JP5683931B2 - 重金属測定用試料の夾雑物除去方法、夾雑物除去剤、および重金属の測定方法 - Google Patents

重金属測定用試料の夾雑物除去方法、夾雑物除去剤、および重金属の測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、カドミウムをはじめとする重金属を測定する試料に含まれる夾雑物を除去する方法、当該方法に用いられる夾雑物除去剤、および重金属の測定方法に関する。より具体的には、農作物、水産物、畜産物、土壌等の測定対象物から抽出された重金属測定試料溶液に含まれ、且つ重金属(カドミウム等)を測定する際に重金属の測定を妨害する各種夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等)を試料から除去する方法、当該方法を実施するために用いられる夾雑物除去剤、および夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液を用いて行う重金属の測定方法に関する。
近年、環境保全等の社会的な環境意識や健康に対する影響への関心の高まりから、産業や生活に伴う様々な場面における環境汚染物質の蓄積の動向が注視されている。環境汚染物質の中でも重金属類、特にカドミウムは過去にその毒性による重篤な問題を起こしていることもあり、食品に含まれるカドミウムの量は重要な問題である。
農作物、水産物、畜産物、または、土壌に含まれるカドミウムの量は、一般に、ICP発光分光分析器や原子吸光光度計等の分析機器を用いて測定されている。例えば、農林水産省による農作物、水産物、畜産物に含まれるカドミウムの分析においても、ICP発光分光分析器や原子吸光光度計による測定が採用されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、ICP発光分光分析器や原子吸光光度計を用いたカドミウム分析法は、非常に高価な分析機器を必要とするばかりか、硫酸−硝酸分解等の専門的な前処理が必要になり、長い処理時間と労力を必要とする。それゆえ、例えば、穀物等のカドミウム汚染を検査する場合には、検査ロットを少量にせざるを得ず、規制値を超える汚染が検出されたときの被害が大きくなってしまうという問題がある。また測定を現場で行うことができず、前処理操作用の除外装置(ドラフトチャンバー)や分析機器を設置した施設で行う必要がある。このため、安価でかつ現場で行える、迅速、簡便な判定法が求められていた。
かかる迅速、簡便なカドミウム分析法として、本願出願人らは、錯体を形成したカドミウムを特異的に認識する抗カドミウムモノクローナル抗体を利用した検出および定量方法を報告した(例えば、特許文献1等参照)。この抗カドミウムモノクローナル抗体は、カドミウムと反応するが、カルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、鉛、亜鉛等の金属とはほとんど交差反応しないという特性を示す。このように、上記抗カドミウムモノクローナル抗体はカドミウムに高い特異性を持つものではあるが、測定対象物中に存在する他の金属が高濃度である場合、カドミウムの測定値に影響を与える。
そこで、測定対象物から抽出した種々の夾雑物イオンを含む抽出液から、カドミウムの測定に支障がない程度までカドミウムを分離精製する前処理法が必要となる。かかる前処理法として、本願出願人らは、4級アンモニウム塩が表面にコーティングされたシリカゲル担体を充填した分離カラムと測定対象物からの抽出液(試料溶液)とを接触させる方法を提案した(例えば、特許文献2、3を参照。)。また本願出願人らは、陰イオン交換樹脂を用いて試料溶液の前処理を行う方法を開発し、特許出願を行った(特願2009−254402、出願日:2009年11月5日)。
特開2004−323508号公報(公開日:平成16年(2004)11月18日) 特開2006−226986号公報(公開日:平成18年(2006)8月31日) 特開2008−58207号公報(公開日:平成20年(2008)3月13日)
農林水産省のホームページ:食品中のカドミウムに関する情報http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/index.html)
しかし、一部農作物(例えば大豆、ほうれん草、葱、里芋、小麦、オクラ、アスパラガス等)、畜産物、水産物には、多量のタンパク質、油脂、色素(葉緑素等)などが含まれているため、対象物を酸などで完全分解しない従来公知の試料の前処理法(例えば特許文献2、3に示す0.1N塩酸によるカドミウム抽出法)では、重金属(カドミウム等)を抽出した試料溶液中にタンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等の夾雑物も多量に溶出し、共存してしまう。これらの夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等))は、ろ過による固液分離、重金属(カドミウム等)の分離精製などの前処理(例えば特許文献2、3を参照)、ならびにICP発光分光分析器や原子吸光光度計をはじめとした高価な機器分析装置などを用いた測定を含む各種測定手段に対して強力な妨害作用を示す。このため、試料溶液中にタンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等の夾雑物が多量に含まれていた場合、正常な重金属(カドミウム)の測定が困難な場合があった。また、測定対象物毎に夾雑物の種類や濃度が異なっており、これらを取り除くためには複数の工程を経なければならなかった。これらのことから、試料溶液中に重金属(カドミウム等)を残したまま、安全、迅速、廉価に、しかも単一の方法で、これらの夾雑物のみを試料溶液から分別除去する方法が必要とされていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、農作物、水産物、畜産物、土壌等の測定対象物から抽出された重金属測定試料溶液に含まれ、且つ重金属(カドミウム等)を測定する際に重金属の測定を妨害する各種夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等)を試料から除去する方法、当該方法を実施するために用いられる夾雑物除去剤、および夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液を用いて行う重金属の測定方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、少なくとも3つの物質を組み合わせて重金属測定用試料溶液に添加することで、重金属の測定を妨害する各種夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等)を簡便、迅速に試料から重金属(カドミウム等)と分別して除去することができるということを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明に係る夾雑物除去方法は、重金属測定用試料溶液に含まれる夾雑物を除去する方法であって、重金属測定用試料溶液に対して、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを添加する添加工程、前記添加工程後の重金属測定用試料を固液分離する固液分離工程を含むことを特徴としている。
また本発明に係る夾雑物除去方法は、上記添加工程において、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを含んでなる夾雑物除去剤を、重金属測定用試料溶液に添加する方法であってもよい。
また本発明に係る夾雑物除去方法において、上記夾雑物除去剤は、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を20〜90重量%、重金属非結合性の無機吸着剤を10〜35重量%、並びに無機凝集剤を0重量%を超え、35重量%以下含むものであってもよい。
本発明に係る夾雑物除去方法は、上記添加工程において、重金属測定用試料溶液1Lに対して、上記夾雑物除去剤を10〜500g添加することが好ましい。また、上記添加工程において、重金属測定用試料溶液1Lに対して、上記夾雑物除去剤を100〜500g添加することがより好ましい。
本発明に係る夾雑物除去方法は、上記添加工程において、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を70g/L以上、重金属非結合性の無機吸着剤を20〜500g/L、無機凝集剤を50g/L以上となるように、重金属測定用試料溶液に添加することが好ましい。
本発明に係る夾雑物除去方法は、上記添加工程において、炭酸塩をさらに添加することが好ましい。
本発明に係る夾雑物除去方法において、上記夾雑物除去剤は、炭酸塩をさらに含んでいてもよい。
本発明に係る夾雑物除去方法において、上記重金属測定用試料溶液は、測定対象物の抽出物であってもよい。
本発明に係る夾雑物除去方法において、上記測定対象物は、農作物、水産物、畜産物、または、土壌であってもよい。
本発明に係る重金属の測定方法は、上記本発明に係る夾雑物除去方法により夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液について、重金属の検出および/または定量を行うことを特徴としている。
本発明に係る重金属の測定方法において、上記重金属の検出および/または定量は、イムノアッセイ法、ICP法、蛍光X線法、ボルタンメトリー法、または吸光法によって行われる方法であってもよい。
本発明に係る重金属の測定方法において、重金属の検出および/または定量を行う前に、重金属測定用試料溶液に対して測定対象である重金属を精製する工程をさらに含み、精製された重金属測定用試料溶液について重金属の検出および/または定量を行う方法であってもよい。
本発明に係る夾雑物除去剤は、重金属測定用試料溶液に含まれる夾雑物を除去するための夾雑物除去剤であって、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを含むことを特徴としている。
本発明に係る夾雑物除去剤は、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を20〜90重量%、重金属非結合性の無機吸着剤を10〜35重量%、並びに無機凝集剤を0重量%を超え、35重量%以下含むものであってもよい。
本発明に係る夾雑物除去剤は、炭酸塩をさらに含むものであってもよい。
本発明によれば、重金属(カドミウム等)を測定する際に重金属の測定を妨害する各種夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等)を簡便、迅速に試料から除去することができる。例えば、乳液状で分別が極めて困難な大豆抽出液(測定用試料)や、測定対象である重金属(カドミウム等)と色素(葉緑素)が結合するなどして選択的に分別が困難な、ほうれん草、葱、里芋、小麦、オクラ、アスパラガスなどの抽出液(測定用試料)から、重金属(カドミウム等)とタンパク質、油脂、色素(葉緑素等)などの成分を、簡便、迅速に分離することが可能となる。
さらに、本発明にかかる重金属(カドミウム等)測定用試料の夾雑物除去方法と、従来公知の測定対象物の抽出および精製方法(例えば、特許文献2、3に記載されている方法等)とを組み合わせることによって、半日から数日の時間を要していた硫酸−硝酸分解等の専門的な従来の前処理法を行うことなく、タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)などを多量に含有する農作物、畜産物、水産物などの測定対象物から測定試料を30分から1時間程度の短時間で安全、かつ廉価に得ることができる。このようにして得られた、測定試料は、ICP発光分光分析器や原子吸光光度計をはじめとした高価な機器を用いた分析法のみならず、廉価かつ簡便な簡易測定法(例えば特許文献1に記載されている方法)などのさまざまな分析法に適用可能である。つまり、本発明によれば、硫酸−硝酸分解等の専門的な前処理を行わずとも、正確な重金属(カドミウム等)の測定を簡便、迅速、廉価に行うことができるという効果を享受することができる。
また、本発明にかかる重金属(カドミウム等)測定用試料の夾雑物除去方法において使用する、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩;カオリン、珪藻土、および活性白土からなる群から選択される1以上の無機吸着剤;並びに無機凝集剤等は、天然に産出する資材を主たる成分とするため、周辺環境への悪影響を及ぼさず、使用者も安全かつ容易に操作をすすめることができ、副次的な周辺環境への影響を低く押さえることができる。
なお、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを重金属測定用溶液に添加し、固液分離することによって、測定対象である重金属(カドミウム等)を重金属測定用溶液に残したまま夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等)のみを除去できるということは、本発明者らにとっても予想外の結果であった。すなわち、本発明による効果は当業者にとって予想し得ないものであった。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。なお、本明細書中において数値範囲を示す「X〜Y」なる記載は、X以上、Y以下であることを示す。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔1.本発明に係る夾雑物除去方法および夾雑物除去剤〕
本発明に係る夾雑物除去方法は、重金属測定用試料溶液に含まれる夾雑物を除去する方法であって、重金属測定用試料溶液に対して、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを添加する添加工程、および前記添加工程後の重金属測定用試料溶液を固液分離する固液分離工程を含むことを特徴としている。
ここで「重金属測定用試料溶液に含まれる夾雑物」とは、重金属を測定する際に用いられる試料溶液に含まれ、且つ重金属を測定する際に重金属の測定を妨害する物質であれば特に限定されるものではない。かかる夾雑物としては、例えばタンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等が挙げられる。タンパク質や油脂が重金属測定用試料溶液に含まれると、試料が懸濁状態となってろ過することができなくなる。また、ろ過等の固液分離を行わない場合であっても、タンパク質および油脂が重金属測定用試料溶液に含まれると、ICP−AES、AASなどの機器分析法では試料導入が阻害されたり、フレームの失火などを生じさせたりする。さらに生物検定法においても、タンパク質および油脂が抗体反応を阻害して重金属の測定を妨害する。また、色素(葉緑素等)は各種イオンと結合するなどして、上記機器分析法や、生物検定法をはじめとした簡易法における重金属の測定を妨害する。ここで「重金属の測定を妨害する」とは、測定値に誤差を生じさせる、測定操作の障害となるために測定操作を実施できなくする、または測定操作を実施しにくくすることを意味する。
重金属の測定とは、試料中に含まれる重金属を検出または濃度測定することを意味する。ここで「重金属」とは、比重4以上の金属の総称であれば特に限定されるものではない。重金属としては、例えば、白金、金、水銀、銀、鉛、銅、鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、セレン、カドミウム、亜鉛、ビスマス、等が挙げられる。重金属は、一般に体内に蓄積する傾向があり、有害とされる金属(すなわち「有害金属」)が存在する。このような有害金属は、種々の法律の下、規制の対象となっている。例えば水質汚濁防止法では水銀、カドミウム、鉛、六価クロムなどが規制の対象となっており、大気汚染防止法では鉛、カドミウムが規制対象となっている。それゆえ、特に有害金属(水銀、鉛、6価クロム、カドミウム等)が測定対象となることが多い。
重金属の測定方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法が全て適用され得る。ICP法、蛍光X線法、ボルタンメトリー法または吸光法等により実施することができる。より具体的には、原子吸光分析(AAS(=atomic absorption spectrometry))、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES(=inductively coupled plasma atomic emission spectrometry))、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS(=inductively coupled plasma [source] mass spectrometry))が、重金属の測定法として挙げられる。また特許文献1に記載されているごとく、カドミウムをキレート剤に配位させ、この形成された錯体をモノクローナル抗体(例えば、特許生物寄託センターの寄託番号 FERM P−19240 のハイブリドーマが産生する抗カドミウムモノクローナル抗体So26G8、特許生物寄託センターの寄託番号 FERM P−19703のハイブリドーマが産生する抗カドミウムモノクローナル抗体Nx22C3)によりカドミウムを検出および測定するイムノアッセイ法等も重金属の測定法として挙げることができる。さらに、硝酸水溶液に導電性ダイヤモンド電極と対電極との間で電圧を印加して電流値を測定することによってカドミウムを測定する方法も重金属の測定方法として挙げられる(参考文献:特開2005−49275号公報)。
重金属測定用試料溶液は、重金属の測定対象となる溶液である。かかる重金属測定試料溶液の取得方法は特に限定されるものではなく、いかなる方法により調製されたものであってもよい。河川水;沼湖水;海水等の水、各種飲料等、測定対象物が液体であれば、測定対象物そのもの(または適宜希釈されたもの)を重金属測定用溶液とすればよい。一方、測定対象物が固体(半固体状を含む)のもの(例えば、農作物、水産物、畜産物、土壌、加工食品等)の場合は、測定対象物を溶媒に溶解した溶液や、測定対象物からの抽出液を重金属測定用試料溶液とすればよい。抽出を要する測定対象物としては特に限定されるものではないが、例えば、米、麦、蕎麦等の穀物;大豆、小豆等の豆類;じゃがいも、サトイモ等の芋類;ホウレンソウ、ネギ、オクラ、トマト、ナス、ニンジン、小松菜等の野菜類;肉類:アカイカ、ホタルイカ、帆立貝、帆立貝柱、牡蠣等の魚介類;茶;たばこ等を挙げることができる。
測定対象物からの抽出方法は特に限定されるものではなく、測定対象物の種類に応じて従来公知の抽出方法が適宜採用され得る。例えば、酸抽出法、アルカリ抽出法、熱水抽出法等が挙げられる。また、特許文献2および3に示されている0.1N 塩酸を用いたカドミウムの抽出方法も適用可能である。以下に塩酸を用いたカドミウムの抽出方法(「塩酸抽出工程」という)について説明する。なお、特許文献2および3には、カドミウム測定用試料溶液の抽出方法が記載されているが、この抽出方法はカドミウム測定用試料溶液の抽出に限定されるものではなく、他の重金属測定用試料溶液の抽出に適用され得ることは言うまでもない。また塩酸以外の酸を用いて抽出を行うことも可能である。
塩酸抽出工程は、例えば、測定対象物を0.002〜2Mの塩酸溶液で塩酸抽出することにより実施され得る。ここで、「測定対象物を0.002〜2Mの塩酸溶液で塩酸抽出する」とは、測定対象物に0.002〜2Mの塩酸溶液を添加し、重金属(カドミウム等)を抽出する工程をいう。
塩酸抽出工程では塩酸溶液の濃度を0.002M以上とすることにより、測定対象物から重金属(カドミウム等)を十分に抽出することができる。また、塩酸溶液の濃度を2M以下とすることにより、pHが低くなりすぎないため、その後の工程に供するときに、pHを調製するための大量の中和剤を添加する必要がない。それゆえ、大量の中和剤の添加による重金属測定用試料溶液中の重金属(カドミウム等)濃度の希釈を回避することができる。
上記塩酸溶液の濃度は、0.002〜2Mであればよいが、0.02〜1Mであることがより好ましく、0.02〜0.1Mであることがさらに好ましい。
また、本塩酸抽出工程は、測定対象物に上記塩酸溶液を添加し抽出する方法であれば特に限定されるものではないが、測定対象物に上記塩酸溶液を添加後、浸漬する方法、攪拌する方法、振とうする方法等を用いることができる。中でも、測定対象物に上記塩酸溶液を添加後、攪拌または振とうする方法をより好適に用いることができる。これにより、重金属(カドミウム等)を効率的に抽出することができる。また、浸漬、攪拌または振とうを行う場合の、測定対象物の塩酸溶液に対する割合は、5〜20容量%であることが好ましく、10〜20容量%であることがさらに好ましい。測定対象物の塩酸溶液に対する割合を5容量%以上とすることにより、得られる塩酸抽出液中の重金属(カドミウム等)の濃度が薄くなり過ぎないために好ましい。また、測定対象物の塩酸溶液に対する割合を20容量%以下とすることにより、得られる塩酸抽出液中の夾雑物の量が多くなりすぎないため好ましい。
塩酸抽出工程においては、上記測定対象物は、そのまま塩酸抽出を行ってもよいが、塩酸抽出に供する前に、より小さくすることが好ましく、細片、微細片、または、スラリーとした上記測定対象物に、上記塩酸溶液を添加して、浸漬、攪拌、振とう等により重金属(カドミウム等)を抽出することがより好ましい。これにより、抽出の時間を短縮することができる。
また、上記測定対象物を、細片、微細片、または、スラリーとする方法も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができる。上記測定対象物を、細片、微細片等とする方法としては例えば、ミルサー等で粉砕する方法等を挙げることができる。また、上記測定対象物を、スラリーに液状化する方法としては例えば、ジューサー、ミキサー等で液状化する方法等を挙げることができる。
上記のようにして得られた重金属測定用試料溶液には、タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等の夾雑物が含まれている場合が有り、上述の通り、これらが重金属の測定を妨害する。夾雑物は、測定対象物ごとに種類や含量が異なっている。それゆえ、夾雑物を試料溶液から除去するためには、試料溶液に含まれている夾雑物の種類や含量に応じた夾雑物除去方法が必要となり、好適な除去方法の検討に多大な労力がかかってしまう。また、複数の工程を経て夾雑物を除去しなければならない場合が有り、その工程を実施する際に、多大な労力がかかる場合もある。さらに複数の工程を経るため、試料のロスも懸念される。
本発明らは、夾雑物を迅速かつ簡便に除去する方法について鋭意検討した結果、(i)アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、(ii)重金属非結合性の無機吸着剤と、(iii)無機凝集剤とを、重金属測定用試料溶液に添加することによって、あらゆる夾雑物が固相へ移行し、そして、この固相をろ過などの固液分離法によって分離することによって、あらゆる夾雑物を簡便かつ迅速に除去し得ることを見出した。
(i)アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩は、適当なイオンの組み合わせを好適な濃度で添加することにより、タンパク質−水分子間の作用よりも強力に水分子に対して作用することによりタンパク質を析出させることができる(塩析効果)。さらには析出中のタンパク質が無機吸着剤に吸着されることにより固液分離が促進される。(換言すれば、タンパク質を固相へ移行させることができる)そして(iii)硫酸マグネシウムなどの無機凝集剤の作用によってタンパク質が凝集する。そしてタンパク質の凝集物をろ過などの固液分離法によって分離すれば、重金属測定用試料溶液から夾雑物であるタンパク質を除去することができる。ここで、本発明に適用されえるアルカリ金属塩は特に限定されるものではなく、あらゆるアルカリ金属塩が適用され得る。その中でも、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムが水分子に対する作用の面などから特に好ましい。また、本発明に適用され得るアルカリ土類金属塩も特に限定されるものではなく、あらゆるアルカリ土類金属塩が適用され得る。その中でも、塩化カルシウムがアルカリ金属類と同様の理由から特に好ましい。上記アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、それぞれ単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。
また本発明に適用され得る無機凝集剤も特に限定されるものではなく、あらゆる無機凝集剤が適用され得る。その中でも、廉価に入手でき、かつその後の操作(例えば陰イオン交換樹脂を用いた前処理(特願2009−254402、出願日:2009年11月5日))を行う場合に分離がしやすいとの理由により、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムが特に好ましい。上記無機凝集剤は、それぞれ単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。
また、油脂は(ii)カオリン、珪藻土、および活性白土等の(重金属非結合性の無機吸着剤)へ吸着された(換言すれば油脂が固相へ移行された)後、硫酸マグネシウムなどの無機凝集剤の作用によって凝集する。そして油脂が吸着した凝集物をろ過などの固液分離法によって分離すれば、試料溶液から夾雑物である油脂を除去することができる。無機吸着剤の中には測定すべき重金属を吸着し得るものが存在する(例えば、一部の活性炭など)。よって、このような物質は本発明において利用すべきでない。本発明において利用可能な無機吸着剤としては、重金属非結合性のものであることが必要である。重金属非結合性の無機吸着剤としては、一定粒径持つカオリン、珪藻土、活性白土、等が挙げられる。上記無機吸着剤は、それぞれ単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。
また、色素(葉緑素等)は、錯結合性があるためにカドミウム等の重金属と結合している場合が有り、色素をそのまま除去すれば測定すべき重金属をも除去してしまう場合がある。本発明においては、添加したアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、無機凝集剤に由来するマグネシウム等の過剰イオンと重金属(カドミウム等)とが交換して色素と重金属とを解離させた後、色素(葉緑素)のみをカオリン、珪藻土、活性白土などの重金属非結合性の無機吸着剤に吸着させる(換言すれば固層へ移行させる)。そして色素が吸着した凝集物をろ過などの固液分離法によって分離すれば、試料溶液から夾雑物である色素を除去することができる。
本発明に適用可能な固液分離法としては、固相へ移行した夾雑物と試料溶液とを分離することができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、自然沈降、ろ過、遠心分離などが適宜適用され得る。ろ過の際に利用されるろ紙のポアサイズや、遠心分離の条件は、固相へ移行した夾雑物を分離できるポアサイズまたは条件であれば特に限定されるものではなく、適宜検討の上、決定すればよい。本発明に適応可能なろ紙としては、例えば、定性ろ紙(No.2)が挙げられる。
測定対象物の種類、重金属測定用試料溶液の調製方法等によって、夾雑物の種類、含量等が異なる。このために、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、重金属非結合性の無機吸着剤、および無機凝集剤の重金属測定用試料溶液に対する好ましい添加量については、適宜検討の上、決定すればよい。上記添加量の検討は、例えば、従来法(硝酸−過塩素酸分解後、ICP−AESまたはICP−MS計測)を行って決定した重金属の量と、本発明の方法(本発明に係る夾雑物除去方法により得られた重金属測定用溶液についてICP−AESまたはICP−MS計測を行って得られた重金属の量が一致するかどうかを検討し、両値が一致する条件を選択すればよい。また本発明に係る夾雑物除去方法における固液分離工程の実施し易さ(ろ過速度、ろ過の可否等)についても考慮して、上記添加量を検討すればよい。上記添加量の決定は、当業者であれば容易に実施得る。
本発明者らの検討によれば、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を70g/L〜飽和量未満(好ましくは75〜200g/L、さらに好ましくは75〜100g/L)、重金属非結合性の無機吸着剤を20〜500g/L(好ましくは20〜150g/L、さらに好ましくは20〜100g/L)、および無機凝集剤を50g/L以上〜飽和量(好ましくは50〜100g/L、さらに好ましくは50〜100g/L)となるように、重金属測定用試料溶液に添加することで、幅広い測定対象物(例えば、大豆、ほうれん草、里芋、アスパラガス、オクラなどの代表的な農作物、貝類などの海産物、及びお茶など)から調製された重金属測定用溶液であっても夾雑物を除去することができるということが判明した。なお上記添加量は、無水物としての重量である。
特に測定対象物が大豆の場合、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を80〜200g/L(好ましくは80〜150g/L、さらに好ましくは100〜120g/L)、重金属非結合性の無機吸着剤を20〜100g/L(好ましくは30〜80g/L、さらに好ましくは50〜75g/L)、および無機凝集剤を50〜100g/L(好ましくは50〜80g/L、さらに好ましくは50〜70g/L)となるように、重金属測定用試料溶液に添加することが好ましい。なお上記添加量は、無水物としての重量である。
また測定対象物が葱の場合、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を50〜150g/L(好ましくは70〜120g/L、さらに好ましくは70〜100g/L)、重金属非結合性の無機吸着剤を100〜200g/L(好ましくは100〜150g/L、さらに好ましくは80〜120g/L)、および無機凝集剤を20〜150g/L(好ましくは20〜100g/L、さらに好ましくは50〜100g/L)となるように、重金属測定用試料溶液に添加することが好ましい。なお上記添加量は、無水物としての重量である。
アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、重金属非結合性の無機吸着剤、および無機凝集剤を添加する場合、それぞれを別個に重金属測定用試料溶液へ添加してもよいが、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを含んでなる夾雑物除去剤として、重金属測定用試料溶液へ添加してもよい。夾雑物除去剤として構成された薬剤を重金属測定用試料溶液へ添加することで、添加操作を1回で完了することができるために、より簡便に夾雑物を除去することができるという効果を奏する。
上記夾雑物除去剤の組成は特に限定されるものではないが、好ましい一実施形態としてはアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を20〜90重量%(水和物の場合は無水物換算)、重金属非結合性の無機吸着剤を10〜35重量%、並びに無機凝集剤を0重量%を超え、35重量%以下(水和物の場合は無水物換算)、含むものが挙げられる。そして、かかる組成の夾雑物除去剤を重金属測定用試料溶液1Lに対して、好ましくは10〜500g、より好ましくは100〜500g添加する。またさらに好ましい一実施形態としては、アルカリ金属塩を30〜50重量%含み、重金属非結合性の無機吸着剤を10〜15重量%含み、並びに無機凝集剤を20〜30重量%含むものが挙げられる。そして、かかる組成の夾雑物除去剤を重金属測定用試料溶液1Lに対して、上記夾雑物除去剤を400〜600g添加することが好ましい。上記の添加態は比較的広範な測定対象物に対して奏効するようにあらかじめ最適化されているため、特に条件検討を行うことなく、簡便かつ迅速に夾雑物除去を行うことができる。なお、夾雑物除去剤の形態ではなく、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、重金属非結合性の無機吸着剤、および無機凝集剤をそれぞれ別個に重金属測定用試料溶液へ添加する場合であっても、上記好適な添加量と同量となるようにアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、重金属非結合性の無機吸着剤、および無機凝集剤をそれぞれ添加すれば、比較的広範な測定対象物に対して奏効することはいうまでもない。
上記夾雑物除去剤の形態は、粉末状のものが所定量ずつ分包されているものや、所定量の夾雑物除去剤が錠剤として成型されているものであることが好ましい。例えば1回の夾雑物除去操作に必要な量ずつ分包または成型されていることで、操作ごとに夾雑物除去剤を秤量する必要が無くなる。それゆえ、かかる態様によれば、より簡便かつ迅速に夾雑物除去を行うことができるといえる。本発明に係る夾雑物除去剤の成型には、薬学的組成物の打錠に用いられている公知の添加剤が適宜用いられる。
アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、重金属非結合性の無機吸着剤、並びに無機凝集剤をそれぞれを別個に重金属測定用試料溶液へ添加する場合は、炭酸塩等の発泡剤をさらに添加してもよい。または上記夾雑物除去剤は、炭酸塩等の発泡剤をさらに含むものであってもよい。炭酸塩等の発泡剤が重金属測定用試料溶液に添加されることによって発泡が起こる。この発泡によって、特に撹拌操作を行うことなく、重金属測定用試料溶液が撹拌されることになり、より効率よく夾雑物除去を行うことができる。本発明に適用され得る炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、等が挙げられる。炭酸塩の好ましい添加量については、適宜検討の上、決定すればよい。
〔2.本発明に係る重金属の測定方法〕
上記のようにして夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液は、重金属の測定に供される。すなわち本発明に係る夾雑物除去方法により夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液を重金属測定に供することによって、本発明に係る重金属測定方法を構成することができる。ここで「重金属の測定」とは、重金属の検出および/または定量を行うことを意味する。重金属の測定方法については、従来公知の方法が全て適用され得る。具体的な重金属測定法については、既述のとおりである。
<重金属測定用試料溶液の前処理>
なお、重金属測定用試料溶液は夾雑物が除去された後、そのまま重金属測定に供されてもよいが、重金属測定をさらに良好に行うべく、以下に示す前処理を経た後に重金属測定に供されてもよい。より具体的には、重金属測定用試料溶液において測定対象となる重金属を精製する工程が、重金属の測定を行う前に行われてもよい。例えば、カドミウムを測定する際には、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、鉄等を測定用試料溶液から除去しておくことが好ましいとされている。このため、カドミウムを選択的に分離しておくことが好ましい。このようにすることによって、上記金属の影響を受けずにカドミウムの検出や定量をより正確に行うことができる。
かかる前処理の方法として、4級アンモニウム塩が表面にコーティングされたシリカゲル担体を充填した分離カラムと測定対象物からの抽出液(試料溶液)とを接触させる方法が挙げられる。この方法の詳細については、特許文献2および3の記載を参照することにより実施することができる。また本願出願人らは、陰イオン交換樹脂を用いて試料溶液の前処理を行う方法を開発し、特許出願を行った(特願2009−254402、出願日:2009年11月5日)。以下に陰イオン交換樹脂を用いた試料溶液の前処理法について説明する。なお本発明における前処理工程は、測定対象となる重金属以外を測定試料溶液から除去し得る工程(つまり測定対象の重金属を精製し得る工程)であれば、特に限定されるものではない。また、下記にはカドミウムを測定対象とする場合について記載するが、他の重金属についても以下の記載に準じて前処理を実施することができる。
まずは本発明に係る夾雑物除去方法によって夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液を、陰イオン交換樹脂と接触させる(吸着工程)。このときに、陰イオン交換樹脂と接触させる重金属測定用試料溶液の塩素イオン濃度は0.05〜12Mの範囲内となるようにする。塩素イオン濃度が、0.05M以上であることにより、カドミウムを陰イオン交換樹脂に吸着させることができるため好ましい。また、塩素イオン濃度が、12M以下であることにより、亜鉛の陰イオン交換樹脂への吸着を防ぐことができる。つまり夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液は、その塩素イオン濃度が、上記範囲内であれば、そのまま吸着工程に供することができるといえる。一方、夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液の塩素イオン濃度が、上記範囲から外れる場合には、重金属測定用試料溶液の塩素イオン濃度を上記範囲内に調整する塩素イオン濃度調整工程が必要となる。塩酸抽出液の塩素イオン濃度を上記範囲内に調整する方法としては、特に限定されるものではなく、塩素イオン濃度が0.05M未満である場合には、例えば、塩素イオンを供給する物質を添加すればよい。また、塩素イオン濃度が12Mを超える場合には、塩酸抽出液を希釈すればよい。
また、陰イオン交換樹脂と接触させる時の重金属測定用試料溶液のpHは、1.5〜2.5であることが好ましい。重金属測定用試料溶液のpHが2.5以下であることにより、カドミウムが陰イオン交換樹脂に十分に吸着されるため好ましい。また、当該重金属測定用試料溶液のpHが1.5以上であることにより、亜鉛とマンガンがカドミウムと共に吸着されることがなく、カドミウムを選択的に吸着することができる。したがって、重金属測定用試料溶液のpHが、上記範囲内であれば、そのまま陰イオン交換樹脂と接触させればよい。一方、重金属測定用試料溶液のpHが、2.5を超える場合には、重金属測定用試料溶液のpHを2.5以下に調整するpH調整工程が必要となる。また、重金属測定用試料溶液のpHが、1.5未満となる場合には、夾雑イオン分離の観点からpHを1.5以上とするpH調整工程を加えることが好ましい。重金属測定用試料溶液のpHを上記範囲内に調整する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。
上記塩素イオン濃度調整工程および/またはpH調整工程が必要な場合は、これらの工程は、上記塩酸抽出液を続く吸着工程で陰イオン交換樹脂と接触させる前に行えばよい。塩素イオン濃度調整工程およびpH調整工程が必要な場合は、塩素イオン濃度調整工程をpH調整工程の前に行ってもよいし、同時に行ってもよいし、また塩素イオン濃度調整工程をpH調整工程の後に行ってもよい。
(1)吸着工程
以下に吸着工程をより詳細に説明する。ここで、本吸着工程において、夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる方法は、重金属測定用試料溶液中に含まれているカドミウムが陰イオン交換樹脂に吸着される方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、重金属測定用試料溶液に陰イオン交換樹脂を浸漬してカドミウムを吸着させてもよいし、重金属測定用試料溶液に陰イオン交換樹脂を添加し、攪拌または振とうしてカドミウムを吸着させてもよい。あるいは、重金属測定用試料溶液の陰イオン交換樹脂との接触は、カラム法により行われてもよい。すなわち、陰イオン交換樹脂を充填したカドミウム分離カラムに、重金属測定用試料溶液を流すことにより、カドミウムを陰イオン交換樹脂に吸着させてもよい。これらの中でも、簡便且つ効率よくカドミウムを選択的に吸着させることができる点から、重金属測定用試料溶液の陰イオン交換樹脂との接触はカラム法により行うことがより好ましい。
本吸着工程で用いられる陰イオン交換樹脂は、特に限定されるものではなく、どのような陰イオン交換樹脂であってもよいが、4級アンモニウム塩、または、3級アミンを有しているものであることがより好ましい。また、4級アンモニウム塩としては、
−N(R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基等を示し、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子、または、過塩素酸イオン、水酸イオン、酢酸イオン等の陰イオンを示す。)で表される構造を有していることがさらに好ましい。また、3級アミンとしては、
−NR(RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基等を示す。)で表される構造を有していることがさらに好ましい。これらの中でも、上記陰イオン交換樹脂は、4級アンモニウム塩構造を有していることが特に好ましい。
ここで、上記R、R、R、RおよびRがアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、枝分かれ状であっても、環状であってもよい。これらの中でも、上記R、R、R、RおよびRは、直鎖状であることがより好ましい。また、R、RおよびRは同じであっても異なっていてもよいし、RおよびRも同じであっても異なっていてもよい。これらの中でも、R、RおよびRは同じであることがより好ましく、RおよびRも同じであることがより好ましい。
また、上記4級アンモニウム塩においては、上記R、RおよびRの少なくも1つが炭素数1〜18のヒドロキシアルキル基に置き換わっていてもよい。
また、4級アンモニウム塩の上記R、RおよびRがアルキル基である場合、当該アルキル基のR、RおよびRの合計炭素数は、3〜54であることが好ましく、8〜40であることがより好ましい。
また、アミノ基の上記RおよびRがアルキル基である場合、当該アルキル基の合計炭素数は、2〜36であることが好ましく、8〜16であることがより好ましい。
また、上記R、R、R、RおよびRがアリール基である場合、当該アリール基は単環式であってもよいし、多環式であってもよい。かかるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等を挙げることができる。また、R、RおよびRは同じであっても異なっていてもよいし、RおよびRも同じであっても異なっていてもよい。これらの中でも、R、RおよびRは同じであることがより好ましく、RおよびRも同じであることがより好ましい。
また、本発明で用いられる陰イオン交換樹脂としては、母体合成樹脂に、
−R−Nが結合した陰イオン交換樹脂を好適に用いることができる。ここで、R、RおよびRは上述したとおりであり、RもR、RおよびRと同様でありうる。かかる陰イオン交換樹脂としては、例えば、具体的には、母体合成樹脂にテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム等が結合した陰イオン交換樹脂を挙げることができる。すなわち、母体合成樹脂にテトラエチルアンモニウムが結合した陰イオン交換樹脂は、Rがエチレン基であり、R、RおよびRがエチル基である。また、母体合成樹脂にテトラブチルアンモニウムが結合した陰イオン交換樹脂は、Rがブチレン基であり、R、RおよびRがブチル基である。また、母体合成樹脂にトリオクチルメチルアンモニウムが結合した陰イオン交換樹脂は、R、R、RおよびRの何れか1つが、メチル基またはメチレン基であり、他の3つがオクチル基またはオクタメチレン基であればよいが、Rがメチレン基であり、R、RおよびRがオクチル基であることがより好ましい。また、母体合成樹脂にトリドデシルメチルアンモニウムが結合した陰イオン交換樹脂は、R、R、RおよびRの何れか1つが、メチル基またはメチレン基であり、他の3つがドデシル基またはドデカメチレン基であればよいが、Rがメチレン基であり、R、RおよびRがドデシル基であることがより好ましい。
これらの中でも、母体合成樹脂に−R−Nが結合した陰イオン交換樹脂では、Rがメチレン基であり、R、RおよびRが炭素数6〜12のアルキル基であることがさらに好ましい。
なお、入手のしやすさの観点からは、−NMeMeMeClの構造を持つ陰イオン交換樹脂が、市販品が容易に入手できることからより好ましい。
4級アンモニウム塩の対イオンXとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン等のハロゲンイオン;過塩素酸イオンまたは水酸イオン等が例示されるが、対イオンXは塩素イオンであることがより好ましい。
また、本吸着工程で用いられる陰イオン交換樹脂の母体合成樹脂も特に限定されるものではなく、通常陰イオン交換樹脂に用いられる母体合成樹脂であれば何でもよい。かかる母体合成樹脂としては、例えば、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体等を挙げることができる。なお、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体における架橋度はジビニルベンゼンの含有率により示されるが、ジビニルベンゼンの含有率は1%〜10%(架橋度は1%〜10%)であることがより好ましい。
また、上記陰イオン交換樹脂の平均粒径は、大きすぎると理論段数が低下するので所望の性能が発揮されず、小さすぎると圧力損失が大きくなって通液速度が低下してしまうことから、50〜400meshのものを用いることが好ましく、200〜400meshのものを用いることがより好ましい。なお、ここで、陰イオン交換樹脂の平均粒径は、湿式分級で決定される値をいう。
上記陰イオン交換樹脂としては、例えば、市販のダウエックス(登録商標)2×8樹脂(Cl型)、ダウエックス(登録商標)1×2樹脂(Cl型)、ダウエックス(登録商標)1×4樹脂(Cl型)、ダウエックス(登録商標)1×8樹脂(Cl型)等をより好適に用いることができる。
また本工程には、株式会社住化分析センター製カドミエールキット添付のSep-01精製カラムも利用可能である。
(2)洗浄工程
次に、洗浄工程を説明する。本洗浄工程では、上記吸着工程によりカドミウムイオンが吸着された陰イオン交換樹脂を、塩素イオン濃度が0.05〜12Mの塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液で洗浄する。なお、これらの塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液は、アルカリ金属以外の金属を全くまたは殆ど含有しないものである。ここで、塩酸のアルカリ金属塩水溶液としては、例えば、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液等を挙げることができる。
これにより、上記吸着工程で用いた容器内、またはカラム法を用いる場合は、カラム容器内に付着して、陰イオン交換樹脂まで到達しなかったカドミウムが陰イオン交換樹脂に吸着される。また、陰イオン交換樹脂の樹脂表面や樹脂間の隙間に残っているカドミウム以外の金属を洗い流すことが可能となり、カドミウム以外の金属をより減少させて、測定をより正確に行うことが可能となる。
本洗浄工程において、陰イオン交換樹脂を洗浄する方法は、容器内に付着するカドミウムを陰イオン交換樹脂に吸着させ、カドミウム以外の金属を洗い流すことができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、洗浄用の塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液に陰イオン交換樹脂を浸漬して洗浄してもよいし、洗浄用の塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液に陰イオン交換樹脂を添加し、攪拌または振とうして洗浄してもよい。あるいは、陰イオン交換樹脂の洗浄は、カラム法により行われてもよい。すなわち、陰イオン交換樹脂を充填したカドミウム分離カラムに、洗浄用の塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液を流すことにより、カドミウム分離カラム容器内部と陰イオン交換樹脂とを洗浄してもよい。
本洗浄工程で洗浄に用いる塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液は、塩素イオン濃度が0.05〜12Mであることが好ましい。洗浄に用いる塩酸またはそのアルカリ金属塩水溶液の塩素イオン濃度が、0.05M以上であることにより、カドミウムの陰イオン交換樹脂への吸着を維持することができるため好ましい。また、塩素イオン濃度が、12M以下であることにより、容器内に付着している亜鉛および樹脂表面や樹脂間の隙間に残っている亜鉛の陰イオン交換樹脂への吸着を防ぐことができる。
また、洗浄に用いる塩酸の濃度は、0.01〜12Mであることが好ましく、0.01〜1.0Mであることがより好ましく、0.01〜0.1Mであることがさらに好ましい。塩酸濃度を0.01M以上とすることにより、pHが高くなることを回避することができる。それゆえ、容器に付着したカドミウムをカラムに吸着させる程度にpHを高くすることができるため好ましい。また、塩酸濃度を12M以下とすることにより、カドミウム以外の金属が陰イオン交換樹脂に吸着することを防ぐことができるため好ましい。なお、塩酸の濃度が、0.01M以上0.05M未満の場合のように、その塩素イオン濃度が上記範囲から外れる場合は、塩素イオン濃度が0.05M以上になるように調整すればよい。塩素イオン濃度を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、塩素イオンを供給する物質を添加すればよい。
(3)回収工程
次に回収工程を説明する。本回収工程では、上記洗浄工程で洗浄された陰イオン交換樹脂から、塩素イオン濃度が0.05M未満の水溶液でカドミウムを回収する。なお、塩素イオン濃度が0.05M未満の水溶液は、金属を実質的に含有しないものである。
本工程において、カドミウムを回収する方法は、カドミウムを吸着させた陰イオン交換樹脂からカドミウムを溶出させることができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、塩素イオン濃度が0.05M未満の水溶液に陰イオン交換樹脂を浸漬してカドミウムを溶出させてもよいし、塩素イオン濃度が0.05M未満の水溶液に陰イオン交換樹脂を添加し、攪拌または振とうしてカドミウムを溶出させてもよい。あるいは、陰イオン交換樹脂からのカドミウムの回収は、カラム法により行われてもよい。すなわち、カドミウムを吸着させた陰イオン交換樹脂を充填したカドミウム分離カラムに、塩素イオン濃度が0.05M未満の水溶液を流すことにより、陰イオン交換樹脂からカドミウムを溶出させて回収してもよい。
これにより、陰イオン交換樹脂に吸着しているカドミウムを、陰イオン交換樹脂から解離し、水溶液中に溶出させて回収することができる。
本回収工程で用いられる水溶液は、塩素イオン濃度が0.05M未満であればよい。かかる水溶液には勿論、水道水、イオン交換水、蒸留水等も含まれる。また、0.05〜1.0Mの酢酸アンモニウム水溶液も好適に用いることができる。本工程では、カドミウムの回収に用いられる水溶液の塩素イオン濃度を0.05M未満とすることにより、陰イオン交換樹脂に吸着しているカドミウムを、陰イオン交換樹脂から解離させることができる。
本回収工程を、カラム法を用いて行う場合には、カドミウム分離カラムに塩素イオン濃度が0.05M未満の水溶液を流す。その際の最適な流速について説明する。ここで、当該水溶液の流速を速くすればカドミウムの分離処理時間(回収時間)を短縮することができるが、カドミウムの回収率が低下してしまう。従って、カドミウムの回収率が低下しない程度の流速とする必要がある。後述する実施例では、カドミウム分離カラム装置を直径13mmとして、0.6mLの陰イオン交換樹脂を充填したカドミウム分離カラムに3mL/min以下の流速で溶液を流すようにしているが、この例には限られず、カラム径、担体の量、担体の性質(大きさや孔径等)等により最適な流速が適宜決定される。
上記で説明した陰イオン交換樹脂を用いた前処理法は、吸着工程と、洗浄工程と、回収工程とを少なくとも含んでいればよいが、必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。かかる工程としては、例えば、重金属測定用溶液の塩素イオン濃度を調整する塩素イオン濃度調整工程、重金属測定用溶液のpHを調整するpH調整工程、陰イオン交換樹脂から回収されたカドミウムを含む水溶液を、重金属測定用試料溶液として調製する工程等を挙げることができる。
陰イオン交換樹脂から回収されたカドミウムを含む水溶液を、重金属測定用試料溶液として調製する工程は、用いられる測定方法に応じて、必要により行えばよい。例えば、上記回収工程で得られたカドミウムを含有する水溶液は、中和され、希釈されて重金属測定用試料溶液として調製される。また、ここで中和、希釈は、通常の方法で行えばよく、特に限定されるものではない。
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例では重金属の一例としてカドミウムを測定対象にしているが、本発明はその他の重金属の測定において適用可能である。
〔カドミウム測定〕
(1)イムノクロマト法
本実施例においては、イムノクロマト法によるカドミウム測定を行うに当たり、カドミウムとしてCd−EDTAを特異的に認識するモノクローナル抗体として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成16年2月26日付けで受託番号FERM P−19703として寄託されているハイブリドーマから産生されるNx22C3を用いた。具体的な測定方法は、特許文献1の記載に従った。
(2)ICP−AES
本実施例において、ICP−AESは、ICP発光分光分析装置として(株)リガク社製SPECTRO CIROS−120(EOP)、エスアイアイナノテクノロジーズ(株)社製 SPS−3100、またはSIIナノテクノロジー株式会社製VISTA MPXを用いて行われた。検量線作成用の金属標準溶液は、原子吸光分析用(和光純薬工業製)を用いて作製された。ICP−AESによるカドミウムの測定は繰り返し3回行われ、3回の測定データの平均値を測定値とした。
〔夾雑物除去剤〕
各実施例で使用した夾雑物除去剤の組成を以下に示す。
(1)組成1
塩化マグネシウム6水和物:55重量%(無水物換算で25.8重量%)、活性白土:8重量%、カオリン:8重量%、珪藻土:8重量%、硫酸アルミニウム14〜18水和物:21重量%(無水物換算で12.7重量%)。なおカオリン、活性白土、および珪藻土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全て関東化学株式会社より購入された。
(2)組成2
無水塩化マグネシウム50重量%、硫酸アルミニウム30重量%、カオリン15重量%、活性白土5重量%。なおカオリンおよび活性白土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全てキシダ化学株式会社より購入された。
(3)組成3
無水塩化マグネシウム40重量%、硫酸アルミニウム40重量%、カオリン10重量%、活性白土5重量%、珪藻土5重量%。なおカオリン、活性白土、珪藻土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全て不二化学薬品株式会社より購入された。
(4)組成4
無水塩化マグネシウム90重量%、硫酸アルミニウム5重量%、カオリン2.5重量%、活性白土2.5重量%。なおカオリンおよび活性白土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全てキシダ化学株式会社より購入された。
(5)組成5
無水塩化マグネシウム35重量%、硫酸アルミニウム30重量%、カオリン15重量%、活性白土10重量%、珪藻土10重量%。なおカオリン、活性白土、珪藻土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全てキシダ化学株式会社より購入された。
(6)組成6
無水塩化マグネシウム10重量%、硫酸アルミニウム80重量%、カオリン5重量%、活性白土3重量%、珪藻土2重量%。カオリン、活性白土、珪藻土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全てキシダ化学株式会社より購入された。
(7)組成7
無水塩化マグネシウム50重量%、硫酸アルミニウム30重量%、カオリン10重量%、活性白土5重量%、珪藻土5重量%。カオリン、活性白土、珪藻土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全て不二化学薬品株式会社より購入された。
(8)組成8
無水塩化マグネシウム85重量%、硫酸アルミニウム5重量%、カオリン5重量%、活性白土5重量%。カオリンおよび活性白土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全てキシダ化学株式会社より購入された。
(9)組成9
無水塩化マグネシウム30重量%、硫酸アルミニウム35重量%、カオリン25重量%、活性白土5重量%、珪藻土5重量%。カオリン、活性白土、珪藻土に関しては事前にカドミウムイオンに対する吸着を調査の上、使用した。上記試薬は、全て不二化学薬品株式会社より購入された。
〔実施例1:大豆中のカドミウム測定〕
カドミウム汚染大豆を含む未知試料5検体について、硝酸−過塩素酸分解後の試料についてICP−AES計測を行い、含有カドミウム量を求めた。具体的な方法については、特許文献2の図8〜10を参照のこと。
つぎに、同試料を粉砕した後、試料2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して振とう抽出し、夾雑物除去剤(組成1)10gを添加後、No.2定性ろ紙でろ過することで大豆抽出ろ過液を得た。
この大豆抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、大豆抽出ろ過液を、1mL通液し、次に2mL0.1N塩酸)で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
上記で取得した精製試料溶液について、ICP−AESおよびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った。その結果を表1に示す。なお、表中データは比較を容易とするためすべて原体換算値を示す(以下の全ての表において同じ)。
Figure 0005683931
表中の「公定法」は硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法を意味し、「簡易法」は本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたICP−AESおよびイムノクロマト法を意味する(以下の全ての表において同じ)。また表中の計測法における「Imc」はイムノクロマト法を意味する(以下の全ての表において同じ)。また表中の「n」は測定回数を示す。表1の「Imc」の測定は2回行われ、それぞれの測定値と、その平均値とが表1に記載されている(以下表2、3において同じ)。
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたICP−AESおよびイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加すること以外は本実施例と同じ操作を行った場合、No.2定性ろ紙では濾過できず、大豆抽出ろ過液が得られなかった。また、0.1N−塩酸抽出液抽出液は多量のタンパク質および油脂を含む懸濁液であったため、0.1N−塩酸抽出液抽出液をそのまま用いてICP−AESおよびイムノクロマト法によるカドミウム分析を行うことはできなかった。
〔実施例2:小麦中のカドミウム測定〕
カドミウム汚染小麦を含む未知試料5検体について、硝酸−過塩素酸分解後、ICP−AESまたはICP−MS計測を行い、含有カドミウム量を求めた。具体的な方法については、特許文献2の図8〜10を参照のこと。なお、カドミウムが低濃度の場合にはICP−MSにより分析を行った。
その他の方法については実施例1と同様にした。ICP−AES(またはICP−MS)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表2に示す。
Figure 0005683931
表中の計測法の欄における「ICP」はICP−AESまたはICP−MSを意味する(以下の表において同じ)。
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AESまたはICP−MS計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたICP−AESおよびイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙によるろ過に2時間以上の長時間を要した。
〔実施例3:葱中のカドミウム測定〕
カドミウム汚染葱を含む未知試料5検体について、硝酸−過塩素酸分解後、ICP−AESまたはICP−MS計測を行い、含有カドミウム量を求めた。具体的な方法については、特許文献2の図8〜10を参照のこと。なお、カドミウムが低濃度の場合にはICP−MSにより分析を行った。
つぎに、同試料20gに対してイオン交換水30mLを添加して市販ジューサーで粉砕後、0.2N−塩酸50mLを添加して振とう抽出を行い、抽出液を得た。この抽出液のカドミウム濃度を、ICP−AESにより計測した。
この抽出液20mLに対して、夾雑物除去剤10gを添加してNo.2定性ろ紙でろ過し、葱抽出ろ過液を得た。これ以後の方法については実施例1および2と同様にした。ICP−AES(またはICP−MS)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表3に示す。
Figure 0005683931
表中の溶液の欄に「抽出液のみ」と記載された行は、夾雑物除去剤を添加する前の抽出液について、ICP−AESを行った結果である。
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AESまたはICP−MS計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたICP−AESおよびイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外は本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった(表中の「ND」で示す)。
〔実施例4:大豆中のカドミウム測定〕
粉砕した大豆2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成2)4gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い大豆抽出ろ液を得た。
この大豆抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測をそれぞれ行った結果を表4に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外は本実施例と同じ操作を行った場合、No.2定性ろ紙では濾過できず、大豆抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例5:ほうれん草中のカドミウム測定〕
ほうれん草の葉1枚を秤量後、ハサミで適当な大きさに切ってジューサーに入れ、ほうれん草の1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このほうれん草のジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、1分間、手で強く振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成2)4gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このほうれん草抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表5に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外は本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例6:里芋中のカドミウム測定〕
皮をむいた里芋1個を秤量後、適当な大きさに切ってジューサーに入れ、里芋の1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。この里芋のジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、1分間、手で強く振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成2)4gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
この里芋抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表6に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.2N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外は本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2 ろ紙では濾過できず、里芋抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例7:大豆中のカドミウム測定〕
大豆2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成3)5gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い大豆抽出ろ液を得た。
この大豆抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表7に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと場合は、No.2定性ろ紙では濾過できず、大豆抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例8:ほうれん草中のカドミウム測定〕
ほうれん草の葉1枚を秤量後、ハサミで適当な大きさに切ってジューサーに入れ、ほうれん草の1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このほうれん草のジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、1分間、手で強く振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成3)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このほうれん草抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表8に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外は本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例9:里芋中のカドミウム測定〕
皮をむいた里芋1個を秤量後、適当な大きさに切ってジューサーに入れ、里芋の1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。この里芋のジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、1分間、手で強く振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成3)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
この里芋抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表9に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外は本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙では濾過できず、里芋抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例10:ホタテ貝のウロ中のカドミウム測定〕
ホタテ貝のウロをペースト状に破砕後、試料を秤量して樹脂容器(広口密栓つき)に2g取り、0.1N−塩酸20mLを添加し、30分間振とう抽出を行った。
抽出液に、夾雑物除去剤(組成3)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このホテタ貝ウロ抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表10に示す。なお、イムノクロマト法による測定時にはホタテ貝のウロ中のカドミウム濃度が高濃度であったため、測定前に試料を5倍希釈して測定に供した。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例11:大豆中のカドミウム測定〕
大豆2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成4)5gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い大豆抽出ろ液を得た。
この大豆抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表11に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかった以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙では濾過できず、大豆抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例12:小麦中のカドミウム測定〕
小麦2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成4)5gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い小麦抽出ろ液を得た。
この小麦抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表11に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙によるろ過に2時間以上の長時間を要した。
〔実施例13:オクラ中のカドミウム測定〕
蔕部分を切り取ったオクラ1個の可食部を秤量後、ハサミで適当な大きさに切ってジューサーに入れ、オクラの1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このオクラのジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、30分間、振とう器で振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成5)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このオクラ抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表13に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.2N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかった以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例14:ピーマン中のカドミウム測定〕
蔕部分を切り取ったピーマン1個の可食部を秤量後、ハサミで適当な大きさに切ってジューサーに入れ、ピーマンの1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このピーマンのジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、30分間、振とう器で振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成5)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このピーマン抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表14に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.2N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例15:アスパラガス中のカドミウム測定〕
アスパラガス1本を秤量後、適当な大きさに切ってジューサーに入れ、アスパラガスの1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このアスパラガスのジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、30分間、振とう器で振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成6)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このアスパラガス抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表15に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.2N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例16:大豆中のカドミウム測定〕
粉砕した大豆2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成7)5gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い大豆抽出ろ液を得た。
この大豆抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測をそれぞれ行った結果を表16に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙では濾過できず、大豆抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例17:ほうれん草中のカドミウム測定〕
ほうれん草の葉1枚を秤量後、ハサミで適当な大きさに切ってジューサーに入れ、ほうれん草の1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このほうれん草のジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、1分間、手で強く振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成7)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このほうれん草抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表17に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。)
〔実施例18:里芋中のカドミウム測定〕
皮をむいた里芋1個を秤量後、適当な大きさに切ってジューサーに入れ、里芋の1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。この里芋のジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、1分間、手で強く振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成7)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
この里芋抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表18に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.2N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2 ろ紙では濾過できず、里芋抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例19:ホタテ貝のウロ中のカドミウム測定〕
ホタテ貝のウロをペースト状に破砕後、試料を秤量して樹脂容器(広口密栓つき)に2g取り、0.1N−塩酸20mLを添加し、30分間振とう抽出を行った。
抽出液に、夾雑物除去剤(組成7)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このホテタ貝ウロ抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表19に示す。なお、イムノクロマト法による測定時にはホタテ貝のウロ中のカドミウム濃度が高濃度であったため、測定前に試料を5倍希釈して測定に供した。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
〔実施例20:大豆中のカドミウム測定〕
大豆2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成8)20gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い大豆抽出ろ液を得た。
この大豆抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表11に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙では濾過できず、大豆抽出ろ過液が得られなかった。
〔実施例21:小麦中のカドミウム測定〕
小麦2gに対して0.1N−塩酸20mLを添加して30分抽出後、夾雑物除去剤(組成8)5gを添加して軽く振とう後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行い小麦抽出ろ液を得た。
この小麦抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表11に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.1N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかったこと以外本実施例と同じ操作を行った場合は、No.2定性ろ紙によるろ過に2時間以上の長時間を要した。
〔実施例22:アスパラガス中のカドミウム測定〕
アスパラガス1本を秤量後、適当な大きさに切ってジューサーに入れ、アスパラガスの1.5倍量(重量)のイオン交換水を加えた。ジューサーで5分程度破砕してジュース状にした。このアスパラガスのジュース10gを樹脂容器(広口密栓つき)に入れ、そこに10mLの0.2N−塩酸を加えた。
塩酸添加後、30分間、振とう器で振とうし、抽出を行った。抽出液に、夾雑物除去剤(組成9)5gを添加して軽く振とうした後、No.2定性ろ紙を用いて固液分離を行った。
このアスパラガス抽出ろ過液を、ダウエックス(登録商標)1×2を充填したカドミウム分離カラム装置に、1mL通液し、次に3mL0.1N塩酸で洗浄し、1mLのイオン交換水を通液してカドミウムを含む精製試料溶液を分離回収した。なお、上記分離は自然落下法により行われた。
ICP−AES(公定法)およびイムノクロマト法によってカドミウム濃度の計測を行った結果を表22に示す。
Figure 0005683931
硝酸−過塩素酸分解後の試料溶液を用いたICP−AES計測法による分析値と、本発明の夾雑物除去剤を用いて取得された試料溶液を用いたイムノクロマト法による分析値とは良好な一致を示した。
なお、0.2N−塩酸抽出液に本発明の夾雑物除去剤を添加しなかった以外本実施例と同じ操作を行った場合(つまり抽出液のみの場合)は、夾雑物の妨害により正常な計測値が得られなかった。
以上のように、本発明によれば、重金属(カドミウム等)を測定する際に重金属の測定を妨害する各種夾雑物(タンパク質、油脂、色素(葉緑素等)等)を簡便、迅速に測定試料から除去することができる。それゆえ、従来法に比して、簡便、迅速且つ正確な重金属(カドミウム等)測定を行うことができる。
それゆえ、カドミウムをはじめとする重金属の測定に関与する産業(分析機器、分析試薬、環境に関する産業、農林水産業全般等、環境に関する産業等)様々な産業に幅広く利用され得る。

Claims (15)

  1. 重金属測定用試料溶液に含まれる夾雑物を除去する方法であって、
    重金属測定用試料溶液に対して、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを添加する添加工程、
    前記添加工程後の重金属測定用試料溶液を固液分離する固液分離工程を含むことを特徴とする夾雑物除去方法。
  2. 上記添加工程において、
    アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、重金属非結合性の無機吸着剤と、無機凝集剤とを含んでなる夾雑物除去剤を、重金属測定用試料溶液に添加することを特徴とする請求項1に記載の夾雑物除去方法。
  3. 上記夾雑物除去剤は、
    アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を20〜90重量%、
    重金属非結合性の無機吸着剤を10〜35重量%、並びに
    無機凝集剤を0重量%を超え、35重量%以下含むものであることを特徴とする請求項2に記載の夾雑物除去方法。
  4. 上記添加工程において、
    重金属測定用試料溶液1Lに対して、上記夾雑物除去剤を10〜500g添加することを特徴とする請求項3に記載の夾雑物除去方法。
  5. 上記添加工程において、
    アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を70g/L以上、
    重金属非結合性の無機吸着剤を20〜500g/L、
    無機凝集剤を50g/L以上となるように、重金属測定用試料溶液に添加することを特徴とする請求項1に記載の夾雑物除去方法。
  6. 上記添加工程において、炭酸塩をさらに添加することを特徴とする請求項1に記載の夾雑物除去方法。
  7. 上記夾雑物除去剤は、炭酸塩をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の夾雑物除去方法。
  8. 上記重金属測定用試料溶液は、測定対象物の抽出物である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の夾雑物除去方法。
  9. 上記測定対象物は、農作物、水産物、畜産物、または、土壌であることを特徴とする請求項8に記載の夾雑物除去方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の夾雑物除去方法により夾雑物が除去された重金属測定用試料溶液について、重金属の検出および/または定量を行うことを特徴とする重金属の測定方法。
  11. 上記重金属の検出および/または定量は、イムノアッセイ法、ICP法、蛍光X線法、ボルタンメトリー法、または吸光法によって行われることを特徴とする請求項10に記載の重金属の測定方法。
  12. 重金属の検出および/または定量を行う前に、重金属測定用試料溶液から測定対象となる重金属を精製する工程をさらに含み、精製された重金属測定用試料溶液について重金属の検出および/または定量を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の重金属の測定方法。
  13. 重金属測定用試料溶液に含まれる夾雑物を除去するための夾雑物除去剤であって、
    アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と、
    重金属非結合性の無機吸着剤と、
    無機凝集剤とを含むことを特徴とする夾雑物除去剤。
  14. アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を20〜90重量%、
    重金属非結合性の無機吸着剤を10〜35重量%、並びに
    無機凝集剤を0重量%を超え、35重量%以下含むことを特徴とする請求項13に記載の夾雑物除去剤。
  15. 炭酸塩をさらに含む、請求項13または14に記載の夾雑物除去剤。
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