JP5630988B2 - 静電選別装置および静電選別方法 - Google Patents
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Description
摩擦帯電序列とは、異種材料同士を摩擦したときに正に帯電しやすい物質を上位に、負に帯電しやすい物質を下位に並べた序列のことである。
例えば、プラスチックの摩擦帯電序列を正に帯電しやすいものから負に帯電しやすいものの順で表すと「ABS→PS→PE→PP→PET→PVC」という序列になる。「ABS」はアクリルニトリルとブタジエンとスチレンとの重合体、「PS」はポリスチレン、「PE」はポリエチレン、「PP」はポリプロピレン、「PET」はポリエチレンテレフタレート、「PVC」はポリ塩化ビニルを表す。
この静電選別装置は一般的に、投入ストッカー、乾燥炉、投入ホッパー、投入Feeder、帯電筒、搬入Feeder、電極部、並びに、回収箱から構成されている。
回転する帯電筒内では、被選別材料を構成する複数種のプラスチック片が摩擦し合い、各プラスチック片が帯電列に応じた極性(プラスまたはマイナス)および帯電量で帯電する。帯電した被選別材料はプラスに帯電したプラスチック片とマイナスに帯電したプラスチック片とが静電気力(クーロン力)によってくっ付き合うペアリングを起こす。
帯電筒から出た被選別材料は搬入Feederに移される。搬入Feederは被選別材料を上下動させながら前方に押し出す上下押し出し振動により被選別材料のペアリングを解消する。
ペアリングを解消した被選別材料は、直流の高電圧を印加された電極間(静電界)に落とされる。すると、被選別材料に含まれる各プラスチック片は、自然落下しながら、極性と帯電量とに応じた静電気力でどちらかの電極側に引き寄せられる。そのため、各プラスチック片は放物線の軌道を描きながら落下する。
放物線の軌道を描いて落下したプラスチック片は電極の下に設けられた回収箱に回収される。
例えば、被選別材料にABS、PSおよびPPが含まれる場合、回収箱をマイナス電極側とプラス電極側とその中間との3つに仕切れば、マイナス電極側にABSを回収し、プラス電極側にPSとPPとを回収することができる。中間には、ABSとPSとPPとが混合して回収される。
しかし、リサイクルされる廃棄物の種類や量は季節(または月、日)によって変化するため、廃棄物を破砕(粉砕)して得られる被選別材料は混合比率が季節によって変動する。また、同じ季節であっても処理する廃棄物は時間によって異なるため、被選別材料の混合比率は時間によって変動する。
そのため、回収箱の仕切り位置を平均的な混合比率に基づいて設定した場合、プラスチックを常に高純度(規定値以上)でかつ高回収率で回収できるとは限らない。
被選別材料の混合比率が基準からずれている場合、回収箱の仕切り板を基準位置からずらすことにより、プラスチックを高純度で回収することができる。但し、プラスチックの回収率は低下する。
帯電特性が異なる複数種の被選別片を含んだ被選別材料を投入する投入部と、
前記投入部により投入された被選別材料に含まれる複数種の被選別片を帯電させる帯電部と、
所定の電圧が印加される一対の電極を有し、前記帯電部で帯電して電極間を落下する複数種の被選別片を被選別片の帯電状態に応じていずれかの電極側へ引き寄せる静電分離部と、
前記静電分離部の一対の電極の下方に配置される回収箱であり仕切り板により一方の電極側の区画と他方の電極側の区画とに区分けされる回収箱を有し、電極間を落下した複数種の被選別片を被選別片の帯電状態に応じた区画に回収する回収部と、
被選別材料が前記静電分離部の電極間を落下する前に被選別材料に含まれる複数種の被選別片の割合を特定し、特定した割合に基づいて前記回収箱の仕切り板を一方の電極側と他方の電極側とのどちらかへ移動させる回収制御部とを備える。
フィードフォワードで被選別材料の組成解析を行い、組成解析結果に基づいて回収箱の仕切り位置を決定する静電選別装置について説明する。
例えば、リサイクルされる廃棄物(例えば、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品)を破砕して得られた混合プラスチックより、比重選別した後に残るプラスチック片(被選別片)が被選別材料となる。被選別材料には複数種のプラスチック片が混ざっている。
実施の形態1におけるプラスチック静電選別装置100の構成および動作について、図1に基づいて以下に説明する。
図1において、矢印は被選別材料101の経路を示す。
摩擦帯電前処理部110は、投入ストッカー111、乾燥機112、投入ホッパー113および投入フィーダー114で構成される。
摩擦帯電前処理部110の各構成については後述する。
摩擦帯電部120は、帯電筒121、搬入フィーダー122、フィーダー駆動装置123で構成される。
摩擦帯電部120の各構成については後述する。
静電分離部130は、マイナス電極131、プラス電極132および電圧制御装置133で構成される。
静電分離部130の各構成については後述する。
回収部140は、回収箱141、仕切り板142および仕切り板移動装置160で構成される。
回収箱141は、2枚の仕切り板142により3つの区画に仕切られる。
以下、2枚の仕切り板142のうちマイナス電極131側に配置された仕切り板142を「仕切り板142A」とし、プラス電極132側に配置された仕切り板142を「仕切り板142B」とする。また、仕切り板142Aにより仕切られたマイナス電極131側の区画を「マイナス電極側回収箱141A」、仕切り板142Bにより仕切られたプラス電極132側の区画を「プラス電極側回収箱141B」とする。また、仕切り板142Aと仕切り板142Bとにより仕切られた真ん中の区画を「ミドル回収箱141C」とする。
仕切り板移動装置160については後述する。
実施の形態1における回収制御部150の機能構成について、図2に基づいて以下に説明する。
仕切り板位置決定部153Aは、組成解析装置152により解析された混合比率に基づいて回収箱141の仕切り板142の位置を決定する。
仕切り板位置制御部153Bは、仕切り板位置決定部153Aにより決定された位置へ回収箱141の仕切り板142を移動する。
DB部159は仕切り板位置制御装置153で用いるデータを記憶するデータベースである。混合比率対仕切り板位置データ159AはDB部159に記憶されるデータの一例である。
混合比率対仕切り板位置データ159Aには、混合比率に対して最適な仕切り板142の位置が設定されている。
記憶装置には、各装置に実行させる所定の処理の手順(処理方法)を表すプログラムや所定の処理に使用するデータ(例えば、混合比率対仕切り板位置データ159A)が予め記憶される。また、記憶装置には、所定の処理で生成されたデータ(例えば、混合比率、仕切り板142の位置)が記憶される。
回収制御部150の各装置は、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実装されても構わない。また、処理の一部に人手が介入しても構わない。
次に、各部品は機械によって破砕され、風力によって金属群とプラスチック群とに分けられる。プラスチック群には、ABS、PS、PE、PP、PET、PVCなど、複数種のプラスチック片が混在する。
プラスチック群は、比重選別によって比重の軽いもの(例えば、PP)と比重の重いもの(例えば、ABS、PSおよび一部の重いPP)とに選別することもできる。
ABSとPSとPPとの摩擦帯電序列を正に帯電しやすいものから負に帯電しやすいものの順で表すと「ABS→PS→PP」という序列になる。
投入フィーダー114は、振動することにより、帯電筒121への被選別材料101の投入速度を調整する。帯電筒121には単位時間に一定量の被選別材料101が投入される。
帯電筒121内では、被選別材料101を構成する複数種のプラスチック片が摩擦し合い、各プラスチック片が摩擦帯電序列に応じた極性(プラスまたはマイナス)および帯電量で帯電する。
また、帯電筒121は特定の帯電特性を有する材料(例えば、ABS)で作られており、帯電筒121自体も摩擦帯電序列に従って帯電する。
搬入フィーダー122は、被選別材料101を上下動させながら前方に押し出す上下押し出し振動により被選別材料101のペアリングを解消する。
フィーダー駆動装置123は搬入フィーダー122を上下押し出し振動させる。
搬入フィーダー122でペアリングを解消した被選別材料101は電極間(静電界)に落とされる。すると、被選別材料101を構成する各プラスチック片は、極性と帯電量とに応じた静電気力でどちらかの電極側に引き寄せられながら自然落下する。
つまり、各プラスチック片は、極性と帯電量とに応じた放物線の軌道を描き、異なる位置に落下する。
各プラスチック片は落下位置に応じてマイナス電極側回収箱141A、プラス電極側回収箱141Bまたはミドル回収箱141Cに回収される。
被選別材料101に含まれるプラスチック片のうちABSはプラスに帯電しやすいためマイナス電極側回収箱141Aに回収され、PSおよびPPはマイナスに帯電しやすいためプラス電極側回収箱141Bに回収される。また、ミドル回収箱141Cには十分に帯電しなかったABS、PSおよびPPが混在して回収される。
ABS群やPSPP群は資源として再利用される(PSPP群はさらに次段のプラスチック静電選別装置によってPS群とPP群に選別することで資源として再利用される)。
図4は、実施の形態1における回収部140の構造を示す側断面図である。図4は図3に記すA方向から見た回収部140の構造を示している。
以下に、仕切り板142の移動構造について説明する。
各ガイド161には、ガイド161を移動可能な嵌合部材162が取り付けられている。仕切り板142は嵌合部材162に嵌めこまれている。
回収箱141の側面にはガイド161に沿って開口部(図示省略)が設けられ、各嵌合部材162の端部は回収箱側面の開口部から回収箱141の外側に突き出ている。
各ボールねじ163にはボールねじ163を移動可能な螺合部材164が取り付けられている。各螺合部材164は回収箱側面の開口部から外側に突き出ている嵌合部材162の端部と結合している。
例えば、仕切り板移動装置160はモータで構成される。
例えば、サンプリング装置151は投入ストッカー111、乾燥機112、投入フィーダー114または搬入フィーダー122から50グラム程度の被選別材料101を採取する。
アセトニトリルにはABSを溶かすがPSを溶かさないという特徴が有り、リモネンにはPSを溶かすがABSを溶かさないという特徴が有る。
試薬解析により、プラスチック片が溶けた割合から被選別材料101の混合比率が求まる。
試薬解析に要する時間は60〜150分程度である。
種類の異なるプラスチック片ではスペクトルの特徴が異なり、スペクトルの特徴によってプラスチック片の種類が特定される。
被選別材料101の混合比率は、特定されたプラスチック片の種類ごとの量の割合として求まる。
被選別材料101の混合比率を高い精度で求めるには1200個程度のプラスチック片を解析する必要がある。
近赤外線解析に要する時間は、サンプリング量によって異なるが、1200片程度の解析であれば100分程度である。
また、近赤外線解析には、プラスチック片が黒いとその種類を特定できない、という課題がある。
ラマンスペクトル解析であれば、1200片程度の解析を約30分で行うことも可能である。
また、ラマンスペクトル解析であれば、黒いプラスチック片の種類も特定することができる。
混合比率対仕切り板位置データ159Aには、混合比率に対する最適な仕切り板142の位置が予め定められている。例えば、混合比率対仕切り板位置データ159Aは、複数の混合比率と各混合比率に対する最適な仕切り板142の位置とを示す2次元のテーブル(表)で構成される。
図6は、実施の形態1におけるプラスチック片の落下分布を表す図である。
図7は、実施の形態1における仕切り板142の位置とABSの含有率とABSの回収精度(純度、回収率)との関係を表す図である。
図8は、実施の形態1における仕切り板142の位置とABSの含有率とPSPPの回収精度(純度、回収率)との関係を表す図である。
仕切り板142の位置とプラスチック片の混合比率とプラスチック片の回収精度との関係について、図5〜図8に基づいて以下に説明する。
仕切り板142Aの位置は搬入フィーダー122の端部からの距離「a」で定まり、仕切り板142Bの位置は仕切り板142Aからの距離「b」で定まる。
ABSおよびPSPP(PSとPP)の落下分布は正規分布になると考えられる(図6参照)。
したがって、距離「a」を広げると、マイナス電極側回収箱141Aから外れて落下するABSの量が減るため、マイナス電極側回収箱141Aに回収されるABSの回収率は上がる(図7(4)→(3))。一方、マイナス電極側回収箱141Aに落下するPSPPの量は増えるため、マイナス電極側回収箱141Aに回収されるABSの純度は下がる(図7(1)→(2))。逆に、距離「a」を狭めると、ABSの回収率は下がり(図7(3)→(4))、ABSの純度は上がる(図7(2)→(1))。
純度とは、回収箱に捕集された特定プラスチックの量の割合のことである。
回収率および純度の計算例について別途説明する。
したがって、ABSの含有率が上がれば、マイナス電極側回収箱141Aから外れて落下するABSの量が増えるため、マイナス電極側回収箱141Aに回収されるABSの回収率は下がる(図7(3)(4)参照)。一方、マイナス電極側回収箱141Aに落下するPSPPの量は減るため、マイナス電極側回収箱141Aに回収されるABSの純度は上がる(図7(1)(2)参照)。逆に、ABSの含有率が下がれば、ABSの回収率は上がり(図7(3)(4)参照)、ABSの純度は下がる(図7(1)(2)参照)。
逆に、距離「a+b」を広げると仕切り板142Bの位置が搬入フィーダー122から遠ざかるため、プラス電極側回収箱141Bから外れて落下するPSPPの量が増え、プラス電極側回収箱141Bに回収されるPSPPの回収率が下がる(図8(3)→(4))。また、プラス電極側回収箱141Bに落下するABSの量は減るため、プラス電極側回収箱141Bに回収されるPSPPの純度は上がる(図8(2)→(1))。
最適な仕切り板142の位置は、図7および図8に示した関係において規定の純度を満たすと共に回収率が最大となる距離「a」「b」で特定される。
例えば、混合比率対仕切り板位置データ159Aには、混合比率に対する最適な仕切り板142の位置として、ABS含有率に対する距離「a」「b」が設定される。
実施の形態1における回収率の計算例と純度の計算例とについて、図9に基づいて以下に説明する。
純度とは、回収箱に捕集された特定プラスチックの量の割合のことである。
被選別材料101をプラスチック静電選別装置100により静電選別した結果、マイナス電極側回収箱141Aには「29.7kg」のABS群と「0.3kg」のPSPP群とが回収され、プラス電極側回収箱141Bには「49.5kg」のPSPP群と「0.5kg」のABS群とが回収された。また、ミドル回収箱141Cには「10kg」のABS群と「10kg」のPSPP群とが回収された。
また、ABS群の純度は、マイナス電極側回収箱141Aに回収されたプラスチック群(29.7kg+0.3kg)に含まれるABSの量(29.7kg)の割合であるから、「99%(=29.7÷(29.7+0.3))」である。
例えば、仕切り板位置制御部153Bは、上記距離「a」に相当する位置へ仕切り板142Aを移動させ、上記距離「a+b」に相当する位置へ仕切り板142Bを移動する(図5参照)。
摩擦帯電装置は、粉砕された複数種のプラスチック片(被選別材料101)を攪拌して摩擦帯電させる。
静電分離部130は、この摩擦帯電装置の後工程に配置され、帯電されたプラスチック片をその極性と帯電量とに応じて静電分離する。
回収部140は、この静電分離部130を通過して分離されたプラスチック片を別々に回収する。
静電分離部130は一対の固定電極と分離空間(静電界)とを有する。摩擦帯電装置で種類に応じた極性と帯電量とに帯電されたプラスチック片は分離空間を通過して分離回収される。
回収部140は仕切り板142により複数の回収箱を形成し、仕切り板142を水平方向に移動可能とする。
回収制御部150は、投入ストッカー111、乾燥機112、投入フィーダー114または搬入フィーダー122から被選別材料101をサンプリングして組成解析を行い、被選別材料101の混合比率を求める。回収制御部150は、101の混合比率とデータベース「混合比率vs仕切り板位置」(混合比率対仕切り板位置データ159A)との比較により、仕切り板142の位置を最適に調整する。
以下、静電選別工程より前の工程でサンプリングして仕切り板142を調整する制御のことを「フィードフォワード制御」という。
また、静電選別工程以降の工程(回収箱141による回収工程)でサンプリングして仕切り板142を調整する制御のことを「フィードバック制御」という。
以下のように、フィードフォワード制御はフィードバック制御よりも優れている。
図10において、(A)は時間経過に伴うABS含有率(混合比率に相当)の変化を表し、(B)はABSの回収率を最大にする仕切り板142の位置を表し、(C)はフィードフォワード制御時の仕切り板142の位置とフィードバック制御時の仕切り板142の位置とを表している。例えば、仕切り板142の位置は上記の距離「a」(図5参照)である。実線がフィードフォワード制御時の仕切り板142の位置を表し、破線がフィードバック制御時の仕切り板142の位置を表している。ABSの回収純度は一定(規定値)であるものとする。
しかし、被選別材料101の混合比率を決定し、仕切り板142の位置を調整するまでの間に被選別材料101の混合比率は刻々と変化している(図10(A)参照)。
そのため、フィードバック制御の場合、仕切り板142の位置調整が遅れ(図10(C)破線参照)、混合比率が激しく変化すると回収率が大きく低下してしまう。
一方、フィードフォワード制御の場合、被選別材料101が静電選別工程に到達するまでの間に仕切り板142の位置を調整することができる。このため、仕切り板142の位置調整が遅れず(図10(C)実線参照)、混合比率が激しく変化しても回収率を維持することができる。
例えば、図1に示したように平行に配置されても、図5に示したようにハの字型(山型)に配置されても、特許文献2に開示されているように一方がドラム電極であっても構わない。
さらに、被選別材料101を摩擦以外の方法で帯電させても構わない。
例えば、ABSとPSとPPとの3種類に選別しても、その他の種類(PE、PET、PVCなど)を選別しても構わない。選別する種類の数に応じて、回収箱141を3枚以上の仕切り板142で4つ以上の区画に仕分けしても構わない。また、回収箱141を1枚の仕切り板142で2つの区画に仕分けしても構わない(ミドル回収箱141Cを設けなくても構わない)。
さらに、被選別材料101は帯電するものであればプラスチック以外であっても構わない。
帯電した被選別材料の比電荷を計測し、計測結果に基づいて回収箱の仕切り板の位置を決定する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項は実施の形態1と同様である。
実施の形態2における回収制御部150の機能構成について、図11に基づいて以下に説明する。
仕切り板位置決定部153Aは、比電荷計測装置154により計測された比電荷に基づいて回収箱141の仕切り板142の位置を決定する。
仕切り板位置制御部153Bは、仕切り板位置決定部153Aにより決定された位置へ回収箱141の仕切り板142を移動する。
DB部159は仕切り板位置制御装置153で用いるデータを記憶するデータベースである。比電荷対混合比率データ159Bおよび混合比率対仕切り板位置データ159AはDB部159に記憶されるデータの一例である。
比電荷対混合比率データ159Bには、比電荷に対応する混合比率が設定されている。
混合比率対仕切り板位置データ159Aには、混合比率に対して最適な仕切り板142の位置が設定されている。
例えば、サンプリング装置151は絶縁トレイを用いて搬入フィーダー122から被選別材料101をサンプリングする。
例えば、比電荷計測装置154は、ナノクーロンメーターと呼ばれる装置を用いて被選別材料101の帯電量を計測する。
一般的に、帯電量の単位はナノクーロン[nC]で表される。
例えば、帯電量が30ナノクーロン[nC]で質量が15グラム[g]である場合、比電荷は「2nC/g(=30nC/15g)」である。
比電荷対混合比率データ159Bには、比電荷に対応する混合比率が予め定められている。例えば、比電荷対混合比率データ159Bは、複数の比電荷と各比電荷に対応する混合比率とを示す2次元のテーブルで構成される。
比電荷と混合比率との関係について、図12に基づいて以下に説明する。
以下、プラス側を「大」、マイナス側を「小」とする。
この場合、ABSの含有率が高いほどプラスの電荷の割合が多くなるため、被選別材料101の比電荷は大きくなる。また、ABSの含有率が低くなる(PSPPの含有率が高くなる)ほどプラスの電荷の割合が少なくなるため、被選別材料101の比電荷は小さくなる(図12参照)。
そこで、混合比率に対応する比電荷を実験またはシミュレーションにより求め、得られた結果に基づいて比電荷に対応する混合比率を比電荷対混合比率データ159Bに設定しておく。
例えば、比電荷対混合比率データ159Bには、比電荷に対応するABS含有率が設定される。
そして、回収制御部150は、その帯電量と質量とを計測することによって被選別材料101の比電荷(=帯電量/質量)を求める。回収制御部150は、被選別材料101の比電荷とデータベース「比電荷vs混合比率」(比電荷対混合比率データ159B)とデータベース「混合比率vs仕切り板位置」(混合比率対仕切り板位置データ159A)との比較により、仕切り板142の位置を最適に調整する。
被選別材料101の組成(および比電荷)は静電選別工程(静電分離部130、回収部140)より前の工程で得る情報である。つまり、実施の形態2における仕切り板142の位置制御は実施の形態1と同じくフィードフォワード制御である。したがって、実施の形態2は実施の形態1と同様に最大の回収率を得ることができる。また、サンプリングおよび比電化計測に要する時間は約5分程度と短いので、仕切り板の位置決定に要する時間と労力を実施の形態1に比べて大幅に削減できるという効果がある。
被選別材料を帯電させる帯電筒の電位を計測し、計測結果に基づいて回収箱の仕切り板の位置を決定する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項は実施の形態1と同様である。
実施の形態3における回収制御部150の機能構成について、図13に基づいて以下に説明する。
以下、帯電筒121の電位を「帯電筒電位」という。
仕切り板位置決定部153Aは、帯電筒電位計測装置155により計測された帯電筒電位に基づいて回収箱141の仕切り板142の位置を決定する。
仕切り板位置制御部153Bは、仕切り板位置決定部153Aにより決定された位置へ回収箱141の仕切り板142を移動する。
DB部159は仕切り板位置制御装置153で用いるデータを記憶するデータベースである。帯電筒電位対混合比率データ159Cおよび混合比率対仕切り板位置データ159AはDB部159に記憶されるデータの一例である。
帯電筒電位対混合比率データ159Cには、帯電筒電位に対応する混合比率が設定されている。
混合比率対仕切り板位置データ159Aには、混合比率に対する最適な仕切り板142の位置が設定されている。
例えば、被選別材料101が全体としてプラスに帯電した場合、帯電筒121の内表面はマイナスに帯電し、帯電筒121の内表面はマイナスの電位となる。また、帯電筒121の外表面は内表面と逆にプラスに帯電し、プラスの電位となる。
プラス側を「大」、マイナス側を「小」とすると、被選別材料101の帯電量が大きいほど、帯電筒121の内表面の電位は小さくなり、帯電筒121の外表面の電位は大きくなる。また、被選別材料101の帯電量が小さいほど、帯電筒121の内表面の電位は大きくなり、帯電筒121の外表面の電位は小さくなる。
帯電筒電位対混合比率データ159Cには、帯電筒電位に対応する混合比率が予め定められている。例えば、帯電筒電位対混合比率データ159Cは、複数の帯電筒電位と各帯電筒電位に対応する混合比率とを示す2次元のテーブルで構成される。
帯電筒電位と混合比率との関係について、図14に基づいて以下に説明する。
被選別材料101には、プラスに帯電しやすいABSとマイナスに帯電しやすいPSPP(PS+PP)とが含まれているものとする。
この場合、ABSの含有率が高くなるほどプラスの電荷が多くなるため、被選別材料101の帯電量は大きくなる。また、ABSの含有率が低くなる(PSPPの含有率が高くなる)ほどプラスの電荷が少なくなるため、被選別材料101の帯電量は小さくなる。
また、上記の通り、被選別材料101の帯電量が大きいほど帯電筒121の外表面の電位は大きく、被選別材料101の帯電量が小さいほど帯電筒121の外表面の電位は小さい。
したがって、ABSの含有率が高くなるほど帯電筒121の外表面の電位は大きくなり、ABSの含有率が低くなるほど帯電筒121の外表面の電位は小さくなる(図14参照)。
そこで、被選別材料101の混合比率に対応する帯電筒電位を実験またはシミュレーションにより求め、得られた結果に基づいて帯電筒電位に対応する混合比率を帯電筒電位対混合比率データ159Cに設定しておく。
例えば、帯電筒電位対混合比率データ159Cには、帯電筒電位に対応するABS含有率が設定される。
被選別材料101の組成(および帯電筒121の表面電位)は静電選別工程(静電分離部130、回収部140)より前の工程で得る情報である。つまり、実施の形態3における仕切り板142の位置制御は実施の形態1と同じフィードフォワード制御である。したがって、実施の形態3は実施の形態1と同様に最大の回収率を得ることができる。また、帯域筒電位計測に要する時間は約1分程度と短いので、仕切り板の位置決定に要する時間と労力を実施の形態1および2に比べて大幅に削減できるという効果がある。
Claims (4)
- 帯電特性が異なる複数種のプラスチック片を含んだ被選別材料を投入する投入部と、
前記投入部により投入された被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片を帯電させる帯電部と、
所定の電圧が印加される一対の電極を有し、前記帯電部で帯電して電極間を落下する複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じていずれかの電極側へ引き寄せる静電分離部と、
前記静電分離部の一対の電極の下方に配置される回収箱であり仕切り板により一方の電極側の区画と他方の電極側の区画とに区分けされる回収箱を有し、電極間を落下した複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じた区画に回収する回収部と、
被選別材料が前記静電分離部の電極間を落下する前に被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片の種類毎の割合を特定し、特定した複数種のプラスチック片の種類毎の割合に基づいて前記回収箱の仕切り板を一方の電極側と他方の電極側とのどちらかへ移動させる回収制御部とを備え、
前記回収制御部は、
前記帯電部から帯電後の被選別材料の一部を解析対象として取得するサンプリング部と、
前記サンプリング部により取得された解析対象に含まれる複数種のプラスチック片の種類毎の割合に相当する値として前記解析対象の比電荷を計測する比電荷計測部と、
前記比電荷計測部により計測された比電荷に基づいて前記回収箱の仕切り板の位置を決定する仕切り板位置決定部と、
前記仕切り板位置決定部により決定された位置へ前記回収箱の仕切り板を移動させる仕切り板位置制御部とを備える
ことを特徴とする静電選別装置。 - 帯電特性が異なる複数種のプラスチック片を含んだ被選別材料を投入する投入部と、
前記投入部により投入された被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片を帯電させる帯電部と、
所定の電圧が印加される一対の電極を有し、前記帯電部で帯電して電極間を落下する複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じていずれかの電極側へ引き寄せる静電分離部と、
前記静電分離部の一対の電極の下方に配置される回収箱であり仕切り板により一方の電極側の区画と他方の電極側の区画とに区分けされる回収箱を有し、電極間を落下した複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じた区画に回収する回収部と、
被選別材料が前記静電分離部の電極間を落下する前に被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片の種類毎の割合を特定し、特定した複数種のプラスチック片の種類毎の割合に基づいて前記回収箱の仕切り板を一方の電極側と他方の電極側とのどちらかへ移動させる回収制御部とを備え、
前記帯電部は、被選別材料を帯電させる帯電筒を備え、
前記回収制御部は、
被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片の種類毎の割合に相当する値として前記帯電筒の電位を計測する帯電筒電位計測部と、
前記帯電筒電位計測部により計測された前記帯電筒の電位に基づいて前記回収箱の仕切り板の位置を決定する仕切り板位置決定部と、
前記仕切り板位置決定部により決定された位置へ前記回収箱の仕切り板を移動させる仕切り板位置制御部とを備える
ことを特徴とする静電選別装置。 - 投入部は、帯電特性が異なる複数種のプラスチック片を含んだ被選別材料を投入し、
帯電部は、前記投入部により投入された被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片を帯電させ、
静電分離部は、所定の電圧が印加される一対の電極を有し、前記帯電部で帯電して電極間を落下する複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じていずれかの電極側へ引き寄せ、
回収部は、前記静電分離部の一対の電極の下方に配置される回収箱であり一方の電極側と他方の電極側とのどちらかへ移動される仕切り板により一方の電極側の区画と他方の電極側の区画とに区分けされる回収箱を有し、電極間を落下した複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じた区画に回収し、
回収制御部は、被選別材料が前記静電分離部の電極間を落下する前に前記帯電部から帯電後の被選別材料の一部を解析対象として取得し、取得した解析対象に含まれる複数種のプラスチック片の種類毎の割合に相当する値として前記解析対象の比電荷を計測し、計測した比電荷に基づいて前記回収箱の仕切り板の位置を決定し、決定した位置へ前記回収箱の仕切り板を移動させる
ことを特徴とする静電選別方法。 - 投入部は、帯電特性が異なる複数種のプラスチック片を含んだ被選別材料を投入し、
帯電部は、前記投入部により投入された被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片を帯電筒によって帯電させ、
静電分離部は、所定の電圧が印加される一対の電極を有し、前記帯電部で帯電して電極間を落下する複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じていずれかの電極側へ引き寄せ、
回収部は、前記静電分離部の一対の電極の下方に配置される回収箱であり一方の電極側と他方の電極側とのどちらかへ移動される仕切り板により一方の電極側の区画と他方の電極側の区画とに区分けされる回収箱を有し、電極間を落下した複数種のプラスチック片をプラスチック片の帯電状態に応じた区画に回収し、
回収制御部は、被選別材料が前記静電分離部の電極間を落下する前に被選別材料に含まれる複数種のプラスチック片の種類毎の割合に相当する値として前記帯電筒の電位を計測し、計測した前記帯電筒の電位に基づいて前記回収箱の仕切り板の位置を決定し、決定した位置へ前記回収箱の仕切り板を移動させる
ことを特徴とする静電選別方法。
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