,153,154)と、センサ16b(161,162,163,164)と、ロードセル18bと、バッテリ92b及び制御装置93bを含む搭載ボックス91bとを適宜位置に備えている。
センサ16bとしては、例えば障害物の手前50cmの床面Gに敷設した金属テープ(図示せず。)を感知可能な磁気センサを採用し、ロードセル18bとしては、例えばリード40bに取り付けて座部30bの昇降動作を感知可能なものを採用し、バッテリ92bとしては、繰り返し充電可能な蓄電池を採用し、制御装置93bとしては、例えばアルマジロ(株式会社アットマークテクノ社の登録商標)のボードを採用している。制御装置93bは、機能的には、記憶部931bと、計測部932bと、判断部933bと、制御部934bとを備えている。
記憶部931bは、各種プログラムと、各種設定値とを記憶するものである。計測部932bは、センサ16bで検知された障害物の有無と、ロードセル18bで検出された利用者Pの立ち上がり動作の有無・回数・時間(又は座り込み動作の有無・回数・時間)を計測するものである。判断部933bは、計測部932bでの計測値を記憶部931bに記憶しておいた設定値と比較するものである。制御部934bは、判断部933bでの比較結果に基づいてアクチュエータ15bの伸縮動作の制御をするとともに、必要に応じて図示しない警報器からアラームを発するものである。アクチュエータ15bの種類と、その制御方法とによっては、適当なドライバを必要とする。
以下、本実施形態3に係る歩行補助具1bの使用例を説明する。この歩行補助具1bは、起き上がり補助機能をも有するが、図18はその機能説明図である。まず、図18(a)に示すように、円環状第一フレーム11bと円環状第二フレーム12bとが平行輪をなすように横置きされる。次いで、図18(b)に示すように、座部30bが円環状第一フレーム11bの外側に取り出され、この座部30bが円環状第一フレーム11bの外周面の比較的下側に位置するように、リード40が付け替えられる。
次いで、図18(c)(d)に示すように、介助者P’の助力により、被介助者である利用者Pが座位でハーネスを装着されることにより、その利用者Pが座部30bに載せられた状態となる。この状態で円環状第一フレーム11bの外周面の比較的上側になるまで、円環状第一フレーム11bと円環状第二フレーム12bとが、平行輪として図18(d)中のR方向に回転される。このとき、円環状第一フレーム11bの接地部が支点となり、支点に近い座部30bが作用点、支点から離れた円環状第二フレーム12bが力点となるから、支点まわりのモーメントの釣り合いにより、介助者P’は、より少ない力で、被介助者である利用者Pを座部30bごと持ち上げることができる。ただし、場合によっては、円環状第二フレーム12b側を介助者P’が抑え込みながら、回転させてもよい。
そして、図18(e)に示すように、被介助者P’は、利用者PにテーブルT等の支えを持たせて、円環状第一フレーム11bの外周面からリード40bを外すことにより。その利用者Pを起立させる。これにより、利用者Pの起き上がりを補助する機能を付加して、多目的とすることができる。
次いで、歩行補助具1bを元の立ち姿勢に戻す。そして、図13の二点鎖線で示すように、枠体フレーム10bの円環状第一フレーム11bと円環状第二フレーム12bとの一部を開くことにより、そこから入り込んだ利用者Pがいつでも使用可能な状態とする。
図示しない電源スイッチをONすると、制御装置93bの記憶部931bに予め記憶していた各種プログラムや設定値が読みだされて、計測部932b,判断部933b,制御部934bがそれぞれ構築される。
しかる後、各部932b〜934bの働きでもって、図17に示すように、初期設定として、フラグi=0とされ、カウンタやアクチュエータ15bはすべてリセットされる(ステップS51)。具体的には、カウント数を0とし、図15(a)に示すように、アクチュエータ151〜154をすべて縮小させればよい。
次いで、ロードセル18bは利用者Pの座り込み動作の有無の検出を開始し、センサ16bは障害物の有無の検出を開始するなどの計測を開始する(ステップS52)。次いで、フラグi=0であるか否かが判断される(ステップS53)。
ここで、フラグi=0であると判断されると、利用者Pの座り込み動作があったか否かが判断される(ステップS54a)。そして、座り込み動作があったと判断されると、第一ブレーキ32bを利かせてロックする(ステップS55)。具体的には、図15(b)に示すように、ロードセル18bの計測値に応じて、すべてのアクチュエータ15b(151〜154)を最大になるまで伸長させばよい。
ここで、利用者Pは、歩行補助具1bの枠体フレーム10bに入り込むと、自動的に第一ブレーキ32bが動作するので、安全である。すなわち、利用者Pの座り込み動作に連動して、すべてのアクチュエータ15bの先端が接地状態となる。そして、利用者Pは、枠体フレーム10bの円環状第一フレーム11bを把持して、立ち上がるとする。すると、利用者Pの立ち上がり動作に連動して、すべてのアクチュエータ15bの先端が浮遊状態となる。したがって、利用者Pは、枠体フレーム10bの円環状第一フレーム11bを把持して、歩行することができるようになる。カウンタは、この立ち上がり動作回数等をカウントする。しかる後に、フラグi=1に代えてから(ステップS56)、ステップS52に戻る。
一方、利用者Pの座り込み動作がなかったと判断されると、利用者Pが立ち上って歩行している可能性があるから、利用者Pが障害物に設定値(例えば50cm)以内に接近しているか否かが判断される(ステップS54b)。そして、障害物に50cm以内に接近していないと判断されると、ステップS2に戻る。一方、障害物に50cm以内に接近していると判断されると、第二ブレーキ90を利かせてロックする(ステップS5)。
具体的には、図15(c)に示すように、センサ161により検出された障害物の計測値に応じて、アクチュエータ153を最大になるまで伸長させればよい。この場合、利用者Pは、アクチュエータ153の接地された先端を中心に時計回り(同図中のF方向)、或いは、反時計まわり(同図中のG方向)のいずれかに回転して、障害物を回避することができる。
また、図15(d)に示すように、センサ161,162によりそれぞれ検出された障害物の計測値に応じて、アクチュエータ154を最大になるまで伸長させればよい。この場合、利用者Pは、アクチュエータ154の接地された先端を中心に反時計まわり(同図中のH方向)に回転して、障害物を回避することができる。或いは、図15(e)に示すように、センサ161,164によりそれぞれ検出された障害物の計測値に応じて、アクチュエータ152を最大になるまで伸長させればよい。この場合、利用者Pは、アクチュエータ152の接地された先端を中心に時計まわり(I方向)に回転して、障害物を回避することができる。
また、図15(f)に示すように、センサ161,162,164によりそれぞれ検出された障害物の計測値に応じて、アクチュエータ151〜154を最大になるまで伸長させればよい。この場合、利用者Pは、障害物を回避することができないか、或いは、予め設定された範囲を外れているので、アラームを発するなどして助けを呼ぶことになる。しかる後に、フラグi=1に代えてから(ステップS56)、ステップS2に戻る。
このときには、前記ステップS53でフラグi=0でないと判断されるので、利用者Pの立ち上がり動作があったか否かが判断される(ステップS60a)。そして、立ち上がり動作がなかったと判断されると、ステップS52に戻る。一方、立ち上がり動作があったと判断されると、引き続き、障害物から50cmを超えているか否かが判断される(ステップS60b)。
そして、障害物から50cmを超えてないと判断されると、ステップS52に戻る。一方、障害物から50cmを超えていると判断されると、ロックを解除する(ステップS61)。具体的には、図15(a)に示すように、アクチュエータ15bを最小になるまで縮小させればよい。しかる後に、フラグi=0に代えてから(ステップS62)、ステップS62に戻る。以上のステップを、図示しない電源スイッチがOFFとされるまで繰り返す。
そして、利用者Pが歩行をやめて休憩したくなれば、そのまま着座姿勢をとるだけで、先ほどと逆手順にて確実に着座できるとともに、すべてのアクチュエータ151〜154の先端が接地状態となって、確実に制動される。
ここで、利用者Pの座り込み時に、介助者が前記第一ブレーキ32bのブレーキ動作をキャンセルするキャンセラを備えている。このキャンセラは、ロードセル18bの検出信号をカットするための図示しないスイッチを適所に設けておく。これにより、利用者Pが座り込んだままであっても、介助者が前記第一ブレーキ32bのブレーキ動作を禁止して、そのトランスファー機能を活用できるようになる。そして、利用者Pが使用を完全に中止するときには、枠体フレーム10bの一部を再び開状態にするとともに、そこから利用者Pを退出させる。
以上説明したように、本実施形態3の歩行補助具1bによれば、頑健、軽量かつコンパクトな構成でもって、その利用者Pが起き上がるだけで歩行用具として使用できるようになる。また、利用者Pの起き上がり機能を付加して、多目的とすることができる。また、歩行用具として使用中の利用者Pが歩行意思を失くして休憩しようとした際には、その利用者Pが着座可能となるが、このときには、円環状第二フレーム12bのキャスター13bの回転が規制されるので、利用者Pが座ったまま足を使って歩くことが防止される。
その結果、利用者Pの自律心による自立歩行(じりつ歩行)を促し、日々の運動量を向上させるとともに、全身運動により筋力増強と、新陳代謝の活性とを促すことにつながる。そして、利用者P自身が安全に自ら運動することにより、通常必要とされる見守りが煩雑でなくなり、介護従事者等の仕事量が抑えられるなど、さらなる社会的意義も存在する。
なお、上記実施形態3では、第一ブレーキ32bのロードセル18bを、カウンタと兼用しているが、それぞれ別個に設けてもよい。また、第二ブレーキ90bのセンサ16bとアクチュエータ15bとの対を、枠体フレーム10bの前後左右の4箇所に設けているが、さらに多くの対を設ければ、障害物のより細かな回避動作が可能となる。ロードセル18bは、必ずしもリード40bの連結部に設ける必要性はなく、例えば座部30bなどに設けてもよい。センサ16bは、必ずしも磁気センサである必要性はなく、例えば上記実施形態1,2のような光学的距離センサなどであってもよい。さらに、第一ブレーキ32bと第二ブレーキ90bとの一方のみを備えることとしてもよい。
また、上記実施形態3では、枠体フレーム10bの円環状第二フレーム12bに、キャスター13bと、アクチュエータ15bとを別体として設けているが、キャスター13bに、アクチュエータ15bを組み込んでもよい。例えば、アクチュエータ15bで、キャスター13bに備えたブレーキパッドを押圧可能とするなどである。
また、上記実施形態3では、歩行補助具1bに起立を補助する機能を持たせて多目的としているが、この歩行補助具1bの枠体フレーム10bを構成する円環状第一フレーム11bと円環状第二フレーム12bとの各周面に、それぞれ溝部を形成しておき、これらの溝部を床面G上に仮設等した平行レールにはめ込んで、両フレームを回転させることにより、歩行補助具1bを容易に直進させることができる。さらに、歩行補助具1bは、かかる起立補助機能だけを使用してもよいし、起立補助機能を有する別個の装置を併用することとしてもよい。
さらに、将来構想として、上記実施形態1〜3に、GPS機能を搭載し、国のインフラ産業と連動させて歩道や道路、公園などの公共施設各所に小型のセンサ基地局を配置して、施設利用のみならず、一般家庭の利用者Pも自由に散歩が可能な空間を創造することが考えられる。これにより、施設や一般家庭の介護従事者の肉体的、時間的負担を軽減し、迎える際には、携帯電話の位置情報確認システムを利用して現在地を特定し、無駄なく利用者Pを迎えにいくことなどが可能となる。その他、上記実施形態1〜3を適宜組み合わせ適用してもよい。