JP5650030B2 - 鋼製スリットダム - Google Patents
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Description
この鋼製スリットダムについて、さまざまな形状、構造の技術があるが、特に流木捕捉工対策として設置する場合、流木の捕捉性能はもちろんのこと、捕捉した流木の撤去が容易であることが重要視される。この捕捉した流木を撤去することが容易な形状、構造として、側面方向に連続させて配置しても互いに頭部を連結させない鋼管材を複数設置してなる鋼製スリットダムがある(例えば、特許文献1を参照)。
この鋼製スリットダムによると、前記鋼管材Aを、側面方向に連続する配置であっても互いに頭部を連結せずに設置されるので、特に流木捕捉工対策として設置された場合、バックホウのアームが、隣接する鋼管材Aと鋼管材Aとの間に入り易く、捕捉した流木の撤去作業を容易に行うことができる利点がある。
具体的に、各鋼管材1、2の水平方向に設けたフランジは、面一に突き合わせ、その上にボルト孔を設けたカバープレートを、該ボルト孔が、面一に突き合わせたフランジのボルト孔と一致するように載置し、該一致したボルト孔にボルトを通してナットで締結していた。と同時に、各鋼管材1、2の鉛直方向に設けたフランジ(ガゼットプレート)を、ボルト孔が一致するように重ね合わせ、該一致したボルト孔にボルトを通してナットで締結していた。
したがって、各鋼管材1、2の頭頂部同士を接合するには、水平方向及び鉛直方向にボルト孔を設けたフランジを設けるための溶接作業や、フランジを保持するための補強リブを設けるための溶接作業が必要になるほか、前記カバープレートと多数のボルトが必要になり、溶接量、加工量、および部材点数が多く、手間があった。加えて、各鋼管材1、2の水平方向のフランジを面一に揃えると同時に、鉛直方向のフランジに設けた多数のボルト孔を一致させなければならず、鋼管材のサイズ(径40〜60cm程度、長さ2〜6m程度、重量1500〜4300kg程度)が大掛かりであり、精度の高い現場作業が要求された。
また、特許文献1に係る鋼管材Aは、前記した頭頂部の接合作業に加え、中途部を連結部材4を用いて水平方向に連結する作業も併せて行う必要があり、以上の問題がさらに顕著となる。
また、接合する部位を下流側に設けることにより、流木の接合部位への直撃を低減でき、より安全性を高めることができる鋼製スリットダムを提供することにある。
前記繋ぎ材は、その上端部が前記上流側の鋼管材の上端部に前記山形の頂角をなす角度で溶接により一体的に接合されており、前記下流側の鋼管材は、その上方部分を、内面に突起や鉄筋が設けられてコンクリート充填可能な構成とされており、該下流側の鋼管材の上端開口部内に、前記繋ぎ材の下端部が挿入されると共にコンクリートが充填されて埋め込み接合されてなることを特徴とする。
下流側の鋼管材(有底の内面突起付鋼管)の上端開口部内に、上流側の鋼管材の上端部に一体的に接合した繋ぎ材(H形鋼、角形鋼管等)の下端部が挿入されると共にコンクリートが充填(圧入)されて埋め込み接合する構成で実施することにより、上記特許文献1と比し、カバープレート、補強リブ、フランジ、及びボルトを無用化でき、フランジ等を取り付けるための溶接作業、フランジの位置合わせ作業、及びボルト接合作業を行うことなく自立式の山形鋼管材を構築できる。よって、施工性および経済性に非常に優れている。
また、接合する部位を下流側に設けることにより、流木の接合部位への直撃を低減でき、より安全性を高めることができる。
前記繋ぎ材3は、その上端部が前記上流側の鋼管材1の上端部に前記山形の頂角をなす角度で溶接により一体的に接合されており、前記下流側の鋼管材2は、その上方部分を、内面に突起や鉄筋が設けられてコンクリート充填可能な構成とされており、該下流側の鋼管材2の上端開口部内に、前記繋ぎ材3の下端部が挿入されると共にコンクリート8が充填されて埋め込み接合されてなる。
ちなみに、本実施例に係る前記下流側の鋼管材2は、コンクリート基礎から傾斜して立ち上がる鋼管材2bの上端部に有底の内面突起付鋼管2aを溶接接合してなる構成で実施されている。
前記鋼管材1、2の下端部はそれぞれ、コンクリート基礎9にほぼ均等に埋め込み固定されている。
なお、隣り合う前記自立式山形鋼管材の頭部同士は連結されていない。
なお、前記有底の内面突起付鋼管2aは、前記鋼管材2bと分離した状態で現場に搬送され、現場溶接により接合して実施してもよい。
前記有底の内面突起付鋼管2aは、充填されるコンクリート8との付着強度を向上させるために用いられ、下端部には充填されるコンクリート8の内圧に耐えられる程度の剛性を有するベニア板等の底板部材を備えた鋼管の内側面にリング状の突起を等間隔に複数設けてなる。該内面突起付鋼管2aは、一般的な鋼管と比し、材料費が嵩むため、充填されるコンクリート8との付着力を介して荷重を伝達できるのに必要な長さ(本実施例では1250mm程度)で実施される。
前記上流側の鋼管材1は、長さ3500mm程度、径500mm程度、肉厚12mm程度である。前記有底の内面突起付鋼管2aは、長さ1250mm程度、径500mm程度、肉厚9mm程度、材質SKK490、内面突起4の高さは2.5mm程度、内面突起4の間隔は40mm程度である。前記鋼管材2bは、長さ2000mm程度、径500mm程度、肉厚12mm程度である。
前記繋ぎ材(角形鋼管)3は、長さ800mm程度、横断面が1辺200mm程度の正方形状、肉厚8mm程度である。前記支圧板3aは、横断面が1辺250mm程度の正方形状、厚さが24mm程度である。
なお、前記数値は勿論これに限定されず、設置する河川水の幅、自立式山形鋼管材10の数量、河川水の想定流量等に応じて適宜設計変更可能である。
また、隣り合う前記自立式山形鋼管材10の配置間隔は、設置する現場の調査結果から決められるため一様でなく状況に応じて適宜設計変更されるが、一般的に1〜7m程度の間隔が採用されている。
しかる後、前記有底の内面突起付鋼管2a内にコンクリートを充填(圧入)し、前記繋ぎ材3と有底の内面突起付鋼管2aとをコンクリート8を介して接合することにより自立式山形鋼管材10を構築する。
なお、前記繋ぎ材3の中心軸線と、下流側の鋼管材2(有底の内面突起付鋼管2a及び鋼管材2b)の中心軸線はほぼ一致させることが好ましいが、構造力学上、上流側の鋼管材1(繋ぎ材3)に作用する荷重(押し込み力)を確実に下流側の鋼管材2へ伝達できればよいので、若干の芯ずれは許容される。ちなみに本実施例では、50mm程度の芯ずれは許容範囲とされている。
具体的には、前記繋ぎ材3を前記有底の内面突起付鋼管2a内に挿入させた状態で、当該2つの分割構造体をクレーン等の重機で起立させ、前記繋ぎ材3の中心軸線と、下流側の鋼管材2の中心軸線をほぼ一致させた、ほぼ左右対称配置の山形状を保持させつつ、前記鋼管材1、2の下端部に設けたベースプレート5、5を、ベースプレート下面まで打設した基礎コンクリート上にアンカーボルト7で固定することにより当該鋼管材1、2の建て込みを行う。しかる後、基礎天端まで打設したコンクリートにより前記鋼管材1、2の下端部がコンクリート基礎9に埋め込み固定させる。なお、前記各中心軸線について、構造力学上、50mm程度の芯ずれはコンクリート8を介して良好な軸力(圧縮力)を伝達可能であり、許容される。
次に、前記繋ぎ材3の下半部分が挿入された前記有底の内面突起付鋼管2aの内部にコンクリート8を充填する埋め込み接合を行う。コンクリート充填作業は、前記有底の内面突起付鋼管2aの上端開口部から充填する手法でもよいし、予め下端部(底部)外周に充填孔を設けておき、該充填孔から圧入する手法でもよい。
また、接合する部位を下流側に設けることにより、流木の接合部位への直撃を低減でき、より安全性を高めることができる。
この鋼製スリットダムに係る自立式山形鋼管10’は、上記実施例1に係る自立式山形鋼管材10と比し、繋ぎ材に、外面突起23a付きの角形鋼管23を用いている点が主に相違する。ちなみに、図示例の前記突起23aは概略的に示しているが、通常、突起高さは2〜3mm程度、突起間隔は30〜40mm程度で実施される。
実施例1では、上流側の鋼管材1(繋ぎ材3)に作用する荷重(押し込み力)を確実に下流側の鋼管材2へ伝達するため、繋ぎ材3に支圧板3aを設けて、さらに支圧板3aの下方に位置するコンクリート8の層厚をある程度設けている。しかし、実施例2の本形態では、前記外面突起付き角形鋼管23を繋ぎ材に用いることで、上記実施例1と比して、充填コンクリート8の付着強度が飛躍的に高まり、上流側の鋼管材1(繋ぎ材23)に作用する荷重(押し込み力)を確実に下流側の鋼管材2へ伝達させることができる。よって、高価な内面突起付鋼管2aを半分程度に短尺化できると共に、充填コンクリート8の使用量を低減できるので、非常に経済的である。
したがって、この実施例2によれば、上述した実施例1の作用効果に加え、さらに経済的である。
例えば、本発明に係る鋼製スリットダム11は、主として流木捕捉工対策として実施するので、自立式山形鋼管材10の内部構造は空洞で実施しているが、これに限定されず、
上流側の鋼管材1および下流側の鋼管材2にコンクリート等の充填材を充填して実施することも勿論できる。
また、本実施例では、下流側の鋼管材2の上方部分を有底の内面突起付鋼管2aで実施しているがこれに限定されず、内面に鉄筋を配筋した鋼管を代用するなど、充填コンクリート8との付着強度を高める鋼管であればよい。前記内面突起付鋼管2aの底部を形成するベニア板は、該内面突起付鋼管2a側でなく、コンクリート基礎9から傾斜して立ち上がる鋼管材2bの上端部に設けておく等の設計変更は適宜行われるところである。
さらに、前記ベースプレート5の形態は、図示例に限定されず、自立式山形鋼管材10を安定した状態で設置できることを条件に、種々のバリエーションで実施できる。前記自立式山形鋼管材10の設置数量、及び形態は、もちろん図示例に限定されず、設置する河川床の幅、河川水の想定流量等に応じ適宜増減されるし、横一列のみならず、横二列等、種々のバリエーションで実施可能である。
2 下流側の鋼管材
2a 有底の内面突起付鋼管
2b 鋼管材
3 繋ぎ材(角形鋼管)
3a 支圧板(ベースプレート)
4 突起
5 ベースプレート
6 補強リブ
7 アンカーボルト
8 コンクリート
9 コンクリート基礎
10 自立式山形鋼管材
10’ 自立式山形鋼管材
11 鋼製スリットダム
13 繋ぎ材(H形鋼)
13a 支圧板(ベースプレート)
23 繋ぎ材(外面突起付角形鋼管)
23a 突起
Claims (4)
- 上流側の鋼管材と下流側の鋼管材とを河川水の流れ方向に傾斜させ繋ぎ材を介して山形状に組み、コンクリート基礎に設置してなる自立式山形鋼管材を、河川水の流れ方向とは直行する方向に間隔をあけて複数設置してなる鋼製スリットダムであって、
前記繋ぎ材は、その上端部が前記上流側の鋼管材の上端部に前記山形の頂角をなす角度で溶接により一体的に接合されており、前記下流側の鋼管材は、その上方部分を、内面に突起や鉄筋が設けられてコンクリート充填可能な構成とされており、該下流側の鋼管材の上端開口部内に、前記繋ぎ材の下端部が挿入されると共にコンクリートが充填されて埋め込み接合されてなることを特徴とする、鋼製スリットダム。 - 前記下流側の鋼管材は、コンクリート基礎から傾斜して立ち上がる鋼管材の上端部に有底の内面突起付鋼管が溶接接合されてなることを特徴とする、請求項1に記載した鋼製スリットダム。
- 前記繋ぎ材は、下端部に支圧板を備えたH形鋼、角形鋼管、若しくは丸形鋼管であること、又は外面突起付のH形鋼、角形鋼管、若しくは丸形鋼管であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した鋼製スリットダム。
- 隣り合う前記自立式山形鋼管材の頭部同士は連結されていないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した鋼製スリットダム。
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