JP5652205B2 - 架橋性ゴム組成物および架橋物 - Google Patents

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Description

本発明は、ニトリル基含有高飽和共重合ゴム、これを含有する架橋性ゴム組成物および架橋物に係り、さらに詳しくは、耐油性および耐寒性に優れ、圧縮永久ひずみの小さい架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合ゴム、これを含有する架橋性ゴム組成物および架橋物に関する。
近年、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムによって代表されるニトリル基含有高飽和共重合ゴムが注目されている。ニトリル基含有高飽和共重合ゴムは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどの、主鎖構造に炭素−炭素間不飽和結合の多い一般的なニトリル基含有共重合ゴムに比べて、耐熱性、耐油性、耐オゾン性などに優れるという性質を有している。
しかし、このようなニトリル基含有高飽和共重合ゴムにおいては、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムのニトリル基含有量や炭素−炭素間結合中の不飽和結合の割合などによっては、ニトリル基含有共重合ゴムに比べて耐寒性に劣る場合があった。
一般的に、ニトリル基含有共重合ゴムにおいては、ニトリル基含量を低減させることにより、耐寒性を改良することができる。しかし、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムにおいては、ニトリル基含量を低減させても、必ずしも耐寒性が改良されるとは限らない。
これに対して、たとえば、特許文献1では、ニトリル基含有高飽和共重合ゴム架橋物の耐寒性を向上させるため、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位、共役ジエン単量体単位および飽和化共役ジエン単量体単位を含有するニトリル基含有高飽和共重合ゴムが提案されている。しかしながら、この特許文献1においては、用いるニトリル基含有高飽和共重合ゴム中の単量体単位の含有割合が示されているのみであり、ガラス転移温度を制御する点について明らかにされていない。また、この特許文献1では、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位として、マレイン酸モノブチルやフマル酸モノブチルを用いた態様は開示されていない。そのため、この特許文献1では、得られるニトリル基含有高飽和共重合ゴムの架橋物は、必ずしも、耐寒性に対する要求に十分な効果を示さなかったり、さらには、圧縮永久ひずみ、特にO−リング形状の成形体とした場合における圧縮永久ひずみ(O−リング圧縮永久ひずみ)が十分でない場合があった。
特開昭63−95242号公報
本発明は、耐油性および耐寒性に優れ、圧縮永久ひずみの小さい架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合ゴムを提供することを目的とする。また、本発明は、このようなニトリル基含有高飽和共重合ゴムに、架橋剤を添加してなる架橋性ゴム組成物およびこれを架橋してなる架橋物を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムを構成する単量体単位として、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)、共役ジエン単量体単位(c)および飽和化共役ジエン単量体単位(d)を特定量有するとともに、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を特定量含有させ、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムの示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差を5〜11℃の範囲に制御することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)10〜60重量%、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)0.1〜20重量%、ならびに、共役ジエン単量体単位(c)および飽和化共役ジエン単量体単位(d)の合計20〜89.9重量%を含有し、前記単量体単位(c)と前記単量体単位(d)との合計含有量に対する前記単量体単位(d)の含有量が70重量%以上であるニトリル基含有高飽和共重合ゴムであって、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が5〜11℃であるニトリル基含有高飽和共重合ゴムと、ポリアミン系架橋剤と、を含有してなる架橋性ゴム組成物が提供される。
本発明の架橋性ゴム組成物において、前記示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が7〜10℃であることが好ましい。
また、本発明の架橋性ゴム組成物において、前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)の含有割合が、0.1〜7重量%であることが好ましい。
さらに、本発明の架橋性ゴム組成物において、前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)が、マレイン酸モノブチル単位(b1)であることが好ましい。
そして、本発明によれば、上記架橋性ゴム組成物を架橋してなる架橋物が提供される。本発明の架橋物は、好ましくはO−リングである。
さらに、本発明によれば、上記ニトリル基含有高飽和共重合ゴムを製造する方法であって、前記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)、前記共役ジエン単量体単位(c)および前記飽和化共役ジエン単量体単位(d)を構成することとなる単量体の全量、ならびに、前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を構成することとなる単量体の全量のうち一部を用いて、共重合を開始し、次いで、重合転化率が10〜75%となった時点で、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を構成することとなる単量体の全量のうちの残部を追加添加して共重合体を得た後、該共重合体に対して、選択的に水素添加するニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、共重合開始時に用いる前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を構成することとなる単量体の比率が、該単量体の全量100重量%に対して10〜90重量%であることが好ましい。
本発明によれば、耐油性および耐寒性に優れ、圧縮永久ひずみの小さい架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合ゴムおよび架橋性ゴム組成物、ならびに、これらを用いて得られ、耐油性および耐寒性に優れ、圧縮永久ひずみの小さい架橋物を提供することができる。
ニトリル基含有高飽和共重合ゴム
本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)10〜60重量%、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)0.1〜20重量%、ならびに、共役ジエン単量体単位(c)および飽和化共役ジエン単量体単位(d)の合計20〜89.9重量%を含有し、前記単量体単位(c)と前記単量体単位(d)との合計含有量に対する前記単量体単位(d)の含有量が70重量%以上であり、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が5〜11℃のゴムである。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)(以下、適宜、単量体単位(a)という)を構成するためのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリルなどが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルが好ましい。これらα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、一種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
ニトリル基含有高飽和共重合ゴム中のα,β−チレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)の含有量は、10〜60重量%であり、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)の含有量が少なすぎると、得られる架橋物の耐油性が低下する傾向にある。一方、多すぎると、得られる架橋物の耐寒性が低下する傾向にある。
マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)(以下、適宜、単量体単位(b1)、(b2)という)の含有量は、0.1〜20重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜7重量%である。本発明においては、ニトリル基含有高飽和共重合ゴム中に、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を特定量含有させているため、これにより、スコーチ安定性、取り扱い性及び成形性に優れた架橋性ゴム組成物が得られ、かつ、該架橋性ゴム組成物を架橋することにより、耐寒性及び耐油性のバランスに優れた架橋物を得ることができる。マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)の含有量が少なすぎると、得られる架橋物の耐寒性が低下する傾向にある。一方、多すぎると、得られる架橋物の耐油性が低下する傾向にある。
共役ジエン単量体単位(c)(以下、適宜、単量体単位(c)という)を構成するための単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンが挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンが好ましい。なお、単量体単位(c)は、共役ジエンを共重合して得られ、炭素−炭素間二重結合が残存しているものをいう。
飽和化共役ジエン単量体単位(d)(以下、適宜、単量体単位(d)という)は、単量体単位(c)の炭素−炭素間二重結合が水素添加により飽和化された構造単位および/またはα−オレフィンを共重合することによって得られる構造単位である。α−オレフィンとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。なお、飽和化共役ジエン単量体単位(d)は、共役ジエン単位の炭素−炭素間二重結合を水素添加して得られたものであることが好ましい。
ニトリル基含有高飽和共重合ゴム中における単量体単位(c)および単量体単位(d)の含有量は、単量体単位(c)および単量体単位(d)の合計で、20〜89.9重量%であり、好ましくは45〜89.5重量%、より好ましくは53〜84重量%である。単量体単位(c)と単量体単位(d)との合計の含有量が少なすぎると、得られる架橋物のゴム弾性が低下する傾向にある。一方、多すぎると、得られる架橋物の耐寒性、耐油性が低下する傾向にある。
さらに、ニトリル基含有高飽和共重合ゴム中における単量体単位(c)と単量体単位(d)との合計の含有量を100重量%とした場合に、この合計の含有量に対する単量体単位(d)の割合は、70重量%以上であり、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。単量体単位(c)と単量体単位(d)との合計の含有量に対する単量体単位(d)の割合が低すぎると(すなわち、飽和度が低すぎると)、得られる架橋物の耐熱性が低下する傾向にある。
本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムには、本発明の効果を損なわない範囲で、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノブチル、共役ジエン及びα−オレフィン、と共重合可能なその他の単量体単位を含有することができる。その他の単量体単位を形成する単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの、マレイン酸モノブチル及びフマル酸モノブチル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;無水マレイン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物;スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニル単量体;フルオロエチルビニルエーテル、テトラフルオロエチレンなどのフッ素含有ビニル単量体;N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミドなどの共重合性老化防止剤;などが挙げられる。これらは、一種を単独で用いてもよく、複数種類を併用してもよい。
これらの共重合可能なその他の単量体単位の含有量は、全単量体単位100重量%中に、好ましくは50重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムのムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は、10〜100であることが好ましく、40〜100であることがより好ましい。ニトリル基含有高飽和共重合ゴムのムーニー粘度が低すぎると、得られる架橋物の引張強さ等の機械的強度が低下する傾向にある。一方、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムのムーニー粘度が高すぎると、加工性が低下する傾向にある。
本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムは、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差(ΔT)が5〜11℃であり、好ましくは6〜10℃、より好ましくは7〜10℃、である。なお、この温度差(ΔT)は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定方法」にしたがって測定することができる。この温度差(ΔT)を上記範囲に制御することにより、得られる架橋物の耐寒性を向上させることができる。
次いで、本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムを製造する方法の、好適な例について説明する。
本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムは、たとえば、各単量体単位(a)、(b1)、(b2)、(c)、(d)を構成することとなる各単量体を含有する単量体混合物を調製し、この単量体混合物を共重合させ、得られた共重合体を選択的に水素添加することにより製造することできる。
まず、各単量体単位(a)、(b1)、(b2)、(c)、(d)を構成することとなる各単量体を含有する単量体混合物を調製する。本発明においては、単量体単位(a)を構成することとなるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、単量体単位(b1)および/または単量体単位(b2)を構成することとなるマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルと、単量体単位(c)、(d)を構成することとなる共役ジエン単量体とを準備し、これらを混合することにより、単量体混合物を調製する。ここで、本発明においては、マレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルとしては、重合に使用するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルのうち一部を用いて、単量体混合物を調製する。
そして、得られた単量体混合物を用いて共重合を行う。共重合させる方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法および溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性等から、従来公知のゴムの製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法により重合させることが好ましい。なお、乳化重合法により共重合させる場合には、通常の方法を用いればよく、また、重合開始剤、重合停止剤、乳化剤等は一般的に用いられる従来公知のものを使用すればよい。
本発明においては、単量体混合物の共重合の途中に、重合に使用するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルのうちの残部を添加する。すなわち、本発明においては、共重合に供する単量体混合物中に、重合に使用するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルのうちの一部のみを、添加した状態で共重合を開始させ、これらのうち残部については、共重合の途中で追加添加するという方法を採用する。そして、このような方法を採用することにより、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差(ΔT)を上記範囲に制御することができる。
なお、予め単量体混合物中に含有させるマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルと、共重合の途中で追加添加するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルと、の合計を100重量%とした場合に、これらの合計に対する、予め単量体混合物中に含有させるマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルの割合は、好ましくは10〜90重量%であり、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは40〜70重量%である。また、共重合の途中で追加添加するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルの割合は、好ましくは10〜90重量%であり、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。共重合の途中で追加添加するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルの割合が低すぎても、また、高すぎても、補外ガラス転移開始温度(Teg)が高くなってしまい、結果として、温度差(ΔT)が大きくなり過ぎてしまう。
また、共重合の途中で追加添加するマレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルの添加時期としては、特に限定されないが、単量体混合物の共重合が開始し、重合転化率が好ましくは10〜75%、より好ましくは15〜70%、さらに好ましくは20〜65%となった時点とすることが好ましい。
さらに、マレイン酸モノブチルおよび/またはフマル酸モノブチルを共重合の途中で追加添加する際には、複数回に分けて添加することが、上記温度差(ΔT)を所定の範囲に制御し易いため、好ましい。たとえば、2回に分けて添加する場合には、重合転化率が好ましくは10%以上、50%未満となった時点で1回目の添加を行い、重合転化率が好ましくは50〜75%となった時点で2回目の添加を行うことが好ましい。
そして、得られた共重合体に対して、選択的に水素添加することにより、本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムを製造することができる。なお、水素添加に用いる水素添加触媒の種類と量、水素添加温度などは、公知の方法に準じて決めればよい。
架橋性ゴム組成物
本発明の架橋性ゴム組成物は、上記ニトリル基含有高飽和共重合ゴムと、架橋剤と、を含有してなるものである。
架橋剤としては、ポリアミン化合物、有機過酸化物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、アジリジン化合物、硫黄化合物、塩基性金属酸化物および有機金属ハロゲン化物などのゴムの架橋に通常用いられる従来公知の架橋剤を用いることができる。なかでもポリアミン化合物および有機過酸化物が好ましく、機械的特性に優れ、圧縮永久ひずみが小さいゴム架橋物が得られ易いことから、ポリアミン化合物(以下、「ポリアミン系架橋剤」という。)がより好ましい。
ポリアミン系架橋剤としては、(1)2つ以上のアミノ基を有する化合物、または(2)架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物が好ましい。その具体例として、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミンジベンゾエート塩などの脂肪族多価アミン類;2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド構造を2つ以上有する化合物;などが挙げられるが、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物中における架橋剤の含有量は、ニトリル基含有高飽和共重合ゴム100重量部に対し、好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは1.5〜10重量部である。架橋剤の含有量が少なすぎると、引張応力に優れ、圧縮永久ひずみが小さいゴム架橋物が得られにくいおそれがあり、逆に、多すぎるとゴム架橋物の耐屈曲疲労性が低下する可能性がある。
本発明の架橋性ゴム組成物には、上記ニトリル基含有高飽和共重合ゴム、および架橋剤以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤、例えば、架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、補強性充填材(カーボンブラック、シリカなど)、非補強性充填材(炭酸カルシウム、クレーなど)、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、着色剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴム以外のゴムを配合してもよい。本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴム以外のゴムの配合量は、本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴム100重量部に対して、通常、30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(水素化物を除く)、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
また、水素化していないアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムのような不飽和度の高いニトリル基含有共重合ゴムを配合する場合に、その配合量が多すぎると、得られる架橋物の耐空気加熱老化性、耐屈曲疲労性、伸び、が低下し、圧縮永久ひずみが増大する傾向にある。
なお、本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴム以外のゴムを配合する場合は、それらのゴムを架橋できる架橋剤を必要量加えてもよい。
本発明の架橋性ゴム組成物は、他のゴム組成物と同様に一般的なゴム組成物の調製方法で調製すればよく、密閉式混合機やオープンロールなどを用いて混練すればよい。架橋剤や架橋助剤を配合する際に、架橋剤や架橋助剤の配合以降は、混練中に架橋しないように、架橋開始温度以下になるように温度調整をするのも一般的な架橋性ゴム組成物の調製方法と同様であり、通常は、架橋剤、架橋助剤などを含有しないゴム組成物を調製した後、これらの架橋に関わる成分をそれらに応じた架橋開始温度未満で配合し、混合すればよい。
架橋物
本発明の架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋することにより得られるものである。
架橋性ゴム組成物を架橋する方法は、特に限定されないが、架橋時の温度は、100〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは130〜180℃である。架橋時の温度が低すぎると、架橋時間が長時間必要となったり、得られる架橋物の架橋密度が低くなったりする場合がある。架橋時の温度が高すぎると、成形不良となる場合がある。
また、架橋時間は、架橋方法、架橋温度、架橋物の形状などにより異なるが、得られる架橋物の架橋密度や生産効率の面より、1分以上、5時間以下の範囲が好ましい。架橋のための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に通常用いられる方法から適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明の架橋物は、上述した本発明のニトリル基含有高飽和共重合ゴムを用いて得られるものであるため、耐油性および耐寒性に優れ、圧縮永久ひずみ、特にO−リング形状の成形体とした場合における圧縮永久ひずみ(O−リング圧縮永久ひずみ)が小さいという特性を有するものである。
そして、このような本発明の架橋物は、その特性を活かして、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウェルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール用ゴム部材;および、インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;として好適に用いられる。
また、本発明のゴム架橋物は、印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、化粧品、および医薬品の分野、食品と接触する分野、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することもできる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。本実施例における「部」は、特記しない限り重量基準である。なお、試験、評価は下記によった。
ガラス転移温度
ニトリル基含有高飽和共重合ゴムについて、JIS K7121にしたがい、熱流束示差走査熱量測定を行い、補外ガラス転移開始温度(Tig)および補外ガラス転移終了温度(Teg)を測定した。本実施例においては、測定精度を高めるために、加熱速度を毎分20℃から毎分10℃に変更して測定した。なお、ΔTは、TegとTigとの差の絶対値である。
ムーニー粘度(ポリマームーニー)
ニトリル基含有高飽和共重合ゴムのムーニー粘度(ポリマームーニー、〔ML1+4(100℃)〕)を、JIS K6300−1に従って測定した。
常態物性(引張強さ、伸び、硬さ)
縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型を用いて、架橋性ゴム組成物を、加圧しながら170℃で20分間プレス成形することにより、シート状架橋物を得て、これをギヤー式オーブンにて170℃、4時間の条件で、二次架橋させることにより、厚さ2mmの架橋物のシートを得た。次いで、得られた架橋物のシートを、3号形ダンベルを用いて打ち抜くことにより、シート状の試験片を作製した。そして、得られたシート状の試験片を用いて、JIS K6251に従い、架橋物の引張強さ、および伸びを測定し、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機タイプA形を用いて架橋物の硬さを測定した。
耐寒性(ゲーマンねじり試験)
ゴム架橋物の耐寒性は、JIS K 6261に従い、T10(℃)を測定することにより評価した。T10の温度が低いほど耐寒性に優れると判断される。
Disk圧縮永久ひずみ(Diskセット試験)
内径29mm、深さ12.5mmの金型を用いて、架橋性ゴム組成物について、加圧しながら170℃で20分間プレス成形することにより、シート状架橋物を得て、これをギヤー式オーブンにて170℃、4時間にて、二次架橋を行うことによりDiskセット試験用の試験片を得た。そして、得られた試験片を用いて、25%圧縮した状態で、150℃にて168時間保持の条件でJIS K6262にしたがって、Disk圧縮永久ひずみを測定した。
O−リング圧縮永久ひずみ(O−リングセット試験)
内径30mm、リング径3mmの金型を用いて、架橋性ゴム組成物について、加圧しながら170℃で20分間プレス成形することにより、リング状架橋物を得て、これをギヤー式オーブンにて170℃、4時間にて、二次架橋を行うことによりO−リングセット試験用の試験片を得た。そして、得られた試験片を用いて、O−リングを挟んだ二つの平面の距離をリング厚み方向に25%圧縮した状態で150℃にて168時間保持の条件、および150℃にて504時間保持の条件の2条件で、JIS K6262にしたがって、O−リング圧縮永久ひずみを測定した。
実施例1
反応器に、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、アクリロニトリル37部、マレイン酸モノn−ブチル3部、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン57部を仕込んだ。反応器を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら重合反応を継続し、途中重合転化率が40%、及び60%になった時点で、それぞれ1.5部のマレイン酸モノn−ブチルを添加し16時間重合反応を継続した。濃度10重量%のハイドドキノン水溶液(重合停止剤)0.1部を加えて重合反応を停止した後、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去し、アクリロニトリル−ブタジエン−マレイン酸モノn−ブチル共重合ゴムラテックス(固形分濃度約30重量%)を得た。
得られた共重合ゴムラテックスについて、該ラテックスに含有される乾燥ゴム重量に対してパラジウム含有量が1000ppmになるようにオートクレーブにパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)を添加して、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行い、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムラテックスを得た。
得られたニトリル基含有高飽和共重合ゴムラテックスに2倍容量のメタノールを加えて、ニトリル基含有高飽和共重合ゴムを凝固した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリル基含有高飽和共重合ゴムを得た。
得られたニトリル基含有高飽和共重合ゴムの全重合体中における、各単量体単位の含有割合および物性を表1に示す。なお、ニトリル基含有高飽和共重合ゴム中の単量体単位の含有割合は、H−NMRに基づいて求めた値である。
次いで、バンバリーミキサを用いて上記にて調製したニトリル基含有高飽和共重合ゴム100部に、FEFカーボンブラック(旭60、旭カーボン社製)40部、トリメリット酸エステル(アデカサイザーC−8、旭電化社製、可塑剤)5部、ステアリン酸(架橋促進助剤)1部、4,4’−ジ−(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(ナウガード445、Crompton社製、老化防止剤)1.5部、および、2−メルカプトベンズイミダゾール(ノクラックMB、大内新興社製、老化防止剤)1.5部を添加して混合し、次いで、混合物をロールに移して1,3−ジ−o−トリルグアニジン(ノクセラーDT、大内新興社製、架橋促進剤)2部、および、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(Diak#1、デュポンダウエラストマー社製、架橋剤)2.5部を添加して混練し、架橋性ニトリルゴム組成物を調製した。そして、得られた架橋性ゴム組成物を用いて、上記方法にしたがい、架橋物を作製し、常態物性、耐寒性、Disk圧縮永久ひずみ、およびO−リング圧縮永久ひずみの各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
重合開始時に用いるマレイン酸モノn−ブチルの量を2部とし、マレイン酸モノn−ブチルの中途添加の時期および量を、重合転化率40%となった時点で2部、重合転化率60%となった時点でさらに2部とした以外は、実施例1と同様にして、表1に示す組成を有するニトリル基含有高飽和共重合ゴムを調製し、同様にして架橋物を得て、各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
重合開始時に用いるマレイン酸モノn−ブチルの量を6部とし、マレイン酸モノブチルの中途添加を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、表1に示す組成を有するニトリル基含有高飽和共重合ゴムを調製し、同様にして架橋物を得て、各評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005652205
表1に示すように、マレイン酸モノn−ブチル単位(b1)を所定割合で含有し、補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)との温度差(ΔT)が5〜11℃の範囲にあるニトリル基含有高飽和共重合ゴムを用いて得られる架橋物は、常態物性を良好に保ちながら、耐寒性に優れ、Disk圧縮永久ひずみ、およびO−リング圧縮ひずみが小さくなる(優れる)結果となった(実施例1、2)。
これに対して、マレイン酸モノn−ブチルを中途添加しない場合には、温度差(ΔT)が13℃と本発明で規定する範囲外となり、圧縮永久ひずみが大きく(劣っている)、耐寒性に劣る結果となった(比較例1)。

Claims (8)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)10〜60重量%、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)0.1〜20重量%、ならびに、共役ジエン単量体単位(c)および飽和化共役ジエン単量体単位(d)の合計20〜89.9重量%を含有し、前記単量体単位(c)と前記単量体単位(d)との合計含有量に対する前記単量体単位(d)の含有量が70重量%以上であるニトリル基含有高飽和共重合ゴムであって、
    示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が5〜11℃であるニトリル基含有高飽和共重合ゴムと、
    ポリアミン系架橋剤と、を含有してなる架橋性ゴム組成物
  2. 前記示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が7〜10℃である請求項1に記載の架橋性ゴム組成物
  3. 前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)の含有割合が、0.1〜7重量%である請求項1または2に記載の架橋性ゴム組成物。
  4. 前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)が、マレイン酸モノブチル単位(b1)である請求項1〜3のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
  6. O−リングである請求項に記載の架橋物。
  7. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)10〜60重量%、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)0.1〜20重量%、ならびに、共役ジエン単量体単位(c)および飽和化共役ジエン単量体単位(d)の合計20〜89.9重量%を含有し、前記単量体単位(c)と前記単量体単位(d)との合計含有量に対する前記単量体単位(d)の含有量が70重量%以上であり、示差走査熱量測定における補外ガラス転移開始温度(Tig)と補外ガラス転移終了温度(Teg)の温度差が5〜11℃であるニトリル基含有高飽和共重合ゴムを製造する方法であって、
    前記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a)、前記共役ジエン単量体単位(c)および前記飽和化共役ジエン単量体単位(d)を構成することとなる単量体の全量、ならびに、前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を構成することとなる単量体の全量のうち一部を用いて、共重合を開始し、
    次いで、重合転化率が10〜75%となった時点で、マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を構成することとなる単量体の全量のうちの残部を追加添加して共重合体を得た後、
    該共重合体に対して、選択的に水素添加するニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの製造方法。
  8. 共重合開始時に用いる前記マレイン酸モノブチル単位(b1)および/またはフマル酸モノブチル単位(b2)を構成することとなる単量体の比率が、該単量体の全量100重量%に対して10〜90重量%である請求項に記載のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの製造方法。
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