JP5662953B2 - 接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボビンツールを用いて一対の金属板を接合する接合方法に関する。
従来、金属板の端面同士を摩擦攪拌接合するツールとしてボビンツールが知られている。ボビンツールは、一対のショルダとこのショルダの間に形成されたピンとを備えている。一対の金属板を接合する際には、金属板を移動不能に拘束した上で、金属板の一端側から高速回転させたボビンツールを挿入し、突き合せ部に沿ってピンを移動させる。これにより、端面同士の周囲の金属が摩擦攪拌されて金属板同士を接合することができる。ボビンツールによれば、金属板の裏面側にもショルダを備えているため、通常、金属板の裏側に配置する裏当部材を省略することができる。特に、中空形材の端部同士を接合する際には、裏当部材を設置する作業が煩雑になるため、作業手間を大幅に省略することができる。
特許第2712838号公報
従来の接合方法では、摩擦攪拌の摩擦熱によって金属板が膨張すると、突き合せ部に隙間が生じたり金属板が撓んで端面の高さ位置がずれたりする。このような隙間や位置ずれは接合欠陥が発生する原因となる。また、ショルダ間の距離が、金属板の厚さよりも大きいと、摩擦攪拌によって塑性流動化された金属がショルダの外部に溢れやすくなるため接合欠陥が発生しやすいという問題があった。
このような観点から、本発明は、ボビンツールを用いて一対の金属板を接合する際に、接合欠陥の発生を抑制し好適に接合することができる接合方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために本発明は、円筒状を呈する内部ホルダーの内部に挿通され前記内部ホルダーと一体的に回転するスライド軸と、円柱状を呈し、同等の外径からなる一対のショルダと前記ショルダの間に形成されたピンとを備えたボビンツールと、を有し、前記スライド軸に前記ボビンツールが連結されており、前記内部ホルダーに対して前記スライド軸が回転軸方向に移動可能になっている摩擦撹拌装置を用いて、一対の金属板を接合する接合方法であって、前記金属板の端面同士を突き合わせる突き合せ工程と、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に回転させた前記ボビンツールのピンを移動させて前記端面同士を摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、前記ショルダの外径をXとし、前記ピンの外径の外径をYとすると、次式を満たし、Y/(X−Y)>0.2・・・・(1)前記接合工程では、ショルダ間の距離を前記金属板の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記金属板が変形して前記端面の位置が前記ボビンツールの回転軸方向にずれた際に、前記ボビンツールそのずれに追従して回転軸方向に移動することを特徴とする。
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の摩擦熱によって金属板が変形しても、端面の位置ずれに追従してボビンツールが回転軸方向に移動するため、接合する位置がずれるのを防ぐことができる。また、ショルダ間の距離を金属板の厚さ以下に設定することで、摩擦攪拌して塑性流動化した金属がショルダの外部に溢れるのを防ぐことができる。これにより、接合欠陥の発生を抑制することができる。また、ピンが比較的太くなるため折れにくい。
また、前記端面同士の隙間を1.00mm以下に設定する場合、前記金属板の厚さと前記ショルダ間の距離とを、0.2mm≦{(金属板の厚さ)−(ショルダ間の距離)}≦0.8mmとなるように設定することが好ましい
かかる接合方法によれば、端面同士に隙間があっても接合欠陥の発生を抑制することができる。
また、本発明は、円筒状を呈する内部ホルダーの内部に挿通され前記内部ホルダーと一体的に回転するスライド軸と、一対のショルダと前記ショルダの間に形成されたピンとを備えたボビンツールと、を有し、前記スライド軸に前記ボビンツールが連結されており、前記内部ホルダーに対して前記スライド軸が回転軸方向に移動可能になっている摩擦撹拌装置を用いて、一対の金属板を接合する接合方法であって、前記金属板の端面同士を突き合わせる突き合せ工程と、前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に回転させた前記ボビンツールのピンを移動させて前記端面同士を摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、前記端面同士の隙間を1.00mmより大きく1.75mm以下に設定する場合、
前記金属板の厚さと前記ショルダ間の距離とを、0.4mm≦{(金属板の厚さ)−(ショルダ間の距離)}≦0.8mmとなるように設定し、前記ショルダの外径をXとし、前記ピンの外径の外径をYとすると、次式を満たし、Y /(X −Y )>0.2・・・・(1)前記接合工程では、ショルダ間の距離を前記金属板の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記金属板が変形して前記端面の位置が前記ボビンツールの回転軸方向にずれた際に、前記ボビンツールをそのずれに追従して回転軸方向に移動させることを特徴とする。
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌の摩擦熱によって金属板が変形しても、端面の位置ずれに追従してボビンツールが回転軸方向に移動するため、接合する位置がずれるのを防ぐことができる。また、ショルダ間の距離を金属板の厚さ以下に設定することで、摩擦攪拌して塑性流動化した金属がショルダの外部に溢れるのを防ぐことができる。これにより、接合欠陥の発生を抑制することができる。また、ピンが比較的太くなるため折れにくい。また、かかる接合方法によれば、端面同士に隙間があっても接合欠陥の発生を抑制することができる。
また、前記ショルダの外径を二乗した値を、前記ピンの外径を二乗した値で除した値が2.0より大きくなるように設定されていることが好ましい。かかる接合方法によれば、ピンの外径に対するショルダの外径を大きく確保できるため、ショルダ間で塑性流動化した金属を確実に押えることができる。これにより、接合欠陥の発生をより抑制することができる。ショルダの外径を二乗した値を、ピンの外径を二乗した値で除した値が2.0以下であると金属が溢れやすくなり接合欠陥が発生しやすい。
また、前記ピンの外径を二乗した値を、前記ピンの外径と前記ショルダ間の距離との積で除した値が1.2よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。この値が1.2以下になると、ピンが細くなるため抗折力が不足して折れやすくなるが、1.2よりも大きいとピンが比較的太くなるため折れにくい。
また、前記接合工程において、突き合わされた部分の前記金属板の厚さが異なる場合に、前記金属板の厚さが大きい方の前記金属板を前記ボビンツールの進行方向に対して左側に配置した場合には、前記ボビンツールを右回転させることが好ましい。
また、前記接合工程において、突き合わされた部分の前記金属板の厚さが異なる場合に、前記金属板の厚さが大きい方の前記金属板を前記ボビンツールの進行方向に対して右側に配置した場合には、前記ボビンツールを左回転させることが好ましい。
摩擦攪拌においては、回転ツールを右回転させた場合、ツールの進行方向左側(シアー側:回転ツールの回転速度に回転ツールの移動速度が加算される側)からツールの進行方向右側(フロー側:回転ツールの回転速度に回転ツールの移動速度が減算される側)に塑性流動化された金属が流れる傾向があるため、仮に、金属板同士の間に隙間がある場合には、シアー側の金属でその隙間が埋められると考えられる。したがって、金属板の厚さが小さい金属板をシアー側に配置すると、金属が不足して接合後の塑性化領域の中央部の厚さが小さくなる傾向がある。
しかし、金属板の端面同士の厚さが異なる場合は、金属板の厚さが大きい金属板をシアー側に配置することで金属不足を補うことができるため、より好適に接合することができる。
本発明に係る接合方法によれば、接合欠陥の発生を抑制し、好適に接合することができる。
本実施形態に係るボビンツールと中空形材を示す斜視図である。 金属部材の突き合せ状態を示す図であって(a)は突き合せ前、(b)は突き合せ後を示す。 本実施形態に係るボビンツールを示す一部透過斜視図である。 本実施形態に係るボビンツールを示す斜視図である。 本実施形態に係るボビンツールを示す側面図であって(a)は右回転用、(b)は左回転用を示す。 本実施形態に係る接合方法を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は(a)のI−I端面図である。 (a)は接合方法の第一変形例を示し、(b)は接合方法の第二変形例を示す。 第一実施例における試験体の組み合わせを示した表である。 第一実施例において、試験体H1の隙間と接合部の厚さとの関係を示したグラフである。 第一実施例において、試験体H3の隙間と接合部の厚さとの関係を示したグラフである。 第一実施例において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さ=Re側の厚さの場合を示す。 接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを変化させ、Re側の厚さを固定した場合を示す。 接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを固定し、Re側の厚さを変化させた場合を示す。 第一実施例において、(a)は隙間と中央部の厚さとの関係を示したグラフであり、(b)は隙間とAd部の厚さとの関係を示したグラフである。 第一実施例において、(a)は隙間とRe部の厚さとの関係を示したグラフであり、(b)は隙間と平均厚さとの関係を示したグラフである。 第二実施例において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さ=Re側の厚さの場合を示す。 第一実施例において、ショルダ間距離を5.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。 第二実施例において、ショルダ間距離を2.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。 ショルダ間距離を11.5mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る摩擦攪拌装置1は、突き合わされた一対の金属板の突き合せ部Nを摩擦攪拌接合する装置である。摩擦攪拌装置1の先端にはボビンツール5が装着されている。まずは、接合する一対の金属板の説明をする。説明における上下前後左右は図1の矢印に従う。
<中空形材>
図2の(a)に示すように、本実施形態では中空形材100Aと中空形材100Bとを接合する場合を例示する。中空形材100Aは、アルミニウム合金製の押出形材であって、断面視矩形の中空部100aを有する長尺部材である。中空形材100Aは、中空部100aを備えた本体部101と、本体部101の左側面の上下端からそれぞれ左側(中空形材100B側)に張り出した板状端部102,103とを有する。
本体部101は、4つの面材104,105,106,107で構成され、断面視矩形に形成されている。板状端部102,103は、板状を呈し面材105に対して垂直になっている。板状端部102,103の左右方向の長さは、面材104の半分程度になっている。また、板状端部102,103は、面材104,105,106,107と同等の厚さになっている。板状端部102,103は、特許請求の範囲の「金属板」に相当する部位である。
中空形材100Bは、中空形材100Aと同等の形状を呈する金属部材である。中空形材100Bは、中空形材100Aと同等の符号を付して詳細な説明は省略する。
中空形材100Aと中空形材100Bとを突き合わせる際には、中空形材100Aの板状端部102,103と中空形材100Bの102,103とをそれぞれ突き合わせる。より詳しくは、中空形材100Aの板状端部102の端面102aと中空形材100Bの板状端部102の端面102aとを突き合わせるとともに、中空形材100Aの板状端部103の端面103aと中空形材100Bの板状端部103の端面103aとをそれぞれ突き合わせる。図2の(b)に示すように、中空形材100Aと中空形材100Bとを突き合わせると、端面102a,102aの高さ方向の中心同士が重なるとともに、板状端部102,102の上面と下面とがそれぞれ面一になる。
図2の(b)に示すように、端面102a,102a、端面103a,103aがそれぞれ突き合わされた部分を「突き合せ部N」とする。突き合せ部Nを接合する際には、端面102a,102aが密接していることが好ましいが、中空形材100A,100Bの公差や、接合時における摩擦熱によって板状端部102,102が変形し、端面102a,102aとの間に微細な隙間が生じる場合がある。突き合せ部Nとは、端面102a,102aに微細な隙間が生じている場合も含む概念とする。
なお、本実施形態では接合する対象として中空形材の板状端部を例示しているが、接合する対象は、摩擦攪拌可能な金属で形成されており、板状を呈する部材であれば特に制限されるものではない。
<摩擦攪拌装置>
図3及び図4に示すように、摩擦攪拌装置1は、外部ホルダー2と、外部ホルダー2の内部に配設される内部ホルダー3と、内部ホルダー3内に挿通されるスライド軸4と、スライド軸4の先端に取り付けられたボビンツール5とを有する。
外部ホルダー2は、円筒状を呈する部材であって内側に内部ホルダー3を収容する。外部ホルダー2は、摩擦攪拌装置1のチャック部(図示省略)に固定される部位であって、摩擦攪拌装置1の回転駆動に伴って上下方向軸回りに回転する。図4に示すように、内部ホルダー3は、円筒状を呈する部材であって、その外周面には径方向に貫通する長孔3aが形成されている。内部ホルダー3は、外部ホルダー2に固定されることにより外部ホルダー2と一体的に回転する。
スライド軸4は、内部ホルダー3の内部に挿通される軸部材である。スライド軸4の側面には、外側に向けて突出する突部4aが形成されている。突部4aと内部ホルダー3の長孔3aとが係合することで、内部ホルダー3とスライド軸4とが一体的に回転する。スライド軸4は、内部ホルダー3に対して長孔3aの範囲内において、上下方向に移動可能になっている。
ボビンツール5は、例えば工具鋼で形成されておりスライド軸4に連結されている。ボビンツール5は、スライド軸4の回転に伴って上下方向軸周りに正逆回転する。ボビンツール5は、第一ショルダ11と、第一ショルダ11の下方に間をあけて配設された第二ショルダ12と、第一ショルダ11と第二ショルダ12とを連結するピン13とを有する。
図5の(a)に示すように、第一ショルダ11及び第二ショルダ12は、円柱状を呈し、同等の外径を備えている。ピン13は、円柱状を呈し、第一ショルダ11と第二ショルダ12とを連結する。第二ショルダ12の下端は、第二ショルダ12を貫通したピン13がナットで締結されている。ピン13の外周面には、上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bとが刻設されている。上部螺旋溝13a及び下部螺旋溝13bの溝の向きはそれぞれ反対方向に巻回されるように刻設されている。
上部螺旋溝13aは、第一ショルダ11の下端からピン13の高さ方向の中間位置まで刻設されている。本実施形態ではボビンツール5を右回転させるため、上部螺旋溝13aは右ねじで形成されている。つまり、上部螺旋溝13aは、上から下に向けて右回りに巻回されるように刻設されている。
一方、下部螺旋溝13bは、第二ショルダ12の上端からピン13の高さ方向の中間位置まで刻設されている。本実施形態ではボビンツール5を右回転させるため、下部螺旋溝13bは左ねじで形成されている。つまり、下部螺旋溝13bは、上から下に向けて左回りに巻回されるように刻設されている。上部螺旋溝13a及び下部螺旋溝13bをこのように形成することで、摩擦攪拌されて塑性流動化した金属が、板状端部102の高さの中央部分から上端方向又は下端方向に向かって若干移動するようになっている。なお、これら上下方向への金属の移動は、ボビンツール5のピン13の回転による周方向での金属の移動に比べて微量に止まるものである。
ちなみに、図5の(b)に示すボビンツール5Aは、ボビンツール5Aを左回転させる場合に用いるツールである。ボビンツール5Aの上部螺旋溝13dと下部螺旋溝13eは、前記した右回転用のボビンツール5と螺旋溝の巻き方向が異なる。ボビンツール5Aの上部螺旋溝13dは、左ねじで形成されている。つまり、ボビンツール5Aの上部螺旋溝13dは、上から下に向けて左回りに巻回されるように刻設されている。一方、ボビンツール5Aの下部螺旋溝13eは、右ねじで形成されている。つまり、ボビンツール5Aの下部螺旋溝13eは、上から下に向けて右回りに巻回されるように刻設されている。
図5の(a)に示すように、ボビンツール5のショルダ間距離Z(ピン13の長さ)は、中空形材100Aの板状端部102の厚さTと同等か、それよりも小さくなっていることが好ましい。例えば、本実施形態では、ショルダ間距離Zは、中空形材100Aの板状端部102の厚さTよりも0.2mm小さくなっている。
なお、突き合せ部N(図2の(b)参照)の端面102a,102aの隙間を0.75mm以下に設定できる場合、板状端部102の厚さTとショルダ間距離Zとを同等、つまり、T−Z=0と設定しても接合状態を良好にすることができる。
また、突き合せ部Nの端面102a,102aの隙間を1.00mm以下に設定できる場合、板状端部102の厚さTとショルダ間距離Zとを、0.2mm≦T−Z≦0.8mmとなるように設定することが好ましい。
また、突き合せ部Nの端面102a,102aの隙間を1.00より大きく、1.75mm以下に設定できる場合、板状端部102の厚さTとショルダ間距離Zとを、0.4mm≦T−Z≦0.8mmとなるように設定することが好ましい。
また、ボビンツール5は、第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外径Xを二乗した値をピン13の外径Yを二乗した値で除した値が2.0より大きくなるように設定することが好ましい。かかるボビンツール5によれば、バリとして排出される材料の量を第一ショルダ11及び第二ショルダ12によって抑制できるため、接合欠陥の発生を低減することができる。
また、ボビンツール5は、ピン13の外径Yを二乗した値を、第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外径Xを二乗した値からピン13の外径Yを二乗した値を引いた値で除した値が0.2よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。かかるボビンツール5によれば、接合時にツール軸方向に発生する材料抵抗に対するピンの抗張力は十分であるため、ピン13の破損を防ぐことができる。
また、ボビンツール5は、ピン13の外径Yを二乗した値をピン13の外径Yとショルダ間距離Zとの積で除した値が1.2よりも大きくなるように設定することが好ましい。かかるボビンツール5によれば、接合時にツール進行方向とは逆向きに流れる材料抵抗に対するピンの抗折力は十分であるため、ピン13の破損を防ぐことができる。これらの根拠については実施例で記載する。
ここで、摩擦攪拌接合を行うと、摩擦熱によって板状端部102,102の温度が上昇し、板状端部102,102が上方又は下方に反ってしまう場合がある。ボビンツール5の回転軸方向の位置が不動で、かつ、板状端部102が反った状態で摩擦攪拌接合を続行すると、ピン13の中心13c(図6の(a)参照)と突き合せ部Nの中心Ncの高さ位置がずれてしまう。接合位置がずれると接合欠陥が発生する可能性が高くなるので、是正する必要がある。
そこで、本実施形態に係る摩擦攪拌装置1は、スライド軸4が内部ホルダー3内を移動可能に形成されているため、板状端部102が例えば上方に反った際に、その反りに追従してボビンツール5が所定の距離だけ上方に移動するように構成されている。一方、摩擦攪拌装置1は、板状端部102が例えば下方に反った際に、その反りに追従してボビンツール5が所定の距離だけ下方に移動するように構成されている。つまり、板状端部102が反ったとしても、その反りに応じてボビンツール5(ピン13)が板状端部102の反りに追従して移動することにより、ピン13の中心13cと突き合せ部Nの中心Ncの高さ位置がずれるのを抑制できるようになっている。
次に、本発明の接合方法について説明する。
本発明に係る接合方法では、中空形材同士を突き合わせる突き合せ工程と、突き合せ部Nにボビンツール5を挿入する接合工程と、を行う。
突き合せ工程では、図2に示すように、中空形材100Aと中空形材100Bとを板状端部102同士で対向させ、端面102a,102a同士及び端面103a,103a同士を面接触させる。より詳しくは、一方の端面102aの中点と、他方の端面102aの中点とが重なるように面接触させる。なお、突き合わせた後は、中空形材100A,100Bが離間しないように、突き合せ部Nに沿って溶接などで仮付けを行ってもよい。中空形材100Aと中空形材100Bとを突き合わせたら、両者を移動不能に拘束する。
接合工程では、突き合せ部Nの外部において、ピン13の中心13cが、突き合せ部Nの中心Ncと重なるように位置させる。そして、図6の(a)に示すように、右回転させたボビンツール5を突き合せ部Nに沿って移動させる。
ボビンツール5が突き合せ部Nに挿入されると、高速回転するピン13によってピン13の周囲の金属が摩擦攪拌され、ピン13の軌跡には塑性化領域Wが形成される。図6の(a)に示すように、ボビンツール5によって形成された塑性化領域Wは、前記したように上部螺旋溝13aと下部螺旋溝13bの螺旋溝の巻回方向が異なるため、塑性流動した金属が突き合せ部Nの中心Ncから板状端部102の各表面側に向かって移動するようになる。これにより、図6の(a)及び(b)に示すように、塑性化領域Wは、中心Nc方向に向けて凸となる円弧状であって、金属の縞模様が上下に略対称となるように形成される。
以上説明した本実施形態に係る接合方法によれば、摩擦攪拌接合の摩擦熱によって板状端部(金属板)102,102が反ったとしても、その反りに追従してボビンツール5が上下方向に移動可能になっている。これにより、ピン13の中心13cと突き合せ部Nの中心Ncとの高さ位置がずれるのを抑制できる。よって、接合位置がずれるのを防ぐことができる。また、本実施形態のように、ボビンツール5のショルダ間距離Zを板状端部102の厚さT以下に設定することで、塑性流動化した金属を押えることができ、摩擦攪拌によって塑性流動化した金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12の外部に溢れるのを防ぐことができる。これにより、接合欠陥の発生を抑制することができる。
<第一変形例>
第一変形例では、図7の(a)に示すように、板状端部102Aと板状端部102Bとの厚さが異なる点で前記した実施形態と相違する。板状端部102Bの厚さT1は、板状端部102Aの厚さT2よりも大きくなっている。第一変形例では、板状端部102Aの高さ方向の中点と、板状端部102Bの高さ方向の中点とが重なるように突き合わされている。
第一変形例に係る接合工程では、ボビンツール5を右回転させて、板状端部102Bの突き合せ部Nの厚さが大きい方の板状端部102B(金属板)を進行方向に対して左側に配置する。
摩擦攪拌においては、回転ツールを右回転させた場合、ツールの進行方向左側(シアー側:回転ツールの回転速度に回転ツールの移動速度が加算される側)からツールの進行方向右側(フロー側:回転ツールの回転速度に回転ツールの移動速度が減算される側)に塑性流動化された金属が流れる傾向があるため、仮に、金属板同士の間に隙間がある場合には、シアー側の金属でその隙間が埋められると考えられる。したがって、シアー側の金属板の厚さが小さいと、金属が不足して接合後の塑性化領域の中央部の厚さが小さくなる傾向がある。ちなみに、回転ツールを左回転させた場合、ツールの進行方向右側がシアー側、左側がフロー側となる。
第一変形例では、シアー側にあたる板状端部102Bの厚さT1を板状端部102Aの厚さT2よりも大きくすることで、塑性化領域Wの中央部の金属の不足を解消してより好適に接合することができる。
<第二変形例>
第二変形例では、図7の(b)に示すように、板状端部102Cと板状端部102Dとの厚さが異なる点で前記した実施形態と相違する。板状端部102Cの厚さT1は、板状端部102Dの厚さT2よりも大きくなっている。第二変形例では、板状端部102Cの高さ方向の中点と、板状端部102Dの高さ方向の中点とが重なるように突き合わされている。
第二変形例に係る接合工程では、ボビンツール5を左回転させて、板状端部102Cの突き合せ部Nの厚さが大きい方の板状端部102C(金属板)を進行方向に対して右側に配置する。
第二変形例では、第一変形例と同様の原理により、シアー側にあたる板状端部102Cの厚さT1を板状端部102Dの厚さT2よりも大きくすることで、塑性化領域Wの中央部の金属の不足を解消してより好適に接合することができる。
<実施例1:基本厚さ6.0mmの試験>
摩擦攪拌接合される金属板(板状端部)の厚さと金属板同士の隙間との関係を調査するための試験を行った。摩擦攪拌接合される一対の金属板の試験体(A6063−T5材)については、基本厚さを6.0mmとし、図8に示すとおり試験体H1〜H19まで用意した。「Ad側」とは、ボビンツールの回転方向と進行方向が一致する側=右回転の場合進行方向左側、を意味する。「Re側」とは、ボビンツールの回転方向と進行方向が相違する側=右回転の場合進行方向右側を意味する。
試験体H1〜H7は、金属板の厚さがAd側とRe側が同一の場合においてその厚さを変化させている。試験体H8〜H13は、Ad側の金属板を6.0mmに固定し、Re側の金属板の厚さを変化させている。試験体H14〜H19は、Re側の金属板を6.0mmに固定し、Re側の金属板の厚さを変化させている。
金属板同士の隙間は0〜2.0mmまで0.25mmずつ変化させた。試験に使用したボビンツールは、ショルダ外径20mm、ピン外径12mm、ショルダ間距離5.8mmに設定した。ボビンツールの回転数は800rpm、移動速度は600/min、回転方向は右回転に設定した。また、このボビンツールは、実施形態で記載したように、金属板の反りに追従してボビンツールの高さ位置が変化する形態である。摩擦攪拌接合後、X線透過試験と断面ミクロ組織から品質を判定した。
図9は、第一実施例において、試験体H1の隙間と接合部の厚さとの関係を示したグラフである。図10は、第一実施例において、試験体H3の隙間と接合部の厚さとの関係を示したグラフである。第一実施例の接合部とは、実施形態における塑性化領域Wと同義である。また、第一実施例の接合部の「Ad部」、「中央部」、「Re部」とは、図6の(b)に示すように、接合部(塑性化領域W)のAd側、中央、Re側における厚さ(厚さ寸法)を示している。
図9に示すように、金属板の厚さを6.0mm同士に設定して接合した場合、隙間0.75mm未満ではAd部、中央部、Re部ともに厚さの減少は小さいが、隙間0.75以上では隙間が増加するに従いAd部、中央部、Re部の厚さが減少した。隙間が1.2mmを超えると接合部の厚さは5.8mm未満になり接合欠陥が発生した。
図10に示すように、金属板の厚さが6.4mm同士に設定して接合した場合、隙間0.75mm未満ではAd部、中央部、Re部ともに厚さの減少は小さかった。隙間0.75〜1.75までは、Ad部、中央部、Re部ともに厚さの減少はするが、接合欠陥は発生しなかった。隙間2.0となると著しく接合部の厚さが減少し接合欠陥が発生した。
図9及び図10からは、接合部の中央部の厚さが5.8mm以下になると接合欠陥が発生することがわかった。つまり、金属板同士の間に隙間があっても、塑性流動によって金属が供給されて、接合部の中央部の厚さが、ショルダ間距離と同等の5.8mm未満にならなければ健全に接合されることがわかった。以上のことから、接合部の厚さがショルダ間距離以上となるように接合条件を設定する必要がある。
図11は、第一実施例において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さ=Re側の厚さの場合を示す。図中、「○」は接合状況が良好、「×」は接合状況が不良である場合を示す。
図11によれば、隙間が大きくなったとしても、金属板の厚さが大きくなれば、接合状況が良好になる場合があることがわかった。ただし、金属板の厚さとショルダ間距離との差が0.8mmを越える(本実施例では金属板の厚さを6.6mmより大きくする)と、ショルダ間に発生する内圧が大きくなり、ツール寿命が著しく低下することがわかった。
また、図11によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が0〜0.75mm以下である場合、金属板の厚さが5.8〜6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0≦T−Z≦0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。
T−Zの値が0よりも小さくなる、つまり、板状端部102の厚さTよりもショルダ間距離Zが大きくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部(塑性化領域W)の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。金属板同士の隙間が0〜0.75mm以下であると、摩擦攪拌接合の摩擦熱によって金属板の温度が上昇し、金属板が膨張することによって隙間が無くなるため、接合状況が概ね良好であると考えられる。
また、図11によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が0〜1.0mm以下である場合、金属板の厚さが6.0〜6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.2≦T−Z≦0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.2mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
また、図11によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が1.0mmより大きく1.75mm以下である場合、金属板の厚さが6.2mm〜6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.4≦T−Z≦0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.4mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
また、図11によれば、ショルダ間距離5.8mmであり、金属板同士の隙間が1.75mmより大きく2.00mm以下である場合、金属板の厚さが6.6mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離ZとをT−Z=0.8mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.8mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
図12は、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを変化させ、Re側の厚さを固定した場合を示す。図13は、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側の厚さを固定し、Re側の厚さを変化させた場合を示す。
図12に係る試験ではRe側の厚さを6.0mmに固定し、Ad側の厚さを適宜変化させて摩擦攪拌接合を行った。図13に係る試験ではAd側の厚さを6.0mmに固定し、Re側の厚さを適宜変化させて摩擦攪拌接合を行った。つまり、図12及び図13に係る試験では、突き合わせる金属板の左右の厚さを変化させつつ、隙間ごとの接合品質について観察した。
図12及び図13を対比すると、図12の方が良好である条件が多い。言い換えると、図12に示すように、Re側の金属板を6.0mmに固定し、Ad側の金属板を6.2mm以上に変化させた場合に接合状況が良好になる場合が多い。これは、第一実施例ではボビンツールを右回転させているため、塑性流動化した金属は、進行方向左側(Ad側)から右側(Re側)に移動しやすくなり、金属板同士の間に隙間がある場合には、Ad側の金属でその隙間が埋められると考えられる。したがって、図13の条件のように、進行方向左側の金属板の厚さが進行方向右側の金属板の厚さよりも小さいと、接合部の中央の金属が不足して接合不良となる可能性が高い。しかし、図12の条件のように、進行方向左側の金属板の厚さが進行方向右側の金属板の厚さよりも大きいと、接合部の中央の金属不足を補うことができるため、接合状態を良好にすることができる。
このことは、図14,15のグラフからも確認できる。プロット点「◆」は、試験体H4(Ad側の厚さ=6.6mm、Re側の厚さ=6.6mm)を示している。プロット点「■」は試験体H10(Ad側の厚さ=6.0mm、Re側の厚さ=6.6mm)を示し、プロット点「●」は試験体H16(Ad側の厚さ=6.6mm、Re側の厚さ=6.0mm)を示している。
図14の(a)に示すように、接合部の中央部の厚さにおいては、試験体H4,H16,H10の順に小さくなるころがわかる。つまり、Ad側の金属板がRe側よりも薄いと、接合部の中央部の厚さが小さくなることがわかった。
図14の(b)に示すように、接合部のAd部の厚さにおいては、試験体H4,H10,H16とも5.8mm前後になっており、接合前の厚さよりも減少していることがわかった。特に、試験体H4,H16を見ると厚さがかなり減少していることがわかった。
図15の(a)に示すように、接合部のRe部の厚さにおいては、試験体H10,H16の厚さはさほど相違ないが、H4の厚さは総じて大きいことがわかった。また、図14の(b)と図15の(a)を全体的に対比すると、Ad部よりもRe部の厚さの方が総じて大きいことがわかった。
図15の(b)に示すように、接合部の平均厚さは、試験体H10,H16,H4の順に大きくなることがわかった。
図14,15に示すように、試験体H4,H16によれば、試験体H10よりも中央部の厚さを大きくすることができる。ただし、試験体H4によると、接合部の厚さを大きくすることができるが、その分ショルダ間の内圧が大きくなってツールの寿命が低下する可能性が高い。したがって、試験体H16のように、Re側よりもAd側の金属板の厚さを大きくなるように設定することにより、ショルダ間の内圧を低下させつつ、接合部の中央部の厚さを大きくすることができる。
<実施例2:基本厚さ3.0mmの試験>
摩擦攪拌接合される金属板(板状端部)の厚さと金属板同士の隙間との関係を調査するための試験を行った。金属板同士の隙間は0〜2.0mmまで0.25mmずつ変化させた。試験に使用したボビンツールは、ショルダ外径10mm、ピン外径6mm、ショルダ間距離2.8mmに設定した。ボビンツールの回転数は2000rpm、移動速度は1000mm/min、回転方向は右回転に設定した。また、このボビンツールは、実施形態で記載したように、金属板の反りに追従してボビンツールの高さ位置が変化する形態である。摩擦攪拌接合後、X線透過試験と断面ミクロ組織から品質を判定した。
摩擦攪拌接合される金属板の試験体(A6063−T5材)については、Ad側とRe側の金属板の厚さを同等とし、3.0mm、3.2mm、3.4mmで試験体を作成した。
図16は、第二実施例において、接合品質に及ぼす金属板の厚さと隙間の関係を示す表であって、Ad側=Re側の場合を示す。図中、「○」は接合状況が良好、「×」は接合状況が不良である場合を示す。
図16によれば、隙間が大きくなったとしても、ショルダ間距離Zに対する金属板の厚さが大きくなれば、接合状況が良好になる場合があることがわかった。ただし、金属板の厚さとショルダ間距離Zとの差が0.6mmを越える(本実施例では金属板の厚さを3.4mmより大きくする)と、ショルダ間に発生する内圧が大きくなり、ツール寿命が著しく低下することがわかった。
また、図16によれば、ショルダ間距離Zが2.8mmであり、金属板同士の隙間が0.75mm以下である場合、金属板の厚さが3.0mm〜3.4mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.2≦T−Z≦0.6mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.2mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。金属板同士の隙間が0.75mm以下であると、摩擦攪拌接合の摩擦熱によって金属板の温度が上昇し、金属板が膨張することによって隙間が無くなるため、接合状況が概ね良好であると考えられる。
また、図16によれば、ショルダ間距離2.8mmであり、金属板同士の隙間が0.75mmより大きく1.50mm以下である場合、金属板の厚さが3.2〜3.4mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離Zとを0.4≦T−Z≦0.6mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。T−Zの値が0.4mmよりも小さくなると、塑性流動化された金属が第一ショルダ11及び第二ショルダ12から溢れやすくなるため、接合部の密度が低下する。これにより接合欠陥が生じる可能性が高くなる。
また、図16によれば、ショルダ間距離2.8mmであり、金属板同士の隙間が1.50mmより大きく1.75mm以下である場合、金属板の厚さが3.4mmであれば接合状況は良好であることがわかった。つまり、金属板の厚さTとショルダ間距離ZとをT−Z=0.6mmとなるように設定すれば接合状況は良好であることがわかった。
また、図16によれば、隙間が2.0mmであると、金属板の厚さを3.4mmとしても接合不良になることがわかった。
<ツール形状>
図17は、第一実施例において、ショルダ間距離を5.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。図18は、第二実施例において、ショルダ間距離を2.8mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。図19は、ショルダ間距離を11.5mmに固定した場合の各ボビンツールの寸法と接合状況を示した表である。図17,18,19には、抗張力/材料抵抗、抗折力/材料抵抗、材料保持傾向を示した。
抗張力/材料抵抗は、Y/(X−Y)で表される。つまり、第一ショルダ11の下面及び第二ショルダ12の上面は、摩擦攪拌の際に塑性流動化された金属によって押圧さるため、ピン13には引張応力が作用する。そこで、抗張力/材料抵抗は、ピン13の外径Yを二乗した値を、第一ショルダ11の下面の面積(第二ショルダ12の上面)で除した値で表される。
抗折力/材料抵抗は、Y/YZで表される。つまり、ボビンツール5が突き合せ部Nを移動する際には、ピン13の軸方向に対して垂直方向の力が作用する。そこで、抗折力/材料抵抗は、ピン13の外径Yを二乗した値を、ピン13の軸を含む断面の断面積で除した値で表される。
材料保持傾向は、X/Yで表される。つまり、摩擦攪拌の際に塑性流動化された金属は第一ショルダ11の下面及び第二ショルダ12の上面によって保持される。そこで、材料保持傾向は、第一ショルダ11(第二ショルダ12)の外径Xを二乗した値を、ピン13の外径Yを二乗した値で除して表される。
図17,18,19を勘案すると、材料保持傾向(X/Y)が2.0以下であると接合欠陥が発生し易く、2.0よりも大きくなると接合欠陥が発生しないことがわかった。材料保持傾向(X/Y)が2.0以下であると、第一ショルダ11(第二ショルダ12)の外径Xに対するピン13の外径Yが太いため、金属を押えるショルダの面積が小さくなり、摩擦攪拌された金属を十分に押えることができず、金属がバリとなってショルダの外部から溢れ出てしまうためであると考えられる。一方、材料保持傾向(X/Y)が2.0より大きいと、ピン13の外径Yに対して、第一ショルダ11(第二ショルダ12)の外径Xが大きいため、塑性流動化した金属を両ショルダで十分に押えることができる。これにより、接合欠陥が発生しにくいと考えられる。
また、図17,18,19を勘案すると、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2以下であるとピンが破損し易いことがわかった。これは、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2以下であると、ショルダ外径Xに対するピン外径Yが小さくなるため、接合時にツール軸方向に発生する材料抵抗に対するピンの抗張力が不十分となり、ピン13が折れ易くなると考えられる。抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2より大きいと、ショルダ外径Xに対するピン外径Yが大きくなるため、ピン13が折れにくくなると考えられる。
また、図17,18,19を勘案すると、抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2以下であるとピン13が破損し易いことがわかった。これは、抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2以下であると、ショルダ間距離(ピンの長さ)Zに対するピン外径Yが小さくなるため、接合時にツール進行方向とは逆向きに流れる材料の抵抗に対するピンの抗折力が不十分となり、ピン13が折れ易くなると考えられる。抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2より大きいと、ショルダ間距離(ピンの長さ)Zに対するピン外径Yが大きくなるため、ピン13が折れにくくなると考えられる。
また、図17,18,19を勘案すると、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2以下であるか、又は抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2以下である場合、ピンの破損が起こった。しかしながら、抗張力/材料抵抗(Y/(X−Y))が0.2より大きく、かつ、抗折力/材料抵抗(Y/YZ)が1.2より大きい場合、ピンの破損は起こらなかった。よって、接合時のボビンツールのピンの破損を防止するためには、ショルダ外径X、ピン外径Y及びショルダ間距離(ピンの長さ)Zについて、以下の式(1)、(2)の両方を満たすようにボビンルーツの形状を設計することが好ましいと結論づけられる。
/(X−Y)>0.2・・・・(1)
/YZ>1.2・・・・・・・・(2)
1 摩擦攪拌装置
2 外部ホルダー
3 内部ホルダー
4 スライド軸
5 ボビンツール
11 第一ショルダ
12 第二ショルダ
13 ピン
13a 上部螺旋溝
13b 下部螺旋溝
100A中空形材
100B中空形材
N 突き合せ部
T 金属板の厚さ
W 塑性化領域(接合部)
X ショルダの外径
Y ピンの外径
Z ショルダ間距離(ピンの長さ)

Claims (6)

  1. 円筒状を呈する内部ホルダーの内部に挿通され前記内部ホルダーと一体的に回転するスライド軸と、円柱状を呈し、同等の外径からなる一対のショルダと前記ショルダの間に形成されたピンとを備えたボビンツールと、を有し、前記スライド軸に前記ボビンツールが連結されており、前記内部ホルダーに対して前記スライド軸が回転軸方向に移動可能になっている摩擦撹拌装置を用いて、
    一対の金属板を接合する接合方法であって、
    前記金属板の端面同士を突き合わせる突き合せ工程と、
    前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に回転させた前記ボビンツールのピンを移動させて前記端面同士を摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、
    前記ショルダの外径をXとし、前記ピンの外径の外径をYとすると、次式を満たし、
    /(X−Y)>0.2・・・・(1)
    前記接合工程では、ショルダ間の距離を前記金属板の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記金属板が変形して前記端面の位置が前記ボビンツールの回転軸方向にずれた際に、前記ボビンツールそのずれに追従して回転軸方向に移動ることを特徴とする接合方法。
  2. 前記端面同士の隙間を1.00mm以下に設定する場合、
    前記金属板の厚さと前記ショルダ間の距離とを、0.2mm≦{(金属板の厚さ)−(ショルダ間の距離)}≦0.8mmとなるように設定することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
  3. 円筒状を呈する内部ホルダーの内部に挿通され前記内部ホルダーと一体的に回転するスライド軸と、一対のショルダと前記ショルダの間に形成されたピンとを備えたボビンツールと、を有し、前記スライド軸に前記ボビンツールが連結されており、前記内部ホルダーに対して前記スライド軸が回転軸方向に移動可能になっている摩擦撹拌装置を用いて、
    一対の金属板を接合する接合方法であって、
    前記金属板の端面同士を突き合わせる突き合せ工程と、
    前記端面同士を突き合せて形成された突き合せ部に回転させた前記ボビンツールのピンを移動させて前記端面同士を摩擦攪拌接合する接合工程と、を含み、
    前記端面同士の隙間を1.00mmより大きく1.75mm以下に設定する場合、
    前記金属板の厚さと前記ショルダ間の距離とを、0.4mm≦{(金属板の厚さ)−(ショルダ間の距離)}≦0.8mmとなるように設定し、
    前記ショルダの外径をXとし、前記ピンの外径の外径をYとすると、次式を満たし、
    /(X −Y )>0.2・・・・(1)
    前記接合工程では、ショルダ間の距離を前記金属板の厚さ以下に設定しておき、摩擦攪拌によって前記金属板が変形して前記端面の位置が前記ボビンツールの回転軸方向にずれた際に、前記ボビンツールをそのずれに追従して回転軸方向に移動させることを特徴とする接合方法。
  4. 前記ショルダの外径を二乗した値を、前記ピンの外径を二乗した値で除した値が2.0より大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の接合方法。
  5. 前記接合工程において、突き合わされた部分の前記金属板の厚さが異なる場合に、前記金属板の厚さが大きい方の前記金属板を前記ボビンツールの進行方向に対して左側に配置した場合には、前記ボビンツールを右回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の接合方法。
  6. 前記接合工程において、突き合わされた部分の前記金属板の厚さが異なる場合に、前記金属板の厚さが大きい方の前記金属板を前記ボビンツールの進行方向に対して右側に配置した場合には、前記ボビンツールを左回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の接合方法。
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