JP5713438B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
近年、表面保護フィルムは液晶部材を中心に薄肉化が進み、該部材の支持体としての役割も求められ、剛性が必要となってきている。また、該部材は表面保護フィルムを貼合したまま、切断されることがあり、表面保護フィルムの切断性が劣るとフィルムが伸び、該部材から表面保護フィルムが剥離する、毛羽立ちが発生する等の問題が発生するので、これを防止するために、基材層がポリエチレンからなる場合には、高密度ポリエチレンを使用することが知られている。例えば特許文献1には、高密度ポリエチレンを単体で基材層に使用する方法が、特許文献2には高密度ポリエチレンを高圧法低密度ポリエチレンと混合して使用する方法がそれぞれ開示されている。
(1)高密度ポリエチレン(E)と高圧法低密度ポリエチレン(F)とを含む組成物からなる樹脂層を少なくとも一層基材層に有する表面保護フィルムであって、該樹脂層が下記(A)〜(D)の要件:
(A) 2%引張弾性率の横方向と縦方向との比(横方向/縦方向)が0.8以上1.5以下
(B) エルメンドルフ引裂強度引裂強度の横方向と縦方向との比(横方向/縦方向)が1以上4以下
(C) 縦方向と横方向の引張破断伸度がそれぞれ100%以上700%以下
(D) 縦方向と横方向の引張破断強度がそれぞれ5MPa以上30MPa以下
を満たすことを特徴とする、上記表面保護フィルム。
なお、ここで「縦方向」とは、フィルムの引取り方向に平行な方向のことをいい、「横方向」とは、フィルム面内であって、引き取り方向に垂直な方向のことをいう。
(2)上記組成物が、30質量部以上65質量部以下の上記高密度ポリエチレン(E)と70質量部以下35質量部以上の上記高圧法低密度ポリエチレン(F)を含み(該高密度ポリエチレン(E)と該高圧法低密度ポリエチレン(F)との合計は、100質量部)、かつ該組成物の密度が935kg/m3以上であり、
該高密度ポリエチレン(E)が、950kg/m3以上975kg/m3以下の密度、0.1g/10min以上40g/10min以下のメルトマスフローレイト(温度=190℃、荷重=2.16kg)、及び、2以上8以下のMw/Mn(数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布の指標)を有し、かつ、
該高圧法低密度ポリエチレン(F)が、915kg/m3以上930kg/m3以下の密度、及び1g/10min以上10g/10min以下のメルトマスフローレイト(温度=190℃、荷重=2.16kg)を有する、請求項1に記載の表面保護フィルム。
(3)上記高密度ポリエチレン(E)が、シングルサイト触媒を用いる重合法で得られる上記(1)又は(2)に記載の表面保護フィルム。
本発明は、高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとを含む組成物からなる樹脂層を少なくとも一層基材層に有する表面保護フィルムであって、該樹脂層の2%引張弾性率の横方向と縦方向との比(横方向/縦方向)が0.8以上1.5以下、エレメンドルフ引裂強度の横方向と縦方向との比(横方向/縦方向)が1以上4以下、縦方向と横方向の引張破断伸度がそれぞれ100%以上700%以下、縦方向と横方向の引張破断強度がそれぞれ5MPa以上30MPa以下である表面保護フィルムである。
また、縦方向と横方向の引張破断伸度がそれぞれ100%以上700%以下、縦方向と横方向の引張破断強度がそれぞれ5MPa以上30MPa以下であることが必要である。引張破断伸度、引張破断強度がそれぞれ100%以上、5MPa以上であると、保護する部材から表面保護フィルムを剥がす時に、フィルムが切れることが抑制され、作業性が良好である。一方、張破断伸度、引張破断強度がそれぞれ700%以下、30MPa以下であると切断が容易である。
上記、フィルム特性は、加工条件を適切に設定することでも発現は可能であるが、以下の特定の樹脂組成物を用いることで容易に発現することができる。
また、これらの重合体、共重合体を2種類以上、任意の比率でドライブレンド、あるいはメルトブレンドしたものであってもよい。
本発明の表面保護フィルムに好ましく用いられる粘着層は、エチレン・酢酸ビニル共重合ポリマー、直鎖状低密度ポリエチレンなどの公知の粘着性樹脂を単独であるいは高圧法低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、合成ゴム、天然ゴムなどのエラストマー、テルペン樹脂、石油樹脂などの粘着助剤などを混合してもよく、共押出法によるインフレーション製膜、Tダイフラットフィルム製膜で基材層と積層することができる。あるいは天然ゴム、アクリル系、ポリイソブチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合ポリマー、スチレン・ブチレン・スチレン共重合ポリマー、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合ポリマー等の粘着剤を基材層に塗布して粘着層とすることもできる。
実施例および比較例における物性測定方法、評価方法は以下の通りである。
高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンの組成物を、(株)プラスチック工学研究所社製GT−65−A(1軸押出機、スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて、押出し量30kg/時間で押出して造粒した(以下、造粒物を「ペレット」と表記する)。ペレットを、山口製作所製Tダイフラットフィルム製膜機(スクリュー径30mm、ダイス300mm幅)を用い、シリンダー温度200℃、ダイス温度210℃、引き取り速度15m/分で製膜し、厚さ35ミクロンメートルのポリエチレンフィルムを得た。
JIS K7112:1999に準拠し、測定した。
JIS K7210:1999 コードD(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準拠し、測定した。
GPCから求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を分子量分布の指標とした。GPC測定は、ウォーターズ社製GPCV2000を用い、カラムは昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続して使用し、移動相:トリクロロベンゼン(TCB)、カラム温度:140℃、流量:1.0ml/分、試料濃度:20mg/15ml(TCB)、試料溶解温度:140℃、試料溶解時間:2時間の条件で行った。分子量の校正は、Mwが1050〜206万の範囲の東ソー(株)製標準ポリスチレンの12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMwに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成し、分子量を決定した。
上記Tダイ成形加工により得られたポリエチレンフィルムを用いて、オリエンテック(株)製引張試験機RTC−1310AにてJIS K 7127:1989に準拠した引張割線弾性率(規定ひずみ2%)測定を行ない2%引張弾性率とした。縦、横両方向について、測定を行った。縦方向はフィルムの引取り方向に対して平行方向とし、横方向は面内でそれに垂直な方向とした。
上記Tダイ成形加工により得られたポリエチレンフィルムを用いて、(株)東洋精機製作所製エルメンドルフ引裂強度にてJIS K7128−2:1998に準拠した引裂強さを行ないエルメンドルフ引裂強度とした。上記(5)同様に、縦、横両方向について、測定を行った。縦方向はフィルムの引取り方向に対して平行方向とし、横方向は面内でそれに垂直な方向とした。
上記Tダイ成形加工により得られたポリエチレンフィルムを用いて、オリエンテック(株)製引張試験機RTC−1310AにてJIS K 7127:1999に準拠して、試験片タイプ5、試験速度500mm/min.で引張破壊伸びの測定を行ない引張引張破断伸度とした。上記(5)同様に、縦、横両方向について、測定を行った。縦方向はフィルムの引取り方向に対して平行方向とし、横方向は面内でそれに垂直な方向とした。
上記Tダイ成形加工により得られたポリエチレンフィルムを用いて、オリエンテック(株)製引張試験機RTC−1310AにてJIS K 7127:1999に準拠して、試験片タイプ5、試験速度500mm/min.で引張破壊強さの測定を行ない引張引張破断強度とした。上記(5)同様に、縦、横両方向について、測定を行った。縦方向はフィルムの引取り方向に対して平行方向とし、横方向は面内でそれに垂直な方向とした。
上記Tダイ成形加工により得られたポリエチレンフィルムを両面テープ(積水化学工業(株)製、幅50mm)を用いて、アクリル板に貼着した。貼着部分をギロチンカッターで切断し、ポリエチレンフィルムの切断端面を目視で観察し、以下の基準によって切断性を評価した。縦、横両方向について、評価を行った。縦方向はフィルムの引取り方向に対して平行方向とし、横方向は面内でそれに垂直な方向とした。
○:フィルム切断端面のフィルム伸びが1mm以下。
△:フィルム切断端面のフィルム伸びが1mm以上2mm以下。
×:フィルム切断端面のフィルム3mm超。
上記Tダイ成形加工により得られたポリエチレンフィルムを50℃で24時間加熱し、23℃で24時間冷却した後に固定ロールに貼りつけた黒色のフェルト布に基材層面を接触させながら20m長走行させ、基材層面の粉をフェルト布上に集積させた。集積した粉の量や集積状態を目視観察し、粉の発生がない、またはわずかに発生しているが集積が部分的である場合には低粉性に優れると評価した。一方、粉が多く発生しており、フィルムとフェルト布が接触し始める部分に帯状に連続的に集積している場合には低粉性に劣ると評価した。粉の量や集積状態が両者の中間であれば、低粉性にやや優れると評価した。
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブの中で、この脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを50℃に保ちながら攪拌し、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後さらに2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[d]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
有機マグネシウム化合物[c1]として、AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[c2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
上記により得られたメタロセン担持触媒(a)と液体助触媒成分(b)を、触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素と接触させて重合反応器に導入した。溶媒として精製したヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度を75℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.04%、水素とエチレン+水素のモル比が0.0053%である状態を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaとなるように供給し、高密度ポリエチレン樹脂(E−1)を重合した。得られた高密度ポリエチレン樹脂(E−1)は密度が959kg/m3、MFRが28g/10分、Mw/Mnが3.6であった。
上記により得られたメタロセン担持触媒(a)と液体助触媒成分(b)を、触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素と接触させて重合反応器に導入した。溶媒として精製したヘキサン、モノマーとしてエチレンを用いた。反応温度は75℃としてエチレン、水素の混合ガス(ガス組成は水素とエチレン+水素のモル比が0.0045%を維持できるように調節)を全圧が1.0MPaとなるように供給し高密度ポリエチレン樹脂(E−2)を重合した。得られた高密度ポリエチレン樹脂(E−2)は密度が966kg/m3、MFRが12g/10分、Mw/Mnが3.7であった。
上記により得られたメタロセン担持触媒(a)と液体助触媒成分(b)とを、触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素と接触させて重合反応器に導入した。溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36%、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025%である状態を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaとなるように供給しエチレンとα−オレフィンとの共重合体である高密度ポリエチレン樹脂(E−3)を重合した。得られた(I)エチレンとα−オレフィンとの共重合体である高密度ポリエチレン樹脂(E−3)はMFRが2.5g/10分、密度が941kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)が4.3であった。
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2mol/リットルのn−ヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保った。組成式AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)6.4(On−C4H9)5.6で示される有機マグネシウム成分のn−ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5mol)を1時間かけてここに加え、更に65℃にて1時間攪拌して反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、7.45mmolのMgを含有していた。
上記で得られたチーグラー触媒を用い、下記の要領で高密度ポリエチレン樹脂(E−4)を製造した。
オートクレーブリアクターの中で、重合平均温度265℃、重合圧力150MPa、開始剤に過酸化物を用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂(F−1)を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂(F−1)は密度が923kg/m3、MFRが3.8g/10分であった。
高密度ポリエチレン(E−1)と高圧法低密度ポリエチレン(F−1)とを表1に記載の混合割合でメルトブレンドしたポリエチレン樹脂組成物をシリンダー温度200℃、ダイス温度210℃でTダイフラット製膜し、物性評価をおこなった。評価結果を表1に示す。
得られたフィルムを用いた2%引張弾性率、エレメンドルフ引裂強度、引張破断伸度、引張破断強度、切断性の評価を表1に示す。切断性は縦方向、横方向共に優れ、低分子量成分のブリードアウトの点でも優れていることがわかる。
高密度ポリエチレン(E−2)と高圧法低密度ポリエチレン(F−1)とを表1に記載の混合割合でメルトブレンドしたポリエチレン樹脂組成物を実施例1と同様な方法で評価した。結果を表1に示す。
高密度ポリエチレン(E−4)と高圧法低密度ポリエチレン(F−1)とを表1に記載の混合割合でメルトブレンドしたポリエチレン樹脂組成物を実施例1と同様な方法で評価した。結果を表1に示す。
低分子量成分のブリードアウト量が多く、2%引張弾性率の横方向と縦方向の比が1.5以上、エレメンドルフ引裂強度の横方法と縦方向の比が4以上であり、得られたフィルムの横方向の切断性に劣ることがわかる。
表1に記載の高密度ポリエチレン(E−3)を用いて実施例1と同様な方法で評価した。結果を表1に示す。
低分子量成分のブリードアウト量が優れるが、引張破断伸度が700%以上、引張破断強度が30MPa以上であり、フィルムの切断性に劣ることがわかる。
表1に記載の高圧法低密度ポリエチレン(F−1)を用いて実施例1と同様な方法で評価した。結果を表1に示す。
低分子量成分のブリードアウト量に優れるが、剛性がなく、フィルムの切断性に劣ることがわかる。
Claims (2)
- 高密度ポリエチレン(E)と高圧法低密度ポリエチレン(F)とを含む組成物からなる樹脂層を少なくとも一層基材層に有する表面保護フィルムであって、該樹脂層が下記(A)〜(D)の要件:
(A)2%引張弾性率の横方向と縦方向との比(横方向/縦方向)が0.8以上1.5以下
(B)エルメンドルフ引裂強度の横方向と縦方向との比(横方向/縦方向)が1以上4以下
(C)縦方向と横方向の引張破断伸度がそれぞれ100%以上700%以下
(D)縦方向と横方向の引張破断強度がそれぞれ5MPa以上30MPa以下
を満たし、
該組成物が、30質量部以上65質量部以下の上記高密度ポリエチレン(E)と70質量部以下35質量部以上の上記高圧法低密度ポリエチレン(F)を含み(該高密度ポリエチレン(E)と該高圧法低密度ポリエチレン(F)との合計は、100質量部)、かつ該組成物の密度が935kg/m 3 以上であり、
該高密度ポリエチレン(E)が、950kg/m 3 以上975kg/m 3 以下の密度、0.1g/10min以上40g/10min以下のメルトマスフローレイト(温度=190℃、荷重=2.16kg)、及び、2以上8以下のMw/Mn(数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布の指標)を有し、かつ、
該高圧法低密度ポリエチレン(F)が、915kg/m 3 以上930kg/m 3 以下の密度、及び1g/10min以上10g/10min以下のメルトマスフローレイト(温度=190℃、荷重=2.16kg)を有する、上記表面保護フィルム。 - 上記高密度ポリエチレン(E)が、シングルサイト触媒を用いる重合法で得られる請求項1に記載の表面保護フィルム。
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