JP5630640B2 - カーボンナノチューブ製造方法およびカーボンナノチューブ製造装置 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造方法およびカーボンナノチューブ製造装置 Download PDF

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本発明はカーボンナノチューブ製造方法およびカーボンナノチューブ製造装置に関する。
特許文献1には、反応室に基板を設定する設置部と、設置部に設置された基板に上方に間隔を隔てて対面するパイプ状の1本のガス供給管とが設けられたカーボンナノチューブ製造装置が開示されている。このものによれば、ガス供給管は曲成されている。ガス供給管の周壁には、複数の吹出口が形成されている。このものによれば、反応ガスをガス供給管の複数の吹出口から基板に向けて吹き出す際に、各吹出口から基板のカーボンナノチューブ形成面までの距離を100ミリメートル以下に設定している。
特許文献2には、反応室に設置された平板状の基板の上面および下面とほぼ平行な方向に沿って反応ガスを供給し、基板の上面および下面にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ製造装置が開示されている。
特許文献3には、基板の上面および下面にカーボンナノチューブをそれぞれ形成させた構造をもつキャパシタが開示されている。このものによれば、基板の上面に形成されたカーボンナノチューブの長さと、基板の下面に形成されたカーボンナノチューブの長さとは同じとされている。
特開2008−137831号公報 特開2004−332093公報 特開2007−48907公報
特許文献1によれば、反応ガスを供給させるガス供給管は、1本のパイプを曲成して形成されているため、基板のカーボンナノチューブ形成面に形成されるカーボンナノチューブの性状(長さ等)には、ばらつきが発生するおそれがある。その理由としては、パイプ状のガス供給管に形成されている吹出口が基板のカーボンナノチューブ形成面に接近しているものの、ガス供給管が1本のパイプである構造上、ガス供給管に形成されている吹出口と基板のカーボンナノチューブ形成面との間の距離が一様ではないためである。特許文献2においても、基板のカーボンナノチューブ形成面の各部位に形成されるカーボンナノチューブの性状に、ばらつきが発生するおそれがある。その理由としては、反応室に設置された平板状の基板の上面および下面とほぼ平行な方向に沿って、反応ガスを基板に供給するためであると推察される。特許文献2においては、特に、基板の上面に形成されるカーボンナノチューブと、基板の下面に形成されるカーボンナノチューブとでは、性状にばらつきが発生しやすい。本出願人は、この現象を本願の比較例1として確認している。特許文献3においても、基板のカーボンナノチューブ形成面に形成されるカーボンナノチューブの性状にはばらつきが発生するおそれがあると推察される。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、対象物のうち同一のカーボンナノチューブ形成面であれば、その同一のカーボンナノチューブ形成面に形成されるカーボンナノチューブのばらつきを抑制できる新規なカーボンナノチューブ製造方法およびカーボンナノチューブ製造装置を提供することを課題とする。
(1)本発明に係るカーボンナノチューブ製造方法は、(i)カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ対象物を用意すると共に、対象物を収容するための反応室と、反応室に収容される対象物のカーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されたガス供給室と、ガス供給室と反応室とを連通させると共にガス供給室の反応ガスを反応室に吹き出す複数の吹出口とを有するガス通路形成部材と、対象物のカーボンナノチューブ形成面、ガス通路形成部材、反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを用意する準備工程と、(ii)対象物のカーボンナノチューブ形成面、ガス通路形成部材、反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させた状態で、反応ガスをガス供給室に供給することにより、反応室内の対象物のカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して交差する方向に沿って、ガス供給室の反応ガスを吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面に向けて吹き出し、対象物のカーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程とを実施する。
ガス供給室は、反応室に収容された対象物のカーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ、カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されている。複数の吹出口は、ガス供給室と反応室とを連通させると共に、ガス供給室の反応ガスを反応室内の対象物に向けて吹き出す。
このため、反応ガスの吹き出しの際に、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lについては、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lができるだけ均衡化されている。このため対象物のうち同一のカーボンナノチューブ形成面において、そのカーボンナノチューブ形成面の各部位に形成されるカーボンナノチューブの性状のばらつきが低減される。
(2)本発明に係るカーボンナノチューブ製造装置は、カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ対象物にカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ製造装置であって、(i)基体と、(ii)基体に設けられ、対象物のカーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ対象物のカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設された対面壁と、対面壁にこれを貫通するように形成された複数の吹出口と、対面壁を用いて対象物のカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設され且つ吹出口に連通するガス供給室と、反応室に連通するガス排出通路とを有するガス通路形成部材と、(iii)基体に設けられ、対象物のカーボンナノチューブ形成面、ガス通路形成部材、反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを具備する。
ガス供給室は、反応室に収容された対象物のカーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ、カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されている。複数の吹出口は、ガス供給室と反応室とを連通させると共に、ガス供給室の反応ガスを反応室内の対象物に向けて吹き出す。
このため、反応ガスの吹き出しの際に、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lについては、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lができるだけ均衡化されている。このため同一のカーボンナノチューブ形成面においては、その同一のカーボンナノチューブ形成面に形成されるカーボンナノチューブの成長のばらつきが低減される。
本発明によれば、ガス供給室は、反応室に収容された対象物のカーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ、カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されている。複数の吹出口は、ガス供給室と反応室とを連通させると共に、ガス供給室の反応ガスを反応室内の対象物に向けて吹き出す。このため、反応ガスの吹き出しの際に、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lについては、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lができるだけ均衡化されている。このため同一のカーボンナノチューブ形成面においては、その同一のカーボンナノチューブ形成面に形成されるカーボンナノチューブの成長のばらつきが低減される。
実施形態1に係り、カーボンナノチューブ製造装置の概念を示す断面図である。 実施形態1に係り、カーボンナノチューブ製造装置の異なる方向に沿った断面図である。 実施形態1に係り、カーボンナノチューブ製造装置の要部の平面図である。 実施形態1に係り、第1吹出口および第2吹出口と対象物との関係を示す断面図である。 実施例1に係る対象物に形成されているカーボンナノチューブの性状を示す電子顕微鏡写真図である。 実施例2に係る対象物に形成されているカーボンナノチューブの性状を示す電子顕微鏡写真図である。 実施例3に係る対象物に形成されているカーボンナノチューブの性状を示す電子顕微鏡写真図である。 比較例1に係る対象物に形成されているカーボンナノチューブの性状を示す電子顕微鏡写真図である。 実施形態3に係り、カーボンナノチューブ製造装置の概念を示す断面図である。 実施形態4に係り、カーボンナノチューブ製造装置の概念を示す断面図である。 実施形態5に係り、カーボンナノチューブ製造装置の異なる方向に沿った断面図である。 実施形態6に係り、カーボンナノチューブ製造装置の概念を示す断面図である。 実施形態7に係り、カーボンナノチューブ製造装置の概念を示す断面図である。 比較例1で用いたカーボンナノチューブ製造装置の概念を示す断面図である。 比較例1で用いたカーボンナノチューブ製造装置の概念を示す異なる方向に沿った断面図である。
好ましくは、反応ガスの吹き出しの際に、各吹出口から対象物の同一のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lを100として相対表示するとき、各吹出口にわたり75〜125の範囲内に設定され、各吹出口から対象物のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lが均衡化されている。この場合、カーボンナノチューブの性状のばらつきが低減される。性状とは、カーボンナノチューブの長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、重量、分布等の少なくとも1つのうちの少なくとも1つを意味する。
好ましくは、対象物のカーボンナノチューブ形成面は、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1操作と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御する。この場合、第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成されるカーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成されるカーボンナノチューブの性状とを変更させることもできる。勿論、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成される第1カーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成される第2カーボンナノチューブの性状とを同一または近似させることもできる。
好ましくは、複数の吹出口の中心線から対象物に向けて延びる延長線は、対象物のカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して所定角度(図4に示すθ1,θ2に相当、θ1,θ2=70〜110°)以内で交差するように設定されている。この場合、カーボンナノチューブの性状のばらつきが低減される。
好ましくは、対象物のカーボンナノチューブ形成面は、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1操作と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御する。この場合、第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成されるカーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成されるカーボンナノチューブの性状とを変更させることもできる。性状とは、カーボンナノチューブの長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、重量、分布等の少なくとも1つを意味する。勿論、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成される第1カーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成される第2カーボンナノチューブの性状とを同一または近似させることもできる。また、第1操作および第2操作は同時に実施されることが生産上好ましいが、時間的に重複しないように時間的にずらして実施してもよい。更には、第1操作および第2操作は、時間的に一部重複させつつ時間をずらして実施しても良い。
好ましくは、(a)対象物のカーボンナノチューブ形成面は、互いに異なる位置(例えば、対象物を基板とした場合の表面、裏面、あるいは側面)に設けられた第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、(b)対面壁は、対象物の第1カーボンナノチューブ形成面に第1間隔を隔てて対面する第1対面壁と、対象物の第2カーボンナノチューブ形成面に第2間隔を隔てて対面する第2対面壁とを有しており、(c)吹出口は、第1対面壁に形成された第1吹出口と、第2対面壁に形成された第2吹出口とを有しており、(d)ガス供給室は、第1ガス供給源に繋がると共に第1吹出口に連通する第1ガス供給室と、第2ガス供給源に繋がると共に第2吹出口に連通する第2ガス供給室とを有しており、(e)加熱源は、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1反応ガス、対象物の第1カーボンナノチューブ形成面、第1ガス供給室のうちの少なくとも一つを第1カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第1加熱源と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2反応ガス、対象物の第2カーボンナノチューブ形成面、第2ガス供給室のうちの少なくとも一つを第2カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第2加熱源とを有する。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1操作と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御することができる。この場合、第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成されるカーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成されるカーボンナノチューブの性状とを変更させることもできる。性状とは、カーボンナノチューブの長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、重量、分布等の少なくとも1つを意味する。勿論、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成されるカーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成されるカーボンナノチューブの性状とを同一または近似させることもできる。第1操作および第2操作は前述したように時間的に同時に行っても良いし、時間的にずらして行っても良い。
好ましくは、カーボンナノチューブを形成するにあたり、対象物の一端側を一対の第1設置部で挟むと共に、対象物の他端側を一対の第2設置部で挟むことができる。そして第1設置部と第2設置部とを対象物の面方向に沿って相対的に離間させる方向に変位させることにより、対象物の面方向に張力を与え、対象物の過剰な撓み変形が抑制される。この場合、単位時間あたりについて、第1吹出口から吹き出される第1反応ガスの単位時間あたり流量と、第2吹出口から吹き出される第2反応ガスの単位時間あたりの流量とが同等でないときであっても、対象物のカーボンナノチューブ形成面が対象物の厚み方向に変位することが抑制される。このように対象物の面方向に張力を与えつつ、カーボンナノチューブを対象物に形成することもできる。
好ましくは、ガス通路形成部材のガス排出通路の出口は、対象物の側端面に対面する位置に配置されている。この場合、対象物のカーボンナノチューブ形成面に接触した反応ガスは、カーボンナノチューブを形成させた後に速やかに、ガス排出通路から排出させることができる。このためカーボンナノチューブを形成した後の反応済みガスが反応室に残留することが抑制される。この場合、良好なカーボンナノチューブの形成に貢献できる。カーボンナノチューブ形成反応においては、炭素源およびプロセス条件は特に限定されるものではない。カーボンナノチューブを形成させる炭素を供給させる炭素源として、アルカン、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素、アルコール、エーチル等の脂肪族化合物、芳香族炭化水素等の芳香族化合物が例示される。従って、炭素源として、アルコール系の原料ガス、炭化水素系の原料ガスを用いるCVD法(熱CVD,プラズマCVD、リモートプラズマCVD法等)が例示される。アルコール系の原料ガスとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のガスが例示される。更に炭化水素系の原料ガスとしてはメタンガス、エタンガス、アセチレンガス、プロパンガス等が例示される。
(実施形態1)
図1〜図4は実施形態1を示す。カーボンナノチューブ製造装置は、カーボンナノチューブを形成するための対象物1のカーボンナノチューブ形成面11,12にカーボンナノチューブを製造する。ここで、図1〜図3に示すように、対象物1は平らな基板状をなしており、互いに背向する2次元的に延設された平坦な第1カーボンナノチューブ形成面11と、2次元的に並設された平坦な第2カーボンナノチューブ形成面12とを有する。対象物1の材質は特に限定されず、シリコン、金属などが例示される。金属としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、鉄合金(ステンレスを含む)、チタン合金、銅合金、アルミニウム合金等が例示される。図3から理解できるように、第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12は、2次元方向に延びる平坦状とされており、一方向であるX方向(長手方向)と、これに交差(直交)する他方向であるY方向(幅方向)とに延びる。対象物1のカーボンナノチューブ形成面11,12には、触媒が存在していることが好ましい。触媒としては、通常、遷移金属が用いられる。特に、V〜VIII族の金属が好ましい。カーボンナノチューブ集合体の密度の目標値等に応じて、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、銅、クロム、バナジウム、ニッケルバナジウム、チタン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銀、金、これらの合金が例示される。触媒はA−B系の合金であることが好ましい。ここで、Aは鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも1種であり、Bはチタン、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルのうちの少なくとも1種であることが好ましい。この場合、鉄−チタン系合金、鉄−バナジウム系合金のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。更に、コバルト−チタン系合金、コバルト−バナジウム系合金、ニッケル−チタン系合金、ニッケル−バナジウム系合金、鉄−ジルコニウム系合金、鉄−ニオブ系合金が挙げられる。鉄−チタン系合金の場合には、質量比でチタンが10%以上、30%以上、50%以上、70%以上(残部は鉄)、90%以下が例示される。鉄−バナジウム系合金の場合には、質量比でバナジウムが10%以上、30%以上、50%以上、70%以上(残部は鉄)、90%以下が例示される。
図1に示す基体2はカーボンナノチューブ製造装置のベースをなす。反応ガスを供給するガス通路形成部材3が基体2に設けられている。図1および図2に示すように、ガス通路形成部材3は、対象物1を収容する容積を有する反応室30と、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1間隔E1(最短間隔)を隔てて対面する第1対面壁31と、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2間隔E2を隔てて対面する第2対面壁32とを有する。E1=E2、または、E1≒E2(例えばE1/E2=0.85〜1.15)とされていることが好ましい。この場合、図2に示すように、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成する第1カーボンナノチューブ101と、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成する第2カーボンナノチューブ102とについて、長さ等の性状を同一または近似させるのに有利である。性状とは物理的性状および化学的性状を意味し、カーボンナノチューブの長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、重量、分布等の少なくとも1つが例示される。但し、場合によっては、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102について、性状を変化させる場合には、E1<E2としても良いし、E1>E2としても良い。
図1および図2に示すように、第1対面壁31は、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ平行とされており、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する第1面方向(矢印S1方向)に沿って二次元的に延設されており、前記したX方向およびY方向に延設されている。この場合、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成する第1カーボンナノチューブ101の性状について、第1カーボンナノチューブ形成面11においてばらつきを抑制させるのに有利である。第2対面壁32は、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ平行とされており、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12が延設する面方向(矢印S2方向)に沿って二次元的に延設されており、前記したX方向およびY方向に延設されている。この場合、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に形成する第1カーボンナノチューブ101の性状について、ばらつきを抑制させるのに有利である。
図1および図2に示すように、ガス通路形成部材3は、第1対面壁31にこれを厚み方向に貫通するように形成された複数の第1吹出口41と、第2対面壁32にこれを厚み方向に貫通するように形成された複数の第2吹出口42と、第1対面壁31を用いて対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する第1面方向(S1方向)に沿って延設され且つ第1吹出口41に連通する第1ガス供給室51と、第2対面壁32を用いて対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12が延設する第2面方向(S2方向)に沿って延設され且つ第2吹出口42に連通する第2ガス供給室52と、反応室30にこれの第1出口38を介して連通する第1ガス排出通路33(図2参照)と、反応室30にこれの第2吹出口39を介して連通する第2ガス排出通路34(図2参照)を有する。第1吹出口41は、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に対向する。第2吹出口42は、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に対向する。
図2に示すように、第1ガス供給室51は、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に対向するように形成され、箱状通路とされており、対象物1の幅寸法D2よりも大きな幅寸法D20をもつ。第2ガス供給室52は、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に対向するように形成され、箱状通路とされており、対象物1の幅寸法D2よりも大きな幅寸法D20をもつ。図2に示すように、箱状通路は2次元方向(X方向,Y方向)に延設された偏平な箱状通路とされている。第1カーボンナノチューブ形成面11に第1反応ガスをできだけ均一に吹き付け、第1カーボンナノチューブ101をできるだけ均一に形成するためである。また、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2反応ガスをできるだけ均一に吹き付け、第2カーボンナノチューブ102をできるだけ均一に形成するためである。なお、カーボンナノチューブ101,102の性状のばらつきを低減させるためには、第1ガス供給室51の流路横断面積をSA1とし、第2ガス供給室52の流路横断面積をSA2とするとき、SA1=SB2,SA1≒SB2が好ましい。場合によっては、SA1/SB2==0.8〜1.2の範囲、または、0.9〜1.1の範囲にできる。但し、これに限定されない。本実施形態では図2に示すように、第1ガス供給室51は対象物1の上側に、第2ガス供給室52は対象物1の下側に配置されている。
複数の第1吹出口41は、千鳥配列でほぼ均等間隔で第1対面壁31のほぼ全面(周縁部を除く)に形成されていることが好ましい。この場合、第1反応ガスをできるだけ均一に吹き付けることができ、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の性状のばらつき低減に貢献できる。なお千鳥配列に限定されるものではなく、第1カーボンナノチューブ101の性状のばらつき低減に貢献できる限り、要するに、複数の第1吹出口41が第1対面壁31において散乱状に形成されていれば良い。同様に、複数の第2吹出口42が千鳥配列でほぼ均等間隔で第2対面壁32に形成されていることが好ましい。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102の性状のばらつき低減に貢献できる。なお千鳥配列に限定されるものではない。
図4から理解できるように、第1吹出口41は、対象物1のサイズ等にもよるが、内径DW1(例えば0.2〜8ミリメートル,0.3〜5ミリメートル)の円形状の孔で形成できる。最も隣接する第1吹出口41の中心軸線P1間のピッチをPA1とし、第1吹出口41の内径をDW1とすると、ピッチPA1=DW1×α1にできる。α1としては2〜50の範囲内、3〜25の範囲内が例示される。但しこれに限定されるものではない。第2吹出口42の内径DW2についても、第2吹出口42の中心軸線P2間のピッチPA2についても同様である。また、大面積の対象物の面内に均一に原料ガスを導入するために、ガス供給の遠い位置ほどピッチを小さくしたり、孔径を大きくしても良い。
本実施形態によれば、対象物1の厚みを示す断面図である図4から理解できるように、複数の第1吹出口41の中心軸線P1から対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に向けて延びる延長線PK1は、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する面方向(S1方向)に対して第1所定角度θ1(θ1=70〜110°)以内で、具体的にθ1=85〜95°以内で交差するように設定されていることが好ましい。また図4に示すように、複数の第2吹出口42の中心軸線P2から対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に向けて延びる延長線PK2は、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12が延設する面方向(S2方向)に対して第2所定角度θ2(θ2=70〜110°)以内で、具体的にθ2=85〜95°以内で交差するように設定されていることが好ましい。θ1およびθ2は88〜92°、特に90°としても良い。
図2に示すように、ガス通路形成部材3において、第1対面壁31および第2対面壁32は、第1副壁61および第2副壁62で互いに連設されている。反応室30の第1出口38は、対象物1の一方の側端面14に接近しつつ対向するように第1副壁61に形成されている。反応室30の第2出口39は、対象物1の他方の側端面15に接近しつつ対向するように第2副壁62に形成されている。
図2に示すように、対象物1の厚みTAが比較的厚いときには、第1出口38と側端面14との距離をM1とし、第2出口39と側端面15との距離をM2とし、対象物1の厚みをTAとするとき、M1は(0.3〜7)×TA、または、(0.5〜5)×TAとすることが例示される。但しこれに限定されるものではない。第1副壁61の厚みをTEとするときには、M1は(0.3〜7)×TE、または、(0.5〜5)×TEとすることが例示される。但しこれに限定されるものではない。このように、第1出口38は対象物1の側端面14に対面しつつ近づいている。このためカーボンナノチューブ101,102を形成させた反応ガスを第1出口38から速やかに第1ガス排出通路33に排出させるのに有利である。同様に、M2は(0.3〜5)×TA、または、(0.5〜2)×TAとすることが例示される。この場合、第2出口39は対象物1の側端面15に対面しつつ近づいている。このためカーボンナノチューブ101,102を形成させた反応ガスを第2吹出口39から速やかに第2ガス排出通路34に排出させるのに有利である。ここで、第1カーボンナノチューブ101と第2カーボンナノチューブ102とについて、性状を同一または近似させるためには、M1=M2、または、M1≒M2(M1/M2=0.7〜1.3の範囲、0.9〜1.1の範囲)とされていることが好ましい。
図2に示すように、第1ガス排出通路33は、第1副壁61と、第1副壁61よりも外側の第1側壁63とを利用して形成されているおり、図示しないドレン側に繋がる。第2ガス排出通路34は、第2副壁62と、第2副壁62よりも外側の第2側壁64とを利用して形成されており、ドレン側に繋がる。
さらに、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11、ガス通路形成部材3、第1ガス供給室51の第1反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度(例えば400〜1000℃程度、550〜700℃)に加熱させるための第1加熱源71が、基体2に設けられている。対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12、ガス通路形成部材3、第2ガス供給室52の第2反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させるための第2加熱源72が、基体2に設けられている。加熱源71,72は、ガス供給室51,52の外側に配置されているため、ガス供給室51,52の全体、通路形成部材3の全体を加熱させるにも有利である。
第1加熱源71は、第1ガス供給室51の外側(上側)に配置されており、近赤外線を放出するランプヒータで形成されていることが好ましい。第2加熱源72は、第2ガス供給室52の外側(上側)に配置されており、近赤外線を放出するランプヒータで形成されていることが好ましい。加熱源71,72は通路形成部材3自体も、通路形成部材3内の反応ガスも加熱できる。なお、通路形成部材3の全体は、近赤外線を透過できる材料(例えば石英ガラス)で形成されていることが好ましい。この場合、第1加熱源71および第2加熱源72は、反応室30内の対象物1をカーボンナノチューブ形成温度に加熱できる。加熱源71,72はカバー部材75で外側から覆われている。
第1加熱源71および第2加熱源72は制御装置により互いに独立して制御できることが好ましい。この場合、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11の温度T1と、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12の温度T2とを独立させて制御するのに有利である。なお、対象物1が鉄または鉄合金等の導電性および透磁性を有する場合には、第1加熱源71および第2加熱源72としては、電磁誘導で対象物1を加熱させる誘導加熱方式としても良い。誘導加熱の場合には、第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の表面を表皮効果により集中的に早期に加熱できる。さらには他の加熱方式としても良い。
図1に示すように、第1ガス供給室51は、第1反応ガスおよび第1キャリヤガスを供給できる第1供給通路81を介して繋がる。第1供給通路81には、第1反応ガス用の第1供給バルブ81a,第1キャリヤガス用の第1供給バルブ81cが設けられている。第2ガス供給室52は、第2反応ガスおよび第2キャリヤガスを供給できる第2供給通路82を介して繋がる。第2供給通路82には、第2反応ガス用の第2供給バルブ82a,第2キャリヤガス用の第2供給バルブ82cが設けられている。第1供給通路81および第2供給通路82には、供給する各ガスの流量を計測する流量計を設けることが好ましい。更に、対象物1を基準に反応ガスの吹出口41、42と加熱源71、72をそれぞれ対称的に設けることが好ましい。この場合、対象物の両面にそれぞれ形成されるカーボンナノチューブの性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、密度等の少なくとも1つ)の差について、ばらつきに抑えるのに有利である。
さて、カーボンナノチューブ形成工程について説明する。まず、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12にそれぞれ触媒を担持させておくことが好ましい。触媒は、蒸着、スパッタリング、ディピング等に、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12に形成できる。
その後、カーボンナノチューブ形成工程を実施する。すなわち、図1および図2に示すように、設置部18を介して対象物1を反応室30に設置する。設置部18は固定式でも良いし、搬送ローラでも良い。固定式であれば、対象物1を固定した状態でカーボンナノチューブを形成する。搬送ローラであれば、対象物1を搬送方向に連続的に搬送させつつ、カーボンナノチューブ11,12を連続的に形成でき、生産性を向上できる。カーボンナノチューブ形成工程では、反応室30を真空引きしておく。さらに、第1加熱源71および第2加熱源72をオンさせて対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12を所定温度(例えば300〜600℃)に昇温させておく。
この状態で、第1供給通路81からキャリヤガス(アルゴンガスまたは窒素ガス)を第1ガス供給室51および第1吹出口41を介して反応室30に供給する共に、第2供給通路82からキャリヤガスを第2ガス供給室52および第2吹出口42を介して反応室30に供給し、反応室30の圧力を調整する。その後、第1反応ガスを第1供給通路81から第1ガス供給室51に供給すると共に、第2供給通路82から第2反応ガスを第2ガス供給室52に供給させる。第1ガス供給室51に供給された第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に向けてこれに衝突するように吹き出される。第2ガス供給室52に供給された第2反応ガスは、複数の第2吹出口42から対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に向けてこれに衝突するように吹き出される。なお第1反応ガスおよび第2反応ガスは同量および同種にできる。
上記したカーボンナノチューブ形成工程が実施されると、図2から理解できるように、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブ101が形成されると共に、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブ102が形成される。第1カーボンナノチューブ101は、基本的には、第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直方向に成長する。第2カーボンナノチューブ102は、基本的には、第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直方向に成長する。
第1反応ガスの吹き出しの際に、各第1吹出口41から対象物1の同一の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1(図4参照)を100として相対表示するとき、各第1吹出口41について、75〜125の範囲内に設定されている。具体的には、各第1吹出口41にわたり90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内,100)に設定されていることが好ましい。このため各第1吹出口41について、第1吹出口41から対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1ができるだけ均衡化されている。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面11において形成される第1カーボンナノチューブ101の性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、分布等の少なくとも1つ)のばらつきが抑制される。例えば、第1カーボンナノチューブ101について、その長さの差について、プラスマイマス10%のばらつきに抑えることができる。同様に、第2反応ガスの吹き出しの際に、各第2吹出口42から対象物1の同一の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2(図4参照)を100として相対表示するとき、各第2吹出口42について、75〜125の範囲内に設定されている。具体的には、各第2吹出口42にわたり90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内)に設定されていることが好ましい。このため各第2吹出口42から対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2ができるだけ均衡化されている。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12において形成される第2カーボンナノチューブ102の性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、分布等の少なくとも1つ)のばらつきが抑制される。例えば第2カーボンナノチューブ102について、その長さの差について、プラスマイマス10%のばらつきに抑えることができる。
上記した本実施形態によれば、第1反応ガスおよび第2反応ガスの単位時間あたりの流量は基本的には同じとされており、L1およびL2は互いに対応する大きさとされている。このため、第1カーボンナノチューブ101と第2カーボンナノチューブ102とについて、性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、分布等の少なくとも1つ)の差について、プラスマイマス10%のばらつきに抑えることができる。この場合、加熱源71,72の出力も基本的には同一とすることが好ましい。更に、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102について、ばらつき低減を考慮すると、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12に担持される触媒についても、その担持量、担持密度および組成を基本的には同一とすることが好ましい。担持密度とは、カーボンナノチューブ形成面の単位面積あたりの触媒重量を意味する。
本実施形態によれば、カーボンナノチューブ形成工程においては、図1に示すように、第1ガス供給室51については、互いに逆方向(矢印W10,W11方向)から第1反応ガスを第1ガス供給室51に供給することにしている。これにより対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の性状のばらつき低減に貢献できる。また図1に示すように、第2ガス供給室52についても、互いに逆方向(矢印W20,W21方向)から第2反応ガスを第2ガス供給室52に供給することにしている。これにより対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に形成されるカーボンナノチューブの性状のばらつき低減に貢献できる。なお、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102の形成が終了すると、反応室30から対象物1を取り出す。
以上説明したように本実施形態によれば、ガス供給室51,52は、反応室30に収容された対象物1のカーボンナノチューブ形成面11,12に間隔を隔てて対面しつつ、カーボンナノチューブ形成面11,12が延設する面方向(S1,S2方向)に沿って延設されている。複数の吹出口41,42は、ガス供給室51,52と反応室30とを連通させると共に、ガス供給室51,52の反応ガスを反応室30に吹き出す。このため、反応ガスの吹き出しの際に、各吹出口41,42から対象物1のカーボンナノチューブ形成面11,12までの最短距離L1,L2については、各吹出口41,42から対象物1のカーボンナノチューブ形成面11,12までの最短距離L1,L2ができるだけ均衡化されている。このため対象物1の同一の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、分布)のばらつきが低減される。同様に、対象物1の同一の第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102の性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、密度、分布)のばらつきが低減される。
本実施形態によれば、第1反応ガスに基づいて対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブ101を形成する第1操作と、第2反応ガスに基づいて対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブ102を形成する第2操作とをそれぞれ独立に制御することができる。具体的には、バルブ81a,82aを互いに独立に制御できる。バルブ81c,82cを互いに独立に制御できる。加熱源71,72による加熱温度を互いに独立して制御できる。このように第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面11に第1操作で形成される第1カーボンナノチューブ101の性状と、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2操作で形成される第2カーボンナノチューブ102の性状とを同一または近似させることができる。また、加熱源71,72の出力も独立に制御することができる。
本実施形態によれば、図2から理解できるように、ガス通路形成部材3の反応室30の第1出口38は対象物1の側端面14に対面する位置に配置されている。第1出口39は対象物1の側端面15に対面する位置に配置されている。この場合、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に接触した第1反応ガスについては、第1カーボンナノチューブ形成面11において第1カーボンナノチューブ101を形成させた後に速やかに、矢印N1,N2方向に向けて、第1出口38および第2出口39から、ガス排出通路33,34に排出させることができる。このため第1カーボンナノチューブ101を形成した後の反応済みガスが反応室30に残留することが抑制される。この場合、良好な第1カーボンナノチューブ101の形成に貢献できる。同様に、対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に衝突して接触した第2反応ガスについても、第2カーボンナノチューブ形成面12において第2カーボンナノチューブ102を形成させた後に速やかに、矢印N1,N2方向に向けて、第1出口38および第2出口39からガス排出通路33,34に排出させることができる。このため第2カーボンナノチューブ102を形成した後の反応済みガスが反応室30に残留することが抑制される。この場合、良好な第2カーボンナノチューブ102の形成に貢献できる。
(実施形態2)
本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。第1反応ガスに基づいて対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブ101を形成する第1操作と、第2反応ガスに基づいて対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブ102を形成する第2操作とをそれぞれ独立に制御する。第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御することにより、第1カーボンナノチューブ形成面11に第1操作で形成される第1カーボンナノチューブ101の性状と、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2操作で形成される第2カーボンナノチューブ102の性状とを変更させる。
カーボンナノチューブ形成工程において、独立制御としては、(a)第1反応ガスの単位時間あたりの供給流量V1と第2反応ガスの単位時間あたりの供給流量V2とを変える形態、(b)第1加熱源71および第2加熱源72の出力を変えて、第1カーボンナノチューブ形成面11の温度T1および第2カーボンナノチューブ形成面12の温度T2とを変える形態、(c)第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12における触媒担持量および/または触媒組成を変える形態、(e)第1反応ガスおよび第2反応ガスの組成を変える形態等が例示される。
従って、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の長さを相対的に長くにでき、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102の長さを相対的に短くできる。逆に、第1カーボンナノチューブ101の長さを第2カーボンナノチューブ102の長さよりも短く、第2カーボンナノチューブ102の長さを第1カーボンナノチューブ101よりも相対的に長くしても良い。あるいは、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の密度を第2カーボンナノチューブ102の密度よりも相対的に高くでき、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102の密度を第1カーボンナノチューブ101の密度よりも相対的に低くすることもできる。逆でも良い。なお、キャパシタ電極に適用される場合には、カーボンナノチューブが長い場合には、表面積が増加し、高い帯電できる電気量を期待できる。カーボンナノチューブが短い場合には、応答性の向上を期待できる。なお、対象物1の材質はシリコンでも良いし、金属でも良い。金属としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、鉄合金(ステンレスを含む)、チタン合金、銅合金、アルミニウム合金等が例示される。対象物1の材質に応じて、第1操作および第2操作を互いに操作内容を変更するように実施できる。
(実施例1)
実施例1は図1〜図4に示すカーボンナノチューブ製造装置を用いて実施した。
(対象物1)実施例1では、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102について、その長さをほぼ同一とした。対象物1としては、0.5ミリメートルのシリコン基板を用いた。シリコン基板は研磨されていた。シリコン基板の表面粗さはRa5ナノメートルであった。
(前処理)第1段階として、対象物1の表面を撥水処理した。処理液は、トルエンにヘキサオルガノシラザンを5体積%の濃度で配合したものとした。この処理液に対象物1を30分間浸漬させた。その後、処理液から対象物1を引き上げ、自然乾燥させた。第2段階として、ディップコート法により、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12に、コーティング液を塗布し、鉄−チタン合金の薄膜を30ナノメートル形成した。触媒は島状となっていると考えられる。コーティング液は、ヘキサン中に鉄−チタン合金の粒子(Fe:80%、Ti:20%)を分散させ、可視光度計(WPA社製、CO7500)にて波長680ナノメートルの測定条件で吸光度が0.3となるように濃度調整した液とした。ディップコート法では、大気中において、常温下で、浸漬した後、3ミリメートル/分間の速度で引き上げた。引き上げ後、自然乾燥にて速やかにヘキサンが蒸発した。
(CNT形成)図1〜図4に示す構造をもつ熱CVD装置で形成されたカーボンナノチューブ製造装置にてカーボンナノチューブを形成した。予め、反応室30を10Paに真空引きしておくこの反応室30にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分間を対象物1の両面から導入し、且つ、反応室30の圧力を1×10Paに調整した。対象物1の表面温度を600℃に昇温させた後、炭素源となる反応ガス(アセチレンガス)を1000cc/分にて対象物1の両面から6分間導入した。この場合、第1ガス供給室51については500cc/分とした。第2ガス供給室52については500cc/分とした。これによりカーボンナノチューブを対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の双方に形成した。図5は形成されたカーボンナノチューブを示す。カーボンナノチューブの長さは、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102ともに、約94μmであった。
(実施例2)
(対象物1)実施例2では、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102について、その長さを異ならせた。対象物1は実施例1と同様とした。
(前処理)実施例1と同様とした。
(CNT形成)図1〜図4に示す構造をもつ熱CVD装置で形成されたカーボンナノチューブ製造装置にてカーボンナノチューブを形成した。予め、反応室30を10Paに真空引きしておくこの反応室30にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分間を対象物1の両面から導入し、且つ、反応室30の圧力を1×10Paに調整した。対象物1の表面温度を600℃に昇温させた後、上側の第1ガス供給室51については第1反応ガス(アセチレンガス)を400cc/分にて、下側の第2ガス供給室52については第2反応ガス(アセチレンガス)を1000cc/分の流量に設定し、対象物1の両面から6分間同時に導入した。これによりカーボンナノチューブを対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の双方に形成した。図6は実施例2について形成されたカーボンナノチューブを示す。カーボンナノチューブの長さについては、第1カーボンナノチューブ101は約54μmであった。第2カーボンナノチューブ102は184μmであった。
(実施例3)
(対象物1)実施例3では、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102について、その長さを異ならせた。対象物1は厚さ0.5ミリメートのシリコン基板とした。上面である第1カーボンナノチューブ形成面11の表面粗さはRa5ナノメートルとした。下面である第2カーボンナノチューブ形成面12の表面粗さはRa100ナノメートルとし、第1カーボンナノチューブ形成面11よりも粗い面とした。
(前処理)実施例1と同様とした。
(CNT形成)実施例1と同様とした。カーボンナノチューブを対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の双方に形成した。図7は実施例3について形成されたカーボンナノチューブを示す。カーボンナノチューブの長さについては、上面である第1カーボンナノチューブ形成面11に形成された第1カーボンナノチューブ101は約72μmであった。下面である第2カーボンナノチューブ形成面12に形成された第2カーボンナノチューブ102は144μmであった
(比較例1)
(対象物1)対象物1は実施例1と同様とした。
(前処理)実施例1と同様とした。
(CNT形成)図14および図15に示す構造をもつ熱CVD装置で形成されたカーボンナノチューブ製造装置にてカーボンナノチューブを形成した。この装置では、反応ガスは、対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の面方向に沿って供給される。従って、本実施例1〜3とは反応ガスの流れ方向は基本的には90°異なる。この場合においても、予め、反応室30を10Paに真空引きしておくこの反応室30にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分間を対象物1の両面から導入し、且つ、反応室30の圧力を1×10Paに調整した。対象物1の表面温度を650℃に昇温させた後、炭素源となる反応ガス(アセチレンガス)を400cc/分にて対象物1の上面である第1カーボンナノチューブ101面に向けて、1000cc/分にて対象物1の下面である第2カーボンナノチューブ形成面に向けて、同時に6分間導入し、カーボンナノチューブを対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面および第2カーボンナノチューブ形成面の双方に形成した。図8は比較例1において形成されたカーボンナノチューブを示す。上面である第1カーボンナノチューブ形成面に形成されたカーボンナノチューブは約35μmであった。さらに上面である第1カーボンナノチューブ形成面については、カーボンナノチューブは良好に形成されなかった。下面である第2カーボンナノチューブ形成面に形成されたカーボンナノチューブは188μmであった。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面および第2カーボンナノチューブ形成面において、カーボンナノチューブの長さおよび密度が大きく異なっていた。
(実施形態3)
図9は実施形態3を示す。本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。図9に示すように、第1ガス供給室51の一端51e側には供給通路810が設けられ、第1反応ガス用の供給バルブ810a,キャリヤガス用の供給バルブ810cが設けられている。図9に示すように、第1ガス供給室51の他端側51fには供給通路811が設けられ、第1反応ガス用の供給バルブ811a,キャリヤガス用の供給バルブ811cが設けられている。第1ガス供給室51に第1反応ガスを供給するとき、第1ガス供給室51の一端51e側と他端51f側とにおいて、単位時間あたりのガス流量を制御できる。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面11について、一端51e側と他端51f側とにおいて、第1カーボンナノチューブ11の性状を変更させることを期待できる。
図9に示すように、第2ガス供給室52の一端52e側には供給通路820が設けられ、第2反応ガス用の供給バルブ820a,キャリヤガス用の供給バルブ820cが設けられている。第2ガス供給室52の他端52f側には供給通路822が設けられ、第2反応ガス用の供給バルブ822a,キャリヤガス用の供給バルブ822cが設けられている。第2ガス供給室52に第2反応ガスを供給するとき、第2ガス供給室52の一端52e側と他端52f側とにおいて、単位時間あたりのガス流量を制御できる。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12について、一端52e側と他端52f側とにおいて、第2カーボンナノチューブ12の性状を変更させることを期待できる。
(実施形態4)
図10は実施形態4を示す。本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。図10に示すように、第1ガス供給室51および第2ガス供給室52は横方向(水平方向)に沿って延設されている。第1反応ガスは、第1ガス供給室51に矢印W1方向(一方向,図9において右方)に向けて供給される。その第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から下方向に沿って対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に衝突するように吹き出される。第2は反応ガスは第2ガス供給室52に矢印W2方向(一方向図9において左方)に供給される。その第2反応ガスは、複数の第2吹出口42から上方向に沿って対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直に衝突するように吹き出される。この場合、第1ガス供給室51から第1吹出口41を介して反応室30に供給された第1反応ガスを考慮すると、第1反応ガスが第1ガス供給室51において図10の矢印W1方向に向かうとき、第1反応ガスの流量は、第1ガス供給室51の上流領域51uから下流領域51dに向かうにつれて次第に減少する。従って、第1吹出口41の個数が同一であれば、複数の第1吹出口41の内径は、第1ガス供給室51の下流領域51dでは上流領域51uよりも相対的に増加している。あるいは、各第1吹出口41の内径が同一であれば、単位面積あたり、複数の第1吹出口41の個数は、第1ガス供給室51の下流領域51dでは上流領域51uよりも増加している。その理由としては、第1ガス供給室51の第1反応ガスを反応室30に吹き込むとき、吹き込む流量のばらつきを低減させるためである。このような本実施形態によれば、第1カーボンナノチューブ形成面11において形成される第1カーボンナノチューブ101の性状のばらつきを低減させるのに有利である。
第2吹出口42についても同様である。すなわち、第2反応ガスが第2ガス供給室52において図10の矢印W2方向に向かうにつれて、第2反応ガスの流量は、第2ガス供給室52の上流領域52uから下流領域52dに向かうにつれて次第に減少する。従って、第2吹出口42の個数が同一であれば、複数の第2吹出口42の内径は、第2ガス供給室52の下流領域52dでは上流領域52uよりも相対的に増加している。あるいは、各第2吹出口42の内径が同一であれば、単位面積あたり、複数の第2吹出口42の個数は、第2ガス供給室52の下流領域52dでは上流領域52uよりも相対的に増加している。その理由としては、第2ガス供給室52の第2反応ガスを反応室30に吹き込むとき、吹き込む流量のばらつきを低減させるためである。このような本実施形態によれば、第2カーボンナノチューブ形成面12において形成される第2カーボンナノチューブ102の性状のばらつきを低減させるのに有利である。
(実施形態5)
図11は実施形態5を示す。本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。図11に示すように、第1ガス供給室51および第2ガス供給室52は、互いに対向する箱状通路とされつつも、縦方向(高さ方向,矢印H方向)に沿って延設されている。対象物1は縦方向に沿って配置されており、上部1u,下部1dをもつ。カーボンナノチューブ形成面11,12は高さ方向(矢印H方向)に沿って延設されている。第1ガス供給室51に供給された第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から横方向に沿って対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ85〜95℃の角度で衝突するように吹き出される。第2ガス供給室52に供給された第2反応ガスは、複数の第2吹出口42から横方向に沿って対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ85〜95°の角度で衝突するように吹き出される。
本実施形態によれば、上側の設置部18cと下側の設置部18a間における距離が長いときであっても、あるいは、対象物1の厚みTAが薄いときであっても、対象物1のうち設置部18a,18c間の部位1mが重力により下方に垂下することが抑制される。さらに、対象物1の一端側を設置部18c,18cで挟むと共に、対象物1の他端側を設置部18a,18aで挟む。そして設置部18c,18cと設置部18a,18aとを対象物1の面方向S1,S2方向に沿って相対的に離間させる方向に変位させる。これにより対象物1の面方向S1,S2方向に張力を与え、対象物1の部位1mの撓み変形を抑制できる。この場合、間隔E1,E2を目標値に維持できる。なお、単位時間あたりについて、第1吹出口41から吹き出される第1反応ガスの流量と、第2吹出口42から吹き出される第1反応ガスの流量とを同等にすれば、対象物1のカーボンナノチューブ形成面11,12に差圧が作用することが抑制される。ひいては、差圧により対象物1の部位1mが対象物1の厚み方向に変位することが抑制される。この場合、カーボンナノチューブ101,102の性状の安定化に貢献できる。
(実施形態6)
図12は実施形態6を示す。本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。図12に示すように、第1対面壁31および第1ガス供給室51は、板状の対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11の面方向に沿って二次元的に横方向に沿って延設されている。横方向に延びる第1対面壁31を利用して形成されている第1ガス供給室51は、板状の対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11の面方向に沿って二次元的に横方向に沿って延設されている。このような第1ガス供給室51は、第1カーボンナノチューブ形成面11に対向する偏平な箱状通路とされている。第1吹出口41は、第1対面壁31のほぼ全域に散点状にほぼ均等間隔で形成されている。第1ガス供給室51に供給された第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から下方向に沿って対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に衝突するように吹き出される。第2ガス供給室52は形成されていないため、対象物1のうち主として第1カーボンナノチューブ形成面11にカーボンナノチューブが形成される。すなわち、反応ガスを第1ガス供給室51に供給することにより、反応室30内の対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する面方向に対して交差する方向(第1カーボンナノチューブ形成面11に対してほぼ垂直方向)に沿って、第1ガス供給室51の反応ガスを第1吹出口41から対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11に向けて衝突させるように吹き出す。これにより対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11にカーボンナノチューブを形成する。
本実施形態においても、反応ガスの吹き出しの際に、各第1吹出口41から対象物1の同一の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1を100として相対表示するとき、各第1吹出口41にわたり、90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内、具体的に100)に設定されている。よって、各第1吹出口41について、各第1吹出口41から対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離Lが均衡化されている。従って、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の性状のばらつき低減に貢献できる。なお、図12から理解できるように、対象物1のうち第1カーボンナノチューブ形成面11と反対側の表面12xには、反応ガスが直接的には吹き付けられないため、表面12xにおけるカーボンナノチューブ生成は制限される。
(実施形態7)
図13は実施形態7を示す。本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。図13に示すように、第1反応ガスの吹き出しの際に、各第1吹出口41から対象物1の同一の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1とする。最短距離L1を100として相対表示するとき、各第1吹出口41にわたり、90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内,100)に設定されている。このため各第1吹出口41から対象物1の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1が均衡化されている。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面11において形成される第1カーボンナノチューブ101の性状のばらつきが抑制される。同様に、第2反応ガスの吹き出しの際に、各第2吹出口42から対象物1の同一の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2とする。最短距離L2を100として相対表示するとき、各第2吹出口42にわたり75〜125の範囲内に設定されていることが好ましい。具体的には、各第2吹出口42にわたり、90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内)に設定されている。このため各第2吹出口42から対象物1の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2が均衡化されている。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12において形成される第2カーボンナノチューブ102の性状のばらつきが抑制される。
本実施形態によれば、図13に示すように、最短距離L1<最短距離L2とされている。従って、間隔E1<間隔E2とされている。第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101と、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102との性状を変えるのに貢献できる。なお最短距離L1>最短距離L2としても良い。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
1は対象物、11は第1カーボンナノチューブ形成面、12は第2カーボンナノチューブ形成面、101は第1カーボンナノチューブ、102は第2カーボンナノチューブ、14は側端面、15は側端面、2は基体、3は通路形成部材、30は反応室、31は第1対面壁、32は第2対面壁、33は第1ガス排出通路、34は第2ガス排出通路、38は第1出口、39は第2出口、41は第1吹出口、42は第2吹出口、51は第1ガス供給室、52は第2ガス供給室、71は第1加熱源、72は第2加熱源、81は第1供給通路、82は第2供給通路を示す。

Claims (5)

  1. (i)カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ対象物を用意すると共に、
    前記対象物を収容するための反応室と、前記反応室に収容される前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されたガス供給室と、前記ガス供給室と前記反応室とを連通させると共に前記ガス供給室の反応ガスを前記反応室に吹き出す複数の吹出口とを有するガス通路形成部材と、前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面、前記ガス通路形成部材、前記反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを用意する準備工程と、
    (ii)前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面、前記ガス通路形成部材、前記反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させた状態で、
    前記反応ガスを前記ガス供給室に供給することにより、前記反応室内の前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して交差する方向に沿って、前記ガス供給室の前記反応ガスを前記吹出口から前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面に向けて吹き出し、前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程とを実施するにあたり、
    前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面は、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、前記第1カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成する第1操作と、前記第2カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御するカーボンナノチューブ製造方法。
  2. 請求項1において、前記反応ガスの吹き出しの際に、前記吹出口から前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lを100として相対表示するとき、各前記吹出口にわたり最短距離Lは75〜125の範囲内に設定され、各前記吹出口から前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lが各前記吹出口について均衡化されていることを特徴とするカーボンナノチューブ製造方法。
  3. カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ対象物にカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ製造装置であって、
    (i)基体と、
    (ii)前記基体に設けられ、前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設された対面壁と、前記対面壁にこれを貫通するように形成された複数の吹出口と、前記対面壁を用いて前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設され且つ前記吹出口に連通するガス供給室と、前記反応室に連通するガス排出通路とを有するガス通路形成部材と、
    (iii)前記基体に設けられ、前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面、前記ガス通路形成部材、前記反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを具備し、
    前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面は、互いに異なる位置に設けられた第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、
    前記対面壁は、前記対象物の前記第1カーボンナノチューブ形成面に第1間隔を隔てて対面する第1対面壁と、前記対象物の前記第2カーボンナノチューブ形成面に第2間隔を隔てて対面する第2対面壁とを有しており、
    前記吹出口は、前記第1対面壁に形成された第1吹出口と、前記第2対面壁に形成された第2吹出口とを有しており、
    前記ガス供給室は、第1ガス供給通路に繋がると共に前記第1吹出口に連通する第1ガス供給室と、第2ガス供給通路に繋がると共に前記第2吹出口に連通する第2ガス供給室とを有しており、
    前記加熱源は、前記第1カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成する第1反応ガス、前記対象物の前記第1カーボンナノチューブ形成面、前記第1ガス供給室のうちの少なくとも一つを第1カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第1加熱源と、前記第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2反応ガス、前記対象物の第2カーボンナノチューブ形成面、前記第2ガス供給室のうちの少なくとも一つを第2カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第2加熱源とを具備するカーボンナノチューブ製造装置。
  4. 請求項3において、各前記吹出口の中心線から前記対象物に向けて延びる延長線は、前記対象物の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して所定角度θ(θ=70〜110°)以内で交差するように設定されているカーボンナノチューブ製造装置。
  5. 請求項3または4において、前記ガス通路形成部材の前記反応室の出口は、前記対象物の側端面に対面する位置に配置されているカーボンナノチューブ製造装置。
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