JP5718060B2 - ポリアクリル酸(塩)系親水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、残存モノマーの少ない実質白色の吸水性樹脂であって、重合時の安定性に優れた吸水性樹脂およびその製造方法に関する。
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツ、生理用ナプキン等の吸収物品、さらには、農園芸用保水剤、工業用止水材等として、主に使い捨て用途に多用されている。このような吸水性樹脂としては、原料として多くの単量体や親水性高分子が提案されているが、特に、アクリル酸および/またはその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂がその吸水性能の高さから工業的に最も多く用いられている。
かかる吸水性樹脂の基本物性として吸水倍率が高いことが望まれ、かかる吸水倍率は遠心保持容量(CRC/Centrifuge Retention Capacity)や自由膨潤倍率(FSC/Free Swell Capacity)等の測定法で規定される。そして、吸水性樹脂の製造方法として、数多くの吸水倍率向上方法が提案されている。
例えば、特許文献1〜4では未中和単量体を重合後に後中和する方法(通称;酸重合後中和)、特許文献5ではベルト重合の水平度を制御する方法、特許文献6、7では重合温度を一定範囲に制御する方法、特許文献8〜10では重合後のゲルの粉砕方法を工夫する方法、特許文献11では乾燥条件を工夫する方法、等が提案されている。
また、残存モノマーや可溶分を改善するために、不純物の少ないアクリル酸ないし単量体を用いて吸水性樹脂を重合する方法が提案され、例えば、プロトアネモニンやフルフラールの少ないアクリル酸を用いる方法(特許文献12、13)、アリルアルコールやアリルアクリレートが20ppm以下のアクリル酸を用いる方法(特許文献14)、アクリル酸ダイマー酸ないしオリゴマーの少ないアクリル酸を用いる方法(特許文献15)が知られている。また、別途、アクリル酸の不純物であるマレイン酸が析出しやすいため起こる配管のつまりの防止の原因対策として、マレイン酸が50ppm以下のアクリル酸を用いる方法(特許文献16)等が提案されている。さらに、中和後のアクリル酸塩中のβ−ヒドロキシプロピオン酸を1000ppm以下とする方法(特許文献17、18)も知られている。また、吸水性樹脂の酸臭の観点から、アクリル酸中の酢酸およびプロピオン酸を合計400ppm以下とする方法(特許文献19)、吸水性樹脂の着色の観点から、単量体のハイドロキノンおよびベンゾキノンを合計0.2ppm以下とする方法(特許文献20)も知られている。
米国特許再発行Re32649号明細書 米国特許第6403700号明細書 米国特許第6187872号明細書 米国特許第6602950号明細書 米国特許第6241928号明細書 米国特許第6174978号明細書 米国特許第5380808号明細書 米国特許第5275773号明細書 米国特許第6140395号明細書 米国特許出願公開第2005/0046069号明細書 米国特許第6187902号明細書 米国特許第6927268号明細書 米国特許第7238743号明細書 国際公開第2006/053731号パンフレット 米国特許出願公開第2006/0036043号明細書 米国特許出願公開第2008/0091048号明細書 米国特許第6388000号明細書 米国特許第6998447号明細書 米国特許出願公開第2005/0209411号明細書 米国特許第6444744号明細書
しかしながら、重合工程、ゲル粉砕工程、乾燥工程等を制御する上記特許文献1〜11等の方法ではその効果が不十分であったり、新たな設備や工程の付与に伴う、製造コストの上昇や生産性の低下を伴ったり、場合により、他の物性を犠牲にすることもあった。
また、特許文献12〜20等で、アクリル酸の不純物を低減する技術は知られているが、これらを同時にすべて低減することは困難であり、原料アクリル酸のコストアップや収率低下を起こすものであった。特にここ数年、Sustainablityの観点から石油に因らない非化石原料由来の化成品の製造法が種々提案されているが、非化石原料(天然物)由来のアクリル酸は従来の化石原料(石油)由来のアクリル酸とは製造工程やその微量成分も異なるため、従来のアクリル酸の精製法では不純物の低減が非常に困難なこともあった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものである。本発明の目的は、生産性や製造コスト、安全性等を犠牲にせずとも、残存モノマーの少ない吸水性樹脂の物性を向上ないし安定させることである。さらに、好ましくは、吸水性樹脂の原料であるアクリル酸、特に非化石原料由来のアクリル酸に過度の精製を行わずに、紙オムツ等で大量消費される吸水性樹脂について、SustainableでRenewableな吸水性樹脂であって、残存モノマーが少なく、白色度の優れた吸水性樹脂を提供する。
かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、アクリル酸としてヒドロキシプロピオン酸の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用することで、マレイン酸、アリルアルコール、アリルアクリレート、フルフラール、プロトアネモニンを同時に低減することができ、結果、特に上記特許文献1〜11等に記載の特殊な重合・ゲル粉砕・乾燥を敢えて必要とせず、残存モノマーや可溶分の少ない優れた吸水性樹脂が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は上記課題を解決するため、アクリル酸で単量体を調製する工程、該単量体の重合工程、得られた含水ゲルの乾燥工程を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂の製造方法であって、アクリル酸としてヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用し、かつ単量体中のヒドロキシプロピオン酸(塩)を2000ppm以下として重合する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第1の製造方法)を提供する。
また、本発明は上記課題を解決するため、アクリル酸で単量体を調製する工程、該単量体の重合工程、得られた含水ゲルの乾燥工程を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂の製造方法であって、アクリル酸としてヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用し、かつ単量体中の飽和有機カルボン酸を5重量%以下、さらには2質量%以下として重合し、乾燥工程以降で飽和有機カルボン酸の少なくとも一部を揮発させ、さらに必要により捕集する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第2の製造方法)を提供する。
また、本発明は、水膨潤性水不溶性である吸水性樹脂の上位概念として、吸水性樹脂および水溶性樹脂から選ばれる親水性樹脂の製造方法も提供する。なお、好ましくは第1の製造方法および第2の製造方法は同時(and)に行われる。
ヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用し、かつ、ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量が2000ppm以下の単量体を、吸水性樹脂の原材料に用いることで、残存モノマーが低減された吸水性樹脂を得ることができる。また、飽和有機カルボン酸(特にプロピオン酸)の除去のためにアクリル酸(特に非化石原料由来のアクリル酸)を過度に精製する必要がないため、吸水性樹脂の原料としてアクリル酸を安価に安定的に使用でき、安価なさらにはSustainableな吸水性樹脂を得ることもできる。
図1は、一般的な吸水性樹脂の製造工程を示した説明図である。 図2は、原料が異なるアクリル酸を使用する際の工程を示した概略図である。 図3は、不純物量が異なるアクリル酸を使用する際の工程を示した概略図である。 図4は、精製方法が異なるアクリル酸を使用する際の工程を示した概略図である。 図5は、精製方法が異なるアクリル酸を使用し、さらに一方のみを中和した後に他方と混合する工程を示した概略図である。
以下、吸水性樹脂の製造方法として説明するが、水溶性樹脂(水に100%溶解する親水性樹脂)にも水溶性となる範囲で、下記説明は適用できる。
本発明のさらなる他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)用語の定義
(a)「吸水性樹脂」
水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤。吸水倍率(CRC)は通常5g/g以上、好ましくは10〜100g/g、さらに好ましくは20〜80g/gである。また、可溶分(Extractables)は通常0〜50質量%以下、好ましくは0〜30質量%、さらに好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
なお、吸水性樹脂はその100質量%が重合体である態様に限定されず、上記性能を維持する範囲において他の添加剤(後述する)を含んでいてもよい。すなわち、吸水性樹脂組成物であっても、本発明では吸水性樹脂と総称する。ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の含有量は、好ましくは吸水性樹脂全体に対して70〜99.9質量%であり、より好ましくは80〜99.7質量%であり、さらに好ましくは90〜99.5質量%である。
吸水性樹脂以外のその他の成分としては、吸水速度や粉末(粒子)の耐衝撃性の観点から水が好ましく、必要により後述の添加剤が含まれる。
(b)「ポリアクリル酸(塩)」
重合体の繰り返し単位として、アクリル酸(塩)を主成分とする重合体。架橋剤を除く単量体として、アクリル酸(塩)は、必須に50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、特に実質100モル%である。重合体としての塩は必須に水溶性塩を含み、好ましくは一価塩、さらに好ましくはアルカリ金属塩ないしアンモニウム塩、特にアルカリ金属塩、さらにはナトリウム塩を含む。
(c)「吸水性樹脂の初期着色」
吸水性樹脂の工場で得られた直後ないしユーザー出荷後での吸水性樹脂の色。通常、工場出荷前での色の管理で規定。(L/a/b値,YI値,WB値など)
(d)「吸水性樹脂の経時期着色」
上記(c)ののち、未使用状態・未膨潤での吸水性樹脂の長期間での保管時・流通時に徐々に着色(通常、黄変ないし茶変)する問題。例えば、未使用おむつ中の吸水性樹脂の着色であり、紙オムツの商品価値の低下となりうる。室温で数ヶ月ないし数年での問題のため、後述の促進試験(高温・高湿)で検証。
(e)「EDANA」および「ERT」
European Disposables and Nonwovens Associationsの略。欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(ERT/EDANA Recommended Test Method)で下記に規定。詳細は公知文献(02年改定)であるERTの原本(英文数ページ)を参照。
(f)「CRC」(ERT441.2−02)。吸水性樹脂の遠心保持容量。吸水性樹脂を0.9質量%塩化ナトリウム水溶液で30分自由膨潤させた後、さらに遠心分離で水きりしたときの吸水倍率(単位;g/g)。
(g)「AAP」(ERT442.2−02)。吸水性樹脂の加圧下吸水倍率。0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する1時間、21gf/cmでの荷重下膨潤後の吸水倍率(単位;g/g)。
(h)「Extractables」(ERT470.2−02)。吸水性樹脂の可溶分。0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して吸水性樹脂1gを加え、16時間攪拌後、溶解した樹脂(ポリマー)量をpH滴定で測定(単位;質量%)。
(i)「FSC」(ERT440.2−02)。吸水性樹脂の自由膨潤倍率。遠心分離で水切りを行わない、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率。
(j)「Residual Monomers(ERT410.2−02)」。吸水性樹脂から0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に溶出する残存モノマー量を液体クロマトグラフィィーで測定。
(k)「Particle Size Distribution(ERT420.2−02)」。ふるい分級で測定した粒度分布。
(l)その他EDANAでの吸水性樹脂の規定(2002年規定)。
「pH」(ERT400.2−02)。吸水性樹脂のpH
「Moisture Content」(ERT430.2−02)。吸水性樹脂の含水率。
「Flow Rate」(ERT450.2−02)。吸水性樹脂粉末の流下速度。
「Density」(ERT460.2−02)。吸水性樹脂の嵩比重。
「Respirable Particles」(ERT480.2−02)。
「Dust」(ERT490.2−02)
(2)単量体(架橋剤を除く)
本発明の単量体は、上記のアクリル酸またはその塩を主成分としており、吸水特性や残存モノマーの低減の点から重合体の酸基が中和されていることが好ましく、中和率は10〜100モル%、さらには30〜95モル%、特に50〜90モル%、60〜80モル%である。中和は重合後の重合体(含水ゲル)に行ってもよく、単量体に行ってもよいが、好ましくは、生産性やAAP向上の面等から、単量体を中和することが好ましい。従って、本発明で好ましい単量体は、アクリル酸の部分中和塩である。なお、本発明の「単量体」は、1種類の単量体および複数の単量体の混合物、あるいは単量体組成物のいずれをも意味する。
なお、後述する飽和有機酸(特にプロピオン酸)由来の酸臭の観点からは、中和率は高いほど好ましく、また、乾燥時の除去の観点からは中和率は低いほど好ましい。よって、酸臭の観点から、重合時の中和率さらに好ましくは乾燥前の中和率を、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下にしたりして飽和有機カルボン酸の一部を揮発ないし除去させたのち、重合体粉体表面に塩基性物質を添加することも好ましい形態である。
さらに中和率に関し、後述の範囲(例;2質量%以下さらには2000ppm以下)の飽和有機カルボン酸、特にカルボン酸が、得られる吸水性樹脂に残存する場合、すなわち、単量体中に含まれる飽和有機カルボン酸、特にプロピオン酸が重合後に十分に除去できない場合、吸水性樹脂中に同量(ppm)の飽和有機カルボン酸が含まれていても、低中和では揮発性の未中和カルボン酸の割合が多いため、臭気の問題が発生する可能性がある。よって、酸臭低減のために得られるポリアクリル酸塩系吸水性樹脂の中和率を上記10〜100モル%さらには30〜95モル%の範囲で、最終的な中和率を高中和とし、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上の順に高めることが好ましい。かかる中和率の調整は重合時の単量体または重合後の塩基の添加で行われる。
また、本発明ではアクリル酸(塩)以外の親水性または疎水性不飽和単量体を使用しても良い。使用できる単量体としては、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレートやそれらの塩等である。
(3)架橋剤(内部架橋剤)
本発明では、単量体として、吸水特性の観点から架橋剤(別称;内部架橋剤)を使用することが特に好ましい。架橋剤は物性面から、架橋剤を除く上記単量体に対して0.001〜5モル%、好ましくは0.005〜2モル%、さらには0.01〜1モル%、特に0.03〜0.5モル%で使用される。
使用できる架橋剤としては、例えば、アクリル酸と重合し得る重合性架橋剤、カルボキシル基と反応し得る反応性架橋剤や、それらを併せ持った架橋剤の1種以上が例示できる。具体的には、重合性架橋剤として、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等の分子内に重合性2重結合を少なくとも2個有する化合物が例示できる。また、反応性架橋剤として、ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル等)、多価アルコール(プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール等)等の共有結合性架橋剤、アルミニウム等多価金属化合物であるイオン結合性架橋剤が例示できる。これらの架橋剤の中では、吸水特性の面から、アクリル酸との重合性架橋剤、特に、アクリレート系、アリル系、アクリルアミド系の重合性架橋剤が好適に使用される。
(4)中和の塩
アクリル酸の中和に用いられる塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)カリウム等の炭酸(水素)塩等の一価塩基が好ましい。特に残存モノマー低減の点からアクリル酸アルカリ金属塩として中和され、中でも水酸化ナトリウムでの中和が特に好ましい。なお、これらの中和処理での好ましい条件等は、国際公開第2006/522181号パンフレットに例示されており、該パンフレットに記載の条件も本発明に適応され得る。中和温度は10〜100℃、30〜90℃で適宜決定されるが、残存モノマー低減から後述の中和方法が好ましい。
(5)ヒドロキシプロピオン酸(別称;2または3−ヒドロキシプロピオン酸/略称HPA)
本願では単量体のアクリル酸として、必須にヒドロキシプロピオン酸の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用する。かかるヒドロキシプロピオン酸は2または3−ヒドロキシプロピオン酸であり、好ましくは非化石原料の発酵によって得られる。
かかるHPA由来のアクリル酸は使用する全アクリル酸中で100モル%に限定されず、アクリル酸中で通常1モル%以上、10モル%以上、20モル%以上、30モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上で使用される。また、後述の範囲でヒドロキシプロピオン酸の脱水反応物以外の他のアクリル酸(化石原料または非化石原料由来のアクリル酸)を併用してもよい。また、本発明で使用される使用されるHPA由来のアクリル酸は後述の方法などで得られ、酸型(未中和アクリル酸)でもよく、中和型(アクリル酸塩)でもよく、混合物(部分中和アクリル酸)でもよいが、好ましくは、まず未中和アクリル酸が単量体の調製に使用され、必要により中和されて重合に使用される。
該アクリル酸中のプロトアネモニン、アリルアクリレート、アリルアルコール、アルデヒド分(特にフルフラール)、マレイン酸、安息香酸の不純物6種類のうち、1以上、2以上、さらには3以上、4以上、5以上、6個が各々0〜20ppm(質量基準、以下同じ)である。好ましくは各々が0〜10ppm、より好ましくは0〜5ppm、さらに好ましくは0〜3ppm、特に好ましくは0〜1ppm、最も好ましくはND(検出限界)である。また、これらプロトアネモニン、アリルアクリレート、アリルアルコール、アルデヒド分、マレイン酸、安息香酸の合計量(対アクリル酸質量)は100ppm以下が好ましく、0〜20ppm、さらには0〜10ppmであることがより好ましい。これら微量成分やプロピオン酸量の好適な制御方法として、下記の非化石原料由来のアクリル酸が使用される。
上記不純物が多いと、吸水性樹脂の残存モノマーや可溶分が増加したり、着色が起ったりする。同様に水分量も残存モノマーの観点から20質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。国際公開第2008/023039号の実施例2(アクリル酸62質量%水溶液)等に例示の水溶液として、単量体(アクリル酸)を使用する方法では残存モノマーが増加する傾向にある。
従来、これらアクリル酸の不純物量を低く制御するには収率低下等を伴い技術的ないしコスト的に困難であるのみならず、場合により他の不純物が増加することもあった。また、精製工程でフルフラールの除去等にヒドラジン処理(脱アルデヒド処理)等の余計な工程が必要な場合もあった。かかる問題を解決するために、市販アクリル酸の100質量%がプロピレン気相酸化によるアクリル酸であるのに対して、本発明では、ヒドロキシプロピオン酸の脱水反応でのアクリル酸を使用することでかかる問題を解決した。
すなわち、従来のアクリル酸を製造する方法としては、プロピレンおよび/またはプロパンの接触気相酸化法、エチレンシアンヒドリン法、高圧レッペ法、改良レッペ法、ケテン法、アクリロニトリル加水分解法等が工業的製造法として知られており、中でもプロピレンおよび/またはプロパンの接触気相酸化法が最も多く採用されている。そして、本発明においては、かかる接触気相酸化法で得られたアクリル酸ではなく、アクリル酸の少なくとも一部は上記ヒドロキシプロピオン酸の脱水反応物が使用される。
ヒドロキシプロピオン酸の脱水反応は触媒の存在下あるいは不存在で行われ、かかる触媒として酸触媒が使用される。また、加熱温度は100〜300℃、さらには150〜250℃で常圧または減圧下で脱水反応を行い、アクリル酸を得ればよい。ヒドロキシプロピオン酸の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩又はこれらの組み合わせのいずれか1つとなることができる。典型的な塩は、例えば、ナトリウム塩及びカルシウム塩を含む。α,β−不飽和型カルボン酸又はその塩を生成するための脱水は、水性媒質中で行うことができる。それというのもヒドロキシプロピオン酸は水性媒質に可溶性であるからである。
任意には、水溶液を加熱するのに伴って脱水酵素をこれに添加し、これにより酸又は酸性塩の脱水を増強してα,β−不飽和型カルボン酸又はその塩を形成することができる。酸性又は塩基性材料を使用することにより、水性媒質中で脱水プロセスを触媒することができる。脱水触媒は、脱水を促進する中性、酸性又は塩基性材料であってよい。中性触媒の例は、例えば、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム及び3−ヒドロキシプロピオン酸カルシウムを含む。その他の有用な触媒は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライト及びその他のルイス酸を含む。アミンは、触媒として使用することができる塩基性化合物である。ヒドロキシプロピオン酸を提供するために発酵ブイヨンを使用する場合、塩基性アミンが、水性発酵ブイヨンからヒドロキシプロピオン酸を分離するための抽出剤としての機能、並びに脱水触媒としての機能の両方を好都合に果たすことができる。このプロセスに適したアミンの一例としては、トリカプリルアミン(TCA)、トリデシルアミン(TDA)、及びトリドデシルアミン(TDDA)を含む。さらに別の外生的な塩基性材料を利用することにより、脱水を生じさせることができる。具体的には、金属酸化物及び水酸化物、例えば、酸化カルシウム及び水酸化カルシウムは、脱水を増強して助成することのできる塩基性材料である。酸触媒は、気体状又は液状の強鉱酸、例えば、塩酸、硫酸又はリン酸であってよい。不溶性酸樹脂、例えばAMBERLYST(登録商標)樹脂、NAFION(登録商標)樹脂、及び酸性DOWEX(登録商標)樹脂を触媒として採用することもできる。特に有用な酸触媒はリン酸である。
蒸気転化(すなわち蒸気相反応)によって行われる脱水により、α,β−不飽和型カルボン酸を調製することもできる。このような方法において、ヒドロキシプロピオン酸を有する水溶液を比較的高い温度で、好ましくは脱水触媒の存在において蒸発させ、これによりアクリル酸に転化することができる。具体的な脱水方法は下記の方法1〜8等に示されており、適宜使用される。これらの脱水工程では重合禁止剤を使用してさらに禁止剤を除去することが好ましい。
方法1)国際公開第2002/090312号(3−ヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩を加熱して3−ヒドロキシカルボン酸とした後に脱水してアクリル酸とする方法)、
方法2)国際公開第2003/08795号(3−ヒドロキシカルボン酸塩を含む水溶液を準備し、そして溶液を加熱することにより、前記塩を脱水し、そしてα,β−不飽和型カルボン酸又はその塩を形成する方法)、
方法3)国際公開第2005/095320号(ヒドロキシカルボン酸(乳酸、3HPAを含む)および誘導体の水溶液を加熱する方法)、
方法4)国際公開第2007/106099号(3−ヒドロキシ化合物(例えば3−ヒドロキシプロピオン酸)のアンモニウム塩を所定の流速温度で実質的に液状で反応器に供給し、それによって前記物質が実質的に不活性ガスの流れのない反応器内部で反応する方法)、
方法5)米国特許出願公開第2007/219391号(β−HPA等の塩を連続的に水を除去して脱水して、酸/アミド/エステルを製法)、
方法6)国際公開第2007/106100号(β−ヒドロキシ化合物(例えば3−ヒドロキシプロピオン酸)を所定の流速温度で実質的に液状で反応器に供給し、反応温度以上に気化させて、それによって前記物質が実質的に不活性ガスの流れのない反応器内部で反応する方法)、
方法7)国際公開第2008/042958号(3−ヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩と水と非水溶媒(例;2−ピロリドン)から単相混合物を形成し、さらに加熱してβ−ヒドロキシカルボン酸アンモニウム塩を析出させ、3−ヒドロキシカルボン酸と非水溶媒を含む反応混合物を形成させる方法)、等が挙げられる。
脱水反応においては、未中和ヒドロキシプロピオン酸ないしその塩(特に一価塩、さらにはナトリウム塩やアンモニム塩)が使用され、溶媒は使用してもよく未使用でもよい。得られたアクリル酸は晶析や蒸留等で精製すればよく、アクリル酸の晶析法は層状または分散型で連続または回分で行われ、例えば、国際公開第2008/023039号に示されている。なお、ヒドロキシプロピオン酸アンモニム塩からの脱水にはアクリルアミドの副生に注意する必要がある。
(6)ヒドロキシプロピオン酸の製造方法
ヒドロキシプロピオン酸(特に3−HPA)は好ましくは発酵法で得られ、その原料はβ−アラニン、乳酸、グリセリン、グルコース、澱粉、セルロース等が挙げられ、好ましくは、グルコースないしグリセリンである。かかる2ないし3−ヒドロキシプロピオン酸の発酵法は、例えば、下記1〜5の製法で得られる。また、発酵法によらず方法6などの酸化剤で接触酸化してヒドロキシプロピオン酸を得てもよいが、本発明で用いるアクリル酸の純度を制御するうえで発酵法が適用される。
方法1)米国特許第6852517号(グリセリンから2種の酵素よりβ−HPAを得る)、
方法2)国際公開第2002/042418号(ラクチルCoA脱水酵素活性および3−ヒドロキシプロピオニルCoA脱水酵素活性を含む細胞を使用する方法。β−HPAの原料としてアスパルテートから生じたβ−アラニン等)、
方法3)国際公開第2007/042494号(β−アラニンから特定酵素でβ−HPA)、
方法4)特開2007−082476号(グリセリンから特定酵素でβ−HPA)、
方法5)特開2005−102533号(グリセリンを脱水して3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを得、該3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを液相において酸化して、3−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法)、
方法6)特開平4−356436号(グリセリンから酸化剤で乳酸を製造する方法)、等が挙げられる。
ヒドロキシプロピオン酸を得る際に用いられる細胞は、米国政府の主催する国立衛生研究所の分類学ウェブページ(www.ncbi.nlm.nih.gov)に列挙されるものを含めた任意の種でよい。細胞は、真核細胞または原核細胞でよい。例えば、遺伝子組換え細胞は、哺乳類細胞(例えば、ヒト、マウス、およびウシの細胞)、植物細胞(例えば、トウモロコシ、コムギ、コメ、およびダイズ細胞)、真菌細胞(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)およびクモノスカビ(Rhizopus)細胞)、酵母細胞、または細菌細胞(例えば、乳酸桿菌、ラクトコッカス、バチルス、エッシェリキア(Escherichia)、およびクロストリジウム(Clostridium)細胞)でよい。細胞は、微生物でもよい。本明細書で使用される「微生物」という用語は、細菌、藻類、真菌、原虫類を含めこれらに限定されない任意の顕微鏡的生物を指す。したがって、大腸菌、出芽酵母、クルベロミセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)、カンジダ・ブランキ(Candida blankii)、カンジダ・ルゴーサ、およびピキア・ポストリス(Pichia postoris)は微生物と考えられ、本明細書に記述されるように使用できる。
通常は、細胞は特定の有機化合物が生産されるように遺伝子組換えされる。一般に、特定の有機化合物を生産するように遺伝子組換えされる細胞は、特定の酵素活性を持つポリペプチドをコードする外因性核酸分子を1つまたは複数含む。例えば、微生物は、3−ヒドロキシプロピオニルCoA脱水酵素活性を持つポリペプチドをコードする外因性核酸を含み得る。この場合、アクリリルCoAは3−ヒドロキシプロピオン酸CoAに変換され、これが3−ヒドロキシプロピオン酸の生産に至る。細胞が、その細胞が通常生産しない化合物の生産を触媒する酵素活性を持つポリペプチドをコードする外因性核酸分子を持つことができることに留意のこと。または、細胞は、その細胞が通常生産する化合物の生産を触媒する酵素活性を持つポリペプチドをコードする外因性核酸分子を持つことができる。この場合、遺伝子組換え細胞は、遺伝子組換えをしない同様の細胞よりも、その化合物を大量に、またはより効率良く生産できる。
通常は、微生物のような本発明の範囲内の細胞は、グルコースのようなヘキソースの炭素源を触媒する。しかし、細胞はペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、およびリキソース)、脂肪酸、アセテート、またはグリセロールのような種々の炭素源を触媒し得る。すなわち、本発明の範囲内の細胞は種々の炭素源を使用し得る。
(7)プロピオン酸(CCOOH)
本願では単量体中に、一定量以上の飽和脂肪族カルボン酸、さらにはC〜Cの飽和脂肪族カルボン酸、特に酢酸(CHCOOH)およびプロピオン酸(CCOOH)、特にプロピオン酸を存在させることも好ましい。飽和脂肪族カルボン酸、特にプロピオン酸の存在量は300ppm以上が好ましく、400ppm以上がより好ましく、500ppm以上がさらに好ましく、650ppm以上がより一層好ましく、800ppm以上が特に好ましく、1000ppm以上が最も好ましい。上限は通常5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.3質量%以下が最も好ましい。プロピオン酸の存在量が少ない場合、吸水倍率の向上の効果が小さいか、あるいは非常に小さい。また、プロピオン酸の量が多い場合、コスト的に不利となり、また、残存プロピオン酸による臭気(酸臭)の問題がある。さらには、過度のプロピオン酸は吸水倍率の向上に比べて、可溶分などの他の物性が相対的に低下する場合もある。
またプロピオン酸の除去のためにアクリル酸(特に、比較的多くのプロピオン酸を含む非化石原料由来のアクリル酸)を過度に精製する場合、収率低下やコストアップの問題となるため、一定量以上(例;300ppm以上)のプロピオン酸を精製後のアクリル酸に残存させることが好ましい。臭気の原因物質であるプロピオン酸はアクリル酸から除去するよりも、本発明では重合時に一定量存在させたうえで、重合後の吸水性樹脂から除去することが好ましい。よって、上下限は上記範囲で吸水倍率の向上効果と酸臭やその他物性の兼ね合いで適宜決定されるが、例えば、300ppm〜1質量%、500ppm〜1質量%、650ppm〜1質量%(さらには0.5質量%)、800ppm〜1質量%(さらには0.5質量%)などで適宜決定される。
なお、飽和脂肪族カルボン酸とは飽和脂肪族カルボン酸塩を含む概念であり、プロピオン酸とはプロピオン酸塩を含む概念である。中和されたアクリル酸塩系の単量体中では、プロピオン酸も単量体とほぼ同等の中和率となっているが、本願では単量体中の未中和プロピオン酸およびその塩(特に一価塩)の総量をプロピオン酸量とする。なお、飽和脂肪族カルボン酸を所定量(ppm)含有するアクリル酸を中和して単量体を得る場合、通常、中和後の単量体(アクリル酸塩)でも飽和脂肪族カルボン酸の含有量(単量体中のppm)は中和前のアクリル酸と実質同じである。
かかるプロピオン酸は重合時の単量体中に上記所定量で存在すればよく、そのために、所定量のプロピオン酸を単量体の調製工程や調製後の重合までに添加すればよい。また、プロピオン酸の添加工程を簡略化するうえで、また、単量体へのプロピオン酸の均一な混合および溶解の面から、プロピオン酸は予め単量体中の主成分であるアクリル酸、特に未中和アクリル酸に溶解ないし含有させておくことが好ましい。プロピオン酸はアクリル酸に溶解させてもよく、所定量のプロピオン酸を不純物として含有するアクリル酸を使用そのまま使用してよい。すなわち、300ppm以上、さらには400ppm以上のプロピオン酸を含むアクリル酸を少なくとも一部、例えば該アクリル酸が全単量体ないし全アクリル酸の1質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上使用して、所定量のプロピオン酸を含む単量体を得ればよい。
プロピオン酸による吸水倍率(CRC)向上の効果は単量体の重合時に発生するが、重合後の吸水性樹脂にプロピオン酸を添加しても吸水倍率の向上効果は見られないばかりか、臭気の問題が発生する。また、プロピオン酸や酢酸が多すぎる場合、重合後ないし重合中に除去、特に乾燥時に除去することが困難であり、残存による臭気の問題が発生することもある。よって、臭気とのバランスから上記範囲でプロピオン酸や酢酸が使用されることが好ましい。
すなわち、本発明において、通常のプロピレンの気相酸化で得られたアクリル酸には300〜数10ppmのプロピオン酸が不純物で含まれる場合があるが、本願では従来よりも多量のプロピオン酸を含有するアクリル酸(未中和アクリル酸)を使用することが好ましい。すなわち、上記プロピオン酸を含有するアクリル酸を使用することが好ましく、アクリル酸中のプロピオン酸量は300ppm以上が好ましく、400ppm以上がより好ましく、500ppm以上がさらに好ましく、650ppm以上がより一層好ましく、800ppm以上が特に好ましく、1000ppm以上が最も好ましい。上記のプロピオン酸量は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
アクリル酸中のプロピオン酸量を調整するには、コストや工程面から、異なる量のプロピオン酸を含む複数のアクリル酸を使用して、所定量のプロピオン酸を含む単量体を調製することが好ましい。
(8)従来の酢酸およびプロピオン酸の量
プロピレンの気相酸化で得られるアクリル酸中に酢酸やプロピオン酸がごく少量含まれることは周知であり、上記特許文献20(米国特許第6444744号)の実施例1〜4では酢酸100ppmやプロピオン酸100ppmのアクリル酸を製造したうえで、該アクリル酸で吸水性樹脂を製造している。
また、アクリル酸中の酢酸およびプロピオン酸が吸水性樹脂の臭気(酸臭)の原因であることは上記特許文献19(米国特許出願公開第2005/0209411号)で知られており、該米国特許出願公開は酢酸およびプロピオン酸の合計量が400ppmで重合することで、臭気の少ない吸水性樹脂を提供する。該特許出願公開の比較例では酢酸1200ppmおよびプロピオン酸300ppmでの重合を開示する。また、米国特許第6710141号の実施例でも酢酸2000ppm未満およびプロピオン酸600ppm未満のアクリル酸(量は記載なし)での吸水性樹脂の重合を開示する。また、日本国特許公開平8−34757号は、吸水性樹脂の臭気の原因となる酢酸について、酢酸を0.01質量%以下に低減するアクリル酸の精製法を開示する。
本願では従来、臭気の問題で悪影響を及ぼすとされ、その増加が問題となっていた酢酸およびプロピオン酸について、従来量(例;300ppm)を超える一定量以上のプロピオン酸が吸水性樹脂の吸水倍率の向上に有効であることを見いだし、本発明を完成させた。
また、本発明において、プロピオン酸(CCOOH)に比べて酢酸(CHCOOH)では本発明の吸水倍率(CRC)の向上効果が小さいこと、あるいは殆どないことが見いだされた。さらにかかる酢酸の使用は効果の面だけでなく、プロピオン酸に比べて酢酸が低沸点であるため、さらなる臭気の問題も見いだされた。そして、本発明では特許文献19で同列に有害とされたプロピオン酸および酢酸において、所定量以上のプロピオン酸を使用することで吸水倍率を向上させ、さらには重合後の除去(特に乾燥、さらには共沸脱水による乾燥)や塩基性物質の添加で酸臭を改善した。
また、従来の問題(本発明の課題)として、アクリル酸から酢酸やプロピオン酸を、得られる吸水性樹脂の臭気がなくまるまで十分に精製除去するには、従来、それらの沸点や融点や構造が近いため、蒸留や晶析での高度な一段さらには多段の精製が必要であった。このような高度な精製はアクリル酸のコストや収率を犠牲にするものであり、結果的に吸水性樹脂のコストにも影響するものであった。かかる問題は前記したように非化石原料由来のアクリル酸でより顕著であった。しかし、アクリル酸から酢酸やプロピオン酸の過度の精製を行わず、所定量のプロピオン酸をそのまま吸水性樹脂に使用し、重合後の除去(特に乾燥、さらには共沸脱水による乾燥)や塩基性物質の添加で本発明の方法では安価に吸水性樹脂を製造できる。よって、例え、本発明の吸水倍率向上効果が小さくても(あるいは(殆ど)なくても)、アクリル酸から酢酸やプロピオン酸の過度の精製を行わず、所定量のプロピオン酸を有するアクリル酸をそのまま吸水性樹脂に使用することで、吸水性樹脂のコスト削減も可能となる。
(9)酢酸
本願では、臭気(酸臭)の問題から吸水性樹脂に残存する酢酸およびプロピオン酸は、1質量%以下に低減させた方が好ましく、後述の加熱処理、特に加熱乾燥、さらには共沸脱水で揮発ないし除去させることが好ましい。臭気の観点から得られる吸水性樹脂中のプロピオン酸量、さらには酢酸およびプロピオン酸の合計量は、0.5質量%以下、さらには0.3質量%以下、0.1質量%以下にされる。かかる揮発工程の負荷低減のみならず、プロピオン酸(沸点141℃)に比べてより低沸点の酢酸(沸点118℃)は原料中でも少ないことが好ましく、よって、単量体は、プロピオン酸より少ない酢酸を含むか、またはND(検出不能)であることが好ましい。
すなわち、従来のアクリル酸は上記(6)に記載の特許文献19(米国特許出願公開第2005/0209411号)(酢酸1200ppmおよびプロピオン酸300ppm)に限らず、アクリル酸はプロピオン酸に比べて一般に酢酸を多く含むが、吸水倍率を向上させるためにプロピオン酸を使用する本願では、臭気の原因となる酢酸はプロピオン酸増量に伴ってあえて増やす必要はない。よって、アクリル酸中の酢酸は、プロピオン酸より少ない量であるか、またはND(検出不能)であることが好ましい。
単量体中あるいはアクリル酸中の酢酸の量は1000ppm以下あるいはプロピオン酸より少量であり、具体的には、酢酸量は0〜1000ppmが好ましく、800ppm以下がより好ましく、600ppm以下がさらに好ましい。また、プロピオン酸に対して1質量倍未満であることが好ましく、0.9〜0.01質量倍の範囲がより好ましく、0.8〜0.05倍の範囲がさらに好ましい。さらに酢酸の重量(ppm)とその比は同時に満たすことが好ましい。
(10)重合禁止剤
重合時に好ましくは重合禁止剤を含む。重合禁止剤としては国際公開第2008/096713号に例示のN−オキシキシル化合物、マンガン化合物、置換フェノール化合物が挙げられ、好ましくは置換フェノール類、特にメトキシフェノール類が挙げられる。
好ましく使用できるメトキシフェノール類としては、具体的には、o,m,p−メトキシフェノールや、それらにさらにメチル基、t−ブチル基、水酸基等の1個または2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類が例示されるが、本発明において特に好ましくはp−メトキシフェノールである。メトキシフェノール類の含有量は、10〜200ppmであればよいが、好ましくは5(さらには10)〜160ppm、より好ましくは10〜100ppm、さらに好ましくは10〜80ppm、最も好ましくは10〜70ppmである。p−メトキシフェノールの含有量が200ppmを越える場合、得られた吸水性樹脂の着色(黄ばみ/黄変)の問題が発生する。また、p−メトキシフェノールの含有量が10ppm未満の場合、特に5ppm未満の場合、すなわち、蒸留等の精製によって重合禁止剤であるp−メトキシフェノールを除去した場合、意図的に重合を開始させる前に重合が起きる危険があるのみならず、驚くべきことに、重合速度がかえって遅くなるので好ましくない。
(11)Fe量
本願での単量体は好ましくは鉄を含む/ないし鉄がゼロである。鉄量(Fe換算)は単量体中、0〜5ppm以下であることが好ましく、0〜2ppm以下がより好ましく、0〜1ppm以下がさらに好ましく、0〜0.1ppm以下が特に好ましく、0.05ppm以下が最も好ましい。過度に少ない場合、効果に比べて精製コスト面で不利であり、少量の存在は許容ないし好適な場合もあり、下限を含めて、単量体のFe量(Fe換算)は好ましくは0.002〜2ppm、より好ましくは0.01〜1ppm、さらに好ましくは0.02〜0.5ppmである。また鉄の含有量が少ないと、重合開始剤添加前に重合が起きる危険があるだけでなく、開始剤を添加しても重合が逆に遅くなる可能性もある。
鉄量が前記範囲を超える場合は吸水性樹脂が着色や劣化するために好ましくない。また、鉄をND(ゼロ)とするにはコストがかかるのみならず、コストに見合った効果が得られない。かえって、Redox重合などでは重合速度が遅くなる恐れもある。
なお、Fe量は、例えば、JIS K1200−6に記載のICP発光分光分析方法で測定できる。また、ICP発光分光分析機装置は(株)堀場製作所製、ULTIMA等として市販されている。本発明で用いられる鉄としては、Feイオンでもよいが、効果の面から好ましくは3価の鉄、特にFeである。かかる制御は、中和に使用されるアルカリ金属塩の純度を制御したり、所定量のFeを添加したり、イオン交換樹脂で除去する等で行われる。
(12)複数のアクリル酸の使用
本発明では所定の微量成分(特にプロピオン酸)を含む単量体ないしアクリル酸を簡便に安価に得るために、異なるプロピオン酸量または異なる製造方法の、複数のアクリル酸(以下複数のアクリル酸)を混合して単量体を調製することが好ましい。本発明で対象とされる微量成分としては、好ましくは有機化合物、特に飽和有機カルボン酸、さらにはプロピオン酸である。複数のアクリル酸はアクリル酸塩を含む概念である。アクリル酸の混合は中和前に複数のアクリル酸を混合し、さらに必要により中和してもよく、また、複数のアクリル酸から得られた中和後の複数のアクリル酸塩を混合してもよく、一方のアクリル酸を中和してアクリル酸塩とし、もう一方を未中和アクリル酸のまま両者を混合してもよい。すなわち、目的量のプロピオン酸にちょうどあったアクリル酸を調達することは、該アクリル酸の生産量やコストから困難なことも多く、また目的量のプロピオン酸を含むアクリル酸そのものが生産されていない場合(例;一方のアクリル酸はプロピオン酸が過剰量、一方は不足)もあるため、好ましい製造方法としては、複数のアクリル酸を調合して、目的量のプロピオン酸を含むアクリル酸や単量体を得ればよい。
その場合、非化石原料からのアクリル酸が少なくとも使用され、複数のアクリル酸を使用し、アクリル酸の一方が非化石原料から得られ、もう一方が化石原料から得られる(図2)。一般に非化石原料からのアクリル酸はプロピオン酸等が多く含まれる為、好適に使用できる。また、プロピオン酸に限らず、(プロピオン酸が同じ水準であっても)他の微量成分の調整ないし安定化の面からも、複数のアクリル酸、特に化石原料からのアクリル酸および非化石原料のアクリル酸が併用される。本発明の別の効果として、アクリル酸として化石原料および非化石原料の複数の原料ソースを使用することで、吸水性樹脂の原料コストを低減でき、原料コスト面を含めた最適な吸水性樹脂を得ることができる。すなわち、好ましくは、後述のように、化石原料からのアクリル酸および非化石原料のアクリル酸が併用される。
またアクリル酸中の微量成分(好ましくは有機化合物、特に飽和有機カルボン酸、さらにはプロピオン酸)が所定量ないし目的量に満たない場合や過剰である場合、適宜、他の異なる微量成分(特にプロピオン酸量)または異なる製造方法のアクリル酸が混合されて、所定量の単量体とされる。目的量のプロピオン酸や微量成分にあったアクリル酸を得ることは精製コストや生産量から困難な場合も多いため、好ましくは、上記異なるアクリル酸が混合され、所定量の微量成分(例えばプロピオン酸)のアクリル酸ないしそれを用いた吸水性樹脂の単量体水溶性とされる。
以下、微量成分として好適なプロピオン酸を代表して説明するが、アクリル酸中のプロピオン酸量を調整するには、コストや工程面から、異なる量のプロピオン酸を含む複数のアクリル酸を混合して、所定量のプロピオン酸を含む単量体を調製することが好ましい。すなわち、異なる量のプロピオン酸を含む複数のアクリル酸は、異なるアクリル酸の製造工程で得られる(図3,4,5)。
ここで、異なる量のプロピオン酸を含むアクリル酸において、一方のアクリル酸は他方のアクリル酸の1.01〜1000質量倍のプロピオン酸を含むことが好ましく、1.05〜100質量倍がより好ましく、1.1〜50質量倍がさらに好ましい。具体的には、少なくとも一方のアクリル酸はプロピオン酸を400ppm以上含むことが好ましい。
また、異なるアクリル酸の製造工程とはプラントやその立地が全く異なってもよいし、原料、酸化系(特に触媒)、精製系(蒸留や晶析)が異なるものでもよく、これらで、好ましくは不純物、特にプロピオン酸量が異なるようにする。純度(不純物量)の異なる2種類のアクリル酸を使用する場合、その使用比率(質量比)は適宜決定されるが、通常1:99〜99:1の範囲とする。好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20、特に好ましくは30:70〜70:30である。なお、前記2種以外のアクリル酸は、アクリル酸全量中、0〜50質量%の範囲で使用してもよく、0〜30質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。異なる2種類ないしそれ以上のアクリル酸の使用比率は、両アクリル酸の価格(原料コスト)、供給量、微量成分(プロピオン酸やそれ以外の微量成分)などで適宜決定され、特に、アクリル酸として化石原料および非化石原料の複数(特に2種類)の原料ソースを使用することで吸水性樹脂の原料コストをヘッジできる。なお、化石原料および非化石原料を併用する場合、その比率は、単量体中や吸水性樹脂中の14Cの定量で測定できる。
プロピオン酸の効果は単量体の重合時に発生するが、重合後の吸水性樹脂にプロピオン酸を添加させても吸水倍率の向上効果は見られないばかりか、臭気の問題が発生する。また、プロピオン酸や酢酸が多すぎる場合、重合後ないし重合中に除去、特に乾燥時に除去することが困難であり、残存による臭気の問題が発生することもあり、重合後ないし重合中に除去、特に乾燥時に除去することが困難であり、残存による臭気の問題が発生することもあり、よって、臭気とのバランスから上記範囲でプロピオン酸や酢酸が使用されることが好ましい。
混合されるアクリル酸の一方または両方は、プロピオン酸等の有機または無機(特に有機の)微量成分を5質量%以下含むことが好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.2質量%以下が一層特に好ましく、0.1質量%以下が最も好ましい。互いに微量成分の量が異なることが好ましい。微量成分の下限は0.0001質量%、さらには0.001質量%程度であり、複数のアクリル酸を混合することで、過度にアクリル酸を精製せずとも使用できる利点を有する。特に非化石原料由来のアクリル酸ではプロピオン酸が目的とする量より過剰な場合もあり、本発明の方法によって過度の精製が不要となる。
異なるプロピオン酸量または異なる製造方法のアクリル酸の混合はパイプラインによる連続混合で行ってもよく、タンク中で混合してもよい。例えば、プロピオン酸を比較的多く含むアクリル酸は精製法としては晶析に比べて蒸留、原料としては化石原料に比べて非化石原料より得ることができ、これらのアクリル酸の混合によって所定のアクリル酸や単量体とすることが好ましい。また、これら複数のアクリル酸の製造工程および吸水性樹脂の製造工程は同一の立地でもよく、異なる立地や異なる製造元でもよい。異なる立地や異なる製造元の場合、適宜、アクリル酸の購入や輸送を行えばよい。
中でも原料を変えることで、容易にプロピオン酸の含有量を変化させることができる。特にかかる方法では、微量成分の調整と原料のリスクヘッジの観点から、異なる量のプロピオン酸を含む複数のアクリル酸の一方が非化石原料(天然物由来の原料)から得られ、もう一方が化石原料から得られる。かかる場合も上記比率で、化石原料と非化石原料のアクリル酸が併用される。
上記製造方法での混合比率は一定でもよく、時間ごと/ないし吸水性樹脂ごとに変化させてよい。複数のアクリル酸を使用する上記製造法ではアクリル酸を過度に精製せずとも単量体の純度(微量成分量)を一定に制御できるため、アクリル酸が安価に高収率で使用でき、高物性の吸水性樹脂を安価に安定的に得ることができる。その際、混合する複数のアクリル酸について、適宜組成を測定、特に上記微量成分(例;上記(11)のFe量や、酢酸、プロピオン酸量等)を測定して最適混合比率を決定すればよい。
(13)その他併用できるアクリル酸の製法
吸水性樹脂がオムツ等に大量に消費され使い捨てされる現状では、原料はRenewableでSustainableなこと、すなわち、非化石原料から吸水性樹脂およびその原料を得ることが好ましい。かかる吸水性樹脂およびアクリル酸の製造方法としては、油脂から得られるグリセリンからアクリル酸を得て、吸水性樹脂を得ればよい。
その他、非化石原料からかかるアクリル酸系吸水性樹脂の製造方法は、上記で示され、その他、例えば、国際公開第2006/092271号、同第2006/092272号、同第2006/136336号、同第2008/023039号、同第2008/023040号、および同第2007/109128号等に例示されている。これら6件の特許文献はなんら本願吸水性樹脂の製造方法を示唆しない。例えば、第2006/092271号および同第2008/023039号はヒドロキシプロピオン酸からアクリル酸を得て、吸水性樹脂を製造する技術を開示するが、単量体中の残存ヒドロキシプロピオン酸やプロピオン酸の問題を開示しない。
また、非化石原料からアクリル酸の製造方法は、国際公開第2006/08024号、米国特許出願公開第2007/0129570号、国際公開第2007/119528号、および同第2007/132926号等に例示されている。国際公開第2006/08024号はグリセリンからアクロレインを得る際にプロパナールが副生する事実を開示している。かかるプロパナールを含むアクロレインを酸化することで、本発明のプロピオン酸入りアクリル酸、特に非化石原料由来のアクリル酸を容易に得ることができる。
すなわち、RenewableでSustainableの点、および、フェノールの制御の点から、好ましくは、アクリル酸が天然物由来の原料(非化石原料)から得られ、より好ましくは、天然物としてグリセリン由来である。
従来、かかる非化石原料からのアクリル酸、特にヒドロキシプロピオン酸やグリセリンからのアクリル酸には酢酸やプロピオン酸が多く含まれることが見いだされている。かかる非化石原料のアクリル酸から酢酸やプロピオン酸の精製除去することは、コストや収率を犠牲にするものであった。しかし、非化石原料のアクリル酸から酢酸やプロピオン酸の過度の精製除去を行わず、所定量のプロピオン酸をそのまま吸水性樹脂に使用し、重合後の除去(特に乾燥、さらには共沸脱水による乾燥)や塩基性物質の添加を採用する本発明の方法では、安価にRenewableでSustainableな吸水性樹脂を製造できる。
(14)フェノール
本発明では、吸水性樹脂の初期着色改善にフェノールが有効であることが見出された。
すなわち、本発明ではフェノール(示性式;COH)を単量体に含む。フェノールの含有量としては、単量体(固形分)中、0.01〜5000ppmであるのが好ましく、0.01〜2500ppmがより好ましく、0.01〜400ppmがさらに好ましい。
なお、国際公開第2003/051940号に例示のメトキシフェノールや、国際公開第2003/53482号の立体障害フェノールはアクリル酸の重合禁止剤として使用されるが、かかるメトキシフェノール等の増量は吸水性樹脂の着色を起こすのに対して、本願ではフェノールを使用して着色を防止する。
フェノールは水への溶解性(8.4g/100ml、20℃)が若干低いため、溶解性の高いアクリル酸に予めフェノールを所定量含ませておくことが好ましい。フェノールの増量は初期着色に効果を示す上、場合により、抗菌性や消臭性も付与できるが、多量の使用は経時着色防止効果を低下させる恐れがある。
フェノールを使用することで、吸水性樹脂の物性低下や単量体の安定性低下(重合前のゲル化、部分的ゲル化は配管やタンクのつまりを引き起こす)の問題もなく、後述の高濃度重合、高温開始重合、高温乾燥、高温表面架橋を行う場合のように着色に不利な製造条件であっても、白色の吸水性樹脂が得られる。
フェノールを所定量アクリル酸に含有させるには、十分に精製したアクリル酸にフェノールを添加してもよく、また、アクリル酸製造の中間工程でフェノールを副生させたうえで、フェノールを酸化(酸素酸化)や分離除去することで、所定量に調整してもよい。かかる好ましいフェノール含有のアクリル酸の製造方法として、上記天然物由来の原料(非化石原料)から得られ、より好ましくは、天然物としてグリセリン由来である。かかるアクリル酸からは、SustainableでRenewableな、天然グリセリン由来のポリアクリル酸系吸水性樹脂を提供することができる。
(15)ヒドロキシアセトン
本発明では、ヒドロキシアセセトンが吸水性樹脂の経時着色に悪影響を与え、また、単量体の安定性にも悪影響を与えることが見出された。
すなわち、本発明のアクリル酸は不純物としてのヒドロキシアセトン(CHCOCHOH;別称アセトール)量が0〜300ppmであることが好ましい。ヒドロキシアセトン量の上限は、200ppm、100ppm、50ppm、20ppm、10ppm、5ppm、1ppm、0.1ppmの順で好ましい。なお、所定量の含有は初期着色(特にWB)を改善する傾向にあるので、好ましい。
従来、物性や生産性のために重合開始温度や濃度を上げたり、重合スケールを大きくしたり、また、着色防止のために重合禁止剤を減らしたりすると、単量体の部分的なゲル化が起っていたが、本発明ではこの原因が、ヒドロキシアセトンが単量体の安定性を低下させるためであることを見出した。なお、ヒドロキシアセトンは初期着色を改善する傾向にあるので、単量体中0.1〜10ppm程度含有することが好ましい。
(16)ヒドロキシアセトンおよびフェノールの制御方法
アクリル酸中のフェノール(沸点182℃,融点43℃)やヒドロキシアセトン(沸点146℃,融点−6℃)はその沸点、融点、溶解度の差を利用してアクリル酸(沸点142℃,融点12℃)から晶析や蒸留で除去するか、あるいは、さらに所定量添加、または、微量成分のフェノールやヒドロキシアセトンをアクリル酸製造工程でアクロレインと一緒に酸化する等して制御すればよい。例えば、国際公開第2008/05364号に記載の方法で除去ないし制御することも好ましい。
なお、該特許に開示の制御方法(特に段落〔0015〕〜〔0041〕)はすべて本願に盛り込まれる。天然物から好適なアクリル酸の製造法は該特許に例示されるが、かかる方法はフェノールやヒドロキシアセトンをアクリル酸から除去する技術であり、フェノールやヒドロキシアセトンを所定量含有させて特定工程で吸水性樹脂を製造する技術は開示しない。
すなわち、アクリル酸の製法の一例として該特許に加えて、該特許に例示の、アクロレイン含有組成物からフェノール及び/又は1−ヒドロキシアセトンを除去する精製工程と、該精製工程後の前記アクロレイン含有組成物におけるアクロレインを酸化してアクリル酸を製造する酸化工程とを有することを特徴とするアクリル酸の製造方法である。好ましくは、グリセリンを脱水してアクロレインを製造する脱水工程を、前記精製工程の前に有する。また、好ましくは、前記脱水工程において、気相中でグリセリンを脱水する。
(17)ヒドロキシプロピオン酸の制御方法
ヒドロキシプロピオン酸はアクリル酸との沸点差を利用して蒸留などで分離すればよく、好ましくはさらに晶析される。
さらに、重合時の単量体、特に中和後の単量体中、ヒドロキシプロピオン酸量は2000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましく、300ppm以下が特に好ましく、100ppm以下が最も好ましい。過度の精製はコストアップにつながり、また少量の残存は残存モノマーなどへの悪影響も小さいため、下限は1ppmが好ましく、特に10ppm程度で十分である。
かかるヒドロキシプロピオン酸を低減するには、アクリル酸中のヒドロキシプロピオン酸を低減するとともに、中和時ないし中和後のアクリル酸のマイケル付加による3−ヒドロキシプロピオン酸への転化反応を押さえることが好ましい。
そのために、中和に使用するアクリル酸は非水状態(水分量20質量%以下、より好ましくは1質量%以下)とすることが好ましい。その後の中和工程ではアクリル酸を精製後、特に蒸溜精製後、できる限り短時間、例えば72時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内、さらに好ましくは6時間以内に中和や単量体の調製に用いる。また、中和工程では、少なくとも一時期は中和率が100モル%を越える状態を経過させる。次いで、アクリル酸や得られたアクリル酸塩、その他必要に応じて他の単量体を用いて単量体を調製する。最後に、得られた単量体はできる限り短時間、例えば、単量体調製終了後24時間以内、好ましくは12時間以内、さらに好ましくは6時間以内、特に好ましくは2時間以内に重合すれば良い。また、蒸留精製後のアクリル酸は中和や単量体の調製に用いるまで、可能な限り低温、例えば30℃以下、好ましくは凝固点〜25℃に保つのが好ましい。中和工程は重合禁止剤の存在下で低温で、例えば70℃以下、特に50℃以下で短時間、好ましくは4時間以内に行われることが好ましい。蒸留後のアクリル酸が比較的長時間保たれる場合は、非水状態にしておくのが良い。さらに調製終了後の単量体は、その凝固点以上〜40℃以下、好ましくは0〜30℃での保存されるべきである。これらの条件を外れると、3−ヒドロキシプロピオン酸や残存モノマーが増加する傾向があり注意を要する。
なお、国際公開第2008/023039号では、3−ヒドロキシプロピオン酸から脱水および晶析でアクリル酸を製造後、吸水性樹脂を得る技術を開示し、該技術では晶析後の精製アクリル酸の62質量%水溶液を得ているが、中和の温度や時間の記載がなく、よって、中和された単量体中の3−ヒドロキシプロピオン酸の増加を制御できない。本発明では精製アクリル酸を脱水し、さらに中和までの時間や温度、中和後の時間を制御することで、重合時の単量体中の3−ヒドロキシプロピオン酸を必須に2000ppm以下とする。
(18)単量体の濃度
これら単量体は、通常水溶液で重合される。水溶液中の単量体濃度は通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは40〜60質量%である。また、単量体を水溶液で重合するときには、界面活性剤、ポリアクリル酸(塩)や澱粉、ポリビニルアルコール等の高分子化合物、各種キレート剤、各種添加剤を0〜30質量%(対単量体)添加して、併用してもよい。
(19)その他単量体の成分
さらに、単量体水溶液には、単量体に対して、澱粉、ポリアクリル酸(塩)、ポリエチレンイミン等の水溶性樹脂ないし吸水性樹脂を例えば0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜3質量%加えてもよい。また、各種の発泡剤(炭酸塩、アゾ化合物、気泡など)、界面活性剤や後述の添加剤等を例えば0〜5質量%、好ましくは0〜1質量%添加して、吸水性樹脂や粒子状吸水剤の諸物性を改善してもよい。
キレート剤、乳酸などのヒドロキシカルボン酸、還元性無機塩が、吸水性樹脂に好ましくは10〜5000ppm、より好ましくは10〜1000ppm、さらに好ましくは50〜1000ppm、特に好ましくは100〜1000ppm含まれていてもよい。好ましくはキレート剤が必須に使用される。
以下、使用できるキレート剤、ヒドロキシカルボン酸、還元性無機塩を(20)〜(22)で説明する。
(20)キレート剤(好ましくは水溶性有機キレート剤)
本発明の粒子状吸水剤(吸水性樹脂から得られる最終製品)は、例えばさらに色安定性(粒子状吸水剤を、高温高湿条件下で、長期間保存する場合の色安定性)の向上や耐尿性(ゲル劣化防止)の向上を目的とする場合は、好ましくはキレート剤が用いられる。
効果の面から好ましくは、キレート剤が水溶性有機キレート剤であり、さらに、好ましくは、窒素原子または燐原子を有する非高分子化合物有機キレート剤であり、より好ましくは、アミノ多価カルボン酸系キレート剤またはアミノ多価燐酸系キレート剤である。重合への影響や得られる物性から、重量平均分子量が5000以下の非高分子系有機化合物が好ましく、より好ましくは分子量100〜1000である。
前記の中でも窒素原子または燐原子を有する化合物が好ましい。中でも、カルボキシル基を分子内に2個さらには3個以上有するアミノ多価カルボン酸(塩)またはリン酸基を有する有機リン酸(塩)化合物が好ましい。カルボキシル基の数は、3〜100個が好ましく、3〜20個がより好ましく、3〜10個が特に好ましい。特に、有機多価リン酸化合物やアミノ基を有するアミノ多価リン酸化合物が好ましい。
2個以上のカルボキシル基を有するアミノ多価カルボン酸(塩)としては、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ヘキサメチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸およびこれらの塩等のアミノカルボン酸系金属キレート剤が例示される。
分子内に3個以上のリン酸基を有する有機多価リン酸化合物またはアミノ多価リン酸化合物としては、エチレンジアミン−N,N’−ジ(メチレンホスフィン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスフィン酸)、ポリメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、およびこれらの塩である。
(21)ヒドロキシカルボン酸化合物(ヒドロキシ多価カルボン酸)
さらには、色安定性効果のために、国際公開第2008/026772号に例示のクエン酸(塩)、リンゴ酸(塩)等、ヒドロキシカルボン酸、特に非高分子ヒドロキシカルボン酸、非高分子ヒドロキシ多価カルボン酸等を単量体ないしその重合物に使用してもよい。
(22)還元性無機塩
さらには、色安定性効果や耐尿性のために、米国特許出願公開第2006/88115号に例示の還元性無機塩を使用してもよい。
(23)重合工程(架橋重合工程)
重合方法は、性能面や重合の制御の容易さから、通常、水溶液重合または逆相懸濁重合、特に、従来重合の制御や着色改善が困難であった水溶液重合、さらには連続水溶液重合で行われる。特に1ラインで単量体水溶液を重合して吸水性樹脂を0.5t/hr以上、さらには1t/hr以上、よりさらには5t/hr以上、特に10t/hr以上の巨大スケールで製造する連続重合法が好適である。よって好ましい連続重合として、連続ニーダー重合(例えば、米国特許第6987151号および同第670141号)、連続ベルト重合(例えば、米国特許第4893999号、同第6241928号および米国特許出願公開第2005/215734号)に記載の方法が挙げられる。
なお、連続重合では、高温開始(単量体が30℃以上、35℃以上、さらには40℃以上、特に50℃以上。上限は沸点)、高単量体濃度(30質量%以上、35質量%以上、さらには40質量%以上、特に45質量%以上。上限は飽和濃度)での重合が好ましい一例として例示できる。また重合の最高温度は物性面から100℃〜150℃が好ましく、105〜130℃がより好ましい。かかる高温重合や高濃度重合で、後述の不飽和カルボン酸(プロピオン酸)の重合中や重合後の除去がより効率的に行え、得られる吸水性樹脂の臭気(酸臭)低減からも好ましい。
このような高濃度や高温での重合でも、本発明では単量体の安定性に優れ、また、白色の吸水性樹脂が得られるため、またプロピオン酸の除去も容易であり、かかる条件でより顕著に効果を発揮する。好適なかかる高温開始重合は米国特許第6906159号および同第7091253号等に例示されるが、本発明の方法では重合前の単量体の安定性に優れるので、工業的なスケール生産が容易である。
これらの重合は空気雰囲気下でも実施できるが、着色改善から好ましくは、窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気(例えば、酸素濃度1容積%以下)で行い、また、単量体は、単量体中、もしくは単量体を含む溶液中の溶解酸素を、不活性気体で十分に置換(例えば、酸素1ppm未満)した後に重合に用いることが好ましい。そのように脱気しても、単量体の安定性に優れているので、重合前のゲル化も起らず、より高物性・高白色の吸水性樹脂を提供することができる。
(24)重合開始剤
本発明で使用される重合開始剤としては、重合の形態によって適宜選択される。このような重合開始剤としては例えば、光分解型重合開始剤や熱分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を例示できる。重合開始剤の量は前記単量体に対し、0.0001〜1モル%、好ましくは0.001〜0.5モル%の範囲で使用される。
重合開始剤の増量は着色を引き起こすことがあり、少ない場合は残存モノマーが増加する。また、従来の着色改善剤では重合に悪影響を与えることがあったが、本発明の方法では重合(従来時間、諸物性など)に悪影響を与えず、着色を改善できるので好ましい。
光分解型重合開始剤としては例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物を例示できる。また熱分解型重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド)、アゾ化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等)を例示できる。
レドックス系重合開始剤としては、例えば、前記過硫酸塩や過酸化物に、L−アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウムのような還元性化合物を併用し両者を組み合わせた系を例示できる。また光分解型開始剤と熱分解型重合開始剤を併用することも好ましい態様として挙げることができる。
(25)ゲル細粒化工程
重合で得られた含水ゲル状架橋重合体はそのまま乾燥を行っても良いが、重合時または重合後、必要により粉砕機(ニーダー、ミートチョッパー等)を用いてゲル粉砕され粒子状にされる。
ゲル粉砕時の含水ゲルの温度は物性面から、好ましくは40〜95℃、さらに好ましくは50〜80℃に保温ないし加熱される。含水ゲルの樹脂固形分は、特に限定されるものではないが、物性面から好ましくは10〜70質量%、より好ましくは15〜65質量%、さらに好ましくは30〜55質量%である。水や、多価アルコール、水と多価アルコールの混合液、水に多価金属を溶解した溶液あるいはこれらの蒸気等を添加しても良い。
(26)乾燥工程
本発明では残存モノマーの低減やゲル劣化防止(耐尿性)、黄変防止を達成するため、重合終了後、必要によりゲル粉砕工程を経て、乾燥を開始するまでの時間が短いほど好ましい。すなわち、重合後の含水ゲル状架橋重合体は、好ましくは1時間以内、より好ましくは0.5時間以内、さらに好ましくは0.1時間以内に、乾燥を開始(乾燥機に投入)する。また、残存モノマーの低減や低着色を達成するため、重合後から乾燥開始までの含水ゲル状架橋重合体の温度は好ましくは50〜80℃、さらに好ましくは60〜70℃に制御する。
乾燥工程では、上記重合体の乾燥減量(粉末ないし粒子1gを180℃で3時間加熱)から求められる樹脂固形分が好ましくは80質量%以上、より好ましくは85〜99質量%、さらに好ましくは90〜98質量%、特に好ましくは92〜97質量%の範囲に調整された乾燥物を得る。乾燥温度は特に限定されるものではないが、好ましくは100〜300℃の範囲内、より好ましくは150〜250℃の範囲内とすればよい。高物性と白色を両立する上で、乾燥温度が165〜230℃で、乾燥時間が50分以内であることが最も好ましい。温度や時間が上記範囲を外れると、吸水倍率(CRC)の低下や可溶分(Extractables)の増加、白色度の低下を引き起こす恐れがある。
乾燥方法としては連続式またはバッチ式の方法であって、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等、種々の方法の1種または2種以上を採用することができるが、好ましくは露点が40〜100℃、より好ましくは露点が50〜90℃の気体による熱風乾燥である。熱風乾燥には各種バンドドライヤーが好適に使用できる。また、熱風乾燥のほかの好適な乾燥方法として、後述の疎水性有機溶媒中での共沸脱水は低温で行え、プロピオン酸の除去率が高く、好ましい。すなわち、後述の飽和有機カルボン酸の除去の観点からは、熱風乾燥または共沸脱水、さらには共沸脱水が好ましい。
(27)吸水性樹脂からの飽和有機カルボン酸(プロピオン酸や酢酸)等の有機酸の除去
本発明ではプロピオン酸や酢酸等の飽和有機カルボン酸は重合時に存在してもよいが、重合後には酸臭等の原因となることもある。また、酢酸やプロピオン酸等の飽和有機カルボン酸はアクリル酸と化学構造や沸点が近いため、晶析や蒸留での分離精製が困難であり、アクリル酸の製造コスト上昇や収率低下の問題を伴うものであった。そこで、飽和有機カルボン酸が重合しないことを利用して、飽和有機カルボン酸は重合中ないし重合後、特に重合後のポリアクリル酸(塩)から除去することが好ましい。
また、重合後にプロピオン酸を除去する上記製造法では、アクリル酸に対する過度な精製が不要なため、安価な原料アクリル酸が使用でき、よって、高物性の臭気のない吸水性樹脂が安価に安定的に得ることができる。
よって、重合時のプロピオン酸は重合中(特に重合後半、さらには重合率90%以上)ないし重合後の吸水性樹脂から必要に応じて除去すればよく、例えば、アクリル酸に含まれる飽和脂肪族カルボン酸(特に使用するプロピオン酸)の5質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上さらには70質量%以上を除去する。こうして得られた吸水性樹脂中の飽和脂肪族カルボン酸量、特に酢酸およびプロピオン酸の合計量、特にプロピオン酸量は、臭気の点から2質量%以下が好ましく、2000ppm以下がより好ましく、1500ppm以下がさらに好ましく、1000ppm以下が特に好ましい。少量の残存は臭気の問題もなく、またプロピオン酸が抗菌性を発揮する場合もあり、除去コスト面からプロピオン酸の下限は10ppm程度、さらには100ppm程度で十分である。また吸水性樹脂の臭気の観点から、残存するプロピオン酸は酸型であるより、塩型(プロピオン酸塩、特に一価塩)が好ましくは、よって吸水性樹脂は前記範囲の中和率、特に所定以上の高中和される。
除去方法としては、抽出、洗浄や揮発等が挙げられ、好ましくは揮発させることであり、常圧または減圧下で沸点(141℃)以上に加熱すればよい。加熱方法としては、乾燥工程や表面架橋工程での加熱が挙げられ、特に含水状態で一定時間・一定温度以上の加熱が好ましい。また、プロピオン酸を除去する際、同時に酢酸、アクリル酸等の有機酸を上記範囲の量となるように除去、特に揮発させることも好ましい。また抽出や洗浄には各種、水ないし親水性または疎水性有機溶媒が使用できる。さらに、後述の疎水性有機溶媒中での共沸脱水では、プロピオン酸の沸点未満の加熱でも効率的に飽和有機カルボン酸、特にプロピオン酸を除去できるので好ましい。
かかる加熱条件としては、上記乾燥工程や表面架橋のための加熱時間で調整すればよいが、好ましくは150〜250℃、より好ましくは165〜230℃で、10分以上行うとよい。より好ましくは15分〜2時間、さらに好ましくは20分〜1時間である。上記条件で加熱を行えば、好ましくは含水率80〜3質量%、特に70〜5質量%の含水ゲルが得られる。また、加熱処理には含水ゲルの熱風乾燥が好ましく、熱風風量0.1〜5m/sec、好ましくは0.5〜3m/secで、上記露点の範囲、すなわち、好ましくは熱風の露点が40〜100℃、より好ましくは露点が50〜90℃である。なお、他の好適な乾燥手段である疎水性有機溶媒中での共沸脱水については後述する。
水や風がない場合、加熱してもプロピオン酸の除去が不十分で、得られた吸水性樹脂に酸臭がすることがある。また、露点が低い場合も除去が不十分となりやすい。
また、重合後のプロピオン酸の除去には、疎水性有機溶媒中での共沸脱水も好ましいことも見いだされた。好ましい除去方法として、逆相懸濁重合の乾燥に用いられる共沸脱水が適用できる。さらに、本発明は逆相懸濁重合にも好適に適用できる。すなわち、本発明では、吸水性樹脂の製造方法において、前記水溶性不飽和単量体が所定量のプロピオン酸を含有し、かつ共沸脱水でプロピオン酸を除去することを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法を提供し、その際の重合方法として水溶液重合または逆相懸濁重合、特に好ましくは逆相懸濁重合を採用する。疎水性有機溶媒は一般に沸点60〜140℃、さらには80〜120℃程度の低沸点疎水性溶媒が使用できるが、本発明ではかかる低沸点、特にプロピオン酸の沸点(141℃)未満の溶媒での重合ないし共沸脱水(加熱温度の上限は溶媒の沸点)でも、プロピオン酸を極めて効率的に除去できることを見いだした。
逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒、に質量平均粒子径1〜0.1mm程度の粒子状で懸濁させる重合法であり、重合と同時に製品粒径のゲル粒子が得られる利点があり、例えば、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第5244735号明細書などの米国特許に記載されている。本発明では、単量体の水溶液中に必要により界面活性剤や保護コロイドから選ばれる分散剤を溶解あるいは分散して含有させてもよい。特に逆相懸濁重合を本発明に採用する場合、この分散剤を単量体水溶液中に含有させることによって、疎水性有機溶剤での単量体ないし重合体の粒子形状での分散がより均一に起こり、最終的に得られる吸水性樹脂の粒子径分布がより狭くなる。
これらの界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル燐酸エステルやポリオキシエチレントリデシルエーテル燐酸エステル(いずれも第一工業製薬製:プライサーフ(登録商標))などの(ポリオキシエチレン)燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤や、高級アルコール硫酸エステル、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルポリオキシエチレンサルフェート塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系界面活性剤等の中から一種又は二種以上を分割選択して用いることができ、これらは一括または分割して重合系に添加できる。さらに、高分子保護コロイドとしては、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、(無水)マレイン酸−エチレン共重合体、(無水)マレイン酸−ブタジエン共重合体等が例示できる。中でも脂肪酸エステル系の界面活性剤、さらにはHLBが8以上の非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤ないし分散剤の使用量は、一般に単量体に対し0.05〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明で逆相懸濁重合の媒体として使用される疎水性有機溶剤としては、単量体水溶液と混和せず二相を形成するものであれば特に制限なく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の置換基を有してもよい脂環族炭化水素類;ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等の置換基を有してもよい芳香族炭化水素水等があげられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用できる。特に好ましくはn−ヘキサン(沸点69℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、シクロヘキサン(沸点81℃)、メチルシクロヘキサン(沸点110℃)、トルエン(沸点81℃)またはキシレン(沸点139℃)である。疎水性有機溶剤と単量体水溶液の質量比率は3:2〜4:1程度が好ましい。重合中あるいは重合後に別途、分散剤や疎水性有機溶剤を加えてもよい。
これらの溶媒中に単量体を一括ないし分割で分散させ、単量体ないしその重合体の分散した溶媒を好ましくは40〜90℃の範囲、より好ましくは50〜80℃の範囲で加熱して、好ましくは0.5〜10時間の範囲、より好ましくは1〜5時間の範囲で重合すればよい。分散時の質量平均粒子径は通常10〜2000μmの範囲、物性面から好ましくは100〜1000μmの範囲、さらに好ましくは200〜600μmの範囲であり、さらに850μm以上および150μm以下の微粉末の含有量は少ないほど、具体的には各々10質量%以下、さらには5質量%以下が好ましい。これらは分散剤や溶媒の種類や量、攪拌動力、さらには造粒などで適宜調整すればよい。
本発明で逆相懸濁重合を行うことで、重合も温和に制御できる。また、逆相懸濁重合の大きな利点として、一般的な熱風乾燥に比べて、疎水性有機溶媒中での共沸脱水による低温での乾燥(加熱上限は溶媒の沸点)を用いることで、低温乾燥(低沸点有機溶媒中での乾燥)にもかかわらず、重合後のプロピオン酸の除去が容易である。またプロピオン酸除去の観点から、重合の際に水溶液重合を用いる場合も上記共沸脱水を用いることも好ましく、その場合、必要により上記界面活性剤や分散剤を使用することで水溶液重合後の含水ゲル状重合体を上記疎水性有機溶媒中に分散させたのち、疎水性有機溶媒中で共沸脱水すればよい。乾燥後の固形分は上記の範囲であり、共沸脱水後の吸水性樹脂は疎水性溶媒から濾過され、必要により疎水性溶媒などをさらに乾燥すればよい。またプロピオン酸や界面活性剤などを含む疎水性有機溶媒は蒸留リサイクルすればよい。また表面架橋は任意であるが、疎水性溶媒中で、分散系で行ってもよく、濾過後の粉体系で行ってもよい。
(27)に例示の各種乾燥工程や表面架橋工程などで除去されたプロピオン酸は、冷却凝集、水やアルカリ水溶液で捕集して他の揮発物(例;アクリル酸(沸点141℃)、酢酸(沸点118℃)等)とともに、プロピオン酸(塩)水溶液として回収すればよい。また、回収された該揮発物は必要により精製して重合などに再使用してもよく、燃焼や生物分解で廃棄してもよい。
本発明は、アクリル酸で単量体を調製する工程、該単量体の重合工程、得られた含水ゲルの乾燥工程を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂の製造方法であって、アクリル酸としてヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応物によって得られたアクリル酸を使用し、かつ単量体中のヒドロキシプロピオン酸(塩)を2000ppm以下で重合する吸水性樹脂の製造方法を提供する。本発明は、また、単量体中の飽和脂肪族カルボン酸を5質量%以下、さらには2質量%以下として重合し、乾燥工程以降で飽和脂肪族カルボン酸の少なくとも一部を揮発させ、さらに必要によりこれを捕集する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法も提供する。かかる製造方法は飽和脂肪族カルボン酸が多く含まれるアクリル酸、特に非化石原料によって得られるアクリル酸を用いる場合に、好適に適用できる。
(28)粉砕ないし分級工程(乾燥後の粒度調整)
前述の含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程後、必要により乾燥後に粒度を調整してもよく、後述の表面架橋での物性向上のため、好ましくは特定粒度にされる。粒度は重合(特に逆相懸濁重合)、粉砕、分級、造粒、微粉回収などで適宜調整できる。以下、粒度は標準篩(JIS Z8801−1(2000))で規定される粒度とする。
乾燥粒子の表面架橋前の質量平均粒子径(D50)としては200〜600μm、好ましくは200〜550μm、より好ましくは250〜500μm、特に好ましくは350〜450μmに調整する。また、150μm未満の粒子が少ないほどよく、通常0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%、特に好ましくは0〜1質量%に調整する。さらに、850μm以上の粒子が少ないほどよく、通常0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%、特に好ましくは0〜1質量%に調整する。粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.20〜0.40、より好ましくは0.27〜0.37、さらに好ましくは0.25〜0.35とする。これらの測定方法については、標準篩を用いて、例えば、国際公開第2004/69915号やEDANA−ERT420.2−02に記載されている方法を採用すればよい。かかる粒子径は表面架橋後の最終的な吸水性樹脂にも好適に適用される。
一般に粒度分布を狭く制御すると、すなわち、粒度の上下限を狭く制御すると、色が目立ってしまうが、本発明ではかかる色の問題がなく好ましい。よって、本発明では好ましくは乾燥後、850〜150μmの割合が95質量%以上、さらには98質量%以上(上限100質量%)になるような分級工程を含む。かかる粒度分布は表面架橋後の最終的な吸水性樹脂にも好適に適用される。
(29)表面架橋工程
本発明では、好ましくは乾燥後の吸水性樹脂粒子に対する表面架橋工程をさらに含む。本発明の製造方法では、表面架橋工程でのさらなる着色や残存モノマーの増加も少なく、より白色で低残存モノマーの吸水性樹脂が得られる。よって、表面架橋を行う吸水性樹脂、特に高温で表面架橋を行う吸水性樹脂に好適に適用される。
(共有結合性表面架橋剤)
本発明で用いることの出来る表面架橋剤としては、種々の有機または無機架橋剤を例示できるが、有機表面架橋剤が好ましく使用できる。好ましくは、表面架橋剤として、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、(モノ、ジ、またはポリ)オキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物が挙げられ、特に高温での反応が必要な、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物からなる脱水エステル反応性架橋剤が使用できる。
より具体的には、米国特許第6228930号、同第6071976号、同第6254990号等に例示されている化合物を挙げることが出来る。例えば、モノ,ジ,トリまたはテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドール等のエポキシ化合物;エチレンカボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノンのような環状尿素化合物等が挙げられる。
(イオン結合性表面架橋剤)
また、上記有機表面架橋剤以外に無機表面架橋剤を使用して通液性等を向上させてもよい。使用される無機表面架橋剤は2価以上、好ましくは3価ないし4価の多価金属の塩(有機塩ないし無機塩)ないし水酸化物が例示できる。使用できる多価金属としてはアルミニウム、ジルコニウム等が挙げられ、その塩としては乳酸アルミニムや硫酸アルミニムが挙げられる。これら無機表面架橋剤は有機表面架橋剤と同時または別途に使用される。多価金属による表面架橋は国際公開第2007/121037号、同第2008/09843号、同第2008/09842号、米国特許第7157141号、同第6605673号、同第6620889号、米国特許出願公開第2005/0288182号、同第2005/0070671号、同第2007/0106013号、同第2006/0073969号に示されている。
また、上記有機表面架橋剤以外にポリアミンポリマー、特に重量平均分子量3000以上、さらには5000〜100万さらには1万〜50万程度のものを同時または別途で使用して通液性等を向上させてもよい。使用されるポリアミンポリマーは例えば米国特許第7098284号、同第6849665号、国際公開第2006/082188号、同第2006/082189号、同第2006/082197号、同第2006/111402号、同第2006/111403号、同第2006/111404号等に例示されている。かかるポリアミンポリマーは後述の酸臭低減にも好適に使用される。
(諸条件)
表面架橋剤の使用量は吸水性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部程度の範囲内で適宜決定される。表面架橋剤に合わせて好ましくは水が使用され得る。使用される水の量は吸水性樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の範囲である。無機表面架橋剤と有機表面架橋剤を併用する場合も各々0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部の範囲で併用される。
また、この際、親水性有機溶媒を使用してもよく、またその量は、吸水性樹脂粒子100質量部に対し、0〜10質量部、好ましくは0〜5質量部の範囲である。また吸水性樹脂粒子への架橋剤溶液の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲、例えば、0〜10質量部、好ましくは0〜5質量部、より好ましくは0〜1質量部で、有機酸(塩)や無機酸(塩)、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。用いられる界面活性剤やその使用量は米国特許第7473739号等に例示されている。
また、酸臭低減のため吸水性樹脂を前述の高中和(65モル%以上、特に90モル%以上)とする場合など、表面架橋を促進するための酸性(特にpKaが6以上、さらには5以上)の有機酸や無機酸を上記範囲(下限は通常0.001質量部以上、さらには0.01質量部以上)で併用してもよい。有機酸としては高分子または非高分子の有機酸、特に非高分子有機酸が好ましく、乳酸やクエン酸やリンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸が使用できる。また無機酸としては、硫酸、塩酸、リン酸やそれらの塩(酸性塩;例えば、硫酸アルミニウム)が使用できるが、特に制限はない。その他、表面架橋で使用できるルイス酸やブレンステッド酸は、米国特許第5610208号や米国特許出願公開第2009/0131633号等に例示される。
表面架橋剤を混合後の吸水性樹脂は好ましくは加熱処理され、必要によりその後、冷却処理される。加熱温度は70〜300℃、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜250℃であり、加熱時間は、好ましくは1分〜2時間の範囲である。加熱処理は、通常の乾燥機又は加熱炉で行うことができる。本発明では、従来着色が激しかった高温加熱や空気(熱風)での乾燥でも、高度に白色の吸水性樹脂を提供する。
特に衛生材料(特に紙オムツ)を目的とする場合、かかる表面架橋によって、後述の加圧下吸水倍率(AAP)を後述の範囲、好ましくは20g/g以上、さらには23〜30g/g程度にまで向上させることができる。
(30)非化石原料の表面処理剤
本発明でアクリル酸を非化石原料から製造する場合、SustainabilityやRenewableの観点から、好ましくは表面処理剤も非化石原料由来の表面処理剤が使用される。非化石原料由来の表面処理剤であることは例えば14Cで判別可能であり、非化石原料としてはグリセリン等の多価アルコールや、乳酸ないしその塩(一価塩、特に多価金属塩さらにアルミニウム塩)が使用される。中でも物性面から表面処理剤として、1,2−(または1,3)−プロパンジオールや乳酸が使用され、かかる乳酸やプロパンジオールはグリセリンやセルロースから化学的酸化や還元、ないし発酵法(生物的酸化)で得ることができる。
例えば、使用されるグリセリンは天然物、合成物、半合成物のいずれでもよいが、原料のSustainabilityやCO排出の点から、天然物由来、例えば、油脂の鹸化物が好ましい。CO排出規制の面からも、バイオディーゼルの使用が盛んであるが、その副生物であるグリセリンの使用は好適な一例である。油脂からグリセリンを得る手法は、特に限定されず、例えば、米国特許出願公開第2007/0167642号、国際公開第2007/029851号、同第2006/088254号等に例示されている。
本発明ではグリセリン還元物、好ましくは、天然物のグリセリンをプロパンジオールに還元して表面架橋剤を製造し、吸水性樹脂の表面架橋を行う。かかる架橋剤を用いることは、大量に消費および廃棄される吸水性樹脂において、環境への負荷や持続可能性(Sustainability)の面から好ましい。さらに、従来の複雑な有機合成を経て得られた架橋剤に比べて、コスト面や安全性にも優れ、さらに、後述の物性(例えば、加圧下吸水倍率)も向上する。
本発明のプロパンジオールの製造方法は特に問わないが、グリセリンから、1,3−プロパンジオールの製造方法は、特開2005−102533号、米国特許出願公開第2007/0148749号等で得ることができる。グリセリンからの1,2−プロパンジオールの製造方法は、米国特許第5276181号、米国特許出願公開第2005/0244312号、特開2007−283175号等で得ることができる。また、その他、特開2009−96812号に開示の非化石原料由来の表面処理剤であるプロパンジオールや乳酸(特に〔0032〕〜〔0047〕およびその製造例と実施例)も好適に適用できる。
(31)塩基性物質の添加工程
プロピオン酸や酢酸はヒドロキシプロピオン酸に比べて低沸点であるため、本発明で得られた吸水性樹脂に臭気(酸臭)の問題がある場合や、プロピオン酸や酢酸が多いアクリル酸(例;400ppm以上)を使用する場合、好ましくは、重合工程の後に塩基性物質を添加する工程をさらに含む。
すなわち、飽和有機酸(特にプロピオン酸)由来の酸臭の観点からは、中和率は高いほど好ましく、また、乾燥時の除去の観点からは中和率は低いほど好ましい。よって、酸臭の観点から重合時の中和率さらに好ましくは乾燥前の中和率を好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下にしたり、重合体粉体表面に塩基性物質を添加することも好ましい形態である。また、前記したように酸臭低減のために得られる吸水性樹脂の中和率を上記10〜100モル%さらには30〜95モル%の範囲で、最終的な中和率を高中和とし65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上の順に高めることが好ましい。かかる中和率の調整は重合時の単量体または重合後の塩基の添加で行われる。
塩基性物質の添加で酸臭低減や通液性向上などが図れる。塩基性物質は、乾燥後、または粉砕後、特に表面架橋後に添加するのが好ましい。これにより、吸水性樹脂粒子の表面が塩基性に制御される。添加される塩基性物質としては、無機または有機の塩基性物質、さらには、水溶性塩基ないし水分散性塩基が使用される。
有機塩基性物質としては前記表面架橋剤にも例示の、乳酸アルミニウム等の塩基性多価金属塩、または、有機アミン、特に有機ポリアミン、特に分子量3000以上のポリアミンポリマーが使用され、無機塩基性物質としては、特に炭酸塩、炭酸水素塩、具体的にはアルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素、特に炭酸ソーダが使用される。使用できるポリアミンポリマーは、水溶性または水膨潤性ポリアミンポリマー、好ましくは水溶性ポリアミンポリマーであり、好適な種類やその分子量は上記表面架橋剤等として例示したものである。
これら塩基性物質の使用量は、通常、吸水性樹脂100質量部に対して10質量部以下、さらには0.01〜5質量部、特に0.1〜3質量部である。また、プロピオン酸に対して好ましくは0.1〜300質量倍、さらには1.1〜100質量倍、特に2〜50質量倍の範囲である。好ましくは吸水性樹脂粒子の表面に該塩基性物質が添加され、表面が塩基性ないし組成物とされる。
吸水性樹脂への塩基性物質の添加は直接行ってもよく、溶媒(好ましくは水)を0〜30質量部程度で使用して、溶液ないし分散液で添加してもよい。また、溶媒を使用する場合、溶媒は乾燥してもよく、残存させてもよいが、吸水速度や耐衝撃性からも好ましくは所定量の水が残存(例;含水率0.1〜10質量%)するように調整される。
(32)その他工程
上記以外に、必要により、蒸発モノマーのリサイクル工程、造粒工程、微粉除去工程、微粉リサイクル工程等を設けてもよい。さらには、経時色安定性効果やゲル劣化防止等のために、後述の添加剤を単量体ないしその重合物に使用してもよい。
(33)吸水性樹脂とその性状
上記で塩基性物質を添加して得られた本発明の吸水性樹脂は、プロピオン酸(CCOOH)および塩基性物質を合計で500ppm以上含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂であり、好ましくはプロピオン酸に対して1.1〜100質量倍の塩基性物質を含む。好ましい塩基性物質は無機塩であり、粉末である。さらに、経時着色の点から、キレート剤、還元性無機塩、ヒドロキシカルボン酸から選ばれる添加剤をさらに含む。プロピオン酸の好適な含有量は前記(2質量%以下さらには2000ppm以下)のとおりである。
かかる吸水性樹脂は吸水倍率が向上したうえに、一定量のプロピオン酸を含むため、抗菌効果を示す。しかも、塩基性物質添加のために酸臭もない。また、上記アクリル酸の製造に非化石原料を使用する場合、本発明は、非化石原料由来のポリアクリル酸系吸水性樹脂であって、促進試験後のYI≦30の吸水性樹脂を提供することができる。また、抗菌性の点から、酢酸およびプロピオン酸をさらに含む。好ましい含有量は上記範囲である。単量体原料の50質量%以上、さらには70質量%、特に90質量%は非化石原料からのアクリル酸であることが好ましい。また非化石原料由来のアクリル酸のみでは生産量(供給量)や微量成分で、吸水性樹脂の生産に合致しない場合、化石原料由来のアクリル酸を必要により併用することが好ましい。好ましい併用比率は上記範囲である。非化石原料からのアクリル酸を使用した吸水性樹脂は、大量消費財として、SustinableおよびRenewableの点で好ましいうえ、従来になく、白色である。
アクリル酸の原料として天然物(特に非化石原料)を使用する場合、米国特許出願公開第2007/219521号に準じて、非化石原料の比率は、得られるポリアクリル酸の14C(放射性炭素)/C(炭素)で特定できる。従来の化石原料(特に石油、さらにプロピレン)から得られるアクリル酸(塩)系吸水性樹脂では14C/Cが1.0×10−14未満であるのに対して、本発明の吸水性樹脂は14C/Cが好ましくは1.0×10−14以上、さらに好ましくは1.0×10−13以上、特に好ましくは1.0×10−12である。ほぼ100質量%が非化石原料の場合、上限は1.2×10−12である。14C/Cはアイソトープ・マススペクトロフィー等で測定でき、例えば、米国特許第3885155号、同第4427884号、同第5438194号、同第5661299号に示される。
またアクリル酸を得る際に、上記比率で非化石原料と化石原料を併用する場合、上記(12)の比率1:99〜99:1の範囲で決定され、14C(放射性炭素)/C(炭素)の比率でのSustinable率(非化石原料率)は1〜99%が好ましく、10〜90%がより好ましく、20〜80%がさらに好ましく、30〜70%が特に好ましい。
すなわち、本発明は、非化石原料由来のアクリル酸と化石原料由来のアクリル酸を併用したポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を提供する。併用比率は上記の範囲であり、さらにはプロピオン酸が2000ppm以下であり、好ましくは塩基性物質をさらに含む。かかる吸水性樹脂は非化石原料由来のアクリル酸と化石原料由来のアクリル酸を併用するため、重合前または表面架橋後のプロピオン酸量やその他微量成分も最適に調整でき、また、原料をリスクヘッジできる。かかる新規な吸水性樹脂はコストや原料ソースの安定性に優れ、かつプロピオン酸などの微量成分を最適比で含むことが容易なため、物性も安定し、高物性で安価な吸水性樹脂として広く使用できる。アクリル酸の非化石原料としてヒドロキシプロピオン酸やグリセリンであり、化石原料として石油や石炭が使用される。
(34)Sustaibality
本発明はアクリル酸や架橋剤に非化石原料を使用する場合、Sustaibalityの高いRenewableな吸水性樹脂を提供する。吸水性樹脂中の非化石原料の比率は14C(放射性炭素)/Cで規定できる。
すなわち、本発明は14C/Cが1.0×10−14以上で、且つヒドロキシプロピオン酸が2000ppm以下のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を提供する。得られる吸水性樹脂中のヒドロキシプロピオン酸は2000ppm以下である。1500ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましく、300ppm以下が特に好ましく、100ppm以下が最も好ましい。かかる吸水性樹脂は残存モノマーも少なく、その後の加熱でも残存モノマーの発生増加もない。
(35)吸水性樹脂の物性
衛生材料、特に紙オムツを目的とする場合、上記重合や表面架橋によって、下記(a)〜(g)の少なくとも1つ、さらにはAAPを含め2つ以上、特に3つ以上、5つ以上を制御することが好ましい。下記を満たさない場合、後述の高濃度オムツでは十分な性能を発揮しないことがある。なお、好適な粒度や14C割合(非化石原料の割合)は前記のとおりである。
(a)初期着色
本発明の吸水性樹脂は初期着色に優れ、例えば、ハンターLab表面色系において、L値(Lightness)が好ましくは85以上、より好ましくは87以上、さらに好ましくは89以上である。b値は−5から10が好ましく、より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−4〜4であり、また、a値は−2〜2が好ましく、より好ましくは−1〜1、さらに好ましくは−0.5〜1、最も好ましくは0〜1である。YIは10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。WBは70以上が好ましく、75以上がより好ましく、77以上が更に好ましい。かかる吸水性樹脂は経時着色にも優れ、長期保存の促進試験(モデル)である高温高湿下でも十分な白色度を示す。
(b)加圧下吸水倍率(AAP)
紙オムツでのモレを防止するため、上記重合を達成手段の一例として、1.9kPaの加圧下さらには4.8kPaの加圧下での0.9質量%の塩化ナトリウム水溶液に対する吸収倍率(AAP)が好ましくは20(g/g)以上、よりに好ましくは22(g/g)以上、さらに好ましくは24(g/g)以上に制御する。上限は他の物性とのバランスから40g/g程度である。
(c)通液性(SFC)
紙オムツでのモレを防止するため、上記重合を達成手段の一例として、加圧下での通液特性である0.69質量%塩化ナトリウム水溶液流れ誘導性SFCは1(×10−7・cm・s・g−1)以上、好ましくは10(×10−7・cm・s・g−1)以上、より好ましくは50(×10−7・cm・s・g−1)以上、さらに好ましくは70(×10−7・cm・s・g−1)以上、特に好ましくは100(×10−7・cm・s・g−1)以上に制御する。
(d)無加圧下吸水倍率(CRC)
無加圧下吸水倍率(CRC)は好ましくは10(g/g)以上であり、より好ましくは20(g/g)以上、さらに好ましくは25(g/g)以上、特に好ましくは30(g/g)以上に制御する。CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性とのバランスから、好ましくは50(g/g)以下、より好ましくは45(g/g)以下、さらに好ましくは40(g/g)以下である。
(e)水可溶分量(可溶分)
水可溶分量は、好ましくは0〜35質量%以下、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
(f)残存モノマー
上記重合を達成手段の一例として、残存モノマー(残存単量体)量は通常500ppm以下、好ましくは0〜400ppm、より好ましくは0〜300ppm、特に好ましくは0〜200ppmとする。
(g)含水率
吸水速度や耐衝撃性から、好ましくは所定量の水が残存(例;含水率0.1〜10質量%、さらには1〜8質量%)するように調整する。
(36)その他添加剤
さらに、目的に応じて、吸水性樹脂には酸化剤、酸化防止剤、水、多価金属化合物、シリカや金属石鹸等の水不溶性無機ないし有機粉末、消臭剤、抗菌剤、ポリアミンポリマー、パルプや熱可塑性樹脂繊維等を吸水性樹脂中に0〜3質量%、好ましくは0〜1質量%添加してもよい。
(37)用途
本発明の吸水性樹脂の用途は特に限定されないが、好ましくは、紙オムツ、生理ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に使用され得る。特に、従来、原料由来の臭気、着色等が問題になっていた高濃度オムツ(1枚のオムツに多量の吸水性樹脂を使用したもの)に使用され、特に前記吸収性物品中の吸収体上層部に使用された場合に、特に優れた性能が発揮される。
この吸収性物品中の、任意に他の吸収性材料(パルプ繊維等)を含んでいてもよい吸収体における吸水性樹脂の含有量(コア濃度)は、30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%、特に好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは75〜95質量%で本発明の効果が発揮される。例えば、本発明の吸水性樹脂を前記濃度で、特に吸収体上層部に使用した場合、高通液性(加圧下通液性)のため、尿等の吸収液の拡散性に優れ、効率的な液分配によって紙オムツ等の吸収性物品全体の吸収量が向上する。さらに、衛生感のある白色状態を保つ吸収体を有する吸収性物品を提供できる。
また、上記吸収体は密度が0.06〜0.50g/cc、坪量が0.01〜0.20g/cmに圧縮成形されているのが好ましい。さらに、上記吸収体の厚みは30mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下であり、薄型化の紙おむつにとって好適な吸収性物品が提供できる。
(38)水溶性ポリアクリル酸(塩)の製造方法
上記の本願の吸水性樹脂の製造方法は、水溶性ポリアクリル酸(塩)等の水溶性樹脂を製造する場合にも適用できる。その際、架橋剤の未使用や重合条件による低分子量化で、水溶性ポリアクリル酸(塩)等の水溶性樹脂を製造すればよい。
本発明では吸水性樹脂の上位概念として親水性樹脂、すなわち、吸水性樹脂および水溶性樹脂から選ばれる親水性樹脂の製造方法も提供する。
吸水性樹脂の製造方法は上記に示したが、水溶性樹脂となる範囲で条件を設定(例;架橋剤なし)してアクリル酸を重合することでポリアクリル酸を得ればよく、その際、水溶性樹脂では乾燥は任意であり、重合後の水溶液でそのまま使用してもよく、適宜、濃縮ないし希釈してもよい。水溶性樹脂の重量平均分子量は300〜1000万、好ましくは500〜500万であり、上記(2)〜(28)の製造条件は水溶性樹脂となる範囲で適宜適用される。水溶性樹脂は吸水性樹脂の前駆体(さらに架橋されて水膨潤性水不溶性)としてもよいし、ビルダーや増粘剤として使用してもよい。
(物性評価)
(a)初期着色
日本電色工業株式会社製の分光式色差計SZ−Σ80COLOR MEASURING SYSTEMを用いて行った。測定の設定条件は、反射測定が選択され、内径30mmで且つ高さ12mmである付属の粉末・ペースト用容器が用いられ、標準として粉末・ペースト用標準丸白板No.2が用いられ、30Φ投光パイプが用いられた。備え付けの粉末・ペースト用容器に約5gの吸水性樹脂を充填した。
(b)経時着色
吸水性樹脂を高温高湿下(70℃、75%RH)に10日間放置したのち、上記(a)の手法で色を測定した。
(c)その他物性
上記EDANAのERT、ないし、米国特許出願公開第2006/204755号に準じて、0.9質量%生理食塩水での無加圧下吸水倍率(CRC)、pH可溶分、残存アクリル酸、通液性(SFC)を測定した。
(製造例1)
グルコース水溶液を発酵させて得られた3−ヒドロキシプロピオン酸の10質量%水溶液に重合禁止剤としてメトキシフェノール200ppmを加えた後、リン酸触媒で加熱して脱水反応し、アクリル酸水溶液を得た。得られたアクリル酸水溶液を蒸留して高沸点のβ−ヒドロキシプロピオン酸を除去した。蒸留時にはp−メトキシフェノール60ppmを添加した。ヒドロキシプロピオン酸がND、プロトアネモニン、アリルアクリレート、アリルアルコール、アルデヒド分、マレイン酸が各々ND(検出限界)であるアクリル酸(1)(p−メトキシフェノール60ppm)を得た。なお、β−ヒドロキシプロピオン酸からアクリル酸の製造方法は、国際公開第2006/092271号および同第2008/023039号等に開示されている。なお、得られたアクリル酸の14C量は理論値(非化石原料の値)と一致した。
(製造例2)
プロピレンの気相酸化で得られた反応ガスを吸収塔で水捕集し、アクリル酸水溶液を得た。次いで、このアクリル酸水溶液を溶剤分離塔に供給し、共沸溶剤を用いて、水と、酢酸等の低沸点不純物とを蒸留除去し、プロトアネモニン250ppm、フルフラール260ppmを含む粗製アクリル酸を得た。なお、得られたアクリル酸の14C量は理論値(化石原料の値)と一致した。
この粗製アクリル酸を、無堰多孔板30段を有する高沸点不純物分離塔の塔底に供給して、還流比を1として蒸留し、マレイン酸やアクリル酸からなる二量体(アクリル酸ダイマー)等の高沸点不純物と共にプロトアネモニンを除去した。その結果、塔頂からはプロトアネモニン13ppmおよびフルフラール230ppmを含むアクリル酸(2)を得た。
(製造例3)
製造例2において、アクリル酸(2)にアルデヒド処理剤としてヒドラジンヒドラートを400ppm添加しておいて、単蒸留装置で蒸留することにより、フルフラール含有量を1ppmに低減させた。プロトアネモニン13ppmとフルフラール1ppmを含むアクリル酸(3)を得た。
(製造例4)
高沸点不純物分離塔の無堰多孔板を30段のまま、および、還流比を0.9に変更した以外は、製造例2と同様にして、フルフラール含有量を1ppmに低減させた精製アクリル酸(4)(プロトアネモニン含有量17ppm)を得た。
(単量体の調製方法1)
鉄(Fe換算)を1.4ppm含有する苛性ソーダから得られたNaOH水溶液に対して、上記アクリル酸(1)を冷却下(中和時の液温20℃)で添加することで、75モル%中和を行った。3−ヒドロキシプロピオン酸の含有量(対単量体)が100ppmの単量体が得られた。単量体中のFe量はNaOH由来の約0.7ppmであった。
(単量体の調製方法2)
調製方法1において、中和温度を60℃に変更したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸の含有量が2100ppmの単量体が得られた。同じアクリル酸でも中和温度で中和後の3−ヒドロキシプロピオン酸量が大きく異なることが分かる。
(単量体の調製方法3)
単量体の調製方法1において、アクリル酸(1)を精製後、20日後に中和したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸が3200ppmの単量体が得られた。同じアクリル酸でも精製後の時間で中和後の3−ヒドロキシプロピオン酸量が大きく異なることが分かる。
(単量体の調製方法4)
調製方法3において、アクリル酸(1)を精製後、国際公開第2008/023039号の実施例2に準じてアクリル酸62質量%水溶液としたのち、40℃で循環貯蔵し24時間後に中和したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸が2500ppmの単量体が得られた。同じアクリル酸でも精製後の時間で中和後の3−ヒドロキシプロピオン酸量が大きく異なることが分かる。
(実施例1)
製造例1で得られたアクリル酸(1)を調製方法1に従って中和し、中和率75モル%で濃度35質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液(1)を得たのち、内部架橋剤ポリエチレングリコールジアクリレート0.05モル%(対単量体)を溶解させることで、3−ヒドロキシプロピオン酸100ppmの単量体(1)を得た。かかる単量体(1)350gを即座(3分以内)に容積1Lの円筒容器に入れ、2L/分の窒素をバブリングして20分脱気した。次いで、過硫酸ナトリウム0.12g/モル(対単量体)、および、L−アスコルビン酸0.005g/モル(対単量体)の水溶液をスターラー攪拌下で添加して、重合を開始させた。重合開始後に攪拌を停止し、静置水溶液重合を行った。ピーク重合温度110℃を約14分後に示したののち、30分経過後に重合容器より取り出した。
得られた含水ゲル状架橋重合体(1)を45℃でミートチョッパー(孔8mm)によって細分化しのち、即座(3分以内)に乾燥機に投入し、風速1.8m/secで170℃の熱風乾燥機で20分加熱乾燥した。さらに、乾燥重合体(固形分・約95質量%)をロールミルで粉砕し、JIS標準篩で850〜150μmに分級することで、吸水性樹脂粉末(1)を得た。なお、得られた吸水性樹脂の14C量は理論値(非化石原料の値)と一致した。
(実施例2〜4)
実施例1において、3−ヒドロキシプロピオン酸が100ppmの単量体(1)に代えて、500ppm、1000ppm、1500ppmのアクリル酸を使用する以外は実施例1と同様に、単量体の重合および乾燥を行った。吸水性樹脂粉末(2)〜(4)が得られた。結果を表1に示す。
(実施例5、6)
別途NaOHのFe量を変更することで、単量体中のFe量を1.7ppmないしNDに調整した。吸水性樹脂粉末(5)、(6)が得られた。表1の誘導時間から特定の鉄量が重合に好適であることが分かる。
(比較例1)
実施例1において、使用するアクリル酸として上記製造例3で得られたアクリル酸(3)(プロピレン原料)を使用することで、単量体を調製した。以下、実施例1と同様に重合・乾燥することで比較吸水性樹脂粉末(1)を得た。
(比較例2)
実施例1において、使用するアクリル酸として上記製造例2で得られたアクリル酸(2)(プロピレン原料)を使用することで、単量体を調製した。以下、実施例1と同様に重合・乾燥することで比較吸水性樹脂粉末(2)を得た。
(比較例3)
実施例1において、製造例1で得られたアクリル酸(1)に調製方法2を使用することで、単量体を調製した。以下、実施例1と同様に重合および乾燥を行った。比較吸水性樹脂粉末(3)を得た。結果を表1に示す。
(結果)
上記p−メトキシフェノール60ppmのアクリル酸を用いて得られた吸水性樹脂の残存モノマー量を下記に示す。3−ヒドロキシプロピオン酸から得られたアクリル酸を用いた実施例1〜4では従来のように複雑な精製やヒドラジン処理をせずとも、簡易に残存モノマーの少ない吸水性樹脂を提供できた。また、同じ3−ヒドロキシプロピオン酸から得られたアクリル酸を用いても、Fe量は重合速度や残存モノマー量、着色に影響を及ぼすことがわかった(表1,2)。
(実施例7)
実施例1で得られた吸水性樹脂(1)100質量部に対して表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコール(登録商標)EX−810 ナガセ化成株式会社製)0.05質量部/水3質量部/イソプロピルアルコール1質量部の混合物を噴霧添加したのち、195℃のオイルバス中で60分間加熱処理して、表面架橋された吸水性樹脂粉末(7)を得た。
(実施例8〜10)
実施例7の表面架橋において、吸水性樹脂粉末(1)に代えて吸水性樹脂粉末(2)〜(4)を使用して、表面架橋された吸水性樹脂粉末(8)〜(10)を得た。
(実施例11)
実施例1の重合において、さらにプロピオン酸0.1質量%(対アクリル酸)を添加して同様に重合を行った。実施例1と同様に乾燥・粉砕して得られた吸水性樹脂粉末(11)は吸水倍率が約1g/g向上していた。重合でプロピオン酸はほぼ全量残存し、また、乾燥工程で添加した量の40質量%が除去された。
(実施例12)
吸水性樹脂粉末(11)に、水5質量%およびNaCO0.5質量%となるように添加して造粒した。吸水性樹脂粉末(11)に比べて、得られた吸水性樹脂粉末(12)は消臭(酸臭低減)されていた。また、吸水性樹脂粉末(11)に、水5質量%およびポリエチレンイミン(日本触媒(製)P−1000)0.5質量%となるように添加して造粒したところ、得られた吸水性樹脂粉末(12’)も同様に消臭(酸臭低減)されていた。よって、吸水性樹脂の表面に塩基性物質(例;炭酸塩、ポリアミン)を添加する手段は、酸臭低減に有効であった。
(実施例13)
実施例1の重合において、単量体を調製してから2時間後に重合を行った。実施例1と同様に乾燥・粉砕して得られた吸水性樹脂粉末(13)は残存モノマーが50ppm増加していた。
(天然物由来のプロパンジオールの製造例)
グリセリンは天然物由来(油脂の鹸化により得られたグリセリン)を用い、下記の反応を行った。すなわち、塩基性炭酸マグネシウム(石津化学社製)を500℃、3時間、空気流通下の条件で焼成しMgOを調製した。調製した0.10gのMgOと、0.05gのRu/C(デグサ社製「H1002 P/W」Ru濃度5質量%、水含有量55質量%)をグリセリン還元用触媒として、内容積が15mlのオートクレーブに投入した。4.2gの20質量%グリセリン水溶液をオートクレーブ内にさらに投入した後、オートクレーブ内の空気をNガスに置換した。次に、オートクレーブ内を180℃に昇温させた後、圧力が8MPaになるまでHガスを導入し、180℃、10時間の条件で回分形式によるグリセリンの1,2−プロパンジオールへの還元反応を行った。なお、得られたプロパンジオールの14C量は理論値(非化石原料の値)と一致した。
(実施例14)
上記実施例7において、表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05質量部に代えて、上記製造例で得られた1,2−プロパンジオール0.8質量部を使用して表面架橋を行った。結果を表4に示す。
(実施例15)
170℃での熱風乾燥で重合後のプロピオン酸を除去する実施例11に対して、疎水性有機溶媒中でのプロピオン酸の除去を行った。
すなわち、プロピオン酸1.0質量%を含む非化石原料由来のアクリル酸を使用して、濃度35質量%、中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液(3−ヒドロキシプロピオン酸含有量は100ppm)に、内部架橋剤として、ポリエチレングリコールジアクリレート(0.05モル%)、増粘剤として、ヒドロキシエチルセルロースHEC EP850(ダイセル化学工業社製)2.0質量%、重合開始剤として、過硫酸ナトリウム0.12g/モル(対単量体)を溶解させ、窒素置換した。該単量体水溶液を滴下ロートを通じて、蔗糖脂肪酸エステルF−50(第一工業製薬)を2.8質量%含むシクロヘキサン200gが入っている攪拌羽根を供えた窒素置換させた4口フラスコに滴下して、約1mm〜0.1mmの液滴としてシクロヘキサンに分散させた。バス温60℃にすることで、40分間の重合を行い、次いで、バス温度を85〜92℃として共沸脱水を90分行い、乾燥した球状の吸水性樹脂粉末(15)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(15)中のプロピオン酸は0.25質量%(除去率は75%)であった。
表1の熱風乾燥した吸水性樹脂粉末(除去率・約35%前後)に対して、逆相懸濁重合後に共沸脱水した吸水性樹脂粉末(除去率75%)では、プロピオン酸の除去率が高く、臭気の問題がない。よって、非化石原料由来のアクリル酸には、飽和有機酸(特にプロピオン酸)が多く含まれるが、本発明ではそのまま使用することができ、アクリル酸を過度に精製する必要がない。なお、比較として、プロピオン酸1.0重量%を含むアクリル酸を2度蒸留したが、アクリル酸と沸点が近いプロピオン酸は殆ど分離できなかった。
(実施例16)
プロピオン酸1.0質量%を含むアクリル酸を使用して、濃度45質量%、中和率80モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液(3−ヒドロキシプロピオン酸含有量は100ppm)に、内部架橋剤として、ポリエチレングリコールジアクリレート(0.06モル%)、キレート剤として、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム塩を50ppm溶解させたのち、95℃に加温し、水溶性アゾ開始剤V−50(和光純薬工業社製)を0.02g/モル(対単量体)、過硫酸ナトリウム0.12g/モル(対単量体)を添加して重合を行った。重合後のゲルをミートチョッパーで細分化して、含水ゲルをさらに170℃で20分加熱乾燥することで、吸水性樹脂粉末(16)を得た。結果を表5に示す。
(実施例17)
実施例16(中和率80モル%、プロピオン酸1質量%)において、単量体の中和率を70モル%に変更する以外は同様に重合および乾燥を行うことで、吸水倍率(CRC)が35.9g/gの吸水性樹脂粉末(17)を得た。結果を表5に示す。
(実施例18)
実施例16において、単量体の中和率を50モル%に変更する以外は同様に重合および乾燥を行うことで、吸水性樹脂粉末(18)を得た。結果を表5に示す。
(実施例19)
実施例18で得られた吸水性樹脂粉末(18)に対して、実施例12に準じて炭酸ソーダを混合して表面を塩基性とした。結果を表5に示す。
(比較例4)
実施例17(中和率70モル%、プロピオン酸1質量%)において、プロピオン酸量を100ppmとする以外は、実施例17と同様に重合、乾燥、粉砕を行うことで、吸水倍率(CRC)が32.8g/gの比較吸水性樹脂(4)を得た。
(まとめ)
非化石原料由来のアクリル酸に多く含まれる飽和有機酸、特にプロピオン酸について、原料アクリル酸の蒸留では殆ど分離できないのに対して、重合後の吸水性樹脂からは乾燥、好ましくは熱風乾燥、さらに共沸脱水でよって効率的に除去できる。除去には中和率は低いほど好ましいが、臭気の観点からはさらに塩基性物質が添加されることが好ましい。
また、実施例17と比較例4との対比から、単量体にプロピオン酸が1質量%存在することによって、得られた吸水性樹脂の吸水倍率(CRC)が約3g/g上昇することが分かる。
(実施例20)
実施例1において、重合時の単量体にフェノール(COH)20ppmを添加する以外は同様に、実施例1と同様に行った。得られた吸水性樹脂の物性は同様であったが、YI値が7.1から6.6に向上した。
(実施例21)水溶性樹脂の重合例
上記吸水性樹脂の製造例に加えて、親水性樹脂として水溶性樹脂を製造した。
すなわち、内側にフッ素樹脂コーティングをした2枚のステンレス板の間にゴムパッキンを入れ、ボルトおよびナットで固着してシールした注型重合装置(内容積1.6L、縦230mm×横230mm×幅30mm)の中にあらかじめ窒素置換した濃度40質量%のアクリル酸ソーダ(中和率100モル%、プロピオン酸0.3質量%、3−ヒドロキシプロピオン酸が100ppm;3−ヒドロキシプロピオン酸由来のアクリル酸の中和物)水溶液2000g、過硫酸アンモニウム0.04gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.02gを原料投入口より入れ、かつ、空気排気口より空気を排出させた。この注型重合装置を、攪拌機と温度コントローラーを備えつけたウォーターバスに入れ、ウォーターバスの温度を30℃に維持し、反応熱を除去しながら重合させた。重合が開始してから5時間後、注型重合装置より含水ゲル状重合体を取り出し、これをミートチョッパーでひも状にし、実施例1と同様の手順で乾燥、粉砕して水溶性重合体の粉体を得た。残存モノマーは2000ppmで、また、粉体0.2gを水100gに溶解した水溶液の25℃における粘度をブルックフィールド粘度計で測定したところ、1100cpであった。さらに中和率100モル%であるため、実質的に酸臭はなかった。
(実施例22)
実施例1において、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1モル%を使用する以外は実施例1と同様に重合および乾燥することで、中和率100モル%の吸水性樹脂(21)を得た。中和率100モル%であるため、実質的に酸臭はなかった。
(実施例23)
実施例16において、水溶液重合後の乾燥を実施例15に準じた共沸脱水に変更した。すなわち、実施例16で得られた重合後のゲルをミートチョッパーで細分化(約1mm)し、得られた含水ゲルを蔗糖脂肪酸エステルF−50(第一工業製薬)を含むシクロヘキサン中で攪拌しつつ分散させ、共沸脱水した結果、乾燥後の吸水性樹脂(23)ではプロピオン酸の72質量%が除去された。
(実施例24)
実施例16で得られた中和率80モル%の吸水性樹脂(16)100質量部に、グリセリン0.5質量部/水2質量部を混合し、さらに加熱温度180℃で30分の表面架橋を行った結果、加圧下吸水倍率AAPは18g/gとなった。
(実施例25)
実施例24において、実施例18で得られた中和率50モル%の吸水性樹脂(18)を用いる以外は同様に表面架橋を行った。加圧下吸水倍率AAPは21g/gとなった。
(実施例26)
実施例24において、表面架橋剤にリン酸0.5質量部を併用した結果、加圧下吸水倍率AAPは22g/gとなった。
実施例23〜25より、高中和(例;80モル%中和)は酸臭の観点から好適であるが、表面架橋効率が低く、そこで、表面処理剤に有機酸または無機酸を併用することが好適である。
(実施例27)
実施例17(中和率70モル%、プロピオン酸1質量%)において、プロピオン酸量を3質量%とする以外は、実施例16と同様に重合、乾燥、粉砕を行うことで、吸水倍率(CRC)が36.5g/gの吸水性樹脂(27)を得た。酸臭の問題と、吸水倍率(CRC)向上率から高温重合ではプロピオン酸は1質量%で十分であることが分かる。
(実施例28)
実施例17(中和率70モル%、プロピオン酸1質量%)において、新たに用意した非化石原料由来のアクリル酸はプロピオン酸1.2質量%であっため、プロピオン酸0.01質量%を含む化石原料由来のアクリル酸と混合比83:17で混合することで、プロピオン酸1%に調整して重合した結果、実施例17と同様の結果が得られた。複数のアクリル酸を混合すること、特に化石原料と非化石原料を混合することで、微量成分(例;プロピオン酸)も安定でき、結果的に物性も安定することが分かる。なお、得られた吸水性樹脂(28)の14C量は理論値(化石原料と非化石原料の比率)と一致した。
(実施例29)
実施例1(CRC=39g/g)において、さらに、追加でプロピオン酸を3質量%とする以外は、実施例1と同様に重合、乾燥、粉砕を行うことで、吸水倍率(CRC)が41g/gの吸水性樹脂(29)を得た。プロピオン酸は実施例17と同様、吸水倍率(CRC)を向上させることが分かる。かかるプロピオン酸を所定量以上含むアクリル酸の好適な製造例として前記非化石原料のアクリル酸であり、吸水倍率(CRC)向上から好適に使用される。
(実施例30)
実施例1(CRC=39g/g)において、さらに、追加で酢酸を3質量%とする以外は、実施例1と同様に重合、乾燥、粉砕を行うことで、吸水倍率(CRC)が40g/gの吸水性樹脂(30)を得た。プロピオン酸より効果は小さいが、酢酸も吸水倍率(CRC)を向上させることが分かる。かかる酢酸を所定量以上含むアクリル酸の好適な製造例として前記非化石原料のアクリル酸であり、吸水倍率(CRC)向上から好適に使用される。
アクリル酸の精製工程で複雑な精製やヒドラジン処理(脱アルデヒド処理)をせずとも、または吸水性樹脂の原料であるアクリル酸、特に非化石原料由来のアクリル酸に過度の精製を行わずに、残存モノマーや酸臭の少ない吸水性樹脂の物性を安定化ないし向上させることができた。

Claims (28)

  1. アクリル酸で単量体を調製する工程、該単量体の重合工程、任意に得られた含水ゲルの乾燥工程を含む、吸水性樹脂および水溶性樹脂から選ばれるポリアクリル酸(塩)系親水性樹脂の製造方法であって、
    上記アクリル酸としてヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用すると共に
    上記アクリル酸の含水率が1質量%以下、および/または
    上記単量体を調製する工程が上記アクリル酸の精製後72時間以内であり、
    かつ単量体中のヒドロキシプロピオン酸(塩)を2000ppm以下として重合する、ポリアクリル酸(塩)系親水性樹脂の製造方法。
  2. 単量体が架橋剤を含み、含水ゲルの乾燥工程を含み、親水性樹脂が吸水性樹脂である、請求項に記載の製造方法。
  3. アクリル酸で単量体を調製する工程、該単量体の重合工程、得られた含水ゲルの乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
    上記アクリル酸としてヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸を使用すると共に
    上記アクリル酸の含水率が1質量%以下、および/または
    上記単量体を調製する工程がアクリル酸の精製後72時間以内であり、
    かつ単量体中のヒドロキシプロピオン酸(塩)を2000ppm以下として重合する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
  4. ヒドロキシプロピオン酸が非化石原料によって得られる、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. アクリル酸中のプロトアネモニン、アリルアクリレート、アリルアルコール、アルデヒド分、マレイン酸、安息香酸のひとつ以上が0〜20ppmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. アクリル酸中の飽和有機カルボン酸が300ppm以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 脱水工程で重合禁止剤を使用してさらに禁止剤を除去する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 単量体として、ヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸以外のアクリル酸をさらに併用する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 単量体として、非化石原料由来のヒドロキシプロピオン酸(塩)の脱水反応によって得られたアクリル酸以外のアクリル酸と化石原料由来のアクリル酸をさらに併用する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 単量体がフェノール(COH)以外に10〜200ppmの重合禁止剤を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 単量体中のFe(Fe換算)が0.002〜2ppmである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 単量体が架橋剤を含むアクリル酸部分中和塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. アクリル酸が飽和有機カルボン酸を含み、乾燥工程以降で飽和有機カルボン酸の少なくとも一部を揮発させ、さらに必要によりこれを捕集する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 飽和有機カルボン酸が2000ppm以下となるまで揮発させる、請求項13に記載の製造方法。
  15. 重合工程後、乾燥工程が165〜230℃で50分以内である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 単量体中の3−ヒドロキシプロピオン酸が200ppm以下である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 得られる吸水性樹脂の残存モノマーが400ppm以下である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 重合工程の後、さらに表面架橋工程を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 吸水性樹脂を、非化石原料由来の化合物である表面架橋剤で表面架橋する工程を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 吸水性樹脂を、プロパンジオールないし乳酸を含む表面架橋剤で表面架橋する工程を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 乾燥工程の後に塩基性物質を添加する工程をさらに含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. ポリアクリル酸(塩)の中和率が65モル%以上である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の製造方法。
  23. さらにアクリル酸を中和する工程を含み、中和がアクリル酸の精製後72時間以内である、請求項1〜22に記載の製造方法。
  24. 14C/Cが1.0×10−14以上であり、残存モノマーが400ppm以下、飽和有機カルボン酸が2000ppm以下、且つ、3−ヒドロキシプロピオン酸(塩)が2000ppm以下のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
  25. 非化石原料由来の化合物で表面架橋されてなる、請求項24に記載の吸水性樹脂。
  26. ポリアクリル酸(塩)の中和率が65モル%以上である、請求項24または25に記載の吸水性樹脂。
  27. 非化石原料由来のアクリル酸と化石原料由来のアクリル酸を併用した、請求項24〜26のいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
  28. 飽和有機カルボン酸が2質量%以下である、請求項24〜27のいずれか1項に記載の吸水性樹脂。
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