JP5713167B2 - 獣毛素材繊維への染色加工方法及びその加工品 - Google Patents

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本発明は、獣毛素材(獣毛100%、又は獣毛に他の繊維が混合されたもの)の布帛、又は繊維製品(衣服、靴下、帽子、バッグ、カーテン、ランプシェード等)への染色加工方法、およびその方法により得られる布帛、又は繊維製品に関する。
日本では、古来より様々な染色技法が考案され、現代にいたるまで受け継がれ発展を遂げてきた。その中で、染色物に濃淡を付けたり、一部を染めずに元の繊維の色のまま残す方法として、絞り染めに代表される防染技法がある。これは糸や布の状態で染色する場合に、一部を使用する染料を浸透しにくい素材の糸等を用いて縛ったり、折り畳んだり、シワをよせる等で、染料の浸透をブロックしたり、浸透速度を不均一にした結果、染色されない部分や、濃淡が表現された染色物が得られる方法である。しかし、これらの方法は色の濃淡の表現が可能なだけで、糸などで括ったり、絞った時にできる絞りやシワ、折り目等の形状を糸や布に記憶加工させるものではなく、それを行うためには、染色とは別にそれぞれの素材に応じた加工技術を施す必要がある。
獣毛素材繊維の形状を安定化する、いわゆる形状記憶加工方法に関しては、特許文献1に、過硫酸カリを用いて酸化エッチング処理し、繊維を構成する蛋白質の疎水性部分をハイブリッド化コラーゲンを用いて親水性に改質し、この部分にジメルポリシキロキサン及びヒドロキシベンゾトリアゾールを吸着させる方法が記載されている。
また、特許文献2には、繊維製品に水分を付与する手段と、所定の真空度に減圧する減圧手段と、加熱蒸気を供給する蒸気供給手段と、所定圧力に制御する圧力制御手段と、加熱蒸気が所定温度で所定時間維持されるように制御する処理制御手段と、を備えた繊維製品の形態安定化処理装置が記載されている。
また、特許文献3には、染色及び縫製が施された布帛を、多数箇所において糸で部分的に絞る「絞り工程」と、この「絞り工程」によって得られた絞り布帛に、蒸気を暴露して絞り形状を保持する「蒸気セット工程」を備える「成型工程」と、この「成型工程」後に糸を抜き取る「抜糸工程」とを、備える絞り衣服の製造方法及びこの方法によって製造される絞り衣服が記載されている。
また、特許文献4には、獣毛を素材とする布地もしくは糸を、水蒸気雰囲気又は熱水に浸した後、乾燥処理を行う加工方法が記載されている。
特開平10−280281号公報 特開平9−31831号公報 特開2001−164482号公報 特開2006−307391号公報
上記した特許文献1の場合、ハイブリット化コラーゲンを調整するため100時間還流して反応させなければならない。またウールの表面改質のため、酸化エッチング、中和、ハイブリットコラーゲン付与による表面改質、ジメチルポリシロキサン・ヒドロキシベンゾトリアゾールの付与、洗浄と、いくつも工程がありその工程ごとに時間をかける必要がある。さらに、形状記憶加工であってもいわゆる形状を安定化するのみで、形状を半永久的に保持するものではなく、染色と同時に行う方法ではない。
上記した特許文献2の場合、形態安定化処理を行う工程として、水分付与、減圧、加熱蒸気供給、セットとそれぞれ踏まなければならず、一度で処理できるものでない。また、これらの工程を処理制御する専用装置が必要である。
上記した特許文献3の場合、絞り工程の後、蒸気で絞り形状をセットする工程の前に1度羊毛セット剤等薬剤を含浸させる方法をとっている。また、染色、パターンカット、縫製、絞り、セットの順で工程を踏んでおり、セットする前工程(染色)で1度熱処理をしてしまうと、羊毛セット剤を使用しなければ絞り形状を保持できないことになる。薬品を用いた加工処理は、最終製品に薬品が残留しやすいため、残留薬品濃度をできるだけ低減して安全基準をクリアすることが要求され、その管理に多大な労力を要する。
上記した特許文献4の場合、水蒸気雰囲気中あるいは熱水、弱アルカリの熱水に浸漬して加工処理する方法をとっているが、染色と同時に加工処理することに関しては何ら記載されていない。
本発明は、従来の技術が有する問題を解決しようとするものであり、染色と形状記憶加工を施す技術を提供することを目的とする。
本発明の染色加工方法は、獣毛素材繊維を所定の形状に固定した後、沸騰点近傍の所定温度の染液中に所定時間浸漬し、次いで水洗浄し、最後に乾燥させることにより、上記課題を解決したものである。
また、獣毛素材繊維を所定の形状に固定した後、常温から80℃の温度範囲で染料を付着させ、次いで80〜120℃の加圧又は常圧の水蒸気中又は水中で所定時間保持し、次いで水洗浄し、最後に乾燥させることにより、上記課題を解決したものである。
また、本発明の獣毛素材繊維は、上記のいずれかに記載の染色加工方法で処理されることにより、上記課題を解決したものである。
本発明によれば、薬剤等を必要とせず、簡便にして短時間、低コストで確実に、染色と同時に形状記憶加工を施した獣毛素材繊維を得ることができる。
羊毛に代表される獣毛は、ケラチンとよばれるタンパク質から成り、硫黄が2個結合した(−SS−)架橋構造を持つことで特徴づけられている。ケラチンは、ペプチドとよばれる高分子の鎖がバラバラにならないように、硫黄原子によって固く結ばれ、3次元に発達したネットワークを形成し、組織全体は強靱で弾力性に富んだものとなっている。この結合は化1に示すように、ジスルフィド結合と呼ばれるシスチン架橋が主体をなしている。
このように強固で安定な構造物に所定の変形を与えてその形に安定させるには、この結合を切断し、変形後の構造にとってより安定になるような場所で再結合させる必要がある。この場合、よく行われるのは、チオグリコール酸等の還元剤で処理し、一旦ジスルフィド結合を切り、変形後に構造が安定化するところでジスルフィド結合を再生させる方法で、酸化還元の可逆的反応である。化2にチオグリコール酸を用いた場合の反応機構を示す。毛髪のパーマネント処理や、スカートのプリーツ加工等がこの反応の応用例としてあげられる。
本発明では上記反応機構とは異なる反応を応用し、架橋の架け換えを行っている。これは、化1に示した獣毛タンパクに多量存在するジスルフィド結合(−SS−)が、熱水又は弱アルカリ性の熱水で処理すると、その一部が新しい結合に変換され、ランチオニンやリジノアラニン結合をもつ架橋性アミノ酸が生成されることで、タンパク分子間に安定な架橋結合が形成される性質を利用したものである。化3に架橋の解裂と再架橋生成の反応式を示す。
シスチンから硫黄原子(S)一つがとれてデヒドロアラニンとシステインが生成し、さらに生成したデヒドロアラニンとシステインからランチオニンが生成する反応系と、生成したデヒドロアラニンが、近傍のリジン(獣毛の構成アミノ酸の一種)と反応して、リジノアラニンが生成する反応系があり、いずれも不可逆反応であるため、生成したランチオニンやリジノアラニン架橋は安定である。
更に、獣毛繊維の染色については、酸性染料や錯塩染料等で実施されることが多いが、繊維へ吸着した染料の固着条件が上記加工条件と近く、染料の固着と反応を同時に行っても、互いに何ら影響を与えることが無いため、染色と形状記憶加工を同時に行うことが可能である。本発明に示す獣毛を素材とする布帛又は繊維製品の加工方法は、硫黄が2個結合したシスチン架橋を有する獣毛を素材とする布帛又は繊維製品を、予め上述の布帛、繊維製品等へ、アール形状やひだ、絞り等任意の形状を固定した上で、オートクレーブや蒸し箱、圧力蒸気釜等の水蒸気雰囲気中で蒸熱処理可能な装置中で、又は熱水中でシスチン架橋の解裂及び再架橋生成反応による不可逆的架橋結合導入処理と、染色処理を行うことを特徴とする。


具体的には下記に示す方法で染色加工を行う。
(イ)獣毛素材繊維への形状記憶染色加工方法
試料の布帛(布、ニット、不織布等)を糸で縫う、縛る、輪ゴムで止める、板の間に挟む、クリップを留める等して、シワ形状や絞り形状、プリーツ形状等立体的な模様になるようにしっかり固定した後、次のいずれかの方法で染色加工を行う。
A法:浸漬法
染料を水に溶解させ希望の濃度に調整した浴比30倍以上で、望ましくは50倍以上の染液に試料を投入し、室温から温度を上げ、沸騰点で1時間処理した後、試料を取り出し水で洗浄する。立体形状を保ったままの状態で自然乾燥するか、又は約80℃の乾燥機中で乾燥させる。試料が完全に乾燥した後、糸や輪ゴム等の形状を固定していた物をはずし、加工を終了する。
B法:蒸熱法
予め試料に染料を染みこませるか、80℃を越えない低温で染料を付着させた後、試料を蒸し器(蒸し箱)に入れ、蒸気を充満させた状態で1時間処理する。試料を取り出し立体模様の形状を保持したままの状態で、自然乾燥するか又は適当な温度(好ましくは約80℃)に保った乾燥機中で乾燥させる。試料が完全に乾燥した後、糸や輪ゴム等の形状を固定していた物をはずし、加工を終了する。
C法:オートクレーブ法
予め試料に染料を染みこませるか、80℃を越えない低温で染料を付着させた後、試料に水分を含ませた状態(微量の水分でも良いが、好ましくは水分率30%以上)にして、オートクレーブに入れ、80℃〜120℃(好ましくは100℃以上)で5分間〜1時間処理する。試料を取り出し立体模様の形状を保持したまま、自然乾燥するか又は適当な温度(好ましくは約80℃)に保った乾燥機中で乾燥させる。試料が完全に乾燥した後、糸や輪ゴム等の形状を固定していた物をはずし、加工を終了する。
(ロ)獣毛素材繊維製品への形状記憶染色加工方法
予め、洋服(ブラウス、スカート等)やスカーフ、ストール等繊維製品を完成させておく。次に、立体模様の形状や染料の種類等により、前記(イ)に記載のA法、B法、C法のいずれかの方法を行う。
以下に、実施例を示す。
本発明の実施例1を以下に示す。試料としてJIS染色堅牢度試験用添付白布(毛)ウール100%を使用した。当該試料を約15×15cmの大きさに採取し試験片とした。中程2カ所を横方向直線状に糸で縫い、縫い終わりをかたく引き、糸止めして絞りの形状を保持した。温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、常温の0.5%o.w.fの染液中に完全に浸漬するよう投入し、容器ごと圧力蒸気釜の中に置き、110℃で10分間処理した。処理後、染液から試料を取り出し、水洗した後、軽く手で水分を切り、70℃の恒温槽内で30〜60分間の乾燥処理を行った。乾燥処理後、絞り形状を保持していた糸を外すと、糸で絞った箇所だけ防染され、その他の部分は染色されるので、2色の染め模様ができ、絞り形状を保持したまま加工された。
本発明の実施例2を以下に示す。試料としてウール100%、生機で縫製されたシャツなどの衣類を使用した。形状記憶加工と同時に染色も行え、よりオリジナルなものを作るため、今回あえて生機の獣毛布帛を使用したが、通常の染色された獣毛布帛でも加工は可能である。見頃や袖など部分的に防染したい、又は、シワや絞りといった立体的に模様付けを行いたい箇所に輪ゴムや紐を用いて括るようにかたく絞った。温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、0.5%o.w.f.の染液中に完全に浸漬するよう投入し、室温から温度を上げ、沸騰点で約1時間処理した。試料を染液から取り出し、水洗した後、軽く手で水分を切り、70℃の恒温槽内で乾燥処理を行った。完全に試料が乾燥した後、絞り形状を保持していた輪ゴムや紐を外すと、絞った箇所だけ防染され、その他の部分は染色されるので、2色の染め模様ができ、立体的な絞り形状を保持したまま加工された。目が粗い素材の場合、糸で縫って引っ張って模様付けを行うと、目よれしてしまうため、輪ゴムや紐を用いて立体的になるように括るように絞ったほうが望ましい。
本発明の実施例3を以下に示す。試料としてJIS染色堅牢度試験用添付白布(毛)ウール100%を使用した。当該試料を約30×30cmの大きさに採取し試験片とした。0.1%〜2%o.w.fの3種類の捺染液を次のとおり調合した。染料が0.1%〜2%o.w.f.、グリエシンAが0.1%〜2%o.w.f.(染料と同量)、これに水を58〜59cc加え、加熱後、冷却した中にメイプロガム6%糊40gを加えて攪拌し、最後に酢酸を1cc添加した。筆等を使ってフリーハンドで絵を描いたり、型を使って色糊をおいていくなどして試料表面に複数色で捺染し、自然乾燥して表面の色糊を乾かした。完全に乾いたら、捺染柄に合わせ立体形状がきちんと保持されるよう輪ゴムや紐を用いて風船のような形にして口をきつく縛った。試料を蒸し器(蒸し箱)に入れ、蒸気を充満させた状態で1時間蒸熱処理した後、試料を取り出し立体模様の形状を保持したままの状態で自然乾燥した。完全に試料が乾燥した後、立体形状を保持していた輪ゴムや紐を外すと、多色染めされた立体形状の布帛として加工された。
本発明の実施例4を以下に示す。試料としてJIS染色堅牢度試験用添付白布(毛)ウール100%を使用した。当該試料を約20×100cmの大きさに採取し試験片とした。直径15mmの丸棒に、棒に対して試料を45度の角度になるよう巻き付け、上下から板状の木片で試料を挟み押しつぶすように固定し、シワ形状を保持した。試料を巻き付けた丸棒ごと、温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、0.5%o.w.f.の染液中に完全に浸漬するよう投入し、常温から温度を上げ、60℃で30分間処理した。試料を染液から取り出し、そのまま蒸し器(蒸し箱)に入れ、蒸気を充満させた状態で1時間蒸熱処理した後、水洗し、シワ形状を保持したままの状態で自然乾燥した。完全に試料が乾燥した後、シワ形状を保持していた、板状の木片と丸棒を外すと、全体的に細いプリーツの入った形で形状記憶された。合わせて丸棒に巻いていた内側から外側に単色のグラデーション調に染色することができた。
本発明の実施例5を以下に示す。試料としてJIS染色堅牢度試験用添付白布(毛)ウール100%を使用した。当該試料を約15×15cmの大きさに採取し試験片とした。中程2カ所を横方向直線状に糸で縫い、縫い終わりをかたく引き、糸止めして絞りの形状を保持した。温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、常温において0.5%o.w.f.の染液中に完全に浸漬するよう投入し、容器ごと電子レンジの中に置き、10分間加熱処理した。処理後、染液から試料を取り出し、水洗した後、軽く手で水分を切り、70℃の恒温槽内で30〜60分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、絞り形状を保持していた糸を外すと、糸で絞った箇所だけ防染され、その他の部分は染色されるので、2色の染め模様ができ、絞り形状を保持したまま加工された。
本発明の実施例6を以下に示す。試料としてJIS染色堅牢度試験用添付白布(毛)ウール100%を使用した。当該試料を約15×15cmの大きさに採取し試験片とした。中程2カ所を横方向直線状に糸で縫い、縫い終わりをかたく引き、糸止めして絞りの形状を保持した。温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、0.5%o.w.f.の染液中に完全に浸漬するよう投入し、常温から温度を上げ、60℃で30分間処理した。試料を染液から取り出し、圧力蒸気釜中の中に置き、110℃で10分間処理した。処理後、試料を取り出し、水洗した後、軽く手で水分を切り、70℃の恒温槽内で30分〜60分乾燥処理を行った。乾燥処理後、絞り形状を保持していた糸を外すと、糸で絞った箇所だけ防染され、その他の部分は染色されるので、2色の染め模様ができ、絞り形状を保持したまま加工された。
本発明の実施例7を以下に示す。試料としてウール100%、直径10cm筒型ニット無地を用いた。任意の凹凸形状をニット地表面に付与するため、大小ランダムな大きさに輪ゴムを用いてつまむようにして縛った。温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、任意の濃度に調整した染液中に完全に浸漬するよう投入し、常温から温度を上げ、95℃で60分間処理した。処理後、試料を染液から取り出し、水洗した後、軽く手で水分を切り、70℃の恒温槽内で30〜60分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、縛っていた輪ゴムを外すと、縛った箇所だけ防染され、その他の部分は染色されるので、2色の染め模様ができ、同時にニット地表面に大小さまざまな凹凸が加工された。
本発明の実施例8を以下に示す。試料としてウール100%の生機を使用した。当該試料を約20×45cmの大きさに採取し試験片とした。2色染めにするため、まず地色の染色を先に行った。温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を浴比1:50、任意の濃度に調整した染液中に完全に浸漬するよう投入し、常温から温度を上げ、60℃で30分間処理した。処理後水洗し、完全に乾いた状態の試料を、直径15mmの丸棒に、棒に対して試料を45度の角度になるよう巻き付け、上下から板状の木片で試料を挟み押しつぶすように固定し、シワ形状を保持した。試料を巻き付けた丸棒ごと、浴比1:50、前記の色と異なる、任意の濃度に調整した染液中に完全に浸漬するよう投入し、常温から温度を上げ、95℃で60分間処理した。処理後、試料を染液から取り出し、水洗し、シワ形状を保持したままの状態で自然乾燥した。完全に試料が乾燥した後、シワ形状を保持していた、板状の木片と丸棒を外すと、全体的に細いプリーツの入った形で形状記憶された。合わせて丸棒に巻いていた内側から外側にグラデーション調に染色することができた。地色を数えない2色以上用いて染色する場合は、60℃を超えない低温で、色数分染色を行うことが望ましく、加工による形状保持性が良い。
本発明の実施例9を以下に示す。試料としてJIS染色堅牢度試験用添付白布(毛)ウール100%を使用した。当該試料を約30×30cmの大きさに採取し試験片とした。試料布両端に伸子を張り、横方向へ破れない程度に引っ張るように保持した状態で、温湯の中に浸漬し、十分濡れた状態にした試料を、そのまま蒸し器(蒸し箱)に入れ、蒸気を充満させた状態で1時間蒸熱処理した後、水洗し、伸子で布を張っている状態を保持したまま自然乾燥させた。完全に試料が乾燥した後、布端を保持していた伸子を外すと、布目横方向に伸ばされた形で形状記憶され、2度とシワや折り目などがつかない加工がほどこされた。この加工は蒸し器だけでなく、浸染・捺染による染色処理、圧力蒸気釜での蒸熱処理、いずれの方法でも上記と同様の加工ができる。

Claims (3)

  1. 獣毛素材繊維からなる布帛を糸で縫う、縛る、輪ゴムあるいはクリップで止める、板の間に挟むなどして、シワ形状や絞り形状等立体的な模様を保持し、その形状のまま固定した後、染液中、60℃〜沸騰点間の温度で所定時間浸漬し、次いで水洗浄し、最後に乾燥させることを特徴とする、染色と立体的形状記憶を同時に行う染色加工方法。
  2. 獣毛素材繊維からなる布帛を糸で縫う、縛る、輪ゴムあるいはクリップで止める、板の間に挟むなどして、シワ形状や絞り形状等立体的な模様を保持し、その形状のまま固定した後、常温から80℃の温度範囲で染料を付着させ、次いで80℃〜120℃の加圧又は常圧の水蒸気中又は水中で所定時間保持し、次いで水洗浄し、最後に乾燥させることを特徴とする、染色と立体的形状記憶を同時に行う染色加工方法。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の染色加工方法で処理された獣毛素材繊維。
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