JP5673550B2 - 画像修復システム、画像修復方法及び画像修復プログラム - Google Patents

画像修復システム、画像修復方法及び画像修復プログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像修復システム、画像修復方法および画像修復プログラムに関し、特に利用者の意図と異なる画像中の領域を修復する画像修復システム、画像修復方法及び画像修復プログラムに関する。
コンテンツを作成するために画像を利用する場合、その画像中に利用者の意図と反する領域が存在する場合がある。利用者の意図と反する領域の具体的な例としては、画像中の傷や汚れ、もしくは、撮影中に写りこんでしまった人物などが挙げられる。このような領域を含む画像を修正することなくコンテンツ作成に利用した場合、コンテンツの質の低下、もしくは、プライバシーの侵害といった問題を生じさせる可能性がある。このような問題を解決するため、利用者は、意図と反する領域を画像中から取り除き、取り除かれた部分を違和感無く修復した画像を用いてコンテンツを作成すればよい。
図20を用いてより詳しく説明する。図20は、利用者の意図と反する領域を修復する方法を示す説明図である。図20において、画像2000は、画像修復前の画像を表しており、画像2002は画像修復後の画像を表している。例えば、画像利用者にとって、画像2000中の領域2001が利用者の意図と反する領域である場合、画像2000から領域2001の部分を取り除き、さらに取り除かれた部分を2003のように周囲の画像に応じて修復する。このように修復された画像を利用することで、上述の問題を解決することができる。
このように画像を修復する場合、画像中のある領域に含まれる画素の集合(以下、パッチと記す。)を利用する手法が有効である。以下の説明では、画像中で修復対象になる領域(すなわち、利用者の意図と異なる領域)を欠損領域と記し、欠損領域が含まれる画像を欠損画像と記す。また、欠損画像中の欠損領域以外の領域(すなわち、欠損領域を含まない画像中の領域)を非欠損領域と記す。パッチを利用した手法では、欠損領域中の修復したい箇所に、画像中の非欠損領域のある箇所の画素値を貼り付けることで画像を修復する。
欠損領域を有する画像をパッチを利用して修復する方法について、図21及び図22を用いてより詳しく説明する。図21は、修復前の画像を表す説明図である。また、図22は修復後の画像を表す説明図である。以下、図21に示す、修復される領域101を含む画像102が、図22に示す画像105の状態に修復されるプロセスについて具体的に説明する。図21における画像102には、欠損領域として箇所103、箇所106及び箇所107が存在し、非欠損領域として箇所104、箇所108及び箇所109が存在する。まず、画像102中の欠損領域である箇所103に、非欠損領域の箇所104の画素値を対応付ける。そして、箇所104を用いて箇所103を修復することで、欠損領域101の一部が修復された画像105を得ることができる。このようなプロセスを欠損領域がなくなるまで繰り返すことで、図22のような修復された画像110が得られる。
なお、以下の説明では、箇所103のように、画像中に修復される箇所(すなわち、欠損領域)を含む小領域を欠損パッチと記し、箇所104のように欠損パッチの修復箇所を修復するために利用される小領域を参照パッチと記す。参照パッチは、欠損パッチを修復する範囲に対応する領域であり、欠損領域を含まない領域である。欠損パッチとしては、箇所103以外に、箇所106や箇所107などが候補として挙げられる。以下の説明では、これらの候補を欠損パッチ候補と記す。同様に、参照パッチとしては、箇所104以外に、箇所108や箇所109などが候補として挙げられる。以下の説明では、これらの候補を参照パッチ候補と記す。
パッチを利用した技術として、例えば、非特許文献1に記載された方法が知られている。非特許文献1に記載された方法は、欠損領域の境界上でのみ定義される欠損パッチ候補から、非欠損領域の輝度勾配などを元に修復する欠損パッチや修復順序を決定する。そして、決定された欠損パッチと参照パッチ候補との間で、非欠損領域における画素値の差分により得られる類似度を元に参照パッチを決定する。以下、これらの処理を逐次的に行うことで画像を修復する。
図23を用いて、非特許文献1に記載された方法についてより詳しく説明する。図23は、非特許文献1に記載された方法を説明する説明図である。図23における画像300のような欠損画像が存在するとき、非特許文献1に記載された方法では、まず、欠損領域の境界上でのみ定義される欠損パッチ候補から、非欠損領域の輝度勾配などの情報より修復対象の欠損パッチを選択する。具体的には、欠損領域上のパッチ候補であるパッチ301、パッチ302、パッチ303などから、非欠損領域の輝度勾配などの情報より、修復対象として欠損パッチ301が選択される。
次に、欠損パッチ301と参照パッチ候補(例えば、パッチ304、パッチ305、パッチ306など)との類似度を計算し、類似度が最も高い参照パッチ304を選択する。なお、類似度は、欠損パッチ301の非欠損領域部分と最も近いパターンを持つ参照パッチが高い値を持つように定義される。具体的には、類似度は、欠損パッチ301における非欠損領域の画素と、その画素に対応する参照パッチの画素との画素値の差分の二乗和により定義される。最後に、欠損パッチ301の非欠損領域の画素の画素値を、選択された参照パッチ304の画素値に置き換えることで、画像307を得る。以上の処理を欠損領域がなくなるまで繰り返すことで、修復された画像を得ることができる。
図24は、欠損パッチの画素に対応する参照パッチの画素について説明する説明図である。上述した欠損パッチの画素に対応する参照パッチの画素とは、例えば、図24に示すように、5×5画素で構成されている欠損パッチ2101及び参照パッチ2102が存在する場合、欠損パッチの画素に対応する参照パッチの画素とは、画素2103に対応する画素が画素2104であり、画素2105に対応する画素が画素2106であることを意味する。
また、非特許文献1の方法を改良した手法として、非特許文献2に記載された方法が知られている。非特許文献2に記載された方法では、欠損パッチを選択する際に、輝度勾配量に加え、以前に選択された欠損パッチ及び参照パッチ間の類似度も考慮される。
A.Criminisi, P.Perez, and K.Toyama, "Region filling and object removal by exemplar-based image inpainting" IEEE Trans. Image Processing, vol.13, no.9, pp.1200−1212, 2004. B. Li, Y. Qi, and X. Shen, "An Image Inpainting Method," IEEE Conf. Computer Aided Design and Computer Graphics, pp 531−536, 2005.
しかし、非特許文献1及び非特許文献2に記載された技術は、いずれも、参照パッチ候補の画素値及び欠損パッチ候補中の非欠損領域の画素値のみを用いて、修復順序、もしくは、欠損パッチ候補と参照パッチ候補の類似度を決定する。そのため、欠損パッチ中の非欠損領域と、これに対応する参照パッチの領域を比較したときに、欠損パッチ中の非欠損領域とパターンが類似しているものが参照パッチ候補中に複数存在する場合、これら参照パッチ候補の区別をすることができない。そのため、参照パッチ候補の中から、修復画像を破綻させる参照パッチが選択される可能性がある。ここで、破綻した修復画像とは、欠損領域外から類推される構造とは異なる構造をもつ画像のことを意味する。
図25及び図26は、修復画像を破綻させる参照パッチが選択される場合を説明する説明図である。図25に示す欠損画像には、欠損領域401が含まれる。このような画像に対し、非特許文献1に記載された手法を用いて画像修復を行った場合、図26に示す破綻した修復画像が生成されてしまう。
以下、図27を用いて、修復画像が破綻する原因についてより詳しく説明する。図27は、欠損画像から破綻した修復画像が生成される過程を示す説明図である。図27では、図25に示す場合と同様に、欠損画像に欠損領域601を含んでいるものとする。非特許文献1に記載された手法により画像修復を行う場合、まず、画像中の輝度勾配量により、修復する領域として欠損パッチ602が選択される。次に、欠損パッチ602の欠損領域を修復するために、参照パッチが選択される。ここでは、参照パッチ候補がパッチ603及びパッチ604であるものとする。
図28は、拡大したパッチを示す説明図である。図28では、図27に示す欠損パッチ602、参照パッチ候補であるパッチ603及びパッチ604を拡大したものを、それぞれ欠損パッチ602a、参照パッチ候補603a、参照パッチ候補604aと記す。この場合、欠損パッチ602aにおける非欠損領域602bと、参照パッチ候補603aにおける領域603及び参照パッチ候補604aにおける領域604bとのパターンは類似している。
非特許文献1に記載された手法では、修復に用いられる参照パッチを選択する際、欠損パッチと参照パッチ候補とを比較し、対応する非欠損領域のパターンの類似度のみにより決定する。よって、図28に示す場合では、参照パッチ候補603及び参照パッチ候補604のどちらも、修復に利用されるパッチとして選択される可能性が高い。しかし、参照パッチ候補604が参照パッチとして選択され、参照パッチ候補604を用いて欠損パッチ602の欠損領域が修復された場合、図27における画像605のように、修復画像に破綻が生じてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、利用者の意図と異なる領域の存在する画像を破綻させることなく修復可能な画像修復システム、画像修復方法及び画像修復プログラムを提供することを目的とする。
本発明による画像修復システムは、画像中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する欠損画素値推定手段と、欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択するパッチ選択手段と、選択されたパッチの組における参照パッチをもとに欠損パッチを修復する画像修復手段とを備え、パッチ選択手段が、欠損パッチにおける欠損領域の画素値に推定された画素値を用い、当該欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較して、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組を選択することを特徴とする。
本発明による画像修復方法は、画像中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定し、欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択し、パッチの組を選択する際には、欠損パッチにおける欠損領域の画素値に推定された画素値を用い、当該欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較して、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組を選択し、選択されたパッチの組における参照パッチをもとに欠損パッチを修復することを特徴とする。
本発明による画像修復プログラムは、コンピュータに、画像中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する欠損画素値推定処理、欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択するパッチ選択処理、および、選択されたパッチの組における参照パッチをもとに欠損パッチを修復する画像修復処理を実行させ、パッチ選択処理で、欠損パッチにおける欠損領域の画素値に推定された画素値を用い、当該欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較して、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組を選択させることを特徴とする。
本発明によれば、利用者の意図と異なる領域の存在する画像を破綻させることなく修復できる。
本発明の第1の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。 入力された画像から欠損領域を抽出するために用いられる処理の例を示す説明図である。 解析された情報をもとに確率分布を算出する方法の例を示す説明図である。 欠損パッチ候補及び参照パッチ候補の例を示す説明図である。 参照パッチを選択する方法の例を示す説明図である。 第1の実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。 第2の実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。 第3の実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。 第4の実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。 第5の実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。 画像を修復する処理の例を説明する説明図である。 エッジの端点における角度と長さとの関係を説明する説明図である。 エッジ周辺の画素の画素値を修復する処理の例を示す説明図である。 欠損領域中の画素の画素値を修復する処理の例を示す説明図である。 本発明による画像修復システムの最小構成例を示すブロック図である。 利用者の意図と反する領域を修復する方法を示す説明図である。 修復前の画像を表す説明図である。 修復後の画像を表す説明図である。 非特許文献1に記載された方法を説明する説明図である。 欠損パッチの画素に対応する参照パッチの画素について説明する説明図である。 修復画像を破綻させる参照パッチが選択される場合を説明する説明図である。 修復画像を破綻させる参照パッチが選択される場合を説明する説明図である。 欠損画像から破綻した修復画像が生成される過程を示す説明図である。 拡大したパッチを示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。本実施形態における画像修復システムは、プログラム制御により動作するコンピュータ800と、画像入力手段801と、修復画像出力手段802とを備えている。
これらの手段は、それぞれ概略次のように動作する。画像入力手段801は、例えば、利用者の指示に応じて、欠損領域を含む画像(欠損画像)をコンピュータ800に入力する。画像入力手段801は、例えば、スキャナなどの入力装置により実現される。なお、画像入力手段801に入力される欠損画像は、欠損領域が明らかになるように、その欠損領域が予めマーカーなどを用いて指定された欠損画像であってもよい。
もしくは、入力画像がRGB(Red-Green-Blue color model)信号により表現されるRGB画像であり、例えば、欠損領域の画素値が(R、G、B)=(255、0、0)と定義される場合、画像入力手段801は、欠損領域の画素にこの画素値が与えられた欠損画像を受け取り、コンピュータ800に入力してもよい。あるいは、画像入力手段801は、欠損領域を含む画像(欠損画像)とともに、欠損領域か否かを示す2値のマスク画像を受け取り、コンピュータ800に入力してもよい。なお、以下の説明では、欠損画像中の画素を画素iと記すこともある。
修復画像出力手段802は、コンピュータ800が修復した画像を出力する。画像入力手段801は、例えば、ディスプレイなどの出力装置により実現される。
コンピュータ800は、欠損領域抽出手段803と、フレームメモリ804と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806と、画像修復手段807とを備えている。
欠損領域抽出手段803は、画像入力手段801に入力された画像、もしくは、後述の画像修復手段807が修復した画像から欠損領域の画素を抽出する。すなわち、欠損領域抽出手段803は、欠損画像から欠損領域を抽出する。例えば、欠損領域が予めマーカーなどにより指定された欠損画像が入力された場合、欠損領域抽出手段803は、例えば、コンピュータ800の画像記憶手段(図示せず)に記憶されているマーカーの色を識別する値をもとに、欠損画像から欠損領域を抽出すればよい。具体的には、マーカーで指定された欠損領域の画素値がRGB信号として、(R、G、B)=(255、0、0)と定義されている場合、欠損領域抽出手段803は、その画素値を持つ画素を欠損領域として抽出すればよい。
また、利用者によって欠損領域が指定されていない場合、欠損領域抽出手段803は、利用者の意図と反する画像中の領域を自動的に検出し、その領域を欠損領域として抽出すればよい。より具体的には、欠損領域抽出手段803は、例えば、画像分割技術、一般物体認識技術、もしくは、特定物体認識技術などを用いて物体を認識し、その物体に含まれる画素をもとに欠損領域を判断してもよい。あるいは、欠損領域抽出手段803は、画像中のノイズもしくはボケを抽出する処理を行うことで、入力された欠損画像中のノイズもしくはボケが発生している領域を抽出し、この領域を欠損領域としてもよい。
以下、画像分割技術、一般物体認識技術、及び、特定物体認識技術について、図2を用いて説明する。図2は、入力された画像から欠損領域を抽出するために用いられる処理の例を示す説明図である。まず、画像分割技術について説明する。画像分割技術は、例えば、図2(a)に例示する画像を、図2(b)に例示するように、関係がありそうな画素同士を画素の色の情報などをもとにグループ化し、領域を分割する技術である。画像分割技術としては、「interactive Graph Cuts」などが挙げられる。
一般物体認識技術は、制約のない実世界シーンの画像に対し、その中に含まれる物体を一般的な名称で計算機に認識させる技術である。一般物体認識技術は、例えば、図2(a)に例示する画像を、図2(c)に例示するように、「人」、「川」、「森」、「空」などと計算機に認識させる技術である。一般物体認識技術を適用した具体的な方法として、自然シーン画像中の領域の配置の関係を学習して認識したい各クラスについてテンプレートを自動構築し、その自動構築されたテンプレートから画像を識別する方法などが挙げられる。
特定物体認識技術は、例えば、図2(a)に例示する画像を、図2(d)に例示するように、画像中のある部分(本例では、網掛けの領域)に特定の物体(ここでは、人)が存在していることを計算機に認識させる技術である。特定物体認識技術は、一般物体認識技術のように全ての物体を計算機に認識させるのではなく、人などの特定の物体を計算機に認識させる技術である。特定物体認識技術を適用した具体的な方法として、撮影された物の輪郭など、濃淡が変化する部分のヒストグラム(HOG:Histograms of Oriented Gradients)を用いて人物を検出する方法などが挙げられる。
次に、画像中のノイズ或いはボケを抽出する処理について説明する。画像中のノイズを抽出する処理としては、画像の高周波成分を抽出するフィルタ(すなわち、ハイパスフィルタ)を適用する方法などが挙げられる。また、画像中のぼけている領域は、その他の領域に比べて高周波成分が少ないという特徴がある。そこで、画像中のボケは、画像にハイパスフィルタなどを適用し、高周波成分が少ない領域をぼけている領域とすることでボケを抽出することができる。
フレームメモリ804は、欠損領域抽出手段803に入力された欠損画像及び抽出された欠損領域を示す情報を記憶する。フレームメモリ804は、欠損画像の欠損領域を示す情報を記憶する方法として、例えば、欠損領域の画素を記憶する方法を用いてもよい。もしくは、フレームメモリ804は、欠損領域か否かで2値化したマスク画像を記憶してもよい。フレームメモリ804は、例えば、コンピュータ800が備える磁気ディスク装置等によって実現される。
欠損画素値推定手段805は、画像中の欠損領域について、各画素が取りうる画素値を、非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する。画素値を推定する方法としては、例えば、画素ごとに画素値の確率分布を算出する方法が適用できる。すなわち、欠損画素値推定手段805は、画素ごとに画素値の確率分布を算出し、その確率分布により導出される確率がより高い画素値を、欠損領域の画素の画素値と推定してもよい。
欠損画素値推定手段805は、例えば、欠損領域中の画素iを中心とする、ある大きさを持った小領域ψ中に存在する非欠損領域の画素値の平均と分散から、ガウス確率分布関数もしくは混合ガウス分布関数などの確率分布関数を構成することで、確率分布を算出してもよい。具体的には、小領域ψ中には、非欠損領域に属する複数の画素が存在する。そこで、欠損画素値推定手段805は、それら複数の画素の画素値xの平均μと分散(共分散行列)Λを計算する。そして、欠損画素値推定手段805は、計算した平均μ及び分散Λをもとに、以下の式1に例示するガウス確率分布を構成して画素値xの確率分布を定義してもよい。
Figure 0005673550
なお、小領域ψ中に非欠損領域が存在しない場合には、欠損画素値推定手段805は、全ての画素値を等確率であると推定すればよい。
また、混合ガウス分布を算出する場合であれば、欠損画素値推定手段805は、画素値の集合をいくつかのグループに分類し、これらのグループ内での画素の画素値xの平均μと分散(共分散行列)Λを計算する。ここで、iは、グループを識別する識別子である。そして、欠損画素値推定手段805は、計算した平均μ及び分散Λをもとに、以下の式2に例示する混合ガウス分布を構成して画素値xの確率分布を定義してもよい。
Figure 0005673550
ここで、τは、分類されたグループごとに定められる係数であり、以下の式3の関係を満たす。
Figure 0005673550
他にも、欠損画素値推定手段805は、欠損領域中のある画素iから特定の方向ごとに非欠損領域の画素の画素値を放射状にサンプリングし、サンプリングされた画素値に基づいてガウス確率分布関数もしくは混合ガウス分布関数などの確率分布を算出してもよい。そして、欠損画素値推定手段805は、このように算出した確率分布をもとに画素値を推定してもよい。なお、欠損画素値推定手段805は、上記場合と同様、サンプリングされた画素値の平均と分散をもとに、確率分布を算出してもよい。
他にも、欠損画素値推定手段805は、欠損領域中のある画素iをもとに特定の規則(例えば、ランダムに抽出する、など)に従って非欠損領域中の画素を複数個サンプリングし、サンプリングされた画素値をもとにガウス確率分布関数もしくは混合ガウス分布関数などの確率分布関数を算出してもよい。
もしくは、欠損画素値推定手段805は、画像分割処理や物体認識処理を行い、非欠損領域にどのようなオブジェクトが撮影されているかを解析し、解析された情報をもとに確率分布を算出してもよい。
以下、解析された情報をもとに確率分布を算出する方法について、図3を用いて説明する。図3は、解析された情報をもとに確率分布を算出する方法の例を示す説明図である。例えば、図3(a)に例示する画像における非欠損領域の画像を解析した結果、欠損領域中に人物の顔が存在することが判明したとする。また、画像が人の顔を示す場合の欠損領域中の画素値が、例えば、図3(b)に例示する画像が示す画素値であると仮定する。このとき、欠損画素値推定手段805は、欠損領域中の画素値xの確率分布関数を、図3(b)の画素値の平均μとし、分散Λをパラメータとして構成した、以下の式4に例示するガウス関数により定義してもよい。
Figure 0005673550
なお、式4に例示する分散Λは定数であり、比較する画像(ここでは、図3(b)に例示する画像)の画素値が確からしいほど小さくなるように決定される値である。
パッチ選択手段806は、修復に利用される欠損パッチと参照パッチの組を選択し、その値をメモリ(図示せず)に記憶する。具体的には、パッチ選択手段806は、画像(画素値)がより近似している参照パッチと欠損パッチの組を選択する。すなわち、パッチ選択手段806は、欠損領域中の画像の構造により近い参照パッチと欠損パッチの組合せを選択する。
以下の説明では、このようなパッチの組を選択する方法に、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を用いる場合について説明する。パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)は、どの欠損パッチΨp中の欠損領域を修復するか、そして、どの参照パッチΨqを用いて欠損領域を修復するかを選択するか決定する関数である。ここで、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)は、欠損パッチ候補の数がN個、参照パッチ候補の数がM個であるとき、MN個の引数の組合せを持つ関数であり、修復により適したパッチの組合せほど、より小さな値をとる関数であるとする。すなわち、パッチ選択手段806は、ある欠損パッチ候補Ψpと、ある参照パッチ候補Ψqの組合せを引数としたパッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を計算し、パッチ選択関数の値が最も小さい組(Ψp0,Ψq0)を選択し、(Ψp0,Ψq0)をメモリ(図示せず)に記憶する。ここで、欠損パッチ候補Ψp及び参照パッチ候補Ψqは、欠損画像中のある画素p及びqを含む小領域の画素の集合を表すものとする。パッチ選択手段806は、例えば、欠損領域を含む画像を等間隔で分割して各領域に欠損領域が含まれているか否かを判断し、欠損領域が含まれている領域を欠損パッチ候補Ψpとし、欠損領域が含まれていない領域を参照パッチ候補Ψqとして、それぞれ分類する。
図4を用いて、欠損パッチ候補Ψpと参照パッチ候補Ψqについて、より詳しく説明する。図4は、欠損パッチ候補及び参照パッチ候補の例を示す説明図である。図4に示す例では、領域900が欠損領域であるとする。このとき、例えば、パッチ901,902,903が欠損パッチ候補であり、パッチ904,905,906が参照パッチ候補である。
ここで、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を、欠損パッチ候補Ψpをもとに定義される関数A(Ψp)と、欠損パッチ候補Ψp及び参照パッチ候補Ψqをもとに定義される関数B(Ψp,Ψq)とを含む関数と定義する。
関数A(Ψp)は、欠損パッチ候補Ψpの輝度勾配が大きくなるほど小さな値をとる関数である。具体的には、関数A(Ψp)は、非欠損領域中の輝度勾配量あるいは画素値の分散などをもとに定義される関数である。例えば、関数A(Ψp)の値は、欠損パッチ候補Ψpの構造情報などにより決定され、欠損パッチ候補Ψpの非欠損領域の画素における輝度勾配の大きさの二乗和の逆数を、関数A(Ψp)と定義してもよい。もしくは、欠損パッチ候補Ψpの非欠損領域の画素iにおける欠損画像の輝度勾配ベクトルと、フレームメモリ804にて記憶されているマスク画像の勾配ベクトルとのベクトル積の大きさの二乗和の逆数を、関数A(Ψp)と定義してもよい。
関数B(Ψp,Ψq)は、欠損パッチ候補Ψpの画像と参照パッチ候補Ψq中の画像とが似ているほど小さな値をとる関数である。すなわち、関数B(Ψp,Ψq)の値は、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合を示している。関数B(Ψp,Ψq)の値は、欠損画素値推定手段805に記憶されている欠損領域中の画素の画素値の確率分布及び欠損パッチ候補Ψpと参照パッチ候補Ψqの非欠損領域の画素値をもとに計算される。
パッチ選択手段806が、関数B(Ψp,Ψq)を定義する一例について説明する。まず、パッチ選択手段806は、欠損パッチ候補Ψpの欠損領域に属する画素については、確率分布関数が示す確率が最も高い画素値(最尤値と記すこともある。)を選択し、欠損パッチ候補Ψpの非欠損領域に属する画素については、すでに得られている画素値を選択する。そして、パッチ選択手段806は、選択した画素値と対応する参照パッチ候補Ψqの画素値との差分の二乗和を、関数B(Ψp,Ψq)として定義してもよい。
さらに、パッチ選択手段806が、関数B(Ψp,Ψq)を定義する他の例について説明する。まず、パッチ選択手段806は、欠損パッチ候補Ψpの欠損領域に属する画素については、確率分布関数が示す確率が最も高い画素値を選択し、欠損パッチ候補Ψpの非欠損領域に属する画素については、すでに得られている画素値を選択する。そして、パッチ選択手段806は、選択した画素値と対応する参照パッチ候補Ψqの画素値との差分の二乗和を、欠損画素値推定手段805が定義した画素値の推定値の確率分布関数の分散値などを重みとして加重平均したものを関数B(Ψp,Ψq)として定義してもよい。
さらに、パッチ選択手段806が、関数B(Ψp,Ψq)を定義する他の例について説明する。まず、パッチ選択手段806は、欠損パッチ候補Ψpの非欠損領域に属する画素については、参照パッチ候補Ψqの対応する画素との画素値の差分の二乗を計算する。次に、パッチ選択手段806は、欠損パッチ候補Ψpの欠損領域に属する画素については、欠損画素値推定手段805が推定した画素値の確率分布をもとに、対応する参照パッチ候補Ψqの画素の画素値を取りうる確率の対数値の二乗を計算する。そして、パッチ選択手段806は、これらを合計したものを関数B(Ψp,Ψq)として定義してもよい。
ただし、パッチ選択手段806が、関数B(Ψp,Ψq)を定義する方法は、上記方法に限定されない。パッチ選択手段806は、関数B(Ψp,Ψq)が欠損パッチ候補Ψpの画像と参照パッチ候補Ψq中の画像とが似ているほど小さな値をとるような関数を定義すればよい。
なお、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)は、関数A(Ψp)と関数B(Ψp,Ψq)との積、もしくは和として表現され、パッチ選択手段806は、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)の値が最も小さなパッチの組を修復するパッチの組として選択する。
以上のように定義された関数A(Ψp)は、より修復画像を破綻させる可能性が小さな候補を選択するための関数である。また、以上のように定義された関数B(Ψp,Ψq)は、欠損パッチ候補Ψpと参照パッチ候補Ψqの中から、より類似しているパッチを選択するための関数である。そのため、これらの積、もしくは和として表現されるパッチ選択関数E(Ψp,Ψq)は、欠損領域を、その領域が本来もつと推測される構造に近い候補に置き換えるための関数であると言える。
パッチ選択手段806がパッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を構成する他の方法について説明する。パッチ選択関数を構成する際、パッチ選択手段806は、画像分割技術、一般物体認識技術、特定物体認識技術などを用いて欠損画像中のテクスチャもしくはオブジェクトを解析する。そして、パッチ選択手段806は、欠損パッチと参照パッチの間で同一のテクスチャが含まれるほど値が小さくなるように(同一のテクスチャが含まれないほど値が大きくなるように)パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を構成する。具体的には、パッチ選択手段806は、欠損パッチ及び参照パッチが有するテクスチャもしくはオブジェクトの集合を定義する。そして、パッチ選択手段806は、これらの集合が異なっているほど関数の値が大きくなるようにパッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を定義してもよい。
なお、上記説明では、欠損値画素推定手段805が確率分布関数を算出して欠損領域の画素値を推定し、パッチ選択手段806がその確率分布関数をもとにパッチ選択関数を計算する場合について説明した。他にも、欠損画素値推定手段805が、確率分布関数を算出するのではなく、Bilinear補間もしくはBicubic補間などの補間処理により非欠損領域中の画素の画素値から、欠損領域中の画素の画素値を推定してもよい。そして、パッチ選択手段806が、この値を用いてパッチ選択関数を構成してもよい。もしくは、以下に示す参考文献等に記載された方法を用いて、欠損領域中の画素値を推定し、パッチ選択手段806がこの値を用いてパッチ選択関数を構成してもよい。
[参考文献]
M. Bertalmio, A.L. Bertozzi, and G. Sapiro. ”Navier-stokes, fluid dynamics, and image and video inpainting” Conf. CVPR, pp. 355-362, 2001.
また、欠損画素値推定手段805は、上述する方法などで各画素の確率分布関数もしくは画素値を算出する際に、欠損画像をダウンサンプリングして得られた画像を用いて確率分布関数もしくは画素値を算出し、これをアップサンプリングした欠損画像に適用してもよい。
以上のように、パッチ選択手段806が、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素値と対応する参照パッチの画素値とを比較して、画像がより近似しているパッチの組を選択する。そのため、修復に用いられる参照パッチを選択する際、欠損領域の画素の画素値を予測することで、欠損パッチの非欠損領域のみと比較する方法に比べて両者を比較する情報が増加する。そのため、より適切な参照パッチを選択できるようになる。
画像修復手段807は、パッチ選択手段806が選択した欠損パッチΨp0と参照パッチΨq0とを用いて、欠損パッチΨp0における欠損領域の画素の画素値を修復する。画像修復手段807は、例えば単純に、欠損パッチの欠損領域における画素を参照パッチの画素の画素値に置き換えて修復してもよい。また、画像修復手段807は、画像を修復する際、参照パッチの画素値をもとにαブレンディングなどの方法を用いて欠損パッチ中の欠損領域と非欠損領域の境界を修復してもよい。あるいは、画像修復手段807は、画像を修復する際、欠損パッチ中の欠損領域に、参照パッチの全ての領域を用いる代わりに、その一部だけを用いてもよい。
パッチ選択手段806が、推定された画素値用いて修復するパッチの組を選択する方法について、図5を用いてさらに説明する。図5は、参照パッチを選択する方法の例を示す説明図である。画像700は、図27と同様、欠損領域を含む画像である。また、画像701は、欠損領域中の画素値を予め推定することで得られたパターンである。また、領域702は欠損パッチであり、領域703及び領域704は参照パッチ候補である。これらの
領域の拡大図が、領域702a、領域703a及び領域704であり、領域702が領域702aに、領域703が領域703aに、領域704が領域704aに、それぞれ対応する。また、パターン705は、領域702において推定された画素値を表す画像である。
パッチ選択手段806は、推定されたパターン705と、参照パッチ候補703及び704を比較する。そのため、修復後に画像を破綻させる参照パッチ候補704が参照パッチとして選択されることを防ぎ、参照パッチ候補703が参照パッチとして選択されるようになる。パッチ選択手段806は、このように選択した参照パッチ703を用いて画像700を修復するため、画像706のように破綻の無い画像を生成することが出来る。
欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806と、画像修復手段807とは、プログラム(画像修復プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。例えば、プログラムは、コンピュータ800の記憶部(図示せず)に記憶され、CPUは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、欠損領域抽出手段803、欠損画素値推定手段805、パッチ選択手段806、及び、画像修復手段807として動作してもよい。また、欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806と、画像修復手段807とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。図6は、本実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。以下、図1に例示するブロック図及び図6に例示するフローチャートを参照して本実施形態の全体の動作について説明する。
まず、画像入力手段801に基準画像(欠損画像)が入力される(ステップS1001)。次に、欠損領域抽出手段803は、画像入力手段801に入力された欠損画像から欠損領域を抽出し、欠損画像と欠損領域とをフレームメモリ804に記憶させる(ステップS1002)。フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、欠損画素値推定手段805は、欠損領域の画素の画素値を推定し、メモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1003)。具体的には、欠損画素値推定手段805は、欠損領域の画素値の確率分布を計算し、計算した確率分布を記憶する。フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した画素値の推定値とをもとに、パッチ選択手段806は、パッチ選択関数を用いて欠損パッチと参照パッチの組を選択する(ステップS1004)。具体的には、パッチ選択手段806は、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とをもとに、パッチ選択関数がより小さくなる欠損パッチと参照パッチの組を選択する。
画像修復手段807は、パッチ選択手段806が選択した欠損パッチと参照パッチの組、及び、フレームメモリ804に記憶された欠損画像をもとに、選択された欠損パッチ中の欠損領域に属する画素の画素値を参照パッチの画素の画素値を用いて修復し、その値をメモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1005)。画像修復手段807は、修復した画像に欠損領域がなくなったか否かを判断する(ステップS1006)。修復された欠損領域以外に欠損領域が存在する場合(ステップS1006におけるNo)、画像修復手段807は、修復した画像を画像記憶手段(図示せず)に記憶する(ステップS1007)。そして、画像修復手段807は、修復した画像を欠損領域抽出手段803に通知する。以降、欠損領域抽出手段803、欠損画素値推定手段805、パッチ選択手段806及び画像修復手段807は、ステップS1002以降の処理を繰り返す。
一方、修復された欠損領域以外に欠損領域が存在しない場合(ステップS1006におけるYes)、画像修復手段807は、修復画像出力手段802に修復画像を出力させる(ステップS1008)。例えば、画像修復手段807は、ディスプレイ装置に復元した修復画像を表示させる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以上のように、本実施形態によれば、欠損画素値推定手段805が、画像中の欠損領域の各画素が取りうる画素値を非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する。そして、パッチ選択手段806が、欠損パッチと参照パッチとからなるパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択する。パッチの組を選択する際、パッチ選択手段806は、推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較することにより、パッチの組の中から、より画像が類似しているパッチの組を選択する。そして、画像修復手段807が、選択されたパッチの組における参照パッチをもとに欠損パッチを修復する。そのため、利用者の意図と異なる領域の存在する画像を修復する際に、修復画像が破綻することを防ぐことができる。
すなわち、本実施形態によれば、欠損画素値推定手段805が、非欠損領域における画素の画素値から、欠損領域中における画素の画素値を予め推定する。そして、パッチ選択手段806は、推定された画素値を用いて、欠損パッチと参照パッチの組をパッチ選択関数に基づいて決定する。このように、欠損領域中の画素値を予め推定することで、画像を修復する際、画像が破綻する可能性のあるパッチが欠損パッチと参照パッチの組として選択されることを抑制できる。そのため、利用者の意図と異なる領域の存在する画像を修復する際に、修復された画像が破綻することを防ぐことができる。
言い換えると、本発明は画像修復処理に利用でき、その効果は、修復画像が破綻するパッチが参照パッチとして選択されることを防ぐことで、より高画質な修復画像を得ることができることである。その理由は、予め欠損領域中の画素値を推定し、推定された量(画素値)を用いて欠損パッチ候補と参照パッチ候補の類似性を比較するため、一般的な手法と異なり、修復画像が破綻するパッチが参照パッチとして選択されることを抑制できるためである。
実施形態2.
図7は、本発明の第2の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。第2の実施形態における画像処理システムは、コンピュータ800aと、画像入力手段801と、修復画像出力手段802とを備えている。画像入力手段801及び修復画像出力手段802については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
コンピュータ800aは、欠損領域抽出手段803と、フレームメモリ804と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806aと、画像修復手段807と、尤度初期値設定手段1101と、尤度記憶手段1102と、尤度更新手段1103とを備えている。欠損領域抽出手段803、フレームメモリ804、欠損画素値推定手段805、及び、画像修復手段807については、第1の実施形態と同様である。
尤度初期値設定手段1101は、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、各画素に対して尤度を設定する。尤度は、欠損画像中のある画素iに与えられている画素値の尤もらしさを表す量として画素ごとに定義される。欠損領域中の画素の尤度は、非欠損領域の画素値及びすでに修復された画素値をもとに、近似的に画素値の確率分布関数が推定され、推定された確率分布をもとに計算される量である。なお、以下の説明では、欠損画像中の全画素の尤度の集合をLと記し、各画素の尤度をLiと記す。尤度初期値設定手段1101は、画像修復が行われていない画像(すなわち、画像入力手段801に入力された画像)の各画素に対して、一度だけ尤度を設定する。尤度初期値設定手段1101は、例えば、欠損領域の画素iにはLi=0を、非欠損領域の画素jにはLj=1を設定する。
尤度記憶手段1102は、各画素の尤度を記憶する。具体的には、尤度記憶手段1102は、尤度計算手段1101が設定した尤度を記憶する。もしくは、尤度記憶手段1102は、後述の尤度更新手段1103が尤度を更新した場合、更新された画素の尤度を既存の尤度に上書きして記憶する。尤度記憶手段1102は、例えば、コンピュータ800aが備える磁気ディスク装置等によって実現される。
パッチ選択手段806aは、修復に適した欠損パッチと参照パッチの組を選択する。具体的には、パッチ選択手段806aは、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素の推定値と、尤度記憶手段1102に記憶されている欠損画像の尤度とをもとに、修復に適した欠損パッチと参照パッチの組(Ψp0,Ψq0)を選択する。すなわち、パッチ選択手段806aは、第1の実施形態におけるパッチ選択手段806と同様に、パッチ選択関数を用いて修復に利用される欠損パッチと参照パッチの組を選択する。さらに、本実施形態におけるパッチ選択手段806aは、尤度記憶手段1102に記憶された尤度も用いてパッチの組を選択する。
以下の説明では、このようなパッチの組を選択する方法に、パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)を用いる場合について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同様、欠損パッチ候補Ψp及び参照パッチ候補Ψqは、欠損画像中のある画素p及びqを含む小領域の画素の集合を表すものとする。また、パッチ選択手段806aは、例えば、欠損領域を含む画像を等間隔で分割して各領域に欠損領域が含まれているか否かを判断し、欠損領域が含まれている領域を欠損パッチ候補Ψpと、欠損領域が含まれていない領域を参照パッチ候補Ψqとそれぞれ分類する。
パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)は、第1の実施形態におけるパッチ選択関数E(Ψp,Ψq)と同様に、どの欠損パッチΨp中の欠損領域を修復するか、そして、どの参照パッチΨqを用いて欠損領域を修復するかを選択するか決定するための関数である。また、パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)は、修復により適したパッチの組合せほど、より小さな値をとる関数であるとする。このとき、パッチ選択手段806aは、パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)を計算し、パッチ選択関数E1の値が最も小さい組(Ψp0,Ψq0)を選択する。パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)は、第1の実施形態においてパッチ選択手段806が定義した関数A(Ψp)及び関数B(Ψp,Ψq)と、尤度記憶手段1102に記憶されている尤度とにより構成される。
ここで、欠損パッチ候補Ψpに含まれる画素を画素iとしたときの尤度をLi、参照パッチ候補Ψqに含まれる画素を画素jとしたときの尤度をLjとする。このとき、パッチ選択手段806aは、パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)として、Li、Lj、A(Ψp)、B(Ψp,Ψq)の関数としてパッチ選択関数E1を構成する。具体的には、パッチ選択手段806aは、尤度Li、尤度Ljの値が大きいほど、パッチ選択関数E1の値を小さくするような関数を構成すればよい。
上記説明では、パッチ選択手段806aが、尤度Li、Ljを用いて関数E1(Ψp,Ψq)を構成する場合について説明した。他にも、パッチ選択手段806aは、尤度Liの代わりに、欠損パッチ候補Ψpに含まれる画素の尤度についての相加平均もしくは相乗平均を計算する関数を関数E1(Ψp,Ψq)に適用してもよい。同様に、パッチ選択手段806aは、Ljの代わりに、参照パッチ候補Ψqに含まれる画素の尤度についての相加平均もしくは相乗平均を計算する関数を関数E1(Ψp,Ψq)に適用してもよい。
このように、パッチ選択手段806aが、パッチの組の中から、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組であって、かつ、欠損パッチの中で尤度がより高い欠損パッチと、参照パッチの中で尤度がより高い参照パッチとからなるパッチの組を選択する。そのため、尤もらしくない画素を含む欠損パッチや参照パッチが選択されることを抑止できる。
尤度更新手段1103は、欠損パッチ中の欠損画素の尤度を算出し、尤度記憶手段1102に記憶された各画素の尤度を更新する。例えば、尤度更新手段1103は、パッチ選択手段806aが計算したパッチ選択関数E1(Ψp0,Ψq0)の値、欠損パッチΨp0に含まれる欠損領域の画素数、欠損パッチΨp0に含まれる画素の尤度などを利用して、更新する欠損パッチ中の欠損画素の尤度を算出する。
尤度更新手段1103は、例えば、選択された欠損パッチΨp0及び参照パッチΨq0をもとに算出されるパッチ選択関数E1(Ψp0,Ψq0)の値と、欠損パッチΨp0に含まれる欠損領域の割合と、欠損パッチΨp0に含まれる非欠損領域の画素の尤度の平均値との加重平均などを用いて、欠損画素の尤度を算出してもよい。
すなわち、パッチ選択関数E1(Ψp0,Ψq0)の値が小さいほど、より修復画像を破綻させる可能性が小さなパッチの組合せが選択される。この場合、尤度更新手段1103は、尤度をより高く算出する。また、欠損パッチΨp0に含まれる欠損領域の割合が小さいほど、推定値を用いて比較する領域が少なく、それ故、より修復画像を破綻させる可能性が小さなパッチの組合せが選択される。この場合、尤度更新手段1103は、尤度をより高く算出する。さらに、欠損パッチΨp0に含まれる非欠損領域の画素の尤度の平均値が高いほど、尤もらしい画素を含む欠損パッチを対象にしている。この場合も、尤度更新手段1103は、尤度をより高く算出する。また、以上のことから、パッチを選択する際、尤度がより低い画素は、より後回しにしたい画素であるとする。
欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806aと、画像修復手段807と、尤度初期値設定手段1101と、尤度更新手段1103とは、プログラム(画像修復プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。また、欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806aと、画像修復手段807と、尤度初期値設定手段1101と、尤度更新手段1103とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。図8は、本実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。
まず、画像入力手段801に基準画像(欠損画像)が入力される(ステップS1201)。次に、欠損領域抽出手段803は、画像入力手段801に入力された欠損画像から欠損領域を抽出し、欠損画像と欠損領域とをフレームメモリ804に記憶させる(ステップS1202)。フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、欠損画素値推定手段805は、欠損領域の画素の画素値を推定し、メモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1203)。
尤度初期値設定手段1101は、欠損画像の各画素に対して尤度を設定し、その尤度を尤度記憶手段1102に記憶させる(ステップS1204)。パッチ選択手段806aは、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した画素値の推定値とに加え、尤度記憶手段1102に記憶された尤度をもとに、パッチ選択関数を用いて欠損パッチと参照パッチの組を選択する(ステップS1205)。具体的には、パッチ選択手段806aは、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素値、対応する参照パッチの画素値、及び、欠損画像の尤度をもとに、パッチ選択関数がより小さくなる欠損パッチと参照パッチの組を選択する。この場合、パッチ選択手段806aは、より尤もらしい画素を含む欠損パッチ及び参照パッチの組を尤度をもとに選択する。そして、尤度更新手段1103は、選択されたパッチの組を用いて、欠損パッチ中の欠損領域の画素の尤度を更新する(ステップS1206)。
画像修復手段807は、パッチ選択手段806aが選択した欠損パッチと参照パッチの組、及び、フレームメモリ804に記憶された欠損画像をもとに、選択された欠損パッチ中の欠損領域に属する画素の画素値を参照パッチの画素の画素値を用いて修復し、その値をメモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1207)。画像修復手段807は、修復した画像に欠損領域がなくなったか否かを判断する(ステップS1208)。修復された欠損領域以外に欠損領域が存在する場合(ステップS1208におけるNo)、画像修復手段807は、修復した画像を画像記憶手段(図示せず)に記憶する(ステップS1209)。そして、画像修復手段807は、修復した画像を欠損領域抽出手段803に通知する。以降、欠損領域抽出手段803、欠損画素値推定手段805、パッチ選択手段806a、画像修復手段807、尤度初期値設定手段1101、及び尤度更新手段1103は、ステップS1202以降の処理を繰り返す。
一方、修復された欠損領域以外に欠損領域が存在しない場合(ステップS1208におけるYes)、画像修復手段807は、修復画像出力手段802に修復画像を出力させる(ステップS1210)。例えば、画像修復手段807は、ディスプレイ装置に復元した修復画像を表示させる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態の構成に加え、パッチ選択手段806aが、欠損パッチと参照パッチとからなるパッチの組の中から、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組であって、欠損パッチの中で尤度がより高い欠損パッチと、参照パッチの中でより尤度が高い参照パッチとからなるパッチの組を選択する。そのため、尤もらしくない画素を含む欠損パッチや参照パッチが選択されることを抑止できる。
また、尤度更新手段1103が、欠損パッチ及び参照パッチの組として選択された画像がより類似しているほど、尤度をより高く算出する方法により尤度を算出し、算出した尤度を用いて、入力された画像中の欠損領域に応じてその画像中の各画素に予め設定された尤度を更新する。そして、パッチ選択手段806aが、更新された尤度が欠損パッチの中でより高い欠損パッチと、その尤度が参照パッチの中でより高い参照パッチとからなるパッチの組を選択する。このように、より適切な尤度を用いることで、より利用者の意図に適した画像に修復できる。
すなわち、本実施形態によれば、パッチ選択手段806aが、尤度初期値設定手段1101及び尤度更新手段1103により得られる欠損画像の画素ごとの画素値の尤度をもとにパッチを選択する。そのため、画像修復によって修復された画素の画素値の尤度の小さい、すなわち、画素値が尤もらしくない画素を含む欠損パッチと参照パッチの組が選択されることを抑制できる。
実施形態3.
図9は、本発明の第3の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。第3の実施形態における画像処理システムは、コンピュータ800bと、画像入力手段801と、修復画像出力手段802とを備えている。画像入力手段801及び修復画像出力手段802については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
コンピュータ800bは、欠損領域抽出手段803と、フレームメモリ804と、欠損画素値推定手段805と、画像修復手段807と、欠損パッチ選択手段1301と、参照パッチ選択手段1302とを備えている。欠損領域抽出手段803、フレームメモリ804、欠損画素値推定手段805、及び、画像修復手段807については、第1の実施形態と同様である。
欠損パッチ選択手段1301は、修復に適した欠損パッチを選択する。例えば、欠損パッチ選択手段1301は、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素の推定値とをもとに、欠損パッチを選択し、メモリ(図示せず)に記憶する。以下の説明では、欠損パッチを選択する方法に、欠損パッチ選択関数e1(Ψp)を用いる場合について説明する。本実施形態において定義される欠損パッチ選択関数e1(Ψp)は、より修復に適した欠損パッチほど、より小さな値をとる関数であるとする。このとき、欠損パッチ選択手段1301は、欠損パッチ選択関数e1(Ψp)が最も小さい値をとる欠損パッチを選択する。
欠損パッチ選択関数e1(Ψp)として、例えば、第1の実施形態における関数A(Ψp)を用いてもよい。関数A(Ψp)は、修復画像を破綻させる可能性がより小さい候補を選択するための関数であるため、関数A(Ψp)を用いて選択された欠損パッチは、より修復に適した欠損パッチといえる。以下、欠損パッチ選択手段1301が選択した欠損パッチをΨp0とする。
参照パッチ選択手段1302は、欠損パッチ選択手段1301が選択した欠損パッチΨp0をもとに、修復に利用される参照パッチΨqを選択する。以下の説明では、参照パッチを選択する方法に、参照パッチ選択関数e2(Ψp,Ψq)を用いる場合について説明する。参照パッチ選択関数e2(Ψp,Ψq)は、より修復に適した参照パッチほど、より小さな値をとる関数であるとする。このとき、参照パッチ選択手段1302は、参照パッチ選択関数e2(Ψp,Ψq)が最も小さい値をとる参照パッチを選択する。
参照パッチ選択関数e2(Ψp,Ψq)として、例えば、第1の実施形態における関数B(Ψp0,Ψq)を用いてもよい。関数B(Ψp,Ψq)は、より類似しているパッチを選択するための関数であるため、関数B(Ψp,Ψq)を用いて選択された参照パッチは、より修復に適した参照パッチといえる。
このように、本実施形態では、欠損パッチ選択手段1301が推定された画素値と欠損画像と欠損領域とから修復される欠損パッチを選択する。そして、参照パッチ選択手段1302が推定された画素値と欠損画像と欠損領域と欠損パッチとから修復に利用される参照パッチを選択する。
欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、欠損パッチ選択手段1301と、参照パッチ選択手段1302と、画像修復手段807とは、プログラム(画像修復プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。また、欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、欠損パッチ選択手段1301と、参照パッチ選択手段1302と、画像修復手段807とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。図10は、本実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。
まず、画像入力手段801に基準画像(欠損画像)が入力される(ステップS1401)。次に、欠損領域抽出手段803は、画像入力手段801に入力された欠損画像から欠損領域を抽出し、欠損画像と欠損領域とをフレームメモリ804に記憶させる(ステップS1402)。フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、欠損画素値推定手段805は、欠損領域の画素の画素値を推定し、メモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1403)。
欠損パッチ選択手段1301は、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、欠損パッチ選択関数を用いて欠損パッチを選択する(ステップS1404)。そして、参照パッチ選択手段1302は、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報、欠損画素値推定手段805が推定した画素値の推定値、及び、欠損パッチ選択手段1301が選択した欠損パッチをもとに、参照パッチ選択関数を用いて参照パッチを選択する(ステップS1405)。参照パッチ選択手段1302は、選択された欠損パッチと参照パッチをメモリ(図示せず)に記憶してもよい。
画像修復手段807は、選択された欠損パッチと参照パッチの組、及び、フレームメモリ804に記憶された欠損画像をもとに、選択された欠損パッチ中の欠損領域に属する画素の画素値を参照パッチの画素の画素値を用いて修復し、その値をメモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1406)。画像修復手段807は、修復した画像に欠損領域がなくなったか否かを判断する(ステップS1407)。修復された欠損領域以外に欠損領域が存在する場合(ステップS1407におけるNo)、画像修復手段807は、修復した画像を画像記憶手段(図示せず)に記憶する(ステップS1408)。そして、画像修復手段807は、修復した画像を欠損領域抽出手段803に通知する。以降、欠損領域抽出手段803、欠損画素値推定手段805、欠損パッチ選択手段1301、参照パッチ選択手段1302、及び、画像修復手段807は、ステップS1402以降の処理を繰り返す。
一方、修復された欠損領域以外に欠損領域が存在しない場合(ステップS1407におけるYes)、画像修復手段807は、修復画像出力手段802に修復画像を出力させる(ステップS1409)。例えば、画像修復手段807は、ディスプレイ装置に復元した修復画像を表示させる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以上のように、本実施形態によれば、欠損パッチ選択手段1301が、欠損パッチ候補の構造情報をもとに欠損パッチを選択する。そして、参照パッチ選択手段1302が、選択された欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較することにより、参照パッチの中から、欠損パッチにより類似している参照パッチを選択する。そのため、パッチ選択の際にパッチ選択関数を計算する回数を少なくすることができるため、画像修復に必要な計算負荷を低減できる。すなわち、参照パッチがM個、欠損パッチがN個存在する場合、MN個の参照パッチと欠損パッチの組合せが存在する場合、参照パッチと欠損パッチの全ての組合せを計算するとMN回の試行が必要である。しかし、本実施形態によれば、欠損パッチの選択にN回、参照パッチの選択にM回の合計M+N回の試行をすることで欠損パッチと参照パッチの組合せを選択することが出来る。
実施形態4.
図11は、本発明の第4の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。第4の実施形態における画像処理システムは、コンピュータ800cと、画像入力手段801と、修復画像出力手段802とを備えている。画像入力手段801及び修復画像出力手段802については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
コンピュータ800cは、欠損領域抽出手段803と、フレームメモリ804と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806cと、画像修復手段807と、パッチ分類手段1501とを備えている。欠損領域抽出手段803、フレームメモリ804、欠損画素値推定手段805、及び、画像修復手段807については、第1の実施形態と同様である。
パッチ分類手段1501は、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報を用いて、予め参照パッチ候補と欠損パッチ候補を分類し、ラベル付けを行う。パッチ分類手段1501は、ラベル付けを行う方法として、例えば、各パッチの画素の画素値の平均や分散、ヒストグラムを算出し、クラスタリングを行うことでラベル付けを行ってもよい。もしくは、パッチ分類手段1501は、オブジェクト認識技術などを用いて、各パッチに撮影されているオブジェクトを特定し、特定したオブジェクトをもとにラベル付けを行ってもよい。パッチ分類手段1501は、分類されたパッチのラベルをメモリ(図示せず)に記憶する。
パッチ分類手段1501が参照パッチ候補と欠損パッチ候補を分類し、ラベル付けを行う方法について、具体的に説明する。まず、パッチ分類手段1501は、欠損パッチ候補Ψpと参照パッチ候補Ψqとに画像の領域を分類する。分類の方法は、第1の実施形態に記載したように、欠損領域を含む画像を等間隔で分割して各領域に欠損領域が含まれているか否かを判断して分類してもよい。次に、パッチ分類手段1501は、それぞれの候補の中で、例えば、境界の領域、背景色の領域、あるオブジェクトの領域など、共通の特徴に基づいてクラスタリングを行い、クラスごとにラベル付けを行う。このとき、パッチ分類手段1501は、K平均法などを用いてクラスタリングを行う。ただし、クラスタリング方法は、K平均法に限定されない。このように、パッチ分類手段1501は、欠損パッチ及び参照パッチに分類された各パッチ候補(Ψp及びΨq)を、共通の特徴に基づいて、各欠損パッチ及び参照パッチの候補内でクラスタリングする。
パッチ選択手段806cは、パッチ分類手段1501が分類したラベルと、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素値の推定値とをもとに、欠損パッチ及び参照パッチの組を選択する。このようなパッチの組を選択する方法に、本実施形態では、第1の実施形態と同様、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)を用いる場合について説明する。すなわち、パッチ選択手段806cは、E(Ψp,Ψq)の最小値を求めることでパッチの組を選択する。ただし、本実施形態では、パッチ選択手段806cが欠損パッチ候補Ψpのラベルと参照パッチ候補Ψqのラベルとが同じであるパッチの組を選択する。具体的には、パッチ選択手段806cは、欠損パッチ候補Ψpと参照パッチ候補Ψqが同じラベルであるもののみパッチ選択関数を計算して、パッチの組(Ψp0,Ψq0)を選択する。そして、パッチ選択手段806cは、選択された欠損パッチと参照パッチの組(Ψp0,Ψq0)を、メモリ(図示せず)に記憶する。
第1の実施形態では、パッチ選択手段806がMN個の全てのパッチ候補の組についてパッチ選択関数を計算して、パッチの組(Ψp0,Ψq0)を選択していた。一方、本実施形態では、パッチ選択手段806cは、欠損パッチ候補Ψpと参照パッチ候補Ψqが同じラベルであるもののみパッチ選択関数を計算し、パッチの組(Ψp0,Ψq0)を選択する。そのため、画像修復に必要な計算負荷を削減できる。言い換えると、パッチ分類手段1501が、修復される欠損パッチと修復に利用される参照パッチとを予め分類するため、画像修復手段807は、欠損パッチ及び参照パッチを高速に選択可能になる。
欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806cと、画像修復手段807と、パッチ分類手段1501とは、プログラム(画像修復プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。また、欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806cと、画像修復手段807と、パッチ分類手段1501とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。図12は、本実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。
まず、画像入力手段801に基準画像(欠損画像)が入力される(ステップS1601)。次に、欠損領域抽出手段803は、画像入力手段801に入力された欠損画像から欠損領域を抽出し、欠損画像と欠損領域とをフレームメモリ804に記憶させる(ステップS1602)。パッチ分類手段1501は、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報を用いて、参照パッチ候補と欠損パッチ候補を分類し、ラベル付けを行う(ステップS1603)。パッチ分類手段1501は、ラベル付けを行った情報を、メモリ(図示せず)に記憶してもよい。
次に、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、欠損画素値推定手段805は、欠損領域の画素の画素値を推定し、メモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1604)。パッチ選択手段806cは、パッチ分類手段1501が分類したラベルと、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した欠損領域の画素値の推定値とをもとに、欠損パッチ及び参照パッチの組を選択する(ステップS1605)。パッチ選択手段806cは、選択したパッチの組を、メモリ(図示せず)に記憶してもよい。
画像修復手段807は、パッチ選択手段806cが選択した欠損パッチと参照パッチの組、及び、フレームメモリ804に記憶された欠損画像をもとに、選択された欠損パッチ中の欠損領域に属する画素の画素値を参照パッチの画素の画素値を用いて修復し、その値をメモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1606)。画像修復手段807は、修復した画像に欠損領域がなくなったか否かを判断する(ステップS1607)。修復された欠損領域以外に欠損領域が存在する場合(ステップS1607におけるNo)、画像修復手段807は、修復した画像を画像記憶手段(図示せず)に記憶する(ステップS1608)。そして、画像修復手段807は、修復した画像を欠損領域抽出手段803に通知する。以降、欠損領域抽出手段803、欠損画素値推定手段805、パッチ選択手段806c、画像修復手段807及びパッチ分類手段1501は、ステップS1602以降の処理を繰り返す。
一方、修復された欠損領域以外に欠損領域が存在しない場合(ステップS1607におけるYes)、画像修復手段807は、修復画像出力手段802に修復画像を出力させる(ステップS1609)。例えば、画像修復手段807は、ディスプレイ装置に復元した修復画像を表示させる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以上のように、本実施形態によれば、パッチ分類手段1501が、欠損パッチ及び参照パッチに分類された各パッチ候補を、共通の特徴に基づいてクラスタリングし、パッチ選択手段806cが、同一のクラスに分類された欠損パッチと参照パッチ同士をパッチの組として選択する。すなわち、パッチ分類手段1501が、欠損パッチ候補と参照パッチ候補を予めパッチ分類によりラベル付けを行う。そして、その後に、パッチ選択手段806cが、欠損パッチと参照パッチの組を決定する。このことから、パッチ選択の際、パッチを分類しない方法と比べて、パッチ選択関数を用いて計算する回数を少なくできるため、画像修復に必要な計算負荷を低減できる。
実施形態5.
図13は、本発明の第5の実施形態における画像修復システムの例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。第5の実施形態における画像処理システムは、コンピュータ800dと、画像入力手段801と、修復画像出力手段802と、パッチ入力手段1701とを備えている。画像入力手段801及び修復画像出力手段802については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
パッチ入力手段1701は、欠損画像とは別に、欠損画像中の欠損領域を修復するために参照されうるパッチ候補が入力され、後述のパッチ記憶手段1702にパッチ候補を記憶する。例えば、人物や風景などの画像が予めデータベースに収集されている場合、パッチ入力手段1701は、その画像から生成されたパッチをパッチ候補としてパッチ記憶手段1702に記憶してもよい。もしくは、入力画像が、時系列に構成された画像の一フレームにあたる場合、パッチ入力手段1701は、その時系列画像から生成されたパッチをパッチ候補としてパッチ記憶手段1702に記憶してもよい。
コンピュータ800dは、欠損領域抽出手段803と、フレームメモリ804と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806dと、画像修復手段807と、パッチ記憶手段1702とを備えている。欠損領域抽出手段803、フレームメモリ804、欠損画素値推定手段805、及び、画像修復手段807については、第1の実施形態と同様である。
パッチ記憶手段1702は、パッチ入力手段1701が入力するパッチ候補を記憶する。パッチ記憶手段1702は、例えば、コンピュータ800dが備える磁気ディスク装置等によって実現される。なお、パッチ記憶手段1702が、パッチ候補を予め記憶している場合、画像修復システムは、パッチ入力手段1701を備えていなくてもよい。
パッチ選択手段806dは、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損画素値推定手段805が推定した画素値の推定値とに加え、パッチ記憶手段1702に記憶されているパッチ候補をもとに、欠損パッチと参照パッチの組を選択する。パッチ選択手段806dは、欠損画像から選択する参照パッチにパッチ候補を加えてパッチの組を選択すればよい。また、パッチの組を選択する方法は、第1の実施形態と同様に、パッチ選択関数を用いればよい。第1の実施形態では、パッチ選択手段806が画像入力手段801に入力された画像から選択される参照パッチのみを修復対象のパッチとして選択していた。本実施形態において、パッチ選択手段806dは、画像入力手段801に入力された画像から選択される参照パッチに加え、パッチ記憶手段1702に記憶されているパッチ候補を修復対象のパッチとして選択する。そのため、入力画像中にその画像を破綻させること無く修復可能な参照パッチが存在しない場合でも、パッチ記憶手段1702に記憶されているパッチ候補から参照パッチを選択可能になる。そのため、修復するためにより適した参照パッチを選択することが可能になる。
欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806dと、画像修復手段807とは、プログラム(画像修復プログラム)に従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。また、欠損領域抽出手段803と、欠損画素値推定手段805と、パッチ選択手段806dと、画像修復手段807とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。
次に、動作について説明する。図14は、本実施形態における画像修復システムの動作の例を示すフローチャートである。
まず、画像入力手段801に基準画像(欠損画像)が入力される。さらに、パッチ入力手段1701は、入力したパッチ候補をパッチ記憶手段1702に記憶する(ステップS1801)。次に、欠損領域抽出手段803は、画像入力手段801に入力された欠損画像から欠損領域を抽出し、欠損画像と欠損領域とをフレームメモリ804に記憶させる(ステップS1802)。フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報をもとに、欠損画素値推定手段805は、欠損領域の画素の画素値を推定し、メモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1803)。次に、フレームメモリ804に記憶された欠損画像及び欠損領域を示す情報、欠損画素値推定手段805が推定した画素値の推定値と、パッチ記憶手段1702に記憶されているパッチ候補をもとに、パッチ選択手段806dは、パッチ選択関数を用いて欠損パッチと参照パッチの組を選択する(ステップS1804)。
画像修復手段807は、パッチ選択手段806dが選択した欠損パッチと参照パッチの組、及び、フレームメモリ804に記憶された欠損画像をもとに、選択された欠損パッチ中の欠損領域に属する画素の画素値を参照パッチの画素の画素値を用いて修復し、その値をメモリ(図示せず)に記憶する(ステップS1805)。画像修復手段807は、修復した画像に欠損領域がなくなったか否かを判断する(ステップS1806)。修復された欠損領域以外に欠損領域が存在する場合(ステップS1806におけるNo)、画像修復手段807は、修復した画像を画像記憶手段(図示せず)に記憶する(ステップS1807)。そして、画像修復手段807は、修復した画像を欠損領域抽出手段803に通知する。以降、欠損領域抽出手段803、欠損画素値推定手段805、パッチ選択手段806d、及び、画像修復手段807は、ステップS1802以降の処理を繰り返す。
一方、修復された欠損領域以外に欠損領域が存在しない場合(ステップS1806におけるYes)、画像修復手段807は、修復画像出力手段802に修復画像を出力させる(ステップS1808)。例えば、画像修復手段807は、ディスプレイ装置に復元した修復画像を表示させる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以上のように、本実施形態によれば、パッチ選択手段806dが画像を修復する際に必要な参照パッチを画像中のみから決定するのではなく、予めパッチ記憶手段1702に入力されているパッチ候補も用いて決定する。そのため、破綻させること無く画像を修復可能な参照パッチが画像中に存在しない場合でも、画像を修復することが出来る。
以下、具体的な実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲は以下に説明する内容に限定されない。本実施例は、第2の実施形態に対応するものである。以下、図7を参照して、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、画像入力手段801及び修復画像出力手段802に処理結果を出力させる装置として、NTSC(National Television System Committee)信号を入出力できるビデオキャプチャボードを用いるものとする。また、修復画像出力手段802としてディスプレイ装置を用いるものとする。また、本実施例では、コンピュータ800aとして、画像処理プロセッサを搭載した画像処理ボードを用いるものとする。これらは、以下のように動作する。
まず、ビデオキャプチャボードは、入力されたビデオ信号をRGB信号に変換し、その信号を画像処理ボードに送信する。また、ビデオキャプチャボードは、画像処理ボードにおける処理結果が転送されると、その処理結果をビデオ信号に変換して、ディスプレイ装置に表示させる。このように、本実施例では、画像処理ボードの処理結果をビデオキャプチャボードに転送し、ビデオキャプチャボードが画像をディスプレイ装置に表示させる。また、画像処理ボードは、欠損領域抽出手段803と、フレームメモリ804と、欠損画素値推定手段805と、尤度計算手段1101と、尤度記憶手段1102と、尤度更新手段1103と、パッチ選択手段806aと、画像修復手段807とを備えているものとする。
欠損画像の入力信号が画像入力手段801に入力されると、欠損領域抽出手段803は欠損画像中の欠損領域を抽出する。本実施例では、欠損画像の信号はRGB形式で表現されているとする。また、欠損画像の画素iの画素値を要素とするベクトルをxi=(Ri、Gi、Bi)で表す。また、画素iの輝度値をIiと記し、輝度勾配を∇Iiと記す。さらに、欠損領域の画素の集合をΩで表し、非欠損領域の画素の集合をζで表す。
本実施例では、欠損画像中の欠損領域はユーザにより予め与えられているものとする。具体的には、欠損画像中の欠損領域の画素をjとしたとき、画素jの画素値xjがユーザにより予めxj=(0、255、0)として定義されている。欠損領域抽出手段803は、画素値が(Ri、Gi、Bi)=(0、255、0)である画素を検出することで、欠損領域を抽出する。また、画像修復手段807が修復した画像中に欠損領域が存在する場合、欠損領域抽出手段803は修復された画像を入力として、再度欠損領域を抽出する。
欠損領域抽出手段803に入力された欠損画像と、抽出された欠損領域を示す情報は、フレームメモリ804に記憶される。また、欠損画像及び欠損領域を示す情報が更新された場合、欠損領域抽出手段803は、以前に記憶されていた欠損画像と欠損領域を示す情報とを上書きする。本実施例では、欠損領域を示す情報は、マスク画像の形式で保存される。具体的には、マスク画像中の画素iの値をYiで表す場合、以下に示す式5のようにマスク画像が定義され、この値がフレームメモリ804に記憶される。
Yi=1 (i∈Ω)
Yi=0 (i∈ζ) (式5)
尤度初期値設定手段1101は、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像と欠損領域を示す情報とをもとに、画素ごとに尤度Lを設定する。尤度初期値設定手段1101は、画素iにおける尤度Liを、以下に示す式6のように設定する。
Li=0 (i∈Ω)
Li=1 (i∈ζ) (式6)
尤度記憶手段1102は、尤度初期値設定手段1101が設定した尤度を画素ごとに記憶する。また、尤度記憶手段1102は、尤度更新手段1103が画素iの尤度を更新した場合には、更新された画素の尤度を既存の尤度に上書きして記憶する。
欠損画素値推定手段805は、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報を用いて、欠損領域に属する画素の画素値の確率分布関数を計算する。そのため、欠損画素値推定手段805は、まず、欠損領域中の画素jについて、K個の方向に放射状に非欠損領域の画素を探索する。ここで、探索に得られた画素を画素k(k=1・・・K)とし、これらの画素の画素値の集合を{xk}と表す。欠損画素値推定手段805は、{xk}をもとに、画素jが取りうる画素値の確率分布関数を以下の式7に示す混合ガウス分布で近似する。
Figure 0005673550
ここで、Λは共分散行列でありパラメータσと3×3の単位行列Iを用いて以下の式8を用いて定義される。
Λ=σ−2I (式8)
また、Zは確率分布関数の規格化定数であり、式7で表わされる確率分布関数を確率変数xjで積分したときに、その積分値が1になるように定められる。また、σはxkの内容が信頼できるほど、より小さな値になるように予め定められるパラメータである。
欠損画素値推定手段805は、以上のように欠損領域中の画素ごとに確率分布関数p(xj|{xk})を算出し、メモリ(図示せず)に記憶する。
パッチ選択手段806aは、尤度記憶手段1102に記憶されている画素ごとの尤度と、フレームメモリ804に記憶されている欠損画像及び欠損領域を示す情報と、欠損領域に属する画素の画素値の確率分布関数p(xj|{xk})とを用いて、修復に用いられる欠損パッチΨp0及び参照パッチΨq0を選択する。このとき、パッチ選択手段806aは、パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)の最小値を求めることで、欠損パッチΨp0及び参照パッチΨq0の組を選択する。
以下、欠損パッチ候補Ψp及び参照パッチ候補Ψqの大きさ及び形状は、n×m画素の大きさの長方形とする。また、本実施例では、欠損パッチ候補Ψp及び参照パッチ候補Ψqの中心の画素を、それぞれ画素p及び画素qと定義し、画素pの尤度をLp、画素qの尤度をLqとする。このとき、パッチ選択関数E1(Ψp,Ψq)は以下の式9のように定義される。
E1(Ψp,Ψq)=A(Ψp)・B(Ψp,Ψq)/(Lp・Lq+ε) (式9)
ここでεは、0より大きい実数であり、算出するパッチ選択関数E1の値の範囲に応じて予め設定されるパラメータである。なお、本実施例では、参照パッチ候補Ψqに欠損領域は存在しないものとする。また、本実施例では、各パッチ候補の中心の画素に着目して説明する。ただし、選択される画素はパッチ領域中の中心である場合に限定されず、任意の場所の画素であってもよい。
また、関数A(Ψp)を以下の式10のように定義する。
A(Ψp)=1/|∇Ip×∇Yp| (式10)
ここで、∇Ipは画素pにおける輝度勾配値であり、∇Ypはマスク画像の画素pにおける勾配である。また、∇Ip×∇Ypは、ベクトル∇Ipとベクトル∇Ypとのベクトル積(外積)を表す。また、関数B(Ψp,Ψq)は、B1(Ψp,Ψq)とB2(Ψp,Ψq)とB3(Ψp,Ψq)との3項から以下の式11のように構成される。
Figure 0005673550
ここで、β1、β2、β3は、各関数によって算出される値の重みを調整するための係数である。
パッチ選択手段806aは、B1(Ψp,Ψq)を以下のように定義する。まず、パッチ選択手段806aは、欠損画像中の非欠損領域の画像の画素値をK平均法を用いてC個の組にクラスタリングし、クラスタリングされた各画素をクラスごとにラベル付けを行う。以下、各クラスのラベルをc(c=1・・・C)で表し、クラスタ中心をμ(c)で表す。また、画素iのラベルをciで表す。次に、パッチ選択手段806aは、欠損パッチ候補Ψpに含まれているラベルを検出し、検出対象のラベルが付された画素の集合をcp0とする。そして、パッチ選択手段806aは、参照パッチ候補Ψqの各画素のうち、欠損パッチ候補Ψpの対応する画素が欠損領域であるという条件を満たす画素jについて、以下の式12を用いて、量φjを計算する。
Figure 0005673550
パッチ選択手段806aは、得られたφjについて二乗和を算出し、これを以下の式13に示す関数B1(Ψp,Ψq)とする。
Figure 0005673550
ここで、関数B1(Ψp,Ψq)は、欠損パッチ候補Ψpに存在するクラスのラベルと異なるラベルが参照パッチ候補Ψqの画素に存在するときに、画素値の差が大きくなる関数である。なお、関数B1(Ψp,Ψq)において、パッチ選択手段806aは、上述の条件(すなわち、「参照パッチ候補Ψqの各画素のうち、欠損パッチ候補Ψpの対応する画素が欠損領域である」という条件)を満たす画素jについての和を算出する。
次に、パッチ選択手段806aは、欠損パッチ候補Ψpに対応する参照パッチ候補Ψqの画素をjとしたとき、欠損画素値推定手段805により得られた確率分布関数p(xj|{xk})を用いて、関数B2(Ψp,Ψq)を以下の式14のように定義する。
Figure 0005673550
ここで、関数B2(Ψp,Ψq)は、欠損パッチ候補Ψpに存在する欠損領域中の画素の推定値と、対応する参照パッチ候補Ψqの画素の画素値がどの程度異なるかを表した関数であり、両パッチ候補の画素値が近いほど値が小さくなる関数である。なお、関数B2(Ψp,Ψq)において、パッチ選択手段806aは、上述の条件(すなわち、「参照パッチ候補Ψqの各画素のうち、欠損パッチ候補Ψpの対応する画素が欠損領域である」という条件)を満たす画素jについての和を算出する。
次に、パッチ選択手段806aは、欠損パッチ候補Ψpの非欠損領域の画素の画素値と、対応する参照パッチ候補Ψqの画素の画素値との差分の二乗和として、関数B3(Ψp,Ψq)を定義する。すなわち、欠損パッチ候補Ψpの画素jと参照パッチ候補Ψqの画素iとが対応する画素同士であるとき、パッチ選択手段806aは、関数B3(Ψp,Ψq)を以下の式15のように定義する。
Figure 0005673550
ここで、関数B3(Ψp,Ψq)は、欠損パッチ候補Ψpに存在する非欠損領域中の画素の画素値と、対応する参照パッチ候補Ψqの画素の画素値がどの程度異なるかを表した関数であり、両パッチ候補の画素値が近いほど値が小さくなる関数である。なお、関数B3(Ψp,Ψq)において、パッチ選択手段806aは、「非欠損領域中に属する画素である」という条件を満たす画素jについての和を算出する。
パッチ選択手段806aは、以上により得られた関数E1(Ψp,Ψq)の値が最小になるパッチの組(Ψp0,Ψq0)を選択する。パッチ選択手段806aは、選択したパッチの組(Ψp0,Ψq0)と、パッチ選択関数の最小値E1(Ψp0,Ψq0)の値とをメモリ(図示せず)に記憶する。
尤度更新手段1103は、欠損パッチ及び参照パッチの組として選択された画像が、より類似している(すなわち、両パッチ候補の画素値が近い)ほど、尤度をより高くする方法により尤度を算出し、算出した尤度を用いて既存の尤度を更新する。具体的には、尤度更新手段1103は、パッチ選択手段806aが選択したパッチの組(Ψp0,Ψq0)及び、最小値E1(Ψp0,Ψq0)をもとに、尤度Ljの逆数Lj−1を以下の式16を用いて算出する。尤度更新手段1103は、算出したLj−1に基づいて、欠損パッチ中の欠損領域中に属する画素jの尤度Ljを更新する。
Figure 0005673550
ここで、#Ψp0は欠損パッチΨp0の画素数を示す。また、(Ψp0∩Ω)は、欠損パッチΨp0における欠損領域の画素を示し、#(Ψp0∩Ω)は欠損パッチΨp0における欠損領域の画素数を示す。また、(Ψp0∩ζ)は欠損パッチΨp0における非欠損領域の画素を示し、#(Ψp0∩ζ)は欠損パッチΨp0における非欠損領域の画素数を示す。そして、ΣLj−1は、欠損パッチΨp0における非欠損領域に属する画素の尤度の逆数の総和である。γは、更新された画像の尤度をどの程度の割合で増加させるかを示すパラメータであり、利用者等により予め定められる。
なお、式16に例示する各項の内容は、以下のとおりである。まず、パッチ選択関数における1画素あたりの平均値が小さいほど、より修復画像を破綻させる可能性が小さなパッチの組み合わせを選択することが出来ることから、第1項が定義される。また、欠損パッチにおける欠損領域の画素数が少ないほど、相対的に欠損パッチ中の非欠損領域の画素数が多くなるため、より修復画像を破綻させる可能性が小さなパッチの組み合わせを選択することが出来ることから、第2項が定義される。さらに、欠損パッチにおける非欠損領域の画素数が多いほど、より修復画像を破綻させる可能性が小さなパッチの組み合わせを選択することが出来る情報であり、また、その各非欠損領域における画素の尤度が大きい画素が集まっているほど、より修復画像を破綻させる可能性が小さなパッチの組み合わせを選択することが出来ることから、第3項が定義される。
式16に例示する各項は、上記に示す理由により定義される。したがって、尤度Ljの逆数Lj−1の算出方法は、式16の内容に限定されない。式16に含まれる各項の任意の組合せで尤度Ljを算出してもよい。また、上記各項の内容を示す他の算出方法によって尤度Ljを算出してもよい。
画像修復手段807は、パッチ選択手段806aが選択したパッチの組(Ψp0,Ψq0)をもとに、欠損パッチΨp0の欠損領域中に属する画素の画素値を、対応する参照パッチΨq0の画素の画素値で置き換える。
次に、欠損画素値推定手段805が欠損画像中の画素値を推定する他の方法について説明する。以下の説明では、欠損画素値推定手段805が、以下に例示する2段階の処理に基づいて欠損領域中の画素値を推定する場合について説明する。
まず、第1段階として、欠損画素値推定手段805は、欠損領域中のエッジ構造を推定し、次に第2段階として、このエッジ構造に基づいて欠損領域中の画素値を推定する。具体的には、欠損画素値推定手段805は、まず、エッジ構造を推定する。次に、このエッジ構造から推定されるエッジ近傍の画素の画素値を推定し、欠損画素値推定手段805は、推定した画素値と非欠損領域中の画素値との重み付き平均を算出して、欠損領域中の画素値を推定する。以下、この第1段階の処理を、図15及び図16を用いて具体的に説明する。
図15は、エッジ近傍の画素値を推定して画像を修復する処理の例を説明する説明図である。図15(a)に例示する画像は欠損画像であり、画像中の領域101が欠損領域である。欠損画素値推定手段805は、以下に例示する手順でエッジ構造を推定する。
初めに、欠損画素値推定手段805は、欠損領域外の画像をもとにエッジセグメントを検出する。欠損画素値推定手段805は、エッジセグメントを検出する方法として、例えば、Cannyエッジ検出などの方法を用いてエッジセグメントを検出する。次に、欠損画素値推定手段805は、得られたエッジ領域(エッジセグメント)のうち、非欠損領域と隣接するエッジ画素を欠損領域中に存在するエッジの端として検出する。以下、エッジの端として検出された画素をiとする。
欠損画素値推定手段805は、得られたエッジの端が、非欠損領域中にどの程度連続して存在しているかを計算する。そして、欠損画素値推定手段805は、ある一定画素数以上連続しているエッジを連続性の高いエッジとして検出する。例えば、欠損画素値推定手段805は、画素iが属するエッジの画素数が5画素以上である場合に、そのエッジを連続性の高いエッジとして検出する。以下、連続性の高いエッジの端として検出された画素をi’とする 。例えば、欠損画素値推定手段805は、図21(b)に例示する画像から、連続性が高いエッジの端の画素i’として画素102,103,104を検出する。なお、画素i’からなる集合は、画素iからなる集合の部分集合である。
欠損画素値推定手段805は、エッジの端として検出した画素同士のうち、同一のエッジセグメントに属する画素を検出する。具体的には、欠損画素値推定手段805は、エッジの端の画素同士から定義されるエッジ相違度d(i,j)を、以下に例示する式17のように定義する。そして、欠損画素値推定手段805は、相違度d(i,j)が小さいエッジの端の画素同士から順に、d(i,j)が閾値以下のものを同一のエッジセグメントに属すると判定する。なお、i,jは、エッジの端の画素を表す。
d(i,j)=f(i,j)・g(i,j)・c(i,j) (式17)
また、f(i,j)は、エッジを表す特徴ベクトルの相違度であり、以下に例示する式18のように定義される。
f(i,j)=|v−v (式18)
ここで、vはエッジを表す画素iの特徴ベクトルである。vは、画素iにおけるRGB値を、それぞれR、G、Bとし、輝度値をIとしたとき、以下の式19に例示する10次元のベクトルで定義される。
Figure 0005673550
また、g(i,j)は、エッジ同士の幾何学的配置のペナルティである。以下、幾何学的配置について図16を用いて説明する。図16は、エッジの端点における角度と長さとの関係を説明する説明図である。図16中のlij は、画素iと画素jを端とする直線の長さである。θijは、画素iと画素jを端とする直線と、画素iにて推定されたエッジeiとの為す角度[radian]である。また、θjiも同様に、画素jと画素iを端とする直線と、画素jにて推定されたエッジejとの為す角度である。エッジの端点における角度と長さの関係が、図16に例示する関係にある場合、g(i,j)は、以下に例示する式20のように定義される。
g(i,j)=(1+α・(θij+θji)・lij (式20)
ここで、αは、画素iと画素jを結ぶ直線と、推定されたエッジとのなす角度に対して定められるパラメータであり、角度が異なるエッジに与えられるペナルティの大きさに応じて予め定められる。
また、c(i,j)は、エッジの信頼度であり、以下に例示する式21のように定義される。
Figure 0005673550
ここで、∇Ii及び∇Iiは、それぞれ画素i及び画素jにおける輝度勾配の大きさを表す。
欠損画素値推定手段805は、図15(c)に例示するように、検出された画素102及び画素104が両端になるエッジセグメント105を欠損領域中に存在するエッジセグメントであると推定する。そして、欠損画素値推定手段805は、このエッジセグメント105に属する画素を算出し、メモリ(図示せず)に記憶する。
次に、欠損画素値推定手段805は、選択されなかったエッジの端の画素のうち、連続性の高いエッジの端として検出されている画素についてのエッジセグメントを推定する。例えば、欠損画素値推定手段805は、図15(d)に例示するように、画素103から直線状に延長させたエッジ106についても、欠損画像中に存在するエッジセグメントであると推定する。具体的には、欠損画素値推定手段805は、連続性の高いエッジの端として検出されている画素103から、他のエッジセグメント105と衝突するまで、この画素103が属する欠損領域外のエッジの傾きに沿ってエッジを延長させる。欠損画素値推定手段805は、このように延長させたエッジ106を、欠損画像中に存在するエッジセグメントであると推定する。そして、欠損画素値推定手段805は、このエッジセグメント106に属する画素を、メモリ(図示せず)に記憶する。
次に、第2段階として、欠損画素値推定手段805は、推定されたエッジ構造に基づいて、以下に例示する手順で欠損領域中の画素値を補間する。まず、欠損画素値推定手段805は、推定されたエッジの周辺の画素の画素値を、エッジの端点の画素とその隣接画素の画素値から算出し、図15(e)に例示するように、エッジの近傍だけを修復する。
エッジの近傍を修復する処理について、図17を用いてより詳しく説明する。図17は、エッジ周辺の画素の画素値を修復する処理の例を示す説明図である。図17に示す例では、各格子は1つの画素を表しており、中央の長方形の領域300が欠損領域である。ここで、図17(a)に例示する画素301及び画素302がエッジ端として抽出されたとする。このとき、欠損画素値推定手段805は、画素301と画素302、及び、その上下の画素(画素301a、画素301b、画素302a及び画素302b)を用いて画像を修復する。ここで、欠損画素値推定手段805は、画素301と302とをペアと決定し、ペア同士を結ぶ画素の画素値を、各ペアの画素からの距離に基づいて線形に補間する。欠損画素値推定手段805が欠損領域の画素を補間した結果の例を図17(b)に示す。図17(b)に示す例では、欠損画素値推定手段805が、画素301と画素302を結ぶ矢印で示す領域の画素を修復したことを示す。
欠損画素値推定手段805が、画素301と画素302の上下の画素(具体的には、画素301aと画素302aのペア、画素301bと画素302bのペア)に対して同様の処理を行うことで、図17(c)に例示する画像のようにエッジ周辺の画素の画素値が修復される。
次に、欠損画素値推定手段805は、欠損領域中の残りの画素の画素値を、注目している画素の上下左右4方向の画素の重み付平均値として算出する。そして、欠損画素値推定手段805は、算出した画素を欠損画像に適用することで、図15(f)に例示する画像を得ることができる。
欠損領域中の残りの画素を修復する処理について、図18を用いてより詳しく説明する。図18は、欠損領域中の画素の画素値を修復する処理の例を示す説明図である。図18に示す例では、各格子は1つの画素を表しており、中央の長方形の領域400が欠損領域である。修復する画素を401とした場合、欠損画素値推定手段805は、欠損領域に隣接する非欠損領域の画素であって、修復する画素401の上下左右方向の画素(すなわち、画素402、画素403、画素404及び画素405)の画素値を選択する。そして、欠損画素値推定手段805は、修復する画素とこれらの画素との距離に応じた重み付けを行い、その重みを用いて各画素値の平均を算出することにより、画素401の画素値を算出する。
以上のように、エッジ構造を推定し、推定されたエッジをもとに欠損領域中の画素の画素値を補間することで、欠損領域中の画素値を推定できる。
なお、上記説明では、欠損領域中の画素の画素値を修復する際、まずエッジ構造を推定し、次に推定されたエッジ近傍の画素の画素値を推定し、さらに欠損領域に隣接する上下左右の非欠損領域における画素の画素値の平均を算出することで、欠損領域のそれ以外の画素の画素値を推定する場合について説明した。このような方法のかわりに、推定されたエッジ構造から、以下のような手法で欠損領域中の画素値を推定してもよい。欠損領域中の画素の画素値に対し、推定されたエッジ構造近傍に画素が存在する場合には、そのエッジ構造をまたぐ方向に隣接する画素同士の画素値は変化が生じやすく、推定されたエッジ構造近傍に画素が存在しない場合には、隣接する画素同士の画素値は変化が生じにくいとする。そこで、上述の性質に反する画素値が存在する場合に値が大きくなるような、各画素の画素値を変数とする関数(以下、最適化関数と記す。)を定義し、欠損画素値推定手段805は、この関数が最小値をとる画素値を、推定された画素値としてもよい。例えば、最適化関数をEとしたとき、欠損画素値推定手段805は、以下に例示する式22をもとに、最適化関数Eが最小になる画素値を推定された画素値としてもよい。
Figure 0005673550
ここで、添字i,jは欠損画像中の各画素を示す。最適化関数Eは、画素値の値より定義される画素ごとの関数g(第1項)と、隣接画素間の画素値の関係から定義される関数hij(第2項)との和で定義される。関数gは、非欠損領域中の画素の画素値が欠損画像と同じ値になることを制約する項である。関数hijは、欠損領域中の画素の画素値に対し、推定されたエッジ構造近傍に画素が存在する場合には、そのエッジ構造をまたぐ方向に隣接する画素同士の画素値は変化が生じやすく、推定されたエッジ構造近傍に画素が存在しない場合には、隣接する画素同士の画素値は変化が生じにくいことを制約する項である。なお、画素iと画素jは隣接画素同士である。ここで、最適化関数Eの大域的最小値を示す画素値を求める方法として、画素値を離散的な値とし離散値最適化手法を用いる方法と、画素値を連続的な値とし連続値最適手法を用いる方法がある。離散値最適化手法としては、例えば、Graph Cuts、Belief Propagation、Tree−Reweighted Message Passing、Iterated Conditional Modes、もしくは、Simulated Annealingなどを用いればよい。また、連続値最適化手法としては、勾配法、共役勾配法、Gauss−Newton法、Levenberg−Marquardt法などを用いればよい。もしくは、上述の方法により大域的最小値を求めるのではなく、欠損領域中の画素値を逐次的に決定することで、最適化関数Eの近似的な最小値(局所最小値)を求めてもよい。
次に、本発明による画像修復システムの最小構成例を説明する。図19は、本発明による画像修復システムの最小構成の例を示すブロック図である。本発明による画像修復システムは、画像(例えば、欠損画像)中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する(例えば、確率分布p(xi|{xk})を構成して画素を推定する)欠損画素値推定手段91(例えば、欠損画素値推定手段805)と、欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択するパッチ選択手段92(例えば、パッチ選択手段806)と、選択されたパッチの組における参照パッチをもとに欠損パッチを修復する(例えば、αブレンディングにより修復する)画像修復手段93(例えば、画像修復手段807)とを備えている。
パッチ選択手段92は、欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値との関係(例えば、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq))をもとに、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似している(例えば、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)の値が最も小さい)パッチの組(例えば、(Ψp0,Ψq0))を選択する。
そのような構成により、利用者の意図と異なる領域の存在する画像を破綻させることなく修復できる。
なお、少なくとも以下に示すような画像修復システムも、上記に示すいずれかの実施形態に開示されている。
(1)画像(例えば、欠損画像)中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する(例えば、確率分布p(xi|{xk})を構成して画素を推定する)欠損画素値推定手段(例えば、欠損画素値推定手段805)と、欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択するパッチ選択手段(例えば、パッチ選択手段806)と、選択されたパッチの組における参照パッチをもとに欠損パッチを修復する(例えば、αブレンディングにより修復する)画像修復手段(例えば、画像修復手段807)とを備え、パッチ選択手段が、欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値との関係(例えば、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq))をもとに、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似している(例えば、パッチ選択関数E(Ψp,Ψq)の値が最も小さい)パッチの組(例えば、(Ψp0,Ψq0))を選択する画像修復システム。
(2)パッチ選択手段(例えば、パッチ選択手段806a)が、欠損パッチと参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合(例えば、関数B(Ψp,Ψq)の値)と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素に設定された画素値の尤もらしさを表す量である尤度(例えば、尤度Lp及びLq)とに基づいて(例えば、(式9)に基づいて)パッチの組を選択する画像修復システム。
(3)欠損パッチ及び参照パッチの組として選択された画像がより類似しているほど、尤度をより高く算出する方法により尤度を算出し、算出した尤度を用いて、入力された画像中の欠損領域に応じてその画像中の各画素に予め設定(例えば、尤度初期値設定手段1101により尤度記憶手段1102に記憶)された尤度を更新する尤度更新手段(例えば、尤度更新手段1103)を備え、パッチ選択手段が、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素の更新された尤度とに基づいてパッチの組を選択する画像修復システム。
(4)パッチ選択手段が、欠損パッチ候補の構造情報をもとに欠損パッチを選択する欠損パッチ選択手段(例えば、欠損パッチ選択手段1301)と、選択された欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値との関係をもとに、参照パッチの中から、より欠損パッチに類似している参照パッチを選択する参照パッチ選択手段(例えば、参照パッチ選択手段1302)とを含む画像修復システム。
(5)欠損パッチ及び参照パッチに分類された各パッチ候補を、共通の特徴(例えば、境界の領域、背景色の領域、あるオブジェクトの領域など)に基づいて、各欠損パッチ及び参照パッチの候補内でグループに分類する(例えば、クラスタリングを行う)パッチ分類手段(例えば、パッチ分類手段1501)を備え、パッチ選択手段(例えば、パッチ選択手段806c)が、同一のグループに分類された欠損パッチと参照パッチ同士をパッチの組として選択する画像修復システム。
(6)参照パッチの候補であるパッチ候補を記憶するパッチ記憶手段(例えば、パッチ記憶手段1702)を備え、パッチ選択手段(例えば、パッチ選択手段806d)が、参照パッチもしくはパッチ記憶手段に記憶されたパッチ候補と、欠損パッチとからなるパッチの組の中から、参照パッチもしくはパッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択する画像修復システム。
(7)パッチ候補が入力され、入力されたパッチ候補をパッチ記憶手段に記憶させるパッチ入力手段(例えば、パッチ入力手段1701)を備え、パッチ選択手段が、参照パッチもしくはパッチ入力手段に入力されたパッチ候補と、欠損パッチとからなるパッチの組の中から、参照パッチもしくはパッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択する画像修復システム。
(8)欠損領域を含む画像である欠損画像から欠損領域を抽出する欠損領域抽出手段(例えば、欠損領域抽出手段803)を備え、パッチ選択手段が、抽出された欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、参照パッチとからなるパッチの組の中から、欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択する画像修復システム。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2009年11月20日に出願された日本特許出願2009−265038を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明は、利用者の意図と異なる画像中の領域を修復する画像修復システムに好適に適用される。さらに、本発明は、ウェブ上に公開されている画像中に本人の許可無く撮影されている人物について、その領域を欠損領域として修復することでプライバシー保護を行うといった用途に適用できる。また、物理的な損傷(傷、汚れ等)のあるアナログ写真をスキャナなどで取り込みデジタル画像とした際に、その物理的な損傷部位を欠損領域とし修復することで画像の価値を高めるといった用途にも適用可能である。さらに、以前に放映された画像を再度利用する際に、画像中に存在しているテロップなどの部分を欠損領域として修復することで、画像の価値を高めるといった用途にも適用可能である。また、画像中のノイズやボケが存在する部分を欠損領域として修復することで、より高画質な画像を得るといった用途にも適用可能である。
800 コンピュータ
801 画像入力手段
802 修復画像出力手段
803 欠損領域抽出手段
804 フレームメモリ
805 欠損画素値推定手段
806 パッチ選択手段
807 画像修復手段
1301 欠損パッチ選択手段
1302 参照パッチ選択手段

Claims (24)

  1. 画像中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する欠損画素値推定手段と、
    前記欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、前記欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、前記欠損パッチと前記参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択するパッチ選択手段と、
    選択された前記パッチの組における参照パッチをもとに前記欠損パッチを修復する画像修復手段とを備え、
    前記パッチ選択手段は、欠損パッチにおける欠損領域の画素値に推定された画素値を用い、当該欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較して、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組を選択する
    ことを特徴とする画像修復システム。
  2. パッチ選択手段は、欠損パッチと参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素に設定された画素値の尤もらしさを表す量である尤度とに基づいてパッチの組を選択する
    請求項1記載の画像修復システム。
  3. 欠損パッチ及び参照パッチの組として選択された画像がより類似しているほど、尤度をより高く算出する方法により尤度を算出し、算出した尤度を用いて、入力された画像中の欠損領域に応じて当該画像中の各画素に予め設定された尤度を更新する尤度更新手段を備え、
    パッチ選択手段は、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素の更新された尤度とに基づいてパッチの組を選択する
    請求項2記載の画像修復システム。
  4. パッチ選択手段は、
    欠損パッチ候補の構造情報をもとに欠損パッチを選択する欠損パッチ選択手段と、
    選択された欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値との関係をもとに、参照パッチの中から、より欠損パッチに類似している参照パッチを選択する参照パッチ選択手段とを含む
    請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の画像修復システム。
  5. 欠損パッチ及び参照パッチに分類された各パッチ候補を、共通の特徴に基づいて、各欠損パッチ及び参照パッチの候補内でグループに分類するパッチ分類手段を備え、
    パッチ選択手段は、同一のグループに分類された欠損パッチと参照パッチ同士をパッチの組として選択する
    請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の画像修復システム。
  6. 参照パッチの候補であるパッチ候補を記憶するパッチ記憶手段を備え、
    パッチ選択手段は、参照パッチもしくは前記パッチ記憶手段に記憶されたパッチ候補と、欠損パッチとを含むパッチの組の中から、参照パッチもしくは前記パッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択する
    請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の画像修復システム。
  7. パッチ候補が入力され、入力されたパッチ候補をパッチ記憶手段に記憶させるパッチ入力手段を備え、
    パッチ選択手段は、参照パッチもしくは前記パッチ入力手段に入力されたパッチ候補と、欠損パッチとを含むパッチの組の中から、参照パッチもしくは前記パッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択する
    請求項6記載の画像修復システム。
  8. 欠損領域を含む画像である欠損画像から欠損領域を抽出する欠損領域抽出手段を備え、
    パッチ選択手段は、抽出された欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、参照パッチとを含むパッチの組の中から、前記欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択する
    請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の画像修復システム。
  9. 画像中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定し、
    前記欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、前記欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、前記欠損パッチと前記参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択し、
    前記パッチの組を選択する際には、欠損パッチにおける欠損領域の画素値に推定された画素値を用い、当該欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較して、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組を選択し、
    選択された前記パッチの組における参照パッチをもとに前記欠損パッチを修復する
    ことを特徴とする画像修復方法。
  10. パッチの組を選択する際には、欠損パッチと参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素に設定された画素値の尤もらしさを表す量である尤度とに基づいてパッチの組を選択する
    請求項9記載の画像修復方法。
  11. 欠損パッチ及び参照パッチの組として選択された画像がより類似しているほど、尤度をより高く算出する方法により尤度を算出し、
    算出した尤度を用いて、入力された画像中の欠損領域に応じて当該画像中の各画素に予め設定された尤度を更新し、
    パッチの組を選択する際には、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素の更新された尤度とに基づいてパッチの組を選択する
    請求項10記載の画像修復方法。
  12. パッチの組を選択する際には、欠損パッチ候補の構造情報をもとに欠損パッチを選択し、選択された欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値との関係をもとに、参照パッチの中から、より欠損パッチに類似している参照パッチを選択する
    請求項9から請求項11のうちのいずれか1項に記載の画像修復方法。
  13. 欠損パッチ及び参照パッチに分類された各パッチ候補を、共通の特徴に基づいて、各欠損パッチ及び参照パッチの候補内でグループに分類し、
    パッチの組を選択する際には、同一のグループに分類された欠損パッチと参照パッチ同士をパッチの組として選択する
    請求項9から請求項12のうちのいずれか1項に記載の画像修復方法。
  14. パッチの組を選択する際には、参照パッチもしくは参照パッチの候補であるパッチ候補を記憶するパッチ記憶手段に記憶された当該パッチ候補と欠損パッチとを含むパッチの組の中から、参照パッチもしくは前記パッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択する
    請求項9から請求項13のうちのいずれか1項に記載の画像修復方法。
  15. パッチ入力手段に入力されたパッチ候補をパッチ記憶手段に記憶させ、
    パッチの組を選択する際には、参照パッチもしくは前記パッチ入力手段に入力されたパッチ候補と、欠損パッチとを含むパッチの組の中から、参照パッチもしくは前記パッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択する
    請求項14記載の画像修復方法。
  16. 欠損領域を含む画像である欠損画像から欠損領域を抽出し、
    パッチの組を選択する際には、抽出された欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、参照パッチとを含むパッチの組の中から、前記欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択する
    請求項9から請求項15のうちのいずれか1項に記載の画像修復方法。
  17. コンピュータに、
    画像中の修復対象領域である欠損領域の各画素が取りうる画素値を、欠損領域を含まない画像中の領域である非欠損領域の画素の画素値をもとに推定する欠損画素値推定処理、
    前記欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、前記欠損領域を含まない領域の画像である参照パッチとを含むパッチの組の中から、前記欠損パッチと前記参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択するパッチ選択処理、および、
    選択された前記パッチの組における参照パッチをもとに前記欠損パッチを修復する画像修復処理を実行させ、
    前記パッチ選択処理で、欠損パッチにおける欠損領域の画素値に推定された画素値を用い、当該欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値とを比較して、欠損パッチの画像と参照パッチの画像とがより類似しているパッチの組を選択させる
    ことを特徴とする画像修復プログラム。
  18. コンピュータに、
    パッチ選択処理で、欠損パッチと参照パッチとを含むパッチの組の中から、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素に設定された画素値の尤もらしさを表す量である尤度とに基づいてパッチの組を選択させる
    請求項17記載の画像修復プログラム。
  19. コンピュータに、
    欠損パッチ及び参照パッチの組として選択された画像がより類似しているほど、尤度をより高く算出する方法により尤度を算出し、算出した尤度を用いて、入力された画像中の欠損領域に応じて当該画像中の各画素に予め設定された尤度を更新する尤度更新処理を実行させ、
    パッチ選択処理で、欠損パッチの画像と参照パッチの画像との類似の度合と、欠損パッチ及び参照パッチ中の各画素の更新された尤度とに基づいてパッチの組を選択させる
    請求項18記載の画像修復プログラム。
  20. コンピュータに、
    パッチ選択処理で、
    欠損パッチ候補の構造情報をもとに欠損パッチを選択する欠損パッチ選択処理、および、
    選択された欠損パッチにおいて推定された欠損領域の画素値と、対応する参照パッチの画素値との関係をもとに、参照パッチの中から、より欠損パッチに類似している参照パッチを選択する参照パッチ選択処理を実行させる
    請求項17から請求項19のうちのいずれか1項に記載の画像修復プログラム。
  21. コンピュータに、
    欠損パッチ及び参照パッチに分類された各パッチ候補を、共通の特徴に基づいて、各欠損パッチ及び参照パッチの候補内でグループに分類するパッチ分類処理を実行させ、
    パッチ選択処理で、同一のグループに分類された欠損パッチと参照パッチ同士をパッチの組として選択させる
    請求項17から請求項20のうちのいずれか1項に記載の画像修復プログラム。
  22. 参照パッチの候補であるパッチ候補を記憶するパッチ記憶手段を備えたコンピュータに適用される画像修復プログラムであって、
    前記コンピュータに、
    パッチ選択処理で、参照パッチもしくは前記パッチ記憶手段に記憶されたパッチ候補と、欠損パッチとを含むパッチの組の中から、参照パッチもしくは前記パッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択させる
    請求項17から請求項21のうちのいずれか1項に記載の画像修復プログラム。
  23. コンピュータに、
    パッチ入力手段に入力されたパッチ候補をパッチ記憶手段に記憶させるパッチ入力処理を実行させ、
    パッチ選択処理で、参照パッチもしくは前記パッチ入力手段に入力されたパッチ候補と、欠損パッチとを含むパッチの組の中から、参照パッチもしくは前記パッチ候補と、欠損パッチとがより類似しているパッチの組を選択させる
    請求項22記載の画像修復プログラム。
  24. コンピュータに、
    欠損領域を含む画像である欠損画像から欠損領域を抽出する欠損領域抽出処理を実行させ、
    パッチ選択処理で、抽出された欠損領域を含む領域の画像である欠損パッチと、参照パッチとを含むパッチの組の中から、前記欠損パッチと参照パッチとがより類似しているパッチの組を選択させる
    請求項17から請求項23のうちのいずれか1項に記載の画像修復プログラム。
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