JP5690854B2 - ミスト放出ピン及び静電霧化装置 - Google Patents

ミスト放出ピン及び静電霧化装置 Download PDF

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Description

本発明は、ミスト放出ピン及びミスト放出ピンを用いた静電霧化装置に関する。
従来、ミスト放出ピンはセラミックス製の多孔質体から成っていた。また、従来の静電霧化装置は、セラミックス製の多孔質体から成るミスト放出ピンと、水溶液が貯えられた貯水部と、を備え、毛細管現象によって水溶液を吸水したミスト放出ピンに高電圧を印加することにより、ミスト放出ピンの先端部からミストを放出させていた(例えば、特許文献1参照)。
そして、導電性を良くするために、セラミックス製多孔質体から成るミスト放出ピンには、カーボンパウダー等の導電性粉末を塗布或いは含浸させていた。
特開2009−255091号公報
しかし、導電性粉末は、空気との接触面積が大きいため酸化反応がよく起こり、セラミックスのような多孔質体を酸化物が目詰まりさせ、ミストの発生が抑制されるという問題があった。
つまり、従来は、酸化物の除去を行うメンテナンスを短期間で行う必要があり、また、ミストを確実かつ大量に発生させるために必要以上の高電圧を印加していた。
そこで、本発明は、長期間にわたって目詰まり清掃(酸化物除去)等のメンテナンスが不要で、従来のような(6kV以上の)高電圧を印加せずとも確実かつ安定して大量のミストを発生可能なミスト放出ピン及び静電霧化装置の提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のミスト放出ピンは、ミストを外部に放出するミスト放出ピンであって、多数本の炭素繊維を有する繊維集合体を、集束手段にて束ねて長手方向の微小流路を有する棒状体とし、上記集束手段にて束ねられた上記繊維集合体の横断面面積に対する上記微小流路の横断面積率が、30%以上70%以下である。
また、上記集束手段は、上記多数本の炭素繊維に外嵌状に取着するリング状乃至円筒状の保持部材を備えているものである。
または、上記集束手段は、上記多数本の炭素繊維の外周域を結合させる結合剤層から成るものである。
または、上記集束手段は、隣り合う上記炭素繊維を結合する結合剤から成るものである。
また、上記多数本の炭素繊維の先端を、上記保持部材から突出させた小突出露出部を有するものである。
また、上記保持部材が熱収縮部材から成るものである。
また、本発明の静電霧化装置は、ミストを外部に放出するミスト放出ピンと、該ミスト放出ピンに吸水させるための水溶液が貯えられた貯水部と、該貯水部内の上記水溶液を吸水して保持すると共に上記ミスト放出ピンと接続される保水部と、上記ミスト放出ピンに電圧を印加する印加電極と、を備えた静電霧化装置に於て、上記ミスト放出ピンは、多数本の炭素繊維を有する繊維集合体を、集束手段にて束ねて長手方向の微小流路を有する棒状体に形成され、さらに、上記集束手段にて束ねられた上記繊維集合体の横断面面積に対する上記微小流路の横断面積率が、30%以上70%以下である。
本発明によれば、導電性粉体を塗布したり、含浸させた場合に比べて、導電性が向上すると共に酸化反応を少なくできる。従って、酸化物による目詰まりの発生が少なく、長時間(長期間)にわたって、メンテナンスが不要となると共に、従来のような高電圧を印加せずとも確実かつ安定して大量のミストを発生させることができる。導電性粉体の塗布や含浸工程を省略でき、容易に製造できる。
本発明に係る静電霧化装置の実施の一形態を示す概略図である。 本発明に係るミスト放出ピンの第1の実施形態を示す縦断面図である。 図2の要部拡大横断面図である。 ミスト放出ピンの第2の実施形態を示す縦断面図である。 ミスト放出ピンの第3の実施形態を示す要部拡大横断面図である。 ミスト放出ピンの第4の実施形態を示す要部拡大縦断面図である。 小突出露出部の他例を示す要部拡大縦断面図である。 ミスト放出ピンの第5の実施形態を示す要部拡大横断面図である。 ミスト放出ピンの第6の実施形態を示す要部拡大横断面図である。 実施例に6kVを印加した場合のミスト放出量を示すグラフ図である。 実施例に4kVを印加した場合のミスト放出量を示すグラフ図である。 実施例に3kVを印加した場合のミスト放出量を示すグラフ図である。 比較例に6kVを印加した場合のミスト放出量を示すグラフ図である。
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
図1に示すように、本発明に係るミスト放出ピン1は、印加電極23から高電圧が印加され、貯水部21の内部に保持した水溶液Wを先端部からミストとして放出するものである。
図2及び図3に示すように、ミスト放出ピン1は、多数本(約1万〜約10万の複数本)の炭素繊維11を有する繊維集合体10を、集束手段5にて束ねて棒状体としたものである。例えば、直径が2mm〜4mm、全長Lが10mm〜40mmの円柱型に束ねる。炭素繊維11は、PAN系やピッチ系(メソフェーズピッチ系や等方性ピッチ系)等である。
集束手段5にて束ねられた多数本の炭素繊維11(繊維集合体10)は、内部に、複数本の炭素繊維11,11の間に複数(多数)の微小流路18を長手方向Nに沿って有している。
繊維集合体10は、所定寸法L(形成すべきミスト放出ピン1の全長寸法L)よりも長い長尺繊維束を、所定寸法Lに切断した(定尺繊維束にした)ものであり、従来の多孔質体や、所定寸法Lの50%以下の短繊維を成型にて棒状にしたものに比べて、導電性(通電性)が優れている。また、繊維に沿った微小流路(空隙)18が一端から他端へ連続して形成されるため、毛細管現象による吸い上げ(吸水性)及び保水性が優れている。
また、集束手段5にて束ねられた多数本の炭素繊維11の微小流路率(繊維集合体10の横断面面積に対する微小流路18の横断面積率)が、30%以上70%以下、好ましくは、40%〜65%となるように束ねている。下限値未満であると、微小流路18が毛細管現象にて水溶液Wを吸い上げる量(吸水性)や、保水量が少なくなって、十分なミスト放出量が得られなくなる。また、上限値を越えると、製造が困難になる。
図2に示すように、集束手段5は、多数本の炭素繊維11(繊維集合体10)に外嵌状に取着する円筒状の保持部材7から成る。
保持部材7は、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、PET、フッ素系樹脂、塩化ビニル等の樹脂)の円筒状(パイプ状やチューブ状)の熱収縮部材71である。熱収縮部材71の長手方向寸法は、熱収縮後で、単体で繊維集合体10の全長Lの30%以上とし、これを、1本又は複数本使用するが、全体で全長Lの80%以上100%以下が望ましい。また、保持部材7の厚み(肉厚)寸法は、0.1mm以上2mm以下が望ましい。
保持部材7を熱収縮チューブ等の熱収縮部材71とすることで、ドライヤー等の加熱機器によって、熱収縮させるだけで、多数本の炭素繊維11を容易かつ迅速に束ねることができる。
なお、熱収縮部材71は、熱可塑性樹脂にカーボン粉末等の導電性粉末を混合して導電性を付与したものが望ましい。また、繊維集合体10の先端面と、保持部材7の先端面を、面一状に(炭素繊維11を突出させないように)している。
次に、図4に示す第2の実施形態に於て、保持部材7がリング状の熱収縮部材71であって、熱収縮後に、繊維集合体10の全長Lの1%以上30%未満(好ましくは2%以上10%未満)となるように複数本設けている。また、繊維集合体10の先端面と、先端部の保持部材7の先端面とを、面一状に(炭素繊維11を突出させないように)している。他の構成は上述の実施形態と同様である。
次に、第3の実施形態は、保持部材7が、樹脂、又は、金属、或いは、セラミックス等の材質から成るリング状乃至円筒状部材であって、図5に示すように、保持部材7に繊維集合体10を内嵌状に配設し、保持部材7と繊維集合体10の間にホットメルト樹脂から成る結合剤79を充填し、保持部材7と、繊維集合体10の外周域Kと、を固着(結合)させたミスト放出ピン1である。
つまり、集束手段5が、繊維集合体10に外嵌状に取着する保持部材7と、その保持部材7の内面7aと外周域Kとを固着すると共に外周域Kの複数の炭素繊維11を結合させる結合剤層75と、から成る。
結合剤層75は、保持部材7の内面7aと外周域Kを固着する固着部(層)75aと、外周域Kの複数の炭素繊維11を結合させる浸透部(層)75bと、を有している。
保持部材7及び結合剤層75を、繊維集合体10の長手方向N全体に設けた場合は、十分な剛性が得られる。長手方向Nの複数位置に設けた場合は、保持部材7や結合剤79の消費量を軽減できる。他の構成は上述の実施の形態と同様である。
また、図示省略するが、保持部材7は、帯状体を縦添え巻きしても良い。帯状体は、例えば、多数の無機質材や高分子材等の繊維から構成され、吸水性に優れているものが望ましい。また、上記縦添え巻きは、繊維集合体10の長手方向Nと帯状体の長手方向を一致させ、帯状体を横断面C字状に繊維集合体10に巻設し、結合剤層75を介してリング状乃至円筒状に繊維集合体10に外嵌状に取着する。つまり、この巻設された帯状体をもって保持部材7を形成する。また、帯状体を繊維集合体10に螺旋状に巻設するも良い。
次に、図6及び図7に示す第4の実施形態に於て、多数本の炭素繊維11の先端を、保持部材7から突出させた小突出露出部1dを設けたものである。
図6は、小突出露出部1dを、側面視扇状に形成したものである。図7は、小突出露出部1dを側面視丸山状に形成したものである。また、図示省略するが、小突出露出部1dの側面視形状(縦断面形状)を、矩形状や、三角形状、片刃状(傾斜状)、等に設けても良い。小突出露出部1dは、多数本の炭素繊維11の先端が拘束されていない自由状態とも言える。他の構成は、上述の実施形態と同様である。
なお、熱収縮部材71を用いる製造方法としては、所定寸法Lよりも長い長尺繊維束に、熱収縮部材71を被覆させて熱収縮させ、その後、所定寸法Lに切断して、棒状体とする製造方法、又は、熱収縮部材71に、所定寸法Lの繊維集合体10を挿通させて、熱収縮部材71を熱収縮させ、棒状体とする製造方法等である。
次に、図8に示す第5の実施形態に於て、集束手段5が、繊維集合体10の外周域Kを結合させる結合剤層75から成るミスト放出ピン1である。
つまり、集束手段5が、保持部材7を省略して、結合剤層75のみから成る。
結合剤層75は、繊維集合体10の外周域Kをラジアル外方から包囲する被覆部(層)75dと、外周域Kの複数の炭素繊維11を結合する浸透部(層)75bとを有している。
結合剤層75は、樹脂性の結合剤79が固化したものであって、例えば、アクリル樹脂や、ウレタン樹脂、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、エポキシ樹脂等の導電性樹脂(合成系接着剤)、或いは、カーボンパウダーや金属粉を混ぜて導電性を付与又は向上させた樹脂等である。
また、結合剤層75は、長手方向Nの全体に(例えば、図2の保持部材7のように)、又は、長手方向Nの一部に、或いは、長手方向Nの複数位置に(例えば図3の保持部材7のように)、設ける。
保持部材7及び結合剤層75を、繊維集合体10の長手方向N全体に設けた場合は、十分な剛性が得られる。長手方向Nの複数位置に設けた場合は、結合剤79の消費量を軽減できる。他の構成は上述の実施の形態と同様である。
次に、図9に示す第6の実施形態に於て、集束手段5が、多数本の炭素繊維11の内、隣り合う(接する)炭素繊維11,11同士を、結合する結合剤79から成り、保持部材7を省略しているミスト放出ピン1である。このように束ねる(結合する)ことで、微小流路18を多く得ることができ、毛細管現象による吸水を十分に行えると共に十分な保水性を得ることができる。結合剤79は、例えば、アクリル樹脂や、ウレタン樹脂、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、エポキシ樹脂等の導電性樹脂(合成系接着剤)、或いは、カーボンパウダーや金属粉を混ぜて導電性を付与又は向上させた樹脂等である。他の構成は上述の実施形態と同様である。
また、ミスト放出ピン1に潮解性成分を含有させるのが好ましい(繊維集合体10に潮解性成分を含浸させるのが好ましい)。
含有させる潮解性成分としては、ポリリン酸塩、リン酸カリウム、クエン酸(C)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸カリウム(KCO)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、リン酸(HPO)、リン酸塩などが挙げられる。
ポリリン酸塩としては、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸マグネシウムが好適に選択される。
リン酸塩としては、リン酸カリウムが好適に選択される。
これらの成分は、潮解性を有することから、雰囲気中(空気中)の水分を吸収してミスト放出ピン1内に保持させる役割をする。これらの潮解性成分を1つ又は2つ以上を組み合わせて含有させている。
潮解性成分を含有させる方法としては、潮解性成分の水溶液を用意し、負圧雰囲気下で、集束手段5にて束ねた繊維集合体10、又は、仮保持した繊維集合体10を、1〜12時間程度浸漬する。その後、50〜60℃で、1〜12時間真空乾燥し、水分を飛ばす。乾燥後は、繊維集合体10の全質量に対して、0.5〜8%程度の潮解性成分を含浸させたミスト放出ピン1となる。潮解性成分は、食品添加物として利用されているものを選定するのが好ましい。また、強い腐蝕性がなく、安定した成分を選定するのが好ましい。また、(水よりも)分子量の高い(大きい)成分を選定するのが好ましい。
また、ミスト放出ピン1は、炭素繊維11と共に金属繊維を束ねたものでも良い。つまり、炭素繊維11と金属繊維を有する繊維集合体10とするも良い。
炭素繊維11の柔軟性と、金属繊維の通電性(導電性)及び耐久性と、をバランス良く得ることができる。
また、繊維集合体10は、金属繊維を軸心に寄せて配設し金属繊維芯部を形成すると共に、金属繊維芯部を包囲するように炭素繊維11を配設して炭素繊維包囲部を形成した、二層構造とするも良い。
また、ミスト放出ピン1は、炭素繊維11と共に有機繊維を束ねたものでも良い。つまり、炭素繊維11と有機繊維を有する繊維集合体10とするも良い。
有機繊維としては、例えば、ナイロン6(登録商標)、ナイロン66(登録商標)、芳香族ポリアミド等のポリアミド系の各種繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系の各種繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系の各種繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の各種繊維、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系の各種繊維、ポリビニルアルコール系の各種繊維、ポリ塩化ビニリデン系の各種繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン系の各種繊維、フェノール系繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系繊維等である。
また、形状は、無垢繊維(中空でない繊維)やストロー状繊維(中空繊維)等自由である。また、中空繊維の外径は0.2mm以下、好ましくは0.1mm以下であり、内径は10μm以上50μm以下が好ましい。
次に、本発明に係る静電霧化装置は、図1に示すように、上述のミスト放出ピン1と、ミスト放出ピン1に吸水させるための水溶液Wが貯えられた貯水部21と、貯水部21内の水溶液Wを吸水して保持すると共にミスト放出ピン1の基端面と接続される(接触する)保水部22と、ミスト放出ピン1に電圧を印加する印加電極23と、を備えている。
ミスト放出ピン1に直流電圧を印加することで、ミスト放出ピン1が保持している水溶液Wをミストとして外部に放出させる装置である。また、ミスト放出ピン1と対面状に配設される対(電)極を有していない(省略した)ものである。
保水部22は、吸水性(力)と保水性(力)を有するものである。炭素繊維11や炭素材料を複合化して形成される多孔質体又は成型体で形成するのが望ましい。
なお、多孔質体又は成型体に限らず、吸水性及び保水性を有する構造であれば、ハニカム構造やコルゲート構造、パイプ状、シート状、プリーツ状等で良い。
印加電極23は、直流電圧(DC)電源の電極であり、負極を導線を介して保水部22に接続して、負に帯電させ、3kV以上6kV未満のDCマイナス電圧をミスト放出ピンに印加させるものである。
印加電極23からの電流は、最も放電しやすい場所を求めて流れるため、保水部22に突設されると共に保水部22よりも導電性に優れたミスト放出ピン1へ集まる。そして、ミスト放出ピン1に3kV以上6kV未満の直流電圧が印加されると、自然放電現象により、放出ピン1の保持していた水溶液Wがその先端から外部へミストとして放出される。
貯水部21は、機能性成分を有する水溶液Wを収容するとともに、ストロー状部材等の毛細管現象を利用した供給手段24によって、保水部22に水溶液Wを供給する。
機能性成分とは、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、ビタミンCエステル(L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸ナトリウム、リン酸アスコルビンマグネシウム等)、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンDα−リポ酸、アミノ酸、茶(茶花)抽出物(カテキン、タンニン、サポニン、テアニン、カフェイン等)、ヒアルロン酸、コラーゲン、アロマ精油(ラベンダー、ローズマリー、レモングラス、ティートリー、セージ、クローブ、オレンジ、グレープフルーツ、シナモン、ジャスミン等)、コーヒー豆、茶(茶花)、ワサビ、ヒノキチオール、キチン、キトサン、プロポリス等のような有機系可溶性成分を有するものが挙げられる。また、無機系可溶性成分が挙げられる。無機物(無機系可溶性成分)としては、銀または食塩が挙げられる。また、白金ナノ粒子、パラジウムナノ粒子等も挙げられる。
つまり、水溶液Wには、上記の有機系可溶性成分や上記の無機系可溶性成分から選ばれる1つ又は2つ以上の(不揮発性)機能性成分が含有されている。「機能性」とは、生活環境を快適に改善できる性質、健康状態や心理状態の改善に貢献できる性質をいい、消臭性(脱臭、分解等)、抗微生物性(抗菌性、殺菌性、静菌性、抗カビ性、抗ウイルス性等)、リラクゼイション性(アロマテラピー性)、保湿性、抗酸化性、有害小生物忌避性、静電気抑制性、防塵性などのうち、少なくとも1種類の性質を有することを意味する。
なお、発明に於て、ミスト放出ピン1が保持している水溶液Wとは、水や、潮解性成分が吸水した空気中の湿気も含む。
また、図示省略するが、ミスト放出ピン1に潮解性成分を含有させた場合の静電霧化装置は、ミスト放出ピン1自身が空気から水分を自給(自己保水)するため、ミスト放出ピン1への水溶液Wの供給が不要になる。従って、貯水部21や保水部22や供給手段24を省略し、印加電極23からの導線を保水部22を介さずにミスト放出ピン1に接続したものである。このような装置は、静電霧化装置の製造が容易になると共に小型・軽量化に貢献できる。電気や水道水を使用せずに保水でき経済的な装置が得られる。つまり、高価で電気配線の必要なペルチェ素子が不要、かつ、水道水等を貯水部21へ補給する作業(メンテナンス)が不要となり、運転コストを削減できると共に使い勝手が向上する。なお、繊維集合体10に潮解性成分を含有させた場合は、繊維集合体10の長手方向全体を保持部材7や結合剤層75で包囲しないのが望ましい。
次に、本発明のミスト放出ピンについて、実施例と比較例の測定結果を用いて説明する。
図8のように、多数本の炭素繊維11の外周域Kを結合剤層75にて束ねたものを実施例とし、多数本のポリエステル繊維の外周域を結合剤層にて束ね、さらに、導電性粉体(カーボンパウダー)を塗布したものを比較例として、6kVのマイナス電圧を印加して、ミスト放出量の測定を行った。なお、全長L及び直径や外形状は同じである。図10に実施例の測定結果、図13に比較例の測定結果を示す。
なお、測定は、微分型電気移動度測定装置(Differential Mobility Analyzer)にて行った。
図10及び図13から明らかなように、実施例は、比較例の約100倍のミスト放出量であった。これは、実施例が比較例よりも導電性に優れ(電気抵抗値が小さく)自然放電が発生し易くなって、ミストの放出量が増加したと考えられる。
また、放出されるミストの粒径も比較例に比べてバラツキが少なく安定していた。これは、実施例が、酸化反応等による目詰まりが少なく、ミストが安定して放出されているためと考えられる。つまり、炭素繊維11は、カーボンパウダーに比べて空気接触面積が小さく、酸化反応が起こりにくいため、実施例は比較例よりも酸化物による目詰まりが少なかったと考えられる。
また、実施例に、4kVのマイナス電圧を印加した場合の測定結果を図11に、3kVのマイナス電圧を印加した場合の測定結果を図12に示す。
実施例に印加した電圧が、比較例よりも(絶対値が)小さいにも関わらず、ミスト放出量は、実施例が明らかに多かった。また、発生するミストの粒子径のバラツキも少なかった。
即ち、実施例は、比較例よりも低い電圧(絶対値が小さい電圧)でも、大量のミスト放出量が得られると共に、ミストの放出が安定することが明らかになった。
なお、図示省略するが、図2乃至図7と図9の実施形態に対応するミスト放出ピン1も、上述の実施例と同様に、比較例よりも、ミスト放出量及び放出安定性が優れている測定結果が得られた。
なお、本発明は、設計変更可能であって、ミスト放出ピン1の全体形状は、図示した円柱型に限らず、楕円柱型や円錐型、角柱型とするも良い。また、ミスト放出ピン1の先端は、平面状よりも丸みを帯びた曲面状(先端縁が側面視で一文字状よりも円弧状)であることが好ましい。例えば、丸山型、砲弾型のように丸みを帯びることで、鋭角(鋭利)なものよりミスト放出性と保水性と導電性のバランスが優れる。また、静電霧化装置の印加電極23の正極を保水部22に接続して、ミスト放出ピン1に正電荷を付与しても良い。静電霧化装置の供給手段24は、貯水部21から保水部22に水溶液Wを滴下するものでも良い。また、保水部22と貯水部21を一体にして供給手段24を省略したものでも良い。また、繊維集合体10を、集束手段5にて直径4mm以上に束ねても良い。また、全長Lを40mm以上とするも良い。
以上のように、本発明のミスト放出ピンは、ミストを外部に放出するミスト放出ピンであって、多数本の炭素繊維11を集束手段5にて束ねて長手方向Nの微小流路18を有する棒状体としたので、導電性粉体を塗布や含浸させた場合に比べて、導電性(通電性)が向上すると共に酸化反応を少なくできる。従って、酸化物による目詰まりの発生が少なく、長時間(長期間)にわたって、メンテナンスが不要となると共に、従来のような6kV以上の高電圧を印加せずとも(6kV未満の電圧で)確実かつ安定して大量のミストを発生させることができる。毛細管現象による吸水が確実に行われ、優れた吸水性と保水性を安定して発揮できる。また、従来よりも小型で(全長Lが短く、直径が細くても)十分なミスト放出量を得ることができる。
また、集束手段5は、多数本の炭素繊維11に外嵌状に取着するリング状乃至円筒状の保持部材7を備えているので、多数本の炭素繊維11を容易かつ迅速に束ねることができると共に、製造工程に於て、ハンドリング(取り扱い)が容易となり製造を容易に行うことができる。
また、集束手段5は、多数本の炭素繊維11の外周域Kを結合させる結合剤層75から成るので、保持部材7が不要で、様々な形状に容易に対応できると共に軽量化できる。
また、集束手段5は、隣り合う炭素繊維11,11を結合する結合剤79から成るので、保持部材7を不要としながらも、十分な吸水性及び保水性を確実に得ることができる。
また、多数本の炭素繊維11の先端を、保持部材7から突出させた小突出露出部1dを有するので、ミスト放出量を多くすることができる。先端部を、丸みを帯びた曲面状(先端縁が側面視で円弧状)等ミストの放出に最適な様々な形状に容易に形成できる。
また、保持部材7が熱収縮部材71から成るので、多数本の炭素繊維11を容易かつ迅速に束ねて製造できる。ドライヤーやヒータ付き金型等の加熱機器で棒状体にすることができ、製造設備を簡略化できる。大量生産に好適で、製造コストを低く抑えることができる。
また、ミストを外部に放出するミスト放出ピン1と、ミスト放出ピン1に吸水させるための水溶液Wが貯えられた貯水部21と、貯水部21内の水溶液Wを吸水して保持すると共にミスト放出ピン1と接続される保水部22と、ミスト放出ピン1に電圧を印加する印加電極23と、を備えた静電霧化装置に於て、ミスト放出ピン1は、多数本の炭素繊維11を集束手段5にて束ねて長手方向Nの微小流路18を有する棒状体に形成されているので、導電性粉体を塗布や含浸させた場合に比べて、導電性が向上すると共に酸化反応を少なくできる。従って、酸化物による目詰まりの発生が少なく、長時間(長期間)にわたって、メンテナンスが不要になる。従来のような6kV以上の高電圧を印加せずとも確実かつ安定してミストを発生させることができる。運転コストの低い静電霧化装置を得ることができる。
1 ミスト放出ピン
1d 小突出露出部
5 集束手段
7 保持部材
10 繊維集合体
11 炭素繊維
18 微小流路
21 貯水部
22 保水部
23 印加電極
71 熱収縮部材
75 結合剤層
79 結合剤
K 外周域
N 長手方向
W 水溶液

Claims (7)

  1. ミストを外部に放出するミスト放出ピンであって、
    多数本の炭素繊維(11)を有する繊維集合体(10)を、集束手段(5)にて束ねて長手方向(N)の微小流路(18)を有する棒状体とし
    上記集束手段(5)にて束ねられた上記繊維集合体(10)の横断面面積に対する上記微小流路(18)の横断面積率が、30%以上70%以下であることを特徴とするミスト放出ピン。
  2. 上記集束手段(5)は、上記多数本の炭素繊維(11)に外嵌状に取着するリング状乃至円筒状の保持部材(7)を備えている請求項1記載のミスト放出ピン。
  3. 上記集束手段(5)は、上記多数本の炭素繊維(11)の外周域(K)を結合させる結合剤層(75)から成る請求項1記載のミスト放出ピン。
  4. 上記集束手段(5)は、隣り合う上記炭素繊維(11)(11)を結合する結合剤(79)から成る請求項1記載のミスト放出ピン。
  5. 上記多数本の炭素繊維(11)の先端を、上記保持部材(7)から突出させた小突出露出部(1d)を有する請求項2記載のミスト放出ピン。
  6. 上記保持部材(7)が熱収縮部材(71)から成る請求項2記載のミスト放出ピン。
  7. ミストを外部に放出するミスト放出ピン(1)と、該ミスト放出ピン(1)に吸水させるための水溶液(W)が貯えられた貯水部(21)と、該貯水部(21)内の上記水溶液(W)を吸水して保持すると共に上記ミスト放出ピン(1)と接続される保水部(22)と、上記ミスト放出ピン(1)に電圧を印加する印加電極(23)と、を備えた静電霧化装置に於て、
    上記ミスト放出ピン(1)は、多数本の炭素繊維(11)を有する繊維集合体(10)を、集束手段(5)にて束ねて長手方向(N)の微小流路(18)を有する棒状体に形成され、さらに、上記集束手段(5)にて束ねられた上記繊維集合体(10)の横断面面積に対する上記微小流路(18)の横断面積率が、30%以上70%以下であることを特徴とする静電霧化装置。
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