JP5629139B2 - インモールド転写用フィルム - Google Patents

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Description

本発明はインモールド転写用フィルムに関し、詳しくは射出成形等において成形と同時に転写印刷するインモールド転写用の転写箔の基材フィルムとして有用なインモールド転写用フィルムに関する。
従来、インモールド用転写箔として、ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、そのうえに離型層(メジューム層)を設け、さらにこの離型層のうえに印刷層を塗工したものが用いられている。
インモールド用転写箔は、成形転写後に離型層面と印刷層面との間で剥がされ、分離される。すなわち、成形転写後に印刷層は成形品の表面に接着して製品として取出され、離型層は転写箔のベースフィルムのうえに設けられた状態で製品から取り除かれる。
近年、インモールド転写を用いた加工に対し高い生産性が求められており、成型速度を向上させることが試みられている。一方、インモールド用転写箔を取り扱う際、帯電による転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着が発生し、生産性を落とすことがある。例えば特許文献1では、帯電防止離型層を有する転写材用ポリエステルフィルムが検討されており、帯電防止剤として4級アンモニウム塩基を有する高分子化合物が開示されている。また、特許文献1には転写層の接着剤とのブロッキングが生じないよう、粘着テープの粘着層との剥離力が2.4N/cm以下であることが開示されており、その手段として、帯電防止剤の選択に加えてポリオレフィン系樹脂および/またはフッ素系樹脂を配合することが好ましいことが記載されている。
また特許文献2において、インモールド用転写箔の作成過程から成形転写にいたる製造工程において優れた帯電防止性を有し、かつ帯電防止離型層と印刷層とのはりつきがなく、転写の際に離型層とベースフィルムの剥離のないインモールド転写用フィルムとして、ポリエステルフィルムの一方の面に易接着層を有し、他方の面に離型成分を含む帯電防止離型層を有するフィルムが開示されている。そして特許文献2によれば、一般的な帯電防止剤であるイオン性化合物はインモールド用転写箔の印刷などの工程で用いられる洗浄水で溶出する可能性があることから、帯電防止剤としてカチオンポリマーを用いることが提案されており、また離型成分として反応基を有するシリコーンが記載されている。しかしながら、シリコーンとかかるカチオンポリマーとの相溶性はあまりよいとはいえず、塗布斑が目立つことがあった。
また特許文献3において、フッ素樹脂を含有する帯電防止離型層を有する、帯電防止性と耐ブロッキング性に優れた転写材用ポリエステルフィルムが開示されているが、帯電防止剤との関係で帯電防止層の外観について検討されていない。
一方、帯電防止層の塗布斑が目立つと、印刷工程で転写箔の外観検査を行う際に外観欠点と誤認されることがあり、生産性を大きく落とす原因となることから、帯電防止層の外観性向上が求められている。
特開2004−223800号公報 特開2006−187951号公報 特開2009−167432号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解消し、インモールド用転写箔の作成過程から成形転写にいたる製造工程において優れた帯電防止性を有することにより生産性を格段に向上させることができ、しかも帯電防止離型層の塗布斑が目立ちにくく、同時に帯電防止離型層の反対面に印刷を施す際の印刷はじきがなく、印刷の施された転写箔の印刷層とブロッキングの起きないといった特徴を有する、インモールド用転写箔の基材フィルムとして有用なインモールド転写用フィルムを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、インモールド転写用フィルムの帯電防止層において、耐久性に優れる帯電防止剤としてアクリル系のカチオンポリマー、離型剤としてフッ化アクリルを用い、これらの材料を調整して帯電防止離型層のヘーズを0.4%以下にすることにより、帯電防止離型層の塗布斑が解消し、また帯電防止性に優れ、印刷はじきや印刷層との耐ブロッキング性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的はポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に帯電防止離型層を有し、かかる帯電防止離型層が離型剤としてフッ化アクリルおよび帯電防止剤としてアクリル系のカチオンポリマーを含有し、上記フッ化アクリルの重量平均分子量が10000以上40000以下の範囲であり、上記帯電防止離型層中の、上記フッ化アクリルの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として5重量%以上40重量%以下であり、上記アクリル系のカチオンポリマーの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として30重量%以上80重量%以下であり、該帯電防止離型層のヘーズが0.4%以下であるインモールド転写用フィルムによって達成される。
また、本発明のインモールド転写用フィルムはその好ましい態様として、該帯電防止離型層中の、上記フッ化アクリルの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として10重量%以上40重量%以下であり、上記アクリル系のカチオンポリマーの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として40重量%以上70重量%以下であること、該フッ化アクリルの重量平均分子量が25000以上40000以下であること、の少なくともいずれか一つを具備するものを包含する。
本発明のフィルムは帯電防止性および離型性に優れ、帯電防止離型層中の離型成分の背面転写が少なく、さらに帯電防止離型層のヘーズ値が小さく塗布斑が目立ちにくい効果を有する。
本発明のフィルムを用いたインモールド用転写箔は、取り扱う際に帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生が抑制される。また、印刷層との耐ブロッキング性も良好であり、離型成分に起因した印刷はじきがないことに加え、帯電防止離型層の塗布斑が目立たないため、印刷工程で転写箔の外観検査を行う際に外観欠点と誤認されることがなく、インモールド転写加工の高速成形性、高品位な印刷性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを例示することができる。
ポリエステルは、ホモポリマーであっても、これらポリエステルのうちの1つを主たる成分とする共重合体であってもよく、またはブレンドしたものであってもよい。ここで「主たる成分」とは、ポリエステルの繰り返し単位の全モル数を基準として80モル%以上である。また主たる成分の割合は、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。また、共重合成分またはブレンド成分はポリエステルの繰り返し単位の全モル数を基準として20モル%以下であり、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートが力学的物性と成形性のバランスがよいので特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の課題を損なわない範囲内で、滑剤粒子、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを含有してもよい。高透明性や表面平坦性が求められる場合は、滑剤粒子は実質的に含有しないことが好ましい。
ポリエステルフィルムは、例えば次の方法で製造することができる。すなわち、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて非晶未延伸フィルムとし、縦方向(以下、連続製膜方向、長手方向、MD方向と称することがある)および横方向(以下、幅方向、TD方向と称することがある)に延伸する。縦方向の延伸は例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、2.0〜4.0倍、好ましくは2.6〜3.6倍に延伸する。横方向の延伸は、例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、2.0〜4.0倍、好ましくは3.0〜4.0倍に延伸する。二軸延伸後の面積倍率は13以下とすることが好ましい。
なお、フィルム延伸後に熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理は、最終延伸温度より高く、融点以下の温度内で1〜30秒の時間内行うことが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは150〜250℃、2〜30秒の範囲で選択して熱固定することが好ましい。その際、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行い、また2段以上で行ってもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは、インモールド転写として使用する場合にハンドリング性、成形性の点から、好ましくは12〜100μm、さらに好ましくは25〜75μmである。
[帯電防止離型層]
本発明のフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に帯電防止離型層を有しており、かかる帯電防止離型層は離型剤としてフッ化アクリルおよび帯電防止剤としてアクリル系のカチオンポリマーを含有し、該帯電防止離型層のヘーズは0.4%以下である。
(離型剤)
本発明の帯電防止離型層は、離型剤としてフッ化アクリルを含有する。フッ化アクリルとして、具体的に下記式(I)で表されるフッ素を含有する成分(a)、
Figure 0005629139
(式(I)中、Rfは炭素原子数3〜10のパーフルオロアルキル基、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基をそれぞれ表わす)
およびフッ素を含有しない成分(b)との共重合体が例示される。
前記フッ素を含有する成分(a)がパーフルオロアルキル基を含有し、その炭素原子数が3〜10であることにより高い離型効果が得られる。また、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が10以下であれば水への分散性が向上するため、エマルジョン化しやすい。かかるパーフルオロアルキル基の炭素原子数は好ましくは3〜8、特に好ましくは4〜6である。
また上式(I)中、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基などの飽和鎖式炭化水素基、シクロペンチレン基などの飽和脂環式炭化水素基が例示され、特にエチレン基が好ましい。
また、前記フッ素を含有する成分(a)がアクリレート系であることにより、本発明の帯電防止剤との相溶性が向上し、帯電防止離型層のヘーズ値を小さくすることができる。
本発明のフッ化アクリルを構成するフッ素を含有しない成分(b)として、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの少なくとも1種が例示される。アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が特に好ましい。フッ素を含有しない成分(b)が(メタ)アクリレートであることにより、本発明の帯電防止剤との相溶性が向上し、帯電防止離型層のヘーズ値を小さくすることができる。
フッ化アクリルは乳化重合で重合され、乳化重合に用いることができる重合開始剤として、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロキシクロライド、2、2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロキシクロライド、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロキシクロライドなどを挙げることができる。また、公知のレドックス系開始剤、好ましくは過硫酸アンモニウムを用いることもできる。
乳化重合反応は、用いられるモノマーおよびラジカル重合開始剤の種類、その他の条件に応じた温度および反応時間で行うことができる。重合条件として、例えば重合反応温度50〜90℃、および重合反応時間3〜24時間の条件下で行うことができる。乳化重合は、例えば窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
これらのフッ化アクリルはエマルジョンの形態であってもよく、粉末の形態であってもよい。フッ化アクリルを粉末形態にする方法としては、例えば上記方法により調製されるフッ化アクリルを乾燥させる方法などが挙げられる。中でも、フィルムの製造工程において塗布法により帯電防止離型層を簡便かつ大面積に作製できる点から、フッ化アクリルはエマルジョン形態であることが好ましい。
本発明のフッ化アクリルにおけるフッ素を含有する成分(a)とフッ素を含有しない成分(b)の割合は、該フッ化アクリルの重量を基準としてフッ素を含有する成分(a)は30〜75重量%が好ましく、さらに好ましくは40〜65重量%であり、フッ素を含有しない成分(b)は70〜25重量%が好ましく、さらに好ましくは60〜35重量%である。
フッ化アクリルにおけるフッ素を含有する成分(a)とフッ素を含有しない成分(b)の割合が前記範囲内にあることにより、帯電防止剤との相溶性と離型効果の双方が向上する。
また、本発明で用いるフッ化アクリルの重量平均分子量は1000以上100000以下の範囲であり、好ましくは5000以上50000以下、より好ましくは10000以上40000以下、さらに好ましくは20000以上40000以下、特に好ましくは20000以上30000以下の範囲である。
フッ化アクリルの重量平均分子量が下限値に満たない場合、造膜性が悪く均一な膜ができなかったり、印刷層への転移が容易に起こり、印刷抜けの原因になる。また本発明の帯電防止剤との相溶性が十分でなく、ヘーズ値が高くなる。一方、フッ化アクリルの重量平均分子量が上限値を超えるとフッ化アクリル成分が凝集しやすくなり、本発明の帯電防止剤との相溶性が低下して帯電防止離型層の透明性が低下してヘーズ値が高くなる。
かかるフッ化アクリルは、帯電防止離型層の重量を基準として1重量%以上45重量%以下の範囲で含有される。該フッ化アクリルの含有量の下限値は好ましくは5重量%であり、さらに好ましくは10重量%、特に好ましくは20重量%である。またフッ化アクリルの含有量の上限値は、好ましくは40重量%、さらに好ましくは30重量%である。該フッ化アクリルの含有量が下限値に満たないと印刷層との離型効果がなく、ブロッキングが生じる。さらに下限値が20重量%に満たない場合は、90℃程度の温度で印刷層とのブロッキングが生じることがある。一方、フッ化アクリルの含有量が上限値を超える範囲では帯電防止離型層の塗膜均一性が低下して帯電防止離型層のヘーズが高くなり、また印刷はじきが生じる。
(帯電防止成分)
本発明の帯電防止離型層は、帯電防止成分としてアクリル系のカチオンポリマーを含有する。ここで、アクリル系のカチオンポリマーには、アクリレート系カチオンポリマーのみならず、メタクリレート系カチオンポリマーも含まれる。
前記アクリル系のカチオンポリマーとして、下記式(II)で表される成分(c)、非反応性成分(d)、および反応性成分(e)等の共重合成分で構成されるポリマーが例示される。
Figure 0005629139
(上式(II)中、R1およびR2はそれぞれHまたはCHであり、R3は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜5の飽和炭化水素基であり、R6はHまたは炭素数2〜10のヒドロキシアルキレン基であり、Y-はハロゲンイオン、ナイトレートイオン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、スルホネートイオンまたはアルキルスルホネートイオンである)
また、R3の炭素数2〜10のアルキレン基は、好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基である。またR6の炭素数2〜10のヒドロキシアルキレン基は、好ましくはヒドロキシエチレン基、ヒドロキシトリメチレン基、ヒドロキシテトラメチレン基である。
非反応性成分(d)として、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、スチレン、αーメチルスチレン等をモノマー成分とする共重合成分が例示される。またアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートは、それぞれアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基が例示される。
カチオンポリマーを構成する反応性成分(e)として、以下の反応基を有するモノマー成分から得られる共重合成分が例示される。反応基を有するモノマー成分として、2ーヒドロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、2ーヒドロキシプロピルアクリレート、2ーヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、Nーアルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N、N−ジアルコキシアクリルアミド、N、N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート等のイソシアネート含有モノマーを例示することができる。
本発明のアクリル系のカチオンポリマーを構成する各共重合成分が上述のアクリル系成分であることにより、フッ化アクリルとの相溶性と帯電防止効果の双方が向上する。
本発明のアクリル系のカチオンポリマーを構成する各共重合成分の構成比率は、カチオンポリマーの全繰り返し単位を基準として以下の関係を満たすことが好ましい。
30モル%≦c成分<79モル%
20モル%≦d成分<100−(c+e)モル%
1モル%≦e成分≦40モル%
本発明のアクリル系カチオンポリマーを構成する各共重合成分がかかる比率であることにより、特定の帯電防止性能を有するとともに、本発明の離型成分との相溶性にも優れ、塗膜の造膜性、凝集力や塗膜の耐水性、耐薬品も優れる帯電防止離型層を得ることができる。
具体的には、共重合成分(c)が30モル%未満であると帯電防止性が1×1013Ω/□よりも高くなることがある。一方、共重合成分(c)が79モル%以上であると帯電防止離型層の耐水性が悪くなり水洗浄後の帯電防止性が低下することがある。
また非反応性の共重合成分(d)が20モル%未満であるとポリエステルフィルムへの密着性、塗膜の凝集性が低くなる。一方、非反応性の共重合成分(d)が上限値を超えると帯電防止性が低下することがある。
反応性の共重合成分(e)が1モル%未満であると耐水帯電防止性が低くなり、50℃温水に10時間浸漬した後の表面固有抵抗変化率が100を越えてしまうことがある。一方、反応性の共重合成分(e)が40モル%を越えると架橋点が多くなり、帯電防止離型層を塗布する際の造膜性が低下したり、フッ化アクリルとの相溶性が低下することがある。
アクリル系のカチオンポリマーは、帯電防止離型層の重量を基準として20重量%以上90重量%以下の範囲で含有することが好ましい。また該カチオンポリマーは、30重量%以上80重量%以下の範囲で含有することがさらに好ましく、40重量%以上70重量%以下の範囲で含有することが特に好ましい。該カチオンポリマーの含有量が下限値に満たないと十分な帯電防止性能が発現しないことがあり、一方、該カチオンポリマーの含有量が上限値を超えると離型剤の含有量が相対的に減少し、十分な離型性が発現しないことがある。
(界面活性剤)
本発明で用いられるフッ化アクリルは、塗工時の取扱い易さ、作業環境の面から水分散液あるいは乳化液の形態で使用するのが好ましい。良好な水分散、乳化液の形態を得るには、界面活性剤の使用が好ましく、塗液の他の成分との分散安定性のため、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤の含有量は、帯電防止離型層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5重量%以上12重量%以下の範囲である。
(架橋剤)
また、帯電防止離型層には架橋剤を添加させることが帯電防止離型層の凝集力向上や加熱時の析出オリゴマーを抑制させるために好ましい。架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができ、その他一般的にカップリング剤と称される化合物を用いることもできる。取り扱い易さや塗液のポットライフが長いことからエポキシ化合物、オキサゾリン化合物を用いることが好ましく、カップリング剤を用いることも好ましい。
これら架橋剤の具体例として、以下のように例示することができる。
エポキシ化合物は、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物などが挙げられ、さらに詳しくはそれらのグリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物が例示される。
オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとして、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーについては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されない。
メラミン化合物の好ましい例として、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が挙げられる。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンが挙げられる。
イソシアネート化合物として、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネートが挙げられる。
カップリング剤として、例えば一般式YRSiXで示されるシランカップリング剤が挙げられる。ここで、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基といった有機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン基といったアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基といった加水分解基及びアルキル基である。Y部分はエポキシ基であることが特に好ましい。中でも好ましいシランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランである。
またシランカップリング剤以外のカップリング剤として、ジルコニウム、チタン、アルミニウムといった金属を含む有機金属化合物を用いることができる。
これら架橋剤を用いる場合、架橋剤の含有量は帯電防止離型層の重量を基準として5〜50重量%であることが好ましい。また架橋剤の含有量の上限値は40重量%であることがより好ましく、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは20重量%である。架橋剤の含有量が下限値に満たないと帯電防止離型層の凝集力が低くなり、耐久性が低下することがある。一方、架橋剤の含有量が上限値を超えると帯電防止離型層の造膜性が悪くなり、塗布外観が低下することがある。
(帯電防止離型層の厚み)
帯電防止離型層は、塗布によりポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられることが好ましい。帯電防止離型層の厚みは、乾燥後の厚みとして、好ましくは0.01〜0.1μm、さらに好ましくは0.01〜0.06μmである。帯電防止離型層の厚みが下限値に満たないと帯電防止性が十分に発現しないことがあり、また上限値を超えると転写箔同士のブロッキングを起こし易くなることがある。
(帯電防止離型層のヘーズ)
本発明の帯電防止離型層のヘーズは0.4%以下であり、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。帯電防止離型層のヘーズがかかる範囲内にあることにより、塗布斑が観察されないようになり、印刷工程で転写箔の外観検査を行う際に外観欠点と誤認されることがなくなる。一方、帯電防止離型層のヘーズが上限値を超える範囲になると、塗布斑が目立つようになり、外観検査時に外観欠点と誤認されやすくなる。
帯電防止離型層のヘーズ値をかかる範囲にするためには、帯電防止離型層に使用する離型剤として一定分子量のフッ化アクリルを離型剤の含有量の説明で述べた範囲で用い、また帯電防止剤としてアクリル系のカチオンポリマーを用いることによって達成される。
[易接着層]
本発明において、離型層(メジューム層)との接着性を高める目的で、ポリエステルフィルムの帯電防止離型層とは反対側に易接着層が設けられることが好ましい。易接着層は塗布により設けられた易接着性の塗布層であることが好ましい。
(共重合ポリエステル)
易接着層には、ポリエステルフィルムおよび易接着層上にさらに積層する離型層(メジューム層)との高い接着性を得るために、高分子バインダーとして共重合ポリエステルを使用することが好ましい。
共重合ポリエステルとしては、例えば以下の多塩基酸成分とジオール成分から得られるポリエステルを用いることができる。
すなわち、多価塩基成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。高分子バインダーを構成するポリエステル樹脂としては、2種以上のジカルボン酸成分を用いた共重合ポリエステルを用いることが好ましい。
ポリエステルには、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分、あるいはp−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。
ポリエステルのジオール成分としては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを例示することができる。
共重合ポリエステルは、好ましくはガラス転移点(Tg)が40〜85℃、さらに好ましくは45〜80℃の特性を有する。共重合ポリエステルのガラス転移点が下限値に満たないと得られるフィルムは耐熱性、耐ブロッキング性が低下することがあり、一方、共重合ポリエステルのガラス転移点が上限値を超えると易接着性が低下する場合がある。
共重合ポリエステルは、ポリエステルフィルム上に塗布して被膜層を形成させるために、水分散液あるいは乳化液の形態での使用が好ましい。
塗膜層を形成するために、前記共重合ポリエステル以外に、他の樹脂、着色剤、帯電防止剤、触媒、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを必要に応じて含有してもよい。
(粒子)
易接着性の塗布層中には粒子が含有されることが好ましい。易接着層に用いる粒子として、好ましくは平均粒子径20〜100nm、さらに好ましくは40〜80nmのものを用いるとよい。平均粒子径が下限値に満たないものであると、フィルムを巻き取った時のブロッキング性やフィルムの巻取り性が劣ることがあり、一方、上限値を超えると粒子の欠落や塗布層の透明性が悪化することがある。
粒子を添加する場合、好ましくは易接着層の重量を基準として30重量%以下の割合で用いる。30重量%を超えると易接着層の強度が低下し、後の工程で塗膜削れなどのトラブルを生じることがある。
粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデンといった無機粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂といった耐熱性樹脂からなる有機粒子を例示することができる。これらの中でも、取り扱い性や塗液中での安定性、塗膜中の分散性の点で、酸化ケイ素、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子が好ましい。
(界面活性剤)
易接着層の塗設に際し、さらに界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、ポリエステルフィルムへの水性塗布液の濡れ性を高めたり、塗液の安定性を向上させるために用いられ、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩などのアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗膜を形成する組成物中に、1〜10重量%含まれていることが好ましい。
(易接着層の厚み)
易接着層の厚みは、乾燥後の最終厚みとして、好ましくは0.05〜0.3μm、さらに好ましくは0.07〜0.2μmである。塗膜の厚さが下限値に満たないと接着性が十分に得られないことがあり、また上限値を超えるとブロッキングを起こし易くなることがある。
[帯電防止離型層および易接着層の形成方法]
帯電防止離型層および易接着層の塗設に用いられる上記組成物は、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成しやすいよう、水溶液、水分散液あるいは乳化液などの水性塗液(以下、水性塗布液と称することがある)の形態で使用されることが好ましい。
水性塗布液の固形分濃度は、該塗布液の重量を基準として通常20重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。固形分濃度が下限値に満たないと、ポリエステルフィルムへの塗れ性が不足することがある。また固形分濃度が上限値を超えると塗液の安定性や塗布層の外観が低下することがある。
帯電防止離型層、易接着層の形成は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましく、さらには配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向させた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向させたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸して配向結晶化を完了させる前の二軸延伸フィルム)などを含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向させた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸を行い、さらに熱固定処理を施すことが好ましい。
水性塗布液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理などの物理処理を施すか、あるいは組成物と共に前述のような界面活性剤を併用することが好ましい。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組合せて用いることができる。
[インモールド転写用フィルム]
本発明のフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に帯電防止離型層を有し、かかる帯電防止離型層が離型剤としてフッ化アクリルおよび帯電防止剤としてアクリル系のカチオンポリマーを含有し、該帯電防止離型層のヘーズが0.4%以下であることにより、インモールド転写用フィルムとして用いた際、帯電防止性および離型性に優れ、また帯電防止離型層中の離型成分の背面転写が少ないことから、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生が抑制される。しかも、印刷層との耐ブロッキング性が良好であり、離型成分の印刷層への転写に起因する印刷はじきがないことから、高速成形性および高品位な印刷性に適したインモールド転写用フィルムとして好適に用いることができる。さらに帯電防止離型層のヘーズ値が小さいため塗布斑の目立ちにくく、印刷工程で転写箔の外観検査を行う際に外観欠点と誤認されることなく、高い生産性を維持することができる。
本発明のインモールド転写用フィルムは、帯電防止離型層と反対面に易接着層を有することが好ましく、易接着層上にさらに離型層(メジューム層)および印刷層を形成した態様で用いることができる。インモールド成形を行う際は、印刷層が成形品の表面と接するよう金型に配置し、通常用いられる方法によってインモールド成形を行い、印刷層を成形転写した後、印刷層は成形品表面に接着して製品として取り出され、その他の部分は製品から取り除かれる形で使用される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、各種物性は下記の方法により評価した。また、部は重量部を、wt%は重量%をそれぞれ表わす。
(1)帯電防止離型層の密着性
フィルムの帯電防止離型層の表面を指で10cm長を10往復擦りつけ、塗膜の欠落状態を観察し、帯電防止離型層の密着性を下記の基準で評価した。
A+:変化無し
A:若干表面に変化有り
B:擦過面積の半分までが欠落
C:擦過面積の大部分が欠落
この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
(2)帯電防止性
サンプルフィルムの帯電防止離型層表面について、タケダ理研社製・固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度60%の条件で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定する。なお、表面固有抵抗値は1×1013[Ω/□]以下が好ましく、1×1012以下がさらに好ましい。
さらにサンプルフィルムを50℃の純水に10時間浸漬し、処理後の帯電防止離型層表面の表面固有抵抗値を上記同様に測定して、未処理の表面固有抵抗値と50℃の純水に10時間浸漬処理後の表面固有抵抗値の変化率を求める。
なお、その変化率は100以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。ここで表面固有抵抗値の変化率とは、50℃の純水に10時間浸漬処理後の帯電防止離型層表面の表面固有抵抗値を未処理の帯電防止離型層表面の表面固有抵抗値で割った値である。
(3)耐ブロッキング性
サンプルフィルムの帯電防止離型層面とインモールド用転写箔の印刷面との耐ブロッキング性を評価するため、スタンピングホイルの顔料箔(COLORIT)Pタイプ(クルツ社製)を使用して、帯電防止面と印刷面を合わせ、
[条件1] 温度60℃、圧力1kg/cm または
[条件2] 温度90℃、圧力1kg/cm
の条件で圧力を加えて24時間その環境に保持した後、帯電防止離型層面とラベルのシール面(印刷面)のブロッキング状態を観察し、それぞれの条件について下記の基準で評価した。
A+:印刷層の剥離面積0%、印刷層表面に変化無し
A:印刷層の剥離面積0%、印刷層表面が白化
B:印刷層の剥離面積1%以上30%以下
C:全体的に剥離面積30%超100%以下
この評価でAまでが実用性能を満足する。
(4)背面転写性
サンプルフィルムを易接着層面と帯電防止離型層面を重ね合わせ、温度50℃、圧力50kg/cm、時間24時間の処理を実施した後、はがした易接着層表面について38〜40mN/mの濡れ張力を有するマジックを用いて濡れ状態を観察し、下記の基準で評価した。
A+:均一に塗れる
A:エッジのみ若干はじく(1%未満のはじき)
B:1%以上10%未満はじく
C:10%以上はじく
この評価でAまでが実用性能を満足する。
(5)帯電防止離型層のヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して、下記式(2)より帯電防止離型層のヘーズを測定した。式中、フィルムヘーズとは、ポリエステルフィルム上に帯電防止離型層が形成されたフィルム全体のヘーズ値であり、帯電防止離型層未塗工フィルムヘーズとは、帯電防止離型層を塗工していない状態でのフィルムヘーズを指す。
帯電防止離型層のヘーズ=フィルムヘーズ−帯電防止離型層未塗工フィルムヘーズ (2)
A++:0.1%以下
A+:0.1%超0.2%以下
A:0.2%超0.4%以下
B:0.4%超0.8%以下
C:0.8%超
この評価でAまでが実用性能を満足する。
(6)塗布層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定し、断面をミクロトームで切断して2%オスミウム酸で60℃、2時間染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM2010)を用い、塗布層の厚みを測定した。
[実施例1〜5、比較例1〜4]
平均粒子径が2μmの酸化ケイ素の粒子を0.01wt%含む溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、表1に示す塗布層構成成分からなる表面用塗布液および裏面用塗布液、すなわち易接着層(8wt%塗布液)をフィルムの表面に、帯電防止離型層(4wt%塗布液)をフィルムの裏面にそれぞれロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを引き続いて105℃で乾燥し、140℃で横方向に3.5倍に延伸し、さらに220℃で熱固定して表1に示す二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を得た。
[比較例5]
帯電防止離型層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。
Figure 0005629139
(帯電防止離型層の組成)
フッ化アクリル1: (3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート、イソブチルアクリレート共重合体、重量平均分子量25,000)
3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート、イソブチルアクリレート、乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩で構成されている。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水1050部、および乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩22.6部を仕込んで窒素気流中で80℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム6.4部添加し、更にモノマー類である3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート110.0部、イソブチルアクリレート6.9部を3時間にわたり液温が70〜80℃になるよう調製しながら滴下し、滴下終了後も同温度を5時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却させ、真空乾燥機で乾燥して平均粒径が0.06μmである不揮発成分重量35%のフッ化アクリルの水分散体を得た。このフッ化アクリルにおけるモノマー成分の比は3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート60重量%、イソブチルアクリレート40重量%であった。
フッ化アクリル2: (3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート−シクロヘキシルアクリレート共重合体、重量平均分子量40,000)
3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩で構成されている。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水1050部、および乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩22.6部を仕込んで窒素気流中で80℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム6.4部添加し、更にモノマー類である3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート180.0部、シクロへキシルアクリレート20.0部を3時間にわたり液温が70〜80℃になるよう調製しながら滴下し、滴下終了後も同温度を15時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却させ、真空乾燥機で乾燥して平均粒径が0.12μmである不揮発成分重量35%のフッ化アクリルの水分散体を得た。このフッ化アクリルにおけるモノマー成分の比は3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロへキシルアクリレート65重量%、シクロヘキシルアクリレート35重量%であった。
フッ化アクリル3: フッ化アクリルエマルジョン(日本ペイント株式会社製、商品名「FS−701E」、分子量400,000)
フッ化アクリル4: 2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート (ユニマテック株式会社製、商品名「CHEMINOX FAAC−4」、分子量309)
カチオンポリマー: 下記式(III)に示す構造が80モル%/メチルアクリレート15モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%からなる共重合体である。
Figure 0005629139
(上式(III)中、R、RはそれぞれHであり、Rは炭素数が3のアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ炭素数が1の飽和炭化水素基であり、Rは炭素数が3のヒドロキシアルキレン基であり、Yはメチルスルホネートイオンである。)
架橋剤: オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製 商品名「エポクロスWS−700」)
界面活性剤: ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名「ナロアクティーN−70」)
(易接着層組成)
共重合ポリエステル: 酸成分がテレフタル酸50モル%/イソフタル酸45モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=40℃)。ポリエステルは、下記の通り製造した。すなわち、テレフタル酸ジメチル30部、イソフタル酸ジメチル27部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5部、エチレングリコール36部、ジエチレングリコール3部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。なおかかる共重合ポリエステルの製造方法は、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じたものである。
界面活性剤: ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名「ナロアクティーN−70」)
本発明のフィルムは帯電防止性および離型性に優れ、帯電防止離型層中の離型成分の背面転写が少なく、さらに帯電防止離型層のヘーズ値が小さく塗布斑が目立ちにくい効果を有する。
本発明のフィルムを用いたインモールド用転写箔は、取り扱う際に帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生が抑制される。また、印刷層との耐ブロッキング性も良好であり、離型成分に起因した印刷はじきがないことに加え、帯電防止離型層の塗布斑が目立たないため、印刷工程で転写箔の外観検査を行う際に外観欠点と誤認されることがなく、インモールド転写加工の高速成形性、高品位な印刷性に優れている。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に帯電防止離型層を有し、かかる帯電防止離型層が離型剤としてフッ化アクリルおよび帯電防止剤としてアクリル系のカチオンポリマーを含有し、
    上記フッ化アクリルの重量平均分子量が10000以上40000以下の範囲であり、
    上記帯電防止離型層中の、上記フッ化アクリルの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として5重量%以上40重量%以下であり、上記アクリル系のカチオンポリマーの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として30重量%以上80重量%以下であり、
    該帯電防止離型層のヘーズが0.4%以下であることを特徴とするインモールド転写用フィルム。
  2. 上記帯電防止離型層中の、上記フッ化アクリルの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として10重量%以上40重量%以下であり、上記アクリル系のカチオンポリマーの含有量が該帯電防止離型層の重量を基準として40重量%以上70重量%以下である請求項1に記載のインモールド転写用フィルム。
  3. 上記フッ化アクリルの重量平均分子量が25000以上40000以下である請求項2に記載のインモールド転写用フィルム。
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