本発明に係る画素駆動方法、及び、該画素駆動方法を実現する画素駆動装置について、好適な実施の形態を掲げて添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる測距システム10の概略構成を示す図である。図1に示すように、測距システム10は、照射装置12、撮像部14、演算部16、制御部18、及び電源20を備える。
電源20は、測距システム10の各部に所定の電源電圧を供給するものであり、図1においては、簡単のため、電源20から各装置への電源線の表示を省略する。
照射装置12は、測距対象Wに対してパルス光Lpを照射するものであり、照射装置12は、制御部18の制御下で、パルス光Lpを出力する発光部(光源)24を有する。発光部24は、コンデンサと発光素子を有し、コンデンサが保持した電荷が発光ダイオードに供給されることで光を発光する。
発光部24は、赤外光を発光する。例えば、波長が870ナノメートル(nm)の赤外光を100ワット(W)の出力で照射可能である。発光部24は、パルス光Lpを100ナノ秒(ns)の出力時間(パルス幅)で出力可能である。
なお、発光部24は、リニアアレイ状の複数の発光点を有していてもよく、あるいは、マトリックス状に並べられた複数の発光点を有するものであってもよい。発光素子としてレーザダイオードや発光ダイオード(LED)等のその他の発光素子を用いてもよい。
この測距システム10では、照射装置12から照射されたパルス光Lpが測距対象Wで反射し、撮像部14に入射する。なお、説明の便宜のため、照射装置12から測距対象Wまでのパルス光Lpを照射光Leと、測距対象Wから撮像部14までのパルス光Lpを反射光Lrと呼ぶ。
撮像部14は、レンズ26と、固体撮像装置28とを有する。レンズ26を透過した反射光Lr及び環境光Lsは、固体撮像装置28に集光され、固体撮像装置28によって受光される。固体撮像装置28は、照射装置12が照射するパルス光Lp及び環境光Lsに対して感度を有し、グローバルシャッタ方式で光を受光する。演算部16は、固体撮像装置28が受光期間Pで取り込んだ光電子数Qの情報に基づいて測距対象Wまでの距離Zを算出する。制御部18は、照射装置12、固体撮像装置28、及び演算部16を制御する。なお、制御部18、および演算部16は、撮像部14内に設けられていてもよいし、固体撮像装置28に設けられていてもよい。
図2は、固体撮像装置28の構成を示す図である。固体撮像装置28は、マトリックス状に単位画素30が配置された画素アレイ32と、画素駆動回路(画素駆動装置)34と、出力バッファ36と、A/D変換器38とを有する。
電源20は、画素アレイ32に対して正の電源電圧Vddを印加するとともに、リセット電圧Vrefを印加する。画素駆動回路34は、ゲート駆動回路42、垂直選択回路44、サンプルホールド回路46、及び、水平選択回路48を有し、ゲート駆動回路42は、各種ゲート駆動信号を出力することにより画素アレイ32の各単位画素30の光電子の発生(蓄積)、保持、転送、及び排出等を行う。垂直選択回路44は、マルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する行に対して選択的に、該単位画素30が保持した光電子数Qに対応する電圧信号(光電子情報)QVを出力させる。水平選択回路48は、別のマルチプレクサ(図示略)を有し、読み出しを行う単位画素30が属する列を選択する。読み出された画素信号は、サンプルホールド回路46に一端保持された後、A/D変換器38を介して出力される。そして、出力バッファ36及びA/D変換器38を介して演算部16に出力される。ゲート駆動回路42、垂直選択回路44、サンプルホールド回路46、及びA/D変換器38等は、制御部18の制御に従って駆動する。
図3は、図2に示す固体撮像装置28を構成する単位画素30の一部を示す一部平面図である。図4は、図3のIV−IV線矢視断面構成図である。なお、光電子振分部106b、106c、106dの構成は、光電子振分部106aと同一であり、光電子排出部108bの構成は、光電子排出部108aの構成と同一であるので、光電子振分部106b、106c、106d及び光電子排出部108bの断面構成図は省略する。
単位画素30は、p型(第1導電型)半導体基板102上に形成された光電変換素子104と、4つの光電子振分部106a、106b、106c、106d(総称して、光電子振分部106と呼ぶ場合もある)と、2つの光電子排出部108a、108b(以下、総称して、光電子排出部108と呼ぶ場合もある)とを有する。光電変換素子104は、p型(第1導電型)半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、フォトゲートと呼ぶ)110を有するフォトゲート構造を有している(図4参照)。光電変換素子104は、光を検知して、光電子(負電荷)を発生する(検知した光を光電子に変換する)。フォトゲート110には、光電変換素子104を駆動するゲート駆動信号電圧Saがゲート駆動回路42から印加される。
各光電子振分部106は、第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116、及び浮遊拡散層118をそれぞれ有する。第1転送部112は、光電変換素子104が発生した光電子を振り分けて光電子保持部114に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、第1転送ゲートと呼ぶ)120を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。第1転送ゲート120には、ゲート駆動回路42から第1転送部112を駆動するゲート駆動信号電圧Sbが入力される。
光電子保持部114は、光電変換素子104に対して第1転送部112を挟んで配置され、光電変換素子104が発生した光電子を一時的に保持するものであり、p型半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、保持ゲートと呼ぶ)122を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。保持ゲート122には、ゲート駆動回路42から光電子保持部114を駆動するゲート駆動信号電圧Scが入力される。
第2転送部116は、第1転送部112に対して、光電子保持部114を挟んで配置され、光電子保持部114で集積された光電子を転送するものであり、p型半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(以下、第2転送ゲートと呼ぶ)124を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。第2転送ゲート124には、ゲート駆動回路42から第2転送部116を駆動するゲート駆動信号電圧Sdが印加される。
浮遊拡散層(FD;フローティングディフュージョン)118は、光電子保持部114に対して第2転送部116を挟んで配置され、光電子保持部114から転送されてくる光電子を電圧に変換させるために一時的に保持するものであり、p型半導体基板102上にn型(第2導電型)不純物が形成されたものである。
図3に示すように、4つの光電子振分部106は、光電変換素子104を挟んで水平方向(左右方向)に対称に2つずつ設けられている。
図4に示すように、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118の電位を基準電位にリセットするリセット用トランジスタ(リセット部)126が接続されている。リセット用トランジスタ126のソースは浮遊拡散層118に接続され、ドレインには電源20からのリセット電圧Vrefが印加され、リセット用トランジスタ126のゲート(リセット用ゲート)127には、ゲート駆動回路42からリセット信号Rが供給される。ハイのリセット信号Rがリセット用ゲート127に供給されると、リセット用トランジスタ126がオンとなり、浮遊拡散層118に存在する光電子は排出され、浮遊拡散層118の電位が基準電位にリセットされる。
また、浮遊拡散層118には、浮遊拡散層118が保持した光電子数Qに応じた電圧信号QVを読み出すための信号読出用トランジスタ130が接続される。信号読出用トランジスタ130には、該信号読出用トランジスタ130によって読み出された電圧信号QVを信号読出線132に出力するかを選択するための選択用トランジスタ134が接続されている。信号読出用トランジスタ130のドレインは、電源20からの電源電圧Vddが印加され、信号読出用トランジスタ130のゲート(信号読出用ゲート)131は、浮遊拡散層118に接続され、ソースは、選択用トランジスタ134のドレインに接続される。選択用トランジスタ134のゲート(選択用ゲート)135に垂直選択回路44からハイの選択信号Ssが供給されると、選択用トランジスタ134がオンになり、浮遊拡散層118が保持した光電子数Qに対応する電圧信号QVが信号読出線132から読み出される。選択用トランジスタ134のソースには、信号読出線132が接続されている。
光電子排出部108は、第3転送部140と、拡散層142とを有する。第3転送部140は、光電変換素子104が発生した光電子を拡散層142に転送するためのものであり、p型半導体基板102上に絶縁体(図示略)を介して形成された電極(第3転送ゲート)144を有するMOSダイオード構造を有している(図4参照)。
拡散層142は、光電変換素子104に対して第3転送部140を挟んで反対側に配置され、拡散層142には、電源20からの電源電圧Vddが印加されている。ゲート駆動回路42から第3転送ゲート144にゲート駆動信号電圧Seが入力されると、光電変換素子104が発生した光電子は、第3転送部140を介して拡散層142から排出される。図3に示すように、2つの光電子排出部108は、光電変換素子104を挟んで垂直方向(上下方向)に対称的に1つずつ設けられている。
次に、図5を用いて、TOF(タイム・オブ・フライト)法によって、測距対象Wまでの距離Zを求める手法の一例について説明する。単位画素30は、受光期間P中に単位画素30に入射した光に応じた光電子を発生して累積蓄積する。受光期間Pは、第1受光期間P1、第2受光期間P2、第3受光期間P3、及び第4受光期間P4とを有する。第3受光期間P3及び第4受光期間P4は、照射装置12が測距対象Wに対して照射光Leを照射しない状態で、環境光Lsのみに応じた光電子を一定時間(Tsense)累積蓄積する期間である。第1受光期間P1は、単位画素30が、照射装置12によって照射された照射光Leの反射光Lrを常に受光することで、反射光Lr及び環境光Lsに応じた光電子を前記一定時間(Tsense)累積蓄積する期間である。第2受光期間P2は、環境光Ls及び反射光Lrに応じた光電子を累積蓄積する期間と、環境光Lsのみに応じた光電子を累積蓄積する期間とを有する。
各単位画素30の光電変換素子104は、受光期間P中に入射した光に応じて光電子を生成し、各単位画素30が有する複数の光電子保持部114は、受光期間Pに発生した光電子を取り込んで保持する。第3受光期間P3に光電変換素子104が発生した光電子数QをQcbとし、第4受光期間P4に光電変換素子104が発生した光電子数QをQcaとする。また、第1受光期間P1に光電変換素子104が発生した光電子数QをQbとし、第2受光期間P2に光電変換素子104が発生した光電子数QをQaとする。図5のIlaserは、前記照射された光の反射光Lrの強度を示し、Ibackは、環境光Lsの強度を示す。
したがって、Qa−Qca∝Ilaser×Tdelay,Qb−Qcb∝Ilaser×Tsense,の関係式が成り立つ。Tdelayは、照射した光が測距対象Wに反射して戻ってくるまでの時間である。
上述した式から、
Tdelay=Tsense×(Qa−Qca)/(Qb−Qcb)・・(1)
の関係式が導き出せ、測距対象Wまでの距離Zは、
Z=c×Tdelay/2=c×Tsense×(Qa−Qca)/2(Qb−Qcb)・・(2)
の関係式によって求めることができる。なお、cは光速を示す。
なお、測距対象Wまでの距離Zを求めるTOF法は、種々の手法があり、上述した手法以外の手法によって測距対象Wまでの距離Zを求めてもよい。
図6は、単位画素30の受光期間Pを示すタイムチャートである。制御部18は、1フレームの露光期間中、所定の周期で照射装置12が照射光Leを照射するように発光信号を照射装置12に出力し、該照射装置12は、該送られてきた発光信号に従って所定の周期で照射光Leを照射する。単位画素30は、制御部18による制御のもと、各照射光Leの照射タイミングに応じて予め決められた受光期間P(第1受光期間P1〜第4受光期間P4)で光を受光する。
1回の照射光Leの照射タイミングに応じて4つの受光期間P(第1受光期間P1〜第4受光期間P4)が定められており、これを1サイクルとし、1フレームの露光期間中にこのサイクルが所定回数(例えば、1000回)繰り返される。第1受光期間P1で発生した光電子は、光電子振分部106aの光電子保持部114に蓄積され、第2受光期間P2で発生した光電子は、光電子振分部106bの光電子保持部114に蓄積され、第3受光期間P3で発生した光電子は、光電子振分部106cの光電子保持部114に蓄積され、第4受光期間P4で発生した光電子は、光電子振分部106dの光電子保持部114に蓄積される。
この1サイクル毎に各受光期間P(第1受光期間P1〜第4受光期間P4)で発生した光電子は、各光電子振分部106に振り分けられるので、各光電子振分部106の光電子保持部114は、各サイクルの受光期間Pで発生した光電子を加算して保持することになる。つまり、光電子振分部106aの光電子保持部114は、各サイクルの第1受光期間P1で発生した光電子を加算して保持し、光電子振分部106bの光電子保持部114は、各サイクルの第2受光期間P2で発生した光電子を加算して保持する。また、光電子振分部106cの光電子保持部114は、各サイクルの第3受光期間P3で発生した光電子を加算して保持し、光電子振分部106dの光電子保持部114は、各サイクルの第4受光期間P4で発生した光電子を加算して保持する。
そして、1フレームの露光期間が終了して読出し期間に突入すると、各光電子振分部106の光電子保持部114が保持している光電子数Qに応じた電圧信号QVが読み出される。ここで、1フレームの露光期間終了後の光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子数QをQBとし、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子数QをQAとし、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子数QをQCBとし、光電子振分部106dの光電子保持部114が保持している光電子数QをQCAとする。
図7は、光電子の転送時において、光電変換素子104、光電子振分部106a、及び光電子排出部108aに供給される基本的な各種ゲート駆動信号電圧のタイミングチャートの一例を示す図であり、図8A〜図8Fは、図7のタイミングチャートに示すタイミングa〜タイミングhにおける光電変換素子104、光電子振分部106a、及び光電子排出部108aのポテンシャル図である。
図8Aは、タイミングa及びg時におけるポテンシャル図、図8Bは、タイミングb及びh時におけるポテンシャル図、図8Cは、タイミングc時におけるポテンシャル図、図8Dは、タイミングd時におけるポテンシャル図、図8Eは、タイミングe時におけるポテンシャル図、図8Fは、タイミングf時におけるポテンシャル図である。なお、以下、ローのゲート駆動信号電圧は、基準電圧値(例えば、グランドの電圧値、つまり零)のゲート駆動信号電圧であり、ハイのゲート駆動信号電圧は、基準電圧値より高い電圧値のゲート駆動振動電圧である。
1フレームの露光期間に突入し、光電変換素子104が発生した光電子を累積蓄積する最初の第1受光期間P1前のタイミングaにおいては、フォトゲート110にハイのゲート駆動信号電圧Saが、光電子排出部108aの第3転送ゲート144にハイのゲート駆動信号電圧Seが、光電子振分部106aの第1転送ゲート120にローのゲート駆動信号電圧Sbが、光電子振分部106aの保持ゲート122にハイのゲート駆動信号電圧Scが、光電子振分部106aの第2転送ゲート124にハイのゲート駆動信号電圧Sdがそれぞれ印加された状態となる。これにより、タイミングaでは、図8Aに示すように、第3転送部140は、光電変換素子104が発生した光電子を拡散層142に転送するので、光電変換素子104の光電子を拡散層142から排出することができ、光電変換素子104には光電子が蓄積されない。また、タイミングaでは、図8Aに示すように、第2転送部116は、光電子保持部114に存在する光電子を浮遊拡散層118に転送するので、リセット用ゲート127にハイのリセット信号Rを印加することで、光電子保持部114及び浮遊拡散層118に存在する光電子を、リセット用トランジスタ126を介して排出することができる。
その後、タイミングbにおいては、保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Scがローになるので、図8Bに示すように、光電子保持部114に存在する光電子が全て浮遊拡散層118に転送される。このときも、リセット用ゲート127にハイのリセット信号Rを印加することで、光電子保持部114及び浮遊拡散層118に残存している光電子を全て排出することができる。なお、タイミングbにおいても、フォトゲート110及び第3転送ゲート144には、ハイのゲート駆動信号電圧Sa、Seが印加され続けているので、光電変換素子104が発生した光電子は、拡散層142から排出され続ける。
光電子保持部114及び浮遊拡散層118に残存している光電子を全て排出した後の第1受光期間P1直前のタイミングcでは、保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Scがハイになり、第2転送ゲート124に印加するゲート駆動信号電圧Sdがローになる。また、第1受光期間P1の直前のタイミングcでは、フォトゲート110に印加されるゲート駆動信号電圧Saは、ローになるので、図8Cに示すように、光電変換素子104に残存している全ての光電子は、拡散層142から排出される。
その後、第1受光期間P1内のタイミングdでは、第3転送ゲート144に印加するゲート駆動信号電圧Seがローになり、第1転送ゲート120に印加するゲート駆動信号電圧Sbがハイになる。これにより、タイミングdでは、図8Dに示すように、第1転送部112は、光電変換素子104が発生した光電子を光電子保持部114に転送するので、第1受光期間P1においては、光電子保持部114は、光電変換素子104が発生した光電子を累積蓄積して保持することができる。なお、タイミングd時においても、保持ゲート122には、ハイのゲート駆動信号電圧Scが印加され続けているので、光電子保持部114のポテンシャルは低く保たれている。
第1受光期間P1の残存光電子転送期間内のタイミングeでは、フォトゲート110に印加するゲート駆動信号電圧Saがローになる。これにより、タイミングeでは、図8Eに示すように、光電変換素子104に残存している光電子を、全て光電子保持部114に転送することができる。
そして、第1受光期間P1終了後(特に、残存光電子転送期間終了後)のタイミングfでは、フォトゲート110に印加するゲート駆動信号電圧Saがハイ、第3転送ゲート144に印加するゲート駆動信号電圧Seがハイになり、第1転送ゲート120に印加するゲート駆動信号電圧Sbがローになる。これにより、タイミングfでは、図8Fに示すように、フォトゲート110及び第3転送ゲート144には、ハイのゲート駆動信号電圧Sa、Seが印加されるので、光電変換素子104が発生した光電子は、拡散層142から排出される。また、タイミングf時においても、保持ゲート122には、ハイのゲート駆動信号電圧Scが印加され続けているので、光電子保持部114は、第1受光期間P1中に光電変換素子104が発生した光電子を保持している。
1フレームの露光期間には、上述したように、光電子振分部106aの光電子保持部114に転送される光電子を発生するための複数の第1受光期間P1が存在し、図8C〜図8Eに示すような、動作が複数回繰り返される。従って、光電子振分部106aの光電子保持部114は、複数の第1受光期間P1で光電変換素子104が発生した光電子を加算して保持することになる。このことは、光電子振分部106b、106c、106dついても同様であり、光電子振分部106b、106c、106dは、複数の第2受光期間P2、第3受光期間P3、第4受光期間P4で発生した光電子を加算してそれぞれ保持する。
その後、読出し期間のタイミングgでは、フォトゲート110にハイのゲート駆動信号電圧Saが、第3転送ゲート144にハイのゲート駆動信号電圧Seが、第1転送ゲート120にローのゲート駆動信号電圧Sbが、保持ゲート122にハイのゲート駆動信号電圧Scが、第2転送ゲート124にハイのゲート駆動信号電圧Sdがそれぞれ印加された状態となる。これにより、タイミングgでは、図8Aに示すように、第2転送部116は、光電子保持部114に存在する光電子を浮遊拡散層118に転送することができる。このときは、リセット用ゲート127にはローのリセット信号Rが印加されているので、転送された光電子は排出されることなく、浮遊拡散層118に存在する。
その後、タイミングhでは、保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Scがローになるので、図8Bに示すように、光電子保持部114に存在する光電子が全て浮遊拡散層118に転送される。このときも、リセット用ゲート127にローのリセット信号Rが印加されているので、転送された光電子は排出されることなく、浮遊拡散層118に存在する。なお、タイミングg及びタイミングhでは、光電変換素子104が発生した光電子は拡散層142から排出される。
光電子保持部114が保持していた光電子を全て浮遊拡散層118に転送した後、選択用トランジスタ134の選択用ゲート135にハイの選択信号Ssが印加されると、浮遊拡散層118に存在する光電子数Qaに対応する電圧信号QVaが信号読出線132から読み出される。
光電子振分部106b、106c、106dの光電子の転送方法に関しては、光電子振分部106aと同様であり、光電子排出部108bの光電子の排出方法に関しては、光電子排出部108aと同様であるので、説明を省略する。
図9は、図6の1サイクルにおける照射装置12が照射する照射光Leの照射タイミングと、図6の1サイクルにおける、単位画素30の光電変換素子104、第3転送ゲート144、及び光電子振分部106a、106b、106c、106dの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧のタイミングとの一例を示すタイムチャートである。
単位画素30は、第1受光期間P1〜第4受光期間P4で、光電変換素子104に入射した反射光Lrに応じた光電子を累積蓄積し、第1受光期間P1〜第4受光期間P4以外の期間で光電変換素子104が発生した光電子を排出する(捨てる)。
詳しくは、第3受光期間P3前は、光電変換素子104のフォトゲート110にハイのゲート駆動信号電圧Saが供給されるとともに、第3転送部140の第3転送ゲート144にハイのゲート駆動信号電圧Seが供給される。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、拡散層142から排出される。そして、第3受光期間P3の直前にフォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがローになり、光電変換素子104に残存する光電子が全て拡散層142から排出される。
なお、このときは、光電子振分部106aの第1転送部112の第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb(以下、Sb1という)、光電子振分部106bの第1転送部112の第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb(以下、Sb2という)、光電子振分部106cの第1転送部112の第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb(以下、Sb3という)、光電子振分部106dの第1転送部112の第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb(以下、Sb4という)は、ローの状態ある。
そして、第3受光期間P3が到来すると、第3転送ゲート144に供給されるゲート駆動信号電圧Seはローになるとともに、光電子振分部106cの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb3はハイになる。これにより、第3受光期間P3で光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106cの光電子保持部114に累積蓄積される。第3受光期間P3の残存光電子転送期間に入ると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがローになる。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106cの光電子保持部114に全て転送される。なお、光電子振分部106cの保持ゲート122のポテンシャルは、転送される光電子を保持できるように低く保たれていることは言うまでもない。
第4受光期間P4が到来すると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがハイ、光電子振分部106cの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb3はロー、光電子振分部106dの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb4はハイになる。これにより、第4受光期間P4で光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106dの光電子保持部114に累積蓄積される。第4受光期間P4の残存光電子転送期間に入ると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがローになる。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106dの光電子保持部114に全て転送される。なお、光電子振分部106dの光電子保持部114のポテンシャルは、転送される光電子を保持できるように低く保たれていることは言うまでもない。
第4受光期間P4が終了すると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがハイ、第3転送ゲート144に供給されるゲート駆動信号電圧Seがハイ、光電子振分部106dの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb4がローになる。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、拡散層142から排出される。そして、第1受光期間P1の直前にフォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがローになり、光電変換素子104に残存する光電子が全て拡散層142から排出される。
第1受光期間P1が到来すると、第3転送ゲート144に供給されるゲート駆動信号電圧Seはローになるとともに、光電子振分部106aの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb1はハイになる。これにより、第1受光期間P1で光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106aの光電子保持部114に累積蓄積される。第1受光期間P1の残存光電子転送期間に入ると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Sb1がローになる。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106aの光電子保持部114に全て転送される。なお、光電子振分部106aの光電子保持部114のポテンシャルは、転送される光電子を保持できるように低く保たれていることは言うまでもない。
第2受光期間P2が到来すると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがハイ、光電子振分部106aの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb1はロー、光電子振分部106bの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb2はハイになる。これにより、第2受光期間P2で光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106dの光電子保持部114に累積蓄積される。第2受光期間P2の残存光電子転送期間に入ると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがローになる。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、光電子振分部106bの光電子保持部114に全て転送される。なお、光電子振分部106bの光電子保持部114のポテンシャルは、転送される光電子を保持できるように低く保たれていることは言うまでもない。
第2受光期間P2が終了すると、フォトゲート110に供給されるゲート駆動信号電圧Saがハイ、第3転送ゲート144に供給されるゲート駆動信号電圧Seがハイ、光電子振分部106bの第1転送ゲート120に供給されるゲート駆動信号電圧Sb2がローになる。これにより、光電変換素子104が発生した光電子は、拡散層142から排出される。
図10は、単位画素30の回路構成の一例を示す図である。光電変換素子104が発生した光電子は、転送経路146a、146b、146c、146dを介して光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118に転送される。転送経路146a、146b、146c、146dは、図3で示した光電子振分部106a、106b、106c、106dの第1転送部112、光電子保持部114、第2転送部116により構成される。光電子振分部106a、106b、106c、106dの浮遊拡散層118には、1つのリセット用トランジスタ126のソースが接続されるとともに、1つの信号読出用ゲート131が接続される。なお、図10では、光電子排出部108の図示を省略している。
各浮遊拡散層118に、光電子振分部106a、106b、106c、106dの各光電子保持部114が保持した光電子が転送される前に、リセット用トランジスタ126がオンになることによって各浮遊拡散層118が基準電位にリセットされ、そのときの各浮遊拡散層118の電圧信号(以下、黒レベル)が読み出される。その後、光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114が保持した光電子が順次浮遊拡散層118に転送される。各浮遊拡散層118に転送され、各浮遊拡散層118に存在する光電子数Qが順次信号読出用トランジスタ130によって電圧信号(信号レベル)QVに変換されて、選択用トランジスタ134を介して信号読出線132から読み出される。
詳しくは、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106aの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、浮遊拡散層118に存在する光電子数QBに応じた信号レベルQVBが信号読出線132から読み出される。演算部16は、光電子振分部106aの光電子保持部114が保持した光電子数QBに対応する信号レベルQVBから黒レベルを減算することで、リセットノイズを除去する。このリセットノイズが除去された信号レベルQVBを電圧信号QV´Bと呼ぶ。
次に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、浮遊拡散層118に存在する光電子数QAに応じた信号レベルQVAが信号読出線132から読み出される。演算部16は、光電子振分部106bの光電子保持部114が保持した光電子数QAに対応する信号レベルQVAから黒レベルを減算することで、リセットノイズを除去する。このリセットノイズが除去された信号レベルQVAを電圧信号QV´Aと呼ぶ。
そして、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、浮遊拡散層118に存在する光電子数QCBに応じた信号レベルQVCBが信号読出線132から読み出される。演算部16は、光電子振分部106cの光電子保持部114が保持した光電子数QCBに対応する信号レベルQVCBから黒レベルを減算することでリセットノイズを除去する。このリセットノイズが除去された信号レベルQVCBを電圧信号QV´CBと呼ぶ。
最後に、リセット用トランジスタ126をオンにすることで、各浮遊拡散層118の電位がリセットされ、黒レベルが読み出される。その後、光電子振分部106dの光電子保持部114が保持している光電子が浮遊拡散層118に転送され、浮遊拡散層118に存在する光電子数QCAに応じた信号レベルQVCAが信号読出線132から読み出される。演算部16は、光電子振分部106dの光電子保持部114が保持した光電子数QCAに対応する信号レベルQVCAから黒レベルを減算することで、リセットノイズを除去する。このリセットノイズが除去された信号レベルQVCAを電圧信号QV´CAと呼ぶ。
そして、演算部16は、電圧信号QV´B、QV´A、QV´CB、QV´CAを用いて、測距対象Wまでの距離Zを算出する。測距対象Wまでの距離Zは、上記した関係式(2)の光電子数Qb、Qa、Qcb、Qcaを、それぞれ電圧信号QV´B、QV´A、QV´CB、QV´CAに置き換えることで、求めることができる。
ここで、図7、図8に示すように、光電子保持部114は、光電子数Qに対応する信号レベルQVを読み出すまで、受光期間Pで発生した光電子を保持しなければならないので、信号レベルQVを読み出すまで、光電子保持部114にはハイのゲート駆動信号電圧Scが供給され続ける。しかしながら、ハイのゲート駆動信号電圧Scが保持ゲート122に印加されると、保持ゲート122の下で形成される空乏層幅が大きくなる。空乏層内における電子の発生や、空乏層以外の基板内で発生した電子の拡散による空乏層への侵入が暗電流の発生原因となるため、空乏層幅が大きいと暗電流が発生し易くなる。
以下、暗電流の発生を抑制させるための光電子保持部114の駆動方法について説明する。図11は、暗電流の発生を抑制させるために、光電子振分部106a、106b、106c、106dの光電子保持部114の保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Scのタイミングチャートの一例を示す図である。
図11に示すように、第3受光期間P3にときには(光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106cの光電子保持部114に転送する状態のときには)、光電子振分部106cの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc3をハイ(第1電圧値)にし、第3受光期間P3以外のときには(光電子が転送されずに単に光電子振分部106cが光電子を保持している状態のときには)、光電子振分部106cの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc3を中間値(第2電圧値)にする。第2電圧値は、ローの電圧値(基準電圧値)より大きく、第1電圧値より低い電圧値である。
第4受光期間P4のときには(光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106dの光電子保持部114に転送する状態のときには)、光電子振分部106dの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc4をハイ(第1電圧値)にし、第4受光期間P4以外のときには(光電子が転送されずに単に光電子振分部106dが光電子を保持している状態のときには)、光電子振分部106dの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc4を中間値(第2電圧値)にする。
第1受光期間P1のときには(光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106aの光電子保持部114に転送する状態のときには)、光電子振分部106aの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc1をハイ(第1電圧値)にし、第1受光期間P1以外のときには(光電子が転送されずに単に光電子振分部106aが光電子を保持している状態のときには)、光電子振分部106aの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc1を中間値(第2電圧値)にする。
第2受光期間P2のときには(光電変換素子104が発生した光電子を光電子振分部106bの光電子保持部114に転送する状態のときには)、光電子振分部106bの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc2をハイ(第1電圧値)にし、第2受光期間P2以外のときには(光電子が転送されずに単に光電子振分部106bが光電子を保持している状態のときには)、光電子振分部106bの保持ゲート122に印加するゲート駆動信号電圧Sc2を中間値(第2電圧値)にする。
図12Aは、受光期間P(詳しくは、第1受光期間P1のうち、残存光電子転送期間以外の期間)における光電子保持部114のポテンシャル図の一例を示し、図12Bは、受光期間P以外の期間における光電子保持部114のポテンシャル図の一例を示す。
図12A、Bに示すように、受光期間Pのときは、光電子保持部114の保持ゲート122の下に形成されるポテンシャル井戸の深さは深くなり、受光期間P以外の期間における光電子保持部114の保持ゲート122の下に形成される空乏層幅は小さくなる。このように、受光期間Pにおいては、光電子保持部114の保持ゲート122の下に形成されるポテンシャル井戸の深さは深くなるので、光電変換素子と光電子保持部の電界を大きくすることが可能で、高速に光電子を光電変換素子104から光電子保持部114に転送することができるとともに、受光期間P以外の期間においては、光電子保持部114の保持ゲート122の下に形成される空乏層幅が小さくなるので、暗電流の発生を抑制することができる。
なお、第2電圧値は、光電子保持部114が保持する光電子が溢れ出さないような電圧値であればよい。また、各光電子振分部106の光電子保持部114には、各サイクルの受光期間Pで発生した光電子が転送されていくので、この1サイクルが繰り返される度に、光電子保持部114が保持する光電子数は多くなってくる。従って、最初は第2電圧値を小さくしておき、1サイクルの繰り返し回数が大きくなるにつれて、第2電圧値を徐々に大きくしていってもよい。これにより、飽和電荷量の拡大と暗電流の発生を抑制することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。