JP5665739B2 - 炎症性疾患を治療するためのcd95インヒビターの使用 - Google Patents
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Description
(a)阻害性抗CD95リガンド抗体又はそのフラグメント;
(b)可溶性CD95受容体分子又はそのCD95リガンド結合部分;及び
(c)FLINT、DcR3又はそのフラグメントから選択されるFasリガンドインヒビター
から選択することができる。
(a)阻害性抗CD95受容体抗体又はそのフラグメント;及び
(b)阻害性CD95リガンドフラグメント
から選択することができるCD95Rインヒビターである。
バクテリオファージT4及びバクテリオファージRB69フィブリチン(受入番号CAA31379及びNP−861864)のC末端配列のアラインメント。同じアミノ酸残基に印をつける。
CD95−RB69融合タンパク質のアミノ酸配列を示す。内因性CD95シグナル−ペプチドに下線を引き、CD95−ECDを太字で印字し;一方、RB69フィブリチン−フォルドン配列は赤字で印字する。CD95−ECDと柔軟な配置のstrep−tag−II間のリンカーを青字で印字する。R17が分泌されるタンパク質の最初のアミノ酸(太字の数字1を添えて印をつける)であり、R87S突然変異とはこの列挙を意味することに注意されたい。アルギニン87を太字で印字し、下線を引く。
アフィニティー精製後、約100μgのCD95−RB69(A)又はCD95(R87S)−RB69(B)(最終体積0.1ml)をSuperdex200 10−300GLカラム(GE Healthcare(独国))上、0.5ml/分の流速で、PBSをランニングバッファーとして用い、分離した。CD95−RB69融合タンパク質は、カラムから対称的な形のよいピーク内で溶出する。SEC−カラムの検定に基づいて、11.21(A)又は10.93ml(B)後に溶出するピークは、約240及び280kDaの見かけの分子量に対応する。
CD95−RB69(A)又はCD95(R87S)−RB69(B)のSECフラクションA1〜A14(レーン番号1〜14;M=マーカー)溶出プロフィールを、還元条件下で実施したSDS−PAGE(銀染色)によって分析した。30〜40kDaの主なタンパク質バンドがピークフラクションにおいて検出され;矢印の先で示す。
R87Sの突然変異は、CD95−RB69タンパク質の、CD95Lを介在したジャーカット細胞の殺傷を阻害する能力を無効にする。ジャーカット細胞を250ng/mlのヒト(A)又はマウス(B)CD95L−T4と野生型及び突然変異CD95−RB69の存在下、それぞれの濃度の融合タンパク質について二連でインキュベートした。細胞死の減少は、低いDEVD−AFC開裂速度によって示される。
(A)SCI後のCD95L mRNAレベルの時間動特性。CD95L mRNAレベルはSCIの24時間後でピークに達した。(B)SCI後のカスパーゼ−3活性の時間動特性。カスパーゼ−3活性は損傷の7日後及び10日後で有意に増加し、14日後で対照動物のレベルに戻った。データは平均±SEMとして表す;*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001(n=3〜4/群)。
1.好中球及びマクロファージのCD95L誘発性移動
1.1.物質及び方法
1.1.1.ネズミ好中球の細胞単離及び培養
骨をPBS/2mMのEDTAでフラッシュし、骨髄好中球をマウスの大腿骨から単離した。集めた骨髄細胞をACK緩衝液(150mMのNH4Cl、10mMのKHCO3、1mMのNa2EDTA、pH7.3)中に再懸濁させ、1分間インキュベートして、赤血球を溶解させた。製造業者のプロトコル(Miltenyi、#130−092−332)にしたがい、磁気ビーズによるMACS陽性選択を用いて、好中球選択を実施した。好中球の純度はFACSによって評価し、>96%に達した。
骨髄細胞をすでに記載したようにして単離した。CD11b選択を製造業者のプロトコル(Miltenyi#130−092−333)にしたがって実施した。
骨髄由来のマクロファージ(BMDM)を得るために、大腿骨及び脛骨を左右対称に採取し、PBS/2mMのEDTAを充填したシリンジを用いて骨髄コアをフラッシュした。細胞を磨砕し、RBCを溶解させた(0.15mol/LのNH4Cl、10mmol/LのKHCO3、0.1mmol/LのNa2EDTA;pH7.4)。培地中で1回洗浄した後、細胞を播種し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.001%β−メルカプトエタノール、10%FBS、1%L−グルタミン、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウム及びマクロファージコロニー刺激因子分泌L929細胞から得られる20%上清を添加したRPMI1640中で培養した。sL929は骨髄細胞をマクロファージ表現型にする(7〜10日)。第1日に、非接着性細胞を集め、さらに培養した。4日後、新鮮な培地を添加して、細胞成長を増強した。収穫時に、95±0.7%の細胞がマクロファージであった(CD11b及びF480免疫染色により評価)。添加培地を刺激当日にRPMI/10%のFBSと置換し、刺激を同じ培地中、全ての細胞型に関して行った。
少なくとも1×107細胞を10(好中球)又は20(マクロファージ)ng/mlのmCD95L−T4で5分間37℃にて処理し、又は未処理で放置し、PBS+ホスファターゼインヒビター(NaF、NaN3、pNPP、NaPPi、β−グリセロホスフェート(それぞれ10mM)及び1mMオルトバナデート)中で2回洗浄し、続いて緩衝液A[(20mMのTris/HCl、pH7.5、150mMのNaCl、2mMのEDTA、1mMのフェニルメチルスルフォニルフルオリド、プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)、1%のTriton X−100(Serva(独国ハイデルベルク))、10%グリセロール、及びホスファターゼインヒビター(NaF、NaN3、pNPP、NaPPi、β−グリセロホスフェート(それぞれ10mM)及び1mMのオルトバナデート)]中で溶解させた。タンパク質濃度は、BCAキット(Pierce)を用いて測定した。500μgのタンパク質を5μgの抗CD95Ab Jo2(BD#554255)及び40μlのタンパク質−A Sepharose又は対応するアイソタイプ対照(BD#554709)のいずれかとともに一夜免疫沈降させた。ビーズを20体積の溶解緩衝液で5回洗浄した。免疫沈降物を50μlの2×Laemmli緩衝液と混合し、15%SDS−PAGEで分析した。続いて、ゲルをHybondニトロセルロース膜(Amersham Pharmacia Biotech(独国フライブルク))に移し、PBS/Tween(PBS+0.05%Tween20)中5%ミルクで1時間ブロックし、PBS/Tween中5%ミルク中4℃で一夜、一次抗体とともにインキュベートした。製造業者のプロトコル(PerkinElmer Life Sciences(独国ロートガウ))にしたがい化学発光法を用いてブロットを現像した。高度にCD95L感受性の胸腺腫細胞(E20)を、FADD動員(抗FADDマウスモノクローナルAb、クローン1F7、Millipore#05−486)を分析するために陽性対照として含めた。
タンパク質抽出及び免疫ブロッティングをすでに記載されているようにして実施した。膜を、次の抗体:リン酸化されたAKT(P−Ser473−AKT、1:1000、細胞シグナリング#9271)、全AKT(T−AKT、1:1000、細胞シグナリング#9272)でプローブした。
骨髄由来の好中球又はマクロファージの移動を2チャンバー移動分析においてin vitroで評価した。トランスウェル挿入物[好中球又はマクロファージについてそれぞれ3μm(BD#353096)又は8μm(BD#353097)ポアサイズ]をマトリゲル(50μg/ml;BD#354234)でコーティングした。5×105好中球又はマクロファージを上側のチャンバー上、500μlの培地中に播種した。細胞を未反応のまま放置し、又は10、20及び40ng/mlを上側のチャンバーに添加することによってCD95L−T4で処理した。移動した細胞数を、処理後、好中球については3時間、マクロファージについては24時間で計数した。マクロファージのCD95L誘発性移動を、CD95Lに対する中和抗体(MFL3、10μg;BD#555290)又は適切なアイソタイプ対照に対する中和抗体(IgG、10μg;BD#554709)を用いることによりマクロファージの基礎移動をブロックし分析した。
異なる量のCD95L−T4で処理した好中球由来の無細胞上清におけるMMP活性を、すでに記載されたゼラチナーゼザイモグラフィーによって測定した。手短に説明すると、好中球をCD95L−T4(10及び20ng/ml)で6時間処理した。電気泳動及びゲルをTriton X−100(2.5%v/v、30分間2回)で洗浄した後、ゲルをMMP反応緩衝液[50mmol/LのTris−HCl(pH7.8)、200mmol/LのNaCl、5mmol/LのCaCl2]中、37℃で16時間インキュベートした。ゼラチン分解活性は、Coomassie Brilliant Blue G−250溶液を用いた染色及び脱染溶液(10%酢酸、20%メタノール)中でのインキュベーションに際して透明なバンドとして検出された。
CD95/CD95L相互作用の分析のため、CD95の細胞外ドメインを、通常、組換え二量体融合タンパク質の形態で使用する。現在、市販の全組換えCD95タンパク質は、たとえば参考として本明細書で援用される、WO2004/085478に記載されているようなヒト又はマウスIgG1のC末端融合Fc部分(CD95−Fc)を呈する。この実験の読み出し法を妨害する、Fcに基づくエフェクター機能を回避するため、本発明者らは、異なるタンパク質骨格に基づくCD95L−トラップを設計することにした。CD95L−三量体あたり3つの提案された受容体結合部位によって、三量体CD95−融合タンパク質は、理想的なCD95−リガンド−トラップであるはずである。本発明者らは、バクテリオファージRB69由来のT4−フォルドンの相同染色体を使用した(図1及び2)。この構造は、参考として本明細書で援用される、WO2008/025516に記載されている。その特異性を保証するために、CD95−ECD(Arg87Ser)において単一のアミノ酸交換を有する設計されたCD95L−トラップのムテインを発現させ、記載した実験内で対照として使用した。この単一のアミノ酸交換はヒトCD95のヒトCD95Lに対する結合を無効にすることが知られている(Starlingら、1997)。
RB69由来のフィブリチンフォルドンドメインをC末端でヒトCD95−ECD(M1−E168)と融合させた。CD95−ECDとRB69−フォルドンの間(Tyr181〜Ala205)に、柔軟性リンカーエレメント(Gly169〜Ser180)を配置した。精製及び分析法のために、柔軟なリンカーエレメント(Ser206〜Lys223)を含むstreptag−IIをC末端に添加した。融合タンパク質のアミノ酸配列を逆翻訳し、そのコドン使用を哺乳動物細胞における発現に関して最適化した。遺伝子合成をENTELECHON GmbH(独国レーゲンスブルク)によって行った。CD95(R87S)−RB69−タンパク質の場合、発現カセットにおいて必要なコドン交換をPCRに基づく突然変異誘発によって導入した。配列検証された発現カセットを、プラスミドの独特のHind−III−及びNot−I部位を用いてpCDNA4−HisMax−骨格中にサブクローン化した。
病変部位へのマクロファージ動員は、あらかじめ動員された好中球によって促進され得る。マクロファージ浸潤に対する好中球の起こり得る影響を除くため、本発明者らは、2チャンバー遊走分析においてin vitroの好中球及びマクロファージのCD95L誘発性移動を研究した。骨髄由来の好中球の移動は、CD95Lでの処理によって有意に増加した(図6A)。移動の増加は、マトリックス−メタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)の活性増加を伴った(図6B)。したがって、MMP−9及びMMP−2の薬理学的阻害は、好中球のCD95L誘発性移動を無効にした(図6C)。さらに、外因性及び内因性CD95Lはin vitroでマクロファージ移動を増加させた(図6D)。こうした発見は、CD95Lが好中球及びマクロファージに直接作用し、損傷部位へのそれらの動員を増大させることを証明する。
2.1物質及び方法
2.1.1動物
下記表に記載の動物を使用する。CD95-/-はすでに記載され(Karrayら、2004)、C57BL/6JマウスはCharles River Laboratoriesから購入した。CD95L floxedマウス(Karrayら、2004)をLysM Creマウス(Jackson Laboratory)及びLCK Creマウス(Gunter Hammerlingからの寄付)とともに飼育して、それぞれ骨髄細胞又はT細胞におけるCD95Lを消耗させた。強い緑色蛍光タンパク質を偏在的に発現するマウスは、Bernd Arnoldの寄付であった。実験のため、動物の年齢をマッチさせ、2〜14週齢で使用した。全ての動物実験は、German Cancer Research Centerの機関ガイドラインにしたがって実施し、Regierungsprasidium(独国カールスルーエ)によって認可された。
SCIモデル:脊髄の切断損傷は、すでに記載されているようにして行った(Demjenら、2004)。圧挫損傷モデルに関して、鉗子を15秒間脊髄上で保持し、脊髄を側面圧縮した(Plemelら、2008)。損傷直後及びさらに1週間、マウスに抗生物質(ゲンタマイシン、5ml/kgの0.2mg/ml溶液)を投与して感染を予防した。術後処置として、動物を27℃で飼育し、食物及び水を自由に与え、膀胱を1日1回手で圧搾した。
ヒト血液に関する全ての実験は、German Cancer Research Centerの機関ガイドラインに従って実施され、Ethic Commission in Mainzによって認可された。患者及び各健常対照の血液を集めた時点で、赤血球溶解を実施し、続いて4%PFAで固定した。1人の患者並びに5〜6人の各対照試料に属する全ての時点をあわせて染色した。このために、NOK−2(BD、Pharmingen)又は各IgG2κアイソタイプ(Acris)を1時間氷上でインキュベートし、続いて30分間、二次抗体(抗マウスAPC、BD)とともにインキュベートした。その後、試料をフローサイトメトリーによりヒト好中球及びリンパ球表面上のCD95L発現について分析した。好中球は、CD66b陽性細胞、又はそれらのFSC/SSCにのいずれかで同定した。
マウスをSCI又はチオグリコレート誘発性腹膜炎の5分後、50μg(200μlの滅菌PBS中に溶解)のCD95−RB69又は、CD95Lと結合不可能な突然変異型CD95−(R87S)−RB69のいずれかを用いて、静脈内処置した。
全ての行動試験は、損傷後9〜11週間にわたり毎週、二重盲検方式で2人の独立した観察者によって実施した。動物の一般的運動能力は、すでに記載されているようにして、Bassoマウス運動評価尺度(BMS)及び水泳試験を用いて評価した(Demjenら、2004)。BMSに関して、動物を損傷の翌日、さらに試験した。第1日で0.5を越えるBMSスコアを示すマウスをさらなる実験から排除した。
試料サイズ及び統計的評価の結果を包含する統計的概要データの全てを下記表に記載する。行動実験に関して、対照群と比較したマウスにおける全体的な改善を、Koziol試験(Koziolら、1981)、長時間にわたって組み合わせたこれらのデータを分析することが可能な、時系列データに適切なノンパラメトリック試験を用いて、統計的に分析した。他の終点全ての統計的分析を、標準的な対応のないスチューデントのt検定を用いることによって実施した。スチューデントのt検定を適用した場合、小さな試料サイズを考慮して、正規性についての形式テストは適用しなかった。全データは、平均±平均の標準的偏差(SEM)として表した。統計的有意性を、統計試験法のp値として報告し、評価した:有意*p<0.05;強力に有意**p<0.01及び高度に有意***p<0.001。全ての統計分析は、German Cancer Research Center, DKFZのBiostatistics UnitのプログラムパッケージADAMを用いて実施した。
2.2.1CNS損傷は、齧歯類及びヒトにおいて末梢血細胞上のCD95L表面発現を増大させる。
この問題に取り組むために、本発明者らは、自己免疫疾患の機構モデルとしてしばしば使用されるモデルである、チオグリコレートの腹腔内注射により誘発された腹膜炎の動物モデルにおいて免疫細胞の浸潤を調べた(図10E)。CD95Lf/f;LysMcreマウスの腹膜中への好中球浸潤の減少が、チオグリコレート注射2時間後ですでに観察できた(図10F)。好中球の浸潤は、CD95Lf/f;LysMcre及びCD95−RB69処置動物において、それらの各対照と比較して、チオグリコレート注射6時間後で有意に減少した(図10F)。本発明者らは、チオグリコレート注射72時間後の腹膜におけるマクロファージの浸潤をさらに評価した。この時点で、CD95Lf/f;LysMcreマウスは、対照同胞子より浸潤性マクロファージは少なかったが、内在するマクロファージの数に変化はなかった(図10G)。様々な炎症性サイトカインのmRNAレベルは、対照同胞子及びCD95Lf/f;LysMcreマウスのチオグリコレート誘発細胞において同程度であり(図16G)、これは、CD95Lの移動効果がサイトカイン産生と無関係であることを示唆する。加えて、チオグリコレート活性化又はSCI後、アポトーシスを受ける好中球の数は、CD95L活性が欠失したマウス及びそれらの各対照において類似していた(図17)。これらの結果と一致して、CD95欠損lpr(リンパ増殖)又はCD95L欠損gld(全身性リンパ増殖性疾患)マウスから得られる好中球の自然死は、wtマウスにおけるレベルと異ならず(Fecho及びCohen、1998)、特異的拮抗物質でのCD95/CD95L機能のブロックは、好中球の自然死に対して影響を及ぼさなかった(Brown及びSavill、1999)。したがって、先天性免疫応答のCD95L活性化は、サイトカイン産生及びCD95L誘導アポトーシスと無関係であると思われる。チオグリコレート注射後の炎症を起こした腹膜へのマクロファージ動員を、lprマウスにおいても評価した。これらのマウスにおいて、内在するマクロファージの基本数は変化しなかった(図10H)。しかし、チオグリコレート注射72時間後、CD95Lf/f:LysMcreにおいてすでに観察されているように、本発明者らはlprマウスにおいて、それらのwtカウンターパートと比較してマクロファージの浸潤が減少することを観察できた(図10H)。したがって、チオグリコレート誘発性好中球反応は、lpr又はgldマウスと比較してwtマウスにおいて延長されることが示された(Fecho及びCohen、1998)。
本発明者らは、末梢骨髄細胞上のCD95Lが損傷/炎症部位へのその動員を促進するために用いられることを証明した。しかし、CD95L誘発性炎症の排除的中和の長期的結果は何であろうか?この問題に取り組むために、本発明者らは、免疫細胞区画一般又は骨髄区画におけるCD95L発現を有する又は有さない脊髄損傷動物の長期臨床転帰及び病状を調べた。まず、本発明者らは、CD95L欠損(CD95-/-)又は対照として野生型(wt)ドナーマウスから骨髄移植マウス(BMTマウス)、及び致死的な放射線を浴びたwtレシピエントマウス(それぞれBMT−CD95L-/-又はBMT−wtマウス)(図18A)を得た。CD95L-/-マウスは、SCI後の著しい機能回復を不可能にする神経発達における欠陥のために、レシピエントとして使用することができなかった(Demjenら、2004;Zulianiら、2006)。BMT−CD95L-/-マウスは、損傷誘発レベルが最大の時点で、CD95L mRNAレベルが4倍減少し、脊髄組織におけるカスパーゼ活性が有意に減少した(図18B、C)。BMT−CD95L-/-マウスにおいて、損傷11週後のNeuN及びCNPase免疫反応性は、BMT−wtマウスよりも高く、これは、BMT−CD95L-/-マウスにおいてニューロン及び乏突起膠細胞が救済されることを示す(図18D、E)。こうした結果は、免疫細胞がSCI後のCD95Lの主な供給源であり、免疫細胞区画中にCD95Lが存在しないことにより、ニューロン及び乏突起膠細胞が保護されることをはっきりと示している。CD95L誘発性炎症の長期結果を評価するために、BMT−CD95L-/-マウス及びそれらの各対照を、従来使用された背面80%切断又は臨床的により関連性のある脊髄圧挫損傷のいずれかに付した(Demjenら、2004;Plemelら、2008)。マウス運動能力を、水泳試験において(Demjenら、2004)及びBasso Mouse Scale(BMS)スコアを用いてオープンフィールドにおいて(Bassoら、2006)、10〜11週間、毎週1回評価した。脊髄の圧挫損傷又は切断後、神経学的欠損の程度は、BMT−wtマウスと比較して、BMT−CD95L-/-マウスにおいて有意に減少した(図18F、G)。
CD95Lの中和は、好中球及びマクロファージの損傷脊髄への浸潤を減少させ、運動機能の長期回復に至る。したがって、骨髄細胞上のCD95Lの中和による炎症の調節は、脊髄損傷動物の機能回復を早める、制御された炎症反応を引き起こす。骨髄細胞上のCD95Lの中和によって調節される分子事象を特徴づけるため、本発明者らは、切断損傷の24時間後の脊髄において、CD95Lf/f;LysMcreマウス及びそれらの同胞子カウンターパートの遺伝子特性を調べた。この早い時点ですでに、CD95Lf/f;LysMcreマウスにおいて器官形成、発生及び神経発生をはじめとする再生過程が始動する(図20A)。同様に、アポトーシスに関与する遺伝子の発現は、CD95Lf/f;LysMcreマウス又はCD95−RB69処置マウスにおいて、それらの各対照と比較して減少した(図12A、B)。これ以外に、骨髄細胞におけるCD95Lの欠失又はCD95−RB69処置マウスにおけるCD95Lの中和の結果、免疫反応に関与する遺伝子が下方調節された(図12A、B)。観察される炎症遺伝子の下方調節を、qRT−PCRによってさらに検証した(図12C及びデータ不掲載)。重要なことには、これらの下方調節された炎症性サイトカインのうち、IL−6、IL−1又はCXCL10の中和は、SCI後の機能回復を早めることが報告されている(Akuzawaら、2008;Gonzalezら、2007;Okadaら、2004)。興味深いことに、SCIの24時間後、65.2%の遺伝子が、骨髄細胞上に遺伝子のCD95Lの欠失を有する群(CD95Lf/f;LysMcre対CD95Lf/f同胞子)と、CD95Lの薬理学的阻害を有する群(CD95−RB69処置マウス対ビヒクル処置マウス)とで共通して調節され、これは、この時点で、遺伝子特性が免疫細胞区画におけるCD95Lの排他的欠失によることを意味する(図12D)。さらに、本発明者らは、SCIの24時間後の以下の動物とそれらの各対照カウンターパートとのデータセットを比較した:CD95Lf/f;LysMcre、CD95L-/-及びCD95−RB69処置マウス。CD95Lf/f;LysMcre動物に対し、後者の2群において、内在する脊髄細胞から誘導されるCD95Lも標的とされる。本発明者らの3つのマイクロアレイデータセットの複合マイクロアレイの統計的メタ分析に関して、Bioconductor(http://bioconductor.org)から得た遺伝子Metaパッケージを適用した。この分析により、各遺伝子についての差次的発現の程度が推定され、同時に各実験と動物のバックグラウンドとの差の検出についての根拠も得られる。これらの3つのデータセットの比較によって、損傷の24時間後の脊髄において、一貫して有意に差別的に調節された612の遺伝子の検出が可能になった(図12E及び図20B)。CD95L阻害の部位に関係ない共通遺伝子特性の同定は、CD95L誘発性損傷の一次的原因が先天的炎症反応の活性化であることを意味する。
CD95L誘発性炎症の組織損傷対直接的CD95L誘発性アポトーシスに対する寄与を最終的に評価するため、本発明者らは、内在する神経系細胞でCD95が欠失したマウス(CD95f/f:NesCre)及びそれらの同胞子対照(CD95f/f)におけるカスパーゼ活性を調べた。カスパーゼ−3活性の程度に関して、2群間で差異はなかった(図12F及び図21)。このデータは、SCI後のCD95Lの有害な機能は、CD95を有する内在する神経脊髄細胞の直接的アポトーシスではなく、先天的炎症反応に対するその影響によるものであることを示す。
本発明者等の実験結果から、骨髄細胞上のCD95L/CD95のSyk/AKT/MMP経路による炎症部位へのその動員を媒介する新規機構が明らかになる。本発明者らは、CNS損傷が、齧歯類及びヒトにおける骨髄細胞上のCD95L/CD95系の発現を増大させることを示す。この系は、チオグリコレート注射後の炎症を起こした腹膜への骨髄細胞の動員にも関与する。さらに、本発明者等は、CD95Lの中和が、SCI後の運動機能の回復を促進する炎症反応を生じさせる炎症細胞の初期浸潤を減少させることを示す。
90年代中頃まで、アポトーシスは炎症を誘発しないという定説が科学界では根強かった。CD95Lは、T細胞の活性化誘導細胞死(AICD)を誘発することによって炎症を消散させると一般的に考えられていた。(Griffithら、1995;Griffithら、1996;Nagata、1999)。この考えに沿って、眼及び睾丸中の細胞によるCD95Lの構成的発現は、これらの器官の免疫特権状態の一因となると考えられた(Griffithら、1995;Griffithら、1996)。様々な腫瘍集団による構成的CD95L発現が免疫回避につながることがさらに示唆された(Hahneら、1996;O’Connellら、1996;Strandら、1996)。これらの発見に関して、研究者らはCD95Lの強制発現が同種移植片を拒絶反応から効果的に保護し得ると主張した。意外にも、CD95Lを発現するように遺伝子操作されたほとんどの細胞型及び組織は、好中球により破壊される(Allisonら、1997;Kangら、1997;Seinoら、1997)。このデータは、CD95Lの化学誘因物質としての役割を意味する。あるいは、CD95Lはメタロプロテイナーゼにより細胞の表面から速やかに除去され、血液へ放出されたCD95Lは末梢骨髄細胞上のCD95と結合することができ、操作された組織の場合にはその動員の引き金となることが知られている。自己免疫疾患におけるCD95Lの類似した役割についての間接的証拠は、lpr突然変異が実験的自己免疫脳脊髄炎及びコラーゲン誘発性関節炎のマウスにおいて疾患の徴候を改善するという事実により得られる(Hoangら、2004;Maら、2004;Sabelkoら、1997)。したがって、炎症を起こした腹膜におけるマクロファージの動員は、lpr動物では、それらの対照カウンターパートよりも低かった。しかし、lpr突然変異の結果生じる基礎リンパ球増殖性疾患は、この種に関する炎症の研究を妨害し、炎症細胞の特定のサブセット上のCD95/CD95Lの条件付き除去によってのみ対処されうる。ここで、本発明者らは骨髄細胞上のCD95Lの排他的欠失が、腹膜炎及び脊髄損傷の動物モデルにおける先天性炎症反応を改善することを証明した。したがって、炎症性サイトカイン及びケモカイン、たとえばIL−1β、IL−6、CXCL10及びCCL6は、骨髄細胞においては、それらの対照カウンターパートと比較すると、CD95Lが欠失したマウスの損傷脊髄において下方調節された。大半の炎症性サイトカインは、軸索伝導を損ない、損傷後の炎症反応を増幅させ、かくしてさらに組織損傷を誘発することが報告されている(Schnellら、1999;Yangら、2004)。一貫して、IL−6、IL−1又はCXCL10の中和は、SCI後の機能回復を改善することが報告されている(Akuzawaら、2008;Gonzalezら、2007;Okadaら、2004)。
循環好中球の役割を研究するために、それらの消耗、好中球関連タンパク質分解酵素活性の阻害又は好中球接着の阻害をテーマにする従来の方法は、好中球機能の完全な排除に至らず、結果として、脊髄損傷マウスの完全な運動回復をもたらした(Trivediら、2006)。SCI前のLy6/Gr1抗体による好中球の完全な消耗を示す最近の研究は、IL−6を含むいくつかの炎症性サイトカインのレベルの上昇及び消耗動物のSCI後の臨床転帰の悪化を報告している(Stirlingら、2009)。したがって、好中球の完全な抑止は、炎症反応を増幅すると思われる。好中球及びマクロファージが、組織損傷に寄与するだけでなく、損傷部位の清浄化、細菌感染の制限及び創傷治癒の促進においても重要な役割を果たすことは注目に値する。本発明者らの研究において、CD95Lの中和は、浸潤性好中球及びマクロファージを完全に抑止することなく減少させた。結果として生じた炎症を経験することは有用であり、むしろCD95Lのない炎症細胞を有するという事実は、今後の研究課題として残っている。少なくとも、神経系細胞においてCD95の排他的欠失を有するマウスはアポトーシスから保護されなかったことから、浸潤性炎症細胞上のCD95Lは、CD95を有する細胞のアポトーシスの直接的誘発に対してさらなる役割を有さないと考えられる。
本発明者らは以前に、CD95Lが、PI3K/β−カテニン/MMP経路によってグリア芽腫モデルにおける浸潤を誘発することを示した(Kleberら、2008)。一次好中球及びマクロファージにおいて、CD95刺激は、AKTのリン酸化、MMP−9の活性化、及び最終的には移動の増加につながる。MMP−2及びMMP−9の薬理学的阻害は、CD95Lによって誘発される移動をブロックし、このことは、MMPがCD95L誘発性移動にきわめて重要であることを証明する。一次マクロファージにおいて、中和抗体によるCD95Lのブロックは、基礎移動の減少につながり、CD95Lがこれらの細胞の移動に必要であることを指摘する。しかし、CD95はどのようにしてPI3K活性化を誘発するのであろうか?1996年に、Atkinson及び共同研究者らは、CD95と、T細胞におけるSrcファミリーメンバーFynである非受容体型チロシンキナーゼとの物理的相互作用を初めて報告した(Atkinsonら、1996)。彼らはさらに、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)に似たCD95のデスドメインに位置する高度に保存されたチロシン含有YXXLモチーフの存在を記載した。6年後、Daigle及び共同研究者ら(Daigleら、2002)は、一次好中球におけるCD95の刺激は、このモチーフのリン酸化をもたらし、ひいてはSH2ドメイン含有タンパク質のドッキング部位として働くことを示した。受容体のリン酸化は、非受容体型チロシンキナーゼのSrcファミリーのメンバー(SFK:Src、Fyn、Yes、Lck、Hck及びLyn)によって決定されると考えられる(Atkinsonら、1996)。YXXLモチーフがリン酸化されると、他のSH2含有タンパク質キナーゼ又はホスファターゼは、潜在的に結合し、下流シグナリング経路の活性化を開始することができる。ここで、本発明者らは、骨髄細胞上のCD95のCD95L刺激はSykを活性化し、さらにPI3K/MMPシグナリングにつながることを示す。したがって、PI3K又はSykをブロックすることは、免疫細胞の移動を阻害することが証明された(AIiら、2004;Boulvenら、2006;Frommholdら、2007;Schymeinskyら、2007)。この発見による、さらに大きな影響が考えられる。Sykは、ITAMとカップリングした活性化受容体による炎症反応、プロ炎症性結晶に媒介される炎症反応及びインフラマソームの活性化の重要な活性化因子として知られている(Grossら、2009;Schymeinskyら、2006)。最近、Sykインヒビターは、炎症性疾患において有用な臨床的効果を示し、これは少なくとも部分的にCD95受容体を含み得る(Pineら、2007;Weinblattら、2008)。
細胞死の調節は、CD95の最もよく知られている機能の1つであるが、これはシグナル変換経路を活性化することもでき、プロ炎症反応の誘発に至る(Baud及びKarin、2001)。アポトーシス前マクロファージ及び好中球は、炎症反応の誘発に関与する、MCP−1及びIL−8などの炎症性サイトカインを放出することができる。Hohlbaum及び共同研究者らは、アポトーシス前腹膜マクロファージはMIP−2、IL−1β、MIP−1α、MIP−1βを産生し、続いて、好中球溢出が起こることを示した(Hohlbaumら、2001)。しかし、チオグリコレート活性化又はSCIの後、アポトーシスを受ける好中球の数は、CD95L活性が欠失したマウス及びそれらの各対照において類似していた。さらに、内在する腹膜マクロファージの数は、骨髄細胞においてCD95Lが欠失したマウスとそれらの対照とで差異が無かった。したがって、先天性免疫応答のCD95L活性化は、CD95L誘発性アポトーシスと無関係と思われる。
損傷骨髄におけるニューロン及び乏突起膠細胞の死は、直接的CD95誘発性死によるか、又はむしろCD95惹起性炎症によるのか?好中球は、CD95系によって同時培養系においてバイスタンダー細胞を死滅させられることが示されている(Brown及びSavill、1999;Serraoら、2001)。さらに、食作用は、CD95Lのマクロファージ放出の引き金となり、バイスタンダー細胞の細胞死を誘発することができる。加えて、Michael Fehlingsのグループの最近の研究によって、CD95Lは、CD95が媒介するアポトーシスシグナリングの内因性経路及び外因性経路の両方によって乏突起膠細胞の細胞死を直接誘発することができることが示された(Austin及びFehlings、2008)。しかし、これらのデータは全てin vitro研究によって提供された。この問題にin vivoで正しく取り組むため、本発明者らは、胚発生中のCNS内在神経系細胞におけるCD95受容体を特異的に欠失させ、SCI後のカスパーゼ−3活性を評価した。興味深いことに、CNS区画におけるCD95発現は、損傷脊髄におけるアポトーシスレベルに影響を及ぼさないように思われる。加えて、脊髄損傷動物の遺伝子特性を、骨髄区画におけるCD95Lの薬理学的、偏在的又は排他的阻害のいずれかと比較すると、高い類似性が明らかになり、これは、少なくともSCI後の急性期内での、CD95Lの主な役割が炎症の誘発であることを示す。合わせると、これらのデータは、CD95Lが従来考えられた直接的アポトーシス機構によるのではなく、炎症誘発性機構によってニューロン及び乏突起膠細胞を死滅させることを示唆する。結果、CD95Lに対する中和剤は、CNS中に局所投与する必要はないが、診療補助者により損傷直後に全身適用することができる。さらに、CD95/CD95L系の中和は、炎症性疾患一般の候補療法と考えられる。
異なる作用モードを使用した研究でCD95L阻害を有する又は有さない動物間の遺伝子の有意な差次的発現を検出するために、本発明者らはChoi及び共同研究者らによって記載されるようなメタ分析法を適用した(Choiら、2003)。全ての研究iにおける各遺伝子について、CD95L阻害を有する動物と対照群の動物との標準化された平均差を、エフェクトサイズとして計算したdi=(Xai−Xci)/Spi(式中、Xai及びXciは、それぞれCD95L阻害を有する動物群と対照群の平均を表し、Spiはプールした標準偏差である。検定統計量Qを使用して、固定効果モデル(FEM)又は変量効果モデル(REM)が異なる研究の有効サイズを組み合わせるためにより適切であるか判断した。FEMは、異なる研究で観察されるエフェクトサイズ(ここでは、標準化平均差)は同じ分布の試料であると仮定する。REMは、各エフェクトサイズが研究に特異的なパラメータを有する分布から得られると仮定することによって、研究間の差を説明する。研究間のエフェクトサイズの差がサンプリング誤差のみによると仮定すると、Qの値は、χ2分布にしたがって分配される。Qの分布を調べ、REMの方が適切であると判断した(データは不掲載)。
4.物質及び方法に関するさらなる資料
4.1試薬及び抗体
本発明者等は、RPMI1640培地(#21875−091)、ペニシリン/ストレプトマイシン(#15140−163)、L−グルタミン(#25030024)及び55μMのβ−メルカプトエタノール(#31350)をInvitrogen(独国カールスルーエ)から購入した。ウシ胎仔血清(FCS、#S0115)をBiochrom(独国ベルリン)から購入した。
以下の抗体をフローサイトメトリー実験に使用した:Fitc接合抗マウスLy6G mAb(BD#551460)、PE接合抗マウスF4/80 mAb(Caltag#MF48004)、PE接合ラットIgG2a mAB(アイソタイプ対照、BD#553930)、PercP−Cy5接合抗マウスCD45.2mAb(BD#552950)、Fitc接合抗マウスCD45.1mAb(BD#553775)、PeCy7−又はAPC接合抗マウスCD3 mAb(BD、APC#553066、PeCy7#552774)、Alexa−680−又はAPC接合抗マウスCD11b mAb(BD、Alexa680#RM2829、APC#553312)、APC接合抗マウスGR−1 mAb(BD#553129)、APC−Cy7接合抗マウスCD19 mAb(BD#557655)、ビオチン接合抗マウスCD95L mAb(BD#555292)、ビオチン接合ハムスターIgG mAb(アイソタイプ対照、BD#553970)、ストレプトアビジン−APC(BD#349024、1:50)、マウス抗ヒトCD95L(NOK−2、BD#556375)、抗マウスAPC(BD#550826)、マウスlgG2κ(Acris#AM03096PU−N)、Fitc接合抗ヒトCD66b(BD#555724)、PE接合pAKT(BD#560378)及びPE接合IgG(BD#554680)。特に別段の記載がない限り、BDからの抗体全ては、1:100の希釈度で使用した。
共通遺伝子型マーカーCD45.1を有するレシピエントマウス(4〜6週齢)に、450radで2回、3時間間隔で致死的な放射線を照射して、それら自身の骨髄(BM)を枯渇させた。増強した緑色蛍光タンパク質を偏在的に発現するオスマウス又は共通遺伝子型マーカーCD45.2を有するwt及びCD95L-/-メスマウスいずれかの大腿骨及び脛骨から骨髄細胞(BMC)を単離した。最終照射の3時間後、レシピエントマウスの尾静脈中に4〜6×106細胞を注射した。マウスを特別の病原体のない施設に入れて、感染を防止するためにアモキシシリン(1mg/ml)を含む飲料水を与えた。移植の8週間後、CD45.1及び2に対する抗体並びに異なる免疫細胞集団の抗体を用いて、フローサイトメトリーにより骨髄再構成をチェックした。再構成が90%より低いマウスをさらなる研究から除いた。
骨髄、腹膜、血液又は脊髄組織由来の細胞を染色した。脊髄組織由来のマウス細胞を準備するために、動物をHBSSで灌流し、器官から血液を除去した。次いで、脊髄(損傷部位周辺1cm)を単離し、37℃でシェーカー上サーモリシン(0.5mg/ml、Sigma#T−7902)中に3時間溶解させた。組織をさらに10分間トリプシン0.5%EDTA(Invitrogen#25300096)中でインキュベートし、Pasteurピペット及び40μm細胞ストレイナー(BD#352340)を10回通過させることによって最終的に均質化した。
全染色について、細胞をFACS緩衝液(PBS、0.2%NaN3)中に再懸濁させ、Fcブロック中で10分間プレインキュベートした後、各抗体を用いて30分間氷上で染色した。細胞内染色のために、血液試料をEry Lysis後に4%PFAで固定し、メタノールで透過処理した後、染色した。試料をFACSCantollフローサイトメーター(BD)にかけ、FACSDiva(BD)ソフトウェア又はFlowJoソフトウェアを用いて分析した。脊髄組織由来の細胞に関して行われた全FACS分析について、1,000,000例が数えられた。
全組織分析に関して、好中球は、CD45陽性、GR−1高陽性及びそれらに特徴的な前方向(FSC)及び側方散乱(SSC)特性と認定された。マクロファージは、CD45高陽性、CD11b陽性及びF4/80陽性と認定された。時間動特性分析において、全ての免疫細胞型は、この段落に記載するのと同じマーカーによって同定された。しかし、eGFP BMTマウス中の造血細胞はGFP陽性であり、したがってC造血細胞がD45陽性によって追跡される全ての他の研究に対して、事前に抗体染色をすることなくFITCチャンネル中に出現した。T細胞はCD3陽性と認定された。内在する小膠細胞もCD45を低レベルで発現することが知られている。しかし、本発明者らは、LysMcre系の小膠細胞集団においてcre組換えの徴候を見いだすことができず(データは不掲載)、これは、この細胞集団が一時的に影響を受けないことを示す。加えて、フローサイトメトリーによるCD45の検出は、CNSに内在する小膠細胞(CD45低)と浸潤性マクロファージ(CD45高)との識別を可能にした。
骨髄又はチオグリコレート誘発性腹膜炎から誘導される細胞に関して、本発明者らはLy6G mAbを用いて好中球を特徴づけた。
手術後の記載された時点で、動物を、過量のRompun及びKetanestを腹腔内(i.p.)使用して深く麻酔し、HBSS(RNA及びタンパク質ならびに組織摘出のため)又はHBSS及び4%PFA(免疫組織化学及び蛍光のため)で経心的灌流によって屠殺した。実験に応じて、損傷部位周辺の0.5cm切片(カスパーゼ−3活性分析)、1cm切片(浸潤分析)又は2.5cm切片(マイクロアレイ)を摘出した。
チオグリコレート誘発性腹膜炎に関して、1mlの3%チオグリコレートブロス(Fluka#70157)を、CD95Lf/f;LysMcre+及びCD95Lf/fマウス又はCD95−RB69で急速に処置されたwtマウス又はその各対照に腹腔内注射した。このモデルにおいて、好中球は最初の数時間以内に腹膜の浸潤を開始し、一方、マクロファージ浸潤は72時間でピークに達することが知られている。表示された時間で、マウスを屠殺し、血液試料を集め、腹腔を、0.25%ウシ血清アルブミン(Roche#10735094001)を含む滅菌Hanks液(HBSS;Invitrogen#14170−138)10mlで洗浄した。全細胞計数をNeubauer血球計数器(Brand)で実施し、鑑別細胞計数をフローサイトメトリーにより実施した。結果を、好中球又はマクロファージの絶対数×105/腔として表す。実施した全ての実験に関して、血液免疫細胞集団を適切な細胞マーカーにより分析した。
異なる量のCD95L−T4で処理された好中球、dHL−60又はマクロファージからの無細胞上清におけるMMP活性を、すでに記載されているように、ゼラチナーゼザイモグラフィーによって測定した。手短に説明すると、好中球をCD95L−T4(10及び20ng/ml)で6時間処理し、dHL−60をCD95L−T4(10、20及び40ng/ml)で6時間処理し、マクロファージをCD95L−T4(10、20及び40ng/ml)で24時間処理した。電気泳動及びゲルのTriton X−100(2.5%v/v、30分間2回)(Sigma#X−100)による洗浄後、ゲルをMMP反応緩衝液[50mmol/LのTris−HCl(pH7.8)、200mmol/LのNaCl、5mmol/LのCaCl2]中、37℃で16時間インキュベートした。Coomassie Brilliant Blue G−250溶液で染色し、脱染溶液(10%酢酸、20%メタノール)中でインキュベートして、ゼラチン分解活性を透明バンドとして検出した。データは少なくとも2回の独立した実験を代表するものである。
アネキシン−V染色を、腹腔滲出液又は損傷脊髄のいずれかに由来する好中球集団に関して実施した。適切なマーカー並びに特徴的なFSC及びSSCを使用した好中球集団上での通門後、アネキシン−V陽性細胞のパーセンテージを、製造業者のプロトコル(Calbiochem#CBA060)にしたがってフィコエリトリン接合アネキシン−Vを用い、決定した。
骨髄好中球は、マウスの大腿骨から、骨をPBS/2mMのEDTAでフラッシュすることによって単離した。集めた骨髄細胞をACK緩衝液(150mMのNH4Cl、10mMのKHCO3、1mMのNa2EDTA、pH7.3)中に再懸濁させ、1分間インキュベートして、赤血球を溶解させた。製造業者のプロトコル(Miltenyi、#130−092−332)にしたがい磁気ビーズによってMACS陽性選択を用いて好中球選択を実施した。好中球を培地中に加え、さらなる実験に使用するまで2時間放置した(1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1%55μMのβ−メルカプトエタノール、10%FCS、1%のL−グルタミン、10mMのHepes、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウムを添加したRPMI1640)。FACSによって評価した好中球の純度は、>96%に達した。in vivo活性化好中球を、マウスの腹腔を3%チオグリコレート注射の6時間後に洗浄することによって単離した。
骨髄細胞をすでに記載したようにして単離した。CD11b選択を製造業者のプロトコル(Miltenyi#130−092−333)にしたがって実施した。
骨髄由来のマクロファージ(BMDM)を得るために、大腿骨及び脛骨を左右対称に集め、PBS/2mMのEDTAを充填したシリンジを用いて骨髄コアをフラッシュした。細胞を磨砕し、ACK緩衝液を用いて赤血球を溶解させた。培地中で1回洗浄した後、細胞を播種し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1%55μMのβ−メルカプトエタノール、10%FCS、1%L−グルタミン、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウム及びマクロファージコロニー刺激因子分泌L929細胞の20%上清(sL929;Tobias Haas博士から寄贈)を添加したRPMI1640中で培養した。sL929は骨髄細胞をマクロファージ表現型にする(7〜10日)。第1日に非接着性細胞を集め、さらに培養した。4日後、新鮮な培地を添加して、細胞成長を増強した。収穫時に、95±0.7%の細胞はマクロファージであった(CD11b及びF4/80免疫染色によって評価)。添加培地を刺激当日にRPMI/10%FCSと置換し、細胞型全てについて同じ培地中で刺激を実施した。
一次マクロファージのトランスフェクションは、リポフェクタミン(Invitrogen#11668019)を含む培地中、製造業者のプロトコルにしたがって第8日に実施した。手短に説明すると、リポフェクタミン2000を用いてマクロファージをマウス600pmolのSyk siRNA ON−TARGET+SMARTpool siRNA又は非標的SMARTpool siRNAでトランスフェクトした。48時間後、Sykノックダウンをウェスタンブロットによって評価した。同時に、細胞をCD95L−T4で刺激し、移動、MMP−活性又はウェスタンブロットについて24時間後に分析した。
ヒト骨髄HL−60細胞系(ACC3)はLucie Doerner博士から寄贈された。HL−60細胞のPMN様分化及びエレクトロポレーションプロトコルについてはすでに記載されている。簡単に説明すると、HL−60細胞を1,3%のDMSOの存在下で6日間分化させた後、タンパク質分析に使用した。dHL−60細胞のエレクトロポレーションを第4日に実施した。エレクトロポレーションのために、RPMI中dHL−60(1×107細胞/mL)の400μLアリコートを、0.4cm電極を有するGene Pulserキュベット(Bio−Rad(カリフォルニア州ハーキュリーズ))に移し、600pmolのSyk siRNA ON−TARGET+SMARTpool siRNA又は非標的SMARTpool siRNAと混合した。細胞を10分間、室温(RT)にてインキュベートし、310V及び1175μFFのエレクトロポレーションパルスに付した(Gene Pulser Biorad(独国ミュンヘン))。エレクトロポレーションの48〜72時間後、Sykノックダウンをウェスタンブロットによって評価した。同時に、細胞をCD95L−T4で刺激し、移動について4時間後に分析した。
Transsignal SH2 Domain Array(Panomics)を製造業者の指示に従って実施した。全細胞溶解物のハイブリダイゼーションのために、細胞を前記のようにして集めた。次いで溶解物を5μgの抗CD95抗体Jo2−ビオチンとともにインキュベートし、続いてSH2アレイ膜にハイブリダイズした。洗浄後、アレイをストレプトアビジン−HRPとともにインキュベートし、現像した。
タンパク質抽出及び免疫ブロッティングをすでに記載されているようにして実施した。膜を次の抗体:リン酸化AKT(p−Ser473−AKT、1:1000、細胞シグナリング#9271)、全AKT(t−AKT、1:1000、細胞シグナリング#9272)、リン酸化Src(p−Src Tyr416、1:1000、細胞シグナリング#2101)、全Src(1:1000、細胞シグナリング#2108)、リン酸化されたSyk(pSyk Tyr319/352、1:1000、細胞シグナリング#2701)、全Syk(1:1000、細胞シグナリング#2712)でプローブした。
少なくとも1×107細胞を10ng/ml(好中球)又は20ng/ml(マクロファージ)のmCD95L−T4で5分間、37℃で処理し、又は未処理で放置し、PBS+ホスファターゼインヒビター(NaF、NaN3、pNPP、NaPPi、β−グリセロールホスフェート(それぞれ10mM)及び1mMのオルトバナデート)中で2回洗浄し、続いて緩衝液A[(20mMのTris/HCl、pH7.5、150mMのNaCl、2mMのEDTA、1mMフェニルメチルスルフォニルフルオリド、プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche#11836145001)、1%Triton X−100(Sigma、X−100)、10%グリセロール、及びホスファターゼインヒビター(NaF、NaN3、pNPP、NaPPi、β−グリセロールホスフェート(それぞれ10mM)及び1mMオルトバナデート)]中で溶解させた。タンパク質濃度は、BCAキット(Pierce#23225)を用いて測定した。500μgのタンパク質を、5μgの抗CD95Ab Jo2(BD#554255)及40μlのタンパク質A Sepharose(Sigma#P3391)又は対応するアイソタイプ対照(BD#554709)のいずれかを用いて一夜免疫沈降させた。ビーズを20体積の溶解緩衝液で5回洗浄した。免疫沈降物を50μlの2×Laemmli緩衝液と混合し、15%SDS−PAGE上で分析した。続いて、ゲルをHybondニトロセルロース膜(Amersham Pharmacia Biotech#RPN203D)に移し、5%PBS/Tween(PBS+0.05%Tween20)中ミルクで1時間ブロックし、一次抗体とともに5%PBS/Tween中ミルク中、4℃で一夜インキュベートした。製造業者のプロトコルにしたがって化学発光法を用いてブロットを現像した(PerkinElmer Life Sciences(独国ロートガウ))。Mareike Becker博士の好意により提供された、CD95L感受性の高いマウス胸腺腫細胞(E20)を、FADD動員を分析するための陽性対照として含めた(抗FADDマウスモノクローナルAb、クローン1F7、Millipore#05−486)。
CD95−チロシン283をそのリン酸化形態及び非リン酸化形態で含むビオチニル化ペプチド並びにスクランブルペプチドを、DKFZペプチド合成施設によって製造した。簡単に説明すると、50μMのペプチドを500μgの全タンパク質溶解物と一夜4℃でインキュベートし、置換し、内因性タンパク質複合体とのモル濃度競合によって結合させた。形成されたペプチド−タンパク質複合体を、40μlのモノマーアビジンビーズ(Thermo Scientific、#20228)で1〜2時間、4℃にて沈殿させ、1mlのIP溶解緩衝液で5回洗浄した。洗浄後、ビーズを40μlの2×Laemmli緩衝液中に再懸濁し、沈殿物をSDS−PAGE及びウェスタンブロッティングによって分析した。
SCI後のカスパーゼ−3活性を測定するために、脊髄(損傷部位付近0.5cm)を切開し、10倍量の溶解緩衝液(250mMのHEPES、50mMのMgCl2、10mMのEGTA、5%のTriton−X−100、100mMのDTT、10mMのAEBSF、pH7.5)中で均質化した。試料を10分間12,000gで遠心分離した。アポトーシスは、カスパーゼ−3の増大した活性と平行して起こる。したがって、特異的カスパーゼ基質Ac−DEVD−AFC(Biomol)の切断を用いて、アポトーシスの程度を判定した。Ac−DEVD−AFCは、いくつかのカスパーゼによって切断することができるが、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7及びカスパーゼ−8は、この基質に関して圧倒的に強力な特異性を示す。
カスパーゼ活性分析のために、20μlの細胞溶解物を黒色96穴マイクロタイタープレートに移した。50mMのHEPES、1%スクロース、0.1%CHAPS、50μMのAc−DEVD−AFC、及び25mMのDTTを含有する緩衝液(pH7.5)80μlを添加した後、プレートをTecan Infinite F500マイクロタイタープレートリーダーに移し、蛍光強度の増大をモニタリングした(励起波長400nm、発光波長505nm)。AFC検量曲線を用いて試料の基質切断を定量的に測定する。結果をpmol/分/μgタンパク質で表す。
骨髄由来の好中球又はマクロファージの移動を、2チャンバー移動分析においてin vitroで評価した。トランスウェル挿入物[好中球又はマクロファージについて、それぞれ3μM(BD#353096)又は8μM(BD#353097)孔サイズ]をマトリゲル(50μg/ml;BD#354234)でコーティングした。5×105の好中球、1×106のdHL60又は2×105のマクロファージを上側のチャンバー上500μlの培地中で播種した。細胞を未処理のまま放置し、又は10、20及び40ng/mlを上側のチャンバーに添加することにより、CD95L−T4(操作されたMus musculus CD95L(Kleberら、2008))で処理した。移動した細胞の数を、好中球については治療後3時間、dHL−60については治療後4時間、マクロファージについては治療後24時間に、血球計を用いて計数した。マクロファージのCD95L誘発性移動を、CD95Lに対する中和抗体(MFL3、10μg;BD#555290)又は適切なアイソタイプ対照(IgG、10μg;BD#554709)を用いることにより、マクロファージの基礎移動をブロックすることによって分析した。移動分析のデータは、少なくとも4回の独立した実験で、条件ごとに6回の技術的再現を行ったものを代表するものである。
メタロプロテイナーゼの好中球及びマクロファージ動員に対する役割を、MMP−2/9の選択的インヒビターを用いて調べた。好中球、dHL−60及びマクロファージをMMP−2/9インヒビター(50μM;Calbiochem#444251)とともにCD95L−T4処置の30分前にプレインキュベートし、移動した細胞の数をすでに表示した時間で計数した。
実験に応じて、SCI後9〜11週に、HBSS及び4%パラホルムアルデヒド(PFA)を使用して、マウスを経心的に灌流した。脊髄を切開し、4%のPFA中、4℃で一夜後固定し、パラフィン包埋のために処理した。パラフィンブロックをミクロトーム上にマウントし、8〜10μMの横断切片に切り出した。免疫組織化学に関して、切片を0.2%のTriton−X 100でRTにて透過処理し、血清を用いて非特異的結合のブロックを実施した。染色後、スライドをMowiolとともにカバースリップで覆い、RTにて一夜乾燥し、4℃で保存した後、Olympus顕微鏡を用いて分析した。全ての免疫組織化学染色において、非特異的結合を評価するための陰性対照としてスライドの1つを使用した。ニューロン及び乏突起膠細胞標識のために、スライドを一次抗体と4℃で一夜インキュベートし、続いて蛍光標識された二次抗体とともにインキュベートした(RTで1時間)。使用した一次抗体は、それぞれ抗NeuN(マウス、1:200;Chemicon#MAB377)及び抗CNPase(マウス、1:200;Sigma#C5922)であった。使用した二次抗体は、ロバ抗マウスローダミンX(1:200;Dianova#715−296−150)であった。核を標識するために、Dapi(Sigma#D9564)1:3000を使用した。ニューロンを定量化するために、損傷の中心点及び中心点の先端側及び後側1500μMまで350μMごとに画像を撮影し、NeuN陽性細胞をSCIの10〜11週後のマウスにて計数した。スライドあたりのNeuN陽性細胞の平均を示す。乏突起膠細胞を定量化するために、損傷部位の先端側及び後側350μMごとに採取した組織切片のCNPase染色を分析した。脊髄の後索における損傷部位に対して先端側の失われたCNPaseシグナルと、後側のCNPase染色の再出現との距離を測定することによって分析を実施した。この距離は、脊髄における白質不足のレベルを示す。距離が短いことは、白質が大幅に不足していることに相関する。
組織に関して、脊髄を切開し、基本的にはmirVana microRNA Extraction Kitを製造業者のプロトコル(Ambion#AM1560)にしたがって用い、RNAを抽出した。損傷マウスのmRNAを各非損傷動物に対して標準化して表した。腹腔滲出液又は骨髄誘導細胞からの細胞をPBSで洗浄し、β−メルカプトエタノールを含むRTL緩衝液中に溶かした。RNeasy Mini Kit(Qiagen、#74104)を用いてRNAを抽出した。
Affymetrixソフトウェアを用いてCelファイルを作成し、ChipInspectorに取り込んだ。製造業者のガイドライン(Genomatix GmbH(独国ミュンヘン)、http://www.genomatix.de)に指定されるようにGenomatix Chiplnspectorによってデータを分析した。dChipソフトウェアをデータセットの階層的クラスタリングに使用した(http://biosun1.harvard.edu/complab/dchip/)。5%p値をカットオフとして適用した。
Claims (11)
- 炎症性疾患の予防及び/又は治療用医薬製造のためのCD95/CD95L系のインヒビターの使用であって、
前記インヒビターが、可溶性CD95受容体分子又はそのリガンド結合部分であり、
前記可溶性CD95受容体分子又はそのリガンド結合部分が、CD95受容体分子の細胞外ドメインを含み、かつ
前記炎症性疾患が、慢性炎症性腸疾患、リウマチ性疾患または炎症性膠原病である、
前記使用。 - 前記可溶性CD95受容体分子又はそのリガンド結合部分が、異種ポリペプチドドメインと融合している、請求項1記載の使用。
- 前記CD95受容体分子の細胞外ドメインが、成熟CD95配列のアミノ酸1〜172を含む、請求項1または2に記載の使用。
- 前記リウマチ性疾患が、マクロファージ活性の増大に関連している、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
- 前記慢性炎症性腸疾患が、クローン病又は潰瘍性大腸炎である、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
- 前記リウマチ性疾患が、関節リウマチ、慢性多発性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎または若年性突発性関節炎である、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
- 前記炎症性膠原病が、結合組織障害及び血管炎である、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
- 前記炎症性膠原病が、紅斑性狼瘡、強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、混合膠原病およびヴェーゲナー肉芽腫症から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
- 前記インヒビターを全身投与する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の使用。
- 前記可溶性CD95受容体分子が
i)CD95−Fcドメイン、および
ii)a)CD95受容体細胞外ドメインまたはそのフラグメントおよびb)三量体化ドメインを含む、溶解性で、三量体であるCD95受容体融合ポリペプチド
から選択される可溶性CD95受容体分子である、
請求項1から9までのいずれか1項に記載の使用。 - 医薬組成物が、ヒト用医薬における使用のために調製される、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用。
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