JP5662002B2 - 液晶表示装置用反射フィルム - Google Patents
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Description
5〜100%の露出率で塗布層表面から露出している透明粒子が50〜100%の被覆率で白色フィルムの表面を被覆していることを特徴とする、バックライト方式液晶表示装置用反射フィルムである。
本発明における白色フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、白色の着色剤またはボイド形成物質を熱可塑性樹脂の中に含有させることによって白色を呈するようにしたフィルムである。着色剤またはボイド形成物質としては、例えば無機粒子、有機粒子を用いることができる。
白色フィルムの光線反射率は、波長550nmにおける反射率として、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。
白色フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いる。このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を挙げることができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールを挙げることができる。
白色反射層の着色剤またはボイド形成物質として無機粒子を用いる場合、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。
塗布層は、有機蛍光体を含有するバインダー組成物90〜10重量部および透明粒子10〜90重量部からなる。透明粒子が10重量部未満であると十分な集光効果が得られず、90重量部を超えると透明粒子が白色フィルムの表面から脱落する。
本発明において塗布層は有機蛍光体を含有する。さらに詳しくいうと、塗布層を構成するバインダー組成物は、塗布層の全重量100重量%を基準にして0.5〜5重量%の有機蛍光体を含有する。有機蛍光体が0.5重量%未満であると輝度を向上する効果を得ることができない。他方、5重量%を超えると有機蛍光体による着色が顕著になり、液晶表示装置の反射フィルムとして用いたときに正確な色再現ができない。なお、塗布層の全重量は透明粒子とバインダー組成物を含めた重量である。
バインダー組成物のバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、これらの共重合体やブレンド物を用いることができる。
バインダー組成物は、上述のバインダーの他に、さらに架橋剤を含有してもよい。架橋剤として、例えばイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系の架橋剤を用いることができ、これらは架橋されていてもよい。
本発明における有機蛍光体は、400〜450nmの波長の光で励起し500〜600nmの波長の光を発光する蛍光体であることが好ましい。これは、本発明における蛍光体の励起波長が400〜450nmの帯域にあり、かつその発光波長が500〜600nmにあることを意味する。励起波長がこの範囲あることによって、液晶表示装置のバックライトユニットの反射フィルムとして用いたときに、蛍光体による着色が実質的になく、かつ一層高い反射率を示す反射フィルムを得ることができる。
本発明の液晶表示装置用反射フィルムにおいては、透明粒子が塗布層に含有される。この透明粒子は白色フィルム表面を被覆していることが好ましく、後に定義する被覆率で、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは60〜100%、さらに好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%の被覆率で白色フィルム表面を被覆している。被覆率がこの範囲であることによって、液晶表示装置において反射フィルムの直上に配置される光源に返る反射光を少なくすることができ、特に高い輝度を得ることできる。
被覆率
=(6mm−(透明粒子に被覆されていない部分の積算長さ))/6mm×100(%)
露出率=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における透明粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
塗膜は、上述のバインダーの他に、さらにイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系の架橋剤を配合して架橋されていてもよい。
以下、本発明の液晶表示装置用反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。この例では、白色フィルムとして白色反射層と支持層から構成される積層フィルムである白色フィルムを用いる。
ダイより押出された積層未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、積層未延伸フィルムとなる。この積層未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して積層縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸は、ポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度で行うことが好ましい。延伸倍率は、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO4白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を光線反射率とした。
液晶表示装置に反射板として用いたときの表示装置の輝度を評価した。ソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL−32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、かわり評価対象のフィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。相対輝度は、透明粒子の塗布層を設けていない比較例1の反射フィルムの輝度を基準として算出した、輝度の相対値である。
相対輝度=(反射フィルムの輝度)/(比較例1の反射フィルムの輝度)×100(%)
バックライトにフィルムを組み込み測定、評価した。使用したバックライトは、評価用に用意した液晶テレビ(SHARP社製AQUOS−20V)に使用される直下型バックライト(対角線20インチ)ユニットであり、元々組み込まれていた反射シートに替えて、測定対象とする反射フィルムを組み込んだ。
測定では、バックライト面を、バックライト面の中心を通りバックライト面の幅方向に平行な直線と、バックライト面の中心を通りバックライト面の縦方向に平行な直線とで4分割し、分割されたそれぞれの領域の中心を測定点とした。
トプコン社製の輝度計BM−7を用いて、バックライト面からの距離50cm、測定角1°の条件で測定点4箇所における色度(x、y)を測定し、単純平均を求め、平均色度(x、y)とした。平均色度(x、y)と基準色(x=0.300、y=0.310)との距離を算出して色度差Δxyを算出した。
Δx=基準座標(x=0.300)−測定座標(x)
Δy=基準座標(y=0.310)−測定座標(y)
Δxy=(Δx2+Δy2)1/2
算出されたΔxyを、下記の基準で評価した。
◎: Δxy < 0.005
○: 0.005 ≦ Δxy < 0.010
×: 0.010 ≦ Δxy
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒子径とした。
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、粒子を100個任意に測定し(球状以外の場合は(長径+短径)/2にて求める)、平均粒子径を求めた。
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率500倍にて、露出した粒子30個任意に観察し、長径、短径の値から下記式で求め平均値を算出した。
アスペクト比=長径/短径
(7−1)サンプルの作成
ミクロトームを用いて、フィルムから切片サンプル1と切片サンプル2を切り出した。切片サンプル1は、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向が切断面となるように切り出した切片サンプルであり、切片サンプル2は、切片サンプル1で選んだ無作為な一方向と直交する方向と厚み方向が切断面となるように切り出した切片サンプルである。
(7−2)測定
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
露出率は、切片サンプルの切断面内における透明粒子の断面の中心を通りフィルムの塗膜面に垂直に向かう直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において透明粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線がバインダーの塗膜面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される。
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における透明粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
(8−1)サンプルの作成
上記(6)で得たサンプルについて評価を行った。
(8−2)測定
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
被覆率は、切片サンプルの切断面内における測定領域において、透明粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さを積算して、下記式で求めた(図1参照)。
被覆率
=(6mm−(透明粒子に被覆されていない部分の積算長さ))/6mm×100(%)
フィルムサンプルの断面をデジタルマイクロスコープ(HIROX Co.Ltd.,
HI−SCOPE Advanced KH−3000)にて倍率5倍にて観察撮影し、写真からバインダーの厚みを判定し、任意に10点測定してそれらの平均値を求めた。
ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUX02−225)の反射層(反射率98.5%)のうえに、バーティング装置にて下記のレシピにて配合した塗液を白色反射層側にwet塗布量で25g/m2塗布し、その後オーブン内にて乾燥して反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。なお、透明粒子の粒子径とアスペクト比を表1にまとめて示す。
調液レシピ1)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (22.6重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (0.4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ2)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (20.7重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: チバガイギー社 Uvitex−OB
(スチリル・オキサゾール系蛍光剤) (2.3重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ3)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (22.5重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: BASF社 ルモゲングリーン850
(ナフタルイミド系蛍光剤) (0.5重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ4)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−12 (38.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (18.0重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (3.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (1.0重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
白色フィルムの白色反射層に蛍光体を添加しない以外は実施例1と同様にして白色フィルムを得て、白色フィルムに塗液をコートせずに、白色フィルムを評価した。評価結果を表1に示す。
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。評価結果を表1に示す。輝度上昇は大きいものの、着色による色ズレが大きく、実用上使用困難であった。
調液レシピ5)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (19.0重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (4.0重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。評価結果を表1に示す。着色による色ズレは小さいものの、輝度の上昇が小さかった。
調液レシピ6)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (23.0重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。評価結果を表1に示す。着色による色ズレは小さいものの、輝度の上昇が小さかった。
調液レシピ7)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (2.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (55.6重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (0.4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
Claims (2)
- 白色フィルムおよび該フィルムのうえに設けられた塗布層からなる液晶表示装置用反射フィルムであって、該液晶表示装置用反射フィルムの直上に光源を有し、該塗布層は、有機蛍光体を含有するバインダー組成物90〜10重量部および透明粒子10〜90重量部からなり、バインダー組成物には、塗布層の全重量100重量%を基準にして0.5〜5重量%の有機蛍光体が含有され、
5〜100%の露出率で塗布層表面から露出している透明粒子が50〜100%の被覆率で白色フィルムの表面を被覆していることを特徴とする、バックライト方式液晶表示装置用反射フィルム。 - 上記透明粒子の平均粒子径が10μm以上である、請求項1に記載のバックライト方式液晶表示装置用反射フィルム。
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