JP5719661B2 - マスタシリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、車両のホイールシリンダへ液圧を供給するマスタシリンダに関する。
液圧ブレーキ装置の制動力とモータの回生制動力とを協調させて制動を行う車両がある。このような車両に搭載される液圧ブレーキ装置のマスタシリンダにおいて、回生効率向上を目的として、モータによる回生を優先すべく、ブレーキペダルの初期操作時にホイールシリンダへの液圧を上昇させない無効ストロークを長く設定したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2006−96218号公報
上記のようにマスタシリンダの無効ストロークを長くすると、回生制動の応答性が十分でない場合に、急制動時に無効ストロークがそのまま制動力発生における無効ストロークとなってしまい、ペダルストロークが長くなってしまう可能性がある。
したがって、本発明は、回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時のペダルストロークの長大化を抑制できるマスタシリンダの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、リザーバから作動液が導入される有底筒状のシリンダ本体と、該シリンダ本体に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体内に圧力室を画成する液圧ピストンと、該液圧ピストンよりも前記シリンダ本体の開口側に設けられ非制動時の位置からブレーキペダルの操作入力によって所定量移動したときに前記液圧ピストンを押圧する反力ピストンと、該反力ピストンと前記液圧ピストンとの間に形成され反力バネが配置される反力液室と、該反力液室と前記リザーバとの間を連通する連通路と、前記シリンダ本体に対して前記反力ピストンが移動することに伴って前記連通路と前記反力液室との連通を遮断して前記反力液室の作動液を閉じ込めるシール部材と、を備え、前記連通路は、前記シール部材により前記連通路と前記反力液室との間が連通状態から遮断状態となるまでの間に前記反力液室の作動液が前記リザーバへ移動するようになっており、途中にオリフィスが設けられ、前記オリフィスは、前記ブレーキペダルの操作入力が緩操作であるときに、前記反力ピストンが前記液圧ピストンに当接するように、前記反力液室から前記リザーバへ作動液を円滑に流し、前記ブレーキペダルの操作入力が前記緩操作よりも速い速度の急操作であるときに、前記反力液室の液圧が高まるように、前記反力液室から前記リザーバへ作動液の流れを阻害する大きさとなっていることを特徴としている。
また、本発明は、リザーバから作動液が導入される有底筒状のシリンダ本体と、該シリンダ本体に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体内に圧力室を画成する液圧ピストンと、前記圧力室よりも前記シリンダ本体の開口側に設けられブレーキペダルの操作に応じて移動して非制動位置から所定量移動したときに前記液圧ピストンを押圧する反力ピストンと、該反力ピストンと前記液圧ピストンとの間に形成され反力バネが配置される反力液室と、を備え、該反力液室と前記圧力室との間を連通し、途中にオリフィスが設けられている連通路を有することを特徴としている。
また、本発明は、リザーバから作動液が導入される有底筒状のシリンダ本体と、該シリンダ本体に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体内に圧力室を画成するピストンと、前記リザーバと前記圧力室との間を連通する連通路と、前記シリンダ本体に対して前記ピストンが移動することに伴って前記連通路と前記圧力室との間を連通および遮断するシール部材と、を備え、前記連通路には、流路面積を小さくしたオリフィスと、該オリフィスよりも前記リザーバ側に設けられ、前記オリフィスを通過する作動液の流速に応じて前記オリフィスを連通および遮断する開閉弁と、前記オリフィスと並列に前記リザーバと前記圧力室との間を連通する通路の前記圧力室から前記リザーバへの作動液の流れを遮断し、前記リザーバから前記圧力室への作動液の流れを許容する逆止弁と、が設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時のペダルストロークの長大化を抑制できる。
本実施形態のマスタシリンダが適用されるブレーキシステムの概念図である。 第1実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 第2実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 第3実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 第4実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 第5実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 第5実施形態のマスタシリンダの図5のA部を示す拡大断面図である。 第6実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 参考技術のマスタシリンダを示す断面図である。
以下の第1〜7実施形態に係るマスタシリンダ11の詳細を説明する前に、図1を参照して第1〜7実施形態に係るマスタシリンダ11を用いた自動車のブレーキシステム200について説明する。ブレーキシステム200は、マスタシリンダ11と、マスタシリンダ11が取り付けられる倍力装置201と、マスタシリンダ11のプライマリ吐出路40、セカンダリ吐出路39に接続されて、各車輪Wa〜Wdの車輪ブレーキのホイールシリンダBa〜Bdにブレーキ液圧を供給する液圧制御装置500と、液圧制御装置500を制御するコントローラ700と、回生制動を行なう回生ブレーキ装置800とを備えている。
液圧制御装置5は、マスタシリンダ110のプライマリ吐出路40からの液圧を左前輪Wa及び右後輪Wbのブレーキ装置のホイールシリンダBa、Bbに供給するための第1液圧回路5A(図1の液圧制御装置5の中央より右側分部)と、セカンダリ吐出口39からの液圧を右前輪Wc及び左後輪Wdのブレーキ装置のホイールシリンダBc、Bdに供給するための第2液圧回路5B(図1の液圧制御装置500の中央より左側分部)とからなる所謂「X配管」とした2系統の液圧回路を備えている。本実施形態では、車輪ブレーキは、液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給してピストンを前進させ、ブレーキパッドを車輪と共に回転するディスクロータに押圧して制動力を発生させる液圧式ディスクブレーキとしているが、公知のドラムブレーキ等の他の液圧式ブレーキでもよい。
第1液圧回路505Aと第2液圧回路505Bとは同様の構成であり、また、各車輪Wa〜Wdの車輪ブレーキのホイールシリンダBa〜Bdに接続された液圧回路の構成は同様の構成であり、以下の説明において参照符号の添え字A及B並びにa乃至dは、それぞれ、第1液圧回路505A及び第2液圧回路505B、並びに、各車輪Wa乃至Wdに対応することを示している。
液圧制御装置500には、マスタシリンダ11から各車輪Wa〜Wdの車輪ブレーキのホイールシリンダBa〜Bdへの液圧の供給を制御する電磁開閉弁である供給弁535A、535Bと、ブレーキ装置Ba〜Bdへの液圧の供給を制御する電磁開閉弁である増圧弁536a〜536dと、ホイールシリンダBa〜Bdから液圧を解放するためのシステムリザーバ537A、537Bと、ホイールシリンダBa〜Bdからシステムリザーバ537A、537Bへの液圧の解放を制御する電磁弁開閉弁である減圧弁538a〜538dと、5ホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給するためポンプ539A、539Bと、ポンプ539A、539Bを駆動するポンプモータ540と、マスタシリンダ11からポンプ539A、539Bの吸込み側への液圧の供給を制御する電磁開閉弁である加圧弁541A、541Bと、ポンプ539A、539Bの下流側から上流側への逆流を防止するための逆止弁542A、542B、543A、543B、544A、544Bと、マスタシリンダ11のプライマ吐出口40及びセカンダリ吐出口39の液圧を検出する液圧センサ545A、545Bとを備えている。
そして、液圧制御装置500は、コントローラ700によって供給弁535A、535B、増圧弁536a〜536d、減圧弁538a〜538d、加圧弁541A、541B及びポンプモータ540の作動を制御して、次のような作動モードを実行することができる。
[通常制動モード]
通常制動時には、供給弁535A、535B及び増圧弁536a〜536dを開き、減圧弁538a〜538d、加圧弁541A、541Bを閉じることにより、マスタシリンダ11から各車輪Wa〜WdのホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給する。
[減圧モード]
減圧モードでは、減圧弁538a〜538dを開き、供給弁535A、535B、増圧弁536a〜536d及び加圧弁541A、541Bを閉じることにより、ホイールシリンダBa〜Bdの液圧をリザーバ537A、537Bに解放して減圧する。
[保持モード]
保持モードでは、増圧弁536a〜536d及び減圧弁538a〜538dを閉じることにより、ホイールシリンダBa〜Bdの液圧を保持する。
[増圧モード]
増圧モードでは、増圧弁536a〜536dを開き、供給弁535A、535B、減圧弁538a〜538d及び加圧弁541A、541Bを閉じて、ポンプモータ540を作動することにより、ブレーキ液をリザーバ537A、537Bからマスタシリンダ11側へ戻してホイールシリンダBa〜Bdの液圧を増圧する。
[加圧モード]
加圧モードでは、加圧弁541A、541B及び増圧弁536a〜536dを開き、減圧弁538a〜538d及び供給弁535A、535Bを閉じて、ポンプモータ540を作動することにより、マスタシリンダ11の液圧にかかわらず、ポンプ539A、539Bによってブレーキ液をホイールシリンダBa〜Bdに供給する。
これらの作動モードを車両状態に応じて適宜実行することにより、各種ブレーキ制御を行なうことができる。例えば、制動時に接地荷重等に応じて各車輪に適切に制動力を配分する制動力配分制御、制動時に各車輪の制動力を自動的に調整して車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御、走行中の車輪の横滑りを検知して、ブレーキペダルPBの操作量にかかわらず各車輪に適宜自動的に制動力を付与することにより、アンダーステア及びオーバーステアを抑制して車両の挙動を安定させる車両安定性制御、坂道(特に上り坂)において制動状態を保持して発進を補助する坂道発進補助制御、発進時等において車輪の空転を防止するトラクション制御、先行車両に対して一定の車間を保持する車両追従制御、走行車線を保持する車線逸脱回避制御、障害物との衝突を回避する障害物回避制御
等を実行することができる。
なお、ポンプ539A、539Bとしては、例えばプランジャポンプ、トロコイドポンプ、ギヤポンプ等の公知の液圧ポンプを用いることができるが、車載性、静粛性、ポンプ効率等を考慮するとギヤポンプとすることが望ましい。ポンプモータ540としては、例えばDCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等の公知のモータを用いることができるが、制御性、静粛性、耐久性、車載性等の観点からDCブラシレスモータが望ましい。
また、液圧制御装置500の電磁開閉弁の特性は、使用態様に応じて適宜設定することができるが、供給弁535A、535B及び増圧弁536a〜536dを常開弁とし、減圧弁538a〜538d及び加圧弁541A、541Bを常閉弁とすることにより、コントローラ700からの制御信号がない場合に、マスタシリンダ12からブレーキ装置Ba〜Bdに液圧を供給することができるので、フェイルセーフ及び制御効率の観点から、このような構成とすることが望ましい。
回生ブレーキ装置800は、減速時及び制動時等に少なくとも1つの車輪の回転によって発電機(電動モータ)を駆動することにより、運動エネルギーを電力として回収する。本実施の形態のブレーキシステム200においては、回生ブレーキ装置800とコントローラ700とが、相互に制御信号の授受を行ない、運転者によるブレーキペダルPBの操作によるストロークセンサSSからの信号に基き、回生制動中には回生制動分を減じたブレーキ液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給することにより、所望の制動力を得る回生協調制御を実行するようになっている。
「第1実施形態」
第1実施形態のマスタシリンダについて図2を参照して説明する。このマスタシリンダ11には、鉛直方向上側に作動液である作動液を給排するリザーバ12が取り付けられている。なお、第1実施形態においては、マスタシリンダ11に直接リザーバ12を取り付けているが、マスタシリンダ11から離間した位置にリザーバ12を配して配管で接続するようにしても良い。
マスタシリンダ11は、底部13と、底部13の周縁部からその軸方向に伸びる筒部14と、筒部14の底部13とは反対側の開口部15とを有する有底筒状に一つの素材から加工されて形成されるシリンダ本体16を有している。このシリンダ本体16は、リザーバ12から作動液が導入されるもので、長手方向が車両前後方向に沿う姿勢で車載される。シリンダ本体16の内周には、底部13側から順に、大径内径部18、これよりも小径の摺動内径部19、大径内径部18と同径の大径内径部20、摺動内径部19と同径の摺動内径部21が形成されている。大径内径部18,20および摺動内径部19,21は、シリンダ本体16の筒部14の軸線(以下、シリンダ軸と称す)に直交する断面が円形状をなしている。
シリンダ本体16内には、シリンダ軸方向中間位置にプライマリピストン23(液圧ピストン)が摺動可能に挿入されており、このプライマリピストン23よりも底部13側に、セカンダリピストン24が摺動可能に挿入されている。また、シリンダ本体16には、プライマリピストン23よりも開口部15側に、反力ピストン25が部分的に挿入されている。これらセカンダリピストン24、プライマリピストン23および反力ピストン25は、同心状をなしてシリンダ軸方向に直列に設けられている。セカンダリピストン24は、底部13側の摺動内径部19に摺動自在に嵌合されており、プライマリピストン23および反力ピストン25は、開口部15側の摺動内径部21に摺動自在に嵌合されている。
プライマリピストン23には、それぞれ底面を有する内周孔27,28が軸方向両側に形成されており、セカンダリピストン24には、それぞれ底面を有する内周孔29,30が軸方向両側に形成されていて、マスタシリンダ11は、いわゆるプランジャ型のものとなっている。また、反力ピストン25にもそれぞれ底面を有する内周孔31,32が軸方向両側に形成されている。
シリンダ本体16には、筒部14の径方向(以下、シリンダ径方向と称す)の外側に突出する取付台部34,35が、シリンダ軸方向に位置をずらし筒部14の円周方向(以下、シリンダ円周方向と称す)における位置を合わせて一体に形成されている。底部13側の取付台部34よりも、開口部15側の取付台部35の方がシリンダ軸方向に長く形成されている。リザーバ12を取り付けるため、取付台部34には取付穴36が、取付台部35には取付台部34側に取付穴37が形成されている。ここでは、取付穴36,37が、互いにシリンダ円周方向における位置を一致させた状態で形成されている。
シリンダ本体16の筒部14の取付台部34,35側には、作動液をホイールシリンダBa〜Bdに供給するためのブレーキ配管がそれぞれ取り付けられるセカンダリ吐出路39およびプライマリ吐出路40がシリンダ軸方向における位置をずらして形成されている。セカンダリ吐出路39はプライマリ吐出路40よりも底部13側に形成されている。
シリンダ本体16の底部13側の摺動内径部19には、シリンダ軸方向における位置をずらして、2カ所のいずれも円環状をなすシール溝42およびシール溝43が底部13側からこの順に形成されており、シリンダ本体16の開口部15側の摺動内径部21には、シリンダ軸方向における位置をずらして、4カ所のいずれも円環状をなすシール溝44、シール溝45、シール溝46およびシール溝47が、底部13側からこの順に形成されている。これらシール溝42〜47は、シリンダ円周方向に環状をなしてシリンダ径方向外側に凹む形状をなしており、いずれも全体が切削加工により形成されている。
最も底部13側にあるシール溝42は、底部13側の取付穴36の近傍に形成されており、このシール溝42内に円環状のカップシール50が配置されている。
シリンダ本体16における摺動内径部19のシール溝42よりも開口部15側には、底部13側の取付穴36から穿設された連通穴51を筒部14内に開口させるように、筒部14の摺動内径部19からシリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝52が形成されている。ここで、この開口溝52と連通穴51とが、シリンダ本体16とリザーバ12とを連通可能に結ぶとともにリザーバ12に常時連通させるセカンダリ補給路53を主に構成している。
シリンダ本体16の摺動内径部19には、シール溝42内に開口するとともにシール溝42からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向け大径内径部18まで延出する連通溝54が、シリンダ径方向外側に凹むように形成されている。この連通溝54は、セカンダリピストン24とシリンダ本体16の底部13側との間のセカンダリ圧力室55とシール溝42とを常時連通させるものである。
シリンダ本体16の摺動内径部19には、シリンダ軸線方向における上記開口溝52のシール溝42に対し反対側に、上記シール溝43が形成されており、このシール溝43内に、円環状の区画シール57が配置されている。区画シール57は、摺動内径部19およびカップシール50とでセカンダリピストン24を摺動可能に支持するとともに、シリンダ本体16とセカンダリピストン24との隙間を常時密封する。
シリンダ本体16の摺動内径部21の底部13側には、開口部15側の取付穴37の近傍に、上記したシール溝44が形成されている。このシール溝44内には、シール溝44に保持されるように、円環状のカップシール60が配置されている。
シリンダ本体16の摺動内径部21におけるこのシール溝44の開口部15側には、開口部15側の取付穴37から穿設された連通穴61を筒部14内に開口させるように、筒部14の摺動内径部21からシリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝62が形成されている。ここで、この開口溝62と連通穴61とが、シリンダ本体16とリザーバ12とを連通可能に結ぶとともにリザーバ12に常時連通するプライマリ補給路63を主に構成している。
シリンダ本体16の摺動内径部21におけるシール溝44の底部13側には、シール溝44に開口するとともにシール溝44からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向け大径内径部20の位置まで延出する連通溝64が、シリンダ径方向外側に凹むように形成されている。この連通溝64は、プライマリピストン23およびセカンダリピストン24と、シリンダ本体16の筒部14との間のプライマリ圧力室(圧力室)65とシール溝44とを常時連通させるものである。
シリンダ本体16の摺動内径部21における上記開口溝62のシール溝44に対し反対側にシール溝45が形成されており、このシール溝45内に円環状の区画シール67が配置されている。区画シール67は、摺動内径部21およびカップシール60とでプライマリピストン23を摺動可能に支持するとともに、シリンダ本体16とプライマリピストン23との隙間を常時密封する。
シリンダ本体16の摺動内径部21の開口部15側には、上記したシール溝46が形成されている。このシール溝46内には、シール溝46に保持されるように、円環状のカップシール(シール部材)70が配置されている。
シリンダ本体16の摺動内径部21におけるこのシール溝46の開口部15側には、開口部15側の取付穴37から延出する液通路71を筒部14内に開口させるように、筒部14の摺動内径部21からシリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝72が形成されている。
ここで、液通路71は、取付穴37内に開口するように取付台部35にシリンダ軸方向に沿って穿設された直線状の通路穴74と、開口溝72内に開口するように、この通路穴74に直交して穿設された直線状の通路穴75と、通路穴74の通路穴75よりも外側を封止するボール76と、通路穴75の通路穴74よりも外側を封止するボール77とを有している。通路穴75は通路穴74への開口側が大径の大径穴78とされ、開口溝72への開口側が大径穴78よりも小径のオリフィス79とされた段付き形状をなしている。通路穴74と取付穴37とは、プライマリピストン23および反力ピストン25とシリンダ本体16の筒部14とで形成される反力液室80とリザーバ12とを連通する連通路81を構成している。この連通路81内で、オリフィス79が最も小径であり流路断面積が最小となっている。
シリンダ本体16の摺動内径部21におけるシール溝46の底部13側には、シール溝46に開口するとともにシール溝46からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向け所定長さ延出する連通溝82が、シリンダ径方向外側に凹むように形成されている。この連通溝82は、反力液室80とシール溝46とを常時連通させるものである。
シリンダ本体16の摺動内径部21における上記開口溝72のシール溝46に対し反対側にシール溝47が形成されており、このシール溝47内に円環状の区画シール83が配置されている。区画シール83は、摺動内径部21およびカップシール70とで反力ピストン25を摺動可能に支持するとともに、シリンダ本体16と反力ピストン25との隙間を常時密封する。
セカンダリピストン24は、円筒部86と、円筒部86の軸線方向における中間位置に形成された底部87とを有する形状をなしている。上記内周孔29,30は、これら円筒部86と底部87とにより形成されている。セカンダリピストン24は、内周孔29をシリンダ本体16の底部13側に配置した状態で、シリンダ本体16の摺動内径部19に設けられたカップシール50および区画シール57のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合されている。円筒部86の軸方向の内周孔29側には、シリンダ径方向に貫通するポート89が複数放射状に形成されている。
セカンダリピストン24とシリンダ本体16の底部13との間には、ブレーキペダルPB側(図2における右側)から入力がない非制動状態でこれらの間隔を決めるセカンダリピストンバネ92を含む間隔調整部93が設けられている。この間隔調整部93は、シリンダ本体16の底部13に当接する係止部材94と、セカンダリピストン24の内周孔29に挿入されて底部87に当接する係止部材95と、係止部材95に一端部が固定されるとともに係止部材94を所定範囲内でのみ摺動自在に支持する軸部材96とを有している。上記セカンダリピストンバネ92は、両側の係止部材94,95間に介装されている。
ここで、シリンダ本体16内に、その底部13および筒部14の底部13側とセカンダリピストン24とで画成される部分が、作動液圧を発生してセカンダリ吐出路39からホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する上記したセカンダリ圧力室55となっている。このセカンダリ圧力室55は、セカンダリピストン24がポート89を開口溝52に開口させる位置にあるとき、セカンダリ補給路53に連通するようになっている。
シリンダ本体16の底部13側のシール溝42に保持されるカップシール50は、その中心線を含む径方向断面の片側形状がE字状をなしている。このカップシール50は、セカンダリピストン24が、非制動状態にある非制動位置から、シリンダ本体16の摺動内径部19、カップシール50および区画シール57の内周を摺動することによって、底部13側に少なくともストロークS1を移動して、ポート89をカップシール50よりも底部13側に位置させると、それまでポート89で連通していたセカンダリ補給路53とセカンダリ圧力室55との間を密封可能、つまり、セカンダリ圧力室55と、セカンダリ補給路53およびリザーバ12との連通を遮断可能となっている。すなわち、このストロークS1が、セカンダリピストン24においてホイールシリンダBc,Bdへ作動液の供給を行なわない、言い換えれば、ホイールシリンダBc,Bdの液圧を上昇させない制動初期の無効ストロークとなっている。
そして、セカンダリピストン24は、上記のようにポート89をカップシール50よりも底部13側に位置させた状態で、底部13側にさらに移動することで、セカンダリ圧力室55内の作動液を加圧してセカンダリ吐出路39からホイールシリンダBc,Bdに供給することになる。なお、このカップシール50は、セカンダリ補給路53およびリザーバ12の圧力(大気圧)よりもセカンダリ圧力室55の圧力が低くなると、シール溝42および連通溝54を介して作動液がセカンダリ補給路53からセカンダリ圧力室55に流れるのを許容する。
プライマリピストン23は、円筒部99と、円筒部99の軸線方向における中間位置に形成された底部100とを有する形状をなしている。上記内周孔27,28は、これら円筒部99および底部100により形成されている。プライマリピストン23は、内周孔27をシリンダ本体16内のセカンダリピストン24側に配置した状態で、シリンダ本体16の摺動内径部21に設けられたカップシール60および区画シール67のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合されている。円筒部99の軸方向の内周孔27側には、径方向に貫通するポート102が複数放射状に形成されている。
セカンダリピストン24とプライマリピストン23との間には、ブレーキペダルPB側(図2における右側)から入力がない非制動状態でこれらの間隔を決めるプライマリピストンバネ105を含む間隔調整部106が設けられている。この間隔調整部106は、セカンダリピストン24の内周孔30に挿入されて底部87に当接する係止部材107と、プライマリピストン23の内周孔27に挿入されて底部100に当接する係止部材108と、係止部材108に一端部が固定されるとともに係止部材107を所定範囲内でのみ摺動自在に支持する軸部材109とを有している。上記プライマリピストンバネ105は、両側の係止部材107,108間に介装されている。
ここで、シリンダ本体16内に、その筒部14とプライマリピストン23とセカンダリピストン24とで画成される部分が、作動液圧を発生してプライマリ吐出路40からホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給する上記したプライマリ圧力室65となっている。このプライマリ圧力室65は、プライマリピストン23がポート102を開口溝62に開口させる位置にあるとき、プライマリ補給路63に連通するようになっている。
シリンダ本体16のシール溝44に保持されるカップシール60も、カップシール50と同様、その中心線を含む径方向断面の片側形状がE字状をなしている。このカップシール60は、プライマリピストン23が非制動状態にある非制動位置から底部13側に少なくともストロークS1を移動してポート102をカップシール60よりも底部13側に位置させると、それまでポート102を介して連通していたプライマリ補給路63とプライマリ圧力室65との間を密封可能、つまり、プライマリ圧力室65と、プライマリ補給路63およびリザーバ12との連通を遮断可能となっている。すなわち、このストロークS1が、プライマリピストン23においてホイールシリンダBa,Bbへ作動液の供給を行なわない、言い換えれば、ホイールシリンダBa,Bbの液圧を上昇させない、無効ストロークとなっており、セカンダリピストン24の無効ストロークと同じ長さとなっている。言い換えれば、プライマリピストン23とセカンダリピストン24とが同じ無効ストロークで同時にポート102、ポート89を閉じる。
そして、プライマリピストン23は、上記のようにポート102をカップシール60よりも底部13側に位置させた状態で、底部13側にさらに移動することで、プライマリ圧力室65内の作動液を加圧してプライマリ吐出路40からホイールシリンダBa,Bbに供給することになる。なお、このカップシール60は、プライマリ補給路63つまりリザーバ12の圧力(大気圧)よりもプライマリ圧力室65の圧力が低くなると、シール溝44および連通溝64を介して作動液がプライマリ補給路63からプライマリ圧力室65に流れるのを許容する。
反力ピストン25は、倍力装置201を介してブレーキペダルPBに反力を付与するもので、円筒部112と、円筒部112の軸線方向における中間位置に形成された底部113とを有する形状をなしている。上記内周孔31,32は、これら円筒部112および底部113により形成されている。反力ピストン25は、内周孔31をシリンダ本体16内のプライマリピストン23側に配置した状態で、シリンダ本体16の摺動内径部21に設けられたカップシール70および区画シール83のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合されている。円筒部112の軸方向の内周孔31側には、径方向に貫通するポート115が複数放射状に形成されている。ここで、内周孔32の内側には倍力装置201の出力軸が挿入され、この出力軸によって反力ピストン25の底部113が押圧されることになる。
プライマリピストン23と反力ピストン25との間には、ブレーキペダルPB側(図2における右側)から入力がない非制動状態で、倍力装置201との協働でこれらの間隔を決める反力バネ118を含む間隔調整部119が設けられている。この間隔調整部119は、プライマリピストン23の内周孔28に挿入されて底部100に螺合する軸部材120と、軸部材120に係合するとともに反力ピストン25の内周孔31に挿入されて底部113に当接する係止部材121とを有している。係止部材121は軸部材120に対し所定の範囲内でのみ移動可能とされている。上記反力バネ118は、プライマリピストン23の底部100と係止部材121との間に介装されている。
ここで、シリンダ本体16内に、その筒部14の開口部15側とプライマリピストン23と反力ピストン25とで画成される部分が、上記した反力液室80となっている。よって、反力ピストン25とプライマリピストン23との間に形成されるこの反力液室80内に、反力バネ118が配置されている。この反力液室80は、反力ピストン25がポート115を開口溝72に開口させる位置にあるとき、連通路81に連通するようになっている。なお、反力バネ118は、ブレーキペダルPBの踏む込み操作によって反力ピストン25の円筒部112をプライマリピストン23の円筒部99に当接させることが可能な設定となっている。つまり、非制動時には、間隔調整部119によって反力ピストン25とプライマリピストン23とが離間しており、反力ピストン25がこの非制動時の位置から所定量移動したときにプライマリピストン23に当接してこれを押圧可能となっている。
シリンダ本体16のシール溝46に保持されるカップシール70も、カップシール50,60と同様、その中心線を含む径方向断面の片側形状がE字状をなしている。このカップシール70は、反力ピストン25がポート115をカップシール70よりも底部13側に位置させた状態では、連通路81と反力液室80との間を密封可能、つまり、反力液室80とリザーバ12との連通を遮断可能となっている。言い換えれば、カップシール70は、シリンダ本体16に対して反力ピストン25が移動することに伴って連通路81と反力液室25との連通を遮断して反力液室80の作動液を閉じ込める。そして、このカップシール70により連通路81と反力液室80との間が連通状態から遮断状態となるまでの間、途中にオリフィス79が設けられた連通路81が反力液室80の作動液をリザーバ12へ移動するようになっている。なお、反力ピストン25が非制動位置から移動してそのポート115がカップシール70により閉じられるまでの距離S2は、反力ピストン25が非制動位置から移動して非制動位置にあるプライマリピストン23に当接するまでの距離S3と等しくなっている。なお、カップシール70は、連通路81つまりリザーバ12の圧力(大気圧)よりも反力液室80の圧力が低くなると、シール溝46および連通溝82を介して作動液が連通路81から反力液室80に流れるのを許容する。
次に、第1実施形態のマスタシリンダ11の作動について説明する。
図2は、反力ピストン25、プライマリピストン23およびセカンダリピストン24が、ブレーキペダルPBに入力がない非制動時の状態を示している。この非制動時の非制動位置では、反力ピストン25は、ポート115によって連通路81と反力液室80とを連通させており、その結果、反力液室80をリザーバ12に連通させている。また、上記した非制動時の非制動位置では、プライマリピストン23は、ポート102によってプライマリ補給路63とプライマリ圧力室65とを連通させており、その結果、プライマリ圧力室65をリザーバ12に連通させている。さらに、上記した非制動時の非制動位置では、セカンダリピストン24は、ポート89によってセカンダリ補給路53とセカンダリ圧力室55とを連通させており、その結果、セカンダリ圧力室55をリザーバ12に連通させている。
このような非制動状態から、ブレーキペダルPBへの操作入力があると、この入力によって倍力装置201が反力ピストン25をシリンダ本体16の底部13側に押圧することになる。このとき、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時には、反力ピストン25が、間隔調整部119の反力バネ118を縮長させながら反力液室80側に移動しても、反力液室80からオリフィス79を有する連通路81を介して流れる作動液の流量が少ないため、反力液室80の作動液が円滑に連通路81からリザーバ12側に流れ、反力液室80の液圧は高まらず、プライマリピストン23およびセカンダリピストン24は移動しない。そして、反力ピストン25は、ポート115がカップシール70で閉塞されるまで上記ストロークS2(=S3)分を移動してから、プライマリピストン23に当接して、これを押圧する。
すると、非制動位置にあって、ポート102によってプライマリ圧力室65をリザーバ12に連通させていたプライマリピストン23と、ポート89によってセカンダリ圧力室55をリザーバ12に連通させていたセカンダリピストン24とが、間隔調整部106の付勢力により一体に、間隔調整部93のセカンダリピストンバネ92を押し縮めながら、上記したストロークS1を移動する。すると、プライマリピストン23のポート102がカップシール60で閉じられると同時にセカンダリピストン24のポート89がカップシール50で閉じられる。そして、プライマリピストン23およびセカンダリピストン24がさらに底部13側に移動する。すると、プライマリピストン23がプライマリ圧力室65からプライマリ吐出路40を介してホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給すると同時に、セカンダリピストン24がセカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このように、緩制動時および通常制動時の無効ストロークは、S1+S2(=S1+S3)となる。
他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、反力ピストン25が緩制動時および通常制動時よりも速い速度で、間隔調整部119の反力バネ118を縮長させながら反力液室80側に移動することになる。
すると、反力液室80からオリフィス79を有する連通路81を介して流れる作動液の流量が多くなるため、作動液はオリフィス79で流路が絞られてリザーバ12側に流れることができず、反力液室80に実質的に封じ込まれ反力液室80の液圧が高まる。これにより、反力ピストン25がプライマリピストン23に当接する前、つまり上記ストロークS2(=S3)を移動する前に、非制動位置にあって、ポート102によってプライマリ圧力室65をリザーバ12に連通させていたプライマリピストン23と、ポート89によってセカンダリ圧力室55をリザーバ12に連通させていたセカンダリピストン24とが、間隔調整部106の付勢力により一体に、間隔調整部93のセカンダリピストンバネ92を縮めながら、上記したストロークS1を移動する。すると、上記と同様にして、プライマリ圧力室65からホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給すると同時に、セカンダリ圧力室55からホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給することになる。
つまり、反力ピストン25とプライマリピストン23との間に隙間がある状態で、反力ピストン25、プライマリピストン23およびセカンダリピストン24が移動することになり、実質的な無効ストロークは、上記したS1+S2(=S1+S3)よりも短くなる。なお、このマスタシリンダ11は、上記したように同じ無効ストロークでプライマリピストン23のポート102およびセカンダリピストン24のポート89を閉じる無効ストローク同閉タイプとなっている。
以上に述べた第1実施形態のマスタシリンダ11によれば、反力ピストン25とプライマリピストン23との間の反力液室80とリザーバ12との間を連通する連通路81にオリフィス79を設けている。このため、緩制動時および普通制動時には、オリフィス79を介して反力液室80の作動液をリザーバ12に逃がす(流出させる)ことができ、反力ピストン25が、非制動時の位置から所定量S3を移動してプライマリピストン23に当接するまでを無効ストロークにできる。また、急制動時にはオリフィス79を介して反力液室80の作動液をリザーバ12に逃がす(流出させる)ことができず、反力ピストン25が、非制動時の位置からプライマリピストン23に当接する前に、反力液室80の液圧でプライマリピストン23を押圧して無効ストロークを終わらせることになる。したがって、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くして無効ストロークの長大化を抑制できることになる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態に係るマスタシリンダを主に図3に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、反力液室80とリザーバ12との間を連通する連通路81を構成する液通路71と取付穴37とが、第1実施形態と相違している。液通路71には第1実施形態のオリフィス79は設けられていない。また、液通路71は、第1実施形態と同様のシリンダ軸方向に沿う通路穴74および通路穴74の開口端を封止するボール76と、第1実施形態とは異なり、開口溝72と通路穴74とを連通させるように、開口溝72側からシリンダ径方向に形成された円弧状の連通溝131とを有している。
また、連通路81を構成する取付穴37に、リザーバ12からプライマリ圧力室65および反力液室80に作動液を補給する際に開かれる逆止弁からなる弁機構133が設けられている。この弁機構133は、取付穴37内に嵌合されるベース部材134と、ベース部材134の連通穴61側に内周縁が係止されて取り付けられた弾性変形可能な環状の弁板135と、ベース部材134の弁板135とは反対側で取付穴37に係止される止め輪136と、ベース部材134と取付穴37との隙間を封止するOリング137とを有している。
そして、ベース部材134には、弁板135で開閉可能な位置に複数の通路穴138が軸方向に沿って形成されており、弁板135で閉塞されない中央位置にオリフィス139が形成されている。弁機構133は、プライマリ圧力室65側および反力液室80側の液圧が大気圧であるリザーバ12側の液圧よりも低くなると、弁板135が弾性変形して通路穴138を開き、オリフィス139とともにリザーバ12から液補給を行う。このときに限り通路穴138は連通路81を構成する。これに対し、オリフィス139は常に連通路81を構成する。通路穴138が弁板135で閉塞された状態では、この連通路81内で、オリフィス139が最も小径であり流路断面積が最小となっている。
このような第2実施形態のマスタシリンダ11も、第1実施形態と同様に作動する。つまり、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時は、反力液室80から連通路81に流れる作動液がオリフィス139を円滑に流れることになって無効ストロークがS1+S2(=S1+S3)となる。他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、反力液室80から連通路81に流れる作動液の流れをオリフィス139が阻害することになり反力液室80の液圧を高めることになって、S1+S2(=S1+S3)よりも無効ストロークが短くなる。このマスタシリンダ11も、無効ストローク同閉タイプとなっている。
このように第2実施形態によっても、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くしてその長大化を抑制できることになる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態に係るマスタシリンダを主に図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、反力液室80とリザーバ12との間を連通する第1実施形態の連通路81は設けられていない。代わりに、反力液室80とプライマリ圧力室65とを間を連通する連通路141がプライマリピストン23の底部100に形成されている。この連通路141は、プライマリピストン23の底部100の中央に穿設された通路穴142により形成されている。通路穴142は、反力液室80への開口側が大径の大径穴143とされ、プライマリ圧力室65への開口側が大径穴143よりも小径のオリフィス144とされた段付き形状をなしている。この連通路141内で、オリフィス144が最も小径であり流路断面積が最小となっている。
上記に伴い、第1実施形態のシール溝46、開口溝72、連通溝82およびカップシール70は設けられていない。また、反力ピストン25の円筒部112は底部113よりもプライマリピストン23側に突出しておらず、第1実施形態のポート115も設けられていない。そして、反力ピストン25の底部113の中央に、プライマリピストン23側に突出する突出部145が形成されている。そして、反力バネ118がこの突出部145を内側に嵌合させた状態で、反力ピストン25の底部113とプライマリピストン23の底部100との間に介装されている。
次に、第3実施形態のマスタシリンダ11の作動について説明する。
第1実施形態と同様の非制動状態から、ブレーキペダルPBへの操作入力があり、この入力によって倍力装置201が反力ピストン25をシリンダ本体16の底部13側に押圧することになる。このとき、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時には、反力ピストン25が反力バネ118を縮長させながら反力液室80側に移動しても、反力液室80からオリフィス144を有する連通路141を介して流れる作動液の流量が少ないため、作動液が円滑に連通路141からプライマリ圧力室65側に流れ、反力液室80の液圧は高まらない。また、プライマリ圧力室65側に流れた作動液は、非制動位置にあるプライマリピストン23のポート102からプライマリ補給路63を介してリザーバ12に排出されることになり、プライマリピストン23は非制動位置に維持される。そして、反力ピストン25が非制動位置から移動して非制動位置にあるプライマリピストン23に当接するまでの距離S3を移動して、プライマリピストン23に当接して、これを押圧する。
すると、第1実施形態と同様に、プライマリピストン23とセカンダリピストン24とが、一体に上記したストロークS1を移動して、プライマリ圧力室65からプライマリ吐出路40を介してホイールシリンダBa,Bbに、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに、それぞれ作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S1+S3となる。
他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、反力ピストン25が通常制動時よりも速い速度で、間隔調整部119の反力バネ118を縮長させながら反力液室80側に移動することになる。すると、反力液室80からオリフィス144を有する連通路141を介して流れる作動液の流量が多いため、作動液はオリフィス144で絞られてプライマリ圧力室65側に流れることができず、反力液室80に実質的に封じ込まれ反力液室80の液圧が高まる。これにより、反力ピストン25がプライマリピストン23に当接する前、つまり上記ストロークS3を移動する前に、非制動位置にあったプライマリピストン23とセカンダリピストン24とが一体に、上記したストロークS1を移動して、プライマリ圧力室65からプライマリ吐出路40を介してホイールシリンダBa,Bbに、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc、Bdに、それぞれ作動液を供給する。このときの無効ストロークは、上記したS1+S3よりも短くなる。このマスタシリンダ11も、無効ストローク同閉タイプとなっている。
以上に述べた第3実施形態のマスタシリンダ11によれば、反力ピストン25とプライマリピストン23との間の反力液室80とプライマリ圧力室65との間を連通する連通路141にオリフィス144を設けた。このため、緩制動時および普通制動時には、オリフィス144を介して反力液室80の作動液をプライマリ圧力室65を介してリザーバ12に逃がすことができ、反力ピストン25が、非制動時の位置から所定量S3を移動してプライマリピストン23に当接するまでを無効ストロークにできる。急制動時にはオリフィス144を介して反力液室80の作動液をプライマリ圧力室65に逃がすことができず、反力ピストン25が、非制動時の位置から所定量S3を移動する前に、反力液室80の液圧でプライマリピストン23を押圧してプライマリピストン23を移動させて無効ストロークを終わらせることになる。したがって、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くしてその長大化を抑制できることになる。
また、部品点数および加工箇所を削減することができ、コストを低減することができる。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態に係るマスタシリンダを主に図5に基づいて第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第4実施形態においては、反力ピストン25がプライマリピストン23内に設けられている。そして、プライマリピストン23をシリンダ本体16に密閉状態で支持するための第3実施形態の区画シール67およびこれを保持するシール溝45が設けられておらず、代わりに、区画シール83およびこれを保持するシール溝47が、開口溝62に近接してその開口部15側に設けられている。また、反力ピストン25とプライマリピストン23とが軸方向に重なる分、シリンダ本体16の軸方向長さが短くなっている。
第4実施形態の反力ピストン25は、円筒部112が底部113の軸方向両側に延出しており、プライマリピストン23側の内周孔31内に反力バネ118が挿入されている。円筒部112の外周側の軸方向中間所定範囲に、円環状の溝151が形成されており、溝151のプライマリピストン23側には内周孔31に開口する連通穴152が複数放射状に形成されている。溝151の内周孔32側には、溝151よりも深い円環状のシール溝153が形成されており、このシール溝153には、反力ピストン25とプライマリピストン23との隙間をシールする区画シール154が設けられている。また、シリンダ本体16の開口部15には、プライマリピストン23および反力ピストン25の抜け止め用のストッパ155が取り付けられている。
このような第4実施形態のマスタシリンダ11も、第3実施形態と同様に作動する。つまり、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時は、プライマリピストン23と反力ピストン25との間の反力液室80の作動液が、反力ピストン25がプライマリピストン23の底部100に当接するまで、オリフィス144を円滑に流れることになって、無効ストロークがS1+S3となる。他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、オリフィス144が作動液の流れを阻害することになり、反力液室80の液圧を高めることになって、反力ピストン25がプライマリピストン23の底部100に当接する前にプライマリピストン23およびセカンダリピストン24が移動を開始し、S1+S3よりも無効ストロークが短くなる。
このように第4実施形態によっても、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くしてその長大化を抑制できることになる。加えて、第4実施形態のマスタシリンダ11によれば、プライマリピストン23内に反力ピストン25を配置したため、全長の短縮化を図ることができる。
「第5実施形態」
次に、第5実施形態に係るマスタシリンダを主に図6および図7に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第5実施形態においては、第2実施形態の反力ピストン25が設けられておらず、よって、プライマリピストン23の内周孔28の内側に倍力装置201の出力軸が挿入され、この出力軸によってプライマリピストン23の底部100が押圧されることになる。このプライマリピストン23は、円筒部99の外径側が、軸方向の内周孔27側が小径外径部161とされ、内周孔28側が小径外径部161よりも大径の大径外径部162とされた段付き形状をなしている。加えて、大径外径部162の小径外径部161側には円環状の環状溝163が形成されており、大径外径部162の環状溝163と小径外径部161との間には軸方向に貫通する軸方向溝164が形成されている。
プライマリピストン23に合わせて、シリンダ本体16も開口部15側に摺動内径部21よりも大径の大径摺動内径部165が形成され、摺動内径部21と大径摺動内径部165との間には大径摺動内径部165よりも大径の大径内径部166が形成されている。そして、摺動内径部21には、第2実施形態のシール溝45、区画シール67および開口溝62は設けられておらず、カップシール60を保持するシール溝44および連通溝64のみが形成されている。また、大径摺動内径部165に、シール溝46、開口溝72およびシール溝47が形成され、シール溝46にカップシール70が、シール溝47に区画シール83が配置されている。
プライマリピストン23は、小径外径部161において摺動内径部21およびカップシール60に摺動可能に支持され、大径外径部162において大径摺動内径部165、カップシール70および区画シール83に摺動可能に支持される。
そして、シリンダ本体16の大径摺動内径部165および大径内径部166と、プライマリピストン23との間が大径与圧室169となっている。この大径与圧室169は、プライマリピストン23の底部13への移動時にプライマリ圧力室65により多くの作動液を導入するために設けられている。そして、プライマリ補給路63を構成する連通穴61は、取付穴37をこの大径与圧室169に連通させている。つまり、プライマリ補給路63は、大径与圧室169を介してリザーバ12とプライマリ圧力室65とを連通させている。加えて、液通路71の通路穴74は、取付穴37の弁機構133よりもリザーバ12に開口している。
シリンダ本体16のシール溝46に保持されるカップシール70は、環状溝163をカップシール70よりも開口部15側に位置させた状態では、液通路71と大径与圧室169とを環状溝163および軸方向溝164を介して連通させる一方、環状溝163をカップシール70よりも底部13側に位置させた状態では、液通路71と大径与圧室169との間を密封可能となっている。
図7に示すように、弁機構133には、ベース部材134と止め輪136との間に、ベース部材134とでオリフィス139に連通する弁室171を形成する蓋部材172と、蓋部材172を係止する係止部材173とが設けられている。蓋部材172には流路面積を小さくしたオリフィス139と同軸に、同様に流路面積を小さくしたオリフィス174が形成されており、弁室171はこのオリフィス174を介してリザーバ12に連通する。弁室171内にはオリフィス139およびオリフィス174を開閉可能な球状の弁体175が収納されている。
なお、弁体175は、オリフィス139を通過して弁室171に流入する作動液の流速に応じて弁室171のオリフィス174側の弁座176に対し離間および当接することになる。つまり、オリフィス139を通過して弁室171に流入する作動液の流速が遅ければ、弁体175は、作動液で若干押し上げられて弁座176から離間する状態となって、オリフィス139、弁室176およびオリフィス174を含むプライマリ補給路63を連通状態とする。他方、オリフィス139を通過して弁室171に流入する作動液の流速が速ければ、弁体175は、作動液で大きく押し上げられて、図7(b)に示すように弁座176に当接する状態となって、弁室176とオリフィス174との間でプライマリ補給路63を遮断状態とする。よって、弁体175と弁座176とが、流路面積を小さくしたオリフィス139よりもリザーバ12側に設けられ、オリフィス139を通過する作動液の流速に応じてプライマリ補給路63を連通および遮断する開閉弁177を構成している。また、弁室71のオリフィス139側にも、弁体175が当接することでオリフィス139と弁室71との連通を遮断する弁座178が形成されている。
次に、第5実施形態のマスタシリンダ11の作動について説明する。
図6は、プライマリピストン23およびセカンダリピストン24が、ブレーキペダルPBに入力がない非制動時の状態を示している。この非制動時の非制動位置では、プライマリピストン23は、ポート102によって、プライマリ補給路63を大径与圧室169を介してプライマリ圧力室65に連通させており、その結果、プライマリ圧力室65をリザーバ12に連通させている。また、環状溝163および軸方向溝164によって液通路71を介して大径与圧室169とリザーバ12とを連通させている。上記非制動位置では、セカンダリピストン24は、第2実施形態と同様、ポート89によってセカンダリ補給路53とセカンダリ圧力室55とを連通させている。
この非制動状態から、ブレーキペダルPBへの操作入力があり、この入力によって倍力装置201がプライマリピストン23の底部100をシリンダ本体16の底部13側に押圧することになる。このとき、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時には、プライマリピストン23が、間隔調整部106のプライマリピストンバネ105を縮長させながら底部13側にストロークS13を移動してカップシール70により、環状溝163および軸方向溝164による液通路71と大径与圧室169との連通を遮断することになり、その後、底部13側にさらに移動すると、大径与圧室169の容積を減少させる。このとき、大径与圧室169の作動液は、プライマリ補給路63に導入され弁機構133の弁体175を押し上げながら、オリフィス139を有するプライマリ補給路63を介して流れることになるが、オリフィス139を流れる作動液の流量が少ないため、図7(a)に示す状態から、作動液は弁体175を若干押し上げながら円滑にオリフィス139、弁室171およびオリフィス174を介してリザーバ12側に流れる。その結果、大径与圧室169およびプライマリ圧力室65の液圧は高まらず、セカンダリピストン24も移動しない。そして、プライマリピストン23は、そのポート102がカップシール60で閉塞されるまでのストロークS12をプライマリピストンバネ105を押し縮めながら移動する。
プライマリピストン23が、ストロークS12を移動すると、プライマリ圧力室65を大径与圧室169に連通させていたプライマリピストン23のポート102が、カップシール60で閉じられ、プライマリピストン23がさらに底部13側に移動することで、プライマリ圧力室65からプライマリ吐出路40を介してホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給する。このように、カップシール(シール部材)60は、シリンダ本体16に対してプライマリピストン23が移動することに伴ってプライマリ補給路63および大径与圧室169とプライマリ圧力室65との間を連通および遮断する。そして、このときのプライマリ圧力室65の圧力上昇で、それまでポート89によってセカンダリ圧力室55をリザーバ12に連通させていたセカンダリピストン24が、間隔調整部93のセカンダリピストンバネ92を押し縮めながら、ストロークS11を移動する。すると、セカンダリピストン24のポート89がカップシール50で閉じられ、セカンダリピストン24がさらに底部13側に移動することで、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S11+S12+S13となる。(S12>S11=S13)
他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、プライマリピストン23が通常制動時よりも速い速度で、プライマリピストンバネ105を押し縮めながら底部13側に移動することになる。すると、プライマリピストン23が、底部13側にストロークS13を移動してカップシール70により、環状溝163および軸方向溝164による液通路71と大径与圧室169との連通を遮断することになり、その後、底部13側にさらに移動して、大径与圧室169の容積を減少させる。このとき、大径与圧室169の作動液は、弁機構133の弁体175を押し上げながら、オリフィス139を有するプライマリ補給路63を介してリザーバ12側に流れようとすることになるが、オリフィス139を流れる作動液の流量が多いため、図7(b)に示すように、弁体175が弁座176に当接して開閉弁177がオリフィス174を閉塞させることになり、プライマリ補給路63からリザーバ12側に作動液が流れることができなくなり、大径与圧室169およびプライマリ圧力室65の液圧が高まる。その結果、ストロークS12を移動する前に、プライマリ圧力室65からホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給することになり、このプライマリ圧力室65の圧力上昇でセカンダリピストン24がストロークS11を移動して、そのポート89がカップシール50で閉じられ、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S11+S12+S13よりも短くなる。このマスタシリンダ11は、上記したように異なる無効ストロークでプライマリピストン23のポート102およびセカンダリピストン24のポート89を閉じる無効ストローク非同閉タイプとなっている。
なお、大径与圧室169およびプライマリ圧力室65の液圧が大気圧であるリザーバ12側の液圧よりも低くなると、リザーバ12側から大径与圧室169およびプライマリ圧力室65に作動液を補給することになるが、このとき、図7(c)に示すように、弁体175が弁座178に当接してオリフィス139を閉じてしまうものの、弁板135が弾性変形して通路穴138を開き、リザーバ12から液補給を行うことになる。
以上に述べた第5実施形態のマスタシリンダ11によれば、リザーバ12とプライマリ圧力室65との間を大径与圧室169を介して連通する連通路であるプライマリ補給路63に、流路面積を小さくしたオリフィス139と、このオリフィス139を通過する作動液の流速に応じてプライマリ補給路63を連通および遮断する開閉弁177とを設けた。このため、緩制動時および普通制動時には、オリフィス139を流れる作動液の流速が遅いことから、開閉弁177を開いてプライマリ圧力室65および大径与圧室169の作動液をプライマリ補給路63からリザーバ12に逃がすことができ、プライマリピストン23がポート102をカップシール60で閉じるまでを無効ストロークにできる。他方、急制動時にはオリフィス139を流れる作動液の流速が速いため、開閉弁177を閉じてプライマリ圧力室65および大径与圧室169の作動液をリザーバ12に逃がすことができない状態とし、プライマリピストン23がポート102をカップシール60で閉じる前に無効ストロークを終わらせることができる。したがって、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くしてその長大化を抑制できることになる。
「第6実施形態」
次に、第6実施形態に係るマスタシリンダを主に図8に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第6実施形態において、プライマリピストン23は、円筒部99の外径側が、第5実施形態とは相違して段付き形状とはなっていない。これに合わせて、シリンダ本体16も第5実施形態の大径摺動内径部165は形成されていない。そして、摺動内径部21に、カップシール60を保持するシール溝44と、開口溝72と、区画シール83を保持するシール溝47とが形成されている。また、開口溝72を弁機構133よりもリザーバ12側に連通させる第5実施形態の液通路71は形成されておらず、プライマリ補給路63の連通穴61が開口溝72に開口している。プライマリピストン23は、摺動内径部21、カップシール60および区画シール83に摺動可能に支持される。
次に、第6実施形態のマスタシリンダ11の作動について説明する。
図8に示す非制動状態から、ブレーキペダルPBへの操作入力があり、この入力によって倍力装置201がプライマリピストン23をシリンダ本体16の底部13側に押圧することになる。このとき、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時には、第5実施形態と同様に、プライマリピストン23が底部13側にストロークS12を移動することになり、プライマリ圧力室65の容積を減少させることになるが、プライマリ圧力室65の作動液は、ポート102およびプライマリ補給路63を介してリザーバ12に流れる。このとき、プライマリ補給路63のオリフィス139を流れる作動液は、その流速が遅いため、弁体175を若干押し上げながら円滑にリザーバ12側に流れ、プライマリ圧力室65の液圧は高まらず、よってセカンダリピストン24も移動しない。
そして、プライマリピストン23が、そのポート102をカップシール60で閉塞させるまでのストロークS12を移動すると、プライマリ圧力室65をプライマリ補給路63に連通させていたポート102がカップシール60で閉じられる。プライマリピストン23がさらに底部13側に移動することで、プライマリ圧力室65からプライマリ吐出路40を介してホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給する。また、このときのプライマリ圧力室65の圧力上昇で、セカンダリピストン24がストロークS11を移動して、そのポート89をカップシール50で閉塞させ、さらに底部13側に移動して、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S11+S12となる。
他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、プライマリピストン23が通常制動時よりも速い速度で、プライマリピストンバネ105を押し縮めながら底部13側に移動することになる。すると、プライマリ圧力室65の作動液は、ポート102およびプライマリ補給路63を介してリザーバ12に流れようとするが、オリフィス139を流れる流速が速いため、第5実施形態と同様、弁体175が弁室171とオリフィス174との連通を遮断することになり、リザーバ12に流れず、プライマリ圧力室65の液圧が高まる。その結果、ストロークS12を移動する前に、プライマリ圧力室65からホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給するとともに、プライマリ圧力室65の圧力上昇でセカンダリピストン24がストロークS11を移動して、ポート89をカップシール50で閉塞させた後、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S11+S12よりも短く、実質的にS11程度になる。このマスタシリンダ11も無効ストローク非同閉タイプとなっている。
このように第6実施形態によっても、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くしてその長大化を抑制できることになる。
参考技術
次に、参考技術に係るマスタシリンダを主に図9に基づいて第6実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第6実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
参考技術においては、弁機構133は設けられていない。また、シリンダ本体16の摺動内径部21には、カップシール60を保持するシール溝44と開口溝72との間にシール溝181が形成され、シール溝181にカップシール182が保持されている。カップシール182も、その中心線を含む径方向断面の片側形状がE字状をなしている。このカップシール182は、プライマリピストン23がポート102をカップシール182よりも開口部15側に位置させた状態では、プライマリ補給路63とプライマリ圧力室65とをポート102を介して連通させる一方、ポート102をカップシール182よりも底部13側に位置させた状態では、プライマリ補給路63とプライマリ圧力室65との間を密封可能となっている。
これにより、プライマリ補給路(第1の連通路)63は、シリンダ本体16の内周面に開口して設けられプライマリピストン23が非制動時の位置にあるときにリザーバ12とプライマリ圧力室65との間を連通する。また、プライマリ補給路63よりもシリンダ本体16の底部13側に、シリンダ本体16の軸方向に並んで、プライマリピストン23の外周面が摺動する一対のカップシール(シール部材)60,182が配置されている。
そして、シリンダ本体16の取付穴37の底部には、一対のカップシール60,182の間でシリンダ本体16の内周面に開口する連通路184が形成されている。この連通路184は取付穴37側が大径の通路穴185とされ、取付穴37とは反対側が通路穴185よりも小径のオリフィス186となっている。この連通路184は、プライマリピストン23のポート108がカップシール60,182間に位置するときにリザーバ12とプライマリ圧力室65との間をポート108を介して連通させる。なお、プライマリピストン23のポート108が、カップシール182と重なっていても、プライマリ圧力室65の液圧がリザーバ12の液圧よりも高ければ、カップシール182が開いて、ポート10、シール溝181および連通路184を介して、リザーバ12とプライマリ圧力室65との間が連通する。
次に、参考技術のマスタシリンダ11の作動について説明する。
図9に示す非制動状態から、ブレーキペダルPBへの操作入力があり、この入力によって倍力装置201がプライマリピストン23をシリンダ本体16の底部13側に押圧することになる。このとき、ブレーキペダルPBの操作入力が緩操作である緩制動時および通常操作である通常制動時には、プライマリピストン23が、間隔調整部106のプライマリピストンバネ105を縮長させながら底部13側にストロークS21を移動してポート108をカップシール182に重ねつつプライマリ圧力室65の容積を減少させる。このとき、プライマリ圧力室65の作動液は、カップシール182を開いて連通路184に導入され、その後、カップシール60,182の間から連通路184に導入されることになる。その際に、オリフィス186を流れる作動液の流量が少ないため、作動液は円滑に連通路184を介してリザーバ12側に流れ、プライマリ圧力室65の液圧は高まらず、よって、セカンダリピストン24も移動しない。そして、プライマリピストン23がそのポート102がカップシール60で閉塞されるまでのストロークS22をプライマリピストンバネ105を押し縮めながら移動する。
プライマリピストン23が、ストロークS22を移動すると、プライマリ圧力室65を連通路184に連通させていたプライマリピストン23のポート102が、カップシール60で閉じられ、プライマリピストン23がさらに底部13側に移動することで、プライマリ圧力室65からプライマリ吐出路40を介してホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給する。また、このときのプライマリ圧力室65の圧力上昇で、それまで、ポート89によってセカンダリ圧力室55をリザーバ12に連通させていたセカンダリピストン24が、間隔調整部93のセカンダリピストンバネ92を縮めながら、ストロークS21を移動する。すると、セカンダリピストン24のポート89がカップシール50で閉じられ、セカンダリピストン24がさらに底部13側に移動することで、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S21+S22となる。
他方、ブレーキペダルPBの操作入力が急操作である急制動時には、プライマリピストン23が通常制動時よりも速い速度で、プライマリピストンバネ105を押し縮めながら底部13側に移動することになる。すると、プライマリ圧力室65の作動液は、上記と同様にカップシール182を開き、あるいはカップシール60,182の間から直接、連通路184に導入されることになるが、オリフィス186を流れる作動液の流量が多いため、オリフィス186で流量が絞られることになり、連通路184からリザーバ12側に作動液が流れることができず、プライマリ圧力室65の液圧が高まる。その結果、ストロークS22を移動する前に、プライマリ圧力室65からホイールシリンダBa,Bbに作動液を供給するとともに、プライマリ圧力室65の圧力上昇でセカンダリピストン24がストロークS21を移動して、ポート89がカップシール50で閉じられ、セカンダリピストン24がさらに底部13側に移動することで、セカンダリ圧力室55からセカンダリ吐出路39を介してホイールシリンダBc,Bdに作動液を供給する。このときの無効ストロークは、S21+S22よりも短くなる。このマスタシリンダ11も無効ストローク非同閉タイプとなっている。
このように参考技術によっても、緩制動時および普通制動時には、無効ストロークを長くして回生効率向上に寄与でき、その上で、急制動時には、無効ストロークを短くしてその長大化を抑制できる。
11 マスタシリンダ
12 リザーバ
16 シリンダ本体
23 プライマリピストン(液圧ピストン)
25 反力ピストン
60 カップシール(シール部材)
63 プライマリ補給路(連通路,第1の連通路)
65 プライマリ圧力室(圧力室)
70 カップシール(シール部材)
79 オリフィス
80 反力液室
81 連通路
118 反力バネ
139 オリフィス
141 連通路
144 オリフィス
177 開閉弁
182 カップシール
184 連通路(第2の連通路)
186 オリフィス

Claims (3)

  1. リザーバから作動液が導入される有底筒状のシリンダ本体と、
    該シリンダ本体に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体内に圧力室を画成する液圧ピストンと、
    該液圧ピストンよりも前記シリンダ本体の開口側に設けられ非制動時の位置からブレーキペダルの操作入力によって所定量移動したときに前記液圧ピストンを押圧する反力ピストンと、
    該反力ピストンと前記液圧ピストンとの間に形成され反力バネが配置される反力液室と、
    該反力液室と前記リザーバとの間を連通する連通路と、
    前記シリンダ本体に対して前記反力ピストンが移動することに伴って前記連通路と前記反力液室との連通を遮断して前記反力液室の作動液を閉じ込めるシール部材と、を備え、
    前記連通路は、前記シール部材により前記連通路と前記反力液室との間が連通状態から遮断状態となるまでの間に前記反力液室の作動液が前記リザーバへ移動するようになっており、途中にオリフィスが設けられ
    前記オリフィスは、前記ブレーキペダルの操作入力が緩操作であるときに、前記反力ピストンが前記液圧ピストンに当接するように、前記反力液室から前記リザーバへ作動液を円滑に流し、前記ブレーキペダルの操作入力が前記緩操作よりも速い速度の急操作であるときに、前記反力液室の液圧が高まるように、前記反力液室から前記リザーバへ作動液の流れを阻害する大きさとなっていることを特徴とするマスタシリンダ。
  2. リザーバから作動液が導入される有底筒状のシリンダ本体と、
    該シリンダ本体に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体内に圧力室を画成する液圧ピストンと、
    前記圧力室よりも前記シリンダ本体の開口側に設けられブレーキペダルの操作に応じて移動して非制動位置から所定量移動したときに前記液圧ピストンを押圧する反力ピストンと、
    該反力ピストンと前記液圧ピストンとの間に形成され反力バネが配置される反力液室と、を備え、
    該反力液室と前記圧力室との間を連通し、途中にオリフィスが設けられている連通路を有することを特徴とするマスタシリンダ。
  3. リザーバから作動液が導入される有底筒状のシリンダ本体と、
    該シリンダ本体に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体内に圧力室を画成するピストンと、
    前記リザーバと前記圧力室との間を連通する連通路と、
    前記シリンダ本体に対して前記ピストンが移動することに伴って前記連通路と前記圧力室との間を連通および遮断するシール部材と、を備え、
    前記連通路には、流路面積を小さくしたオリフィスと、該オリフィスよりも前記リザーバ側に設けられ、前記オリフィスを通過する作動液の流速に応じて前記オリフィスを連通および遮断する開閉弁と、前記オリフィスと並列に前記リザーバと前記圧力室との間を連通する通路の前記圧力室から前記リザーバへの作動液の流れを遮断し、前記リザーバから前記圧力室への作動液の流れを許容する逆止弁と、が設けられていることを特徴とするマスタシリンダ。
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