JP5709567B2 - トナーの製造方法及びトナー製造装置 - Google Patents
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Description
機械的粉砕法によらないこれらの方法によって得られるトナー粒子は、円形度が高く、表面が均一になりやすい。そのため、流動性及び転写性が良好で、多数回の連続現像を行った場合でも良好な現像特性を示し、トナーへのストレスが少なく、感光体へのフィルミングの発生が少ない。また、粒度分布がシャープであり、たとえ分級工程が必要な場合でも、所望の粒径を有するトナー粒子の歩留まりが高くなりやすい。
特許文献2には、撹拌槽の気相部に存在する部材に対して散水することにより、当該部材へのトナー粒子の付着を防止する方法が開示されている。この方法によってもトナー粒子の付着防止の効果は期待できるが、散水によって撹拌槽内部の液量が増加するため目的とするトナーの生産性が低下する傾向にある。
さらには、撹拌軸が液面下から挿入される場合には、撹拌槽の液面下部の壁面を撹拌軸が貫通する部分が存在し、その部分には液の漏出を防ぐために軸封部材が必須であるが、メカニカルシールの如き軸封部材にトナー粒子が付着するとその本来のシール性能が阻害され、著しい場合にはメカニカルシールの破損を引き起こす。
また、生成したトナー粒子の付着物が剥離脱落して製品に混入すると、画像濃度の低下やカブリの悪化などを引き起こす。
水系媒体中のトナー粒子から揮発成分を除去する揮発成分除去工程に用いるトナーの製造装置であって、
該製造装置は、
該トナー粒子を含む該水系媒体を容れるための撹拌槽と、
該トナー粒子を含む該水系媒体を撹拌するための撹拌翼と、
該トナー粒子を含む該水系媒体を加熱するための加熱手段と、
該撹拌翼を駆動するための撹拌軸及び該撹拌軸に連結された撹拌翼駆動手段と、
該撹拌翼の回転時に回転する付着防止部材と、
を有し、
該撹拌翼は、該撹拌槽の内部に配置されており、
該撹拌軸は、該撹拌槽の底部から該撹拌槽の内部に挿入されており、
該付着防止部材は、該撹拌槽の内部かつ該撹拌翼の下方に、該撹拌軸を取り囲むように配置されており、
該付着防止部材は、
該撹拌槽の底部側の部位が該撹拌槽の底部に向いた櫛歯状になっている部材、又は、
複数のスリット若しくは孔を有する部材
である
ことを特徴とするトナーの製造装置。
水系媒体中のトナー粒子から揮発成分を除去する揮発成分除去工程を有するトナーの製造方法であって、該揮発成分除去工程は、本発明のトナーの製造装置を用い、該トナー粒子を含む該水系媒体を加熱撹拌することによって行われることを特徴とするトナーの製造方法。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒し該重合性単量体組成物の粒子を形成し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る工程を含む製造方法である。
また、上記揮発成分除去工程は、撹拌翼を有する撹拌槽においてトナー粒子を含む水系媒体(以下、トナー粒子分散液ともいう)を加熱撹拌することによって行われ、該撹拌翼は該撹拌槽の底部から挿入される撹拌翼駆動手段に連結された撹拌軸によって駆動され、該撹拌翼の下方には該撹拌軸を取り囲むように、該撹拌翼の回転時に回転する付着防止部材が配置され、該付着防止部材はその撹拌槽底部側の部位が撹拌槽底部に向いた櫛歯状の部材であるか、又は、複数のスリット若しくは孔を有する部材であることを特徴とする。
以下に、本発明のトナーの製造方法、及び、そのための製造装置について説明する。
重合性単量体及び着色剤を少なくとも含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。
分散安定剤を含む水系分散媒を調製し、高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽に投入し、ここに重合性単量体組成物を添加し、撹拌することにより分散させ、重合性単量体組成物分散液とする。また、一般的な竪型撹拌槽に分散安定剤を含む水系分散媒を投入し、さらに重合性単量体組成物を投入して撹拌し、重合性単量体組成物予備分散液とした後に、ここから連続的に重合性単量体組成物予備分散液を抜き出し、インライン型の高速撹拌機を通過させることによって連続的に重合性単量体組成物分散液を得ることもできる。さらには上記のようにして得られた重合性単量体組成物分散液を再度前述の竪型撹拌槽に戻す循環式とすることもできる。
上述のようにして得られた重合性単量体組成物分散液を重合工程に導入することにより、トナー粒子分散液を得る。本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。撹拌に用いられる撹拌翼はトナー用原料分散液を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌翼又は撹拌手段としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼及びアンカー翼のごとき一般的な撹拌翼、並びに、「フルゾーン」(神鋼パンテック
社製)、「ツインスター」(神鋼パンテック社製)、「マックスブレンド」(住友重機社製)
、「スーパーミックス」(佐竹化学機械工業社製)及び「Hi-Fミキサー」(綜研化学社製)などが挙げられる。
トナー粒子から未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発成分を除去するために、重合工程終了後に揮発成分除去工程を行う。揮発成分除去は、加熱撹拌した状態で常圧又は減圧下で行うことができる。揮発成分除去工程を行う装置の一例を図1に示す。本装置は加熱冷却ジャケット3及び撹拌翼2を有する撹拌槽であり、撹拌翼2は撹拌軸6が全て液面下となるよう底部に設置されている。また、本装置は液面下に蒸気吹き込み口8を有するので、加熱を加熱冷却ジャケットで行なわず液に直接蒸気を吹き込むことによって行なうこともできる。撹拌軸が撹拌槽に挿入される部分には撹拌槽内部の液の漏出を防ぐため軸封部材5が設置される。撹拌翼下部には撹拌軸へのトナー粒子の付着を防止する目的で、付着防止部材4が撹拌翼と一体となって回転するよう設置されている。撹拌翼近傍の部分拡大図を図2、断面図を図3に示す。付着防止部材は、撹拌軸を取り囲むように設置された櫛歯状の部材であり、撹拌槽底部方向に櫛歯の先端が向くように撹拌翼下部に固定されており、撹拌翼の回転にしたがって回転する。付着防止部材が撹拌軸の周囲を回転することによって、撹拌軸近傍でのトナー粒子分散液の滞留を防ぎ、撹拌軸へのトナー粒子の付着を防止することができる。櫛歯の先端が軸封部材の近傍で回転することによって、軸封
部材近傍でのトナー粒子分散液の滞留を防止し、軸封部材へのトナー粒子の付着を防止することができる。ここで、撹拌槽底部側の部位が櫛歯状である部材の代わりに、例えば丸棒を複数並べて設置しても同様の効果を奏するものと考えられる。
また、撹拌翼が生じさせるトナー粒子分散液の流れの方向は、加熱中は液面から撹拌槽底部に向かう流れとする方が、加熱ジャケットからの伝熱や全体の撹拌混合の観点から好ましい。また、次工程に移送する前の冷却工程においては、加熱時とは逆に撹拌槽底部から液面へと向かう方向の流れとする方が、撹拌軸近傍でのトナー粒子分散液の滞留をより低減させることができるため好ましい。
また、冷却工程においては、通常60℃以下に液を冷却することが好ましい。この温度まで液を冷却した場合には、次工程への移送時など、撹拌が停止した状態に置かれた場合でも、トナー粒子分散液中のトナー粒子が合一したり、撹拌槽や撹拌軸及び軸封部材に融着したりしにくくなる。
トナー粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー粒子分散液を酸又はアルカリで処理をすることもできる。酸又はアルカリでトナー粒子分散液を処理した後、一般的な固液分離法によりトナー粒子は水系媒体と分離されるが、酸又はアルカリ、及びそれらに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー粒子を洗浄することが好ましい。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥してもよい。
こうして得られたトナー粒子は、従来の粉砕法で製造されたトナーと比較して十分にシャープな粒度分布を有するものであるが、さらにシャープな粒度分布を要求される場合には風力分級機などで分級工程を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別
して取り除くこともできる。
本発明で好適に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
すなわち、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン及びp−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート及び2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系モノマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系モノマー類;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル及びギ酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル及びビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン及びビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン類などが挙げられる。
すなわち、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン及びジビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明で用いられる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
シアントナー用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:1、15:2、15:3、16及び17;C.I.アシッドブルー6、及び45;フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
また、マゼンタトナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、155、163、202、206、207、209及び238;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29及び35等が挙げられる。さらに、マゼンタトナー用の染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109及び121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21及び27;C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39及び40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27及び28等の塩基性染料が挙げられる。
また、イエロートナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191及び194;C.I.バットイエロー1、3及び20;ミネラルファストイエロー;ネーブルイエロー;ナフトールイエローS;ハンザイエローG;パーマネントイエローNCG等が挙げられる。さらに、イエロートナー用の染料としてはC.I.ソルベントイエロー9、17、24、31、35、58、93、100、102、103、105、112、162及び163等が挙げられる。
また、ブラックトナー用の着色剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック及びシアニンブラック等、又は先に例示したイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤、さらに必要に応じて前記した黒色の着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下しやすくなり、更には、トナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。また、着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度が得られない傾向がある。
本発明で用いられる離型剤としては、室温で固体状態のワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点で好ましい。
そのようなワックスとしては、以下のものが挙げられる。
すなわち、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、及びこれらのブロック化合物などが挙げられる。これらの中でも、低分子量成分が除去されており、示差走査熱量計によって得られる吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。OHPに定着した画像の透光性を向上させるためには、直鎖状エステルワックスが特に好適に用いられる。直鎖状エステルワックスは重合性単量体100質量部に対して1〜40質量部含有されることが好ましく、4〜30質量部含有されることがより好ましい。
本発明の製造方法により製造されるトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが利用できる。
トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、有機金属化合物及びキレート化合物が挙げられ、具体的には、モノアゾ系染料金属化合物及びアセチルアセトン金属化合物、並びに、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びそれらの金属塩、無水物、エステル類及びビスフェノール等のフェノール誘導体類などが挙げられる。さらに尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体及び非金属カルボン酸系化合物などが挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩及びテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩;ホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、
ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、又はフェロシアン化物が挙げられる)及び高級脂肪酸の金属塩などが挙げられる。これらを単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも4級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
本発明に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤がある。
アゾ系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。
すなわち、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリルなどが挙げられる。
有機過酸化物系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。
すなわち、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩など)の無機過酸化物及び4価のセリウム塩の如き酸化性金属塩が挙げられる。
また、還元性物質としては、還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩及び3価のクロム塩など)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン及びエチルアミンの如き炭素数1〜6のアミン)、ヒドロキシルアミン等のアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの如き還元性硫黄化合物、炭素数1〜6の低級アルコール、アスコルビン酸又はその塩、及び、炭素数1〜6の低級アルデヒドなどが挙げられる。
開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独又は組み合わせて用いてもよい。該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的にはモノマー100質量部に対し0.5〜20質量部が含有される。
本発明においては、各種架橋剤を用いてもよい。
架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明においては、分散媒体は各種重合法に使用される公知のものを用いることができ、使用する重合性単量体や重合法などによって適宜選択され、特に限定されない。なお、
懸濁重合においては水系媒体が用いられる。
トナー用原料を水系媒体中に良好に分散させるための分散安定剤として用いることができる無機化合物としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ及びチタニアなどが挙げられる。
また、分散安定剤として用いることができる有機系化合物としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及びデンプンなどが挙げあれる。
例えばリン酸三カルシウムの場合、十分な撹拌下のリン酸ナトリウム水溶液中に塩化カルシウム水溶液を投入混合することで懸濁重合法に好適な分散安定剤を得ることができる。このとき、塩化カルシウム水溶液の投入方法は特に限定されないが、可能な限り素早く均一な混合状態が得られるような条件で行なわれることが好ましい。スケールが大きい装置の場合には均一に混合するための時間が延びるため、例えば塩化カルシウム水溶液の投入部分にスプレーノズル、シャワーノズル又は多孔性の円管などを用いて拡散しながら投入するような工夫をしてもよい。
懸濁重合法のように水系媒体を用いる重合法の場合には、重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することにより離型剤の内包化の促進を図ることができる。水系媒体に懸濁した重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから極性樹脂が水系媒体とトナー用原料の界面付近に移行しやすいため、トナー表面に極性樹脂が偏在する傾向がある。その結果、トナー粒子はコア−シェル構造を有し、多量の離型剤を含有する場合でも離型剤の内包性が良好になる。
酸成分単量体としては以下のものが挙げられる。
すなわち、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びトリメリット酸などが挙げられる。
また、アルコール成分単量体としては以下のものが挙げられる。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1
,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンの如きアルキレングリコール類、並びに、ポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。
外添剤はトナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
外添剤としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫及び酸化亜鉛の如き金属酸化物;窒化ケイ素の如き窒化物;炭化物炭化ケイ素の如き炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムの如き無機金属塩;ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムの如き脂肪酸金属塩;カーボンブラック及びシリカなどが挙げられる。
磁性材料がトナーに含有される場合には、該磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。
本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト及びフェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト及びニッケルの如き金属、あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン及びバナジウムの如き金属の合金及びその混合物などが挙げられる。
5μm程度であることがより好ましい。
m2/kgであることが好ましい。
トナー粒子中における磁性材料の分散性を向上させるために、磁性材料の表面を疎水化処理することが好ましい。
疎水化処理にはシランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤類が用いられ、中でもシランカップリング剤が好ましく用いられる。
シランカップリング剤としては以下のものが挙げられる。
すなわち、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明の製造方法により得られるトナーを、一成分系現像剤として磁性材料をトナー中に含有させた磁性トナーとする場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用して、磁性トナーの搬送及び帯電することができる。また、磁性材料を含有しない非磁性トナーとする場合には、ブレード及びファーブラシを用いて現像スリーブにおいて強制的に摩擦帯電し、スリーブ上にトナーを付着させることで搬送することができる。
一方、二成分系現像剤とする場合には、トナーと共にキャリアを用い現像剤として使用される。本発明に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン及びクロム原子が用いられ、これらは単独又は複合フェライト状態で用いられる。
一般的には、上記金属の化合物を焼成、造粒することにより、あらかじめキャリアコア粒子を生成した後、樹脂をコーティングする方法が用いられている。キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、金属化合物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、金属化合物とモノマーとの混練物を水系媒体中で直接懸濁重合させて真球状に分散した重合キャリアを得る方法も利用することが可能である。
一方、トナー濃度が2質量%未満の場合には画像濃度が低く実用不可となり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が増加しやすく、画像の劣化及び現像剤の消費量増加が起こりやすい。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析
をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)を使用した。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
<1>Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
<2>ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
<3>発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
<4>前記<2>のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
<5>前記<4>のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
<6>サンプルスタンド内に設置した前記<1>の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記<5>の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
<7>測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
粒度分布のシャープさは上述の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を用い、D4/D1の値を求めることにより評価した。D4/D1の値が1に近いほど粒度分布はシャープである。
揮発成分除去工程及び冷却工程を1セットとして行ない、同じ装置内で5セット繰り返して行なった後に、撹拌軸及び軸封部材周りの付着物を採取し、これを乾燥させた後に重量を測定した。
本発明の実施例で行った画像評価方法とその判断基準について以下に述べる。
画像形成装置として、「LASER JET2300」(ヒューレット・パッカード(株)社製)を用いた。ここで、プロセススピードを150mm/secとし、現像バイアスとして−430Vの直流電圧Vdcに1.6kVpp、周波数2200Hzの交番電界を重畳したものを用いた。この条件において、常温常湿環境下(23℃、60%RH)において8ポイントのA文字を用い印字率を4%とした画像にて間欠モードで6,000枚の画出し耐久試験を行った。なお、記録媒体としてはA4の75g/m2の紙を使用した
。
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度を「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)にて測定した。
<2>カブリ
白画像を出力して、その反射率を「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)を使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、黒及びマゼンタトナーにはグリーンフィルターを、シアントナーにはアンバーフィルターを、イエロートナーにはブルーフィルターを、それぞれ用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
得られたカブリの値により下の評価基準に従い5段階で評価した。
A:非常に良好なレベル(0.5%未満)
B:良好なレベル(0.5%以上1.0%未満)
C:問題ないレベル(1.0%以上2.0%未満)
D:許容レベル(2.0%以上3.0%未満)
E:悪いレベル(3.0%以上)
以下の手順により重合体微粒子からなるトナー粒子を製造した。
[着色剤分散液調製工程]
スチレンモノマー 78質量部
n−ブチルアクリレート 22質量部
銅フタロシアニン顔料(「ECB308」(大日精化社製)) 6質量部
負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物) 1質量部
上記成分をジルコニアビーズを用いた媒体撹拌ミルで分散することにより、着色剤分散液の調製を行なった。
着色剤分散液 107質量部
ポリスチレン 25質量部
(Mw=3100、Mw/Mn=1.22、Tg=54℃)
飽和ポリエステル樹脂 4質量部(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との
重縮合物;Mn=11,000、Mw/Mn=2.4、
酸価=30mgKOH/g、Tg=72℃)
負荷電制御剤 1質量部(ジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物)
ポリエチレンワックス 10質量部(DSCにおける最大吸熱ピーク65℃、吸熱ピークの半値幅17℃)
上記の成分を温度調節可能な撹拌槽に投入し、撹拌しながら63℃まで昇温し、さらに45分間撹拌を継続して重合性単量体組成物とした。
水 97.8質量部
Na3PO4 1.2質量部
10%塩酸水溶液 0.3質量部
上記の成分を別の温度調節可能な撹拌槽に投入し、60℃まで昇温しながらNa3PO4が完全に溶解するまで撹拌した。
これにCaCl2 0.7質量部を水5質量部に溶解したものを添加し、「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて回転数22(1/s)で60℃に保ったまま30分間撹拌を行うことによってCa3(PO4)2の微粒子の水懸濁液である水系媒体を得た。
水系媒体を60℃で「クレアミックス」(エム・テクニック社製)で回転数22(1/s)で撹拌しながら、そこに前述の重合性単量体組成物を投入し、3分撹拌を継続した後に重合性単量体100質量部に対して重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート7.0質量部を添加し、さらに7分間撹拌して重合性単量体組成物分散液を得た。
上述の工程により得られた重合性単量体組成物分散液を温度調節可能な撹拌槽に導入し、液温を67℃に昇温し撹拌しながら5時間重合を行い、さらに80℃に昇温して4時間重合を継続することにより重合体微粒子分散液を得た。
重合工程で得られた重合体微粒子分散液を図1の撹拌槽に導入し、蒸気吹込み口より蒸気を吹き込んで液温を100℃まで昇温し、5時間撹拌を行なうことによって揮発成分除去工程を行った。この時の撹拌翼の回転方向は、撹拌翼により生じる重合体微粒子分散液の流れの方向が液面から撹拌槽底部へと向かう方向であった。
次に、撹拌翼を逆回転させ撹拌翼により生じる重合体微粒子分散液の流れの方向を撹拌槽底部から液面へと向かう方向としながら、液を40℃以下まで冷却する冷却工程を行った。
上記揮発成分除去工程及び冷却工程を1セットとして重合体微粒子分散液を製造し、同じ装置を使用して当該重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合体微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材における付着物の有無を確認したところ、付着物は確認されなかった。
揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返し、最後に得られた重合体微粒子分散液に塩酸を添加して撹拌し、重合体微粒子を覆ったCa3(PO4)2の微粒子を溶解した。溶解液を加圧ろ過器で脱液し、水を投入して再び分散液とした後に、加圧ろ過器で再度脱液して固液分離した。この操作を、Ca3(PO4)2が十分に除去されるまで繰り返し行うことにより洗浄した。洗浄後、最終的に固液分
離して得た重合体微粒子を、公知の乾燥手段によって十分に乾燥してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.8μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.15であった。
上記トナー粒子100質量部と、BET比表面積値が120m2/gの疎水性シリカ微
粉体1.0質量部を、「ヘンシェルミキサー」(三井鉱山社製)を用いて混合し、トナーを調製した。得られたトナーについて画像濃度及びカブリの評価を行った結果を表1に示す。
揮発成分除去工程に使用する製造装置に設置された付着防止部材の櫛歯状の部分をその先端が軸封部材にかからないよう短くしたほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合体微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ105gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.1μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.17であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程に使用する製造装置として図5及び図6に示されたものを使用したほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合体微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ126gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.0μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.17であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程において加熱時、冷却時ともに撹拌翼の回転方向を、撹拌翼により生じるトナー粒子の流れの向きが液面から撹拌槽底部に向かう方向となるようにしたほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合性微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ268gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.9μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.17であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程において加熱時、冷却時ともに撹拌翼の回転方向を、撹拌翼により生じるトナー粒子の流れの向きが撹拌槽底部から液面に向かう方向となるようにしたほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合性微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ130gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.2μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.16
であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程において加熱時の撹拌翼の回転方向を、撹拌翼により生じるトナー粒子の流れの向きが撹拌槽底部から液面に向かう方向となるようにし、冷却時の撹拌翼の回転方向を、撹拌翼により生じるトナー粒子の流れの向きが液面から撹拌槽底部に向かう方向となるようにしたほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合性微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ251gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.0μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.17であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程に使用する製造装置として図4に示されたものを使用したほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合性微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着物は見られなかった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.9μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.15であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程に使用する製造装置として図7に示されたものを使用したほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合性微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ682gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.3μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.20であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
揮発成分除去工程に使用する製造装置に付着防止部材を設置しないものを用いたほかは、実施例1と同様の方法でトナー粒子を製造した。揮発成分除去工程及び冷却工程からなる重合体微粒子分散液製造工程を5回繰り返して行ない、重合性微粒子分散液を次工程に移送した後に撹拌軸及び軸封部材に付着した付着物を採取し、乾燥後秤量したところ644gであった。繰り返し製造の最後に得られたトナー粒子の粒度を測定したところ、重量平均粒径(D4)は6.2μmであり、粒度分布のシャープさ(D4/D1)は1.18であった。このトナー粒子に実施例1と同様に疎水性シリカ微粉体を混合してトナーを調製し、画像評価を行なった。結果を表1に示す。
2 撹拌翼
3 加熱冷却ジャケット
4 付着防止部材
5 軸封部材
6 撹拌軸
7 モーター
8 蒸気吹込み口
9 液面
10 二重構造の撹拌軸(外側)
11 二重構造の撹拌軸(内側)
Claims (5)
- 水系媒体中のトナー粒子から揮発成分を除去する揮発成分除去工程に用いるトナーの製造装置であって、
該製造装置は、
該トナー粒子を含む該水系媒体を容れるための撹拌槽と、
該トナー粒子を含む該水系媒体を撹拌するための撹拌翼と、
該トナー粒子を含む該水系媒体を加熱するための加熱手段と、
該撹拌翼を駆動するための撹拌軸及び該撹拌軸に連結された撹拌翼駆動手段と、
該撹拌翼の回転時に回転する付着防止部材と、
を有し、
該撹拌翼は、該撹拌槽の内部に配置されており、
該撹拌軸は、該撹拌槽の底部から該撹拌槽の内部に挿入されており、
該付着防止部材は、該撹拌槽の内部かつ該撹拌翼の下方に、該撹拌軸を取り囲むように配置されており、
該付着防止部材は、
該撹拌槽の底部側の部位が該撹拌槽の底部に向いた櫛歯状になっている部材、又は、
複数のスリット若しくは孔を有する部材
である
ことを特徴とするトナーの製造装置。 - 前記付着防止部材が、前記撹拌軸と同軸で駆動される部材である請求項1に記載の製造装置。
- 前記撹拌軸に、前記撹拌槽の内部の前記トナー粒子を含む前記水系媒体の漏出を防ぐための軸封部材が設置されており、
前記付着防止部材が、前記撹拌軸及び該軸封部材を取り囲むように配置されている
請求項1又は2に記載のトナーの製造装置。 - 水系媒体中のトナー粒子から揮発成分を除去する揮発成分除去工程を有するトナーの製造方法であって、
該揮発成分除去工程は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造装置を用い
、該トナー粒子を含む該水系媒体を加熱撹拌することによって行われることを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記製造方法が、前記揮発成分除去工程の後、前記トナー粒子を含む水系媒体を撹拌しながら冷却する冷却工程をさらに有し、
前記揮発成分除去工程においては、前記撹拌翼を、前記撹拌翼により生じる前記トナー粒子の流れが前記撹拌槽の底部に向かうように回転させ、
該冷却工程においては、前記撹拌翼を、前記撹拌翼により生じる前記トナー粒子の流れが前記撹拌槽の上部に向かうように回転させる
ことを特徴とする請求項4に記載のトナーの製造方法。
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