JP5686643B2 - 現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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また、特許文献2には、現像剤の搬送性が高く、かつ、表面の摩耗の少ない現像ローラとして、紫外線または電子線を照射して硬化させた樹脂層を備え、該樹脂層が微粒子を分散含有させられており、かつ、ケイ素を含む現像ローラを開示している。
ここで、電子写真装置に用いられる現像ローラの役割として、現像領域に現像剤を搬送するとともに、現像剤に十分な摩擦電荷を付与することがある。
本発明者らの検討によれば、上記特許文献に係る現像ローラの樹脂層はフッ素またはケイ素を含むことにより、その表面の帯電系列が一般的な負帯電性の現像剤の帯電系列に近づく。そのため、当該現像ローラの、負帯電性の現像剤に対する帯電付与能は相対的に低下する方向に行く。すなわち、上記特許文献に記載の帯電ローラは、現像剤の長期に亘る搬送性については優れているものの、現像剤に対する帯電付与能についてはむしろ低下させる構成であるといえる。
そこで、本発明の課題は、現像剤の搬送性能と、現像剤の帯電性能とを高いレベルで両立させることのできる現像ローラを提供することにある。
更に、本発明が解決しようとする課題は、該現像ローラを用いた電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、安定した現像剤の搬送性能と、現像剤の帯電付与性能とを高いレベルで両立し得る帯電ローラを得ることができる。
また、長期に亘って高品位な電子写真画像の形成に資する電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真装置を得ることができる。
以下、本発明の一例を、概略図である図1および図2を用いて示す。
本発明は、負帯電性の現像剤とともに用いられる現像ローラ1であって、導電性の軸芯体102と、弾性層101と、表面層103である導電性のウレタン樹脂層とを有している。またウレタン樹脂層は、ウレタン樹脂と、ウレタン樹脂に分散された樹脂粒子104とを含有しており、樹脂粒子104はウレタン樹脂層の中に内包されている。つまり、樹脂粒子104は、ウレタン樹脂層の表面に非露出な状態で含有されている。
ウレタン樹脂層の表面(現像ローラの表面)は、樹脂粒子に由来する複数個の凸部を有し、それによって粗面化されており、さらに、ウレタン樹脂層の表面は、凸部と凸部との間の谷部106を除き、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂105によって被覆されている。つまり、谷部106においてはウレタン樹脂層の表面が露出している。
ここで述べる凸部とは、たとえば走査型共焦点レーザー顕微鏡(商品名:OLS3100 オリンパス株式会社製)でウレタン樹脂層の表面を観察し、断面曲線を描いて極小値から2μm以上の部位を指す。
すなわち、表面層中に分散されてなり、表面層の表面に凸部を生じさせている樹脂粒子104は、使用中に表面層から脱落することを防ぐために、表面層103であるウレタン樹脂に完全に覆われている。しかしながら、長期間に亘る使用により、凸部が現像剤規制部材や、現像剤および外添剤との強い摺擦を受け続けると、樹脂粒子104を覆っていた表面層103が次第に摩耗してくる。そして、摩耗が進むと、樹脂粒子104が表面層103の表面に露出し、ついには樹脂粒子104が表面層103から脱落することがある。その結果、表面層の粗さが低下し、現像剤の搬送性に影響を与えることが考えられる。
本発明における表面層の凸部を被覆するフッ素樹脂またはシリコーン樹脂105は、凸部の、現像剤規制部材や現像剤との摩擦よる応力集中を緩和し、凸部の摩耗を抑制している。
このような用途に好適なフッ素樹脂としては、フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体や、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、シリコーン樹脂としては、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。一般にフッ素樹脂やシリコーン樹脂は離型性が高く、基材と密着しにくい。そのため、基材であるウレタン樹脂のイソシアネート基と反応する官能基を有していることが望ましい。
このようにフッ素樹脂またはシリコーン樹脂の被膜を、表面層103の凸部に選択的に設ける方法としては、アプリケーターのような塗工装置を用いる方法が挙げられる。
具体的には、ガラス基板のような平滑な板上に、アプリケーターを用いフッ素樹脂またはシリコーン樹脂を塗布し、その後に表面層を設けた現像ローラを転がすことで現像ローラの上に上記樹脂成分を転写する。このとき、アプリケーターによるウェット膜厚は樹脂粒子によって設けられた凸部高さよりも薄くする必要がある。ここでいう「凸部高さ」とは次の方法で算出する。1)まず、走査型共焦点レーザー顕微鏡(商品名:OLS3100、オリンパス株式会社製)を用いて得られた凸部と凸部の間の谷部から該凸部までの高さを走査エリアの面平均で求める。2)次に、この高さを現像ローラの長手方向両端から20mm内側部分および中央部の三ヶ所において、60°ごと6位相の計18点で求めて、それら18点における値の相加平均を前記の「凸部高さ」とする。
また、前述の通りフッ素樹脂やシリコーン樹脂は離型性が高いため、基材であるウレタン樹脂のイソシアネート基と反応させることで密着性を高めることが好ましい。そのため、以下の工程を経ることが好ましい。浸漬塗工等によって塗工した塗膜の、有機溶媒成分だけを揮発させる、いわゆる指触乾燥工程、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂を塗膜の凸部に被覆させる工程、塗膜の焼成工程、である。これらの工程を順に経ることで、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂が塗膜中のイソシアネート基と反応し、両者が化学結合する。例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどは加水分解してシラノール基を生成し、反応性の高いイソシアネート基と化学結合し、表面にフッ素樹脂が被覆されたウレタン樹脂が得られる。
なお、原料主成分のゴムとして、種々のゴムを用いることができ、具体的には、次のものを挙げることができる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ブタジエンゴム(BR)、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム。
中でも、弾性層101には適度に低硬度であり十分な変形回復力を持たせることが重要であるため、弾性層に用いられる材料としては液状シリコーンゴム、液状ウレタンゴムを用いることが好ましい。特には加工性が良好で寸法精度の安定性が高く、硬化反応時に反応副生成物が発生しないなどの生産性に優れる理由から、付加反応架橋型液状シリコーンゴムを用いることがより好ましい。
導電剤としては、イオン導電機構によるイオン導電性物質と、電子導電機構による導電付与剤があり、どちらか一方でもよいが、併用することも可能である。
これらの中で、カーボンブラック系の導電剤は、比較的安価かつ容易に入手でき、また、原料主成分のゴム材料の種類に依らず、良好な導電性を付与できるため、好ましい。原料主成分のゴム材料中に、微粉末状の導電剤を分散させる手段としては、公知の手段、例えば、ロールニーダー、バンバリーミキサー、又は2軸押し出し機等を、ゴム材料に応じて適宜利用すればよい。
なお、本発明では、この弾性層の成形は、押出成形、射出成形などの公知の成形法を用いることができる。層構成としては本発明に記載された特徴を有すれば、限定されず、2層以上の構成とすることもできる。
ポリエーテルポリウレタン樹脂は公知のポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得ることができる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、これらのポリオール成分は必要に応じて予め2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ポリイソシアネート、及びこれらの変性物や共重合物、そのブロック体を用いることができる。
ウレタン樹脂中における樹脂粒子の含有量の目安としては、ウレタン樹脂成分に対し5質量%〜50質量%とすることが好ましい。
本発明の現像ローラを搭載した一般的な電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置の一例を図3に示す。
軸芯体102として外径6mm、長さ264mmの芯金(材質:SUS304)にニッケルメッキを施し、さらにプライマ−(商品名:DY39-051、東レダウコーニングシリコーン社製)を塗布、焼付けしたものを用いた。ついで、軸芯体102を内径11.5mmの円筒状金型に同心となるように配置し、表1に示す配合の付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
[弾性ローラへの表面層の形成]
表面層材料として、表2に示す材料を、撹拌モーターで700rpm、1時間混合攪拌した。
分散後さらにMEKを加え固形分25質量%の塗料を得た。
次にこの塗料を直径32mmのシリンダ内に液流速250cc/分、液温23℃で循環させた。前記弾性ローラをシリンダ中に浸入速度100mm/秒で浸漬させ、10秒間停止させた。その後に、初速400mm/秒、終速200mm/秒の条件で引上げて、10分間自然乾燥させ、未硬化の表面層を設けた弾性ローラを得た。
上記未硬化の表面層を設けた弾性ローラをもう1本製造し、温度140℃にて120分間加熱処理することで表面層の原料の硬化を行った。このローラを用いて測定した凸部高さは7.2μmであった。
250mm×250mm、厚さ5mm、表面粗さRaが0.1mmの角型ガラス基板の上に、膜厚ギャップを2μmに調節した下記のドクターブレード型アプリケーターを用いて、下記のトリフルオロプロピルトリメトキシシランを塗布した。
・ドクターブレード型アプリケーター(商品名:ドクターブレード型アプリケーター、タクミ技研社製)
・トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−7103、信越シリコーン社製)
そのガラス基板の上に未硬化の表面層を設けた弾性ローラを転がし、表面層凸部上にトリフルオロプロピルトリメトキシシランを転写した。
次いで、温度140℃にて120分間加熱処理することで表面層を硬化させると共に、表面層の凸部の表面に塗布したフッ素樹脂を硬化させた。
[現像ローラ表面の分析]
現像ローラ表面において、凸部頂点を中心とする10μm四方の領域をA、谷部の最深点を中心とする10μm四方の領域をBとし、現像ローラ1本あたりそれぞれ20箇所ずつエネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)を行った。
上記領域Aに関してエネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)により測定されるフッ素元素及びケイ素元素の合計割合を測定し、20箇所の相加平均値を出したところ、73.2(wt%)であった。また、上記領域Bに関してエネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)により測定されるフッ素元素及びケイ素元素の合計割合を測定し、その相加平均値を出したところ、5.8(wt%)であり、領域Bは、領域Aよりも十分にフッ素元素及びケイ素元素が少ないことが確認された。
本実施例においては、以下の測定条件で領域Aおよび領域Bを測定した。
[測定装置]
走査電子顕微鏡(商品名:S−4800、日立ハイテクノロジー社製)およびエネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)(商品名:Genesis400、EDAX社製)
[測定条件]
加速電圧10kV
このようにして、凸部と凸部との間の谷部を除いて表面がフッ素樹脂で被覆され、当該谷部ではウレタン樹脂層の表面が露出している現像ローラを得た。
次に、本実施例で行った画像評価方法について説明する。
まず、画像出力試験用の下記の電子写真プロセスカートリッジを用意した。電子写真プロセスカートリッジから現像剤を抜き取り、特開2006−106198の実施例49に記載された重合方法により製造した重量平均粒径6.59μmのマゼンタ現像剤を充填した。同様の方法で現像剤を入れ替えたカートリッジを5本用意した。
・電子写真プロセスカートリッジ(公称寿命1500枚、A4サイズ、印字率5%、商品名:トナーカートリッジ316マゼンタ、キヤノン株式会社製)
出力された画像および画像出力試験後の現像ローラに関し、以下の評価および観察を行った。
初期及び最後に出力した全面ベタ画像の紙面上9ヶ所でカラー反射濃度計(商品名:X−RITE 404A、X−Rite Co.製)により濃度を測定した。一枚につき9ヶ所の測定値の相加平均値をその画像における濃度とし、濃度変化の割合を、最後に出力した画像の濃度/初期画像濃度で算出し、以下の基準で評価した。
A:画像濃度変化割合が0.9を超え、1.0以下である。
B:画像濃度変化割合が0.7を超え、0.9以下である。
C:画像濃度変化割合が0.7以下である。
15000枚相当の画像出力試験後の現像ローラをカートリッジから取り出し、表面に付着している現像剤をエアーブローにより除去し、現像ローラの表面を観察し、表面層凸部の摩耗および樹脂粒子の脱落の有無を確認した。観察には走査型共焦点レーザー顕微鏡(商品名:OLS3100、オリンパス株式会社製)を用いた。現像ローラのゴム部の両端部から6mm内側の部分、および中央部の三ヶ所において、60°ごと6位相の計18点を、対物レンズ倍率50倍 (総合倍率1200倍)で観察した。
測定結果および評価結果を表3、表4に示す。
表面層凸部に被覆する樹脂をフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体(商品名:ルミフロンLF100、旭硝子社製)とした以外は実施例1と同様の方法で現像ローラを得た。得られた現像ローラを用い、実施例1と同様の測定および評価を行った。結果を表3、表4に示す。
表面層凸部に被覆する樹脂の種類と、表面層材料に添加する樹脂粒子の平均粒径及び添加量を、表3に示したものとした以外は実施例1と同様の方法で現像ローラを得た。
得られた現像ローラを用い、実施例1と同様の測定および評価を行った。結果を表3、表4に示す。
表面層凸部への樹脂の被覆を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で現像ローラを得た。得られた現像ローラを用い、実施例1と同様の測定および評価を行った。結果を表3、表4に示す。
実施例1において、ドクターブレード型アプリケーターの膜厚ギャップを20μmとして現像ローラを作製した。膜厚ギャップが樹脂粒子の平均粒径より十分に大きいため、表面層の凸部だけでなく谷部にもフッ素樹脂が被覆された現像ローラを得た。得られた現像ローラを用い、実施例1と同様の測定および評価を行った。結果を表3、表4に示す。
実施例3において、ドクターブレード型アプリケーターの膜厚ギャップを20μmとして現像ローラを作製した。膜厚ギャップが樹脂粒子の平均粒径より十分に大きいため、表面層の凸部だけでなく谷部にもシリコーン樹脂が被覆された現像ローラを得た。得られた現像ローラを用い、実施例1と同様の測定および評価を行った。結果を表3、表4に示す。
101 弾性層
102 軸芯体
103 表面層
104 樹脂粒子
105 フッ素樹脂またはシリコーン樹脂
Claims (7)
- 負帯電性の現像剤とともに用いられる現像ローラであって、導電性の軸芯体、および導電性のウレタン樹脂層を有し、
該ウレタン樹脂層は、
ウレタン樹脂と、
該ウレタン樹脂に分散され、かつ、該ウレタン樹脂層の表面に非露出な状態で含有されてなる樹脂粒子とを含み、
該現像ローラは、その表面に、該樹脂粒子に由来する複数個の凸部を有し、
該現像ローラの表面は、該凸部と該凸部との間の谷部を除いて、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂によって被覆されており、かつ、該凸部と該凸部との間の谷部においては該ウレタン樹脂層の表面が露出していることを特徴とする現像ローラ。 - 該樹脂粒子が、ポリウレタン粒子である請求項1に記載の現像ローラ。
- 該樹脂粒子の平均粒径が、10〜22μmである請求項1または2に記載の現像ローラ。
- 該樹脂粒子の含有量が、該ウレタン樹脂に対して5〜60質量%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の現像ローラ。
- 該凸部高さが、4.8〜12.3μmである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の現像ローラ。
- 電子写真装置に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジであって、
該電子写真プロセスカートリッジは、現像ローラと電子写真感光体とを有し、かつ、負帯電性の現像剤が収容されており、
該現像ローラが、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。 - 現像ローラと電子写真感光体とを有し、かつ、負帯電性の現像剤が収容されている電子写真装置であって、
該現像ローラが、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真装置。
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