JP5679519B2 - 封止ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、金属製二重容器に用いられる封止ガラスに関し、特に500〜800℃の中温度域において、電気ポット、ランチジャー、保温調理鍋等の金属製二重容器の排気口を良好に封止可能な封止ガラスに関する。
図1は、金属製二重容器の一例である電気ポット10を示している。図1に示すように、電気ポット10は、外容器1と内容器2が重なり合うように配置されており、外容器1と内容器2が封止ガラス3で封止された構造を有している。また、電気ポット10は、外容器1と内容器2の間に中空部4が形成されており、中空部4は真空状態に保たれている。
図2は、図1の丸囲み部分における封止工程前の拡大概念図である。図2に示すように、封止ガラス3は、封止される前に、金属製二重容器に形成された凹部に収容された状態になっている。また、金属製二重容器の封止は、通常、金属の酸化を防止するために減圧雰囲気で行われる。
金属製二重容器に用いられる金属材質は、製造工程における熱処理や酸処理等に対する耐久性(耐熱性、耐酸性)、鋼材価格等によって選定される。これらの事項を総合的に勘案して、電気ポットの金属材質には、一般的なオーステナイト系(18%Cr・8%Ni)のSUS304ではなく、フェライト系(18%Cr)のSUS430、マルテンサイト系(12〜14%Cr)のSUS436やSUS403が用いられている。
また、金属製二重容器を作製する方法として、例えば、特許文献1には、外容器と内容器のいずれかに排気口を設けて、その排気口をろう材で封止する方法が開示されており、ガラス材料からなるろう材、つまり封止ガラスとして、ホウケイ酸鉛ガラスが開示されており、更に金属材料からなるろう材として、アルミニウム、錫、ニッケルが開示されている。
封止ガラスを用いると、封止温度の低温化による工程時間の短縮、鋼材の厚みの減少による軽量化等のメリットを享受でき、結果として、金属製二重容器のコストダウンを図ることができる。また、この用途の封止ガラスとして、鉛を多量に含むPbO−B系ガラスが広く使用されている(例えば、特許文献2参照)。これに対し、鉛を含有しない封止ガラスとして、SnO−P系ガラスが提案されている(例えば、特許文献3〜7参照)。
特開2000−166777号公報 特開2002−345655号公報 特開2005−350314号公報 特許第2628007号公報 特開2000−72479号公報 特開2001−139344号公報 特開2008−30972号公報
ところで、金属製二重容器、例えば電気ポットの場合、500〜800℃の中温度域で封止が行われる。しかし、上記のSnO−P系ガラスを用いて、500〜800℃の中温度域で封止すると、低融点であることに起因して、ガラス中に多数の気泡が発生し、結果として、長期間の使用により気泡からリークが生じて、封止部分の気密性が損なわれたり、封止部分が剥離する可能性が高くなる。
また、近年、PbO−B系ガラスの無鉛代替品として、Bi−B系ガラスが使用されている。しかし、Bi−B系ガラスは、減圧雰囲気の封止工程でビスマス成分が還元され易く、安定な状態を確保し難い性質を有している。なお、金属の封止(金属と金属、金属とセラミック、金属とガラス等の封着を含む)は、通常、金属の酸化を防止するために、減圧雰囲気等の非酸化雰囲気で行われる(例えば、特許文献8参照)。
そこで、本発明は、減圧雰囲気であっても、500〜800℃の中温度域で金属製二重容器を良好に封止可能なSnO−P系ガラスからなる封止ガラスを創案することにより、長期間に亘って、金属製二重容器の気密性を確保することを技術的課題とする。
本発明者は、種々の実験を行ったところ、SnO−P系ガラスのガラス組成範囲を厳密に規制することにより、減圧雰囲気であっても、500〜800℃の中温度域で金属製二重容器を良好に封止し得ると共に、封止時にガラスと金属の反応を適正化できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封止ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、SnO 15〜30%(但し、30%を含まず)、P 20〜40%、WO 5〜20%(但し、5%を含まず)、ZnO 3.4〜30%(但し、30%を含まず)を含有し、モル比SnO/ZnOが1以上4.5以下であると共に、金属製二重容器の封止に用いることを特徴とする。
本発明の封止ガラスは、上記のようにガラス組成範囲が規制されている。このようにすれば、500〜800℃の中温度域で良好に封止可能になる。即ち、500〜800℃の中温度域で適正に流動し、金属製二重容器の排気口を塞ぎつつ、ガラス中に多数の気泡が発生する事態を防止し得ると共に、封止ガラスが金属と適正に反応して、強固な接着性を確保することができる。また、減圧雰囲気で封止する場合であっても、封止部分の表面が失透、変質する事態を防止でき、結果として、長期間に亘って、金属製二重容器の気密性を確保することが可能になる。
第二に、本発明の封止ガラスは、実質的にPbOを含まないことが好ましい。このようにすれば、近年の環境的要請を満たすことができる。ここで、「実質的にPbOを含まない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
第三に、本発明の封止ガラスは、1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気における封止に用いることが好ましい。
第四に、本発明の封止ガラスは、500〜800℃における封止に供されることが好ましい。
第五に、本発明の封止ガラスは、ガラス転移点が350〜500℃であることが好ましい。なお、ガラス転移点は、押し棒式熱膨張計等で測定可能である。
第六に、本発明の封止ガラスは、滴下成形法で成形されてなることが好ましい。
第七に、本発明の封止ガラスは、成形後に切断加工されてなることが好ましい。このようにすれば、所望の形状に調整し易くなる。
電気ポットの構造を示す断面概略図である。 図1の丸囲み部分における封止工程前の拡大断面概略図である。
上記のように、SnO−P系ガラスのガラス組成範囲を限定した理由を以下に説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示はモル%を指す。
SnOは、ガラスの融点を下げる成分であり、その含有量は15〜30%(但し、30%を含まず)、好ましくは20〜28%である。SnOの含有量が15%より少ないと、ガラスの粘性が高くなって、中温度域で流動性が低下し易くなる。なお、SnOの含有量が20%以上であると、中温度域で流動性が向上するため、高い気密性を確保し易くなる。一方、SnOの含有量が30%より多いと、低温でガラスが軟化するため、封止時にガラスが流動し過ぎて、中温度域で金属製二重容器の排気口を封止し難くなる。
は、ガラス形成酸化物であり、その含有量は20〜40%、好ましくは25〜35%である。Pの含有量が20%より少ないと、ガラスが不安定になる。一方、Pの含有量が40%より多いと、耐湿性が低下する。なお、Pの含有量が25%以上であれば、ガラスがより安定化し、35%以下であれば、耐候性を高めることができる。
WOは、本発明の必須成分であり、金属との反応性を適正化して、接着強度や気密性を高める成分である。また、WOを添加すると、耐候性が向上するため、封止部分の長期信頼性を高めることができる。WOの含有量は5〜20%(5%を含まず)、好ましくは10〜15%である。WOの含有量が5%以下であると、上記効果を得ることができない。一方、WOの含有量が20%より多いと、溶融時に分相傾向が強くなり、ガラスが不安定になる。なお、WOの含有量が10〜15%であると、中温度域において流動性が向上する。また、WOの含有量が5%より多いと、上記効果を享受できるが、大気雰囲気で封止する場合、封止時にガラスが失透し易くなる。このため、本発明の封止ガラスは、1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気における封止に用いることが好ましい。
ZnOは、中間酸化物であり、またガラスを安定化させる効果が大きい成分であり、その含有量は3.4〜30%(但し、30%を含まず)、好ましくは5〜28%である。全体的なガラスの安定性(耐失透性、分相性等)を考慮すると、ZnOの含有量は5%以上が好ましい。しかし、ZnOの含有量が30%以上になると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、封止時にガラスの表面に失透が発生し易くなる。なお、ZnOの含有量が28%以下になると、中温度域においてガラスの安定性が向上する。
モル比SnO/ZnOは1以上4.5以下、好ましくは1以上4以下である。モル比SnO/ZnOが1より小さいと、ガラスが不安定になり易い。一方、モル比SnO/ZnOが4.5より大きいと、封止時にガラスが流動し過ぎて、中温度域で金属製二重容器の排気口を封止し難くなると共に、ガラス中に気泡が発生し易くなる。
任意成分として、以下の成分を添加することができる。
MgOは、網目修飾酸化物であり、またガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は0〜20%、特に0〜5%が好ましい。MgOの含有量が20%より多いと、封止時にガラスの表面に失透が発生し易くなる。
Alは、中間酸化物であり、またガラスを安定化させる成分であり、更に熱膨張係数を低下させる成分である。Alの含有量は0〜10%、特にガラスの安定性、熱膨張係数、流動性等を考慮すると、0.5〜5%が好ましい。Alの含有量が10%より多いと、軟化温度が上昇して、中温度域で流動性が低下し易くなる。
SiOは、ガラス形成酸化物であり、また失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜15%、特に0〜8%が好ましい。SiOの含有量が15%より多いと、軟化温度が上昇して、中温度域で流動性が低下し易くなる。
は、ガラス形成酸化物であり、またガラスを安定化させる成分であり、その含有量は0〜25%である。Bの含有量が25%より多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、封止時に流動性が著しく低下して、封止部分の気密性が損なわれるおそれがある。特に、本発明に係るガラス組成系において、Bの含有量が25%より多いと、ガラスが分相し易くなる。なお、Bは、ガラスの粘性を高くする傾向が強い。このため、軟化温度を大幅に低下させたい場合は、実質的にBを含有しないこと、つまり0.1%以下が好ましい。
O(RはLi、Na、K、Csのいずれか)は、必須成分ではないが、RO成分の内、少なくとも1種類を添加すると、ステンレス等の金属との接着性が向上する。ROの含有量は0〜20%、特に0.1〜10%が好ましい。ROの含有量が20%より多いと、封止時にガラスが失透し易くなる。また、LiO、NaO、KO、CsOの含有量は、各々0〜12%、特に0.1〜10%が好ましい。なお、RO成分の内、LiOは、金属との接着性を高める効果が大きい。
ランタノイド酸化物は、網目修飾酸化物であり、その含有量は0〜25%、0.1〜20%、特に0.5〜15%が好ましい。ランタノイド酸化物の含有量が25%より多いと、封止温度が高くなって、中温度域で流動性が低下し易くなる。なお、ランタノイド酸化物として、La、CeO、Nd等が使用可能である。また、ランタノイド酸化物の含有量を0.1%以上にすれば、耐候性を高めることができる。
ランタノイド酸化物に加えて、他の希土類酸化物、例えばYを添加すると、耐候性を更に高めることができる。ランタノイド酸化物を除く希土類酸化物の含有量は合量で0〜5%が好ましい。
さらに、ガラスを安定化させるために、MoO、Nb、TiO、ZrO、CuO、MnO、In、R’O(R’はMg、Ca、Sr、Baのいずれか)等を合量で35%まで添加してもよい。なお、これらの成分の含有量が合量で35%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが不安定になり、封止ガラスの製造が困難になる。なお、これらの成分の含有量が合量で25%以下であれば、ガラスが不安定になり難い。
MoOの含有量は0〜20%、特に0〜10%が好ましい。MoOの含有量が20%より多いと、ガラスの粘性が高くなって、中温度域でガラスが流動し難くなる。
Nb、TiO、ZrOの含有量は各々0〜15%、特に0〜10%が好ましい。これらの成分が各々15%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが不安定になり易い。
CuO、MnOの含有量は各々0〜10%、特に0〜5%が好ましい。これらの成分が各々10%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが不安定になり易い。
Inは、コストを度外視した場合、高度な耐候性を得る目的で使用可能な成分である。Inの含有量は0〜5%が好ましい。
R’Oの含有量は合量で0〜15%、特に0〜5%が好ましい。R’Oの含有量が合量で15%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが不安定になり易い。
なお、上記成分以外にも、他の成分を例えば5%まで添加することができる。また、上記の通り、環境的観点から、実質的にPbOを含まないことが好ましい。
以上のガラス組成を有するSnO−P系ガラスは、ガラス転移点が約350〜500℃、屈伏点が約380〜530℃、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数が約60×10−7〜110×10−7/℃であり、また1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気において、500〜800℃の温度範囲で良好に金属製二重容器の排気口を封止可能である。
本発明の封止ガラスにおいて、ガラス転移点は350〜500℃、特に400〜450℃が好ましい。ガラス転移点が350℃より低いと、中温度域でガラスが流動し過ぎて、金属製二重容器の排気口を封止し難くなると共に、ガラス中に気泡が発生し易くなる。一方、ガラス転移点が500℃より高いと、軟化温度が上昇して、中温度域で流動性が低下し易くなる。
本発明の封止ガラスにおいて、屈伏点は380〜530℃、特に440〜480℃が好ましい。屈伏点が380℃より低いと、中温度域でガラスが流動し過ぎて、金属製二重容器の排気口を封止し難くなると共に、ガラス中に気泡が発生し易くなる。一方、屈伏点が530℃より高いと、軟化温度が上昇して、中温度域で封止し難くなる。なお、屈伏点は、押し棒式熱膨張計等で測定可能である。
本発明の封止ガラスにおいて、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数は60×10−7〜110×10−7/℃、特に70×10−7〜85×10−7/℃が好ましい。このようにすれば、ステンレス等の金属の熱膨張係数に整合し易くなるため、封止部分にかかる応力を低減することができる。なお、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数は、押し棒式熱膨張計等で測定可能である。
本発明の封止ガラスは、種々の金属製二重容器に対して、良好に封止可能である。また、本発明の封止ガラスは、封止時に金属の酸化を防止するために、1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気における封止に用いることが好ましい。
本発明の封止ガラスは、熱膨張係数の調整のために、フィラー粉末を添加して、複合化して使用してもよい。フィラー粉末を混合する場合、その混合量は封止ガラス(ガラス粉末)45〜100体積%、フィラー粉末0〜55体積%が好ましい。フィラー粉末の含有量が55体積%より多いと、相対的にガラス粉末の割合が少なくなり、必要な流動性を確保し難くなる。
フィラー粉末として、種々の材料が使用可能であり、例えば石英、コージエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム、ウイレマイト、ムライト等が使用可能である。またNbZr(PO系セラミック粉末は、成分中にリン酸を含有するため、SnO−P系ガラスと適合性が良好である。なお、NbZr(PO系セラミック粉末は、焼結助剤としてMgOが少量(例えば、0.1〜2質量%)添加されていることが好ましい。
以下、本発明の封止ガラスの製造方法について詳述する。
本発明の封止ガラスおよびこれを用いた複合材料の作製には、まず上記のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した後、850〜1000℃で溶融して、溶融ガラスを作製する。本発明に係るガラス組成範囲の場合、大気中で溶融しても支障はないが、溶融時にガラス組成中のSnOがSnOに酸化されないように留意する必要がある。ガラス組成中のSnOがSnOに酸化する事態を防止するため、N中で溶融したり、溶融ガラス中にNバブリングする等、非酸化性雰囲気で溶融することが好ましい。また、実験室レベルの溶融の場合、溶融坩堝に蓋をして溶融することが、作業性の観点から好ましい。
溶融炉(溶融坩堝)材質として、白金およびその合金、ジルコニウムおよびその合金、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア等の耐火物を使用することができる。
金属製二重容器に用いる封止ガラスは、耐火性フィラーを混合せずに、ガラス単独で使用される場合が多い。この場合、(1)溶融ガラスを棒状に引き出して、所定長に切断したり、(2)所定体積の溶融ガラスを成形型に滴下して、所定の大きさに成形したり、(3)塊状に成形後、固化することにより、封止ガラスを作製することができる。なお、塊状の封止ガラスは、所定の大きさに切り出された後に使用に供される。本発明の封止ガラスは、ガラス単独で使用される場合、直方体、円柱、球、楕円球、半球、卵型、おはじき形状等の形状が好ましい。また、この場合、後述の脱バインダー等が不要になり、封止工程の簡略化を図ることができるが、ペースト化できないため、金属製二重容器の封止すべき部分、特に排気口に封止ガラスを設置するための凹部を設けることが好ましい。
本発明の封止ガラスは、滴下成形法(上記の(2)の方法)で成形されてなることが好ましい。この方法を用いると、切断等の機械加工を省略、或いは簡略化できるため、封止ガラスを安価に作製することができる。なお、溶融ガラスの滴下後に、成形型等で溶融ガラスを加圧すれば、封止ガラスの高さ等を所望の範囲に調整することができる。
滴下成形法の場合、滴下用のノズルが必要になり、溶融炉とノズルを溶接する必要がある。溶融炉とノズルの溶接性を考慮すれば、溶融炉材質およびノズル材質として、白金およびその合金、ジルコニウムおよびその合金が好適である。
滴下成形法の場合、ノズル外径と溶融ガラスの粘度を調整すれば、封止ガラスの体積を制御することができる。金属製二重容器の排気口を封止する場合、封止ガラスの体積は、排気口の周辺に形成された凹部の体積と同等以下であることが好ましい。封止ガラスの体積が凹部の体積より大き過ぎると、封止ガラスと金属(例えば、SUS430系)の膨張差に起因して、封止ガラス部分に亀裂が入りやすくなり、中空部の気密性を維持し難くなる。また、封止ガラスの体積が、排気口に到達する最小限の体積であると、排気口を確実に封止できないおそれが生じる。以上の点を考慮すると、封止ガラスの体積は、排気口の周辺に形成された凹部の体積の50〜120%が好ましい。
本発明の封止ガラスは、金属製二重容器に形成された凹部に収容された上で、封止工程に供されることが好ましい。このようにすれば、封止ガラスを安定して載置できると共に、排気口を効率良く封止することができる。
本発明の封止ガラスは、電気ポット、ランチジャー、保温調理鍋の封止に用いることが好ましく、特に電気ポットの封止に用いることが好ましい。これらの金属製二重容器は500〜700℃の中温度域で封止されるため、本発明の封止ガラスが好適である。
本発明の封止ガラスは、金属材質がフェライト系(18%Cr)のSUS430、或いはマルテンサイト系(12〜14%Cr)のSUS436やSUS403である金属製二重容器に用いることが好ましい。これらの金属材質は500〜700℃の中温度域で封止される場合が多いため、本発明の封止ガラスが好適である。
以下、ペースト材料を用いて、金属製二重容器を封止する方法を説明する。溶融ガラスをフィルム形状に成形した後、粉砕、分級することにより、粉末形状に加工する。得られたガラス粉末に対し、フィラー粉末を混合すると、複合粉末を作製することができる。次に、得られたガラス粉末又は複合粉末(着色剤を含む場合が多い)とビークルを混練して、ペースト材料を作製する。
ビークル中の樹脂として、脂肪族ポリオレフィン系カーボネート、特にポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。これらの樹脂は、封止時にSnO−P系ガラスを変質させ難い性質を有する。一方、樹脂として、汎用のエチルセルロースを用いると、SnO−P系ガラスが変質する可能性が高い。ビークル中の溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンから選ばれる一種または二種以上が好ましい。これらの溶媒は、封止時にSnO−P系ガラスを変質させ難い性質を有する。
続いて、金属の表面にペースト材料を塗布して、乾燥する。ペースト材料の塗布は、ディスペンサー、スクリーン印刷機等を使用すればよい。次に、必要に応じて、脱バインダーのために焼成(一次焼成)を行った後、更に焼成(二次焼成)して、金属製二重容器を封止する。ここで、一次焼成は、SnO−P系ガラスの変質を防止するため、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気、特に窒素雰囲気で行うことが好ましい。また、ガラス粉末又は複合材料が金属の接着表面を濡らすのに十分な条件で二次焼成を行う必要がある。
本発明の封止ガラスは、1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気における封止に用いることが好ましい。1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気であれば、中空部の真空度を保ちつつ、金属の酸化を防止することができる。また、金属の酸化を確実に防止するため、1.0×10−3Torr以下の減圧雰囲気で封止することが更に好ましい。一方、圧力が1.0×10−2Torrより大きいと、封止時にガラスが失透、変質し易くなる。なお、1.0×10−2Torr以下の減圧であれば、一般的に使用されるロータリーポンプで到達可能である。
金属製二重容器の実生産において、中空部の真空度を高めるために、油拡散ポンプ(ディフュージョンポンプ)で封止雰囲気を減圧する場合が多い。この場合、封止雰囲気の真空度は1.0×10−3Torr以下となる。封止雰囲気の真空度の上限は特に制限されない。なお、ロータリーポンプとターボ分子ポンプを併用することにより、1.0×10−6Torrに減圧して、封止試験を行ったところ、本発明の封止ガラスに失透、変質が認められなかったことが確認されている。但し、実生産上、封止雰囲気の真空度は、封止ガラスや金属からの放出ガスの影響により、1.0×10−6Torr以下とすることは困難である。
本発明の封止ガラスは、500〜800℃、特に550〜700℃における封止に供されることが好ましい。このようにすれば、接着強度や気密性を高めることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明の封止ガラスを詳述する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1、2は本発明の実施例(No.1〜11)を示し、表3は比較例(No.12〜16)を示している。
次のようにして、各試料を調製した。まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した。また、リンの導入原料として、液体原料である正リン酸(オルトリン酸)を使用せず、ピロリン酸第一錫及びメタリン酸亜鉛を用いて、リンの導入原料をすべて固体原料とした。リンの導入原料をすべて固体原料にすると、他のガラス系と同様の製造設備を使用できるという利点がある。なお、リンの導入原料として、液体原料を直接溶融炉に入れて溶融すると、噴きこぼれの問題が発生し易くなる。そして、噴きこぼれの問題を回避するには、一旦、ガラス原料を乾燥しなければならない。
次に、調合したガラス原料を950℃で2時間溶融した。なお、溶融の際に、SnOの酸化を抑制するために、溶融炉内に窒素を流した。窒素流入時の溶融炉内の残存酸素濃度は1%以下であった。
続いて、カーボン冶具を用いて、溶融ガラスを直径5mm、長さ20mmの円柱状に成形した。この成形試料をアニール処理し、押し棒式熱膨張計(TMA、リガク製)により、ガラス転移点、屈伏点、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数を測定した。また、同様の円柱状の試料(アニール済み)を長さ3mmに加工して、接着性の評価に使用した。
次のようにして、接着性の有無を評価した。評価用金属として、高耐熱性のフェライト系のSUS430を使用した。評価用金属の形状は40mm×40mmの平板形状とした。次に、この金属板上に、上記の評価用試料を載せて、表中の「減圧焼成」で焼成した。
表中の「減圧焼成」は、絶えずロータリーポンプによって減圧しながら、焼成したものである。減圧焼成時には、封止ガラスから発生した発泡ガスによる圧力の変動があったが、圧力ゲージにより、その圧力が1.0×10−2Torr以下であることを確認した。なお、焼成条件は、焼成温度650℃で10分間保持、室温から焼成温度までの昇温速度20℃/分、室温までの降温速度15℃/分であった。
表から明らかなように、試料No.1〜11は、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数が69.6×10−7〜83.7×10−7/℃、ガラス転移点が402〜431℃、屈伏点が416〜472℃であり、また減圧焼成後に失透、変質がなく、金属と良好な接着性を示していた。よって、試料No.1〜11は、金属製真空二重容器に用いる封止ガラスとして好適であった。
一方、試料No.12、13、16は、減圧焼成後に失透、変質がなかったが、金属との接着性がなく、封止後に金属板から剥がれ落ちてしまった。試料No.14は、減圧焼成後に失透、変質がなかったが、モル比SnO/ZnOが5より大きいため、金属板上で過剰に流動して、金属板からガラスがはみ出してしまい、接着性の評価を行うことができなかった。なお、試料No.14は、流動が過剰であるため、中温度域で金属製二重容器の排気口を封止できないものと考えられる。試料No.15は、減圧焼成後に失透、変質がなかったが、金属板上で殆ど流動しなかったため、接着性の評価を行うことができなかった。
本発明の封止ガラスは、電気ポット、ランチジャー、保温調理鍋等の金属製二重容器に好適に使用可能である。
1 外容器
2 内容器
3 封止ガラス
4 中空部
10 電気ポット

Claims (7)

  1. ガラス組成として、モル%表示で、SnO 15〜30%(但し、30%を含まず)、P 20〜40%、WO 5〜20%(但し、5%を含まず)、ZnO 3.4〜30%(但し、30%を含まず)を含有し、モル比SnO/ZnOが1以上4.5以下であると共に、金属製二重容器の封止に用いることを特徴とする封止ガラス。
  2. PbOの含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の封止ガラス。
  3. 1.0×10−2Torr以下の減圧雰囲気における封止に用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の封止ガラス。
  4. 500〜800℃における封止に供されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の封止ガラス。
  5. ガラス転移点が350〜500℃であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の封止ガラス。
  6. 滴下成形法で成形されてなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の封止ガラス。
  7. 成形後に切断加工されてなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の封止ガラス。

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