JP5652270B2 - シリカ系多孔質膜の製造方法 - Google Patents
シリカ系多孔質膜の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5652270B2 JP5652270B2 JP2011051537A JP2011051537A JP5652270B2 JP 5652270 B2 JP5652270 B2 JP 5652270B2 JP 2011051537 A JP2011051537 A JP 2011051537A JP 2011051537 A JP2011051537 A JP 2011051537A JP 5652270 B2 JP5652270 B2 JP 5652270B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- boiling point
- silica
- group
- less
- alkoxysilanes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
Description
本発明はまた、このシリカ系多孔質膜の製造方法に用いられるシリカ系組成物に関する。
一方、スプレーコート法では、基材の大面積化は勿論のこと、基材形状の多様化に対しても容易に適用することが可能である。
しかしながら、本発明者による検討によれば、ゾル−ゲル反応を伴うシリカ系多孔質膜の前駆体(多孔化処理の前)の形成において、ゾル−ゲル反応と同時に基材へ噴霧された液滴同士の接合を進行させることは難しく、多孔質構造の破壊による性能低下や耐久性低下だけではなく、膜欠陥や膜表面の荒れといった外観上の不具合が生じることが判明した。
本発明はまた、このようなシリカ系多孔質膜の製造方法に用いられるシリカ系組成物を提供することを課題とする。
アルコキシシラン類群I:テトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群
アルコキシシラン類群II:上記テトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるその他のアルコキシシラン類群
アルコキシシラン類群III:上記テトラアルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と上記他のアルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物との部分縮合物群
また、製膜工程の後に粗乾燥工程を行い、該粗乾燥工程後の前記シリカ系前駆体の膜厚が10μm以下であることが好ましい(請求項8)。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法は、アルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と、界面活性剤と、炭素数1〜3の低級アルコールと、沸点125〜180℃で20℃又は25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒と、水とを含むシリカ系組成物を霧状に噴出させることにより、透光基材上にシリカ系前駆体を製膜する製膜工程、及び、該シリカ系前駆体を加熱してシリカ系多孔質膜とする加熱工程を含むことを特徴とする。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法では、後述の所定の組成を有するシリカ系組成物を霧状に噴出させることにより、透光基材上にシリカ系前駆体を製膜する。該シリカ系組成物を霧状に噴出させることで、基材の大きさ、形状、表面構造に依らず、均質かつ、膜厚の均一性にも優れたシリカ系前駆体を安定して得ることが可能となり、特に光の干渉効果を利用した光学用途に適したシリカ系多孔質膜を提供することが可能となる。
即ち、本発明で用いるシリカ系組成物に含まれる炭素数1〜3の低級アルコールは、アルコキシシラン化合物の加水分解物と容易に相互作用し、炭素数3以下であることで、シリカ系前駆体の形成時に起こる膜表面近傍での加水分解物の縮合反応を適度に生じさせ、後の加熱工程での構造変化を抑制する一方、このシリカ系組成物に、沸点125〜180℃で20℃又は25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒を含むことで、霧状に噴霧され、基材上でシリカ系前駆体を形成する間の乾燥を防ぐ。このように、組成物に含まれるアルコキシシラン化合物の加水分解物と低級アルコールとの相互作用により縮合反応を抑制すると共に、沸点125〜180℃で蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒による乾燥の防止で、安定して均質なシリカ系前駆体を形成することが可能となる。
また、スプレーノズルの方式も特に制限はなく、各々のスプレーノズルの利点を考慮して選択すればよい。スプレーノズルの代表的な例としては、二流体スプレーノズル(二流体霧化方式)、超音波スプレーノズル(超音波霧化方式)、回転式スプレーノズル(回転霧化方式)などが挙げられる。
シリカ系組成物の霧化と気体流による霧化粒子の透光基材への搬送とを独立に制御できる点では、超音波スプレーノズル、及び回転式スプレーノズルが好ましく、シリカ系組成物の液性維持の観点では二流体スプレーノズル、回転式スプレーノズルが好ましい。
従って、上記好適範囲の霧化圧力でシリカ系組成物を霧状に噴出し得るノズルを用いることが好ましい。
シリカ系組成物の吐出圧力が低過ぎると霧化粒子が大きくなりシリカ系前駆体製膜時のレベリング効果が得られず、得られるシリカ系多孔質膜の平滑性が悪くなる可能性があり、高すぎると粒子速度が大きくなり、基材に塗着後の膜が流動し、均一な膜ができない可能性がある。
ここで、シリカ系組成物を霧状に噴出させるためのスプレーノズルの方式や基材の種類によって、霧化粒子が基材上に到着し、その後、均質なシリカ系前駆体を形成するまでの時間が異なることがある。その場合、前記の基材の表面処理でも時間調整することは可能であるが、より効率的に行うために、製膜工程後に粗乾燥工程を行っても良い。
また、シリカ系組成物の粘度に応じて、製膜工程において、薄膜による光の干渉ムラを低減し、良好な外観を得るため、基材の水平を厳密に管理することが好ましく、特に低粘度のシリカ系組成物の場合は基材の水平配置を確保することは重要である。
具体的には、水平器、水準器、レベル計などを使用して、基材を載置した台の水平を確認することで基材の水平を確保することができる。粗乾燥工程を行う場合も基材の水平を厳密に管理することが好ましい。
本発明の製造方法では、上述の製膜工程の後に粗乾燥工程を行っても良い。粗乾燥工程により、製膜工程で形成されたシリカ系前駆体中の低級アルコールや水の一部を積極的に除去することで、効率的に均質なシリカ系前駆体を形成することができると共に、後の加熱工程での温度管理を容易にする。
粗乾燥の時間は制限されないが、通常10秒以上、好ましくは1分以上、さらに好ましくは5分以上、また、通常5時間以下、好ましくは2時間以下、さらに好ましくは1時間以下の範囲が望ましい。
また、粗乾燥工程は、製膜工程で噴出されたシリカ系組成物の噴出液が基材上で十分レベリングされた後に行うことが好ましい。
製膜工程で形成されるシリカ系前駆体の膜厚には特に制限はないが、前述の粗乾燥工程
を行った場合は、粗乾燥工程後の厚さとして、通常5nm以上であり、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましく、100nm以上が最も好ましい。また、通常10μm以下であり、8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましく、1.6μm以下が最も好ましい。この範囲を外れると基材との濡れ性の影響を受けやすくなったり、それに伴いシリカ系前駆体のレベリング効果が劣り、シリカ系前駆体の外観が悪化する恐れがある。
なお、シリカ系前駆体の膜厚は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法においては、上記の製膜工程で得られたシリカ系前駆体を加熱することでシリカ系多孔質膜を得ることができる。その加熱条件は用いる透光基材の種類やシリカ系組成物に使用する有機溶媒により調整することができ、特に制限されない。
冷却工程とは、加熱工程で高温となったシリカ系多孔質膜を冷却する工程である。この際、冷却速度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1℃/分以上、好ましくは0.5℃/分以上、より好ましくは0.8℃/分以上、更に好ましくは1℃/分以上、また、通常100℃/分以下、好ましくは50℃/分以下、より好ましくは30℃/分以下、更に好ましくは20℃/分以下である。冷却速度が遅すぎると製造コストが高くなる可能性があり、速すぎると局所的なクラックの原因となる可能性がある。
後処理工程で行なう具体的な操作に制限は無いが、例えば、得られたシリカ系多孔質膜をシリル化剤で処理することで、シリカ系多孔質膜の表面をより機能性に優れたものにすることができる。
その具体例を挙げると、シリル化剤で処理することにより、シリカ系多孔質膜に疎水性が付与され、膜表面や膜中の細孔が汚染されるのを防ぐことができる。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した各工程の工程前、工程中及び工程後の任意の段階で、任意の他の工程を行なってもよい。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法により製造されるシリカ系多孔質膜の厚さには特に制限はないが、光学機能層として用いるためには、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましく、100nm以上が最も好ましい。また、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましく、0.8μm以下が最も好ましい。シリカ系多孔質膜の厚さが薄過ぎると、透光基材の平面度を著しく向上させる必要があり、特に透光基材の大面積化の観点で、製膜工程が困難になる。一方、厚さが厚過ぎると、シリカ系多孔質膜製造時の加熱工程において、シリカ系前駆体−基材界面で多孔質化の進行が不均質になり、得られるシリカ系多孔質膜に歪みが残存し易くなる可能性がある。膜厚は段差計、分光エリプソメーター、反射分光測定で求められる。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法において用いる本発明のシリカ系組成物には、アルコキシシラン化合物と、界面活性剤と、炭素1〜3の低級アルコールと、沸点125〜180℃で20℃又は25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒と、水とが含まれる。
以下にその詳細を述べる。
本発明で用いるアルコキシシラン化合物、即ち、アルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物は特に制限はないが、下記アルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と下記アルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、或いは、下記アルコキシシラン類群IIIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、或いは、下記アルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物及び/又は下記アルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と下記アルコキシシラン類群IIIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、を含むことが好ましい。
アルコキシシラン類群II:上記テトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるその他のアルコキシシラン類群
アルコキシシラン類群III:上記テトラアルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と上記他のアルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物との部分縮合物群
テトラアルコキシシラン類の種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シランなどが挙げられる。また、テトラアルコキシシラン類群の例としては、前記のテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
ただし、テトラアルコキシシラン類は経時的に加水分解及び部分縮合を生じやすいため、テトラアルコキシシラン類のみを用意した場合でも、通常はそのテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物がテトラアルコキシシラン類と共存することが多い。
他のアルコキシシラン類は、上述したテトラアルコキシシラン類Iに属さないアルコキシシランであれば、任意のものを使用できる。好適なものの例を挙げると、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリル)ベンゼン等の有機残基が2つ以上のトリアルコキシシリル基を結合したもの;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシ−1H、1H、2H、2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン等のケイ素原子に置換するアルキル基が反応性官能基を有するもの;などが挙げられる。また、他のアルコキシシラン類群の例としては、前記の他のアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
テトラアルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と他のアルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物との部分縮合物(以下「混合部分縮合物」と称す場合がある。)としては、上述したテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種と他のアルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種とが部分縮合した部分縮合物であれば、任意のものを用いることができる。好適な例を挙げると、テトラアルコキシシラン類Iのアルコキシシラン化合物として好適な例として例示したものと、他のアルコキシシラン類IIのアルコキシシラン化合物として好適な例として例示したものとが部分縮合した部分縮合物が挙げられる。
さらに、混合部分縮合物IIIは、混合部分縮合物IIIのみで用いてもよいが、上述したテトラアルコキシシラン類I及び他のアルコキシシラン類IIの一方又は両方と併用してもよい。
上述したテトラアルコキシシラン類I及び他のテトラアルコキシシラン類IIの組み合わせの中でも、特に好ましい組み合わせとしては、テトラアルコキシシラン類Iとしてのテトラエトキシシランと、他のアルコキシシラン類IIとしての芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を有するモノアルキルアルコキシシラン又はジアルキルアルコキシシランとの組み合わせが挙げられる。上記の混合部分縮合物IIIにおけるテトラアルコキシシラン類I及び他のテトラアルコキシシラン類IIの組み合わせについても同様である。この組み合わせによれば、霧状に噴出される際のシリカ系組成物の液滴の安定性が向上し、吐出条件の決定が容易になる。
本発明で用いるシリカ系組成物において、上述したアルコキシシラン化合物の含有比率は特に制限されない。しかしながら、形成されるシリカ系多孔質膜の耐水性の観点から、全アルコキシシラン化合物由来のケイ素原子に対するテトラアルコキシシラン類群I由来のケイ素原子の割合が、通常0.2(mol/mol)以上、好ましくは0.3(mol/mol)以上、より好ましくは0.4(mol/mol)以上であり、また、通常0.8(mol/mol)以下、好ましくは0.7(mol/mol)以下、より好ましくは0.6(mol/mol)以下である。前記の割合が低い場合、得られるシリカ系多孔質膜の疎水性は高くなるが、毛管力により多孔質構造内に拘束された水分が膜内から放出されず、膜劣化の要因になる可能性がある。一方、前記の割合が高い場合、シリカ系多孔質膜中の残存シラノール基が多くなり、やはり耐水性が低下する可能性がある。
本発明では、前記の製膜工程におけるシリカ系組成物の吐出性、及び形成されるシリカ系前駆体の造膜性、さらには得られるシリカ系多孔質膜の低屈折率化の観点から、用いるシリカ系組成物に界面活性剤を含有する。
界面活性剤とは、親油基(低極性)と親水基(高極性)とを備えた分子のことをいう。
この非イオン性高分子の重量平均分子量が小さすぎると、得られるシリカ系多孔質膜の多孔度を高く維持することが困難となる可能性がある。なお、前記重量平均分子量の上限に制限はないが、通常100,000以下、好ましくは70,000以下、より好ましくは40,000以下である。重量平均分子量が大きすぎるとシリカ系組成物の吐出性が著しく低下する可能性がある。
これらの界面活性剤の親水基は、例えば、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基等が好ましい。またポリエーテル、ポリグリセリン等も好ましい。
本発明では、霧化粒子からシリカ系前駆体の形成過程で、組成物中におけるアルコキシシラン化合物の加水分解物の安定性の観点から、炭素数1〜3の低級アルコール(以下「第1の有機溶媒」と称す場合がある。)を用いる。低級アルコールはアルコキシシラン化合物の加水分解物と容易に相互作用し、炭素数3以下であることで、シリカ系前駆体の形成時に起こる膜表面近傍での加水分解物の縮合反応が適度に生じ、後の加熱工程での構造変化を抑制することができる。
本発明で用いるシリカ系組成物には、上記の炭素数1〜3の低級アルコールと共に沸点125〜180℃で20℃又は25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒(以下「第2の有機溶媒」と称す場合がある。)を含有する。シリカ系組成物中に所定の沸点及び蒸気圧の有機溶媒を含有していることで、霧状に噴霧され、透光基材上でシリカ系前駆体を形成する間の乾燥を防ぐとともに、組成物に含まれるアルコキシシラン化合物の加水分解物は低級アルコールとの相互作用により縮合反応を抑制すことで、安定して均質なシリカ系前駆体を形成することが可能である。
3−メチルピペリジン(沸点126℃,蒸気圧1.61kPa(25℃))、1−クロロ−2−プロパノール(沸点127℃,蒸気圧0.7kPa(20℃))、4−メチルピペリジン(沸点129℃,蒸気圧1.33kPa(25℃))、2−メチルピリジン(沸点129℃,蒸気圧1.2kPa(20℃))、1,3−プロパンジアミン(沸点131℃,蒸気圧<8mmHg(1.06kPa)(20℃)))、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点132℃,蒸気圧0.5kPa(20℃))、1−ペンタノール(沸点137℃,蒸気圧0.6kPa(20℃))、アセチルアセトン(沸点141℃,蒸気圧0.8kPa(20℃))、3−メチルピリジン(沸点144℃,蒸気圧0.6kPa(20℃))、2,6−ジメチルピリジン(沸点144℃,蒸気圧0.8kPa(25℃))、4−メチルピリジン(沸点146℃,蒸気圧0.76kPa(20℃))、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃,蒸気圧0.36kPa(20℃))、グリセリン(沸点154℃,蒸気圧0.01Pa(25℃))、2−メルカプトエタノール(沸点157℃,蒸気圧0.13kPa(20℃))、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃,蒸気圧0.33kPa(20℃))、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(沸点166℃,蒸気圧0.52kPa(25℃))、エチレングリコール−モノブチルエーテル(沸点171℃,蒸気圧0.114kPa(25℃))、トリエチレングリコール(沸点179℃、蒸気圧0.02Pa(20℃))
本発明のシリカ系組成物には、有機溶媒として、上述の炭素数1〜3の低級アルコールと沸点125〜180℃で20℃又は25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒以外の他の有機溶媒(以下、「第3の有機溶媒」と称す場合がある。)を併用してもよく、第3の有機溶媒を併用することにより吐出性の向上等の効果を得ることができ、吐出条件の許容範囲を大きくする等の効果もある。
本発明のシリカ系組成物は水を含有する。ここで、用いる水の純度は高いほうが好ましい。通常は、イオン交換及び蒸留のうち、いずれか一方又は両方の処理を施した水を用いればよい。ただし、例えば光学用途のような微小不純物を特に嫌う用途分野に、得られたシリカ系多孔質膜を用いる場合には、より純度の高いシリカ系多孔質膜が望ましいため、蒸留水をさらにイオン交換した超純水を用いることが好ましい。また、不純物の中でも100nm以上のコンタミ(汚濁物)はシリカ系組成物におけるゾル−ゲル反応の進行に影響を与える恐れがある。従って、例えば0.01〜0.5μmの孔径を有するフィルターを通して微粒子を除去した水を用いるのが好ましい。
本発明のシリカ系組成物には触媒を含有していてもよく、触媒としては、例えば上述したアルコキシシラン化合物の加水分解及び脱水縮合反応を促進させる物質を任意に用いることができる。
本発明で用いるシリカ系組成物には、上述したアルコキシシラン化合物、有機溶媒、界面活性剤、水、触媒以外の成分を含有していても良い。また、当該成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上述した組成物を構成する各成分を混合して、本発明のシリカ系組成物を調製する。この際、各成分の混合の順番に制限は無い。また、各成分は、全量を一回で混合しても良く、2回以上に分けて連続又は断続的に混合しても良い。
即ち、アルコキシシラン化合物、水及び有機溶媒を混合し、その混合物を熟成させることでアルコキシシラン化合物をある程度加水分解及び脱水重縮合させる。そして、その混合物に界面活性剤を混合してシリカ系組成物を調製する。これにより、ゾル−ゲル反応条件下で、アルコキシシラン化合物と界面活性剤との親和性を維持することができる。なお、熟成は前記の混合物と界面活性剤とを混合した後で行なってもよい。
本発明のシリカ系多孔質膜の製造方法に用いられる透光基材は用途に応じて任意のものを用いることができる。中でも、汎用材料からなる透光基材を用いることが好ましい。なお、透光基材とは、所定の波長の光の透過性が高い基材をいうこととし、該波長は、透光基材の用途に応じて適宜選択される。また、透光基材は性能に影響を及ぼさない限り、散乱やヘーズを有していてもよい。なお、該波長は、可視光の範囲に限定されないが、太陽電池用途においては、可視光線領域波長の光に対して高い透過性を有することが好ましい。
一方、防眩性を付与する場合、透光基材の中心線平均粗さは上記の限りではなく、透光基材の表面は凸凹を有することが好ましい。かかる凹凸は透光基材の片面のみでも、両面に有していてもよいが、シリカ系多孔質膜が形成される面に有することが好ましい。このような場合における中心線平均粗さは、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.4μm以上であり、また通常15μm以下、好ましくは10μm以下である。表面粗さの最大高さRmaxは通常0.1μm以上であり、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.8μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
また、透光基材表面の凹凸の平均間隔Smは、通常0.01mm以上、好ましくは0.03mm以上であり、通常30mm以下、好ましくは15mm以下とすることが可能である。
本発明により製造されるシリカ系多孔質膜は、光学フィルターにも適用可能である。本発明で言う光学フィルターとは、透光基材を通る光の反射、透過、屈折等の現象を制御するフィルターをいうが、これらに限定されるものではない。本発明の製造方法により得られるシリカ系多孔質膜は極めて屈折率が小さいため、これらの現象を制御しやすく、その効果が大きい。
なお、本発明のシリカ系多孔質膜の用途は、何ら光学フィルター用途に限らず、その多孔質構造を利用して、抗菌剤の担持や反応基修飾によるバイオチップ等に使用することもできる。
本発明により製造されるシリカ系多孔質膜は、太陽電池に適用可能であり、太陽電池用反射防止膜として好適に用いられ、この場合、透光基材としては太陽電池用カバーガラスを用いることができる。
該太陽電池では、通常は一対の電極1及び3を設け、当該電極1及び3の間に半導体層2が位置するように構成する。また、例えば図1、3、4、及び5に示すように、透光基材5と電極3との間に中間層4があってもよく、図4や図5に示すように、ガスバリア層7があってもよい。また、例えば図3や図5に示すように、透光基材5やシリカ系多孔質膜6が、複数層形成されてもよい。なお、通常、シリカ系多孔質膜6が、最も受光面側となるように構成される。
また、中間層4は、複数層の積層構造であっても良く、封止層、耐熱層、ガスバリア層、紫外線劣化防止層、光線波長変換層、酸素ゲッター層、水分ゲッター層、粘着層等を含んでいることが好ましい。
〔シリカ系組成物の調製〕
テトラエトキシシラン20g、メチルトリエトキシシラン20g、炭素数1〜3の低級アルコールとしてエタノール(沸点78℃)9g、水14g、及び、0.3重量%の塩酸水溶液33gを混合し、65℃のウォーターバス中で30分、さらに室温で30分攪拌することで、混合物(A)を調製した。
混合物(A)に、非イオン系界面活性剤として、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドトリブロックポリマー(BASF社製 PLURONIC P123(重量平均分子量5,650);以下適宜「P123」という)15g、エタノール(沸点78.3℃)12gを混合し、室温下で60分攪拌することで、混合物(B)を調製した。
この混合物(B)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(沸点132℃、分子量132、蒸気圧0.5kPa(20℃))、及び1−ブタノール(沸点117.3℃、分子量74、蒸気圧0.58kPa)により希釈することで、シリカ系組成物(pH3.5)を得た。この時のエタノールに対するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのモル比は2.57、1−ブタノールに対するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのモル比は0.3であった。
[製膜工程]
得られたシリカ系組成物を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、中性洗剤で洗浄した50mm角のガラス基材(厚さ3.2mm)に対して、スプレー塗布した。
得られたシリカ系組成物を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、中性洗剤で洗浄し
た50mm角のガラス基材(厚さ3.2mm)に対して、スプレー塗布した。
なお、この際アルミレベルで基材が水平になっていることを確認した。
スプレーノズルとしては、二流体スプレーノズル(アトマックス社製AM25S)を使用した。霧化及び噴出用気体としては、霧化圧力30kPaの窒素ガスを用い、ノズル先端とガラス基材表面との距離は80mmとした。
シリカ系組成物が入った容器とノズルとをつなぐ流路に、口径0.4mmのオリフィスを設け、容器に1kPaの吐出圧を印加することで、ノズルからのシリカ系組成物の吐出量を調整した。このときの吐出量は11.3ml/分であった。スプレーノズルを速度400mm/秒、ピッチ15mmでスキャンして、ガラス基材表面にシリカ系前駆体を形成した。
製膜時の相対湿度は55%、温度は20℃である。
上記の製膜工程後、シリカ系前駆体が形成されたガラス基材を、相対湿度55%の条件
下に液をレベリングさせるため3分間静置した後、30℃のホットプレート上に5分間静置して乾燥を行うことで、シリカ系前駆体を粗乾燥した。事前にホットプレートが水平になっていることをアルミレベルで確認した。粗乾燥後のシリカ系前駆体の膜厚は、反射分光膜厚計により測定したところ0.2μmであった。
次に450℃に設定したオーブン内に前記シリカ系前駆体を形成したガラス基材を置き、大気雰囲気下で15分間加熱することで(昇温速度15℃/分、常圧)、シリカ系多孔質膜を得た。
分光エリプソメーター(ホリバ・ジョバンイボン製UVISEL)により測定し、Tauc−Lorentz分散式で解析した結果、得られたシリカ系多孔質膜の波長550nmにおける屈折率は1.19であった。
また、屈折率と前記の波長より膜厚を算出した結果、140〜155nmであった。
また、シリカ系多孔質膜がシリカと空気より形成されているとして、得られたシリカ系多孔質膜の屈折率から、シリカの屈折率(1.48)と空気の屈折率(1.00)より平均空隙率を算出したところ60%であった。
目視により、シリカ系多孔質膜の透明性、表面状態を評価した結果を表1に示す。本実施例1により形成されたシリカ系多孔質膜は、鏡面性を有する外観の良好なシリカ系多孔質膜であった。なお、透明性及び表面状態の評価は、下記の基準で行なった。
○=高い透明性、かつ鏡面性を有しており表面性も良好。また均質な干渉が見られ、反射防止効果も確認できる。
×=均質性に劣り、膜厚むらに由来する干渉むらがみられる。
シリカ系多孔質膜の光学的機能の均質性を評価するために以下のような方法により、ムラ値を算出した。
1.シリカ系多孔質膜に対して斜め上方60度から拡散光を照射する。拡散光として用いた白色照明の輝度は6000cd/m2であった。
2.東芝製3CCDカラーカメラ(41万画素)を用いて反射光の画像をPCに保存する。カメラとシリカ系多孔質膜の距離は15cmとした。
3.保存した画像のうち輝度(青)をランダムに10点記録し、標準偏差を算出し、これをムラ値とした。
ムラ値としては特に限定はないが、通常35以下が好ましく、さらに好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。ムラ値が大きすぎると光学的効果が局所的にムラがあり個体差が出てしまう恐れがあり、歩留まり低下となる。
実施例1において、シリカ系組成物中のエタノールとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)又はジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)と1−ブタノールを表2に示す割合で用いたこと以外は同様にしてシリカ系多孔質膜を製造し(ただし、組成物中の全有機溶媒量は実施例1と同量である。)、同様に評価を行って結果を表2に示した。
〔シリカ系組成物の調製〕
テトラエトキシシラン17g、メチルトリエトキシシラン17g、炭素数1〜3の低級アルコールとしてエタノール(沸点78℃)6g、水14g、及び、0.3重量%の塩酸水溶液33gを混合し、60℃のウォーターバス中で30分、さらに室温で30分攪拌することで、混合物(A’)を調製した。
混合物(A’)に、非イオン系界面活性剤として、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドトリブロックポリマー(P123)15g、エタノール(沸点78.3℃)8gを混合し、室温下で60分攪拌することで、混合物(B’)を調製した。
この混合物(B’)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(沸点132℃、分子量132、蒸気圧0.5kPa(20℃))、及び1−ブタノール(沸点117.3℃、分子量74、蒸気圧0.58kPa)により希釈することで、シリカ系組成物(pH3.5)を得た。この時のエタノールに対するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのモル比は28.5、1−ブタノールに対するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのモル比は1.1であった。
上記で得られたシリカ系組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に製膜工程、粗乾燥工程、加熱工程を行って、シリカ系多孔質膜を製造し、同様に評価を行って結果を表2に示した。
実施例1において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いず、1−ブタノールとエタノールを表2に示す割合で用いたこと以外は同様にしてシリカ系多孔質膜を製造し(ただし、組成物中の全有機溶媒量は実施例1と同量である。)、同様に評価を行って結果を表2に示した。
実施例1において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いず、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMME)と1−ブタノールを表2に示す割合で用いたこと以外は同様にしてシリカ系多孔質膜を製造し(ただし、組成物中の全有機溶媒量は実施例1と同量である。)、同様に評価を行って結果を表2に示した。
実施例1において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いず、3−メチル−1−ブタノール(Me−BuOH)と1−ブタノールを表2に示す割合で用いたこと以外は同様にしてシリカ系多孔質膜を製造し(ただし、組成物中の全有機溶媒量は実施例1と同量である。)、同様に評価を行って結果を表2に示した。
2 半導体層
4 中間層
5 透光基材
6 シリカ系多孔質膜
7 ガスバリア層
Claims (13)
- シリカ系多孔質膜の製造方法において、
アルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と、界面活性剤と、炭素数1〜3の低級アルコールと、沸点125〜180℃で20℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒と、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、1−ブタノール(沸点118℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、t−ブタノール(沸点82℃)、酢酸メチル(沸点57℃)、エチルアセテート(沸点77℃)、イソブチルアセテート(沸点117℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点84℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、アセトン(沸点56.5℃)、及びメチルエチルケトン(沸点79℃)からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機溶媒と、水とを含むシリカ系組成物を霧状に噴出させることにより、透光基材上にシリカ系前駆体を製膜する製膜工程、
及び、該シリカ系前駆体を加熱してシリカ系多孔質膜とする加熱工程を含むことを特徴とするシリカ系多孔質膜の製造方法。 - 前記炭素数1〜3の低級アルコールに対する沸点125〜180℃で20℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒のモル比が、0.1〜50(mol/mol)である請求項1に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- シリカ系多孔質膜の製造方法において、
アルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と、界面活性剤と、炭素数1〜3の低級アルコールと、沸点125〜180℃で25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒と、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、1−ブタノール(沸点118℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、t−ブタノール(沸点82℃)、酢酸メチル(沸点57℃)、エチルアセテート(沸点77℃)、イソブチルアセテート(沸点117℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点84℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、アセトン(沸点56.5℃)、及びメチルエチルケトン(沸点79℃)からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機溶媒と、水とを含むシリカ系組成物を霧状に噴出させることにより、透光基材上にシリカ系前駆体を製膜する製膜工程、
及び、該シリカ系前駆体を加熱してシリカ系多孔質膜とする加熱工程を含むことを特徴とするシリカ系多孔質膜の製造方法。 - 前記炭素数1〜3の低級アルコールに対する沸点125〜180℃で25℃の蒸気圧が2.0kPa以下の有機溶媒のモル比が、0.1〜50(mol/mol)である請求項3に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- 前記界面活性剤が、アルキレンオキサイド部位を有する非イオン性高分子である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- 前記アルコキシシラン化合物が、下記アルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と下記アルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、或いは、下記アルコキシシラン類群IIIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物、或いは、下記アルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物及び/又は下記アルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と下記アルコキシシラン類群IIIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
アルコキシシラン類群I:テトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群
アルコキシシラン類群II:上記テトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるその他のアルコキシシラン類群
アルコキシシラン類群III:上記テトラアルコキシシラン類群Iより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と上記他のアルコキシシラン類群IIより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物との部分縮合物群 - 前記製膜工程で、5kPa以上500kPa以下の気体により前記シリカ系組成物を霧状に噴出させるノズルを用い、かつ該ノズルと前記透光基材との距離を3cm以上100cm以下として該シリカ系組成物を噴出させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- 前記製膜工程の後に粗乾燥工程を行い、該粗乾燥工程後の前記シリカ系前駆体の膜厚が10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- 前記シリカ系多孔質膜が光学フィルターであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- 前記光学フィルターが反射防止膜であることを特徴とする請求項9に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- 前記反射防止膜が太陽電池用反射防止膜であることを特徴とする請求項10に記載のシリカ系多孔質膜の製造方法。
- アルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と、界面活性剤と、炭素数1〜3の低級アルコールと、その他の有機溶媒と、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、1−ブタノール(沸点118℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、t−ブタノール(沸点82℃)、酢酸メチル(沸点57℃)、エチルアセテート(沸点77℃)、イソブチルアセテート(沸点117℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点84℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、アセトン(沸点56.5℃)、及びメチルエチルケトン(沸点79℃)からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機溶媒と、水とを含むシリカ系組成物であって、
該その他の有機溶媒が、沸点125〜180℃、20℃の蒸気圧2.0kPa以下で、分子量が100以上であることを特徴とするシリカ系組成物。 - アルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物と、界面活性剤と、炭素数1〜3の低級アルコールと、その他の有機溶媒と、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、1−ブタノール(沸点118℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、t−ブタノール(沸点82℃)、酢酸メチル(沸点57℃)、エチルアセテート(沸点77℃)、イソブチルアセテート(沸点117℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点84℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、アセトン(沸点56.5℃)、及びメチルエチルケトン(沸点79℃)からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機溶媒と、水とを含むシリカ系組成物であって、
該その他の有機溶媒が、沸点125〜180℃、25℃の蒸気圧2.0kPa以下で、分子量が100以上であることを特徴とするシリカ系組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011051537A JP5652270B2 (ja) | 2010-03-11 | 2011-03-09 | シリカ系多孔質膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010054735 | 2010-03-11 | ||
JP2010054735 | 2010-03-11 | ||
JP2011051537A JP5652270B2 (ja) | 2010-03-11 | 2011-03-09 | シリカ系多孔質膜の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011207751A JP2011207751A (ja) | 2011-10-20 |
JP2011207751A5 JP2011207751A5 (ja) | 2014-04-24 |
JP5652270B2 true JP5652270B2 (ja) | 2015-01-14 |
Family
ID=44939219
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011051537A Active JP5652270B2 (ja) | 2010-03-11 | 2011-03-09 | シリカ系多孔質膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5652270B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109923183A (zh) * | 2016-11-30 | 2019-06-21 | 富士胶片株式会社 | 涂布组合物、防反射膜、层叠体及层叠体的制造方法、以及太阳能电池模块 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016001200A (ja) * | 2012-10-15 | 2016-01-07 | 旭硝子株式会社 | 防汚性反射防止膜、物品およびその製造方法 |
JP2016001711A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | 日本電信電話株式会社 | 熱電変換材料およびその製造方法 |
CN115325511A (zh) * | 2018-01-26 | 2022-11-11 | 日东电工株式会社 | Led照明器具用膜、led照明器具 |
JPWO2019151073A1 (ja) * | 2018-02-02 | 2021-01-07 | 日東電工株式会社 | Ledバックライト用フィルム、ledバックライト |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001118841A (ja) * | 1999-10-22 | 2001-04-27 | Asahi Kasei Corp | 多孔性シリカ |
CN101194187A (zh) * | 2005-06-09 | 2008-06-04 | 日立化成工业株式会社 | 防反射膜的形成方法 |
CN102351201B (zh) * | 2007-03-13 | 2013-07-31 | 三菱化学株式会社 | 二氧化硅多孔质体、光学用途层积体和组合物、以及二氧化硅多孔质体的制造方法 |
JP5437662B2 (ja) * | 2008-03-03 | 2014-03-12 | 学校法人慶應義塾 | 反射防止膜及びその形成方法 |
-
2011
- 2011-03-09 JP JP2011051537A patent/JP5652270B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109923183A (zh) * | 2016-11-30 | 2019-06-21 | 富士胶片株式会社 | 涂布组合物、防反射膜、层叠体及层叠体的制造方法、以及太阳能电池模块 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011207751A (ja) | 2011-10-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5239663B2 (ja) | シリカ系多孔質膜の製造方法 | |
JP5556878B2 (ja) | 太陽電池用積層カバー基板、太陽電池、並びに、太陽電池用積層カバー基板の製造方法 | |
JP5644825B2 (ja) | シリカ多孔質体、光学用途積層体及び組成物、並びに、シリカ多孔質体の製造方法 | |
KR101864458B1 (ko) | 저굴절률막 형성용 조성물 및 이것을 사용한 저굴절률막의 형성 방법 | |
JP5621486B2 (ja) | シリカ系多孔質体の製造方法 | |
JP5652270B2 (ja) | シリカ系多孔質膜の製造方法 | |
JPH10231146A (ja) | 防曇防汚ガラス物品 | |
WO1998025761A1 (fr) | Article anti-buee et son procede de production | |
JPH11100234A (ja) | 防曇物品及びその製造方法 | |
EP3203273B1 (en) | Low reflection coated glass plate, glass substrate and photoelectric conversion device | |
JP2010219518A (ja) | 建材、太陽電池モジュール及び太陽電池モジュールの設置方法 | |
JP2004319331A (ja) | エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP4279063B2 (ja) | 多孔性シリカ膜、それを有する積層体 | |
JP5640310B2 (ja) | 組成物、反射防止膜基板、並びに、太陽電池システム | |
JP5827107B2 (ja) | 被膜形成用組成物の調製方法、および太陽電池モジュールの製造方法 | |
JP2016128157A (ja) | シリカエアロゲル膜の製造方法 | |
JP4251927B2 (ja) | 多孔性シリカ膜の製造方法 | |
JP6094308B2 (ja) | シリカ多孔質膜 | |
JP6187115B2 (ja) | シリカ多孔質膜 | |
JP5742519B2 (ja) | セラミックス多孔質体 | |
JP5685884B2 (ja) | シリカ体及びその製造方法 | |
JP5370241B2 (ja) | シリカ多孔質体の製造方法 | |
JP6123432B2 (ja) | 低屈折率膜形成用組成物の製造方法及び低屈折率膜の形成方法 | |
TWI788710B (zh) | 防眩膜形成用液狀組合物及附防眩膜之基材之製造方法 | |
JP2009148670A (ja) | 塗膜の製造方法および塗膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140306 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140306 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140630 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140729 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140929 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141021 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141103 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5652270 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |