以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110を備えている。
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。原稿は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置することができる。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。原稿搬送装置110にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に固定し、画像読取位置を通過する原稿の画像をイメージセンサ125で読み取る。イメージセンサ125は、受光面に入射した光像から、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する原稿の画像データを生成する。生成された画像データは、画像形成部140において用紙に印刷することができる。また、ネットワークインターフェイス161によりネットワーク162を通じて他の機器(図示せず)へ送信することもできる。
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器から受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から給紙する。給紙された用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に搬送する。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作キー203が配置されている。ディスプレイ201は、操作ボタンやメッセージ等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示面と、当該表示面上の押圧位置を検出するセンサとを備える。押圧位置の検知方法は特に限定されない。抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、電磁波方式等、任意の方式を採用することができる。ユーザは、自身の指やタッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
ディスプレイ201は、ボタン表示部204、メッセージ表示部205およびステータス表示部206を有する操作画面を表示する。ボタン表示部204には、複数のタブ208が用意されており、各タブにはそのタブのカテゴリーに応じた操作ボタンが配列されている。「簡単設定」タブは、基本的な設定に使用される操作ボタンを有する。図2の例では、用紙サイズ、複写倍率、濃度、印刷面、ページ集約、後処理を設定するための操作ボタンが配列されている。例えば「濃度」ボタン207を押圧する操作をユーザが行うと、濃度を選択するための「薄い」、「ふつう」、「濃い」等の選択ボタンを有するポップアップ画面がその操作ボタン上に重ねて表示され、ユーザの選択(押圧)によりその濃度が設定される。図2の例では、「簡単設定」タブの他、「原稿/用紙/仕上げ」タブ、「カラー/画質」タブ、「レイアウト/編集」タブ、「応用/その他」タブも設けられている。ユーザは、タブボタン208を選択する操作を行うことによって、これらのタブの表示に切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
メッセージ表示部205には、複写が可能か否か、複写部数などの設定をユーザに通知するメッセージが表示される。なお、本実施形態の複合機100は、複合機100を使用する場合に、ユーザ(操作者)の利用資格を確認するユーザ認証処理(ログイン処理)が実施される構成になっている。図2は、当該ユーザ認証処理が実施される前の状態を示しており、メッセージ表示部205に、ユーザ認証情報の入力を要求する「認証情報を入力してください」のメッセージが表示されている。ここでは、ユーザは、ソフトウェアキーボード表示ボタン209を選択(押圧)することでディスプレイ201に表示されるソフトウェアキーボードを用いてユーザ認証情報を入力する。
ステータス表示部206には、必要に応じて装置ステータス情報が表示される。この表示には、複合機100が備える各種センサの検知結果が反映される。装置ステータス情報とは、装置は動作可能な状態にあるが、異常への対応を促す警告をユーザに通知するメッセージを意味する。例えば、用紙残量が少ない旨、原稿台103が汚れている旨、ファクシミリのメモリ受信が設定されている場合にファックス文書がメモリに格納された旨等が含まれる。また、用紙切れや搬送ジャム等が装置ステータス情報に含まれてもよい。
操作キー203は、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212、LogOutキー213、主電源キー214等を含む。例えば、テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機100は、メッセージ表示部205に、例えば、「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になればクリアキー212を操作すればよい。主電源キー214は、複合機100の主電源のON、OFFの切り替えに使用される。特に限定されないが、本実施形態では、上述のユーザ認証処理によりユーザの利用資格が確認されるまで、当該認証に関する情報の入力を除き、操作パネル200を通じた操作が禁止される構成になっている。認証されたユーザが複合機使用後にLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると、複合機100は認証処理が実施される前の状態に戻るように構成されている。
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークインターフェイス161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
内部バス306には、操作パネル200やネットワークインターフェイス161、各種のセンサ307も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。操作パネル200のディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。
CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の複合機100は、操作認識部401、認証部402および表示制御部403を備える。
操作認識部401は、操作パネル200における、操作キー203の押下およびディスプレイ201の押圧を認識し、ユーザの操作内容を認識する。また、操作認識部401は、ディスプレイ201の表示面に、表示制御部403を通じて、複数の操作ボタンを備える上述の各種操作画面を表示する。本実施形態では、ディスプレイ201(タッチパネル)の押圧位置を検出するセンサにより検出された押圧位置の座標が操作認識部401に入力され、操作認識部401が、自身が保持する操作ボタン等の画面要素の座標と入力された押圧位置の座標とに基づいてディスプレイ201に対するユーザの操作内容を認識する。操作認識部401により認識された操作は、認証部402または動作制御部404に入力される。
本実施形態では、操作認識部401は、押圧位置情報認識部411および押圧位置変動情報認識部412を含み、ディスプレイ201の表示面における押圧位置に対応する操作ボタンが示す情報と、当該押圧位置を始点とした、ディスプレイ201の表示面における押圧位置の変動情報とを含む入力内容を認識する。
押圧位置情報認識部411は、ディスプレイ201から入力された押圧位置の座標および画面要素の座標に基づいてディスプレイ201の表示面における押圧位置に対応する操作ボタンが示す情報を認識する。また、押圧位置変動情報認識部412は、押圧位置情報認識部411が、操作ボタンが示す情報の認識に使用した押圧位置(以下、第1の押圧位置という。)を始点とした、ディスプレイ201の表示面における押圧位置の変動情報を認識する。
押圧位置変動情報は、第1の押圧位置を始点として特定した状態でなされる一連の操作における押圧位置の変動を示す情報である。例えば、ユーザが第1の押圧位置を押圧し、その押圧を解消することなく(すなわち、表示面から離脱させることなく)押圧位置が移動した場合の、その方向や移動量が変動情報として使用できる。この場合、押圧を開始してから押圧を解消するまでが一連の操作になる。また、第1の押圧位置が押圧状態にある状況下において、当該第1の押圧位置とは異なる第2の押圧位置が検知された場合の、第1の押圧位置から第2の押圧位置へ向かう方向や、第1の押圧位置と第2の押圧位置との間の距離も変動情報として使用することができる。この場合、第1の押圧位置での押圧を開始してから、第1の押圧位置での押圧を解消するまでが一連の操作になる。
特に限定されないが、本実施形態では、第1の押圧位置を押圧し、その押圧を解消することなく押圧位置が移動した場合の方向を押圧位置変動情報として使用している。また、ここでは、当該方向として、ディスプレイ201の上辺へ向かう方向(以下、「上」という。)、ディスプレイ201の下辺へ向かう方向(以下、「下」という。)、ディスプレイ201の右辺へ向かう方向(以下、「右」という。)、ディスプレイ201の左辺へ向かう方向(以下、「左」という。)の4方向を使用している。
認証部402は、操作認識部401により認識された1または複数の入力内容により構成されるユーザ認証情報が、予め登録された認証条件を満足するか否かを判定することでユーザ認証を実行する。
上述のように、ユーザは、ディスプレイ201に表示されるソフトウェアキーボードを用いてユーザ認証情報を入力する。本実施形態では、各ユーザに一義的に割り当てられたユーザIDと、当該ユーザIDに対応づけられたパスワードをユーザ認証情報として使用している。ユーザIDは、ユーザを特定することができる情報であればよく、ここではソフトウェアキーボードにより入力可能な文字や記号等からなる情報(以下、単に文字列という。)によって構成されている。また、パスワードは、上述のユーザIDの文字列を構成する各文字に対応づけられた上述の押圧位置変動情報により構成されている。例えば、ユーザIDが「user」であり、文字「u」に方向「上」、文字「s」に方向「下」、文字「e」に方向「左」、文字「r」に方向「右」が対応づけられている場合、「上、下、左、右」が当該ユーザIDに対応するパスワードになる。
本実施形態では、認証部402に、複合機100の使用を許可するユーザのユーザIDと当該ユーザIDと対応づけられたパスワードを記録した使用許可者リストが予め登録されている。操作認識部401に認識されたユーザIDおよびパスワードが使用許可者リストに含まれている場合、認証部402はユーザ認証条件を満足すると判断する。認証部402は、ユーザ認証条件を満足する場合に、そのユーザによる複合機100の使用(画像読取部120における画像データの生成、画像形成部140における画像データの印刷等)を許可し、ユーザ認証条件を満足しない場合に、そのユーザによる複合機100の使用を禁止する。なお、本実施形態では、複合機100における各種処理は、操作認識部401が認識したユーザの指示に基づいて、動作制御部404が実行するよう構成されており、認証部402は動作制御部404の動作制限を解除することで各種処理を実現する。
また、本実施形態では、表示制御部403は、操作認識部401の押圧位置変動情報認識部412が認識した押圧位置変動情報を、ディスプレイ201の表示面に表示する構成になっている。
図5は、複合機100が実施する認証手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、複合機100が認証待機状態になったことをトリガとして開始する。
ユーザ認証処理がなされていない場合、上述のように、複合機100に対しては、操作パネル200を通じた操作として認証に関する情報の入力のみが許されている。当該状態では、複合機100は、ユーザによる認証情報の入力があるまで待機する(ステップS501No)。
ユーザは、認証情報を入力する際に、操作画面中のソフトウェアキーボード表示ボタン209を選択(押圧)することでディスプレイ201にソフトウェアキーボードを表示する。そして、表示されたソフトウェアキーボードを使用し、自身に割り当てられている、上述のユーザIDおよびパスワードを入力する。
図6は、ディスプレイ201にソフトウェアキーボード画面が表示された状態を示す図である。図6に示すように、ソフトウェアキーボード画面601は、入力ボタン群602、入力表示欄603、「キャンセル」ボタン604、「OK」ボタン605を備える。入力ボタン群602は、認証情報の入力に使用される。ユーザが、入力ボタン群602中の1の入力ボタンを押圧すると、その入力ボタンに対応する情報(文字情報)が入力表示欄603に表示される。「キャンセル」ボタン604は、操作を中止してソフトウェアキーボード画面601を閉じる(図2に示す操作画面に戻る)際に使用される。「OK」ボタン605は、認証情報の入力を確定する際に使用される。
ここでは、ユーザIDが「user」であり、パスワードが「上下左右」であるユーザが、ユーザIDおよびパスワードを入力する事例を説明する。図7は、その入力手順を模式的に示す図である。図7において、丸印はユーザが自身の指を接触させた位置を示している。また、各丸印を始点とした矢印は、ユーザがディスプレイ201との指の接触を維持したまま指を移動させた方向を示している。さらに、矢印の先端は、ユーザがディスプレイ201と指との接触を解消した位置を示している。
図7に示すように、当該ユーザは、ソフトウェアキーボード画面601において、まず、「u」ボタンを、例えば人差し指で押圧する。当該押圧位置は、ディスプレイ201の押圧位置を検出するセンサによって検出され、操作認識部401に入力される。これにより、押圧位置情報認識部411は、「u」ボタンに対応づけられた情報である文字「u」を認識する(ステップS502)。このとき、押圧位置情報認識部411は、表示制御部403を通じて、ソフトウェアキーボード画面601の入力表示欄603に認識した情報(文字「u」)を表示させる。
続いて、ユーザは、「u」ボタンを押圧した人差し指を、押圧状態を維持したままディスプレイ201の上辺方向に移動させる。当該押圧位置の移動は、ディスプレイ201の押圧位置を検出するセンサによって検出され、操作認識部401に入力される。これにより、押圧位置変動情報認識部412は、「上」への移動を認識する(ステップS503)。このとき、押圧位置変動情報認識部411は、表示制御部403を通じて、ソフトウェアキーボード画面601に認識した情報(方向「上」)を表示する(ステップS504)。特に限定されないが、本実施形態では、表示制御部403は、図8に示すように、認識されたボタン(「u」ボタン)を強調表示するとともに、当該ボタンから認識された方向(「上」方向)へ向かう矢印を表示する態様により、押圧位置変動情報をディスプレイ201に表示する。
同様にして、ユーザは、「s」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の下辺方向に移動させる操作、「e」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の左辺方向に移動させる操作、「r」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の右辺方向に移動させる操作を実行する(ステップS505No、S501Yes、S502、S503、S504)。このとき、押圧位置情報認識部411は、文字「s」、文字「e」、文字「r」を順に認識し、押圧位置変動情報認識部412は、方向「下」、方向「左」、方向「右」を順に認識する。
当該状態で、ユーザが「OK」ボタン605を押圧すると、操作認識部401は、押圧位置情報認識部411が認識した「user」の文字情報をユーザIDとし、また、押圧位置変動情報認識部412が認識した「上下左右」の変動情報をパスワードとして、認証部402に入力する(ステップS505Yes、S506)。
このとき、認証部402は、操作認識部401から入力されたユーザIDが、上述の使用許可者リストに含まれているか否かを判定する。使用許可者リストに含まれている場合は、認証部402は、さらに操作認識部401から入力されたパスワードと当該ユーザIDに対応づけられたパスワードとを照合する。両者が一致する場合、認証部402は、当該ユーザの操作パネル200を通じた操作を受け付ける状態にする(ステップS506Yes、S507)。これにより、ユーザは、複合機100における各種処理の実行が可能になる。すなわち、複合機100は、操作パネル200を通じたユーザの指示を待機し、ユーザの指示があった場合には、その指示に応じた処理を実行する。上述の事例では、操作認識部401から入力されたユーザIDが使用許可者リストに含まれており、操作認識部401から入力されたパスワードと当該ユーザIDに対応づけられたパスワードとが一致するため、上記ユーザは複合機100を使用することが可能になる。なお、上述したように、ユーザがLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると認証状態が解除され、認証情報入力待機状態になる。
一方、操作認識部401から入力されたユーザIDが、使用許可者リストに含まれていない場合、認証部402は何もすることなく、複合機100は、認証情報入力待機状態になる(ステップS506No)。この場合、このユーザは複合機100を操作することはできない。
また、操作認識部401から入力されたユーザIDが、上述の使用許可者リストに含まれている場合であっても、操作認識部401から入力されたパスワードと当該ユーザIDに対応づけられたパスワードとが一致しないときは、認証部402は何もすることなく、複合機100は認証情報入力待機状態になる(ステップS506No)。当該状況が発生する一例を図9に示す。
図9では、ユーザは、「u」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の上辺方向に移動させる操作、「s」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の下辺方向に移動させる操作、「e」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の左辺方向に移動させる操作、「r」ボタンを押圧し、押圧状態を維持したままディスプレイ201の下辺方向に移動させる操作を実行している。このとき、押圧位置情報認識部411は、文字「u」、文字「s」、文字「e」、文字「r」を順に認識し、押圧位置変動情報認識部412は、方向「上」、方向「下」、方向「左」、方向「下」を順に認識する。したがって、操作認識部401は、押圧位置情報認識部411が認識した「user」の文字情報をユーザIDとし、押圧位置変動情報認識部412が認識した「上下左下」の変動情報をパスワードとして、認証部402に入力する。使用許可者リストにおいて、ユーザID「user」に対応づけられているパスワードは、「上下左右」であるためパスワードが一致せず、当該ユーザは複合機100を使用することができない。
以上説明したように、この複合機100では、ディスプレイ201の表示面において当該表示面に表示される特定の操作ボタンをユーザが押圧したときに、その操作ボタンが示す情報と押圧位置変動情報とが入力内容として認識されるため、当該押圧位置変動情報を使用して、1の操作ボタンが示す情報の入力と同時に他の情報を入力することができる。そして、当該他の情報を認証情報として使用できるため、従来に比べて、ユーザによる認証情報の入力を簡素化することが可能になる。すなわち、従来は、ユーザIDとパスワードとを個別に入力していたのに対し、この複合機100では、ユーザIDを入力する過程でパスワードを同時に入力することができる。そのため、ユーザの使用利便性を向上させることができる。
また、複合機100では、表示制御部403がディスプレイ201上に押圧位置変動情報を表示する構成であるため、ユーザは、操作認識部401が認識した押圧位置変動情報を、視覚的に確認することができる。
なお、上記実施形態では、押圧位置変動情報を図形情報としてディスプレイ201に表示する構成を例示したが、当該表示方式は、ユーザが認識可能な任意の方式を採用することができる。例えば、押圧したボタンが押圧位置の移動に伴って当該移動方向に移動する表示等の他のグラフィカル表示を採用してもよく、また、グラフィカル表示ではなく文字情報として表示してもよい。
また、上記実施形態では、上下左右の4方向を変動情報として使用したが、斜め方向を加えた8方向を変動情報として使用することも可能である。また、「移動なし」を加えた5方向や9方向を変動情報として使用することもできる。さらに、方向に限らず、移動量を変動情報としてもよい。例えば、入力ボタン群602中のボタン1個分までの移動量、ボタン2個分までの移動量、ボタン3個分までの移動量、・・・を方向に代えて使用しても同様の効果を得ることができる。また、方向と移動量を併用してもよい。
さらに、上記実施形態では、ユーザIDを構成するすべての文字に、変動情報を組み合わせたが、一部の文字にのみ変動情報を組み合わせてもよい。
ところで、上記では、認証情報入力時のユーザの使用利便性を向上させる観点で本発明を説明したが、本発明は、パスワードのセキュリティ強度を高めることにも利用することができる。例えば、4桁の数字からなるパスワード「1234」について本発明を適用すると、「1上2右3左4下」のようなパスワードを構成することができる。この場合、文字情報としての「1234」が仮に漏洩したとしても、各数字に付随する方向情報(変動情報)の漏洩を防止することでセキュリティを確保することができる。なお、本発明を、セキュリティ強度を高めるために使用する場合には、表示制御部が、ディスプレイ上に押圧位置変動情報を表示しない構成とすることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、従来に比べて、ユーザによる認証情報の入力を簡素化することが可能になり、ユーザの使用利便性を向上させることができる。また、他の態様では、パスワードのセキュリティ強度を高めることもできる。
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、好適な態様として、ユーザIDおよびパスワードを使用した認証に適用した事例を説明したが、本発明は、タッチパネルを使用して認証情報を入力する任意の態様の認証に適用することができる。
また、図5に示すフローチャートは、等価な作用を奏する範囲において、各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、認証条件の判定は、1入力ごとに実行することも可能である。
さらに、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像形成装置、さらには、タッチパネルを備える任意の認証装置に本発明を適用することも可能である。