JP5648327B2 - 高純度o−トリジンスルホンの製造方法 - Google Patents

高純度o−トリジンスルホンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミド、ポリイミドなどの原料として好適に用いることができる高純度o−トリジンスルホン類の製造方法に関する。この製造方法によれば、副生するo−トリジンスルホンスルホン酸などの含有量が少ない高純度o−トリジンスルホン類を容易に得ることができる。
特許文献1には、o−トリジンスルホンをコポリアミド繊維のジアミン成分として使用することが記載されている。この文献には、使用するo−トリジンスルホンについて、o−トリジンを硫酸塩にしたのち、発煙硫酸中でスルホン化することによってo−トリジンスルホンを合成することができる旨記載があり、参考例でo−トリジン硫酸塩を発煙硫酸中で80〜85℃に加温してスルホン化したことが記載されている。
しかし、この方法で製造した場合、発煙硫酸によるスルホン化が更に進行してベンゼン環の水素の位置がスルホン酸に置換したスルホン酸化合物(o−トリジンスルホンスルホン酸)が目的物のo−トリジンスルホンに対し1質量%以上副生する。この副生成物のスルホン酸化合物は、化学的性質が目的物であるo−トリジンスルホンと非常に類似しているために容易に分離除去することができない。
また、この製造方法では酸やアルカリを使用するので、使用した酸やアルカリ及びそれらの塩を分離除去することが必要であるが、特にアルカリに起因するアルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属成分は、中和工程で酸と反応して塩を形成すると共に、副生成物のスルホン酸化合物(o−トリジンスルホンスルホン酸)とも塩を形成するために、金属成分も容易に分離除去することができない。
o−トリジンスルホンに、副生成物のスルホン酸化合物(o−トリジンスルホンスルホン酸)やその金属塩が残存すると、ポリアミドやポリイミドを得るための重合反応に影響が及ぶことがあり好ましくない。このため、副生するo−トリジンスルホンスルホン酸などの不純物の含有量が少ない高純度のo−トリジンスルホンを得ることが求められていた。
特公昭57−34367号公報
本発明の目的は、副生するo−トリジンスルホンスルホン酸などの不純物の含有量が少ない高純度o−トリジンスルホン類を容易に得ることができる製造方法を提案することである。
本発明は、以下の各項に関する。
1. o−トリジン類と発煙硫酸とを反応させるo−トリジンスルホン類の製造方法において、反応の最高温度を70℃以下とすることで副生成物のo−トリジンスルホンスルホン酸の生成を抑制することを特徴とする高純度o−トリジンスルホン類の製造方法。
2. 原料のo−トリジン類として含水物を用いることを特徴とする前記項1に記載の高純度o−トリジンスルホン類の製造方法。
3. o−トリジン1モルに対して、三酸化硫黄(SO)が4モル以上になるように発煙硫酸を用いて反応させることを特徴とする前記項1〜2のいずれかに記載の高純度o−トリジンスルホン類の製造方法。
4. 副生成物のo−トリジンスルホンスルホン酸の含有量が1質量%以下の高純度o−トリジンスルホン類を得ることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載の高純度o−トリジンスルホン類の製造方法。
本発明の製造方法によって、副生するo−トリジンスルホンスルホン酸などの不純物の含有量が少ない高純度o−トリジンスルホンを容易に且つ工業的に効率よく得ることができる。この製造方法で得られるo−トリジンスルホンは高純度であるので、ポリアミドやポリイミドのジアミン成分として好適に用いることができる。
本発明の製造方法で用いる原料のo−トリジン類は、下記化学式(1)で表されるようなジメチルベンジジン骨格を有する化合物である。
Figure 0005648327
原料のo−トリジン類は、発がん性の疑いがあり慎重な取り扱いが要求される。このため、無水物を用いてもよいが、含水物を用いるのが好ましい。o−トリジンの含水物は10〜30質量%程度の水を含有しており、粉末になって飛散し難いので比較的安全に取り扱うことができる。また、原料のo−トリジン類として、o−トリジンの硫酸塩などの塩を用いても構わない。
発煙硫酸は、硫酸に三酸化硫黄(SO)を溶解させたものであり、硫酸に三酸化硫黄が付加した化合物である。発煙硫酸中の三酸化硫黄は、遊離の三酸化硫黄として反応する。本発明において、発煙硫酸は三酸化硫黄を10〜50質量%、好ましくは20〜30質量%含有するものを好適に用いることができる。
三酸化硫黄は水と反応して直ちに硫酸になる。
本発明では、o−トリジンと発煙硫酸とを反応させてo−トリジンスルホンを製造する。この反応においては、o−トリジン1モルに対して三酸化硫黄1モルが反応してo−トリジンのベンゼン環に1個のスルホキシル基が導入され、もう1モルの三酸化硫黄により脱水されて環状スルホンが形成されるので、理論的にはo−トリジン類1モルに対して2モルの三酸化硫黄があれば、o−トリジンスルホンを製造することができる。
しかしながら、本発明においては、o−トリジン1モルに対して、三酸化硫黄が4モル以上、好ましくは5モル以上、更に好ましくは5.5モル以上になるように発煙硫酸を用いて反応させるのが好適である。三酸化硫黄が4モル未満では環状スルホン化反応が効率的に行われず、得られるo−トリジンスルホンの収率が低くなりやすい。
なお、原料としてo−トリジンの含水物を用いる場合には、それに含有される水1モルと三酸化硫黄1モルとは直ちに反応して硫酸になるため、o−トリジン類に含まれる水と反応して消費される三酸化硫黄の量(水と等モル量)を除いた三酸化硫黄が、o−トリジン類1モルに対して、4モル以上、好ましくは5モル以上、更に好ましくは5.5モル以上になるように発煙硫酸を用いて反応させるのが好適である。
また、発煙硫酸を大過剰に用いると、反応後の後処理が困難になるので、o−トリジン1モルに対して、三酸化硫黄が、好ましくは10モル以下、より好ましくは8モル以下、更に好ましくは6.5モル以下、特に好ましくは6.1モル以下になるような量の発煙硫酸を用いて反応させるのが好適である。
o−トリジンと発煙硫酸との反応は、好適には次の工程で行うことができる。
まず、所定量の発煙硫酸中に所定量のo−トリジンを加えて均一に溶解する。この時に発熱が起こるので、高温にならないように必要なら冷却しながら攪拌下に少量ずつo−トリジンを加え、50℃以下、好ましくは10〜30℃程度で、0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間程度攪拌して均一に溶解させるのが好ましい。
次いで、この溶液を徐々に昇温し、最高温度を70℃以下、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下の温度で、0.1〜20時間、好ましくは1〜10時間程度反応を行う。ここでは反応混合物の温度管理が極めて重要である。最高温度が70℃を越えると、発煙硫酸によるスルホン化が更に進行してスルホン酸化合物(o−トリジンスルホンスルホン酸)が目的物のo−トリジンスルホンに対し1質量%以上副生し易くなるので好ましくない。通常、反応の最高温度は10℃以上、好ましくは30℃以上である。
反応終了後の後処理は、次の工程で好適に行うことができる。
先ず、反応混合液を好ましくは40℃程度以下の温度まで冷却する。反応混合液には三酸化硫黄が残存しているので、反応混合液を大量の水に投入して三酸化硫黄を水と反応させて硫酸にする。この結果、目的物であるo−トリジンスルホンは硫酸塩になって析出する。
析出したo−トリジンスルホンの硫酸塩を濾取する。この操作によって、溶解成分である硫酸などの溶解性の不純物を除くことができる。
ここで使用する水の量は、大量であるほど濾液の硫酸濃度が薄くなり、取り扱いは容易になるかも知れないが、本発明では比較的多くの発煙硫酸を用いているため極めて大きな装置が必要になり、目的物の量に比べて過大な装置が必要になるから実際的ではない。この工程で使用する水の量は、結果として、濾液の硫酸の濃度が15〜35質量%好ましくは20〜26質量%程度になるように決めるのが、反応工程や精製工程も含めた工程全体の装置の大きさのバランスや濾液の後処理の容易性を勘案すると好適である。濾液の硫酸濃度が35質量%を越えた場合は安全性の面で取り扱いが難しく、15質量%未満の場合は取り扱う全体の液量が過大になって装置の大型化や生産性の悪化を招くので好ましくない。
すなわち、使用する水の量は、前記条件を満たすように決めるのが好ましい。原料のo−トリジンの量、発煙硫酸の濃度や量などに依存するので一義的に決められないが、通常用いる水の量は、原料のo−トリジン100質量部当たり3000〜4500質量部、好ましくは3000〜4000質量部、より好ましくは3000〜3500質量部程度が好適である。
濾取したo−トリジンスルホンの硫酸塩からなるウエット結晶は、特に乾燥する必要はなく、再び水に加えて懸濁させ、これに水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリを加えて液をアルカリ性にし、遊離のo−トリジンスルホンとする。水の量は、限定するものではないがo−トリジンスルホンの硫酸塩100質量部に対して通常1000〜3000質量部好ましくは2000〜3000質量部程度であり、アルカリを加えることによってpHが7〜10程度のアルカリ性にするのが好適である。この操作は、液を懸濁状態のままで好適に行うことができる。アルカリは、o−トリジンスルホンの硫酸塩をアルカリ性の環境にするのが目的であるから、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウムなどの強アルカリがよく、それらは水溶液にして加えるのが好ましい。
この懸濁液を濾過して粗o−トリジンスルホンを得ることができる。
この濾取した粗o−トリジンスルホン中には、加えたアルカリ成分に起因した例えば硫酸ナトリウムのような塩が多量に残存している。
また、反応混合液には副生成物であるスルホン酸化合物類(o−トリジンスルホンスルホン酸)の硫酸塩が含まれ、前記処理によっても分離除去できず残存しているので、この副生成物もスルホン酸化合物(o−トリジンスルホンスルホン酸)のナトリウム塩のような塩になって、粗o−トリジンスルホン中に残存している。
このため、粗o−トリジンスルホンはさらに精製する必要がある。
粗o−トリジンスルホンの精製は、酸性水溶液で処理して、前工程で加えたアルカリと反応して生じた塩を取り除く方法によって好適に行われる。
具体的には、特許文献1に記載されているように、大量の水と塩酸でo−トリジンスルホンを塩酸塩にして溶解し、更に活性炭やハイドロサルファイトで不純物を除去した後で、水酸化ナトリウム水溶液を加えて弱アルカリ性にpH調整することによってo−トリジンスルホンを沈殿させ、濾過して回収する方法でもよい。しかしこの方法では、o−トリジンスルホンの塩酸塩の水への溶解度が非常に低いために、取り扱う液量が非常に多量になって非常に大きな装置が必要になり、また生産性も良くない。
本発明において、粗o−トリジンスルホンを塩酸塩として完全に溶解させず、酸性水溶液中で懸濁させた状態のままで処理し、その後水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ成分を加えてpHを調製することによって、必要な品質のo−トリジンスルホンを得る方法が好ましい。この方法によれば、取り扱う液量が過大にならないし、また生産性も良好である。
酸性水溶液中で懸濁させた状態のままで処理する方法において、洗浄の効果・効率を考えた場合、酸性にするために用いる酸は比較的溶解性が高い塩酸を用いるのが好ましい。硫酸や燐酸などの他の酸でも構わないが、洗浄の効果・効率が悪くなる。
また、得られるo−トリジンスルホンに含有されるナトリウムなどの金属成分の量を減少させるためには、粗o−トリジンスルホンを酸性水溶液で処理した後のアルカリ成分によるpH調整において、特許文献1に記載のような弱アルカリ性に調整するのではなく、pHを好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下であって、1.5以上の酸性領域に調整することが好適である。このような調整によって、濾過に要する期間を大幅に短縮できるので生産効率を改善することができる。また、ナトリウムなどの金属成分の含有量を好ましくは150ppm以下好ましくは100ppm以下より好ましくは80ppm以下に抑制することができる。
前記精製後、濾過によって得られたo−トリジンスルホンは、好ましくはエタノールなどで洗浄した後で、好ましくは減圧下、130℃以下、特に100〜120℃程度の温度範囲で加熱することによって好適に乾燥することができる。
本発明において得られるo−トリジンスルホンは、下記化学式(2)(3)(4)で表される異性体の混合物である。
Figure 0005648327
Figure 0005648327
Figure 0005648327
なお、本発明における副生成物のo−トリジンスルホンスルホン酸は、下記化学式(5)で表される化合物である。
Figure 0005648327
本発明によれば、副生成物のo−トリジンスルホンスルホン酸の含有量が1%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下の高純度o−トリジンスルホンを好適に得ることができる。このような高純度o−トリジンスルホンは、ポリアミドやポリイミドなどのポリマーのジアミン成分として好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた測定方法は次のとおりである。
[HPLC分析]
HPLC分析条件は以下のとおり。
測定装置:高速液体クロマトグラフ L−7000シリーズ 日立製作所製
カラム:ODS−80Ts 250mm×4.6mm
カラム温度:40℃
溶離液:MeOH/H
流量:1ml/min
グラジエント:5/95(0−10min)→50/50(19−45min)
検出器:紫外吸光検出器
検出波長:254nm
この分析条件で、リテンションタイム5〜45分のピークをカウントした。例えばリテンションタイムが22〜24分付近にo−トリジンスルホンスルホン酸の異性体の複数のピーク、24〜28分付近にo−トリジンスルホンの異性体の複数のピークが得られた。
[純度の算出]
o−トリジンスルホンの純度(%)とo−トリジンスルホンスルホン酸の含有量(%)は、HPLC分析結果(ピーク面積)から下式に従って計算した。
Figure 0005648327
Figure 0005648327
[収率の算出]
収率(%)は下式に従って算出した。
Figure 0005648327
[金属の含有量]
金属成分の含有量(ppm)は、試料を硫酸と硝酸で加熱分解後、超純水で定容して検液とし、ICP−AES法により下記の測定装置を用いて分析を行った。単位は(μg/g)=(ppm)である。
測定装置:ICP−AES・エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPS5100型
〔実施例1〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を付けた内容量500mlの四つ口フラスコに、30質量%発煙硫酸420g(三酸化硫黄として1.57mоl)を入れ、内温を30℃から40℃に保ちながら、28.8質量%含水o−トリジン43.6g(o−トリジンとして31.0g、0.146mol)を発熱に注意しながら少しずつ添加した。水で分解する量を除いた三酸化硫黄とo−トリジンとのモル比(三酸化硫黄/o−トリジン)は6.0であった。その後、内温30℃で30分撹拌し、更に30分掛けて60℃に昇温し、同温度で2.5時間撹拌した。この反応液を40℃まで冷却した後、約1300mlの氷水に注ぎ、析出したo−トリジンスルホン硫酸塩の薄い褐色の結晶を濾取した。この結晶を水750mlに加え、更に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にし、90℃に加温し、生じた遊離のo−トリジンスルホンの粗結晶を濾取した。この粗o−トリジンスルホンを水1450mlに投入し、36質量%塩酸水溶液268gを加えて塩酸塩とし75℃に加温して溶解させた。この液に活性炭0.3g、ハイドロサルファイトナトリウム0.4gを加え1時間撹拌し、不溶解物を濾過し、40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9に調整し析出した黄色結晶を濾取した。結晶を水及びエタノールで洗浄した後、減圧下110℃で乾燥して、o−トリジンスルホンの結晶36.9gを得た。収率は91.9%だった。HPLC分析で、この結晶のo−トリジン純度は99.4%、不純物o−トリジンスルホンスルホン酸含有量は0.11%、ナトリウム含有量は72ppmだった。
〔実施例2〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を付けた内容量500mlの四つ口フラスコに、30質量%発煙硫酸304g(SOとして1.14mоl)を入れ、内温を30℃から40℃に保ちながら、13.1質量%含水o−トリジン35.7g(o−トリジンとして31.0g、0.146mol)を発熱に注意しながら少しずつ添加した。水で分解する量を除いた三酸化硫黄とo−トリジンとのモル比(三酸化硫黄/o−トリジン)は6.0であった。その後、内温30℃で30分撹拌し、更に30分掛けて60℃に昇温し、同温度で2.5時間撹拌した。この反応液を40℃まで冷却した後、約900mlの氷水に注ぎ、析出したo−トリジンスルホン硫酸塩の薄い褐色の結晶を濾取した。この結晶を水700mlに加え、更に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にし、90℃に加温し、生じた遊離のo−トリジンスルホンの粗結晶を濾取した。この粗o−トリジンスルホンを水450mlに投入し、36質量%塩酸水溶液90gを加えて塩酸塩とし80℃に加温し1時間撹拌した。この液に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを4に調整し析出した黄色結晶を濾取した。結晶を水及びエタノールで洗浄した後、減圧下110℃で乾燥して、o−トリジンスルホンの結晶38.0gを得た。収率は94.7%だった。HPLC分析で、この結晶のo−トリジン純度は99.3%、不純物o−トリジンスルホンスルホン酸含有量は0.16%。ナトリウム含有量は54ppmだった。
〔実施例3〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を付けた内容量500mlの四つ口フラスコに、30質量%発煙硫酸350g(SOとして1.31mоl)を入れ、内温を30℃から40℃に保ちながら、13.1質量%含水o−トリジン36.1g(o−トリジンとして31.4g、0.148mol)を発熱に注意しながら少しずつ添加した。水で分解する量を除いた三酸化硫黄とo−トリジンとのモル比(三酸化硫黄/o−トリジン)は7.1であった。その後、内温30℃で30分撹拌し、更に30分掛けて60℃に昇温し、同温度で2.5時間撹拌した。この反応液を40℃まで冷却した後、約900mlの氷水に注ぎ、析出したo−トリジンスルホン硫酸塩の薄い褐色の結晶を濾取した。この結晶を水700mlに加え、更に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にし、90℃に加温し、生じた遊離のo−トリジンスルホンの粗結晶を濾取した。この粗o−トリジンスルホンを水450mlに投入し、36質量%塩酸水溶液90gを加えて塩酸塩とし80℃に加温し1時間撹拌した。この液に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを2に調整し析出した黄色結晶を濾取した。結晶を水及びエタノールで洗浄した後、減圧下110℃で乾燥して、o−トリジンスルホンの結晶38.4gを得た。収率は94.6%だった。HPLC分析で、この結晶のo−トリジン純度は99.5%、不純物o−トリジンスルホンスルホン酸の含有量は0.12%。ナトリウム含有量は52ppmだった。
〔比較例1〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を付けた内容量500mlの四つ口フラスコに、30質量%発煙硫酸356g(SOとして1.33mоl)を入れ、内温を30℃から40℃に保ちながら、20質量%含水o−トリジン38.7g(o−トリジンとして31.0g、0.146mol)を発熱に注意しながら少しずつ添加した。水で分解する量を除いた三酸化硫黄とo−トリジンとのモル比(三酸化硫黄/o−トリジン)は6.2であった。その後、内温30℃で30分撹拌し、更に30分掛けて60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌、更に30分掛けて80℃に昇温し、同温度で1.5時間撹拌した。この反応液を40℃まで冷却した後、約1800mlの氷水に注ぎ、析出したo−トリジンスルホン硫酸塩の薄い褐色の結晶を濾過してウェット結晶を得た。この硫酸塩結晶を水750mlに加え、更に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にし、90℃に加温し、生じた遊離のo−トリジンスルホンの粗結晶を濾取した。この粗o−トリジンスルホンを水1800mlに投入し、36質量%塩酸水溶液360gを加えて加温して80℃とし、塩酸塩として溶解させ2時間撹拌した。この液の不溶物を濾別後、液を冷却し、室温で40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9に調整し析出した黄色結晶を濾取した。結晶を水及びエタノールで洗浄した後、減圧下110℃で乾燥して、o−トリジンスルホンの黄色結晶34.4g(0.125mоl)を収率85.6%で得た。得られた結晶のo−トリジンスルホン純度はHPLC分析で98.2%、不純物o−トリジンスルホンスルホン酸の含有量は1.26%。ナトリウム含有量は190ppmだった。
〔比較例2〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を付けた内容量500mlの四つ口フラスコに、30質量%発煙硫酸356g(SOとして1.33mоl)を入れ、内温を30℃から40℃に保ちながら、20質量%含水o−トリジン38.7g(o−トリジンとして31.0g、0.146mol)を発熱に注意しながら少しずつ添加した。水で分解する量を除いた三酸化硫黄とo−トリジンとのモル比(三酸化硫黄/o−トリジン)は6.2であった。その後、内温30℃で30分撹拌し、更に30分掛けて60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌、更に30分掛けて80℃に昇温し、同温度で1.5時間撹拌した。この反応液を40℃まで冷却した後、約1000mlの氷水に注ぎ、析出したo−トリジンスルホン硫酸塩の薄い褐色の結晶を濾取した。この硫酸塩結晶を水750mlに加え、更に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にし、90℃に加温し、生じた遊離のo−トリジンスルホンの粗結晶を濾取した。この粗o−トリジンスルホンを水600mlに投入し、36質量%塩酸水溶液95gを加えて塩酸塩とし加温して80℃で2時間撹拌した。この液を冷却し、室温で40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを4に調整し析出した黄色結晶を濾取した。結晶を水及びエタノールで洗浄した後、減圧下110℃で乾燥して、o−トリジンスルホンの黄色結晶36.4g(0.138mоl)を収率90.9%で得た。得られた結晶のo−トリジンスルホン純度はHPLC分析で98.5%、不純物o−トリジンスルホンスルホン酸の含有量は1.22%。ナトリウム含有量は95ppmだった。
〔比較例3〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を付けた内容量500mlの四つ口フラスコに、30質量%発煙硫酸350g(SOとして1.31mоl)を入れ、内温を30℃から40℃に保ちながら、20質量%含水o−トリジン38.7g(o−トリジンとして31.0g、0.146mol)を発熱に注意しながら少しずつ添加した。水で分解する量を除いた三酸化硫黄とo−トリジンとのモル比(三酸化硫黄/o−トリジン)は6.0であった。その後、内温30℃で30分撹拌し、更に30分掛けて60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌、更に30分掛けて80℃に昇温し、同温度で1.5時間撹拌した。この反応液を40℃まで冷却した後、約1000mlの氷水に注ぎ、析出したo−トリジンスルホン硫酸塩の薄い褐色の結晶を濾取した。この硫酸塩結晶を水750mlに加え、更に40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にし、90℃に加温し、生じた遊離のo−トリジンスルホンの粗結晶を濾取した。この粗o−トリジンスルホンを水600mlに投入し、36質量%塩酸水溶液95gを加えて塩酸塩とし加温して80℃で2時間撹拌した。この液を冷却し、室温で40質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを2に調整し析出した黄色結晶を濾取した。結晶を水及びエタノールで洗浄した後、減圧下110℃で乾燥して、o−トリジンスルホンの黄色結晶37.9g(0.138mоl)を収率94.5%で得た。得られた結晶のo−トリジンスルホン純度はHPLC分析で98.7%、不純物o−トリジンスルホンスルホン酸の含有量は1.13%。ナトリウム含有量は82ppmだった。
以上、実施例と比較例を比較して分かるように、o−トリジンに発煙硫酸を反応させてo−トリジンスルホン合成する際に、反応温度を70℃以下とすることで、不純物であるo−トリジンスルホンスルホン酸の含有量が0.2%以下のo−トリジンスルホンを製造することができる。
本発明によって、ポリアミドやポリイミドなどのポリマーのジアミン成分として好適に用いることができる高純度o−トリジンスルホンを簡単な装置によって効率よく得ることができる。

Claims (4)

  1. o−トリジンと発煙硫酸とを反応させるo−トリジンスルホンの製造方法において、反応の最高温度を30℃以上70℃以下とすることで副生成物のo−トリジンスルホンスルホン酸の生成を抑制することを特徴とする高純度o−トリジンスルホンの製造方法。
  2. 原料のo−トリジンとして含水物を用いることを特徴とする請求項1に記載の高純度o−トリジンスルホンの製造方法。
  3. o−トリジン1モルに対して、三酸化硫黄が4モル以上になるように発煙硫酸を用いて反応させることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の高純度o−トリジンスルホンの製造方法。
  4. 副生成物のo−トリジンスルホンスルホン酸の含有量が1質量%以下の高純度o−トリジンスルホンを得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高純度o−トリジンスルホンの製造方法。
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