JP5639010B2 - 半導電性樹脂組成物および電力ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、半導電性樹脂組成物およびこれを用いた電力ケーブルに関し、さらに詳しくは、常温〜高温(50℃)領域において絶縁層との剥離性に優れた外部半導電層を形成可能な半導電性樹脂組成物に関する。
高圧用の電力ケーブルは、導体の表面を絶縁層で被覆して外部と電気的に絶縁しているが、この絶縁層についても、表面に微細な凹凸があるとそこから放電が生じるため、表面に半導電層を設けて表面電位を滑らかにし、放電を防止するようにしている。従って、図1に例示したように、高圧用の電力ケーブル1は、導体3上に内部半導電層5を被覆してから、その上に絶縁層7を被覆し、さらに絶縁層7の上に外部半導電層9を被覆した多層構造を有している。
そして内部半導電層5や外部半導電層9を構成する半導電性樹脂組成物のベース樹脂としては、一般的に、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数3〜12)共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸(あるいはそのエステル誘導体)共重合体、エチレンカルボン酸ビニルエステル共重合体等が単独で、または2種以上の混合物として用いられている。そして、これらベース樹脂にカーボンブラックが配合されて導電性が付与され、前記半導電性樹脂組成物とされている。この半導電性樹脂組成物は、一般に、絶縁層7を構成する架橋ポリエチレン等の樹脂に対して良好な付着性を有している。
しかしながら、このような電力ケーブル1の中には、ケーブル間の接続時に行う端末処理作業を容易、かつ、良好に行うため、絶縁層7から外部半導電層9を剥ぎ取り易くする必要のあるものもある。そのため、外部半導電層9を構成する樹脂組成物のベース樹脂に、様々な化合物を配合して剥ぎ取り性を向上させることが提案されている。このような化合物としては、例えば、塩素化ポリエチレン(特許文献1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体にスチレン系モノマーをグラフト処理して得られたスチレン変成エチレン−酢酸ビニル共重合体(特許文献2)、ニトリルブタジエンゴム(特許文献3)等がある。
上記で提案された化合物のうち、塩素化ポリエチレンやスチレン変性エチレン−酢酸ビニル共重合体はかなり高価であり、価格の面からはニトリルブタジエンゴムを配合する方が好ましい、しかし、ニトリルブタジエンゴムを多く配合すると耐熱性が低下するという問題があった。
一方で、屋外に敷設される電力ケーブルは、直射日光を浴びて温度が上昇する。この温度は、夏場では外部半導電層の表面で50℃に達することもあり、現場での端末処理作業を容易、かつ、良好に行うためは、このような温度環境下においても、良好な剥ぎ取り性を維持することが求められる。そこで、水素添加したニトリルブタジエンゴムを配合することで、剥ぎ取り性を確保しつつ耐熱性を確保することが提案されている(特許文献4)。
特開昭56−067109号公報 特開平09−111089号公報 特開昭56−067108号公報 特開平04−079105号公報
しかしながら、水素添加したニトリルブタジエンゴムは高価な材料であるため、これを用いると、ベース樹脂として塩素化ポリエチレンやスチレン変性エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用する場合に比べて、何らメリットがなくなってしまう。そのため、剥ぎ取り性に優れ、かつ屋外に敷設される電力ケーブルに使用できる半導電性樹脂組成物は、いずれも高価なものとなってしまっている。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、常温から高温(50℃)の温度領域において絶縁層からの剥ぎ取り性に優れ、比較的安価な、電力ケーブル用の半導電性樹脂組成物を得ることである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、半導電性樹脂組成物のベース材料に、酸化タイプのポリエチレン(PE)ワックスを加えることで、耐熱性を確保したうえで、絶縁層と半導電層とが剥がれ易くなることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされたものである。
すなわち本発明は、以下の発明を提供するものである。
(1)酢酸ビニルモノマーを10〜40質量%含むエチレン−酢酸ビニル共重合体90〜95質量部と、アクリロニトリルを40質量%以下含むニトリルブタジエンゴム5〜10質量部とを配合したベース樹脂100質量部に対して、酸化タイプのポリエチレンワックス5〜15質量部、およびカーボンブラックを含有することを特徴とする、電力ケーブル外部半導電層用半導電性樹脂組成物。
(2)前記ベース樹脂100質量部に対して、カーボンブラック30〜100質量部を含有することを特徴とする(1)に記載の電力ケーブル外部半導電層用半導電性樹脂組成物。
(3)(1)または(2)に記載の半導電性樹脂組成物からなる外部半導電層を持つことを特徴とする電力ケーブル。
本発明により、高価な水素添加したニトリルブタジエンゴムを用いることなく、耐熱性に優れ、かつ、常温〜高温領域にかけて良好に剥離することが可能な半導電性樹脂組成物を得ることができる。
本発明に係る電力ケーブルの構造を模式的に示す斜視図。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
<1.半導電性樹脂組成物>
本発明の半導電性樹脂組成物は、酢酸ビニルモノマーを10〜40質量%含むエチレン−酢酸ビニル共重合体90〜95質量部と、アクリロニトリルを40質量%以下含むニトリルブタジエンゴム5〜10質量部とを配合したベース樹脂100質量部に対して、分子構造にカルボニル基を含む酸化タイプのポリエチレンワックス5〜15質量部、およびカーボンブラック30〜100質量部、を含有することを特徴としている。以下に、各成分と、その含有量について説明する。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は、本発明の半導電性樹脂組成物の主材であって、ベース樹脂の90〜95質量部を占める。このエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニルモノマー(EA)の含有量が10〜40質量%、好ましくは15〜25質量%となるよう、各種のものを単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。酢酸ビニルモノマーの含有量が10質量%未満であると、外部半導電層が絶縁層と良好に接着するため剥ぎ取りが困難となる。また、40質量%を超えると、樹脂組成物の軟化温度が低下するため、例えば50℃付近の高温領域での機械特性が弱くなり、剥ぎ取りが困難となる。
(ニトリルブタジエンゴム)
ニトリルブタジエンゴムは、絶縁層からの剥離性を向上させる目的で、ベース樹脂中に配合される。ニトリルブタジエンゴムとしては、アクリロニトリルを15〜40質量%含むものを用いることができる。アクリロニトリルが15質量%以下のニトリルブタジエンゴムは一般に販売されておらず、入手が困難である。アクリロニトリルを40質量%を超えて含むニトリルブタジエンゴムを配合した半導電性樹脂組成物は、架橋ポリエチレンからなる絶縁層からの剥ぎ取り性が、高温下で悪化するため好ましくない。
ニトリルブタジエンゴムはベース樹脂中に5〜10質量部が配合される。ニトリルブタジエンゴムは耐熱性が低いことから、半導電樹脂組成物の十分な耐熱特性を確保するために、ニトリルブタジエンゴムの配合量は10質量部以下とする必要がある。また、配合量が少ないと剥離性を向上させる効果が十分に得られず、高温での剥離性が低下するため、5質量部以上とするのが好ましい。
(ポリエチレンワックス)
本発明では、酸化タイプのポリエチレンワックスをニトリルブタジエンゴムと併用することで、耐熱性を有し、高温においても十分な剥離性を備える半導電性樹脂組成物を実現するようにしている。
ポリエチレンワックスは、分子量の小さいポリエチレンであり、酸価度により樹脂や金属との親和性が異なる。非酸化タイプのポリエチレンワックスであると、絶縁層を構成する架橋ポリエチレンとの相溶性が良く剥離が困難となるため、酸化タイプのものを使用することが必要である。酸化タイプのポリエチレンワックスは、ポリエチレン構造中にカルボニル基(C=O)を導入したものであれば、各種のものを用いることができる。例えば、低密度酸化タイプ・高密度酸化タイプ・酸化共重合タイプのポリエチレンが使用可能であるが、低密度酸化タイプのポリエチレンワックスを用いることが好ましい。また、例えば、酸価:1〜40mgKOH/g、平均分子量10000以下の酸化タイプのポリエチレンワックスを使用することができる。酸化タイプのポリエチレンワックスの添加量は、ベース樹脂100質量部に対して、5〜15質量部とするのが適当である。添加量が5質量部未満では、剥離性の向上に十分な効果が見られず絶縁層との剥離が困難になり、15重量部を超えると原料を混合(コンパウンディング)する際にスリップが発生してコンパウンドを得ることが難しくなるため好ましくない。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、ベース樹脂に導電性を付与するために加えられる。カーボンブラックの配合量は、所望の導電性に応じて適宜決定することができ、例えば、ベース樹脂100質量部に対して、30〜100質量部、好ましくは40〜80質量部とすることができる。カーボンブラックの配合量が30質量部未満であると、半導電性樹脂組成物として必要な導電性を得ることができず、100質量部を超えると押出特性や半導電層とした場合の機械的特性が不充分となるため好ましくない。カーボンブラックとしては、特に制限はなく、公知の各種のカーボンブラックを用いることができる。例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びケッチェンブラック等が例示できる。なお、カーボンブラックは1種を、あるいは2種以上を混合して、使用することができる。
(その他の配合物)
本発明の半導電性樹脂組成物には、上記の材料のほかに、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、安定剤、老化防止剤、架橋剤、加工助剤等とすることができる。
例えば、老化防止剤としては、一般に使用される老化防止剤を適宜選択して配合することができるが、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系の老化防止剤を用いるのが好ましい。4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)は、押出時の樹脂組成物の架橋反応抑制効果がある点で好ましい。
(半導電性樹脂組成物の効果)
本発明の半導電性樹脂組成物は、樹脂材料との剥離性と、耐熱性とを兼ね備えているため、常温はもちろんのこと、例えば50℃程度の高温域においても、架橋ポリエチレン等から構成される絶縁層からの剥ぎ取り性に優れた半導電性樹脂組成物が提供される。また、塩素化ポリエチレン、スチレン変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、水素添加したニトリルブタジエンゴム等の高価な材料を必要としないため、比較的安価に得ることができる。さらに、押し出し成型性をも備えているため、例えば電力ケーブルの被覆層(半導電層)の材料等として好適に使用することができる。
<2.電力ケーブル>
次に、図1を参照し、本発明の電力ケーブルについて説明する。本発明の電力ケーブル1は、導体3上に、内側から順に内部半導電層5、絶縁層7及び外部半導電層9を備える構造となり、導体3を内部半導電層5、絶縁層7、外部半導電層9で被覆している。電力ケーブル1は、絶縁層7により導体3と外部とを電気的に絶縁するが、導体3と絶縁層7との境界面並びに絶縁層7の外表面に、それぞれ内部半導電層5及び外部半導電層9を備えることで、絶縁層7の表面の微細な凹凸からの外部放電をも防止するようにしている。なお、図1には記載していないが、電力ケーブル1は、必要に応じて、外部半導電層9の外表面に、例えば、金属遮蔽層やシース等を備えた構成とすることもできる。
そして本発明において、外部半導電層9は、上記の本発明の半導電性樹脂組成物からなることを特徴としている。導体3、内部半導電層5及び絶縁層7については、公知の各種の材料から適宜選択して用いることができる。
本発明の電力ケーブルは、常法によって製造することができる。例えば、金属素線を撚り合わせて導体3とし、その上に、内部半導電層5となる樹脂組成物と、絶縁層7となる未架橋のポリエチレンと、外部半導電層9となる本発明の半導電性樹脂組成物とを、押出被覆により同時に被覆し、次いで、加圧加熱により未架橋ポリエチレンを架橋させる。その後、必要に応じて、例えば、遮蔽層やシースを形成することによって、電力ケーブルを製造することができる。
(電力ケーブルの効果)
本発明の電力ケーブル1は、上記の半導電性樹脂組成物を外部半導電層9として用いているため、常温から50℃程度の高温域においても、絶縁層7から外部半導電層9の剥ぎ取りが容易である。さらに、本発明の電力ケーブル1は、比較的安価に提供される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
(半導電性樹脂組成物の製造)
下記表1及び表2の実施例1〜7、比較例1〜8に示す配合で、各材料をバンバリーミキサーに投入し、160〜170℃で5分間溶融混練した後、平均粒径約4mmのペレットに造粒し、半導電性樹脂組成物をコンパウンドとして製造した。なお、表2中の注釈※1〜※13は、表1と共通である。また、PE−WAX、アセチレンブラック、ノクラック300R、トリゴノックスT、ステアリン酸カルシウムの配合量については、EVAとNBRを混合したベース樹脂100質量部に対して、何質量部を加えたかを意味する。
Figure 0005639010
Figure 0005639010
※1 EVA1:エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製,エバフレックスP1007,EA含有量:10wt%)
※2 EVA2:エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製,エバフレックスEV45LX,EA含有量:46wt%)
※3 EVA3:エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製,エバフレックス150,EA含有量:33wt%)
※4 EVA4:エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製 エバフレックスV523,EA含有量:33wt%)
※5 EVA5:エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテックEVA LV244A,EA含有量:7wt%)
※6 NBR1:二トリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製 Nipol 1041,アクリロニトリル含有量:40wt%)
※7 NBR2:二トリルブタジエンゴム(JSR株式会社製 N260S,アクリロニトリル含有量:15wt%)
※8 NBR3:二トリルブタジエンゴム(JSR株式会社製 N215SL,アクリロニトリル含有量:48wt%)
※9 酸化タイプのポリエチレンワックス(ハネウェル社製 A−Cポリエチレン(酸価15〜40mgKOH/g))
※10 非酸化タイプのポリエチレンワックス(東新油脂製 L−Cポリエチレン)
※11 カーボンブラック(電気化学工業製 デンカブラック)
※12 老化防止剤(大内新興化学製)
※13 架橋剤(化薬アクゾ株式会社製)
(電力ケーブルの製造)
得られた半導電性樹脂組成物を用い、図1に示した構造を有する電力ケーブル1を作製した。電力ケーブル1の製造の手順としては、断面積が100mmの導体3の表面に、内側から順に、厚さ1.0mmの内部半導電層5、厚さ3.0mmの絶縁層7、及び厚さ1.0mmの外部半導電層9を3層同時に押出被覆し、加熱架橋ゾーンに導いて、圧力10kg/cmの窒素ガス中、温度260℃の加熱下で加圧加熱を行って架橋反応を完了させた。
内部半導電層5には市販の半導電性コンパウンド(日本ユニカー株式会社製 NUCV−9563)を、絶縁層7には市販の絶縁性コンパウンド(日本ユニカー株式会社製 NUCV−9253)を、外部半導電層9には、上記で作製した半導電性樹脂組成物を用いた。
次いで、常法により、金属遮蔽層及び防食層を設け、電力ケーブルを製造した。
(半導電性樹脂組成物および電力ケーブルの評価)
得られた電力ケーブルについて、絶縁層からの外部半導電層の剥離性を、常温と、高温環境の影響を受けた場合とについて、以下の手法で調べた。
(1)剥離試験
製造した電力ケーブルの外部半導電性層について、剥離試験を行った。カッターナイフを用い、外部半導電層の長さ方向に幅0.5インチの切れ目を絶縁層に達しない程度の深さに入れ、その片端から口出し作業を行い、外部半導電性層を絶縁層から剥離した。剥離試験は、25℃での常温剥離試験と、50℃での高温剥離試験の両方を実施した。
(2)高温処理後の常温剥離試験
製造した電力ケーブルを、145℃の恒温層内にて96時間保管した後、外部半導電性層について常温剥離試験を行った。試験方法は(1)と同様に行った。
高温処理は、電力ケーブルが長期間使用された場合を想定して行われた。高温処理を施すことによって、外部半導電層の絶縁層への接着力が上昇する場合があり、通常の常温剥離試験よりも過酷な条件となる。
(3)評価
上記(1)(2)の評価を行い、その結果を表3に示した。外部半導電性層を絶縁層から容易に剥離できたものには○、剥離が困難で絶縁層表面に外部半導電性層の一部が残留したり、剥離の途中で外部半導電性層が破断したりしたものには×を記した。
Figure 0005639010
実施例1〜7は、酢酸ビニルモノマーの含有量が10〜40質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体90〜95質量部と、アクリロニトリル含有量が15〜40質量%のニトリルブタジエンゴム5〜10質量部とからなるベース樹脂100質量部に対し、酸化タイプのポリエチレンワックス5〜15質量部を配合した半導電性樹脂組成物である。そのため、耐熱性に優れ、かつ、常温〜高温領域にかけて良好な剥離性を示す半導電性樹脂組成物が提供されたことが確認できた。なお、実施例3は、酢酸ビニルモノマーの含有量が平均で40質量%になるように混合した。
これに対し、比較例1では、非酸化タイプのポリエチレンワックスを用い、絶縁層の架橋ポリエチレンとの相溶性が良くなっているため、高温での剥離が困難となってしまった。また比較例2においては、酸化タイプのポリエチレンワックスが少ないため、高温剥離試験において絶縁層の表面に外部半導電層の一部が残留してしまった。比較例3においては、酸化タイプのポリエチレンワックスが多すぎたため、半導電性樹脂組成物の製造の時点で、各成分の混練物を押出機に投入した際にスリップが発生してコンパウンドを得ることができなかった。
比較例4では、ニトリルブタジエンゴムの配合量が少ないため、高温剥離試験では外部半導電層が絶縁層から剥離する前に破断してしまった。比較例5では、ニトリルブタジエンゴムが10質量部を超えて配合されているために耐熱性が劣り、高温処理により外部半導電層が劣化して硬くなり、絶縁層から剥離する前に破断してしまった。比較例6では、アクリロニトリルを40質量%を超えて含むニトリルブタジエンゴムを配合しているため、高温での剥ぎ取りが困難であった。
比較例7では、酢酸ビニルモノマーの含有量が10質量%未満のエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合しているため、外部半導電層が絶縁層と良好に接着し、剥ぎ取りが困難となってしまった。比較例8では、酢酸ビニルモノマー含有量が、40質量%を超えるエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合しているため、樹脂組成物の軟化温度が低下し、50℃付近の機械特性が劣り、高温での剥離が困難であった。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………電力ケーブル
3………導体
5………内部半導電層
7………絶縁層
9………外部半導電層

Claims (3)

  1. 酢酸ビニルモノマーを10〜40質量%含むエチレン−酢酸ビニル共重合体90〜95質量部と、アクリロニトリルを40質量%以下含むニトリルブタジエンゴム5〜10質量部とを配合したベース樹脂100質量部に対して、
    酸化タイプのポリエチレンワックス5〜15質量部、およびカーボンブラックを含有することを特徴とする、電力ケーブル外部半導電層用半導電性樹脂組成物。
  2. 前記ベース樹脂100質量部に対して、カーボンブラック30〜100質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル外部半導電層用半導電性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の半導電性樹脂組成物からなる外部半導電層を持つことを特徴とする電力ケーブル。
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