以下、図面を参照して本発明に係る画像処理装置の実施形態について説明する。ここに説明する本実施形態は本発明を具体化した一例であって、これによって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の代表例を示し、特に画像処理装置の内部の全体構成を示す概念図である。図1においては本発明に直接には関係しない部位の詳細は省略している。画像処理装置には種々の機能を有するものがあるが、図1に示す装置はプリンタ、複写、スキャナ(画像読み取り)、ファックス等の機能(画像処理機能)を兼ね備えたデジタル複合機10であると想定する。複合機10はプリンタ、複写機能を備えているので画像形成装置と称することがある。
図1のようなデジタル複合機は複写機として動作するので、文書、図面、画像などが含まれる原稿画像の画像読み取り部を有している。まず、ユーザーが複合機10を利用して例えば原稿Pの印刷を行う場合、原稿Pを図1に示す光透過性の原稿台13、あるいは載置台15に配置し、原稿台13近傍に設置された入力/表示部(操作部)21から、例えばコピー枚数、印刷濃度等のコピー条件を入力し、印刷の指示を行う。入力/表示部21は、複合機10を操作するときユーザー側から見て原稿台13の手前に、例えば水平に設置されている。
入力/表示部21はユーザーが画像読み取りや画像形成、すなわち印刷についての設定条件、その他の画像処理に関する指示等を入力したり、入力された設定条件や指示あるいはそれらに応答して表示されるメッセージを確認したりするために用いられる。また複合機10を使用するユーザーの特定や認証を行うためにユーザーに与えられているID、パスワードあるいはユーザー認証コード等を入力することができる。
複合機10が有する入力/表示部21は、上記のような設定条件や指示などの入力操作あるいは入力後のメッセージの表示等を容易に可能とするためにタッチパネル(操作パネル)を主要構成要素として含む。タッチパネルは、例えば複合機10を駆動するための初期画面や必要に応じて条件を設定するボタンを含む設定画面等、複合機10に用意された様々な画面を表示する。ユーザーがタッチパネルに画面表示されたボタン等を押下すると押下位置が検知され、その位置に予め関係付けられている情報が入力されたり、また特定の機能が複合機10に設定されたりする。
また入力/表示部21の操作面上では、タッチパネルを中心としてその周囲には種々の操作キー(例えば、テンキー、スタートキー、クリアキー、ストップキー、リセットキー、電源キーなど)が配置され、特にテンキーはタッチパネルと共に目的に応じて設定値の入力に用いられる。タッチパネルは上に述べたように表示機能と入力機能の両方を有するので、本複合機10の場合、入力部と表示部とが一体となった入力/表示部21を備えているのである。
入力/表示部21から印刷の指示があると、各部(機械的駆動部)が動作することで印刷が行われる。図1に示すように複合機10は、画像形成部本体11と、本体11の上方に取り付けられたプラテンカバー12を備える。本体11の上面には上記の原稿台13が設けられており、原稿台13は、プラテンカバー12によって開閉されるようになっている。プラテンカバー12には自動原稿給紙装置14と載置台15と排紙台16が設けられている。
原稿の複写を行うために、原稿が原稿台13上ではなく載置台15に載置されたとき、自動原稿給紙装置14は、1枚ずつ原稿を搬送路内に引き出して原稿読取位置Xを通過させ、排紙台16に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は、原稿台13の下方に設けられた画像読取部17にて読み取られる。
画像読取部17は、原稿台13を下方から照射するいわゆる主走査方向に長尺の形状を有する光源18、原稿台13から入射する原稿画像に対応する光を導く各種ミラー19、各種ミラー19で導かれた光を受光した後に電気信号に変換し、必要に応じて画像処理などを行う画像データ生成部20で主に構成されている。
複合機本体11の画像読取部17の下方には、画像データを印刷する画像形成部22を備えている。画像形成部22が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部20にて生成されたものに限らない。最近の複合機10はLAN等を通じてネットワーク構成されており、そのネットワークに含まれるパーソナルコンピューター(PC)等のユーザー端末装置から受信した画像データ、複合機10が備えるファクシミリ部(不図示)が外部から受信した画像データが通常含まれている。
画像形成部22が行う印刷の方式には電子写真方式が用いられている。すなわち感光ドラム24を帯電器25で一様に帯電させ、その後レーザ23で感光ドラム24を照射して感光ドラム24に潜像を形成し、現像器(ロータリー現像器)26で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
フルカラー画像に対応した複合機では、現像器26が回転し、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム24の対向位置に配置される。この状態で感光ドラム24上の潜像が、現像器26が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト27上に転写される。複合機10では、現像器26はイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。中間転写ベルト27への転写を各色毎に繰り返すことにより、中間転写ベルト27上にフルカラー画像が形成される。
以上のようにして形成されるフルカラー画像が印刷されるシート状転写媒体、例えば印刷用の用紙は、給紙カセット29a、29b、29cに載置されている。画像形成部22が印刷を行う際には、何れか1つの給紙カセットから転写媒体1枚をピックアップローラ30を用いて引き出し、搬送ローラ31等で中間転写ベルト27へ送る。画像形成部22は、転写媒体に中間転写ベルト27上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために搬送ベルトで定着部28(定着装置)に転写媒体を送る。そして定着部28が転写媒体に加熱と加圧を施すことにより、可視像が転写媒体に定着する。定着が終了した転写媒体は本体11の画像形成部22より外部へ排出されるが、複合機10の本体11および給紙カセット部の左側には、そのような転写媒体の排出部として排出トレイ31が設けられている。
複合機10の本体11には制御回路部32が含まれている。制御回路部32は、CPU(中央演算装置)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、大容量のHDD(Hard Disk Drive)等で構成される記憶装置、複合機10とネットワークで接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等のようなユーザー端末装置との間の通信を行うための通信インターフェース等からなる。RAMはCPUに一時的にその作業領域を提供する。またROMは複合機10の各種制御プログラムを主として記憶し、HDDは画像読取部17や通信インターフェースを通じて取り込まれた画像データ、複合機10の設定条件、各種ジョブの実行履歴等を記憶している。HDDの代わりに大容量のフラッシュメモリ等半導体記憶装置からなるものを設けてもよい。そして制御回路部32は入力/表示部21、画像読取部17、画像形成部22等の全体を駆動制御する。図1に示すように画像データ生成部20も制御回路部32に接続されている。
図2は本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能から見た構成を示す機能ブロック構成図であり、この構成は図1に示した複合機10に対応するものである。各機能ブロックの概要を次に説明する。入力/表示部41は既に説明した入力/表示部21(図1)に対応し、ユーザーが操作することによって複合機10に目的とする種々の作業を行わせることができる。表示制御部43は、入力/表示部41から入力された設定条件や指示等に基づき、それら入力操作に対応して入力/表示部21が表示する表示画面データを生成する。ユーザー認証部42は、入力/表示部41から入力されたID、パスワードに基づき、この複合機10の使用権限が与えられた者かどうか等を判断する。
記憶部44は、少なくとも上に述べた制御回路部32の記憶装置の一部に該当し、操作履歴情報格納部45を含んでいる。操作履歴情報については後にあらためて詳細に述べるが、この複合機10を用いて例えば複写、印刷等を実行する際の画像処理条件値の設定操作、その他の複合機機能に関する設定操作や変更操作等、過去の一定期間になされた操作の履歴の詳細な情報である。記憶部44の操作履歴情報格納部45を除く領域には、入力/表示部21によってタッチパネルに表示される各種の基本画像データや画像表示プログラム、画像形成部22(図1参照)の駆動制御プログラム等のような、複合機10全体を制御するための各種プログラム、および複合機10に関する機能設定データ、複合機10に取り込まれた文書、画像等のデータファイル等が保存されている。
画像形成部50は、図1の画像形成部22の内部構成にほぼ対応し、感光ドラム24、帯電器25、レーザ23、現像器26、中間転写ベルト27、および定着部28などから構成され、印刷用データに含まれる文書、図形、画像等を紙等の転写媒体に印刷し、印刷物を作成する。印刷制御部49は印刷に関する指示を受け、画像形成部50に印刷用データから印刷物を作成するように駆動制御する。
本発明の実施形態に係る複合機10は、上に述べた各部に加えて、操作履歴情報取得部46、機器設定部47および時間管理部48を備えている。操作履歴情報取得部46は操作履歴情報格納部45内を検索し、必要な操作履歴情報を抽出して取得する。機器設定部47は、複写、印刷等のジョブ実行に際してユーザー等により入力された条件設定値や、複合機10自体の機能を固定するための機能設定値を複合機10に設定すると共に、記憶部44の操作履歴情報格納部45にそれら設定操作の履歴情報を記憶させる。また、時間管理部48は予め与えられている規則に従って、複合機10によるジョブ実行や、複合機10への入力操作等が終了した後、一定の時間をおいてユーザー等により入力・設定された各種設定値等を、初期値(デフォルト値)または設定前の値に戻す(リセットする)ように機器設定部47に指示を出す。
次に、上に説明した図1および図2に示す構成を有する本発明の実施形態に係る複合機10(画像処理装置)に対し、複合機10を使用するに際して発生した問題を、機器管理者がいかに解決することができるかについて図3〜図5を参照して説明する。図3、4および5は、機器管理者が上記の問題を解決するために本実施形態に係る複合機10(画像処理装置)を操作した場合の、複合機10が行う一連の動作ステップを示すフローチャートである。ただしこのフローの最後の図5に示す部分は一般ユーザーの操作による動作ステップも含む。このフローチャートが実行される前提として、本実施形態では複合機10を使用する際、具体的に以下のような問題が発生したと仮定する。
すなわち、複合機の標準的な使用権限を有する一般ユーザーが複合機10によりフルカラーコピーを行おうとしたところ、複合機10の入力/表示部41(図2)のタッチパネル上にフルカラーコピーが実行できない旨のメッセージが表示され、複合機10が稼動しない。そのため、前記ユーザーは機器管理者に連絡した。連絡を受けた機器管理者はこの時点では原因を把握していないが、その原因は、複合機10の使用を管理する管理権限を有するユーザーである使用管理者が、経費節減等のため複写機能をモノクロコピーに制限する設定を行ったことによる。
使用管理者は、例えば複合機10に用意され、入力/表示部41が表示する「管理者メニュー」画面から自己のIDとパスワードを入力してログインした後、カラーコピー出力制限機能を選択して、複写機能をモノクロコピーのみに設定変更することができる。
図3において、機器管理者が連絡を受けた時には、まず複合機10の入力/表示部41はタッチパネル上にいわゆる「初期画面」を表示しているものとする(ステップS1)。初期画面には様々な形態があるが、複写に関する条件設定が可能な画面になっていることが多い。次に機器管理者が例えば入力/表示部41を通常の順序に従って複数回操作すると、入力/表示部41は操作履歴情報を選択する画面を表示する(ステップS2)。
図6は入力/表示部41のタッチパネル上に表示された操作履歴選択画面の一例である。画面上には「コピー」、「プリント」、「スキャナ」、「FAX」、「管理者設定」の5つの機能カテゴリーに対する選択ボタンが表示されている。「コピー」は複写、「プリント」は印刷出力、「スキャナ」は原稿の読み取りと画像データの保存、「FAX」はファクシミリ送受信、「管理者設定」は上に述べた使用管理者および機器管理者が、与えられた権限の下に行う複合機機能設定を意味し、各ボタンは対応するそれぞれのカテゴリーに属する操作履歴情報を閲覧するための選択ボタンである。
但し「プリント」は複写等のような印刷を自動的に伴うジョブは除かれ、ネットワーク回線を通じてユーザー端末装置から複合機10に送信されたデータ等の印刷操作履歴を含むものである。
複合機10の操作履歴情報格納部45(図2)には例えば上記5つのカテゴリー選択ボタンに対応し、それぞれのカテゴリー毎に操作履歴情報が記憶されている。そして操作履歴情報には1つのジョブの操作について詳細な設定値を含む情報が含まれる。例えば「コピー」を例にとると、1回の複写ジョブの実行に対して、原稿枚数、複写枚数、原稿サイズ、原稿方向、印刷の濃度、倍率、解像度、カラー、モノクロ、・・・等、ユーザーが入力/表示部41から独自に入力した印刷条件設定値、およびユーザーが特に設定値として入力せず、予めデフォルトとして設定されている標準設定値となっている値等である。またこれと共に、ジョブ実行日時、実行者を特定するID、パスワード、部署コード、複合機に固定値として設定されている機器設定値等も含まれる。
「プリント」、「スキャナ」、「FAX」についても「コピー」と同様にそれぞれに対応した独自の詳細な設定値等が操作履歴情報として記憶されている。
「管理者設定」のカテゴリーに属する操作履歴情報は上の4種類とは若干内容が異なるものである。使用管理者、機器管理者ができる機能設定の項目として、ジョブ制限(例えばカラーコピー印刷出力制限)、部門単位での月毎の用紙使用量上限枚数制限、機能制限(複合機のスキャナ、FAX機能等のいずれかの機能に対する使用制限)、消費電力抑制モード等を挙げることができる。
このような項目の設定に対しても設定値として操作履歴情報格納部45に記憶される。設定(変更)日時、実行者を特定するID、パスワード、部署コード、複合機に固定条件として設定されているデフォルト設定値等もこの情報に含まれることは、他の4種類のカテゴリーの場合と同じである。上記項目は例えば上に述べた「管理者メニュー」画面から設定することができる。なお、管理者による設定操作は複写、印刷等すべての機能に渡るものであるが、一般ユーザー等が行う複写、印刷等のジョブ回数と比較すれば、その頻度はかなり少ないので複写、印刷等に対する各設定操作に区分せずまとめて1つのカテゴリーとして記憶される。
図6に示すような操作履歴選択画面が表示された後、機器管理者は最初に連絡した一般ユーザーから複合機10に発生した問題の内容について説明を受け、その説明内容に基づいて管理者設定が原因であると判断し、選択ボタン「管理者設定」を押下する。入力/表示部41は「管理者設定」ボタンが押下されたことを検知し(ステップS3)、それを表示制御部43に送信する。続いて入力/表示部41は表示制御部43からの制御によりID/パスワード入力画面(ユーザー認証画面)を表示する(ステップS4)。なお、ステップS3において「管理者設定」ボタンの押下を検知しない場合、入力/表示部41は操作履歴選択画面を表示したまま待機する。
次に機器管理者が自己のIDおよびパスワードを入力/表示部41から入力するとユーザー認証部42はそれを検知し(ステップS5)、入力されたIDおよびパスワードと、複合機10に登録されて記憶部44に保持されているIDおよびパスワードとを表示制御部43を介して照合する(ステップS6)。両者が一致するとユーザー認証部42はその旨を表示制御部43に送信する。なお、ユーザー認証部42は、ステップS5においてはIDおよびパスワードが入力されない場合、およびステップS6においては入力されたIDおよびパスワードと、記憶部44にされているIDおよびパスワードとが一致しない場合、入力前の状態に戻って待機する。
次に表示制御部43は、ユーザー認証部42から受けた、IDおよびパスワードが一致する旨の信号に基づき、操作履歴情報取得部46に、管理者設定履歴情報を入力/表示部41に表示するために必要な情報を取得するように指示する。この指示により、操作履歴情報取得部46は記憶部44の操作履歴情報格納部45に保存されている管理者設定のカテゴリーに属する操作履歴情報を検索し、さらに現在の検索時点から一定期間の過去に記憶された複数の操作履歴情報を選択、取得してそのデータを表示制御部43に送信する。
表示制御部43は操作履歴情報取得部46から送信された前記データと、記憶部44から取得した表示画面基本データから、管理者設定操作履歴の一覧画面を作成し、入力/表示部41を制御してそのタッチパネル上に表示させる(ステップS7)。
図7はこのようにして表示される管理者設定操作履歴の一覧表示画面の例を示す。図7では7件の設定操作の履歴のうち3件については具体的内容の図示を省略している。図に示すように、複数の操作の履歴情報が一覧表形式で表示されるが、この画面では1件の設定操作について、操作番号、実施日時、ユーザー(設定を行った管理者)に付与されている個人識別番号、設定に関係した機能、設定操作の概要、設定の具体的内容が抽出され機器管理者が速やかに理解できる表現で表示される。特に「操作」の枠内に示される短いメッセージは、表示制御部43が操作履歴情報取得部46が送信したデータを解釈して作成したものである。また、「内容」は設定変更が行われた項目の設定後の内容を簡潔に示すものである。
機器管理者は図7のような操作履歴の一覧を参照すると共に、複合機10の問題発生の連絡者であるユーザーからの説明内容を検討し、その問題の原因となった操作履歴を特定する。本実施形態の場合は操作番号295の「フルカラー出力制限設定」であるから、機器管理者は例えばタッチパネル上でのその操作の履歴を表示する位置に触れることによって操作履歴を選択し、続いて選択した操作履歴の詳細を表示する画面右下に設けられた「詳細」ボタンを押下する。
入力/表示部41は操作履歴の選択および「詳細」ボタンの押下を検知し(ステップS8)、検知信号は入力/表示部41から表示制御部43に伝えられ、表示制御部43は、ステップS7の表示の際に操作履歴情報取得部46から送信された操作履歴データと、記憶部44から取得した表示画面の基本データから、操作履歴の詳細画面を作成し、入力/表示部41を制御してそのタッチパネル上に表示させる(ステップS9、図4参照)。なお、入力/表示部41は「詳細」ボタンの押下を検知しなければ図7に示す操作履歴一覧表示画面を表示して待機する。
図8は管理者操作履歴の内容に関する詳細表示画面の一例を示す図である。この画面は図7に示した管理者設定操作履歴の一覧から選択された操作番号295に対する詳細内容を表示している。詳細画面では特に、現在の設定状態(プリンタがモノクロ印刷のみ可能である状態)と、この操作が行われる前の設定状態(プリンタがフルカラーおよびモノクロ印刷の両方が可能である状態)とを表示しており、どのような設定変更が行われたかを容易に確認することができる。
詳細表示画面に表示された操作前の状態は、例えば操作番号295の直前の設定操作(操作番号294、図7を参照)における状態を表示したものであるが、図7に示す画面にはそのようなプリンタの印刷モードに関する状態は表示されていない。しかし表示制御部43が一時的に保持し、操作履歴情報取得部46から送信された操作履歴データ中の、操作番号294に関するデータにはプリンタの印刷モードデータも含まれており、表示制御部43が図8に示す操作履歴詳細画面を作成する際にそのデータを取り込んだものである。
図8に示すように詳細表示画面には「以前の状態に戻す」ボタンと「操作履歴一覧」ボタンが表示される。入力/表示部41は詳細表示画面を表示した状態で、図4に示すようにいずれかのボタンが押下されるかどうかを監視する。入力/表示部41は、「操作履歴一覧」ボタン押下の有無を判断し(ステップS10)、その押下を検知しなければ「以前の設定に戻す」ボタン押下の有無を判断し(ステップS11)、その押下を検知しなければステップS10に戻る。
ステップS10において「操作履歴一覧」ボタン押下を検知した場合は、入力/表示部41はその検知信号を表示制御部43に送信する。そして表示制御部43はその検知信号を受け、入力表示部41に操作履歴一覧画面を表示するように画面切り替えを行わせ、ステップS7(図3参照)に戻る。
しかし通常、機器管理者は、図8に示す詳細表示画面を参照して複合機10に発生した問題の原因および操作履歴の内容を確認し、当該問題を解決するために画面右下の「以前の設定に戻す」ボタンを押下する。入力/表示部41は当該ボタンの押下を検知し(ステップS11)、その押下検知情報を一時記憶すると共に検知信号を表示制御部43に送信する。表示制御部43は上記検知信号を受信すると、操作履歴詳細表示画面(図8)上の「操作履歴一覧」および「以前の設定に戻す」ボタンを消去し、図9に示すように「OK」ボタンおよび「キャンセル」ボタンを入力/表示部41に表示させる(ステップS12)。それと共に複合機10の状態を以前の設定に戻すかどうかを確認するメッセージを表示させる。
ここで入力/表示部41は「OK」、「キャンセル」いずれかのボタンが押下されるかどうかを監視する。すなわち、図4に示すようにまず「キャンセル」ボタン押下の有無を判断し(ステップS13)、その押下を検知しなければ「OK」ボタン押下の有無を判断し(ステップS14)、その押下を検知しなければステップS13に戻る。もしステップS13において「キャンセル」ボタンの押下を検知した場合、入力/表示部41は、自らが一時記憶していた上記「以前の状態に戻す」ボタン押下検知情報を消去し、全ての作業が終了することになる(図4〜図5)。
しかし図9に示す表示画面から、複合機10を以前の状態に戻す作業を確定させるために機器管理者によって「OK」ボタンが押下されると、入力/表示部41は「OK」ボタンの押下を検知し(ステップS14)、その検知信号を機器設定部47に送信する。
機器設定部47は受信した当該検知信号に基づき、現在複合機10のプリンタの印刷モードとして記憶部44に記憶されている設定値「モノクロ印刷」を、前記操作番号295の設定操作前の設定値「フルカラー/モノクロ印刷」に書き換え記憶させる(ステップS15)。この場合機器設定部47は、設定値「フルカラー/モノクロ印刷」の情報を、例えば表示制御部43が図7、図8等の履歴を表示する画面を作成するために一時的に保持している履歴データのうちから、操作番号295の直前の操作番号294の履歴データから取得する。
機器設定部47はさらに、上記書き換え変更を、機器管理者による管理者設定操作履歴として記憶部44の操作履歴情報格納部45にも記録する。記憶する項目は、変更の日時、機器管理者のID、パスワード、操作内容、設定値等他の操作履歴と同様である。ステップS15が終了した段階で複合機10はフルカラー印刷が可能な以前の状態に復帰する。
機器設定部47はステップS15に関する全ての作業が終了した旨の信号を表示制御部43および時間管理部48に送信する。作業終了信号の受信に伴い、表示制御部43は入力/表示部41に初期画面を表示させる(ステップS16)。この時点で複合機10は以前の設定値に設定された状態での初期画面表示となっている。このようにして機器管理者による問題解決作業は終了する。
しかし上に述べたように機器設定部47による作業終了信号は時間管理部48にも送信されている。時間管理部48はその受信後、図5に示すように初期画面が表示された時から時間経過計測を行うモード(時間計測開始:ステップS17)に入る。時間管理部48の役割は、(1)時間経過計測開始後から予め定められている一定の時間内(たとえば数分〜十数分)に、入力/表示部41からの操作等のような複合機10への操作の検知信号、あるいは複合機10の稼動信号等の信号が受信されるかどうかを監視し、(2)一定の時間内に複合機10に対する操作や稼動等の信号が受信されない場合に、機器設定部47に、ステップS15で行った設定値の書き換えを解除し、書き換え前の状態に戻すように指示することである。
ここでの複合機10への操作や稼動は、初期画面が表示された後(ステップS16)に、機器管理者に問題を連絡した一般ユーザーが行う複写に関係する操作や稼動に限定されたものではなく、この複合機10に対する全ての種類の操作および複合機10の全ての種類の稼動を意味する。
機器管理者により問題が解決され、初期画面が表示された後(ステップS16)、一般ユーザーは前記一定の時間内にフルカラー複写ジョブを始めなければならない。すなわち図5に示すように、ステップS16において初期画面が表示された後、時間管理部48は時間計測を開始する(ステップS17)。そして時間計測開始後所定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS18)。
所定時間が経過していなければ、時間管理部48は続いて複合機10に対する操作または複合機10が稼動しているかどうかを判断し(ステップS19)、操作や稼動がなければステップS18に戻って監視を継続する。反対に例えば一般ユーザーが、上記所定の時間が経過するまでに、例えば入力/表示部41のタッチパネルから原稿サイズ、コピー部数、印刷濃度等の設定値を入力し、その後コピーを開始させるため、例えば入力/表示部41のタッチパネルの周辺に近接して設けられているスタートボタンを押下した場合、入力/表示部41がそれらを検知する。
コピー条件およびコピーを指示するスタートボタンの押下検知信号は入力/表示部41から時間管理部48および印刷制御部49に送信されるが、時間管理部48はそのスタートボタン押下検知信号を受けて時間計測を終了する(ステップS20)。また同時に上記検知信号を受けた印刷制御部49は、時間管理部48が時間計測を終了した後、画像形成部50を駆動して所定のフルカラーコピージョブ(コピー用紙等の転写媒体への画像転写および定着)を実行する(ステップS21)。
印刷制御部49は画像形成部50によるフルカラーコピージョブの実行が開始された後、そのジョブが終了したか実行中かを判定しながら監視する(ステップS22)。ジョブが実行中であり、終了していない場合は引き続き画像形成部50にジョブを継続させる。ジョブが終了した場合、印刷制御部49はコピー終了信号を表示制御部43に送信すると、表示制御部43は入力表示部41に初期画面を表示させる(ステップS16)。初期画面が表示された後、時間管理部48は時間計測を開始する(ステップS17)。そして時間計測開始後所定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS18)。
所定時間が経過していなければ、時間管理部48は続いて複合機10に対する操作または複合機10が稼動しているかどうかを判断し(ステップS19)、操作や稼動がなければステップS18に戻って監視を継続する。反対に一般ユーザーが引き続き上記所定の時間が経過するまでに、フルカラーコピージョブを行うために入力操作などを行った場合は時間管理部48がステップS19においてそれを検知するので、再度ステップS20以降の動作に進む。
しかしフルカラーコピージョブが完全に終了すると、複合機10に対する操作や稼動はなく、ステップS18において前記一定の時間が経過する。その場合時間管理部47は、機器設定部にステップS15で行った設定値の書き換えを解除し、書き換え前の状態に戻すように指示する。機器設定部47はこの指示を受け、記憶部44に記憶されている設定値「フルカラー/モノクロ印刷」を操作番号295の設定値「モノクロ印刷」に再度書き換えることによって設定を自動的に解除する(ステップS23)。これと同時に機器設定部47は、この設定解除の操作を複合機10自身が行った操作履歴として記憶部44の操作履歴情報格納部45にも記録することになる。設定解除後は、自動的に時間管理部48による時間計測も終了し、全ての作業が終了する。
このように複合機10は、機器管理者が一般ユーザーにとって問題となった設定値を以前の設定値に戻す設定を行った後に複合機10に対する操作や稼動がなければ、予め定められた一定の時間経過するとその設定を解除する機能を備えている。これは、図7や図8に示す操作番号295等の設定が、複合機10の使用を管理する管理権限を有する使用管理者が行った設定であり、原則としてその設定を維持する必要があることを考慮するためである。
以上説明したように、本実施形態に係る複合機は、複写、印刷、画像読み取り、FAX送受信等のジョブを行う際、あるいは管理者による機器設定の際に、ユーザーが行った複合機10に対する操作、すなわち各種ジョブを実行するための実行条件設定値入力等の操作、複合機10の機能設定値の変更操作等の操作履歴情報を記憶する記憶手段、そのような操作履歴情報の内容を具体的な一覧にして表示する手段、および操作履歴情報の一覧中から選択された特定の操作において設定された設定値を、「以前の設定値に戻す」ボタンと「OK」ボタンの組み合わせ操作(図8、図9参照)のような1回〜2回の操作で、上記特定の操作における設定が行われる前の設定値に戻す手段を備えている。
このように本実施形態に係る複合機は、過去の複数の操作履歴を一覧にして表示するので、機器管理者はその一覧を参照すると同時に一般ユーザーによる問題点の説明を聞くことによって、複合機機能の問題となった設定状態を迅速且つ正確に把握することができる。またその問題に対して速やかに対策を講じることができる。そして機器管理者は対策を講じる際、1回〜2回という少ない操作で問題となった機能の設定前の状態に複合機を戻し、容易に問題を解決することができる。
使用管理者が、本実施形態において述べたような、画像処理装置に特別に用意されている「管理者メニュー」等を用いて行った設定状態は常時維持されるので問題が起こりやすい傾向がある。そのため本実施形態では、画像処理装置の使用を管理する権限を有する使用管理者による設定値変更が問題となる場合を例示したが、本発明はそのような場合に限定されることなく適用できる。
一般ユーザーが複写ジョブ等で行う、用紙枚数や出力用紙サイズ等の変更設定値はジョブが終了すれば通常は規定のデフォルト値に復帰するので問題は少ない。しかしもし一般ユーザーによる設定でも設定値が常時維持されるような場合があり問題となり得るのであれば、管理者による設定に限定されず、そのような設定に対して本発明を適用することができる。
例えば、図6に示した操作履歴表示メニュー画面に表示された「コピー」、「プリント」、「スキャナ」、「FAX」のうち、問題となったジョブに関するカテゴリーの選択ボタンを押下すると、図7と同様な形式で選択したカテゴリーに対応した操作履歴の一覧表示画面が現れる。さらにその一覧から特定の操作履歴を選択し、「詳細」ボタンを押下すると、図8に示したような特定の操作履歴の詳細画面が表示される。そして詳細画面上の「以前の設定に戻す」ボタンの押下操作を介して、問題としている特定の操作の直前の操作における設定値が、画像処理装置に新たに設定される。この特定の操作が一般ユーザーが実行したものであれば、以前の状態に戻された設定値を所定の時間が経過後にも解除せず、維持するようにしてもよい。
また本実施形態では、図8に示すような操作履歴の詳細な内容を表示する画面に「以前の設定に戻す」ボタンを設けた。しかし図7に示す複数の操作履歴を並べた一覧画面上に「詳細」ボタンと共に「以前の設定に戻す」ボタンを設け、操作履歴一覧表示画面から直接以前の設定値に戻す設定を行えるようにしてもよい。このようにした場合は操作履歴の詳細画面を表示する操作を省略することができる。