JP5665204B2 - 新規シアニン化合物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、新規シアニン化合物、それを用いた光吸収剤、該光吸収剤を用いた光学フィルタに関する。詳しくは、高い分子吸光係数(質量吸光係数)を有し、吸収波形が鋭く、溶剤溶解性に優れた新規なシアニン化合物と、それを用いた可視〜近赤外線吸収剤及び該光吸収剤を用いた光学フィルタ、特にプラズマディスプレイパネル向けの近赤外吸収用、画像特性改善用フィルタに関する。
大型薄型テレビやディスプレイとして注目されているプラズマディスプレイパネルには、その機構上必然的に発生する電磁波や近赤外線、ネオン光を遮断するための電磁波シールド、近赤外線カットフィルタ、ネオンカットフィルタ等を必要とし、それに関して例えば、特許文献1等が知られている。又、ネオン等に由来する輝線の遮断や蛍光灯等の映りこみ防止の為の、ディスプレイの画像特性改善に用いる色素及びそれを用いたフィルムやフィルタ等の樹脂組成物が検討されている。画像特性改善のための色素としては、発生する電磁波や近赤外線、ネオン光等を遮断するための特定波長におけるシャープな吸収を有する色素が求められている。
従来、プラズマディスプレイパネルで必要とされる400nm〜1100nm、即ち、可視光〜赤外線の吸収剤としてのシアニン化合物が特許文献2、特許文献3に記載されている。中でも、対イオンが六フッ化アンチモン酸イオンであるシアニン化合物が耐熱性に優れているため主に使用されていた。
しかし、これらの色素では加工性(塗工溶媒に対する溶解性)、耐熱性、耐光性、吸収率及び透過率等の点で満足するものがなく、アンチモンを含む化合物は劇物に該当する為、近年、重金属等の使用が規制を受ける産業分野、特に電気材料分野では重金属を含まない化合物が望まれていた。特許文献4には重金属を含有しない化合物が記載されているが、これらは塗工等に使用するメチルエチルケトン等の溶媒に対する溶解性が不十分であり、より加工性の良い化合物が求められていた。特許文献5にはフッ素化アルキルスルホニル対イオンを有する染料が記載されている。
特開2000−81511号公報 特公平5−37119号公報 特許第3045404号公報 国際公開第2006/006573号パンフレット 特開平8−253705号公報
本発明はこの様な状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は400nm〜1100nmの波長域に最大吸収を有し、ケトン類等の溶剤溶解性が高く、加工性に優れたシアニン化合物、及びそれを用いた近赤外吸収用、画像特性改善用の光学フィルタを提供することにある。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意努力した結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の1)〜10)に関する。
1)下記式(1)で表されるシアニン化合物。
Figure 0005665204
[式(1)におけるQ 及びQ が形成する含窒素縮合複素環のいずれもが、下記式(2)又は式(3)から選ばれる同一の1種であり、RはR 、R と同じ意味を示し、R はハロゲン原子、炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルキル基、炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルコキシ基又はニトロ基を示し、pは0又は1の整数を示す;
Figure 0005665204
式(1)におけるR 及びR がそれぞれ独立に炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルキル基又は炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルコキシアルキル基であり;Dが下記式(8)〜式(12)のいずれかであり、Yは水素原子又は塩素原子を示し、*は結合部位を示す;
Figure 0005665204
がトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンである。;但し、Q が形成する含窒素縮合複素環は、Q が形成する含窒素縮合複素環の構造式を、Q に対応する構造式に読み替えるものとする。]
2)式(1)のDが下記式(10)である1)に記載のシアニン化合物。
Figure 0005665204
[Yは水素原子、*は結合部位を示す]
3)式(1)〜式(3)におけるR、R 及びR がそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、メトキシエチル基、n−ブトキシエチル基である1)に記載のシアニン化合物。
4)式(2)及び式(3)におけるR が塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、である1)に記載のシアニン化合物。
5)式(2)及び式(3)におけるpが0である1)に記載のシアニン化合物。
6)メタノール中400nm〜1100nmの波長域に最大吸収を有する1)又は2)に記載のシアニン化合物。
7)1)〜6)のいずれか一つに記載のシアニン化合物を用いた光吸収剤。
8)近赤外吸収用及び/又は画像特性改善用である7)に記載の光吸収剤。
9)7)又は8)に記載の光吸収剤を用いた光学フィルタ。
10)9)に記載の光学フィルタを使用したプラズマディスプレイパネル。
本発明のシアニン化合物は、アンチモン及び砒素等の重金属を含まず、劇物に該当せず、400nm〜1100nmのモル吸光係数が高く、耐熱性、耐光性に優れ、特にメチルエチルケトン等の溶媒に対する溶解性が高く、加工性に優れている。本発明の光吸収剤及びそれを用いた光学フィルタは、アンチモン等の重金属を含有せず、耐熱性に極めて優れており熱による分解反応を起こしにくい。この様な特徴を有している本発明の光学フィルタは、例えば、断熱フィルムやサングラスのような赤外線カット用に適し、特に、プラズマディスプレイ用の近赤外線吸収フィルタや画像特性改善用のフィルタとして好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のシアニン化合物はトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンの塩であり、上記一般式(1)[式中、Q、Qはそれぞれ独立に置換基を有していてもよい含窒素縮合複素環を形成し、R、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基を示し、Dはモノ、ジ又はトリカルボシアニンを形成するための連結基を示し、Xはトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンを示す]で表される。
トリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるハロゲノアルキル基としては、同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のハロゲノアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数が1〜36であり、更に好ましくは置換基を有していてもよい直鎖ハロゲノアルキル基で炭素数が1〜10であるものであり、最も好ましくは無置換の炭素数が1〜4の直鎖ハロゲノアルキル基である。該ハロゲノアルキル基のハロゲン原子とは、同一でも異なっていてもよく置換位置も特に限定されず、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子が更に好ましい。ハロゲノアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ジクロロメチル基、モノクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロクロロエチル基、ジフルオロエチル基、モノフルオロエチル基、トリフルオロヨードエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、モノフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロオクチルエチル基、ペンタフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ペルフルオロ−3−メチルブチル基、ペルフルオロ−3−メチルヘキシル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基が好ましい。トリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。
上記式(1)におけるQ、Qが形成する含窒素縮合複素環としては特に限定されないが、例えば、ベンゾチアゾール環化合物、ベンゾオキサゾール環化合物又は上記の式(2)〜式(6)[式中、RはR、Rと同じ意味を示し、Rはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基又はニトロ基を示し、pは0〜2の整数を示す]から選ばれる1種の複素環化合物が挙げられる。
が形成する含窒素縮合複素環の場合はそれに対応する構造式に読み替えるものとする。
上記R、R、Rの置換基を有していてもよいアルキル基におけるアルキル基としては炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、t−アミル基等が挙げられる。該置換基としては3〜6員環の飽和複素環基(例えば、テトラヒドロフリル基等)、アルコキシ基を有していてもよいフェニル基、カルバモイル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等)、アルコキシアルコキシ基(例えば、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシメトキシ基等)等が挙げられる。
R、R、Rとしては置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキル基、炭素数4〜20のアルコキシアルコキシアルキル基が挙げられ、メチル基、n−ブチル基、メトキシエチル基、n−ブトキシエチル基、カルバモイル基、フェネチル基又はp−(イソプロポキシ)フェネチル基等が好ましい。
R、R、Rの置換基を有していてもよいアルケニル基としては炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられ、好ましくは無置換の炭素数2〜5のアルケニル基が挙げられ、例えば、アリル基が挙げられる。
式(2)〜式(6)のRにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
式(2)〜式(6)のRにおけるアルキル基としては、R、R、Rの置換基を有していてもよいアルキル基におけるアルキル基と同様な基が挙げられる。
式(2)〜式(6)のRにおけるアルコキシ基としては、上記のR、R、Rの置換基を有していてもよいアルキル基におけるアルキル基が酸素原子と結合した基が挙げられる。
式(2)〜式(6)においてRの置換数Pは0〜2であり、置換基Rが存在する場合、その置換位置は特に限定されない。
前記式(1)におけるDとしてのモノ、ジ又はトリカルボシアニンを形成する為の連結基とは、上記式(8)〜式(12)[式中、Yは水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、ジフェニルアミノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、*は結合部位を示す]から選ばれる1種の基が好ましい。
式(8)〜式(12)のYにおけるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基とはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。Yとして好ましくは水素原子、塩素原子又はフェニル基が挙げられる。
本発明のシアニン化合物としては、プラズマディスプレイパネル等における近赤外吸収用、画像特性改善の点からメタノール中400nm〜1100nmの波長域に最大吸収を有する化合物が好ましい。
上記式(1)で表されるシアニン化合物は種々の方法で製造されるが、例えば、特許文献3に記載の方法を参考に次の方法で製造することができる。
式(13)
Figure 0005665204
[式中、Qは前記Q、Qと同じ意味を示し、Rも前記と同じ意味を示す]で表される化合物2モルと、式(14)又は式(15)
Figure 0005665204
[式中、Dは前記と同じ意味を示す]
Figure 0005665204
[式中、Dは前記と同じ意味を示す]
で表される化合物1モル及びトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチド酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩等の塩1モルを、必要に応じ酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピペラジン、ピペリジン等の塩基触媒の存在下で、無水酢酸あるいは無水酢酸と氷酢酸の混合物のような脱水性の有機溶媒中で、例えば、50〜140℃で通常10分〜10時間、好ましくは30分〜120分加熱し縮合させ対称シアニン化合物(式(1)におけるQ、Rが、Q、Rとそれぞれ同様である化合物)を合成することができる。
非対称のシアニン化合物は、同一の式(13)の化合物2モルの代わりに、Q,Rが異なる式(13)の化合物各1モルを用いて同様に合成することができる。
あるいは、式(16)又は式(17)の様なアルデヒド体
Figure 0005665204
[式中、Q、R、Yは前記と同じ意味を示す]
1モルと、同一又は異なる上記式(13)の化合物各1モルとトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドの塩1モルを、必要に応じ酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピペラジン、ピペリジン等の塩基触媒の存在下、無水酢酸あるいは無水酢酸と氷酢酸の混合物のような脱水性の有機溶媒中で、例えば、50〜140℃で通常10分〜12時間、好ましくは10分〜60分加熱し縮合させ、対称又は非対称のシアニン化合物を合成することもできる。
又、後記の実施例に示すように、モノカルボシアニン化合物は上記式(13)の化合物、オルトエステル化合物及びトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチド酸から製造することもできる。
反応生成物は必要に応じてメタノ−ル、エタノ−ル或いはその他の有機溶媒から再結晶して精製してもよい。
次に、本発明のシアニン化合物を下記に例示する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005665204
Figure 0005665204
Figure 0005665204
Figure 0005665204
Figure 0005665204
Figure 0005665204
上記式(1)で表される本発明のシアニン化合物のうち、より好ましいものは、上記式(201)で表される化合物である。
上記式(201)中、Qが形成する含窒素縮合複素環は、上記式(202)乃至(204)から選ばれる1種であり、R及びRはそれぞれ独立に、C1−C5アルキル基又はC1−C5アルコキシC1−C3アルキル基を表し、Rは水素原子、C1−C5アルキル基又はフェニル基を表し、Yはハロゲン原子又はフェニル基を表し、Xはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドアニオンを表す。
上記式(201)におけるR及びRがC1−C5アルキル基の場合、該アルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖アルキルが好ましい。分岐鎖アルキルの場合にはC3−C5アルキル基が好ましく、窒素原子が置換した炭素原子以外の炭素原子が分岐しているものの方がより好ましい。
直鎖C1−C5アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル及びn−ペンチル(アミル)が挙げられ、n−ブチルが好ましい。
分岐鎖C3−C5アルキル基の具体例としては、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、イソアミル、t−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル等が挙げられ、イソブチル、2−メチルブチル、イソアミルが好ましい。
環状アルキルとしては、C3−C5環状アルキル基が好ましく、その具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが挙げられる。
及びRがC3−C5アルコキシC1−C3アルキル基の場合、アルコキシ部分及びアルキル部分の両者は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれの構造を有してもよいが、両者が共に直鎖であるものが好ましい。好ましい具体例としては、プロポキシメチル、ブトキシメチル、ペントキシメチル、プロポキシエチル、ブトキシエチル、ペントキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシプロピル、ペントキシプロピルが挙げられ、より好ましくはプロポキシエチル、ブトキシエチル、ペントキシエチルであり、さらに好ましくはブトキシエチルである。
上記式(201)において、Rは水素原子、C1−C5アルキル基又はフェニル基を表す。これらはいずれも好ましいが、水素原子、C1−C4アルキル基又はフェニル基がより好ましい。
がC1−C5アルキル基の場合、該アルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖アルキルが好ましい。これらの具体例及び好ましいもの等については、上記R及びRで記載したものと同じでよいが、Rが分岐鎖アルキルの場合には、上記の記載のうち、C3−C4アルキル基がより好ましい。
上記式(201)中、Yはハロゲン原子又はフェニル基を表す。これらはいずれも好ましいが、ハロゲン原子がより好ましい。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
上記式(201)において、Qが形成する含窒素縮合複素環は、上記式(202)乃至(204)から選ばれる1種である。これらはいずれも好ましいが、より好ましくはQが式(202)又は(203)の含窒素縮合複素環を形成したものであり、カルボシアニンを形成する両端の含窒素縮合複素環が、それぞれ異なる構造式を有するものがよい。
このような構成とすることにより、有機溶媒への溶解性をより向上させることができる。
式(201)中、二重結合の末端に記載した炭素原子「C」及びRが結合した窒素原子は、式(202)乃至(204)中に記載した炭素原子「C」及びRが結合した窒素原子にそれぞれ相当する。
従って、式(202)乃至(204)中、Rは上記式(201)と好ましいもの等を含めて同じ意味を有する。
上記式(203)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子又はニトロ基を表す。これらはいずれも好ましいが、より好ましくは水素原子又はハロゲン原子である。
ハロゲン原子の具体例は、好ましいもの等を含めて、上記式(201)におけるYがハロゲン原子である場合と同じでよい。
なお、上記式(201)と式(1)との対比から明らかなように、上記式(201)において、式(1)のDで表される連結基は、炭素数7に相当し、トリカルボシアニンを形成している。これを図示したものが下記式(207)である。式(207)中、1乃至7の数字は、トリカルボシアニンを形成している7個の炭素原子にそれぞれ付与した。
Figure 0005665204
上記式(1)におけるDで表される連結基の炭素数は、トリカルボシアニンに対応する数、すなわち7個が最大であり、この構成とすることにより、メタノール中において400nm〜1100nmの波長域に最大吸収を有する本発明のシアニン化合物が得られる。これ以上の炭素数、例えば炭素数が9となるテトラカルボシアニン等の構成にすると、上記の範囲の波長域に最大吸収が得られないため、本発明には含まれない。
以下に、上記式(201)で表される化合物の具体例として化合物49乃至57を以下に例示する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005665204
本発明のシアニン化合物は、後記の実施例にその特性を示すように、光吸収剤、特にフィルタ用近赤外線吸収色素、不要な発光を吸収し色純度を向上させる画像特性改善用色素等の光吸収剤として使用することができ、該光吸収剤も本発明に含まれる。光情報記録媒体に用いることもできる。
本発明のシアニン化合物を用いた光吸収剤を使用した光学フィルタも本発明に含まれる。該光学フィルタは、本発明のシアニン化合物を含有する樹脂層を基材上に設けたものでも、又、基材自体が本発明のシアニン化合物を含有する樹脂組成物(又はその硬化物)からなる層であってもよい。該基材としては、一般に光学フィルタに使用し得るものであれば特に制限されないが、通常、樹脂製の材が使用される。層の厚みは通常0.1μm〜10mm程度であるが、近赤外線カット率等の目的に応じて適宜、決定され得る。
又、用いるシアニン化合物の含有率も目的とする近赤外線カット率に応じて適宜、決定され得る。
用い得る該樹脂製の材としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物、及びそれらのビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
本発明の光学フィルタを作成する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、次のような、それ自体公知の方法が利用できる。
(1)樹脂に本発明のシアニン化合物を混練し、加熱成形して樹脂板又はフィルムを作製する方法、
(2)本発明のシアニン化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下にキャスト重合し、樹脂板又はフィルムを作製する方法、
(3)本発明のシアニン化合物を含有する塗料を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、又は透明ガラス板にコーティングする方法、
(4)本発明のシアニン化合物及び樹脂(接着剤)を含有させた組成物を用いて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製する方法、
等である。
(1)の作製方法としては、用いる樹脂によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、本発明のシアニン化合物を基材樹脂の粉体又はペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して樹脂板を作製する方法あるいは押し出し機によりフィルム化(樹脂板化)する方法等が挙げられる。該シアニン化合物添加量は、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、通常、基材樹脂の質量に対して0.01〜30質量%程度、好ましくは0.03〜15質量%程度使用される。
(2)の方法は、本発明のシアニン化合物と、樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下に型内に注入し、反応させて硬化させるか、又は、金型に流し込んで型内で硬い製品となるまで固化させて成形する。多くの樹脂がこの方法で成形可能であり、その様な樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。その中でも、硬度、耐熱性、耐薬品性に優れたアクリルシートが得られるメタクリル酸メチルの塊状重合によるキャスティング法が好ましい。
重合触媒としては公知のラジカル熱重合開始剤が利用でき、例えば、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用量は混合物の総量に対して、一般的に0.01〜5質量%である。熱重合における加熱温度は、通常40〜200℃であり、重合時間は通常30分〜8時間程度である。又、熱重合以外に、光重合開始剤や増感剤を添加して光重合する方法も採用できる。
(3)の方法は、本発明のシアニン化合物をバインダー樹脂及び溶媒に溶解し塗料化する方法、該シアニン化合物を樹脂の存在下に微粒子化して分散し、水系塗料とする方法等がある。前者の方法では、例えば、脂肪族エステル樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル変性樹脂等、又は、それらの共重合樹脂を用いる事ができる。
該溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又は、それらの混合溶媒を用いることができる。該シアニン化合物の濃度は、作製するコーティングの厚み、吸収強度、可視光透過率によって異なるが、バインダー樹脂に対して一般的に0.1〜30質量%程度である。
このようにして得られた塗料を透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明ガラス等の上にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、スプレー等でコーティングして近赤外線吸収フィルタを得ることができる。
(4)の方法は、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、ポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の合わせガラス用の公知の透明接着剤に、本発明のシアニン化合物を0.1〜30質量%程度添加した樹脂を用い、透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着することにより光学フィルタを作製する。
尚、それぞれの方法で混練・混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等の樹脂成形に用いる通常の添加剤を加えてもよい。
本発明の光学フィルタ、特に近赤外線吸収用のフィルタは近赤外線吸収化合物として本発明のシアニン化合物のみを1種又は2種以上使用してもよいが、吸収波長域を広くするために、更にこれらの化合物以外の近赤外線吸収化合物を併用してもよい。併用し得る他の近赤外線吸収化合物としては、例えば、ジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ニッケルジチオール錯体等の金属錯体化合物が挙げられる。これらの併用し得る他の近赤外線吸収化合物がカチオン系である場合、対アニオンは本発明のシアニン化合物と同じトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンであってもよい。
他の近赤外線吸収化合物としては、特にジイモニウム系化合物が好ましく、更に、このジイモニウム系化合物の対アニオンがトリス(ハロゲノアルキルスルホニル)メチドアニオンであるものが好ましい。
又、併用しうる無機金属の近赤外線吸収化合物としては、例えば、金属銅又は硫化銅、酸化銅等の銅化合物、酸化亜鉛を主成分とする混合物、タングステン化合物、酸化チタンを主成分とする混合物等が挙げられる。
又、光学フィルタの色調を変えるために、本発明のシアニン化合物以外の可視領域に吸収を持つ色素を加えてもよい。又、画像特性改善用色素のみを含有するフィルタを作製し、後で本発明の近赤外線吸収用のフィルタと貼り合わせ、一枚の画像特性改善及び近赤外吸収フィルタを得ることもできる。
本発明の近赤外線吸収用の光学フィルタをプラズマディスプレイの前面板に用いる場合には、可視光の透過率は高いほどよく、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上の透過率が必要である。近赤外線のカット領域は好ましくは750〜1100nm、より好ましくは800〜1000nmであり、その領域の近赤外線の平均透過率が50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下になることが望ましい。
又、画像特性改善用としては、理想的な3原色の発光とは別のネオンの不要な光を吸収するために、波長580〜620nm付近にシャープな吸収をもつ化合物を使用することが好ましい。更に蛍光灯等の映りこみ等の対策としては490〜550nm、キセノンの発光を吸収するためには560〜580nmにシャープな吸収をもつ化合物を用いることで良好な画像特性改善用の光学フィルタが得られる。
近赤外線吸収用の本発明の光学フィルタは、ディスプレイの前面板に限らず、近赤外線をカットする必要があるフィルタフィルム、例えば、断熱フィルム、光学製品、サングラス等にも使用することが出来る。
本発明の光学フィルタはアンチモンや砒素を含有せず、環境に優しく、又、従来の過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン又はテトラフルオロホウ酸イオンを含有する近赤外線吸収フィルタに比べ、以下に示すように耐熱及び耐湿熱安定性に優れている。更に、溶媒への溶解度も十分であり加工性にも優れている。特に、本発明の光学フィルタは耐熱、耐湿熱、耐光性において非常に優れており、熱による分解反応を起こしにくいため、可視部の着色がほとんど起こらない光学フィルタである。この様な特徴から、プラズマディスプレイ用の近赤外線吸収フィルタとして好適であり、本発明の光学フィルタを使用するプラズマディスプレイパネルも本発明に含まれる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例中、部は特に限定しない限り質量部を、%は質量%をそれぞれ意味する。尚、実施例2は参考例1、実施例6は参考例2、実施例7は参考例3、実施例9〜16は参考例4〜11である。
実施例1
1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリン10.6部とオルトギ酸トリエチル14.8部、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸10.3部(3M社製)を無水酢酸75部中にて還流冷却下1時間加熱還流し、次いで室温まで冷却した後、この反応液を吸引濾過し不溶な不純物を除去した。この反応液に水100部を滴下し、沈殿した結晶を吸引濾過し、得られた結晶をメタノール40部で再結晶し、結晶をメタノール5部で洗浄し、水洗、乾燥して、前記化合物1を8.2部得た。ここで得られた化合物1の分光特性、分解温度及び溶解度は下記の通りであった。尚、分解温度としては、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)による減量開始温度の値を示した。
最大吸収波長 544nm(メタノール中)
モル吸光係数 140,000(メタノール中)
分解温度 約278℃(TG−DTA)
又、各種溶媒における室温での溶解性は下記の通りであった。
メタノール 1.3%
メチルエチルケトン(MEK) 12.2%
シクロペンタノン 6.1%
実施例2
5−クロロ−1−(2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリン15.7部と1,3,3−トリメチル−2−ホルミルメチレンインドリン10.6部、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸11.4部を無水酢酸50部と酢酸25部の混合溶媒中に仕込み、還流冷却下2時間加熱還流し、次いで室温まで冷却した後、水25部を加え、沈殿した結晶を吸引濾過し、得られた結晶をメタノール40部で再結晶し、結晶をメタノール5部で洗浄し、水洗、乾燥して、前記化合物9を18.3部得た。
ここで得られた化合物9の分光特性及び分解温度は下記の通りであった。
最大吸収波長 550nm(メタノール中)
モル吸光係数 137,000(メタノール中)
分解温度 約276℃(TG−DTA)
又、各種溶媒における室温での溶解性は下記の通りであった。
メタノール 2.2%
メチルエチルケトン(MEK) 6.3%
シクロペンタノン 3.3%
実施例3
4,5−ベンゾ−1−(2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリン14.9部、マロンアルデヒドジアニル塩酸塩6.5部、酢酸ナトリウム4.1部を酢酸50部中に仕込み、60℃迄加熱し、50℃〜60℃にて無水酢酸5.1部を1時間かけて滴下、更に50℃〜60℃にて2時間攪拌し縮合反応を完結させた。次いで室温まで冷却した後、この反応液を吸引濾過し不溶な不純物を除去した。この反応液にトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸11.4部を滴下し、沈殿した結晶を吸引濾過し、得られた結晶をメタノール40部で再結晶し、結晶をメタノール5部で洗浄し、水洗、乾燥して、前記化合物17を16.9部得た。ここで得られた化合物17の分光特性及び分解温度は下記の通りであった。
最大吸収波長 680nm(メタノール中)
モル吸光係数 220,000(メタノール中)
分解温度 約272℃(TG−DTA)
又、各種溶媒における室温での溶解性は下記の通りであった。
メタノール 0.2%
メチルエチルケトン(MEK) 6.4%
シクロペンタノン 2.4%
実施例4
4,5−ベンゾ−1−(2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリン14.9部、2−クロロ−1−ホルミル−3−ヒドロキシメチレンシクロヘキセン4.5部を酢酸25部中に仕込み、60℃迄加熱し、50℃〜60℃にて無水酢酸5.1部を1時間かけて滴下、更に50℃〜60℃にて2時間攪拌し縮合反応を完結させた。次いで室温まで冷却した後、この反応液を吸引濾過し不溶な不純物を除去した。この反応液にトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸11.4部を滴下し、沈殿した結晶を吸引濾過し、得られた結晶をN,N−ジメチルホルムアミド70部で再結晶し、結晶をメタノール5部で洗浄し、水洗、乾燥して、前記化合物31を19.1部得た。ここで得られた化合物31の分光特性及び分解温度は下記の通りであった。
最大吸収波長 820nm(メタノール中)
モル吸光係数 270,000(メタノール中)
分解温度 約234℃(TG−DTA)
又、各種溶媒における室温での溶解性は下記の通りであった。
メタノール 0.2%
メチルエチルケトン(MEK) 13.6%
シクロペンタノン 5.5%
シクロヘキサノン 7.1%
実施例5
実施例4における2−クロロ−1−ホルミル−3−ヒドロキシメチレンシクロヘキセン4.5部の換わりに2−クロロ−1−ホルミル−3−ヒドロキシメチレンシクロペンテン3.9部を用いて実施例4と同様にして前記化合物34を10.2部得た。ここで得られた化合物34の分光特性及び分解温度は下記の通りであった。
最大吸収波長 845nm(メタノール中)
モル吸光係数 285,000(メタノール中)
分解温度 約217℃(TG−DTA)
又、各種溶媒における室温での溶解性は下記の通りであった。
メタノール 0.1%
メチルエチルケトン(MEK) 1.1%
シクロペンタノン 2.6%
実施例6
実施例4における4,5−ベンゾ−1−(2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリン14.9部の換わりに1−(n−ブチル)ベンゾ[c,d]−2−メチレンインドリン12.1部を用いて実施例4と同様にして前記化合物38を9.2部得た。ここで得られた化合物38の分光特性は下記の通りであった。
最大吸収波長 1015nm(メタノール中)
モル吸光係数 180,000(メタノール中)
実施例7
実施例4における4,5−ベンゾ−1−(2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリン14.9部の換わりに1−(n−ブチル)ベンゾ[c,d]−2−メチレンインドリン12.1部を用い、2−クロロ−1−ホルミル−3−ヒドロキシメチレンシクロヘキセン4.5部の換わりに1−ホルミル−3−ヒドロキシメチレン−2−フェニルシクロペンテン5.1部を用いて実施例4と同様にして前記化合物40を8.2部得た。ここで得られた化合物40の分光特性は下記の通りであった。
最大吸収波長 1026nm(メタノール中)
モル吸光係数 230,000(メタノール中)
比較例1
実施例4におけるトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸の換わりにビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸を用いて実施例4と同様にして特許文献4に化合物例31として記載されている化合物を合成した。分光特性及び分解温度は下記の通りであった。
最大吸収波長 820nm(メタノール中)
モル吸光係数 270,000(メタノール中)
分解温度 約240℃(TG−DTA)
比較例2
実施例4におけるトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸の換わりにヘキサフルオロアンチモン酸カリウムを用いて実施例4と同様にして、特許文献3に開示されている化合物を合成した。分光特性及び分解温度は下記の通りであった。
最大吸収波長 820nm(メタノール中)
モル吸光係数 270,000(メタノール中)
分解温度 約240℃(TG−DTA)
溶解度
上記実施例4(化合物31)と比較例1及び比較例2の化合物の溶解度を表1に示す。
[表1]
試料 メタノール MEK DMF シクロヘキサノン
実施例4 0.2% 13.6% 10.6% 7.1%
比較例1 0.1%以下 2.9% 10.7% 5.5%
比較例2 0.1%以下 0.4% 1.3% 1.8%
表1より、本発明の化合物は、同じカチオン骨格でアニオンの異なる比較例の化合物と比べて、メチルエチルケトンをはじめ溶剤溶解性に非常に優れており、従って、加工性に優れた化合物である事が示された。
実施例8
テトラフルオロプロパノール4.5部に実施例4で得られた化合物31を0.5部溶解させた。この溶液を厚さ1.5mm、10cm四方のポリカーボネート板上に2000rpm×10秒でスピンコートし色素膜を形成し、赤外線吸収フィルタを作成した。
比較例3
特許文献4に記載された化合物である比較例1の化合物(特許文献3にて開示されたヘキサフルオロアンチモン酸塩よりも耐熱及び耐湿熱安定性が高い事が特許文献4に開示されている化合物)を用いて、実施例8と同様に赤外線フィルタを作成した。
耐熱安定性及び耐湿熱安定性試験
実施例8又は比較例3のフィルタをオーブン中にて80℃で7日間放置し、熱安定性試験を実施した。又、恒温恒湿庫中にて80℃、85RH(相対湿度%)にて7日間放置し、耐湿熱安定性試験を実施した。試験前後のフィルタを分光光度計(島津製作所製UV−3150)にて吸光度を測定し、最大吸収波長における吸光度(OD値)の変化から下記式にて色素の残存率を求めた。得られた耐熱安定性試験及び耐湿熱安定性試験の結果を表2−1及び2−2に示す。
残存率=(試験後の吸光度/試験前の吸光度)×100
[表2−1](耐熱安定性試験)
試料
吸光度(OD値) 初期 7日後 色素残存率
実施例8 0.562 0.015 2.7%
比較例3 0.608 0.000 0.0%
[表2−2](耐湿熱安定性試験)
化合物No.
吸光度(OD値) 初期 7日後 色素残存率
実施例8 0.562 0.458 81.5%
比較例3 0.608 0.386 63.5%
表2−1及び2−2より、本発明の化合物を用いて作成したフィルタは、特許文献4に記載された同じカチオン骨格でアニオンの異なる比較例の化合物を用いて作成したフィルタに比べて色素残存率が高いことから、高温条件下での安定性及び高温高湿条件下での安定性に優れていることが示された。
実施例9〜16
上記の実施例1乃至7の方法に準じて合成することにより、上記式(201)で表される化合物39、47、49、51、52、54、55及び56をそれぞれ得た。これらをそれぞれ実施例9から16とする。得られた各化合物の物性を、下記表3に示す。尚、最大吸収波長及びモル吸光係数はメタノール溶液中の値であり、分解温度はTG−DTAから得られた減量開始温度である。
比較例4
上記の化合物49におけるトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドアニオンを、ヨウ素原子のアニオンに代える以外は、上記の実施例1乃至7の方法に準じて、下記式(206)で表される比較用の化合物を得た。これを比較例4とする。得られた化合物の物性を、下記表3に示す。
Figure 0005665204
Figure 0005665204
表3から明らかな通り、上記式(201)で表される溶剤溶解性に優れる実施例9〜16の本発明の化合物のうち、900nm以上の波長に最大吸収を有するものでは、Qが形成する含窒素縮合複素環が、上記式(204)で表される化合物39、49及び56のMEKに対する溶剤溶解性は0.3〜0.6%である。これに対してQが形成する含窒素縮合複素環が上記式(202)又は(203)である化合物47及び51乃至56の溶剤溶解性は、同様に1.0〜1.7%であり、含窒素縮合複素環が上記式(204)である化合物に対して、溶剤溶解性が最小でも約1.7倍、最大では実に5.7倍も大きく、上記の通り溶解性が高く、より好ましい化合物であると言える。

Claims (10)

  1. 下記式(A)又は式(B)で表されるシアニン化合物。
    Figure 0005665204
    Figure 0005665204
    [式(A)及び式(B)におけるR及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシアルキル基であり、Rはハロゲン原子、炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基を示し、pは0又は1の整数を示す;式(A)及び式(B)における炭素数1〜5のアルキル基が有してもよい置換基は3〜6員環の飽和複素環基、アルコキシ基を有していてもよいフェニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基である;Dは下記式(8)〜式(12)のいずれかであり、Yは水素原子又は塩素原子を示し、*は結合部位を示す;Xはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンである。]
    Figure 0005665204
  2. Dが下記式(10)である請求項1に記載のシアニン化合物。
    Figure 0005665204
    [Yは水素原子、*は結合部位を示す]
  3. (A)及び式(B)におけるR及びRがそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、メトキシエチル基、n−ブトキシエチル基である請求項1に記載のシアニン化合物。
  4. (A)及び式(B)におけるRが塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、である請求項1に記載のシアニン化合物。
  5. (A)及び式(B)におけるpが0である請求項1に記載のシアニン化合物。
  6. メタノール中400nm〜1100nmの波長域に最大吸収を有する請求項1又は2に記載のシアニン化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシアニン化合物を用いた光吸収剤。
  8. 近赤外吸収用及び/又は画像特性改善用である請求項7に記載の光吸収剤。
  9. 請求項7又は8に記載の光吸収剤を用いた光学フィルタ。
  10. 請求項9に記載の光学フィルタを使用したプラズマディスプレイパネル。
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