JP5660566B2 - 磁性粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性粒子およびその製造方法に関するものであり、より詳しくは、磁気記録に好適な磁気特性を有するとともに塗布型磁気記録媒体に使用可能な磁性粒子およびその製造方法に関するものである。
ビデオテープ、コンピューターテープ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体では、磁性層に含まれる磁性体量が同じ場合、磁性体の粒子サイズを小さくしていった方が、SNRが高くなるため高密度記録に有利である。
しかし、磁性粒子の粒子サイズを小さくしていくと熱揺らぎのため超常磁性となってしまい、磁気記録媒体に用いることができなくなる。これに対し、結晶磁気異方性が高い材料は、熱安定性に対する高いポテンシャルを有するため熱的安定性に優れる。そこで、熱的安定性に優れる磁性材料として、結晶磁気異方性が高い材料の研究が行われている。例えば、ハードディスク(HD)等においてはCoCr系磁性体にPtを加え、高い結晶磁気異方性を得ており、さらに高い結晶磁気異方性を有する磁性体としてCoPt、FePd、FePt等を用いる検討がなされている。また、高価なPtを含まず安価で高い結晶磁気異方性を有する磁性材料としてSmCo、NdFeB、SmFeN等の希土類元素を含む硬磁性体も知られている(以下、「第1の技術」という)。
しかし、結晶磁気異方性が高い材料は、熱的安定性に優れるものの、スイッチング磁界が増大するため記録に大きな外部磁場が必要となり記録性は低下する。そこで非特許文献1では、非磁性無機物上に気相製膜で形成した硬磁性の磁性層に軟磁性層を交換相互作用が生じるよう積層し、スイッチング磁界を下げる試みがなされている(以下、「第2の技術」という)。
日本応用磁気学会誌29,239-242(2005)
HD用媒体等の金属薄膜磁気記録媒体では、通常、蒸着時の高温に耐え得るガラス基板が支持体として使用されている。これに対し近年、安価な有機物支持体を使用した汎用性に優れた塗布型磁気記録媒体が提案され、ビデオテープ、コンピューターテープ、フレキシブルディスク等として広く用いられている。上記塗布型媒体においては、汎用性を維持する観点から、高価なPtを使用した磁性体を使用することは実用上困難であるため、第1の技術のように希土類元素を含む硬磁性体を使用することが考えられる。しかし、上記の通り、結晶磁気異方性の高い磁性体には記録性の改善という課題がある。
そこで、塗布型磁気記録媒体において、熱的安定性と記録性を両立するために、第2の技術を適用することが考えられる。しかし、塗布型磁気記録媒体において通常使用される非磁性有機物支持体は耐熱性に劣るため、気相製膜時に支持体が高温に晒される第2の技術を適用することは困難である。
そこで本発明の目的は、塗布型磁気記録媒体に適用可能な磁性粒子であって、高い熱的安定性と優れた記録性を兼ね備えた磁性粒子を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物を付着させた後、該化合物を熱分解することにより、硬磁性粒子の熱的安定性を維持しつつ保磁力を記録に適した範囲に制御することが可能となることを新たに見出した。この理由を、本発明者らは以下のように推察している。
硬磁性粒子表面において遷移金属含有有機化合物を熱分解することにより、硬磁性粒子表面を遷移金属含有有機化合物の熱分解物によって被覆することができる。その結果、硬磁性粒子をコアとし、上記熱分解物をシェルとするコア/シェル構造が形成されると考えられる。このシェル部分はコア部分(硬磁性粒子)よりも保磁力の低い軟磁性体であって、コア部分と交換結合しているのではないかと推察される。そして上記構造を有する磁性粒子は、外部磁場が変化するとシェル部分が先に外部磁場の変化に対応しスピンの向きが変わり、これによりシェル部分と交換結合したコア部分のスピンの向きを変えることができるため、結果的に磁性粒子としてのスイッチング磁界を下げる(保磁力を下げる)ことができると考えられる。ただし、上記磁性粒子内部には硬磁性粒子が存在するため、その高い結晶磁気異方性に起因する熱的安定性は維持することができる。これにより、高い熱的安定性と優れた記録性を兼ね備えた磁性粒子が得られると、本発明者らは推察している。なお、先に説明した第2の技術は塗布型磁気記録媒体に適用することは困難であるのに対し、本発明者らが新たに見出した上記方法は、塗布型磁気記録媒体用の磁性粒子の製造方法としても適用可能である。なお、本発明において、「交換結合」とは、交換相互作用によりスピンの向きが揃うように、硬磁性体のスピンと軟磁性体のスピンとが連動して動くように、あたかも1つの磁性体としてスピンの向きが変わるように結合していることをいう。軟磁性体(軟磁性相)が交換結合を生じずに硬磁性粒子(硬磁性相)表面に存在している場合、軟磁性相の有無によって磁性粒子の保磁力は変化しない。したがって、硬磁性相と軟磁性相が交換結合していることは、磁性粒子の保磁力が、軟磁性相形成により減少することによって確認することができる。また、軟磁性相が交換結合を生じずに硬磁性相を被覆している場合、M-Hループ(ヒステリシスループ)は軟磁性相のM-Hループと硬磁性相のM-Hループを足し合わせたものとなるため、軟磁性相の保磁力に相当するところでM-Hループに段が現れる。したがって、硬磁性相と軟磁性相が交換結合していることは、M-Hループの形状から確認することもできる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]保磁力が230kA/m以上の硬磁性粒子表面にアセチルアセトナート化合物を配位子とする遷移金属錯体を付着させた後、該遷移金属錯体を熱分解することにより、前記硬磁性粒子よりも低い保磁力を有する磁性粒子を得ることを特徴とする磁性粒子の製造方法。
[2]前記熱分解を気相熱分解により行う、[1]に記載の磁性粒子の製造方法
[3]前記遷移金属錯体および硬磁性粒子を含む溶液から溶媒を除去することにより、前記遷移金属錯体を硬磁性粒子表面に付着させる、[1]または[2]に記載の磁性粒子の製造方法。
[4][1]〜[]のいずれかに記載の製造方法により得られた磁性粒子。
[]保磁力が230kA/m以上の硬磁性粒子表面にアセチルアセトナート化合物を配位子とする遷移金属錯体の熱分解物が被着し、該熱分解物と硬磁性粒子とが交換結合している磁性粒子であって、80kA/m以上230kA/m未満の保磁力を有する磁性粒子
[6]前記熱分解物は、前記遷移金属錯体の気相熱分解物である、[5]に記載の磁性粒子。
[]磁気記録用磁性粉として使用される、[4]〜[]のいずれかに記載の磁性粒子。
[]塗布型磁気記録媒体用磁性粉として使用される、[]に記載の磁性粒子。
本発明によれば、高い熱的安定性と記録に適した保磁力を有する、塗布型磁気記録媒体に適用可能な磁性粒子を提供することができる。
本発明は、
硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物を付着させた後、該化合物を熱分解することを特徴とする磁性粒子の製造方法;および、
上記製造方法により得られた磁性粒子、
に関する。前述のように、本発明によれば、硬磁性粒子表面で遷移金属含有有機化合物を熱分解することにより、硬磁性粒子の熱的安定性を維持しつつ、その記録性を改善することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
硬磁性粒子
本発明において、「硬磁性」とは、保磁力が230kA/m以上であることをいうものとする。即ち、前記硬磁性粒子は、230kA/m以上の保磁力を有する。230kA/m以上の保磁力を有する硬磁性粒子は結晶磁気異方性が高いため熱的安定性に優れる。本発明の磁性粒子は、この硬磁性粒子をコアに有することにより、高い熱的安定性を発揮することができる。
一方、前述のように、本発明の磁性粒子において遷移金属含有有機化合物の熱分解物は、コア部分を構成する硬磁性粒子よりも保磁力の低い軟磁性体であると考えられるが、その保磁力は、磁性粒子の保磁力を記録に適した範囲に制御する観点からは、8kA/m未満であることが好ましい。
硬磁性粒子(以下、「硬磁性相」ともいう)の結晶磁気異方性定数は、1×10-1J/cc(1×106erg/cc)以上であることが好ましい。より好ましくは6×10-1J/cc(6×106erg/cc)以上である。結晶磁気異方性が高い方が、磁性粒子を小さくでき、SNR等の電磁変換特性上有利だからである。硬磁性相の結晶磁気異方性定数が1×10-1J/cc(1×106erg/cc)以上であれば、その表面に遷移金属含有有機化合物の熱分解物を形成した場合に磁気記録に適した保磁力を維持することができる。一方、前記硬磁性相の結晶磁気異方性定数が、6J/cc(6×107erg/cc)を超えると、その表面に上記熱分解物を形成した場合においても保磁力が高く記録性に劣ることがあるため、前記硬磁性相の結晶磁気異方性定数は、6J/cc(6×107erg/cc)以下であることが好ましい。
上記硬磁性相の飽和磁化としては、記録性の観点から0.4×10-1〜2A・m2/g(40〜2000emu/g)が好ましく、5×10-1〜1.8A・m2/g(500〜1800emu/g)がより好ましい。形状としては球形、多面体状等のいずれの形状でも構わない。また、上記硬磁性相の粒子サイズ(直径、板径等)としては、高密度記録の観点から3〜100nmであることが好ましく、5〜10nmであることがより好ましい。本発明における「粒子サイズ」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。また本発明において粒子サイズに関する平均値は、透過型電子顕微鏡で撮影した写真において500個の粒子を無作為に抽出して測定した粒子サイズの平均値とする
前記硬磁性相としては、希土類元素、遷移金属元素からなる磁性体、遷移金属、アルカリ土類金属の酸化物、希土類元素、遷移金属元素および半金属からなる磁性体(以下、「希土類−遷移金属−半金属系磁性体」ともいう)を挙げることができ、上記好適な結晶磁気異方性定数を得る観点から、希土類−遷移金属−半金属系磁性体および六方晶フェライトが好ましい。なお、硬磁性粒子の種類によっては、その表面に希土類酸化物等の酸化物が存在する場合もあるが、このような硬磁性粒子も本発明における硬磁性粒子に含まれるものとする。
以下、希土類−遷移金属−半金属系磁性体および六方晶フェライトについて更に詳細に説明する。
(希土類−遷移金属−半金属系磁性体)
希土類としてはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu等を挙げることができる。中でも、一軸磁気異方性を示すY、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Pr、Nd、Tb、Dyが好ましく、特に、結晶磁気異方性定数が6×10-1J/cc〜6J/cc(6×106erg/cc〜6×107erg/cc)となるY、Ce、Gd、Ho、Nd、Dyがよりいっそう好ましく、Y、Ce、Gd、Ndが特に好ましい。
遷移金属としてはFe、Ni、Coが強磁性体を形成するものとして好ましく用いられる。単独で用いる場合は、結晶磁気異方性、飽和磁化の最も大きくなるFeを好ましく用いることができる。
半金属としては、ホウ素、炭素、リン、シリコン、アルミニウムが挙げられる。この中でホウ素、アルミニウムが好ましく用いられ、ホウ素が最も好ましい。即ち、前記硬磁性相は、希土類元素、遷移金属元素、およびホウ素からなる磁性体(以下、「希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体」という)であることが好ましい。希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体をはじめとする希土類−遷移金属−半金属系磁性体は、Pt等の高価な貴金属を含まないためコスト面で有利であり、汎用性に優れる磁気記録媒体を作製するために好適に使用することができる。
希土類−遷移金属−半金属系磁性体の組成としては、希土類は10〜15at%であることが好ましく、遷移金属は70〜85at%であることが好ましく、半金属は5〜10at%であることが好ましい。
遷移金属として、異なる遷移金属、例えば、Fe、CoおよびNiを組み合わせて用いる場合、Fe(1-x-y)CoxNiyと表したとき、硬磁性体の保磁力を、例えば240kA/m〜638kA/m(3000Oe〜8000Oe)にコントロールすることができ好ましい組成は、x=0〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=0〜25at%の範囲である。
低腐食性の観点からは、x=0〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=10〜25at%の範囲であることが好ましい。
キューリー点が500℃以上で温度特性が優れるとの観点からはx=20〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=0〜25at%の範囲であることが好ましい。
従って、保磁力、腐食性、温度特性の観点からはx=20〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=10〜25at%の範囲であることが好ましく、x=30〜45at%、y=28〜30at%の範囲であることがより好ましい。
本発明において使用する硬磁性粒子は、例えば気相法または液相法で合成することができる。ただし、結晶磁気異方性が高い磁性体を合成するには高い温度を必要とするため、塗布型磁気記録媒体の支持体として一般的に使用されている非磁性有機物支持体上で合成することは、支持体の耐熱性の観点から通常困難である。したがって、硬磁性粒子は、非磁性有機物支持体上に塗布する前に合成すべきである。
希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体を得る方法としては、原料金属を高周波溶融炉等で溶解した後、鋳造する方法があるが、当該方法では初晶として遷移金属が多く含まれるものが得られるため、遷移金属を消去するために融点直下での溶体化処理を必要とする。溶体化処理で粒子サイズが大きくなることから、高密度記録に適した微粒子磁性体を得るためには、後述の合成法を用いることが好ましい。
溶融金属を回転ロール上に注ぐ急冷法(溶融合金急冷法)においては、初晶であるFeが発生しないうえに、微粒子状(好ましくは粒子サイズ3〜200nm)の希土類−遷移金属−ホウ素 ナノ結晶を急冷薄帯中に得ることができる。
また、溶融金属を回転ロール上に注ぐ急冷法によりアモルファス合金を作製した後、非酸化性雰囲気(例えば不活性ガス、窒素、真空)で400〜1000℃の熱処理でナノ結晶を析出させる方法においても、微粒子状(好ましくは粒子サイズ3〜200nm)の希土類−遷移金属−ホウ素 ナノ結晶を得ることができる。
合金に対して溶融金属急冷法を用いる場合は、酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、具体的にはHe、Ar、N2等を好ましく用いることができる。
溶融金属急冷法においては、冷却速度はロールの回転速度と急冷薄帯の厚みによって決定される。本発明において、急冷直後に急冷薄帯中に希土類−遷移金属−ホウ素ナノ結晶を形成する際のロール回転速度は、10〜25m/sとすることが好ましい。また、急冷により一旦、アモルファス合金を得る場合には、25〜50m/sとすることが好ましい。
急冷薄帯の厚みは10〜100μmとすることが好ましい。上記範囲の厚みとすることができるように、溶融金属を注ぐ量をオリフィス等でコントロールすることが好ましい。
その後、水素を吸脱着させる過程で粒子を微粒子化する方法(HDDR法)を用いて微粒子を得てもよいし、また、さらに気流分散、湿式分散を行い、微粒子を得てもよい。
(六方晶フェライト)
六方晶フェライトとしては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等を用いることができる。具体的には、マグネートプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネートプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネートプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用できる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもあるが、本発明ではそれらも使用できる。
次に、上記硬磁性粒子表面を被覆する遷移金属含有有機化合物について説明する。
遷移金属含有有機化合物
遷移金属含有有機化合物としては、磁性粒子の保磁力を記録に適した範囲に制御するためには、熱分解により低保磁力の軟磁性体を形成可能なFe、Co、Niの塩であることが好ましく、Feの塩であることが特に好ましい。ここで塩には、錯体(錯塩)が含まれるものとする。塩の構成成分は、熱分解による副生成物の発生が少ないため、炭素、酸素および水素から選ばれることが好ましい。この点からは、アセチルアセトナート化合物を配位子とする遷移金属錯体が好ましく、具体例としては、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、ニッケル(III)アセチルアセトナートを挙げることができる。また、カルボニル化合物を配位子とする遷移金属錯体を使用することもでき、その具体例としては、Co(CO)5等を挙げることができる。ただし、カルボニル鉄およびカルボニルニッケルは毒性が高く工業的取り扱いが困難であるため、前記遷移金属有機化合物としては、カルボニル鉄およびカルボニルニッケルは使用しないことが好ましい。
前記遷移金属含有有機化合物を硬磁性粒子表面に付着させる工程は、乾式で行ってもよく湿式で行ってもよいが、硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物を均一に付着させる観点からは、湿式で行うことが好ましい。湿式法としては、前記遷移金属含有有機化合物と硬磁性粒子を含む溶液から溶媒を除去することにより、前記遷移金属含有有機化合物を硬磁性粒子表面に付着させる方法が好適である。
前記溶液の溶媒としては、使用する遷移金属含有有機化合物を溶解ないし分散できるものであれば特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。ただし、溶媒の除去の容易性の観点から、高沸点のものは好ましくない。この点から、水、ケトン類(例えばアセトン)、アルコール類、エーテル類が好ましく用いられる。硬磁性粒子を浸漬した際に酸化を防ぐ観点から、溶媒中の酸素を窒素等でバブリングして除いたものを用いることが好ましい。この際、予め、溶媒中をくぐらせた窒素ガスを用いると使用する溶媒の揮発を防ぐことができる。油状溶媒を使用することも可能であるが、溶媒の除去の容易性の点からは非油状溶媒を使用することが好ましく、この点からも、水、ケトン類、アルコール類、エーテル類を使用することが好ましい。
前記溶液中の遷移金属含有有機化合物の濃度は特に限定されるものではないが、その濃度が薄すぎると所望量の熱分解物を硬磁性粒子表面に形成するために、硬磁性粒子を溶液に浸漬し、溶媒を取り除き、前記遷移金属含有有機化合物を硬磁性粒子表面上に析出させた後、該化合物を熱分解するという作業を何度も繰り返す必要がある。また、過度に高濃度であると、硬磁性粒子を溶液に浸漬し、溶媒を取り除き、当該化合物を硬磁性粒子表面上に析出させた際、粒子同士がくっついてしまうことから好ましくはない。以上の点を考慮すると、前記溶液中の遷移金属含有有機化合物の濃度は、0.1〜10質量%程度が好ましい。
前記溶液中の硬磁性粒子量は、粒子表面に塩を均一に付着させる観点から、硬磁性粒子の表面が均一に濡れている程度の量とすることが好ましい。粒子表面に乾いた部分があるままであると前記化合物の付着が不均一になり、溶液が多すぎる場合も、溶媒を除去する際に溶液に濃度むらができ、前記化合物の付着が不均一となるからである。
前記溶液の調製方法は特に限定されるものではなく、硬磁性粒子と前記化合物を同時または順次、溶媒に添加混合することによって調製すればよい。
硬磁性粒子を溶液に浸漬する操作から熱分解に至る前の雰囲気は、硬磁性粒子の酸化を防止する観点から、窒素、アルゴン、He雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。
本発明における遷移金属含有有機化合物の熱分解は、気相中で行ってもよく液相中
で行ってもよい。液相中で熱分解を行う場合には、上記湿式による遷移金属付着処理に引き続き溶液中で加熱処理を行うことが好ましい。この場合の加熱温度は、使用する遷移金属含有有機化合物に応じて、該化合物が熱分解し得る温度に設定すればよい。また、液相熱分解を行う場合には、溶液を調整する溶媒として、使用する遷移金属含有有機化合物を溶解しないものを使用することが好ましい。
一方、湿式による遷移金属付着処理後に気相熱分解を行う場合には、前記溶液調製後、調製した溶液から溶媒を除去することが好ましい。これにより、硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物を析出させることができる。加熱処理、減圧処理、またはこれらの組み合わせにより、前記溶液から溶媒を容易に除去することができる。加熱処理における加熱温度は、溶媒の沸点に応じて設定すればよい。ただし、前述のように不活性雰囲気中で処理する場合であっても、温度が高すぎると雰囲気中に不純物として含まれる酸素により硬磁性粒子が酸化されることがある。このような酸化を防止する観点からは、加熱温度は25〜250℃程度が好ましく、25℃〜150℃程度がより好ましい。加熱で溶媒を除去する際に、粒子同士が凝集しやすくなるので、低温で時間をかけ溶媒を除去することが好ましい。また、溶媒除去中、溶液を適宜攪拌することにより、硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物を均一に析出させることができる。さらに、酸化を防止し、粒子同士が凝集することを防止するには、減圧処理により溶媒を除くことが好ましい。減圧処理は、アスピレーター、ロータリーポンプを用いて0.1〜8000Paの減圧下で行うことができる。この際、取り除いた溶媒をコールドトラップで取り除くことが好ましい。減圧処理時に溶媒の揮発に伴う気化熱によりサンプルの温度が下がり、溶媒を除去する効率が下がることから、25〜50℃で加熱することが好ましい対応である。
以上の操作によって硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物を析出させることができる。通常、析出した遷移金属含有有機化合物は、被覆層として硬磁性粒子表面に存在する。上記被覆層の厚さは、所望量の熱分解物を硬磁性粒子表面に形成することができるように、溶液濃度等によって適宜調整すればよい。なお、上記工程において形成される被覆層は、硬磁性粒子の全表面を被覆することは必須ではなく、一部に硬磁性粒子表面が露出した部分や他の物質が堆積した部分があってもかまわない。
気相熱分解は、遷移金属含有有機化合物を表面に付着させた硬磁性粒子を、乾式で加熱処理することにより行うことができる。加熱処理は、酸化雰囲気(例えば大気中)、還元雰囲気(例えば水素、一酸化炭素、炭化水素等の還元ガス含有雰囲気)、不活性ガス雰囲気(例えば窒素、He、Ne、Ar雰囲気)、または真空中で行うことができる。得られる磁性粒子の磁気特性の観点からは、不活性ガス雰囲気中または真空中で熱分解を行うことが好ましく、不活性ガス雰囲気中で熱分解を行うことがより好ましい。熱分解温度は、通常、300〜550℃の範囲であるが、使用する遷移金属含有有機化合物が熱分解し得る温度に設定すればよい。
以上説明した工程により、硬磁性粒子表面上に遷移金属含有有機化合物の熱分解物を形成することができ、これにより硬磁性粒子に由来する熱的安定性を維持しつつ、磁性粒子の保磁力を硬磁性粒子の保磁力よりも低下させ記録に適した範囲に制御することができる。
形成された熱分解物の結晶磁気異方性定数は、硬磁性相と交換結合し、磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から小さいほうが好ましく、負の値を取ってもよい。ただし、負の結晶磁気異方性定数を有する熱分解物を硬磁性相との間で交換結合を生じさせると、磁性粒子の磁気エネルギーが小さくなってしまうことから、熱分解物の結晶磁気異方性定数としては、0〜5×10-2J/cc(0〜5×105erg/cc)が好ましく、0〜1×10-2J/cc(0〜1×105erg/cc)がより好ましい。
上記熱分解物の飽和磁化は、硬磁性相と交換結合し、磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点からは大きい方が好ましい。具体的には、1×10-1〜2A・m2/g(100emu/g〜2000emu/g)の範囲であることが好ましく、3×10-1〜1.8A・m2/g(300〜1800emu/g)の範囲であることがより好ましい。
前記熱分解物は、好ましくは粒子内部の硬磁性相よりも保磁力の低い軟磁性体であり、具体的組成としては、Fe、Fe合金、Fe化合物、例えば、鉄、パーマロイ、センダスト、ソフトフェライト等を含むことが好ましい。
先に説明したように、本発明の磁性粒子は、硬磁性粒子をコアとし、上記熱分解物をシェルとするコア/シェル構造を有し、このシェル部分はコア部分(硬磁性粒子)よりも保磁力の低い軟磁性体であって、コア部分と交換結合していると推察される。上記熱分解物(シェル)の結晶磁気異方性定数は、磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から、硬磁性粒子(コア)の結晶磁気異方性定数の0.01倍〜0.3倍であることが好ましい。なお、本発明において「コア/シェル構造」とは、シェル部分によってコアの全表面が被覆されることを要するものではなく、一部にコアが露出した部分や他の物質が堆積した部分があっても、本発明におけるコア/シェル構造に含まれるものとする。
本発明の磁性粒子において、硬磁性粒子と、その表面に形成される遷移金属含有有機化合物の熱分解物との体積比(硬磁性粒子/熱分解物)は、磁性粒子の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から、200/1〜1/15であることが好ましく、2/1〜1/20であることがより好ましく、1/1〜1/15であることが更に好ましい。なお、本発明の磁性粒子において、硬磁性粒子(コア)を被覆する上記熱分解物(シェル)の厚さは特に限定されるものではないが、硬磁性粒子の体積に応じて、上記好ましい体積比となるよう適切な値に設定することが好ましい。上記体積比は、例えば、硬磁性粒子表面への遷移金属含有有機化合物の付着量によって制御することができる。また、上記の通り本発明の磁性粒子では、硬磁性粒子の全表面が上記熱分解物で被覆されていることは必須ではなく、一部に硬磁性粒子が露出した部分や他の物質が堆積した部分があってもかまわない。
本発明の磁性粒子は、保存安定性を高めるために、最表面に酸化物層を有することもできる。酸化物層の形成方法は特に限定されるものではなく、一般的な徐酸化処理により形成することができる。
本発明の磁性粒子の粒径は、好ましくは5〜200nmであり、さらに好ましくは5〜25nmである。これは、SNR等電磁変換特性上は微粒子であることが好ましいが、小さくしていくと、硬磁性相が超常磁性を示し、記録に適さなくなるからである。なお、硬磁性粒子表面に上記熱分解物を有するという構成上、コア部分となる硬磁性粒子を最終的に得られる磁性粒子より小さくする必要があり、この要請は単一の粒子より厳しい。一方、粒径200nm超であれば、特別な処理を施すことなく単一組成の構造で記録再生に適した粒子も存在する。したがって、本発明の磁性粒子は、単一組成の磁性粒子としては記録再生に適した粒子を得ることが困難な粒径200nm以下の粒子であることが好ましい。
本発明の磁性粒子は、硬磁性粒子単独では高保磁力であり記録に不適であるところ、硬磁性粒子表面で遷移金属含有有機化合物を熱分解することにより、記録に適した保磁力を実現することができる。これは、硬磁性粒子スピンが交換結合した熱分解物中のスピンの影響で動きやすくなることで、記録に適した保磁力を得ることができるからと推察される。本発明の磁性粒子の保磁力は、好ましくは、コアを構成する硬磁性粒子の保磁力よりも低い。好ましくは80kA/m以上230kA/m未満の範囲である。保磁力が低すぎると、隣接記録ビットからの影響で記録を保持しづらくなり、熱的安定性が劣るからである。また、保磁力が高すぎると記録することができなくなるからである。保磁力としては、160kA/m以上230kA/m未満であることがさらに好ましい。なお、前述の通り硬磁性粒子の保磁力は230kA/m以上であるが、その下限は特に限定されるものではない。一般に入手可能な磁性体として、硬磁性体の保磁力は、通常1000kA/m以下である。一方、硬磁性粒子表面に形成される熱分解物の保磁力は、前述のように、好ましくは8kA/m未満である。その下限値は特に限定されるものではないが、一般的な軟磁性体の保磁力を考慮すると、例えば0.04kA/m以上である。
本発明の磁性粒子の飽和磁化は、例えば、使用する硬磁性粒子の飽和磁化により制御することができ、0.4×10-1〜2.2A・m2/g(40〜2200emu/g)の範囲であることが好まく、より好ましくは1×10-1〜2.2A・m2/g(100〜2200emu/g)、更に好ましくは1.2×10-1〜1.8A・m2/g(120〜1800emu/g)の範囲である。上記範囲の飽和磁化を有することは、出力的に有利である。
更に本発明によれば、後述の実施例で示すように、硬磁性粒子表面に遷移金属含有有機化合物の熱分解物が被着し、該熱分解物と硬磁性粒子とが交換結合している磁性粒子も提供される。上記磁性粒子は、実施例で示すように、硬磁性粒子と比べて低い保磁力を示すことができ、したがって硬磁性粒子に起因する高い熱的安定性を保持しつつ、優れた記録性を発揮することができるものである。
上記磁性粒子の詳細については、前述の磁性粒子およびその製造方法の説明を参照できる。先に説明したように、また後述の実施例で示すように、熱分解物は気相熱分解により形成することができ、前記遷移金属含有有機化合物は、アセチルアセトナート化合物を配位子とする遷移金属錯体であることができる。
本発明の磁性粒子は、優れた記録性と熱的安定性を兼ね備えたものであるため、磁気記録用磁性粉として好適である。また、本発明の磁性粒子は、前述の第2の技術と異なり支持体上での高温処理を要することなく製造可能であるため、結合剤および溶媒と混合し塗布液として支持体上に塗布することにより磁性層を形成することができる。したがって、本発明の磁性粒子は、塗布型磁気記録媒体への適用に好適である。
以下に、本発明の具体的実施例および比較例を挙げるが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)鉄(III)アセチルアセトナートをアセトンで溶解し6質量%の赤色の溶液を作製した。
(2)バリウムフェライト(以下、「BaFe」と記載する)(Hc:235kA/m、飽和磁化4.5×10-2A・m2/g(45emu/g)、平均板径35nm、平均板厚8nm)を、粒子表面が濡れるように上記溶液に浸漬した後(BaFe粒子1gに対し溶液1g(鉄(III)アセチルアセトナート含有量:340μmol)使用)、アスピレーターで減圧しながら、溶媒を除去した。この際、30分毎に溶液中の粒子を攪拌する処理を行った。
(3)上記(2)の溶媒除去により得られた乾燥粉体を加熱炉(アルバック理工社製ゴールドイメージ炉QH−P810P)において、窒素気流中で350℃1時間加熱処理することにより、BaFe粒子表面に析出(付着)した鉄(III)アセチルアセトナートを熱分解した。
[実施例2〜4]
BaFe粒子1gあたりの鉄(III)アセチルアセトナート量が表1記載の値となるように使用する鉄(III)アセチルアセトナート溶液の濃度を変更した点以外は、実施例1と同様の方法により磁性粒子を処理した。
[比較例1]
BaFe粒子(Hc:235kA/m、飽和磁化4.5×10-2A・m2/g(45emu/g)、平均板径35nm、平均板厚8nm)そのものを、比較例1の磁性粒子とした。
[比較例2]
実施例1中の(1)、(2)を行わず、BaFe粒子(Hc:235kA/m、飽和磁化4.5×10-2A・m2/g(45emu/g)、平均板径35nm、平均板厚8nm)に対して(3)の加熱処理を施した。
磁性粒子の評価
(1)磁気特性の評価
実施例1〜4、比較例1、2の磁性粒子の磁気特性を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。各磁性粒子は、急速酸化を防ぐため窒素雰囲気下でアクリル容器に封入して評価を行った。結果を表1に示す。
(2)磁化の時間減衰の傾き
実施例1〜4、比較例1、2の磁性粒子について、超電導電磁石式振動試料型磁力計(玉川製作所製TM−VSM1450−SM型)を用いて、次の手順で、磁気記録媒体の保存時に受ける反磁界相当の反磁界800Oe(≒64kA/m)の磁化の時間減衰の傾きを求めた。測定用サンプルとしては、磁性粉体0.1gを測定ホルダーに圧密したものを用いた。熱揺らぎ磁気余効の場合、磁化の時間減衰においてΔM/(lnt1−lnt2)は一定となる。磁化は磁場によっても変化することから、磁場一定にした後の磁化を時間毎に測定することによって磁化の時間減衰の傾きを求めた。
サンプルに40kOe(≒3200kA/m)の外部磁場をかけ、直流消磁した後、磁石を電流値制御とし目標の反磁界を発生させる電流を供給し、目標の反磁界に外部磁場を漸近させた。これは、外部磁場が変動することにより安定化処理がなされ、磁化の時間減衰が見かけ小さくなることを防ぐためである。
磁場が目標値に達した時間を零とし、1分毎に磁化を25分間測定し、磁化の時間減衰の傾きΔM/(lnt1−lnt2)を求めた。結果を表1に示す。なお、表1にはΔM/(lnt1−lnt2)を40kOeの外部磁場における磁化で割り規格化した値を示す。
Figure 0005660566
評価結果
表1中、比較例2の磁性粒子が未処理BaFe粒子(比較例1)とほぼ同等の保磁力を示したことから、単なる加熱処理では硬磁性粒子の保磁力を改良できないことがわかる。これに対して、実施1〜4の磁性粒子の保磁力が未処理BaFe粒子の保磁力と比べて低かったことは、実施例1〜4の磁性粒子ではBaFe粒子(硬磁性相)表面で鉄(III)アセチルアセトナートの熱分解物が交換結合した結果、記録性が改善できたことを示す結果である。このように遷移金属含有有機化合物を付着させ硬磁性粒子表面上で熱分解することにより磁性粒子の保磁力を低下させることができる。なお、実施例1〜4の保磁力には1〜3kA/m程度の違いが見られるが、これは測定ばらつきの範囲内である。通常、付着させる遷移金属含有有機化合物を多くするほど、保磁力を下げる効果は大きくなると考えられる。
また、上記方法により測定される磁化の時間減衰の傾きは、磁性粒子の熱的安定性を示す指標である。表1に示したように実施例1〜4の磁性粒子の磁化の時間減衰の傾きが比較例1、2と同等であったことから、硬磁性粒子表面で鉄(III)アセチルアセトナートの熱分解を行っても磁性粒子の熱的安定性は損なわれず良好に維持されていることが確認できる。
以上の評価結果から、硬磁性粒子表面で遷移金属含有有機化合物を熱分解させて得られた磁性粒子は熱的安定性に優れ、しかも保磁力が記録に適した範囲に制御されているため、高密度記録に好適であることが確認できる。また、表1に示すように、実施例1〜4の磁性粒子と未処理BaFe粒子(比較例1)の飽和磁化がほぼ同等であったことから、磁性粒子の飽和磁化は、使用する硬磁性粒子の飽和磁化によって制御可能であることも確認できる。
本発明の磁性粒子は安価な塗布型磁気記録媒体用として好適である。

Claims (8)

  1. 保磁力が230kA/m以上の硬磁性粒子表面にアセチルアセトナート化合物を配位子とする遷移金属錯体を付着させた後、該遷移金属錯体を熱分解することにより、前記硬磁性粒子よりも低い保磁力を有する磁性粒子を得ることを特徴とする磁性粒子の製造方法。
  2. 前記熱分解を気相熱分解により行う、請求項1に記載の磁性粒子の製造方法。
  3. 前記遷移金属錯体および硬磁性粒子を含む溶液から溶媒を除去することにより、前記遷移金属錯体を硬磁性粒子表面に付着させる、請求項1または2に記載の磁性粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られた磁性粒子。
  5. 保磁力が230kA/m以上の硬磁性粒子表面にアセチルアセトナート化合物を配位子とする遷移金属錯体の熱分解物が被着し、該熱分解物と硬磁性粒子とが交換結合している磁性粒子であって、80kA/m以上230kA/m未満の保磁力を有する磁性粒子。
  6. 前記熱分解物は、前記遷移金属錯体の気相熱分解物である、請求項5に記載の磁性粒子。
  7. 磁気記録用磁性粉として使用される、請求項のいずれか1項に記載の磁性粒子。
  8. 塗布型磁気記録媒体用磁性粉として使用される、請求項に記載の磁性粒子。
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