JP5670301B2 - 能動型振動騒音制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、路面入力に基づく振動騒音(ロードノイズという。)を振動騒音打消音により打ち消す能動型振動騒音制御装置に関し、例えば、車両等に搭載して好適な能動型振動騒音制御装置に関する。
車両の走行時に路面から受ける車輪の振動がサスペンションを介して車体に伝わり、車室内に振動騒音(ロードノイズ)が発生する。この振動騒音を、マイクロフォンが配置される評価点(受聴点)において前記振動騒音と逆位相の振動騒音打消音により打ち消す能動型振動騒音制御装置が各種提案されている(特許文献1〜5)。
この種の能動型振動騒音制御装置では、適応フィルタにより振動騒音打消音を生成するための制御信号を生成するが、この制御信号は、マイクロフォンから得られる振動騒音と前記振動騒音打消音との干渉信号である誤差信号が最小となるように、振動騒音の参照信号を利用して適応フィルタのフィルタ係数を逐次更新するように構成されている。
特開平5−265471号公報 特開平6−83369号公報 特開平6−266374号公報 特開2007−25527号公報 特開2009−45954号公報
特許文献1、2では、適応フィルタとして多タップ数を有する適応FIR(Finite Impulse Response)フィルタを採用しているので、広帯域の振動騒音に対応できるが遅延が大きいため演算負荷が大きくなり、高コストのCPUが必要になるという課題がある。
特許文献3には、適応FIRフィルタのタップ数を低減するために、振動センサから得られる参照信号を帯域分割し、少タップ数の複数の適応FIRフィルタを用いることが開示されているが、結局、適応FIRフィルタを使用しているので、それほどには、演算負荷を小さくすることができない。
特許文献4、5には、適応フィルタとして適応ノッチフィルタを採用し、且つ振動センサを使用せずに特定周波数の余弦波信号と正弦波信号とからなる参照信号を前記適応ノッチフィルタで畳み込んで制御信号を生成し、この制御信号の位相と振幅を調整してスピーカから出力する、いわゆるフィードバック制御型の騒音制御装置が開示されている。このため、低遅延化且つ低演算負荷化が図られ、低コストのCPUを用いて騒音低減制御が行うことができる。
この特許文献4、5に係る技術では、適応ノッチフィルタで生成された制御信号が、マイクロフォンで得られた誤差信号から減算され、この減算信号が適応アルゴリズム演算により最小となるよう前記適応ノッチフィルタのフィルタ係数を決定することで前記制御信号が生成される。これにより、制御信号は、誤差信号と同一振幅同位相の前記特定周波数の信号になる。すなわち、制御信号は、誤差信号から、通過周波数が前記特定周波数に設定された帯域通過フィルタ(BPFという。)により抽出された前記特定周波数の成分のみの信号と等価な信号になる。
しかしながら、特許文献4、5に開示された技術では、特定周波数でのフィードバック制御を行っているので、特定周波数の両側で振動騒音が増加する、いわゆるウオーターベッド効果による不具合が発生し、当該ウオーターベッド効果による振動騒音の増加を抑制するためには、特定周波数、すなわち振動騒音低減対象周波数での振動騒音低減量を制限しなければならないという課題がある。
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、演算負荷が少なくて低コストであり、且つ特定周波数(以下、所定周波数ともいう。)での、路面入力に基づく振動騒音(ロードノイズ)の低減量を制限する必要のない能動型振動騒音制御装置を提供することを目的とする。
この項では、理解の容易化のために添付図面中の符号を付けて説明する。したがって、この項に記載した内容がその符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
この発明に係る能動型振動騒音制御装置は、以下の特徴[1]〜[3]を備える。
[1]路面入力(26)に基づく振動騒音(NS)を検出し、検出した前記振動騒音(NS)を示す振動騒音信号(Sns)を出力する振動騒音検出部(16)と、
前記振動騒音信号(Sns)に基づいて参照信号(Sr)を生成する参照信号生成部(34)と、
前記参照信号(Sr)が入力され、制御信号(Sc)を出力する適応フィルタ(30)と、
前記制御信号(Sc)に基づいて振動騒音打消音(CS)を発生する振動騒音打消部(18)と、
前記振動騒音(NS)と前記振動騒音打消音(CS)との差に基づく誤差信号(e)を検出する誤差信号検出部(20)と、
前記振動騒音打消部(18)から前記誤差信号検出部(20)までの伝達特性(C^)に基づいて前記参照信号(Sr)を補正して補正参照信号(Sra)を出力する補正部(38)と、
前記誤差信号(e)と前記補正参照信号(Sra)とに基づいて前記誤差信号(e)が最小となるように前記適応フィルタ(30)のフィルタ係数(W2)を逐次更新するフィルタ係数更新部(40)と、を備え、
前記参照信号生成部(34)は、
前記振動騒音(NS)における所定周波数(f)の実部成分に該当する実部参照信号(Srr)を生成する実部参照信号生成部(51r)と、前記振動騒音(NS)における前記所定周波数(f)の虚部成分に該当する虚部参照信号(Sri)を生成する虚部参照信号生成部(51i)と、
からなり、
前記適応フィルタ(30)は、
前記実部参照信号(Srr)が入力され、第1制御信号(Sc1)を出力する第1適応ノッチフィルタ(30r)と、前記虚部参照信号(Sri)が入力され、第2制御信号(Sc2)を出力する第2適応ノッチフィルタ(30i)と、前記第1制御信号(Sc1)及び前記第2制御信号(Sc2)が入力され前記制御信号(Sc)を生成する制御信号生成部(31)と、
からなり、
前記補正部(38)は、
前記伝達特性(C^)に該当する実部補正値(Rc)と虚部補正値(Ic)とを持ち、前記実部参照信号(Srr)と前記虚部参照信号(Sri)とをそれぞれ前記実部補正値(Rc)と前記虚部補正値(Ic)とで補正して、前記補正参照信号(Sra)を構成する第1補正参照信号(Sra1)と第2補正参照信号(Sra2)を出力する
ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置(10)。
この特徴[1]を備える発明によれば、適応FIRフィルタではなく、適応ノッチフィルタを採用しているので、CPUの演算負荷が低減され、且つ路面入力に基づく振動騒音を示す振動騒音信号に基づいて参照信号を生成し、生成した参照信号を、振動騒音打消手段から誤差信号検出手段までの伝達特性に基づいて補正して補正参照信号を得、この補正参照信号と誤差信号とに基づいて前記誤差信号が最小となるように、前記適応ノッチフィルタのフィルタ係数を逐次更新するように構成したので、簡単な構成で、所定周波数(特定周波数)の、路面入力に基づく振動騒音の低減量を制限する必要がない能動型振動騒音制御装置を実現できる。
[2]上記の特徴[1]を有する発明において、さらに、所定周波数(f)の基準信号(X)を生成する基準信号生成部(46)を備え、
前記基準信号生成部(46)は、
前記所定周波数(f)の実部基準信号(Rx)を生成する実部基準信号生成部(42)と、
前記所定周波数(f)の虚部基準信号(Ix)を生成する虚部基準信号生成部(44)と、
からなり、
前記実部参照信号生成部(51r)は、
前記実部基準信号(Rx)が入力され、第1実部参照信号(Srr1)を出力する第3適応ノッチフィルタ(153)と、
前記虚部基準信号(Ix)が入力され、第2実部参照信号(Srr2)を出力する第4適応ノッチフィルタ(154)と、からなる第2適応フィルタ(52)と、
前記第1実部参照信号(Srr1)から前記第2実部参照信号(Srr2)を減算して前記実部参照信号(Srr)を生成する減算部(72)と、
からなり、
前記虚部参照信号生成部(51i)は、
前記虚部基準信号(Ix)が入力され、第1虚部参照信号(Sri1)を出力する前記第3適応ノッチフィルタ(153)と同値のフィルタ係数(Rw1)が設定される第5適応ノッチフィルタ(155)と、
前記実部基準信号(Rx)が入力され、第2虚部参照信号(Sri2)を出力する前記第4適応ノッチフィルタ(154)と同値のフィルタ係数(Iw1)が設定される第6適応ノッチフィルタ(156)と、からなる第3適応フィルタ(53)と、
前記第1虚部参照信号(Sri1)と前記第2虚部参照信号(Sri2)とを加算して前記虚部参照信号(Sri)を生成する加算部(74)と、
からなり、
さらに、前記第3及び前記第4適応ノッチフィルタ(153,154)の各フィルタ係数(Rw1,Iw1)を逐次更新する第2フィルタ係数更新部(82)と、
前記振動騒音信号(Sns)から前記実部参照信号(Srr)を減算して第1減算信号(Ssub1=Sns−Srr)を生成する第1減算部(61)と、
を備え、
前記第2フィルタ係数更新部(82)は、
前記実部基準信号(Rx)、前記虚部基準信号(Ix)及び前記第1減算信号(Ssub1=Sns−Srr)に基づいて、前記第1減算信号(Ssub1=Sns−Srr)が最小となるように前記第3適応ノッチフィルタ(153)及び前記第4適応ノッチフィルタ(154)の各前記フィルタ係数(Rw1,Iw1)を逐次更新する
ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置(10A)。
この特徴[2]を備える発明によれば、路面入力に基づく振動騒音を示す振動騒音信号中の所定周波数成分に等価な実部参照信号と、前記実部参照信号と同時に生成した虚部参照信号と、に基づき補正参照信号と制御信号とを生成するように構成したので、所定周波数成分の振動騒音を選択的に打ち消すことができる振動騒音打消音を生成することができる。
[3]上記の特徴[2]を有する発明において、さらに、
前記誤差信号検出部(20)と前記フィルタ係数更新部(40)との間に配置され、前記誤差信号(e)から抽出誤差信号(er)を生成する抽出誤差信号生成部(236)を備え、
前記抽出誤差信号生成部(236)は、
前記実部基準信号(Rx)が入力され、実部誤差信号(er1)を出力する第7適応ノッチフィルタ(257)と、
前記虚部基準信号(Ix)が入力され、虚部誤差信号(er2)を出力する第8適応ノッチフィルタ(258)と、
前記実部誤差信号(er1)から前記虚部誤差信号(er2)を減算して前記抽出誤差信号(er)を生成する抽出誤差信号生成用減算部(259)と、
前記第7及び第8適応ノッチフィルタ(257,258)の各フィルタ係数(Rw3,Iw3)を逐次更新する第3フィルタ係数更新部(273)と、
前記誤差信号(e)から前記抽出誤差信号(er)を減算して第2減算信号(Ssub2=e−er)を生成する第2減算部(272)と、を備え、
前記第3フィルタ係数更新部(273)は、
前記実部基準信号(Rx)、前記虚部基準信号(Ix)及び前記第2減算信号(Ssub2=e−er)に基づいて、前記第2減算信号(Ssub2=e−er)が最小となるように前記第7及び前記第8適応ノッチフィルタ(257,258)のフィルタ係数(Rw3,Iw3)を逐次更新し、
さらに、前記補正部(38)は、第2補正部(202)にされると共に、前記フィルタ係数更新部(40)は、第4フィルタ係数更新部(40a)とされ、
前記第2補正部(202)は、
前記第5及び第6の適応ノッチフィルタ(155,156)のフィルタ係数(Rw1,Iw1)と同値のフィルタ係数(Rw1,Iw1)がそれぞれ設定される第9及び第10の適応ノッチフィルタ(159,160)と、前記伝達特性(C^)に該当する前記実部補正値(Rc)と前記虚部補正値(Ic)とを持ち、前記第9及び前記第10の適応ノッチフィルタ(159,160)の各前記フィルタ係数(Rw1,Iw1)を前記実部補正値(Rc)と前記虚部補正値(Ic)とで補正して第3補正参照信号(Sra3)と第4補正参照信号(Sra4)を出力し、
前記第4フィルタ係数更新部(40a)は、
前記第3及び第4補正参照信号(Sra3,Sra4)と、
前記第7及び前記第8適応ノッチフィルタ(257,258)とそれぞれ同値のフィルタ係数(Rw3,Iw3)が設定される第11及び第12の適応ノッチフィルタ(261,262)の各前記フィルタ係数(Rw3,Iw3)と、
が入力され、
各前記フィルタ係数(Rw3,Iw3)が最小となるように、前記第1及び前記第2適応ノッチフィルタ(30r,30i)の各フィルタ係数(Rw2,Iw2)を逐次更新する
ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置(10A)。
この特徴[3]を備える発明によれば、さらに、誤差信号中の所定周波数成分に等価な抽出誤差信号を生成し、前記抽出誤差信号を生成する際に得られる複素数の誤差信号に対応するフィルタ係数と、前記実部参照信号及び前記虚部参照信号を生成する際に得られる複素数の参照信号に対応するフィルタ係数とに基づき、前記複素数の誤差信号に対応するフィルタ係数が最小となるように、前記制御信号を生成する前記適応ノッチフィルタのフィルタ係数を逐次更新するように構成したので、特定周波数成分の振動騒音を選択的に打ち消す制御性能を一層向上させることができる。
この発明によれば、適応FIRフィルタではなく、適応ノッチフィルタを採用しているので、CPUの演算負荷が低減され、且つ路面入力に基づく振動騒音を示す振動騒音信号に基づいて参照信号を生成し、生成した参照信号を、振動騒音打消手段から誤差信号検出手段までの伝達特性に基づいて補正して補正参照信号を得、この補正参照信号と誤差信号とに基づいて前記誤差信号が最小となるように、前記適応ノッチフィルタのフィルタ係数を逐次更新するように構成したので、簡単な構成で、所定周波数(特定周波数)の、路面入力に基づく振動騒音(ロードノイズ)の低減量を制限する必要がない能動型振動騒音制御装置を実現できる。
この発明の一実施形態に係る、車両に搭載された能動型振動騒音制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図1に示す能動型振動騒音制御装置の詳細な構成を示すブロック図である。 一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置を構成するANC装置の動作説明に供されるフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係る、車両に搭載された能動型振動騒音制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図4に示す能動型振動騒音制御装置の詳細な構成を示すブロック図である。 図5に示す能動型振動騒音制御装置中、抽出誤差信号生成部の詳細な構成を示すブロック図である。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[一実施形態]
図1は、この発明の一実施形態に係る、車両12に搭載された能動型振動騒音制御装置10の概略的な構成を示すブロック図である。
図1において、車両12は、能動型騒音制御装置{ANC(Adaptive Noise Control Apparatus)装置という。}14の他、サスペンションに設けられた加速度センサ16と、キックパネル等に設けられたスピーカ18と、乗員の受聴点の近傍に設けられたマイクロフォン20とを備える。
加速度センサ16は、走行中の車両12が車輪22を通じて道路24から受ける、模式的に描いた路面入力26に基づく振動騒音NSを検出し、検出した振動騒音NSを示す振動騒音信号SnsをANC装置14に出力する。加速度センサ16は、ダンパーのストロークを検出するストロークセンサとしてもよい。
ANC装置14は、SAN(Single Adaptive Notch)型の適応フィルタ30を有し、参照信号(抽出参照信号)Srに基づき制御信号Scを適応的に生成する。
マイクロフォン20は、制御信号Scに基づいてスピーカ18から発生された振動騒音打消音CSと、路面入力26を原因として車室28内を伝達された振動騒音NSとの差に基づく誤差信号eを検出する。
ANC装置14は、マイクロコンピュータ及びDSP等により構成され、CPUが各種入力に基づきROM等のメモリに記憶されているプログラムを実行することで各種の機能を実現する機能実現部(機能実現手段ともいう。)としても動作する。
この実施形態において、ANC装置14は、適応フィルタ30の他、制御出力適応演算部41と、ロードノイズに関連する所定周波数fを設定する周波数設定部94と、基準信号生成部46と、前記振動騒音信号Snsから所定周波数fの成分(所定周波数成分という。)を等価的に抽出した抽出参照信号Srを生成する抽出参照信号生成部34と、を備える。
制御出力適応演算部41は、スピーカ18からマイクロフォン20までの伝達経路(誤差伝達経路)を表す伝達特性Cを模擬した伝達特性C^(Cハット)を有し(記憶し)、所定周波数fでの抽出参照信号Srを補正して補正参照信号Sraを出力する補正部(フィルタ)38と、補正参照信号Sraと誤差信号eとに基づいて、誤差信号eが最小となるように適応アルゴリズム演算、例えば、最小二乗法(LMS)を用いて適応フィルタ30のフィルタ係数W2を逐次更新するフィルタ係数更新部40と、を備える。
図2は、図1に示した能動型振動騒音制御装置10の詳細な構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、基準信号生成部46は、所定周波数fの実部基準信号Rx(Rx=cos2πft:基準余弦信号)を生成する実部基準信号生成部42と、所定周波数fの虚部基準信号Ix(Ix=sin2πft:基準正弦信号)を出力する虚部基準信号生成部44とから構成される。
抽出参照信号生成部34は、基準信号X(Rx,Ix)と振動騒音信号Snsとが入力され、実部参照信号Srrと虚部参照信号Sriとからなる抽出参照信号Srを出力するSAN型の適応フィルタを含む参照信号生成部51と、振動騒音信号Snsから実部参照信号Srrを減算して第1減算信号Ssub1(Ssub1=Sns−Srr)を生成する第1減算部61と、1サンプル時間遅延部63と、適応フィルタ52、53のフィルタ係数W1(Rw1,Iw1)を逐次更新するフィルタ係数更新部82と、を備える。
参照信号生成部51は、実部参照信号生成部51rと虚部参照信号生成部51iとから構成される。実部参照信号生成部51rは、フィルタ係数(実部フィルタ係数)Rw1が設定される適応ノッチフィルタ153と、フィルタ係数(虚部フィルタ係数)Iw1が設定される適応ノッチフィルタ154と、減算部72と、から構成され、次の(1)式に示す実部参照信号Srrを生成する。
Srr=Rx・Rw1−Ix・Iw1=Srr1−Srr2 …(1)
虚部参照信号生成部51iは、フィルタ係数Rw1が設定される適応ノッチフィルタ155と、フィルタ係数Iw1が設定される適応ノッチフィルタ156と、加算部74と、から構成され、次の(2)式に示す虚部参照信号Sriを生成する。
Sri=Ix・Rw1+Rx・Iw1=Sri1+Sri2 …(2)
フィルタ係数更新部82は、フィルタ係数Rw1を次の(3)式に基づいて逐次更新する、乗算部102とステップサイズパラメータμを付与するステップサイズパラメータ付与部104とからなる実部フィルタ係数更新部82rと、フィルタ係数Iw1を次の(4)式に基づいて逐次更新する、乗算部106とステップサイズパラメータ「−μ」を付与するステップサイズパラメータ付与部108とからなる虚部フィルタ係数更新部82iと、から構成される。
Rw1n+1←Rw1+μ・Rx・Ssub1 …(3)
Iw1n+1←Iw1−μ・Ix・Ssub1 …(4)
すなわち、フィルタ係数更新部82は、基準信号X(Rx,Ix)と、1サンプル時間遅延部63により1サンプル時間遅延された第1減算信号Ssub1とに基づいて、第1減算信号Ssub1が最小となるように適応アルゴリズム演算、例えば、最小二乗法(LMS)を用いてフィルタ係数Rw1、Iw1を更新する。
補正部38は、所定周波数fでの伝達特性C^の実部補正値Rcが設定されるレジスタ38a、38dと、虚部Icが設定されるレジスタ38b、38cと、減算部37と、加算部39とから構成され、次の(5)式及び(6)式に示す実部補正参照信号Sra1と虚部補正参照信号Sra2とからなる補正参照信号Sraを生成して出力する。
Sra1=Srr・Rc−Sri・Ic …(5)
Sra2=Srr・Ic+Sri・Rc …(6)
制御出力適応演算部41を構成するフィルタ係数更新部40は、適応ノッチフィルタ30rのフィルタ係数(実部フィルタ係数)Rw2を次の(7)式に基づいて逐次更新する、乗算部116とステップサイズパラメータ「−μ」が設定されるステップサイズパラメータ設定部118とからなる実部フィルタ係数更新部40rと、適応ノッチフィルタ30iのフィルタ係数(虚部フィルタ係数)Iw2を次の(8)式に基づいて逐次更新する、乗算部112とステップサイズパラメータμが設定されるステップサイズパラメータ設定部114とからなる虚部フィルタ係数更新部40iと、から構成される。
Rw2n+1←Rw2−μ・Sra1・e …(7)
Iw2n+1←Iw2+μ・Sra2・e …(8)
すなわち、フィルタ係数更新部40は、補正参照信号Sra(Sra1、Sra2)と、誤差信号eとに基づいて、誤差信号eが最小となるように適応アルゴリズム演算、例えば、最小二乗法(LMS)を用いてフィルタ係数Rw2、Iw2を更新する。
適応フィルタ30は、更新されたフィルタ係数Rw2が設定される適応ノッチフィルタ30rと、更新されたフィルタ係数Iw2が設定される適応ノッチフィルタ30iと減算部31とから構成され、次の(9)式に示す制御信号Scを生成してスピーカ18に出力する。なお、制御信号Scは、第1制御信号Sc1と第2制御信号Sc2とから構成される。
Sc=Sc1−Sc2=Srr・Rw2−Sri・Iw2 …(9)
次に、基本的には以上のように構成される能動型振動騒音制御装置10の動作について、ANC装置14が実行する図3のフローチャートを参照して説明する。
加速度センサ16は、道路24を走行する車両12に対する道路24から車輪22を通じての路面入力26に基づく振動騒音NSを検出し、検出した前記振動騒音NSを示す振動騒音信号Snsを出力する。ステップS1にて、この振動騒音信号SnsはANC装置14でデジタル信号に変換され振動騒音信号Snsとして抽出参照信号生成部34に入力される。
ステップS2にて、ロードノイズに対応する所定周波数f、例えば50[Hz]〜300[Hz]中、車両12に適合した所定周波数fが設定された周波数設定部94からの指令に基づき、基準信号生成部46は、実部基準信号生成部42を通じて実部基準信号Rx(Rx=cos2πft:余弦信号)を生成して出力すると共に、虚部基準信号生成部44を通じて虚部基準信号Ix(Ix=sin2πft:正弦信号)を生成して出力する。
ステップS3にて、フィルタ係数更新部82は、SAN型適応フィルタである適応フィルタ52(適応ノッチフィルタ153、154)のフィルタ係数Rw1、Iw1を、上記(3)式、及び(4)式に基づいてそれぞれ更新し、実部参照信号生成部51r及び虚部参照信号生成部51iは、上記(1)、(2)式に基づいて実部参照信号Srrと虚部参照信号Sriをそれぞれ生成する。更新されたフィルタ係数Rw1、Iw1は、適応フィルタ53(適応ノッチフィルタ155、156)に設定される。
この場合、加速度センサ16から出力される振動騒音信号Snsは、ノイズを含んだ実部成分であるが、所定周波数fのBPFとして機能する抽出参照信号生成部34から出力される抽出参照信号Srを構成する実部参照信号Srrは、所定周波数f成分のみの実部成分の振動騒音信号Snsと等価な(同一位相同一振幅の)振動騒音信号になることに留意する。
ステップS4にて、補正部38は、上記(5)式、及び(6)に基づいて実部補正参照信号Sra1と虚部補正参照信号Sra2を生成して制御出力適応演算部41を構成するフィルタ係数更新部40の一方の入力側に出力する。
ステップS5にて、ANC装置14は、マイクロフォン20で検出された誤差信号eをデジタル信号の誤差信号eに変換してフィルタ係数更新部40の他方の入力側に入力する。
ステップS6にて、フィルタ係数更新部40は、上記(7)式、及び(8)式に基づいてSAN型適応フィルタである適応フィルタ30のフィルタ係数W2(Rw2、Iw2)を更新する。
ステップS7にて、適応フィルタ30は、上記(9)式に基づいて、制御信号Scを生成し、スピーカ18に出力する。
このとき、スピーカ18から、路面入力26に基づき生成された制御信号Scに基づく振動騒音打消音CSが出力され、マイクロフォン20で受聴される一方、路面入力26に基づく振動騒音NSがマイクロフォン20で受聴される。このため、マイクロフォン20の位置において、振動騒音NS中、所定周波数fの振動騒音NSに対し、この振動騒音NSと逆相の(180°の位相差を有する)、所定周波数fの振動騒音打消音CSが干渉し、振動騒音NS中、所定周波数fの周波数成分が消音される。以下、サンプリング時間毎にステップS1〜S7の処理が繰り返される。
[一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10の作用効果]
以上説明したように、上述した一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10によれば、振動騒音検出部としての加速度センサ16は、路面入力26に基づく振動騒音NSを検出し、検出した前記振動騒音NSを示す振動騒音信号Snsを出力する。
参照信号生成部としての抽出参照信号生成部34は、振動騒音信号Snsに基づいて参照信号である抽出参照信号Srを生成するに際し、実部参照信号生成部51rが、振動騒音NSにおける所定周波数fの実部成分に該当する実部参照信号Srrを生成し、虚部参照信号生成部51iが、振動騒音NSにおける所定周波数fの虚部成分に該当する虚部参照信号Sriを生成する。
適応フィルタ30は、参照信号としての抽出参照信号Srが入力され、制御信号Scを出力する。
振動騒音打消部としてのスピーカ18は、制御信号Scに基づいて振動騒音打消音CSを発生する。
誤差信号検出部としてのマイクロフォン20は、振動騒音NSと振動騒音打消音CSとの差に基づく誤差信号eを検出する。
制御出力適応演算部41を構成する補正部38は、スピーカ18からマイクロフォン20までの伝達特性C^に基づいて参照信号としての抽出参照信号Srを補正して補正参照信号Sraを出力するに際し、伝達特性C^に該当する実部補正値Rcと虚部補正値Icとをレジスタ38a〜38dに持ち、実部参照信号Srrと虚部参照信号Sriとをそれぞれ実部補正値Rcと虚部補正値Icとで補正して、補正参照信号Sraを構成する第1補正参照信号としての実部補正参照信号Sra1と第2補正参照信号としての虚部補正参照信号Sra2を出力する。
制御出力適応演算部41を構成するフィルタ係数更新部40は、誤差信号eと補正参照信号Sraとに基づいて誤差信号eが最小となるように適応フィルタ30のフィルタ係数W2(Rw2、Iw2)を逐次更新する。
前記の適応フィルタ30は、実部参照信号Srrが入力される第1適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ30rが第1制御信号Sc1を出力するとともに、虚部参照信号Sriが入力される第2適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ30iが第2制御信号Sc2を生成し、第1制御信号Sc1及び第2制御信号Sc2が入力される制御信号生成部としての減算部31が、制御信号Scを生成する。
上記の一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10によれば、特許文献1〜3のように適応FIRフィルタを用いることなく、適応ノッチフィルタ30r、30iを用いているので、ANC装置14を構成するCPUの演算負荷が低減され、且つ路面入力26に基づく振動騒音NSを示す振動騒音信号Snsに基づいて参照信号としての抽出参照信号Srを生成し、生成した抽出参照信号Srを、スピーカ18からマイクロフォン20までの伝達特性C^に基づいて補正して補正参照信号Sraを得、この補正参照信号Sraと誤差信号eとに基づいて誤差信号eが最小となるように、適応ノッチフィルタ30r、30iのフィルタ係数W2(Rw2、Iw2)を逐次更新するように構成したので、簡単な構成で、所定周波数(特定周波数)fの、路面入力26に基づく振動騒音NSの低減量を制限する必要がない能動型振動騒音制御装置10を実現することができる。
[一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10の変形例の作用効果]
上記した一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10は、さらに、所定周波数fの基準信号X(Rx,Ix)を生成する基準信号生成部46を備え、基準信号生成部46は、所定周波数fの実部基準信号Rxを生成する実部基準信号生成部42と、所定周波数fの虚部基準信号Ixを生成する虚部基準信号生成部44と、からなる。
実部参照信号生成部51rは、実部基準信号Rxが入力され、第1実部参照信号Srr1を出力する第3適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ153と、虚部基準信号Ixが入力され、第2実部参照信号Srr2を出力する第4適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ154と、からなる第2適応フィルタ52と、第1実部参照信号Srr1から第2実部参照信号Srr2を減算して実部参照信号Srrを生成する減算部72と、からなる。
虚部参照信号生成部51iは、虚部基準信号Ixが入力され、第1虚部参照信号Sri1を出力する前記第3適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ153と同値のフィルタ係数Rw1が設定される第5適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ155と、実部基準信号Rxが入力され、第2虚部参照信号Sri2を出力する前記第4適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ154と同値のフィルタ係数Iw1が設定される第6適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ156と、からなる第3適応フィルタとしての適応フィルタ53と、第1虚部参照信号Sri1と第2虚部参照信号Sri2とを加算して虚部参照信号Sriを生成する加算部74と、からなる。
一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10の変形例は、さらに、前記第3及び前記第4適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ153、154の各フィルタ係数Rw1、Iw1を逐次更新する第2フィルタ係数更新部としてのフィルタ係数更新部82と、振動騒音信号Snsから実部参照信号Srrを減算して第1減算信号(Ssub1=Sns−Srr)を生成する第1減算部(61)と、を備える。
前記第2フィルタ係数更新部としてのフィルタ係数更新部82は、実部基準信号Rx、虚部基準信号Ix及び第1減算信号(Ssub1=Sns−Srr)に基づいて、第1減算信号(Ssub1=Sns−Srr)が最小となるように前記第3適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ153及び前記第4適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ154の各前記フィルタ係数Rw1、Iw1を逐次更新するように構成される。
この一実施形態の変形例に係る能動型振動騒音制御装置10によれば、上述した一実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10の作用効果に加えて、路面入力26に基づく振動騒音NSを示す振動騒音信号Sns中の所定周波数fの成分に等価な実部参照信号Srrと、実部参照信号Srrと同時に生成した虚部参照信号Sriと、に基づき補正参照信号Sraと制御信号Scとを生成するように構成したので、所定周波数fの成分の振動騒音NSを選択的に打ち消すことができる振動騒音打消音CSを生成することができるという効果が達成される。
このように、FIR型の適応フィルタでは実現が困難である、所定周波数fの成分を通過させるフィルタとして機能する抽出参照信号生成部34を、SAN型の適応フィルタ52、53を用いることで実現できるため、適応フィルタ30での、所定周波数fの成分に対する制御性能が向上する。
[他の実施形態]
次に、この発明の他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する他の実施形態において、図1〜図3を参照して説明した上記一実施形態及びその変形例として示したものと同一あるいは対応するものには同一の符号を付け、その詳細な説明は省略する。
図4は、この発明の他の実施形態に係る、車両12に搭載された能動型振動騒音制御装置10Aの概略的な構成を示すブロック図である。
図5は、図4に示す能動型振動騒音制御装置10Aの詳細な構成を示すブロック図である。
図6は、図5中、抽出誤差信号生成部236の詳細な構成を示すブロック図である。
図4〜図6に示す能動型振動騒音制御装置10AのANC装置14Aでは、図1及び図2に示した能動型振動騒音制御装置10のANC装置14に比較して、補正部38が補正部202に構成が変更され、補正部38を含む制御出力適応演算部41が、制御出力適応演算部41aに構成が変更されている。さらに、抽出誤差信号生成部236が設けられている点で、構成が異なる。
図5に示すように、補正部202は、適応ノッチフィルタ153(155)、154(156)のフィルタ係数Rw1、Iw1と同値のフィルタ係数Rw1、Iw1がそれぞれ設定される第9及び第10の適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ159及び適応ノッチフィルタ160からなる適応フィルタ64(第4適応フィルタ)と、前記補正部38と、から構成される。
補正部202では、補正部38が、次の(10)式、及び(11)式に示すように、適応ノッチフィルタ159、160から入力されるフィルタ係数Rw1、Iw1を前記実部補正値Rcと前記虚部補正値Icとで補正して補正参照信号Sra3と補正参照信号Sra4からなる補正参照信号Srbを生成してフィルタ係数更新部40aの一方の入力側に出力する構成になっている。
Sra3=Rw1・Rc−Iw1・Ic …(10)
Sra4=Rw1・Ic+Iw1・Rc …(11)
この場合、適応ノッチフィルタ159及び適応ノッチフィルタ160からなる適応フィルタ64は、抽出参照信号Srの大きさに比例する信号を発生する信号発生部として機能する。
抽出誤差信号生成部236は、図6に示すように、前記実部基準信号Rxが入力され、実部誤差信号er1を出力する、フィルタ係数Rw3が設定される第7適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ257と、虚部基準信号Ixが入力され、虚部誤差信号er2を出力する、フィルタ係数Iw3が設定される第8適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ258と、実部誤差信号er1から虚部誤差信号er2を減算して抽出誤差信号erを生成する抽出誤差信号生成用減算部としての減算部259と、からなる抽出誤差信号本体生成部83と、を備える。ここで、第7適応ノッチフィルタ257と第8適応ノッチフィルタ258とは、第6適応フィルタとしての適応フィルタ266を構成する。
抽出誤差信号本体生成部83は、次の(12)式に基づいて、抽出誤差信号erを生成する。
er=er1−er2=Rx・Rw3−Ix・Iw3 …(12)
抽出誤差信号生成部236は、また、適応ノッチフィルタ257のフィルタ係数Rw3を逐次更新する、乗算部212とステップサイズパラメータμが設定されるステップサイズパラメータ設定部214と、適応ノッチフィルタ258のフィルタ係数Iw3を逐次更新する、乗算部216とステップサイズパラメータ「−μ」が設定されるステップサイズパラメータ設定部218と、を備える第3フィルタ係数更新部としてのフィルタ係数更新部273と、を備える。
抽出誤差信号生成部236は、さらに、誤差信号eから抽出誤差信号erを減算して第2減算信号Ssub2(Ssub2=e−er)を生成する第2減算部としての減算部272と、1サンプル時間遅延部263と、を備える。
抽出誤差信号生成部236は、次の(13)式、及び(14)式に示すように、適応ノッチフィルタ257、258(適応フィルタ266)のフィルタ係数Rw3、Iw3を逐次更新する実部フィルタ係数更新部273rと、虚部フィルタ係数更新部273iとからなるフィルタ係数更新部273を備える。
Rw3n+1←Rw3+μ・Rx・Ssub2 …(13)
Iw3n+1←Iw3−μ・Ix・Ssub2 …(14)
すなわち、フィルタ係数更新部273は、基準信号X(Rx,Ix)と、1サンプル時間遅延部263により1サンプル時間遅延された第2減算信号Ssub2とに基づいて、第2減算信号Ssub2が最小となるように適応アルゴリズム演算、例えば、最小二乗法(LMS)を用いてフィルタ係数Rw3、Iw3を更新する。
制御出力適応演算部41aは、抽出誤差信号生成部236で更新された前記適応ノッチフィルタ257、258(適応フィルタ266)のフィルタ係数Rw3、Iw3と同値のフィルタ係数Rw3、Iw3がそれぞれ設定される第11及び第12の適応ノッチフィルタとしての適応ノッチフィルタ261、262(図5参照)からなる第5適応フィルタとしての適応フィルタ265と、前記の補正部202と、第4フィルタ係数更新部としてのフィルタ係数更新部40aと、から構成される。フィルタ係数更新部40aは、乗算部112、116、132、134と、加算部136と、減算部138と、ステップサイズパラメータ「−μ」が設定されるステップサイズパラメータ設定部118と、ステップサイズパラメータμが設定されるステップサイズパラメータ設定部114とから構成される。
フィルタ係数更新部40aの一方の入力側には、上述したように、補正部202から補正参照信号Sra3、Sra4が入力され、他方の入力側には、適応ノッチフィルタ261、262のフィルタ係数Rw3、Iw3が入力され、次の(15)式、及び(16)式に示すように、適応ノッチフィルタ261、262のフィルタ係数Rw3、Iw3がそれぞれ最小となるよう、適応アルゴリズム演算、例えば、最小二乗法(LMS)を用いて前記第1及び前記第2適応ノッチフィルタ30r、30iのフィルタ係数Rw2、Iw2を逐次更新する。
この場合、適応ノッチフィルタ261及び適応ノッチフィルタ262からなる第5適応フィルタとしての適応フィルタ265は、抽出誤差信号erの大きさに比例する信号を発生する信号発生部として機能する。
Rw2n+1←Rw2−μ・(Sra3・Rw3+Sra4・Iw3)
…(15)
Rw2n+1←Rw2+μ・(Sra4・Rw3−Sra3・Iw3)
…(16)
次に、基本的には以上のように構成される他の実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aの動作について、説明する。
図3のフローチャート中、ステップS4、S5及びステップS6の処理が一部変更される点が異なる他、図3のフローチャートによる処理と同様の処理が実行される。
変更後のステップS4にて、補正部202は、上記(10)式、及び(11)式に基づいて実部補正参照信号Sra3と虚部補正参照信号Sra4を生成して制御出力適応演算部41aを構成するフィルタ係数更新部40aの一方の入力側に出力する。
変更後のステップS5にて、ANC装置14Aの抽出誤差信号生成部236は、上記(13)式、及び(14)式に基づいて適応ノッチフィルタ257、258のフィルタ係数Rw3、Iw3を更新し、更新後のフィルタ係数Rw3、Iw3を適応ノッチフィルタ261、262を通じてフィルタ係数更新部40aの他方の入力側に出力する。
変更後のステップS6にて、制御出力適応演算部41aは、上記(15)式、及び(16)式に基づいて、第1及び第2適応ノッチフィルタ30r、30iのフィルタ係数Rw2、Iw2を逐次更新する。
ステップS7にて、適応フィルタ30は、上記(9)式に基づいて、制御信号Scを生成し、スピーカ18に出力する。
この他の実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aでは、SAN型の適応フィルタ266である適応ノッチフィルタ257、258を有する抽出誤差信号生成部236が、上記(13)式、及び(14)式により実部フィルタ係数Rw3と虚部フィルタ係数Iw3とを、サンプリング時間ts毎に誤差信号eに係る第2減算信号Ssub2(Ssub2=e−er)が最小となるように、すなわちer=eとなるように更新する。この場合、マイクロフォン20から出力される誤差信号eは、所定周波数fの実部誤差信号成分と、それ以外の周波数成分からなるノイズを含んだ所定周波数f以外の実部誤差信号成分とから構成されているが、所定周波数fのBPFとして機能する抽出誤差信号生成部236で生成される抽出誤差信号erは、所定周波数fの基準信号X(Rx,Ix)から生成しているので、所定周波数fの実部誤差信号成分と等価な(同一位相同一振幅の)信号になる点に留意する。
[他の実施形態の作用効果]
以上説明したように、上述した他の実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aによれば、上述した実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10により達成される作用効果に加えて、さらに、誤差信号e中の所定周波数fの成分(実部誤差信号成分)に等価な抽出誤差信号erを生成し、抽出誤差信号erを生成する際に得られる複素数の誤差信号である実部誤差信号er1と虚部誤差信号er2に対応する(の大きさに比例する)フィルタ係数Rw3、Iw3と、実部参照信号Srr及び虚部参照信号Sriを生成する際に得られる複素数の参照信号である実部参照信号Srr又は虚部参照信号Sriに対応する(の大きさに比例する)フィルタ係数Rw1、Iw1と、に基づき、前記複素数の誤差信号(実部誤差信号er1と虚部誤差信号er2)に対応する(の大きさに比例する)適応ノッチフィルタ261、262のフィルタ係数Rw3、Iw3が最小となるように、適応ノッチフィルタ30r、30iのフィルタ係数W2(Rw2、Iw2)を逐次更新するように構成したので、特定周波数fの成分の振動騒音NSを選択的に打ち消す制御性能を一層向上させることができる。
この他の実施形態においても、FIR型の適応フィルタでは実現が困難である、所定周波数fの成分を通過させるフィルタとして機能する抽出誤差信号生成部236を、SAN型の適応フィルタ266(適応ノッチフィルタ257、258)を用いることで実現できるため、適応フィルタ30での、所定周波数fの成分に対する制御性能が向上する。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10、10A…能動型振動騒音制御装置 12…車両
14、14A…ANC装置
16…加速度センサ(振動騒音検出部) 18…スピーカ(振動騒音打消部)
20…マイクロフォン(誤差信号検出部)
22…車輪 24…道路
26…路面入力 28…車室
30…適応フィルタ 30r…第1適応ノッチフィルタ
30i…第2適応ノッチフィルタ 31…減算部(制御信号生成部)
34…抽出参照信号生成部 38…補正部
40…フィルタ係数更新部 40a…第4フィルタ係数更新部
42…実部基準信号生成部 44…虚部基準信号生成部
46…基準信号生成部 51r…実部参照信号生成部
51i…虚部参照信号生成部 52…第2適応フィルタ
53…第3適応フィルタ 61…第1減算部
64…第4適応フィルタ 72…減算部
74…加算部 82…第2フィルタ係数更新部
83…抽出誤差信号本体生成部 153…第3適応ノッチフィルタ
154…第4適応ノッチフィルタ 155…第5適応ノッチフィルタ
156…第6適応ノッチフィルタ 159…第9適応ノッチフィルタ
160…第10適応ノッチフィルタ 202…第2補正部
236…抽出誤差信号生成部 257…第7適応ノッチフィルタ
258…第8適応ノッチフィルタ
259…減算部(抽出誤差信号生成用減算部)
265…第5適応フィルタ 266…第6適応フィルタ
272…第2減算部 273…第3フィルタ係数更新部

Claims (2)

  1. 路面入力に基づく振動騒音を検出し、検出した前記振動騒音を示す振動騒音信号を出力する振動騒音検出部と、
    前記振動騒音信号に基づいて参照信号を生成する参照信号生成部と、
    前記参照信号が入力され、制御信号を出力する適応フィルタと、
    前記制御信号に基づいて振動騒音打消音を発生する振動騒音打消部と、
    前記振動騒音と前記振動騒音打消音との差に基づく誤差信号を検出する誤差信号検出部と、
    前記振動騒音打消部から前記誤差信号検出部までの伝達特性に基づいて前記参照信号を補正して補正参照信号を出力する補正部と、
    前記誤差信号と前記補正参照信号とに基づいて前記誤差信号が最小となるように前記適応フィルタのフィルタ係数を逐次更新するフィルタ係数更新部と、を備え、
    前記参照信号生成部は、
    前記振動騒音における所定周波数の実部成分に該当する実部参照信号を生成する実部参照信号生成部と、前記振動騒音における前記所定周波数の虚部成分に該当する虚部参照信号を生成する虚部参照信号生成部と、
    からなり、
    前記適応フィルタは、
    前記実部参照信号が入力され、第1制御信号を出力する第1適応ノッチフィルタと、前記虚部参照信号が入力され、第2制御信号を出力する第2適応ノッチフィルタと、前記第1制御信号及び前記第2制御信号が入力され前記制御信号を生成する制御信号生成部と、
    からなり、
    前記補正部は、
    前記伝達特性に該当する実部補正値と虚部補正値とを持ち、前記実部参照信号と前記虚部参照信号とをそれぞれ前記実部補正値と前記虚部補正値とで補正して、前記補正参照信号を構成する第1補正参照信号と第2補正参照信号を出力する能動型振動騒音制御装置であって、
    さらに、所定周波数の基準信号を生成する基準信号生成部を備え、
    前記基準信号生成部は、
    前記所定周波数の実部基準信号を生成する実部基準信号生成部と、
    前記所定周波数の虚部基準信号を生成する虚部基準信号生成部と、
    からなり、
    前記実部参照信号生成部は、
    前記実部基準信号が入力され、第1実部参照信号を出力する第3適応ノッチフィルタと、
    前記虚部基準信号が入力され、第2実部参照信号を出力する第4適応ノッチフィルタと、からなる第2適応フィルタと、
    前記第1実部参照信号から前記第2実部参照信号を減算して前記実部参照信号を生成する減算部と、
    からなり、
    前記虚部参照信号生成部は、
    前記虚部基準信号が入力され、第1虚部参照信号を出力する前記第3適応ノッチフィルタと同値のフィルタ係数が設定される第5適応ノッチフィルタと、
    前記実部基準信号が入力され、第2虚部参照信号を出力する前記第4適応ノッチフィルタと同値のフィルタ係数が設定される第6適応ノッチフィルタと、からなる第3適応フィルタと、
    前記第1虚部参照信号と前記第2虚部参照信号とを加算して前記虚部参照信号を生成する加算部と、
    からなり、
    さらに、前記第3及び前記第4適応ノッチフィルタの各フィルタ係数を逐次更新する第2フィルタ係数更新部と、
    前記振動騒音信号から前記実部参照信号を減算して第1減算信号を生成する第1減算部と、
    を備え、
    前記第2フィルタ係数更新部は、
    前記実部基準信号、前記虚部基準信号及び前記第1減算信号に基づいて、前記第1減算信号が最小となるように前記第3適応ノッチフィルタ及び前記第4適応ノッチフィルタの各前記フィルタ係数を逐次更新する
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置。
  2. 請求項記載の能動型振動騒音制御装置において、
    さらに、
    前記誤差信号検出部と前記フィルタ係数更新部との間に配置され、前記誤差信号から抽出誤差信号を生成する抽出誤差信号生成部を
    備え、
    前記抽出誤差信号生成部は、
    前記実部基準信号が入力され、実部誤差信号を出力する第7適応ノッチフィルタと、
    前記虚部基準信号が入力され、虚部誤差信号を出力する第8適応ノッチフィルタと、
    前記実部誤差信号から前記虚部誤差信号を減算して前記抽出誤差信号を生成する抽出誤差信号生成用減算部と、
    前記第7及び第8適応ノッチフィルタの各フィルタ係数を逐次更新する第3フィルタ係数更新部と、
    前記誤差信号から前記抽出誤差信号を減算して第2減算信号を生成する第2減算部と、を備え、
    前記第3フィルタ係数更新部は、
    前記実部基準信号、前記虚部基準信号及び前記第2減算信号に基づいて、前記第2減算信号が最小となるように前記第7及び前記第8適応ノッチフィルタのフィルタ係数を逐次更新し、
    さらに、前記補正部は、第2補正部にされると共に、前記フィルタ係数更新部は、第4フィルタ係数更新部とされ、
    前記第2補正部は、
    前記第5及び第6の適応ノッチフィルタのフィルタ係数と同値のフィルタ係数がそれぞれ設定される第9及び第10の適応ノッチフィルタと、前記伝達特性に該当する前記実部補正値と前記虚部補正値とを持ち、前記第9及び前記第10の適応ノッチフィルタの各前記フィルタ係数を前記実部補正値と前記虚部補正値とで補正して第3補正参照信号と第4補正参照信号を出力し、
    前記第4フィルタ係数更新部は、
    前記第3及び第4補正参照信号と、
    前記第7及び前記第8適応ノッチフィルタとそれぞれ同値のフィルタ係数が設定される第11及び第12の適応ノッチフィルタの各前記フィルタ係数と、
    が入力され、
    各前記フィルタ係数が最小となるように、前記第1及び前記第2適応ノッチフィルタの各フィルタ係数を逐次更新する
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置。
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