JP5647967B2 - プリント配線基板の製造方法、プリント配線基板 - Google Patents
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Description
本発明者らは、特許文献1および2に記載されるベンゾトリアゾールを用いたマイグレーション抑制層について検討を行ったところ、そのマイグレーション抑制層の効果は小さく、配線間の絶縁信頼性を昨今要求されるレベルを満たすようにすることが必要である。
層形成工程後に、銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板上に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、を備えるプリント配線基板の製造方法。
(3) 層形成工程後、絶縁膜形成工程前に、銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板を加熱乾燥する乾燥工程を備える、(1)または(2)に記載のプリント配線基板の製造方法。
(5) 溶剤が、水、アルコール系溶剤、およびメチルエチルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、(1)〜(4)のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法によって製造される、プリント配線基板。
本発明の特徴点としては、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールなどのアゾール化合物を含み、所定のpHを示す処理液と、銅または銅合金配線パターンを有するコア基板とを接触させた後、さらに洗浄を行う点が挙げられる。本発明者らは、基板上にアゾール化合物が残存していると、コア基板の上に設けられる絶縁膜と基板との間で密着不良などが発生し、短絡の原因となることを見出している。また、上記アゾール化合物以外のベンゾトリアゾール等のアゾール化合物を接触させた後に洗浄を行うと、銅または銅合金配線上のアゾール化合物も同時に除去されてしまい、所望の効果が発現されない。さらに、所定のpH域以外の処理液や、エッチング剤等の銅を溶解する成分を含んだ処理液を使用して、アゾール化合物と銅または銅合金配線とを接触させると、配線上にアゾール化合物と銅イオンとの錯体を含む皮膜が出来てしまい、マイグレーションを抑制する効果を発現できない。
上記知見を基にして検討を行った結果、本発明のような処理を施すことにより、基板上のアゾール化合物を除去しつつ、銅のマイグレーションを抑制できる銅イオン拡散抑制層を銅または銅合金配線上に形成できることを見出している。
(層形成工程)基板および前記基板上に配置される銅または銅合金配線を有するコア基板と、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含み、pH5〜12を示す処理液とを接触させ、その後コア基板を溶剤で洗浄して、銅または銅合金配線表面上に1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含む銅イオン拡散抑制層を形成する層形成工程
(乾燥工程)銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板を加熱乾燥する工程
(絶縁膜形成工程)上記乾燥工程後に、銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板上に絶縁膜を形成する工程
以下に、図面を参照して、各工程で使用される材料、および、工程の手順について説明する。
該工程では、まず、基板および基板上に配置される銅または銅合金配線を有するコア基板と、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾール(以後、両者の総称として単にアゾール化合物とも称する)を含み、pH5〜12を示す処理液とを接触させる(接触工程)。その後、コア基板を溶剤(洗浄溶剤)で洗浄して、銅または銅合金配線表面上に1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含む銅イオン拡散抑制層を形成する(洗浄工程)。言い換えると、接触工程は、コア基板(より具体的には、コア基板の銅または銅合金配線がある側の表面)と処理液とを接触させ、アゾール化合物でコア基板の基板表面と銅または銅合金配線表面とを覆う工程である。また、洗浄工程は、溶剤を用いてコア基板を洗浄して、基板表面上のアゾール化合物を除去する工程である。該工程によって、銅または銅合金配線の表面を覆うように、銅イオン拡散抑制層が形成され、銅のマイグレーションが抑制される。
まず、層形成工程で使用される材料(コア基板、処理液など)について説明し、その後層形成工程の手順について説明する。
本工程で使用されるコア基板(内層基板)は、基板と、基板上に配置される銅または銅合金配線とを有する。言い換えれば、コア基板は基板と金属配線とを少なくとも有する積層構造で、最外層に金属配線が配置されていればよい。図1(A)には、コア基板の一態様が示されており、コア基板10は、基板12と、基板12上に配置された銅または銅合金配線14(以後、単に配線14とも称する)とを有する。配線14は、図1(A)においては、基板の片面だけに設けられているが、両面に設けられていてもよい。つまり、コア基板10は、片面基板であっても、両面基板であってもよい。
有機基板の材料としては樹脂が挙げられ、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらを混合した樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。
なお、有機基板の材料としては、ガラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、芳香族ポリアミド織布や、これらに上記樹脂を含浸させた材料なども使用できる。
基板上への配線の形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用できる。代表的には、エッチング処理を利用したサブトラクティブ法や、電解めっきを利用したセミアディティブ法が挙げられる。
配線間の間隔は特に制限されないが、プリント配線基板の高集積化の点から、1〜1000μmが好ましく、3〜25μmがより好ましい。
また、配線のパターン形状は特に制限されず、任意のパターンであってよい。例えば、直線状、曲線状、矩形状、円状などが挙げられる。
配線の表面粗さRzは特に制限されないが、後述する絶縁膜との密着性の観点から、0.001〜15μmが好ましく、0.3〜3μmがより好ましい。
配線の表面粗さRzを調整する方法としては、公知の方法を使用でき、例えば、化学粗化処理、バフ研磨処理などが挙げられる。
なお、RzはJIS B 0601(1994年)に従って測定する。
層間絶縁層としては、公知の絶縁材料を使用することができ、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂などが挙げられる。
また、コア基板は、いわゆるリジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板であってもよい。
本工程で使用される処理液は、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含み、pH5〜12を示す。
処理液中におけるアゾール化合物の総含有量は特に制限されないが、銅イオン拡散抑制層の形成のしやすさ、および、銅イオン拡散抑制層の付着量制御の点から、処理液全量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.25〜5質量%が特に好ましい。アゾール化合物の総含有量が多すぎると、銅イオン拡散抑制層の堆積量の制御が困難となる。アゾール化合物の総含有量が少なすぎると、所望の銅イオン拡散抑制層の堆積量になるまで時間がかかり、生産性が悪い。
なかでも、プリント配線基板製造における安全性がより優れる点で、水、アルコール系溶剤が好ましい。特に、溶剤として水を使用すると、コア基板と処理液を接触させる際に浸漬法を採用する場合に、特異的にアゾール化合物が銅または銅合金配線表面に自己堆積しやすいことから、好ましい。
処理液中における溶剤の含有量は特に制限されないが、処理液全量に対して、90〜99.99質量%が好ましく、95〜99.9質量%がより好ましく、95〜99.75質量%が特に好ましい。
なお、銅イオンが実質的に含まれないとは、処理液中における銅イオンの含有量が、1μmol/l以下であることを指し、0.1μmol/l以下であることがより好ましい。最も好ましくは0mol/lである。
エッチング剤としては、例えば、有機酸(例えば、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、ギ酸、ふっ酸)、酸化剤(例えば、過酸化水素、濃硫酸)、キレート剤(例えば、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミン4酢酸、エチレンジアミン、エタノールアミン、アミノプロパノール)、チオール化合物などが挙げられる。また、エッチング剤としては、イミダゾールや、イミダゾール誘導体化合物などのように自身が銅のエッチング作用を持つものも含まれる。
なお、エッチング剤が実質的に含まれないとは、処理液中におけるエッチング剤の含有量が、処理液全量に対して、0.01質量%以下であることを指し、配線間の絶縁信頼性をより高める点で、0.001質量%以下であることがより好ましい。最も好ましくは0質量%である。
処理液のpHが5未満であると、銅または銅合金配線から銅イオンの溶出が促進され、銅イオン拡散抑制層に銅イオンが多量に含まれることになり、結果として銅のマイグレーションを抑制する効果が低下し、配線間の絶縁信頼性が劣る。処理液のpHが12超であると、水酸化銅が析出し、酸化溶解しやすくなり、結果として配線間の絶縁信頼性が劣る。
なお、pHの調整は、公知の酸(例えば、塩酸、硫酸)や、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を用いて行うことができる。また、pHの測定は、公知の測定手段(例えば、pHメーター(水溶媒の場合))を用いて実施できる。
コア基板を洗浄する洗浄工程で使用される溶剤(洗浄溶剤)は、基板上の配線間に堆積した余分なアゾール化合物などを除去することができれば、特に制限されない。なかでも、アゾール化合物が溶解する溶剤であることが好ましい。該溶剤を使用することにより、基板上に堆積した余分なアゾール化合物や、配線上の余分なアゾール化合物などをより効率的に除去することができる。
溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド系溶剤(例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、ニトリル系溶剤(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル系溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル)、カーボネート系溶剤(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート)、エーテル系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤を、2種以上混合して使用してもよい。
なかでも、微細配線間への液浸透性がより優れる点から、水、アルコール系溶剤、およびメチルエチルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む溶剤であることが好ましく、アルコール系溶剤と水の混合液であることがより好ましい。
層形成工程を、以下の2つの工程に分けて説明する。
(接触工程)基板および基板上に配置される銅または銅合金配線を有するコア基板と、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含み、pH5〜12を示す処理液とを接触させる工程
(洗浄工程)コア基板を溶剤で洗浄して、銅または銅合金配線表面上に1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含む銅イオン拡散抑制層を形成する工程
上記コア基板(より具体的には、銅または銅合金配線が配置される側のコア基板の表面)と、上記処理液とを接触させることにより、図1(B)に示すように、コア基板10上にアゾール化合物を含む層16が形成される。該接触工程は、言い換えれば、上記処理液を用いて、コア基板10の基板12表面および配線14表面をアゾール化合物を含む層16で覆う工程である。該層16は、基板12上、および、配線14上に形成される。
アゾール化合物を含む層16には、アゾール化合物が含有される。その含有量などは、後述する銅イオン拡散抑制層中の含有量と同義である。また、その付着量は特に制限されず、後述する洗浄工程を経て、所望の付着量の銅イオン拡散抑制層を得ることができるような付着量であることが好ましい。
コア基板と上記処理液との接触方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、ディップ浸漬、シャワー噴霧、スプレー塗布、スピンコートなどが挙げられ、処理の簡便さ、処理時間の調整の容易さから、ディップ浸漬、シャワー噴霧、スプレー塗布が好ましい。
また、接触時間としては、生産性、および銅イオン拡散抑制層の付着量制御の点で、10秒〜30分の範囲が好ましく、15秒〜10分の範囲がより好ましく、30秒〜5分の範囲がさらに好ましい。
次に、コア基板を溶剤で洗浄して、銅または銅合金配線表面上に1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含む銅イオン拡散抑制層を形成する。本工程を行うことにより、基板表面上のアゾール化合物を洗浄除去することができる。特に、溶剤としてアゾール化合物が溶解する溶剤が使用されると、銅または銅合金配線表面上のアゾール化合物以外のアゾール化合物(特に、基板表面上のアゾール化合物)がより容易に溶解除去される。具体的には、図1(B)で得られたアゾール化合物を含む層16が設けられたコア基板10を上記洗浄溶剤で洗浄することにより、図1(C)に示すように、基板12上のアゾール化合物を含む層16および配線14上の余分なアゾール化合物が除去され、配線14上にのみアゾール化合物を含む層が形成される。この配線14上のアゾール化合物を含む層が、銅イオン拡散抑制層18に該当する。
また、洗浄溶剤の液温としては、銅イオン拡散抑制層の付着量制御がより容易である点で、5〜60℃の範囲が好ましく、15〜30℃の範囲がより好ましい。
また、コア基板と洗浄溶剤との接触時間としては、生産性、および銅イオン拡散抑制層の付着量制御がより容易である点で、10秒〜10分の範囲が好ましく、15秒〜5分の範囲がより好ましい。
上記工程を経ることにより、図1(C)に示すように、銅または銅合金配線表面上に、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含む銅イオン拡散抑制層18を形成することができる。
なお、該図1(C)に示されるように、基板12上においてはアゾール化合物を含む層16は実質的に除去されていることが好ましい。つまり、実質的に、銅または銅合金配線表面上のみに、銅イオン拡散抑制層が形成されていることが好ましい。
本発明においては、上記の溶剤の洗浄を施した後であっても、銅イオンのマイグレーションを抑制することができる十分な付着量の銅イオン拡散抑制層を得ることができる。例えば、ベンゾトリアゾールなどを代わりに使用した場合は、上記溶剤による洗浄によって、配線表面上の大半のベンゾトリアゾールが洗い流されてしまい、所望の効果が得られない。エッチング剤を処理液に含んだベンゾトリアゾールやエッチング能を持つイミダゾール化合物では、配線上に形成される有機皮膜中に銅イオンを含んでしまい、銅イオン拡散抑制能は無く、所望の効果が得られない。
なお、付着量は、公知の方法(例えば、吸光度法)によって測定することができる。具体的には、まず水で配線間に存在する銅イオン拡散抑制層を洗浄する(水による抽出法)。その後、有機酸(例えば、硫酸)により銅または銅合金配線上の銅イオン拡散抑制層を抽出し、吸光度を測定して、液量と塗布面積から付着量を算出する。
該工程では、銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板を加熱乾燥する。コア基板上に水分が残存していると、銅イオンのマイグレーションの促進させるおそれがあるため、該工程を設けることにより水分を除去することが好ましい。なお、本工程は任意の工程であり、層形成工程で使用される処理液中の溶剤が揮発性に優れる溶剤である場合などは、本工程は実施しなくてもよい。
乾燥に使用する装置は特に限定されず、恒温層、ヒーターなど公知の加熱装置を使用することができる。
該工程では、銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板上に絶縁膜を形成する。図1(D)に示すように、絶縁膜20が、銅イオン拡散抑制層18が表面に設けられた配線14に接するようにコア基板10上に設けられる。絶縁膜20が設けられることにより、配線14間の絶縁信頼性が担保される。また、基板12と絶縁膜20とが直接接触できるために、絶縁膜20の密着性が優れる。
まず、使用される絶縁膜について説明し、次に絶縁膜の形成方法について説明する。
また、絶縁膜として、いわゆるソルダーレジスト層を使用してもよい。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、例えば、太陽インキ製造(株)製 PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200Gなどが挙げられる。
なお、上記絶縁膜形成用組成物には、必要に応じて溶剤が含まれていてもよい。溶剤を含む絶縁膜形成用組成物を使用する場合は、該組成物を基板上に配置した後、必要に応じて溶剤を除去するために加熱処理を施してもよい。
また、絶縁膜をコア基板上に設けた後、必要に応じて、絶縁膜に対してエネルギー付与(例えば、露光または加熱処理)を施してもよい。
図1(D)においては、絶縁膜20は一層で記載されているが、多層構造であってもよい。
上記工程を経ることにより、図1(D)に示すように、基板12と、基板12上に配置される配線14と、配線14上に配置される絶縁膜20とを備え、配線14と絶縁膜20との間に銅イオン拡散抑制層18が介在するプリント配線基板30を得ることができる。得られるプリント配線基板30は、配線14間の絶縁信頼性に優れると共に、絶縁膜20とコア基板10との密着性にも優れる。
なお、図1(D)に示すように、上記では一層配線構造のプリント配線基板を例にあげたが、もちろんこれに限定されない。例えば、基板12と配線14との間に、他の金属配線(金属配線層)および層間絶縁層をこの順で交互に積層した多層配線コア基板を使用することにより、多層配線構造のプリント配線基板を製造することができる。
例えば、絶縁膜としてソルダーレジストを使用する場合は、所定のパターン状のマスクを絶縁膜上に配置し、エネルギーを付与して硬化させ、エネルギー未付与領域の絶縁膜を除去して配線を露出させる。次に、露出した配線の表面を公知の方法で洗浄(例えば、硫酸や界面活性剤を使用して洗浄)した後、半導体チップを配線表面上に実装する。
絶縁膜として公知の層間絶縁膜を使用する場合は、ドリル加工やレーザー加工により、絶縁膜を除去することができる。
本発明においては、得られたプリント配線基板の絶縁膜上にさらに金属配線(配線パターン)を設けられた基板を新たなコア基板(内層基板)として使用し、新たに絶縁膜および金属配線を幾層にも積層することができる。
銅張積層板(日立化成社製 MCL−E−679F、基板:ガラスエポキシ基板)を用いて、セミアディティブ法によりL/S=23μm/27μmの銅配線を備えるコア基板を形成した。コア基板は以下の方法により作製した。
銅張積層板を、酸洗浄、水洗、乾燥させた後、ドライフィルムレジスト(DFR,商品名;RY3315,日立化成工業株式会社製)を真空ラミネーターにより、0.2MPaの圧力で70℃の条件にて銅張積層板上にラミネートした。ラミネート後、銅パターン形成部を中心波長365nmの露光機にて、70mJ/cm2の条件でマスク露光した。その後、1%重曹水溶液にて現像して、水洗を行い、めっきレジストパターンを得た。
めっき前処理、水洗を経て、レジストパターン間に露出した銅上に電解めっきを施した。このとき、電解液には硫酸銅(II)の硫酸酸性溶液を用い、純度が99%程度の粗銅の板を陽極に、銅張積層板を陰極とした。50〜60℃、0.2〜0.5Vで電解することで、陰極の銅上に銅が析出した。その後、水洗、乾燥を行った。
レジストパターンを剥離するために、45℃の4%NaOH水溶液に基板を60秒間浸漬した。その後、得られた基板を水洗し、1%硫酸に30秒間浸漬した。その後、再び水洗した。
過酸化水素、硫酸を主成分としたエッチング液により、銅パターン間の導通した銅をクイックエッチングし、水洗、乾燥を行った。得られた銅配線の表面粗さはRz=0.3μmであった。
次に、前処理剤(メック社製 CA−5330)により銅配線表面の汚れ等を除去した後、粗化処理剤(メック社製 CZ−8100)により、銅配線表面の粗化処理を施した。得られた銅配線の表面粗さは、Rz=1.0μmであった。
なお、銅配線間の基板表面においては、水による配線間抽出液の吸光度測定により、銅イオン拡散抑制層は確認できず、エタノール洗浄により除去されていることが確認された。
得られたプリント配線基板を用いて、湿度85%、温度130度、圧力1.2atm、電圧100Vの条件で寿命測定(使用装置:espec社製、EHS−221MD)を行った。
評価方法としては、20ロッドの試験を実施し、配線間の抵抗値が1×109Ωを基準抵抗値とした。試験開始から120時間経過した時の抵抗値が基準抵抗値以上を示すロッドを合格とした。
実施例1で得られたプリント配線基板の結果を、表1に示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、1,2,4−トリアゾールの含有量が水溶液全量に対して2.5質量%である1,2,4−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、液温:25℃、pH:6)を使用し、コア基板を該水溶液に45秒浸漬させた以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、1,2,3−トリアゾールおよび1,2,4−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、液温:25℃、pH:6)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
なお、処理液中における1,2,3−トリアゾールの含有量は、水溶液全量に対して、2.5質量%であり、1,2,4−トリアゾールの含有量は、水溶液全量に対して、2.5質量%である。
実施例2で使用したエタノールの代わりに、水およびエタノールの混合溶剤を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
なお、水およびエタノールの混合溶剤の混合体積比(水/エタノール)は、50/50であった。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、pH5の1,2,3−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、1,2,3−トリアゾールの含有量:水溶液全量に対して2.5質量%、液温:25℃)を使用し、エタノールの代わりにメチルエチルケトンを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、pH3の1,2,3−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、1,2,3−トリアゾールの含有量:水溶液全量に対して0.005質量%、液温:25℃)を使用し、コア基板を該水溶液に15分浸漬させた以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、pH3の1,2,4−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、1,2,4−トリアゾールの含有量:水溶液全量に対して0.05質量%、液温:25℃)を使用し、コア基板を該水溶液に12分浸漬させた以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、1,2,3−トリアゾールの含有量が水溶液全量に対して2.5質量%である、1,2,3−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、液温:25℃、pH:7)を使用し、エタノールを用いたコア基板の洗浄を行わなかった以外、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例2で使用した1,2,4−トリアゾール水溶液の代わりに、1,2,4−トリアゾールの含有量が水溶液全量に対して1.0質量%である、1,2,4−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、液温:25℃、pH:6)を使用し、エタノールを用いたコア基板の洗浄を行わなかった以外、実施例2と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、pH6のベンゾトリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、ベンゾトリアゾールの含有量:水溶液全量に対して1質量%、液温:25℃)を使用し、コア基板を該水溶液に5分浸漬させた以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
実施例1で使用した1,2,3−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、pH10のイミダゾールを含む水溶液(溶媒:水、イミダゾールの含有量:水溶液全量に対して1.0質量%、液温:25℃)を使用し、コア基板を該水溶液に30分浸漬させた以外は、実施例1と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表1に結果をまとめて示す。
一方、pHが所定範囲内でない処理液を使用した比較例1および2、並びに、洗浄処理を実施しなかった比較例3および4においては、配線間の絶縁信頼性に劣っていた。
また、ベンゾトリアゾールおよびイミダゾールを使用した比較例5および6においても、配線間の絶縁信頼性は劣っていた。
コア基板製造の際に粗化処理剤(メック社製 CZ−8100)による銅配線表面の粗化処理を行わず、実施例2で使用した1,2,4−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、1,2,4−トリアゾールの含有量が水溶液全量に対して1.0質量%である1,2,4−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、液温:25℃、pH:6)を使用し、30秒浸漬させ、絶縁膜をPFR800の代わりに味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13を使用した以外は実施例2と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。
HAST寿命評価方法としては、20ロッドの試験を実施し、配線間の抵抗値が1×1010Ωを基準抵抗値とした。試験開始から670時間経過した時の抵抗値が基準抵抗値以上を示すロッドを合格とした。表2に結果をまとめて示す。
実施例6で使用した1,2,4−トリアゾールを含む水溶液の代わりに、1,2,4−トリアゾールの含有量が水溶液全量に対して0.25質量%である1,2,4−トリアゾールを含む水溶液(溶媒:水、液温:25℃、pH:6)を使用し、エタノールを用いたコア基板の洗浄を行わなかった以外、実施例6と同様の手順に従って、プリント配線基板の製造を行った。表2に結果をまとめて示す。
一方、洗浄処理を実施しなかった比較例7においては、配線間の絶縁信頼性に劣っていた。
12:基板
14:配線
16:アゾール化合物を含む層
18:銅イオン拡散抑制層
20:絶縁膜
30:プリント配線基板
Claims (6)
- 基板および前記基板上に配置される銅または銅合金配線を有するコア基板と、1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含み、pH5〜12を示す処理液とを接触させ、その後前記コア基板を溶剤で洗浄して、銅または銅合金配線表面上に1,2,3−トリアゾールおよび/または1,2,4−トリアゾールを含む銅イオン拡散抑制層を形成する層形成工程と、
前記層形成工程後に、前記銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板上に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、を備えるプリント配線基板の製造方法。 - 前記1,2,3−トリアゾールおよび1,2,4−トリアゾールの銅または銅合金配線表面上における付着量が5×10-9〜1×10-6g/mm2である、請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
- 前記層形成工程後、前記絶縁膜形成工程前に、前記銅イオン拡散抑制層が設けられたコア基板を加熱乾燥する乾燥工程を備える、請求項1または2に記載のプリント配線基板の製造方法。
- 前記処理液のpHが5〜9である、請求項1〜3のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
- 前記溶剤が、水、アルコール系溶剤、およびメチルエチルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法によって製造される、プリント配線基板。
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