JP5706281B2 - コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法 - Google Patents

コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5706281B2
JP5706281B2 JP2011196172A JP2011196172A JP5706281B2 JP 5706281 B2 JP5706281 B2 JP 5706281B2 JP 2011196172 A JP2011196172 A JP 2011196172A JP 2011196172 A JP2011196172 A JP 2011196172A JP 5706281 B2 JP5706281 B2 JP 5706281B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing
polymer cement
existing concrete
concrete structure
cement mortar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011196172A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013057203A (ja
Inventor
浩 山▲崎▼
浩 山▲崎▼
Original Assignee
株式会社長濱興業
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社長濱興業 filed Critical 株式会社長濱興業
Priority to JP2011196172A priority Critical patent/JP5706281B2/ja
Publication of JP2013057203A publication Critical patent/JP2013057203A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5706281B2 publication Critical patent/JP5706281B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

本発明は、コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法に関する。
近年、既設コンクリート構造体の機能回復および向上を目的とした補修・補強工事が増加する傾向にあり、既設コンクリート表面の老朽化した部分を除去し、その除去した部分に新たにモルタル等を塗布する補強方法が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の補強方法では、新たに塗布するモルタルにポリマーを含有したポリマーセメントモルタルを用いることで、既設コンクリート構造体のコンクリート面と、新たに塗布するモルタルとの密着性を高めている。
特開2002−81041号公報
しかしながら、既設コンクリート構造体内に配設された鉄筋が経年劣化していた場合には、この劣化した鉄筋を補修しなければならない。例えば、既設コンクリート構造体内に配設された鉄筋に錆が発生していた場合には、既設コンクリート構造体の補強の他に、鉄筋の補修を行うために以下の工程が必要となる。すなわち、既設コンクリート構造体の一部を除去する工程と、既設コンクリート構造体内に配設された鉄筋表面に発生した錆を除去する工程と、この錆を除去した鉄筋表面に保護膜を形成する工程と、この保護膜を形成した鉄筋をコンクリートにより覆う工程とが必要となる。
従って、既設コンクリート構造体内に配設された鉄筋が経年劣化していた場合には、鉄筋補修用の工程が増加することにより、既設コンクリート構造体の補強工事が繁雑となり、補強工事が長期化するとともに、補強工事のための費用が増加するという問題があった。
そこで、本発明は前記の問題を解決すべく案出されたものであって、既設コンクリート構造体を補強するとともに、既設コンクリート内に埋設された鉄筋の補修を行うことができるコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内部に鉄筋を備えた既設コンクリート構造体の補強において、既設コンクリート面の劣化部分や異物等の老朽化部分を除去して下地処理する下地処理工程と、前記既設コンクリート面に補強用鉄筋と係合する金具を介して前記補強用鉄筋から離れた位置に取り付けたアンカーを用いて前記補強用鉄筋を固定する補強用鉄筋固定工程と、前記補強用鉄筋および前記既設コンクリート面をそれぞれ覆うようにポリマーセメントモルタルを塗布するポリマーセメントモルタル塗布工程と、前記ポリマーセメントモルタルを塗布したポリマーセメントモルタル面に、該ポリマーセメントモルタル面よりも大きなひび割れ追従性を有する高弾性特殊モルタルを塗工する塗工工程と、を有し、前記アンカーは、回転固定式アンカーであり、該アンカーの軸芯にはねじが螺設され、前記ポリマーセメントモルタルは、亜硝酸塩を含有することを特徴とするコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法とした。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法において、前記ポリマーセメントモルタルは短繊維を混入したものであり、前記高弾性特殊モルタルは、前記ポリマーセメントモルタルよりも大きなひび割れ追従性を有することとした。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法において、前記亜硝酸塩は、亜硝酸ナトリウムであることとした。
請求項1に記載の発明によれば、既設コンクリート面に補強用鉄筋を配設するとともに、ポリマーセメントモルタルにより既設コンクリート面を覆うようにしたので既設コンクリートを補強することができる。また、ポリマーセメントモルタルに亜硝酸塩を含有したので、該亜硝酸塩が既設コンクリート内に浸透して既設コンクリート内の鉄筋表面に保護膜を形成するため、既設コンクリート内に配設された鉄筋の腐食を初めとして、諸劣化症状を抑えることができる。また、コスト縮減と長寿命化を図ることも可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、ポリマーセメントモルタルに短繊維を混入するとともに、高弾性特殊モルタルを用いたことにより、施工後のコンクリート面のひび割れを抑制し、外部から塩含雨等の悪影響を抑えることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、亜硝酸塩として亜硝酸ナトリウムを用いたことで、補強コストを低減することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、補強用鉄筋を固定するアンカーとして回転固定式アンカーを用いるため、既設のコンクリート損傷を低減でき、取り外しも容易にできる。
橋梁床版の既設コンクリート構造体の構造を示す図である。 本実施形態の方法により補強した橋梁床版の補強部50を示す概略図である。 本実施形態に係るコンクリート構造体の補強工程を示すフローチャートである。 本実施形態に係るコンクリート構造体の補強工程を示す図である。 本実施形態に係る補強用鉄筋の配設例を示す図である。 本実施形態に係るアンカーを示す図である。 錆の発生メカニズムを示す説明図である。 本実施形態により補強したコンクリート構造体の曲げ強度試験の結果を示す図である。
次に、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」とする)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、橋梁の橋桁や梁などの既設コンクリート構造体の床底面に補強用鉄筋を敷設した後に、ポリマーセメントモルタル(Polymer-Cement Mortar:PCM)を吹き付け又はコテ塗で増厚して、既設コンクリート構造体を補強する例について説明する。
図1は、橋梁床版の既設コンクリート構造体10における鉄筋11の構造を示した図である。
図2は、本実施形態の方法により補強した橋梁床版の補強部50を示した概略図であり、当該補強部50には補強用鉄筋30が含まれる。
次に、図3を参照しながら、本実施形態に係るコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法について詳細に説明する。なお、本実施形態では、橋梁床版下面補強を行う例について説明する。
まず、ステップS101において下地処理工程を行う。この工程では、図4(a)に示すように、既設コンクリート構造体10の床版面(本発明の「既設コンクリート面」に相当する)10aの補強に先立ち、この床版面10aに対して、サンダーを用いたケレンや高圧水洗浄を行い、既設コンクリート面の劣化部分や異物等の老朽化部分を除去する。この下地処理工程において、ケレンを行うことで既設コンクリート構造体10内の鉄筋の錆が除去され、高圧水洗浄を行うことで補強材の既設コンクリート構造体10の床版面10aへの付着力が高められる。このとき、環境問題等不都合があれば、バキュームブラストとする表面の劣化部、汚れ等を完全に取り除き、型枠段差等の凸部はタガネ等で先行してハツリとる。
次に、ステップS102において、1回目のポリマーセメントモルタル吹付(第1の下塗材塗布)工程を行う。この工程では、図4(b)に示すように、下塗材としてポリマーセメントペースト20を、下地処理を行った既設コンクリート構造体10の床版面10aに塗布する。ポリマーセメントペースト20の塗布には、リシンガンや刷毛を用いる。
上述したポリマーセメントペースト20としては、例えば、アクリル系ポリマーディスパージョンにより構成される混和液と、普通ポルトランドセメント、細骨材、各種添加剤により構成されるフレミックスパウダーと、亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを混ぜ合わせたものが用いられる。なお、混和液には、例えば、CP−A主材が用いられ、フレミックスパウダーには、CP−Aパウダーが用いられる。
その際、混和液(CP−A主材)を6.5kg、フレミックスパウダー(CP−Aパウダー)を19.9kg、および亜硝酸塩を0.1kgの比率で混合してポリマーセメントペースト20とする。なお、この場合、ポリマーセメントペースト20の比重は1800kg/m3となる。また、塗布量は、1.8kg/m2とする。
第1の下塗材塗布工程を行うことにより、下地処理を行った既設コンクリート構造体10の床版面10aと、後述する中塗材となるポリマーセメントモルタル22との付着力を増大させることができる。
次に、ステップS103において、補強用鉄筋固定(回転固定式アンカー)工程を行う。この工程では、まず、図4(c)に示すように、既設コンクリート構造体10の床版面10aに補強用鉄筋30を仮固定させる。このとき、補強用鉄筋30はそれぞれ熱溶着され、格子状に組まれた状態となっており、これにより、仮固定させる作業を容易にしている。
次に、図4(d),図5に示すように、仮固定した補強用鉄筋30を、例えば、所定のピッチ300mmで補強用鉄筋30にアンカー31(固定金具)を用いて固定する。固定用のアンカーは既設床版コンクリートの劣化を最小限に抑えるため回転固定式アンカーを用いるものとする。
補強用鉄筋30のピッチや本数により既設コンクリート構造体10の荷重に対する力(以下、「対荷重力」という)を設定することができる。なお、本実施形態では、補強用鉄筋30の固定には、例えば、16本/m2のアンカー31を用いる。
アンカー31は、図6に示すように、円柱状の軸芯31aと、軸芯31aの一端に柄部31bを介して形成された頭部31cと、軸芯31aの表面に螺設されたねじ部31dと、を備えている。アンカー31の頭部31cは、多角形状に形成されており、アンカー31の取り付けにインパクトドライバ等の器具を用いることができ、アンカー31の取り付けを迅速に行うことができる。また、アンカー31は上述の構成を有することから、既設コンクリート構造体10を再工事する場合には、アンカー31の取り外しが可能となる。
次に、ステップS104において、2回目のポリマーセメントモルタル吹付(第2の下塗材塗布)工程を行う。この工程では、補強用鉄筋30を固定した後の既設コンクリート構造体10の床版面10aにポリマーセメントペースト(不図示)を塗布する。
上述したポリマーセメントペースト(不図示)としては、例えば、アクリル系ポリマーディスパージョンにより構成される混和液と、普通ポルトランドセメント、細骨材、各種添加剤により構成されるフレミックスパウダーと、亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを混ぜ合わせたものが用いられる。なお、混和液には、例えば、CP−A主材が用いられ、フレミックスパウダーには、CP−Aパウダーが用いられる。
その際、混和液(CP−A主材)を6.5kg、フレミックスパウダー(CP−Aパウダー)を19.9kg、および亜硝酸塩を0.1kgの比率で混合してポリマーセメントペースト20とする。なお、この場合、ポリマーセメントペースト20の比重は1800kg/m3となる。また、塗布量は、1.8kg/m2とする。
第2の下塗材塗布工程を行うことにより、補強用鉄筋30を固定した後の既設コンクリート構造体10の床版面10aと中塗材となるポリマーセメントモルタル22(後述する)との付着力増大を目的としCP−A(下塗材)を吹付(塗付)する。
次に、ステップS105において、ポリマーセメントモルタルコテ塗り(中塗材塗布)工程を行う。この工程では、図4(e)に示すように、中塗材としてポリマーセメントモルタル22を、コテ等の吹付器具を用いて塗布する。この中塗材の塗布は、所定の厚さ(例えば、21mm)に達するまで、数回に分けて増厚する。なお、1層あたりの増厚量は約10mm程度とする。
上述したポリマーセメントモルタル22としては、例えば、アクリル系ポリマーディスパージョンにより構成される混和液と、普通ポルトランドセメント、細骨材、各種添加剤により構成されるフレミックスパウダーと、亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを混ぜ合わせたものが用いられる。なお、混和液には、例えば、CP−E主材が用いられ、フレミックスパウダーには、CP−Eパウダーが用いられる。
その際、混和液(CP−E主材)を3.1kg、フレミックスパウダー(CP−Eパウダー)を19.9kg、および亜硝酸塩を0.1kgの比率で混合してポリマーセメントモルタル22とする。なお、この場合、ポリマーセメントモルタル22の比重は2060kg/m3となる。また、塗布量は、43.26kg/m2とする。
このように、本実施形態では、補強用鉄筋30とポリマーセメントモルタル22とを一体的に形成することにより、既設コンクリート構造体にかかる荷重を補強用鉄筋30とポリマーセメントモルタル22とにより受けることが可能となり、対荷重力を向上させることができる。
次に、ステップS106において、ビニロンメッシュ貼付工程を行う。この工程では、図4(f)に示すように、ひび割れ抑制を目的とし、下塗材としてのポリマーセメントペースト(不図示)の塗布と同時に、ビニロンメッシュ40を貼り付ける。
上述したポリマーセメントペースト(不図示)としては、例えば、アクリル系ポリマーディスパージョンにより構成される混和液と、普通ポルトランドセメント、細骨材、各種添加剤により構成されるフレミックスパウダーと、亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを混ぜ合わせたものが用いられる。なお、混和液には、例えば、CP−A主材が用いられ、フレミックスパウダーには、CP−Aパウダーが用いられる。
その際、混和液(CP−A主材)を6.5kg、フレミックスパウダー(CP−Aパウダー)を19.9kg、および亜硝酸塩を0.1kgの比率で混合してポリマーセメントモルタル22とする。なお、この場合、ポリマーセメントペーストの比重は1800kg/m3となる。また、塗布量は、1.8kg/m2とする。
次に、ステップS107において、高弾性特殊モルタル塗布(上塗材塗布)工程を行う。この工程では、上塗材として、高弾性特殊モルタル24の塗布を行う。この高弾性特殊モルタル24をコテ等の器具を用いることでムラなく均一に塗布している。
上述した高弾性特殊モルタル24としては、例えば、アクリル系ポリマーディスパージョンにより構成される混和液と、普通ポルトランドセメント、細骨材、各種添加剤により構成されるフレミックスパウダーが用いられる。なお、混和液には、例えば、CPコート主材が用いられ、フレミックスパウダーには、CPコートパウダーが用いられる。
その際、混和液(CPコート主材)を18.0kg、フレミックスパウダー(CPコートパウダー)を18.0kgの比率で混合して高弾性特殊モルタル24とする。また、塗布量は、1.7kg/m2とする。
次に、ステップS108において、水系アクリルウレタン樹脂を塗布する。この工程では、例えば、0.3kg/m2の水系アクリルウレタン樹脂をローラー刷毛等の器具を用いてムラなく均一に塗布している。
上述のステップにより、既設コンクリート構造体10の補強が行われ、補強部50が完成する。
(鉄筋腐食のメカニズム)
次に、上述した補強方法により補強された既設コンクリート構造体10内に配設された鉄筋の腐食防止のメカニズムについて説明する。
鉄筋の腐食防止のメカニズムを説明するにあたり、まず、鉄筋腐食のメカニズムについて説明する。なお、図7は、錆の発生メカニズムを示した説明図である。
既設コンクリート構造体10は、例えば、pH=12以上という高いアルカリ性となる性質を有している。既設コンクリート構造体10が有する高いアルカリ性の性質により、既設コンクリート構造体10内に配設された既設コンクリートの鉄筋11の表面には不動態被膜が形成される。この不動態皮膜は、既設コンクリートの鉄筋11が酸化して錆を発生させることから保護する保護膜として機能する。
しかし、既設コンクリート構造体10の性質が中性化し、例えば、pH=10以下となる場合には、既設コンクリートの鉄筋11の表面に形成された不動態皮膜の保護膜としての機能が低下する。その結果、既設コンクリートの鉄筋11の表面が酸化して、既設コンクリートの鉄筋11の表面に錆が発生する。このように、既設コンクリートの鉄筋11は腐食する。
また、既設コンクリート構造体10が中性化していない場合であっても、例えば、雨水が既設コンクリート構造体10内に浸透することにより、既設コンクリート構造体10内に塩分が混入した場合には、この混入した塩分の塩化物イオン(Cl-)により、既設コンクリートの鉄筋11の表面に形成された不動態被膜が部分的に破壊され、この不動態被膜が破壊された部分に錆が発生する。このように、既設コンクリートの鉄筋11は腐食する。
(鉄筋の腐食防止のメカニズム)
次に、鉄筋の腐食防止のメカニズムを説明する。以下、亜硝酸イオン(NO2 -)を用い、塩化物イオン(Cl-)により破壊された不動態被膜を再生することで鉄筋の腐食を防止する例について説明する。
まず、不動態皮膜が破壊されるメカニズムについて説明する。
不動態被膜は、鉄の酸化物(Fe23)を成分として形成されている。そして、不動態皮膜を破壊する塩化物イオン(Cl-)は、式(1)に示すように、既設コンクリートの鉄筋11を構成する鉄と、既設コンクリートの鉄筋11の表面に形成され、鉄の酸化物(Fe23)からなる不動態皮膜とを溶解する。
[式1]
Fe2++2Cl-→FeCl2
このようにして、塩化物イオン(Cl-)は、不動態皮膜となる鉄の酸化物(Fe23)を分解し、既設コンクリートの鉄筋11の表面に形成された不動態皮膜を破壊する。
次に、亜硝酸イオン(NO2 -)を用いた不動態皮膜の再生メカニズムについて説明する。
亜硝酸イオン(NO2 -)は、式(2)に示すように、鉄の酸化物(Fe23)が分解されることにより生成された鉄イオン(Fe2 +)と反応する。
[式2]
Fe2 + + 2OH- + 2NO2 - → Fe23 + H2O + 2NO
このように、亜硝酸イオン(NO2 -)により不動態皮膜となる鉄の酸化物(Fe23)が再生され、不動態被膜も再生される。
塩化物イオン(Cl-)と亜硝酸イオン(NO2 -)とがともに存在する場合には、塩化物イオン(Cl-)による不動態被膜の破壊と、亜硝酸イオン(NO2 -)による再生とが競合反応する。このとき、亜硝酸イオン(NO2 -)の塩化物イオン(Cl-)に対するモル比を0.6以上とすることで、より緻密な不動態被膜を再生することができ、塩化物イオン(Cl-)による破壊は防止することができる。
また、このモル比は有錆鉄筋の場合やコンクリートが中性化している場合は高く、モル比を1.0以上とする必要がある。
また、一部が腐食した既設コンクリートの鉄筋11、すなわち、表面の一部に錆が発生した既設コンクリートの鉄筋11に亜硝酸イオン(NO2 -)を添加した場合には、亜硝酸イオン(NO2 -)が鉄筋11の腐食していない部分の鉄イオン(Fe2 +)と反応し、不動態被膜を再生する。
しかしながら、亜硝酸イオン(NO2 -)は、錆の進行は抑制する機能は有するが、既設コンクリートの鉄筋11の表面に発生した錆(例えば、赤錆)を除去する機能は有していないため、該鉄筋11の表面に錆が発生する前に亜硝酸イオン(NO2 -)を添加する必要がある。
図8(a)は本実施形態による補強を行っていないコンクリート構造体の曲げ強度試験の結果を示す図であり、図8(b)は本実施形態による補強を行ったコンクリート構造体の曲げ強度試験の結果を示す図である。なお、図中、横軸はたわみによる変位(mm)を示し、縦軸は荷重(kN)を示す。
これらの図を見れば明らかなように、本実施形態による補強を行ったコンクリート構造体の最大荷重は117kNを示し、補強を行っていないコンクリート構造体の最大荷重57.2kNに比べ、強度は約2.05倍となった。
以上、説明したように、本実施形態の既設コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法によれば、既設コンクリート構造体10の床版面10aに補強用鉄筋30を配設するとともに、ポリマーセメントモルタル22により床版面10aを覆うようにしたので既設コンクリート構造体10を補強することができる。また、ポリマーセメントモルタル22に亜硝酸塩を含有したので、該亜硝酸塩が既設コンクリート構造体10内に浸透して既設コンクリート構造体10内の鉄筋11表面に保護膜を形成するため、既設コンクリート構造体10内に配設された鉄筋の腐食を初め、諸劣化症状を抑えることができる。また、コスト縮減と長寿命化を図ることも可能となる。
また、ポリマーセメントモルタル22に短繊維を混入するとともに、仕上げ材にひび割れ追従性を有する高弾性特殊モルタルを用いたことにより、施工後の既設コンクリート構造体10の床版面10aのひび割れを抑制し、外部から塩含雨等の悪影響を抑えることができる。
なお、ここで用いる短繊維とは、繊維長が5〜15mmの合成繊維のことを指す。好ましくは、親水性の短繊維を用いる。具体的には、ナイロン6等のナイロン繊維を好適に用いることができる。
このような親水性の短繊維は混練時の分散性に優れるため、均一で安定したポリマーセメントモルタル22とすることができる。また、保水性にも優れるため、施工時の乾燥を防ぐことができる。
以上、この発明の実施形態の一つを説明したが、この発明はこの一つの実施形態に限定されない。
10 既設コンクリート構造体
10a 床版面
11 鉄筋
20 ポリマーセメントペースト
22 ポリマーセメントモルタル
24 高弾性特殊モルタル
30 補強用鉄筋
31 アンカー
31a 軸芯
31b 柄部
31c 頭部
31d ねじ部
40 ビニロンメッシュ
50 補強部

Claims (3)

  1. 内部に鉄筋を備えた既設コンクリート構造体の補強において、
    既設コンクリート面の劣化部分や異物等の老朽化部分を除去して下地処理する下地処理工程と、
    前記既設コンクリート面に補強用鉄筋を、該補強用鉄筋と係合する金具を介して前記補強用鉄筋から離れた位置に取り付けたアンカーを用いて前記補強用鉄筋を固定する補強用鉄筋固定工程と、
    前記補強用鉄筋および前記既設コンクリート面をそれぞれ覆うようにポリマーセメントモルタルを塗布するポリマーセメントモルタル塗布工程と、
    前記ポリマーセメントモルタルを塗布したポリマーセメントモルタル面に、該ポリマーセメントモルタル面よりも大きなひび割れ追従性を有する高弾性特殊モルタルを塗工する塗工工程と、を有し、
    前記アンカーは、回転固定式アンカーであり、該アンカーの軸芯にはねじが螺設され、
    前記ポリマーセメントモルタルは、亜硝酸塩を含有する
    ことを特徴とするコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法。
  2. 前記ポリマーセメントモルタルは短繊維を混入したものであり、
    前記高弾性特殊モルタルは、前記ポリマーセメントモルタルよりも大きなひび割れ追従性を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法。
  3. 前記亜硝酸塩は、亜硝酸ナトリウムである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法。
JP2011196172A 2011-09-08 2011-09-08 コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法 Active JP5706281B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011196172A JP5706281B2 (ja) 2011-09-08 2011-09-08 コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011196172A JP5706281B2 (ja) 2011-09-08 2011-09-08 コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013057203A JP2013057203A (ja) 2013-03-28
JP5706281B2 true JP5706281B2 (ja) 2015-04-22

Family

ID=48133289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011196172A Active JP5706281B2 (ja) 2011-09-08 2011-09-08 コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5706281B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6858574B2 (ja) * 2017-01-24 2021-04-14 日本車輌製造株式会社 付着強化型排水桝
JP7443410B2 (ja) 2022-03-31 2024-03-05 デンカ株式会社 鉄筋コンクリート構造物の断面修復構造および鉄筋コンクリート構造物の断面修復方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2913275B2 (ja) * 1996-06-03 1999-06-28 建設省建築研究所長 ハイブリッド外壁改修工法
JP3856065B2 (ja) * 1998-06-30 2006-12-13 東亞合成株式会社 コンクリート構造物の保護工法
JP3854257B2 (ja) * 2003-09-22 2006-12-06 奈良建設株式会社 増厚・剥落防止併用工法
JP2008202251A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Sunroad Co Ltd コンクリート構造物の補強用治具とこれを用いた補強構造および補強施工方法
JP2009203106A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Fujikon Chemical:Kk コンクリート躯体の曲げ補強用の高靱性ポリマーセメント、およびこの高靱性ポリマーセメントを用いたコンクリート躯体の曲げ補強工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013057203A (ja) 2013-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101104812B1 (ko) 철근콘크리트 구조물의 단면복구 보수방법
JP4664949B2 (ja) コンクリートの補修方法
KR101559572B1 (ko) 철근 콘크리트 구조물의 단면 보수용 기능성 모르타르 조성물을 이용한 철근 콘크리트 구조물의 단면 보수공법
KR102218635B1 (ko) 수중경화몰탈 조성물 및 이를 이용한 보수보강공법
US20180037999A1 (en) Method of producing cathodic corrosion protection for protection of reinforcing steel in a ferroconcrete structure
KR100743029B1 (ko) 노후화된 콘크리트 구조물의 내구성 회복 및 향상을 위한보수 공법
KR101213063B1 (ko) 철근콘크리트 구조물의 손상된 단면을 복구하는 보수방법
KR100952458B1 (ko) 콘크리트용 건조 및 수중 경화 모르타르 및 이를 이용한 보수 보강공법
KR101165785B1 (ko) 콘크리트 구조물의 보수보강용 무기계 폴리머 시멘트 몰탈 조성물 및 이를 이용한 구조물의 보수보강방법
JP5706281B2 (ja) コンクリート構造体の劣化抑制をともなう補強方法
KR101643523B1 (ko) 염화물 이온침투 저항성 및 방청성이 향상된 철근콘크리트 구조물 보수보강공법
KR100597175B1 (ko) 표면열화 및 피복이 미 확보된 기존 구조물에 대한 보강재매입보강공법
KR100958912B1 (ko) 유기/세라믹 하이브리드 복합 수중 및 습윤면 콘크리트 보수보강재 및 이를 이용한 수중 및 습윤면 콘크리트 보수 및 보강 방법
KR101636030B1 (ko) 탄화규소(SiC) 섬유가 혼합된 고강도 폴리머 모르타르 조성물과 결속 정착 핀을 이용한 중성화방지 및 콘크리트 단면보수 보강 공법
JP6249267B2 (ja) 既設コンクリート構造物の補修方法
KR102166855B1 (ko) 습윤면용 접착제와 조기경화성 단면보수 모르타르를 구비하는 콘크리트 보수보강재료 조성물 및 이를 이용하는 콘크리트 보수보강 공법
KR20050053416A (ko) 콘크리트구조물의 열화 및 파단부위 보수보강재 및 이를사용한 구조물 단면보수보강 시공방법
KR20020003689A (ko) 콘크리트 구조물의 원형복원공법
KR100454021B1 (ko) 하이그리드 구조물을 이용한 콘크리트 구조물보수,보강공법
CN105369904A (zh) 改性丙烯酸涂层混凝土防腐方法
KR20200107008A (ko) 세라믹 도료를 이용하여 콘크리트 구조물을 보수보강하는 방법
KR100597176B1 (ko) 콘크리트 표면 탄성방수도장 보수보강 방법
KR100533795B1 (ko) 콘크리트 구조물의 항균성 표면 보호재 조성물 및 이를 이용한 중성화/염해 방식 보수공법
KR102059571B1 (ko) 방청성과 염화이온 고정이 있는 방청 표면피복재 및 유기계 부식억제제를 사용한 철근부식 보수방법
JP2003013608A (ja) コンクリート構造物の補修方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131002

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140701

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5706281

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250