JP5718507B1 - 3又の調整機構を備えたカツラベース - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、頭皮からカツラベースが浮き上がらないようにすべく、カツラベースの耳周り形状に沿った「くり部」に、金属線やプラスチック材等の剛性部材、または鋼材を挿入すると共に樹脂で硬化させ、当該「くり部」の伸びや変形を抑えている。
特許文献3のカツラでは、カツラベースのサイド部の一部、サイド部の前側に連結されたサイドプロテクタの一部、またはネープ部の中央領域を、ポリウレタン等の弾性ネットで形成し、浮き上がりや、ずり上がりを防止している。
また特許文献5には、ネープ部及びサイド部の浮き上がりや、ずり上がりを解消し快適な装着感が得られるようにしたカツラが開示されている。
このような構成を採用した場合には、単に伸縮可能な調整ベルトだけで微調整する場合と比べて、大きなスケールでのサイズ調整も可能となる。
カツラベース1は、次に説明する4つの領域からなり、これらを適宜縫い合わせて構成される。
(a)着用者の後頭部を覆う後頭部ベースA。
(b)後頭部ベースAに連接されていて、着用者の頭頂部から前頭部を覆う天頂部ベースB。
(c)後頭部ベースAおよび天頂部ベースBに連接されていて、着用者の側頭部を覆うサイドベースC。なお、サイドベースCは、少なくとも天頂部ベースBに連接されていれば足り、必ずしも後頭部ベースAに対しても縫い合わせられている必要はない。
(d)後頭部ベースAに連接されていて、着用者の襟足を覆うネープ部ベースD。
なお、各ベースA〜Dは、一般的にカツラベースに使用されるネット部材、樹脂、その他適当な材料で構成すればよい。図では示していないが、カツラベース1に対して、人工または天然の擬毛を植設して、カツラ製品となる。
図1で説明したカツラベース1に対して、以下に説明する3又構造のアジャスタ機構を設ける(図2)。なお、図2では、図1中のカツラベースを裏返して示している。すなわち、図2中に現れるカツラベース面は、着用者の頭部と接触する側(すなわち、内面側)である。
第2調整ベルト20は、一端が天頂部ベースBに固定されるとともに、他端がループ部21とされていて、このループ部21がリング部材40に通される。
第3調整ベルト30は、一端がネープ部ベースDに固定されるとともに、他端がループ部31とされていて、このループ部31がリング部材40に通される。
ただし、本発明においては、3つの調整ベルト10、20、30の他端が1箇所で3又に連結されていればよく、その具体的態様として任意のものを採用できる。例えば、3つの端部を単に1箇所で縫い付けて3又状に固定してもよい。
そして、周囲方向への調整を行うと、第2調整ベルト20を介して、前後方向にも微妙な影響を与えることができ、逆に前後方向への調整を行うと、第1および第3調整ベルト10、30を介して、周囲方向にも微妙な影響を与えることができる。このように、「伸縮可能な3本の調整ベルト」および「1箇所における3又状の連結」を利用したことで、カツラベースに対してこれまでにない微妙な調整を行うことが可能となり、極めて高いフィット感を実現することができる。
したがって、バックル等の公知の機構を利用して調整ベルトの長さを調整した場合や、頭部に対するカツラベースの位置を調整した場合に、調整ベルトがリングに対してフレキシブルに相対移動できる。これにより、カツラベース1に貯まる応力を有効に解放することができ(すなわち、カツラベースの歪みを解放することができ)、その結果、快適な装着感を高い次元で達成することができる。
第1〜第3の調整ベルト10、20、30は、弾性部材で構成されていて伸縮可能とされている。さらに第2調整ベルトについては、バックル25を設けることで、全体の長さが可変とされている(すなわち、外力が作用しない場合の基準長さが可変である)。
このような構成を採用することで、単に伸縮可能な調整ベルトだけで微調整する場合と比べて、大きなスケールでのサイズ調整が併せて可能となる。
図2中に一部拡大して示したように、ネープ部ベースDには、頭部周囲方向に沿って延在する帯体60が縫い付けられている。帯体60は、間隔を置いた複数箇所で、ネープ部ベースDに縫い付け固定されている。すなわち、図2において、複数の縫目61の間に複数の挿通部65(ベルト端連結部)が形成される。
一方、第3調整ベルト30の端部には、差込み固定用のフック部材35(連結部)が固定されている。したがって、フック部材35を差し込む挿通部65を変更することで、第3調整ベルト30のカツラベース1に対する相対位置を変更することでき、これによって、カツラベース1の周囲方向サイズを変更することが可能となる。すなわち、単に伸縮可能な調整ベルトだけを使用する場合と比べて、大きなスケールでのサイズ調整が併せて可能となる。
図示した具体的態様に限らず、第3調整ベルト30の端部に何らかの連結部を設け、これに対応する複数の連結部をネープ部ベースDを設けることで、第3調整ベルト30の端部をネープ部ベースDに固定する位置を変更できる構成であればよく、それにより同様の効果を得ることができる。
図4を参照して、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30に関して、その上方への変位を抑制する態様について説明する。これは、第2調整ベルト20からの上方へ向かう引張力に対して、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30が過剰に上方へ移動することを防止して、装着感を高めるための工夫である。
図4(a)は当該態様の外観を示しており、図4(b)は、その構造を説明するための一部分解図である。
第2調整ベルト20を短くすることでカツラベース1のサイズ調整を行う際には、第1調整ベルト10および第3調整ベルト30が上方へ移動することとなるが、過剰に移動すると着用者の頭部に圧力が作用して、装着感が低下する。バンド75a、bを利用することで、これを防止することができる。
図示はしていないが、本発明において、調整ベルト10〜30の内面(すなわち、着用者の頭皮に接する面)に滑り止めのコーティングを施してもよい。これは、着用者の地肌に対する滑りを防止するために設けるものであって、残毛状況に応じて、すべての調整ベルト10〜30に設けてもよいし、一部の調整ベルトに対してのみ設けてもよい。
コーティングに用いる材質としては、シリコン、ウレタン、ラテックス等が一般的であるが、滑り止めの効果を有するものであれば、これらに限定されるものではない。
図5に示したように、3又状に構成されるアジャスタ機構を覆うカバー部材81、82を設けてもよい。これは、リング部材40その他が着用者の頭皮に接触することに起因する不快感を低減することを目的としたものである。
図5(a)では、リング部材40および第1〜第3調整ベルト10、20、30の全体をカバー部材81で覆っており、図5(b)では、リング部材40の近傍のみをカバー部材82で覆っている。図示したもの以外にも、カバーする領域は適宜自由に定めることができる。
図示して説明した実施態様においては、3又状のアジャスタ機構を構成する3本の調整ベルトがカツラベースの天頂部ベースB、サイドベースC、ネープ部ベースDに固定されている。しかし、3本の調整ベルトによる3方向からの引っ張り合いを利用して、カツラベースの微調整を可能とした点に本発明の本質的特徴があり、したがって、3本の調整ベルトは、図示した態様以外にも、カツラベースの内面において任意の3箇所に固定することができる。
また、カツラベースの基本構成についても、図示したような4つのベースA、B、C、Dに区画されているもの以外でも、任意の構成を採用することができる。
B 天頂部ベース
C サイドベース
D ネープ部ベース
1 カツラベース
10 第1調整ベルト
11 ループ部
20 第2調整ベルト
21 ループ部
25 バックル
30 第3調整ベルト
31 ループ部
35 フック部材
40 リング部材
60 帯体
61 縫目
65 挿通部
70 帯状部材
75a、b 伸縮性ベルト
81、82 カバー部材
Claims (10)
- カツラベース内面上の任意の3箇所に対して、伸縮可能な第1調整ベルト(10)の一端と、伸縮可能な第2調整ベルト(20)の一端と、伸縮可能な第3調整ベルト(30)の一端と、をそれぞれ固定するとともに、
第1〜第3調整ベルトの他端を1箇所で3又に連結してなる、カツラベース。 - 上記3箇所は、着用者頭部の周囲方向に沿って間隔をおいた2箇所と、当該2箇所よりもカツラベース内方に位置する別の1箇所とである、請求項1記載のカツラベース。
- 着用者の後頭部を覆う後頭部ベース(A)と、
後頭部ベース(A)に連接されていて、着用者の頭頂部から前頭部を覆う天頂部ベース(B)と、
天頂部ベース(B)に連接されていて、着用者の側頭部を覆うサイドベース(C)と、
後頭部ベース(A)に連接されていて、着用者の襟足を覆うネープ部ベース(D)と、を備えた、請求項2記載のカツラベースであって、
サイドベース(C)に上記第1調整ベルト(10)の一端が、天頂部ベース(B)に上記第2調整ベルト(20)の一端が、ネープ部ベース(D)に上記第3調整ベルト(30)の一端が、それぞれ固定されている、カツラベース。 - 上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)の少なくとも1つは、外力が作用しない場合の基準長さが可変に構成されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載のカツラベース。
- 上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)の他端にそれぞれループ部(11、21、31)が形成されていて、これらループ部をリング部材(40)に通すことで、当該他端が1箇所で3又に連結されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載のカツラベース。
- 上記ネープ部ベース(D)には、カツラベースの周囲方向に沿って複数のベルト端連結部(65)が設けられていて、
上記第3調整ベルト(30)の上記一端は、当該一端に設けた連結部(35)をいずれかのベルト端連結部(65)に連結することで、位置変更可能にネープ部ベース(D)に固定されている、請求項3〜5のいずれか1つに記載のカツラベース。 - 上記第1および第3調整ベルトの少なくとも一方は、伸縮性部材(75a、b)によって後頭部ベース(A)に係止されている、請求項3〜6のいずれか1つに記載のカツラベース。
- 上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)の少なくとも1つについて、その内面に滑り止めコーティングを施してなる、請求項1〜7のいずれか1つに記載のカツラベース。
- 上記第1〜第3調整ベルト(10、20、30)およびリング部材(40)の少なくとも一部を収容するカバー部材(81、82)をさらに備えた、請求項1〜7のいずれか1つに記載のカツラベース。
- 請求項1〜9のいずれか1つに記載のカツラベースに対して、擬毛を植設して構成されるカツラ。
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