JP5673344B2 - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、十分な光電変換効率が得られる非液体系の色素増感太陽電池に関するものである。
現在、支持体、導電層、増感色素を半導体に担持してなる半導体層、液体電解質を含有する正孔輸送層と、対極を設置してなる液体系の色素増感太陽電池(以下DSSCとも呼ぶ)が知られている。
特に液体系の中でも高効率化のために、ヨウ素/ヨウ化物イオンの酸化還元反応と、ヨウ素/ヨウ化物イオンの電荷移動を利用した液体電解質を用いる太陽電池が広く検討されている。しかしながら、素子の耐久性を確保するためには、電解質に接触する部材がヨウ素分子の酸化力に対する耐性が必要であり、また液体の漏洩を防止するために高い封止性も必要であり、長期使用における耐久性保持のために求められる要件が厳しい。
そこで、耐久性を確保するには、正孔輸送剤を含有し、固体の正孔輸送層を形成した色素増感太陽電池が提案されている。
しかしながら、これらの固体の正孔輸送層を有する色素増感太陽電池は、液体電解質を用いた色素増感太陽電池に比べ、初期効率が十分得られないという課題があった。
この初期発電特性の改善のために正孔輸送層にイオン液体(イオン性液体ともいう)を併用することも知られている(例えば、非特許文献1)。
一方、可撓性を有する有機分子の柔軟性を活用し、広範囲な用途に使用可能な電池として、可撓性支持体上に色素増感太陽電池を形成する試みも検討されている。可撓性を有する支持体上に色素増感太陽電池を形成する場合、各層の耐屈曲性が不十分で、長時間屈曲させた後開放すると、層中で微小クラックが発生し、初期より変換効率が低下するという課題があった。
Accounts of Chemical Research Vol 42 No11、2009,1827〜1838)
本発明は、上記課題を解消し、十分な可とう性を有し、かつ、十分な光電変換効率が得られる色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
即ち、本発明の目的は、正孔輸送剤含有の正孔輸送層を有する構成をもつ色素増感太陽電池であり、正孔輸送剤の分子間ホッピングだけでなく、正孔輸送層における曲げ応力緩和効果を有する色素増感太陽電池を提供することである。
本発明者は、正孔輸送剤を含有する正孔輸送層にイオン液体を併用する色素増感太陽電池において、ある一定以上の高分子量のイオン液体を用いると、高い光電変換効率が得られる。しかも、可とう性支持体を用いれば、折り曲げ可能な色素増感太陽電池が得られることを突き止め、本発明に至った。
即ち、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
(1)
可とう性を有する支持体、導電層、整流層、少なくとも増感色素を半導体に担持してなる半導体層、正孔輸送剤を含有する固体の正孔輸送層、対極を設置してなる色素増感太陽電池において、前記正孔輸送層が分子量450以上710以下のイオン液体を含有することを特徴とする色素増感太陽電池。
(2)
前記正孔輸送剤が、導電性高分子であることを特徴とする(1)に記載の色素増感太陽電池。
本発明により、正孔輸送剤含有の正孔輸送層を有する構成をもつ色素増感太陽電池であり、正孔輸送剤の分子間ホッピングだけでなく、正孔輸送層における曲げ応力緩和効果を有する色素増感太陽電池を提供することができる。
本発明に係わる色素増感太陽電池の構成の一例を示す断面模式図。 色素増感太陽電池の作製工程を説明する図。
本発明につきさらに詳しく説明する。
〔本発明に係わる色素増感太陽電池の構成〕
特に限定されるものではなく、これまでに知られている非液体系の色素増感太陽電池の構成を有するものである。
〔光電変換素子〕
本発明の色素増感太陽電池を構成する光電変換素子は、例えば図1に示される構成を有する。
光電変換素子10は、透光性基板11a上に透明導電層などからなる第1電極層11bが形成されてなる導電性支持体11上に、透光性を有する整流層13を介して半導体物質に増感色素が担持されてなる光電変換層14が形成されてなる半導体電極12と、さらに第2電極層16とが、正孔輸送層15を介して配置されている。
本発明の色素増感太陽電池は、上記の光電変換素子10を少なくとも1つ有するものである。
この光電変換素子10においては、第1電極層11b及び第2電極層16が図示しない結線によって電気的に接続されており、透光性基板11a側から太陽光を入射させることにより、光電流を取り出すことができる。
具体的には、導電性支持体11を透過して入射された太陽光が、光電変換層14の半導体物質の表面に担持された基底状態の増感色素に吸収されて該増感色素を励起し、電子が発生する。この電子が半導体物質に注入され、光電変換層14中を拡散して整流層13を経て第1電極層11bおよび結線を経由して第2電極層16へ導かれる。第2電極層16において正孔輸送層15の構成材料が還元される。一方、電子を失って酸化体とされた増感色素は、正孔輸送層15から電子が供給されることにより、還元されて基底状態に戻り、同時に、正孔輸送層15の構成材料が酸化されて、再び第2電極層16から供給される電子により還元されうる状態に戻る。以上の一連の過程により、光電変換層14と電気的に接続された第1電極層11bと、第2電極層16との間に起電力が発生する。
本発明の色素増感太陽電池は、正孔輸送層が分子量450以上710以下のイオン液体を含有することを特徴とする。従来の固体正孔輸送層の場合、可とう性基板を用いた場合に、曲げ応力が加わったときの応力緩和が不十分で、正孔輸送層内部が破壊されやすい問題があった。そこで、分子量450以上710以下のイオン液体を正孔輸送層に添加したところ、正孔輸送剤とイオン液体のイオンの分子間力が適切であり、曲げ応力が加わったときの応力緩和が適度に働くため、内部の破壊が防止できて、耐久性が向上した。
この正孔輸送層15の平均厚み、すなわち半導体電極12と第2電極層16との平均の離間距離は、例えば0.1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmであり、さらに好ましくは1〜20μmである。正孔輸送層15の平均厚みが上記の範囲であることにより、正孔輸送層15から半導体電極12へ正孔を伝達する効率(伝達効率)が低下することを確実に防止することができる。
本発明において、実際にイオン液体を正孔輸送層に含有させるには、正孔輸送層を形成した後にイオン液体を滴下する、又は正孔輸送剤をイオン液体に浸漬して含有させることができる。或いは、正孔輸送剤を溶解した溶液にイオン液体を添加して含有させる。その他、電界重合時にモノマー溶液に添加して、電界重合を行い、正孔輸送層に取り込む方法でもよい。
即ち、正孔輸送層へのイオン性液体の含有方法としては、正孔輸送層が低分子正孔輸送剤を溶媒に溶解した溶液を塗布乾燥して形成する場合は、該溶液に溶解させることが出来る。また上記電界重合等による高分子電荷輸送剤による正孔輸送層を形成する場合や、前記低分子正孔輸送剤を塗布乾燥して形成する場合には、該輸送層形成後にイオン性液体を含有した溶液を滴下、浸漬等により含有させることが出来る。
従来技術における液体系DSSCは、イオン液体は不揮発性溶媒として使用されている。したがってこの場合の注目パラメータは酸化還元種の溶解性、あるいは拡散性であり、その観点から粘度が低いことが求められている。一方固体系DSSCにイオン液体を添加する場合には、内部抵抗の低減剤として添加されている。
しかしながら、本発明においては、色素増感太陽電池に曲げ応力が加えられたとき、分子量450以上710以下のイオン液体を使用することにより、適度な応力緩和作用が働くことがわかった。
そのメカニズムは、高分子量(分子量450以上)のイオン液体を使用すると、曲げ応力を加えたときに、正孔輸送剤とイオン液体のイオン分子間力が働き、曲げ応力が加わったときの応力緩和が適度に働く、これにより内部が壊れないですむので、色素増感太陽電池が十分な曲げ耐性を有すると考えられる。
ただ、あまり分子量が高いと、正孔輸送層に対する浸透性が低くなり、曲げ耐性に対する効果が少なくなる。分子量が710を超えて高くなると、曲げ耐性に対する効果がほとんどなくなってしまうと考えられる。
本発明のイオン液体とは、25℃で液体であるイオン性化合物である。正孔輸送層に添加する化合物が、イオン性の固体の場合には、可撓性効果が十分でなく、十分な耐久性が得られない。
イオン液体の分子量の調整は、置換基の導入、カチオン、アニオンの選択により行うことが出来る。
本発明で用いるイオン液体に用いることができるカチオンの代表的な例を示す。
本発明で用いるイオン液体に用いるカチオンは、特に好ましくは、以下のように、長鎖アルキルを持つイミダゾリウムイオン、長鎖アルキルを持つ非対称アンモニウムイオン、長鎖アルキルを持つ非対称ホスホニウムイオンが挙げられる。
次に本発明で用いるイオン液体に用いるアニオンは、特に好ましくは以下のようなものが挙げられる。
以下に分子量が450以上のイオン液体の例を示す。
〔正孔輸送層(電荷輸送層)〕
即ち、例えば下記に示す如きものである。
正孔輸送層15は、色素の酸化体を迅速に還元し、色素との界面で注入された正孔を第2電極層16に輸送する機能を担う層である。
正孔輸送層としては、導電性高分子から成る高分子電荷輸送剤を用いる方法や、有機溶媒に易溶の有機の低分子電荷輸送剤を用いる方法や、無機の電荷輸送剤を用いる方法が知られているが、十分な電荷輸送能力を確保して正孔の損失を防ぐためには、導電性高分子から成る高分子正孔輸送剤を用いるほうが望ましい。
高分子電荷輸送剤としては、公知のものを使うことができる。例えば、以下の一般式(1)〜(3)で表されるモノマーユニットを少なくとも一種以上含有するものが挙げられる。
前記一般式(1)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、直鎖あるいは分岐状のアルキル基、直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、ポリエチレンオシキド基或いはアリール基のいずれかである。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、直鎖あるいは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、ポリエチレンオキシド基としては、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
前記一般式(2)中、nは1〜3の整数であり、mは0〜2n+4の整数である。Rは水素原子、ハロゲン原子、直鎖あるいは分岐状のアルキル基、直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、ポリエチレンオシキド基或いはアリール基のいずれかであり、Rが複数の場合、それぞれが異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、直鎖あるいは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、ポリエチレンオキシド基としては、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
一般式(3)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、直鎖あるいは分岐状のアルキル基、直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、ポリエチレンオシキド基或いはアリール基のいずれかである。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、直鎖あるいは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、ポリエチレンオキシド基としては、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
前記一般式(1)〜(3)で表すことのできる化合物例を以下に示す。
これらのモノマーは、例えば、J.R.Reynolds他, Adv.Mater.,11, 1379(1999)に記載の方法等で合成することができる。又、上記モノマーの二量体は、T.M.Swager他,Journal of the American Chemical Society,119, 12568(1997)に記載の方法等により合成することができる。
尚、二量体等の多量体を用いることにより、モノマーを用いる場合に比し、重合体形成時の酸化電位が小さくなり、重合体の合成速度が短縮されて好ましい。
(高分子イオン電荷輸送剤の重合法)
電解重合法により重合体を得る場合は、重合体の合成がそのまま前記正孔輸送層の形成につながる。即ち、以下のような電解重合法が行われる。
前記一般式(1)〜(3)で表されるモノマー或いは該モノマーの二量体を、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネイト、ジクロロメタン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶解し、これに支持電解質として過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、Li[(CFSON]などの塩類を添加して、電解重合用液を作製する。
溶媒としては、支持電解質および前記モノマー或いはその二量体を溶解できるものであれば特に限定されない。支持電解質としては、イオン電離可能なものが用いられ、特定のものに限定されない。
特に、溶媒に対する溶解性が高く、酸化、還元を受けにくいものが好適に用いられる。
ついで、色素吸着を行った後の基板をこの電解重合用液に浸し、光電変換層を作用電極として、白金板などを対極として用い、また、参照極としてAg/AgClなどを用いて、直流電解する方法で行われる。電解重合用液中の前記モノマー或いはその二量体の濃度は、0.1〜1000mmol/L(リットル)程度が好適であり、支持電解質濃度は、0.1〜2mol/L程度が好適である。また、印加電流密度としては、0.01mA/cm〜1000mA/cmの範囲であることが望ましく、特に1mA/cm〜500mA/cmの範囲であることが望ましい。電解重合溶液の温度範囲は、その溶媒が固化・突沸しない範囲が適当であって一般に−30℃〜80℃である。電解電圧、電解電流、電解時間、温度等の条件は、使用する材料によって左右され、また、要求する膜厚に応じて適宜選択することができる。
重合体の重合度把握は、電解重合で得られた重合体では困難であるが、重合後形成された正孔輸送層の溶媒溶解性は大きく低下するため、その度合いにより推測できる。重合度合いの確認方法としては、一般式(1)〜(3)で表されるモノマーの溶解が可能な溶媒である、テトラヒドロフラン(THF)に正孔輸送層を浸漬させ、その溶解度で判断することもできる。
具体的には、25mlのサンプル瓶に化合物(重合体のこと)を10mgをとり、THF10mlに添加して、超音波を(25kHz、150W 超音波工業(株)COLLECTOR CURRENT1.5A超音波工業製150)5分間照射したときに、溶解している化合物が5mg以下の場合は重合していると規定する。
一方、重合触媒を用いて化学重合を行う場合には、前記一般式(1)〜(3)で表されるモノマー或いはその二量体等を以下のような重合触媒を用いて重合する。即ち、塩化鉄(III)(iron(III) chloride)、トリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)(iron(III)tris−p−toluenesulfonate)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)(iron(III)p−dodecylbenzenesulfonate)、メタンスルホン酸鉄(III)(iron(III)methanesulfonate)、p−エチルベンゼンスルホン酸鉄(III)(iron(III) p−ethylbenzenesulfonate)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)(iron(III)naphthalenesulfonate)およびその水和物等が挙げられる。
化学重合において用いられる重合速度調整剤としては、前記重合触媒における三価鉄イオンに対する弱い錯化剤であり、膜が形成できるように重合速度を低減するものであれば特に制限はないが、重合触媒が塩化鉄(III)およびその水和物である場合には、5−スルホサリチル酸(5−sulphosalicylic acid)の様な芳香族オキシスルホン酸などが挙げられ、また、重合触媒がトリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)、メタンスルホン酸鉄(III)、p−エチルベンゼンスルホン酸鉄(III)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)およびその水和物である場合には、イミダゾールなどが挙げられる。
重合体は、合成された後、重合体を含有する塗布液などに含有されて光電変換層上に供給されてもよいが、光電変換層上で重合し、正孔輸送層を形成することが好ましい態様である。
その場合、重合体を重合して合成するために、前記一般式(1)〜(3)で表されるモノマー或いは二量体等を、前記重合触媒、前記重合速度調整剤およびその他の添加剤を含有する正孔輸送層形成用溶液が用いられる。正孔輸送層形成用溶液における、上記各成分の合計の濃度は、用いる前記一般式(1)〜(3)で表されるモノマー或いはその二量体等、前記重合触媒、前記重合速度調整剤およびその他の添加剤のそれぞれの種類、その量比、塗布法に対する条件および望まれる重合後の膜厚により異なるが、概ねその質量濃度は、1〜50%の範囲である。
前記正孔輸送層形成用溶液を光電変換層上に塗布法により塗布した後、あるいは、光電反感層を前記正孔輸送層形成用溶液に浸漬させたまま重合反応を行う。
重合反応の条件は、用いる前記一般式(1)〜(3)で表されるモノマー或いはその二量体等、前記重合触媒、および前記重合速度調整剤のそれぞれの種類、その量比、濃度、塗布した段階での液膜の厚み、望まれる重合速度により異なるが、好適な重合条件としては、空気中加熱の場合の加熱温度が25〜120℃の範囲、加熱時間が1分〜24時間の範囲が好ましい。
本発明に係わる重合体は、一般式(1)〜(3)で表されるモノマーを併用させてもよい。これらの併用の例としては、例えばチオフェン誘導体、ピロール誘導体あるいはフラン誘導体等のモノマーから導入された繰り返し単位が挙げられる。
正孔輸送層を、塗布により形成する場合は、前記正孔輸送層形成用溶液を用いるが、この塗布液の溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ブチレンオキシド、クロロホルム、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、アセトン、各種アルコールのような極性溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルスホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
正孔輸送層には、必要に応じて、例えば、N(PhBr)SbCl、Li[(CFSON]等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
塗布する方法としては、ディッピング、滴下、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター等の各種塗布法を用いることができる。
また、このような塗布の操作を繰り返し行って積層するようにしてもよい。
正孔輸送層中の一般式(1)〜(3)で表されるモノマーの重合体含有量は、50〜100質量%であることが好ましく、さらには90〜100質量%であることが好ましい。
本発明の正孔輸送層の伝導度を高めるために、正孔ドープされている必要があり、一般式(1)〜(3)で表されるモノマー単位あたりの正孔ドープ量が0.15〜0.66(個)であることが好ましい。
電解重合では、一般式(1)〜(3)で表されるモノマーの重合体に電場をかけて酸化することにより、正孔ドープされる。電界重合の場合には光を照射して重合することが好ましい。酸化チタン表面に緻密に重合体を形成できるためである。
また、光電変換層の増感色素の酸化体を還元するためには、本発明に係わる重合体が色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要であり、そのため使用する増感色素によって本発明に係わる重合体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、該重合体がドープされた状態で、4.5eV以上5.5eV以下が好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下が好ましい。
有機の低分子電荷輸送剤としては、特に限定するものではないが、例えば、トリアリールアミン誘導体、テトラセン等の4つ以上の環が縮合している芳香族炭化水素、などをあげることができる。無機の電荷輸送剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ヨウ化銅(I)、シアン化銅(I)などをあげることができる。
次に上記以外の構成層について説明を加える。
〔導電性支持体〕
本発明に係る光電変換素子10(図1参照)を構成する導電性支持体11は、透光性基板11a上に透明導電層などからなる第1電極層11bが形成されてなるものであって、この導電性支持体11は実質的に透明である。ここに、実質的に透明であるとは、光の透過率が50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
この導電性支持体11を構成する透光性基板11aとしては、プラスチックフィルムなどを用いることができ、また、当該導電性支持体11を構成する第1電極層11bを構成する材料としては、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物や炭素よりなるものなどが挙げられる。
本発明に係る光電変換素子10を構成する透光性基板11aは、可撓性を有するものである。
この導電性支持体11の表面抵抗は50Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましい。
導電性支持体11の厚さは、例えば0.3〜5mmであることが好ましい。
〔整流層〕
本発明の色素増感太陽電池においては、整流層13が、親水性樹脂中にn型半導体粒子が分散されてなるものであることが好ましい。
(親水性樹脂)
本発明の整流層13を構成する親水性樹脂は、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、などが挙げられ、これらの中でもポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性樹脂、およびアルギン酸ナトリウムなどのアニオン性樹脂が好ましい。
(n型半導体粒子)
本発明の整流層13を構成するn型半導体粒子は、電子伝達作用を発揮するものであって、このような半導体物質を構成する半導体としては、周期表の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、例えば酸化物、硫化物、セレン化物などの金属のカルコゲニド、金属窒化物などを用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブまたはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物などが挙げられる。また、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウムなどのリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物なども用いることができる。
具体的には、TiO、ZrO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、Ta、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Tiなどが挙げられ、これらの中でもTiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、PbSを用いることが好ましく、TiOおよびSnOを用いることがより好ましく、TiO(酸化チタン)を用いることが特に好ましい。
特に、良好な整流特性と半導体電極12との密着性を兼ね備えるという観点から、その表面が無機物からなる粒子、具体的には、例えば未処理の酸化チタン粒子や、酸化チタン成分によって表面を被覆する処理を施した粒子などであることが好ましい。未処理の酸化チタン粒子は親水性を示すので、後述するように親水性樹脂を水系媒体に溶解させたものに対して良好な分散性が得られ、塗布、乾燥によって簡単に整流層を形成させることができる。
この整流層13においては、n型半導体粒子に対する親水性樹脂の質量比(以下、「樹脂割合」ともいう。)が0.1〜2とされることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7である。
整流層13における樹脂割合が上記の範囲にあることにより、得られる色素増感太陽電池に高い光電変換効率が得られると共に、湾曲変形させた場合にも当該光電変換効率が低下しないという効果が確実に得られる。一方、整流層13における樹脂割合が過度に低い場合は、n型半導体粒子と親水性樹脂との接触性が低くなるために湾曲変形したときに、微小なクラックが発生して光電変換効率が低下してしまう恐れがある。一方、整流層13における樹脂割合が過度に高い場合は、n型半導体粒子同士が接触する割合が低くなるために整流層における電子輸送能が低下し、高光電変換効率が得られないことがある。
〔整流層の形成方法〕
整流層13は、例えば、第1電極層11bが形成されてなる導電性支持体11の当該第1電極層11b上に、水系媒体中に親水性樹脂が溶解されると共にn型半導体粒子が分散されてなる分散液を塗布して乾燥処理を施すことにより、形成することができる。
整流層13の形成に用いられる水系媒体としては、用いる親水性樹脂を溶解させることができるものであれば限定されず、例えばメタノール、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
乾燥処理は、例えば加熱により行うことができ、加熱温度は、導電性支持体11を構成する透光性基板11aの耐熱温度より低い温度であればよく、例えば透光性基板11aがPEN(ポリエチレンナフタレート)よりなるものである場合は、50〜300℃とされ、特に100〜250℃であることが好ましい。
整流層13の厚さは、例えば50〜500nmであることが好ましい。
〔光電変換層〕
光電変換層14は、半導体物質に増感色素が担持されてなるものであり、電子輸送能を有するものである。
(半導体物質)
光電変換層14を構成する半導体物質は、電子伝達作用を発揮するものであって、このような半導体物質を構成する半導体としては、周期表の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、例えば酸化物、硫化物、セレン化物などの金属のカルコゲニド、金属窒化物などを用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブまたはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物などが挙げられる。また、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウムなどのリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物なども用いることができる。
具体的には、TiO、ZrO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、Ta、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Tiなどが挙げられ、これらの中でもTiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、PbSを用いることが好ましく、TiOおよびSnOを用いることがより好ましく、TiOを用いることが特に好ましい。
これらの半導体は、2種類以上混合して用いることもできる。例えば酸化チタン(TiO)に20質量%の窒化チタン(Ti)を混合して使用することができ、また例えば、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,15(1999)に記載された酸化亜鉛/酸化錫の複合物を使用することもできる。半導体として金属酸化物また金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物または金属硫化物半導体に対する質量比が30質量%以下とされることが好ましい。
光電変換層14の厚さは、例えば1〜20μmであることが好ましい。
(増感色素)
光電変換層14において半導体物質に担持される増感色素としては、増感作用を示すものであれば特に限定されず、公知の種々のものを用いることができるが、電荷の半導体物質への効率的な注入の観点から、増感色素としては、カルボキシル基を有するものを用いることが好ましい。
以下に、増感色素の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
これらは単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
(光電変換層の形成方法)
上記光電変換層14は、第1電極層11bと整流層13上に、半導体物質からなる半導体層を形成した後、当該半導体層の表面に増感色素を吸着させることにより、形成することができる。
(半導体層形成工程)
半導体層は、例えば焼成により形成することができる。
具体的には、本発明に係る半導体が粒子状のものである場合には、半導体を整流層13上に塗布または吹きつけ、その後、焼成処理を行うことにより、半導体層が形成される。また、本発明に係る半導体が膜状のものである場合には、半導体を整流層13上に貼り合わせた後、焼成処理を行うことにより形成される。
本発明に係る半導体が粒子状のものである場合の半導体層形成工程について、以下に説明する。
まず、半導体層を形成すべき半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって、半導体微粉末含有塗布液を調製する。用いる半導体微粉末は、その1次粒子径が微細な程好ましく、例えば1次粒子径が1〜5000nmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜50nmである。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状に分散するのが望ましい。
溶媒としては、半導体微粉末を分散し得るものであれば特に限定されず、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液などを用いることができる。有機溶媒としては、例えばメタノールやエタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトンなどのケトン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素などを用いることができる。
半導体微粉末含有塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコールなどの多価アルコールなど)を加えることができる。
溶媒中の半導体微粉末の濃度は、0.1〜70質量%の範囲とされることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜30質量%である。
次に、半導体微粉末含有塗布液を整流層13上に塗布または吹き付けた後、乾燥することにより皮膜を形成し、これを焼成して半導体層を形成する。
焼成前の皮膜は、微粒子状の半導体集合体からなるものとなり、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。このような皮膜は、整流層13との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであるが、焼成処理を経ることによって、得られる半導体層が機械的強度の高いものとなって整流層13に強く固着する。
焼成処理は、空気中または不活性ガス中にて行う。焼成処理における焼成温度は、導電性支持体11を構成する透光性基板11aの耐熱温度より低い温度とされ、例えば透光性基板11aがPEN(ポリエチレンナフタレート)よりなるものである場合は、50〜300℃とされ、特に100〜250℃であることが好ましい。
焼成処理を経た半導体層の厚みは、所望の光電変換層14の厚みであればよく、例えば1〜20μmとされる。
(増感色素吸着工程)
半導体層に対する増感色素の吸着は、増感色素を適宜の溶媒に溶解させた浸漬液に、上記の半導体層を形成した構造物を浸漬することによって行われる。
増感色素の吸着は、焼成による半導体層の形成後、当該半導体層に水分が吸着される前に行うことが好ましい。
増感色素を溶解する溶媒としては、増感色素を溶解させることができ、かつ、半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、これらは混合して用いてもよい。これらの中でも、特に好ましくはエタノール、t−ブチルアルコール、アセトニトリルである。これらの溶媒は、予め蒸留精製および脱気をしておくことが好ましい。
半導体層を形成するため浸漬液に浸漬する時間は、半導体層に増感色素を深く進入させて吸着などを十分に進行させ、かつ浸漬液中において増感色素の分解などにより生成した分解物が増感色素の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃では1〜48時間が好ましく、さらに好ましくは3〜24時間である。
半導体層を形成した構造物を浸漬するための浸漬液の温度は、増感色素が分解せず、また、沸騰しない温度であればよく、適宜に加熱などを行うことができる。具体的には、例えば10〜100℃とされることが好ましく、さらに好ましくは25〜80℃である。
〔第2電極層〕
第2電極層16は、対向電極であって、第2電極層16を構成する材料としては、導電性を有するものであればよく、白金、金、銀、銅、黒鉛などの任意の導電性材料を挙げることができる。第2電極層16は、正孔輸送層15との接触性の高い金属薄膜であることが好ましく、特に、正孔輸送層15との仕事関数の差が小さく、化学的に安定である金属である金を用いた薄膜であることが好ましい。
〔光電変換素子の作製方法〕
光電変換素子10は、導電性支持体11上に整流層13を形成し、この整流層13上に光電変換層14を形成し、その後、この光電変換層14の上に正孔輸送層15を形成し、さらに、この正孔輸送層15上に第2電極層16を形成することにより、得られる。
以上の光電変換素子10は、用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
以上のような色素増感太陽電池によれば、整流層13を有するために基本的に正孔輸送層15と第1電極層11bとの間の短絡が防止され、さらに、当該整流層13がn型半導体粒子および親水性樹脂を含有してなるものであるために、湾曲変形させた場合にも光電変換効率の低下が少なく、従って、優れた光電変換能の安定性を得ることができる。
また、以上のような色素増感太陽電池の製造方法によれば、整流層13を低温で形成しても、湾曲変形させた場合にも光電変換効率の低下が少ない色素増感太陽電池を得ることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔色素増感太陽電池1の作製〕
1.第1の基板作製
多孔質チタニア層の作製
抵抗が13Ω/□であるITO/PEN(ポリエチレンナフタレート;ペクセルテクノロジーズ社製)(導電性支持体)(フィルム厚さ200μm)の切り取りを行い、次に、図2−aの網掛け部相当について、YAGレーザー(波長1064nm)を搭載したレーザーマーカーを用いて、連続的にレーザー光を走査してエッチングを行い、ITO層のみの除去を行った。
次に、アルギン酸ナトリウム溶液(0.60質量%、溶媒組成は、水/エタノール=95/5)に酸化チタン粒子「P25」(日本アエロジル社製)を、1.20質量%の割合で混合し、超音波処理により十分に分散して濾過した分散液を調製した。
以下の図の網掛け部分を、カプトンテープでマスキングをしてから、前記分散液を滴下し、スピンコート法(最初に500rpmで5秒の回転を行い、連続して次に2000rpm20秒の回転を実施)により製膜後、120℃で30分間乾燥することにより整流層を形成した(図2−b参照)。
さらに、酸化チタンペースト「SP−210」(昭和電工社製)を、上記の整流層上に塗布し、140℃で50分間乾燥することにより、以下の図の場所になるように、厚さ4μmの半導体電極を形成した(図2−c)。
2.色素吸着
次に、下記の前吸着化合物1(4−tert−ブチルシクロヘキシルカルボン酸)をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1(体積比)の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/L(リットル)の溶液を調製した。上記酸化チタンを塗布焼結した第1の基板を、この溶液に室温で3時間浸漬して前吸着化合物1の吸着処理を行った。
次に増感色素(16)(化学式は以下に示す)をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1(体積比)の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/Lの溶液を調製した。上記の前吸着化合物1を吸着させた前吸着済みの第1の基板を、この溶液に室温で3時間浸漬して増感色素1の吸着処理を行い、光電変換層を形成し、半導体電極1を得た。
3.電解重合、後処理
前記半導体電極1を、3,4−エチレンジオキシチオフェンの二量体(例示化合物M1−1)を1×10−2(モル/L)の割合で含有し、Li[(CFSON]を0.1(モル/L)の割合で含有するアセトニトリル溶液(電解重合溶液)に浸漬した。作用極を前記半導体電極、対極を白金線、参照電極をAg/Ag(AgNO;0.01M)、保持電圧を−0.20Vとした。半導体層方向から光を照射(キセノンランプ使用、光強度24mW/cm、430nm以下の波長をカット)しながら30分間電圧を保持して、正孔輸送層を前記半導体電極表面に形成した。得られた半導体電極/正孔輸送層をアセトニトリルで洗浄、乾燥した。
なお、ここで得られた正孔輸送層は、溶媒には不溶の重合膜になっている。
その後、Li[(CFSON]を25×10−3(モル/L)、tert−ブチルピリジンを60×10−3(モル/L)の割合で含有するアセトニトリル溶液に20分間浸漬して、終了後は乾燥窒素を吹きつけて乾燥させた。
4.第2の基板作製
以下の図(図2−d)に従って、シート抵抗が13Ω/□であるITO/PEN(ポリエチレンナフタレート;ペクセルテクノロジーズ社製)(導電性支持体)(フィルム厚さ200μm)の切り取りを行い、図中の網掛け部相当について、YAGレーザー(波長1064nm)を搭載したレーザーマーカーを用いて、連続的にレーザー光を走査してエッチングを行い、ITO層のみの除去を行った。続いてITO層が残存している部分に、膜厚が100nmになるように金の蒸着を行った。
次に、3,4−エチレンジオキシチオフェンの二量体(例示化合物M1−1)を1×10−2(モル/L)の割合で含有し、Li[(CFSON]を0.1(モル/L)の割合で含有するアセトニトリル溶液(電解重合溶液)に浸漬した。作用極を前記半導体電極、対極を白金線、参照電極をAg/Ag(AgNO;0.01M)、保持電圧を+0.60Vとした。暗所で2分間電圧を保持して、正孔輸送層を前記半導体電極表面に形成した。得られた正孔輸送層をアセトニトリルで洗浄、乾燥した。
なお、ここで得られた正孔輸送層は、溶媒には不溶の重合膜になっている。
5.色素増感太陽電池1の完成
以下の構造のイオン液体を用いて、次の組成の溶液を調製した。
クロロベンゼン/アセトニトリル=2/1(体積/体積)の溶媒に対して、イオン液体(例示化合物No.1)1モル/L、Li[(CFSON]を0.2モル/L、tert−ブチルピリジンを0.2モル/Lの割合で溶解させた。
この溶液を、第1の基板の正孔輸送部分と、第2基板の第1基板対向部分に滴下をして自然乾燥を行い、第1の基板の正孔輸送部分と第2の基板の全面が完全にイオン液体で濡れたことを確認した。
これについて、第1の基板と第2の基板を対向させて、表裏からガラス平板を重ねて、第1の基板と第2の基板の全面をはさみこんだ状態で、紫外線硬化樹脂フィルムを用いて接着を行い、可とう性のある色素増感太陽電池1(以下、「色素増感太陽電池1」を「電池1」と略す)を完成させた。
〔色素増感太陽電池(電池)2〜10の作製〕
同様にして表1に示したイオン液体を用いて色素増感太陽電池(電池)2〜10を電池1と同様にして作製した。
〔性能評価〕
作製し、ソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW・cm−2の擬似太陽光を照射することにより評価を行った。
測定結果から、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、および形状因子(F.F.)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。なお、光電変換素子の変換効率(η(%))は下記式(A)に基づいて算出した。
η=100×(Voc×Jsc×F.F.)/P・・・(A)
ここで、Pは入射光強度[mW・cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
さらに、物理的な曲げ試験(40℃暗所において、直径100mmの円筒に、対極面の側を外にして巻き付けた後、1時間放置してから導電層(第1の基板側)面の側を外側にして巻き付け1時間放置した。)を行い、この後でもソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW・cm−2の擬似太陽光を照射することにより評価を行った。
この試験の結果は下記表1のとおりである。
本発明内の実施例1〜6(電池1〜6)は、初期特性がいずれも良く、耐久テスト後の特性低下も少ないが、本発明外の比較例1〜4(電池7〜10)は、特に耐久テスト後の特性低下が大きい。
10 光電変換素子
11a 透光性基板
11b 第1電極層
11 導電性支持体
12 半導体電極
13 整流層
14 光電変換層
15 正孔輸送層
16 第2電極層

Claims (4)

  1. 可とう性を有する支持体、導電層、整流層、少なくとも増感色素を半導体に担持してなる半導体層、正孔輸送剤を含有する固体の正孔輸送層、対極を設置してなる色素増感太陽電池において、前記正孔輸送層が分子量450以上710以下のイオン液体を含有し、
    前記イオン液体のカチオンが、長鎖アルキルを持つイミダゾリウムイオン、長鎖アルキルを持つ非対称アンモニウムイオンまたは長鎖アルキルを持つ非対称ホスホニウムイオンであり、
    前記長鎖アルキルを持つイミダゾリウムイオンが、以下のいずれか:
    であり、
    長鎖アルキルを持つ非対称アンモニウムイオンが、以下のいずれか:
    であり、
    長鎖アルキルを持つ非対称ホスホニウムイオンが、以下のいずれか:
    であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 前記正孔輸送剤が、導電性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 可とう性を有する支持体、導電層、整流層、少なくとも増感色素を半導体に担持してなる半導体層、正孔輸送剤を含有する固体の正孔輸送層、対極を設置してなる色素増感太陽電池の耐屈曲性の向上方法であって、
    前記正孔輸送層に、分子量450以上710以下のイオン液体を含有し、
    前記イオン液体の分子量の調整は、置換基の導入、カチオン、アニオンの選択により行い、
    前記イオン液体のカチオンが、長鎖アルキルを持つイミダゾリウムイオン、長鎖アルキルを持つ非対称アンモニウムイオンまたは長鎖アルキルを持つ非対称ホスホニウムイオンであり、
    前記長鎖アルキルを持つイミダゾリウムイオンが、以下のいずれか:
    であり、
    長鎖アルキルを持つ非対称アンモニウムイオンが、以下のいずれか:
    であり、
    長鎖アルキルを持つ非対称ホスホニウムイオンが、以下のいずれか:
    であることを特徴とする、色素増感太陽電池の耐屈曲性の向上方法。
  4. 前記正孔輸送剤が、導電性高分子であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感太陽電池の耐屈曲性の向上方法。
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