JP5625661B2 - 免震装置、及びその設置方法 - Google Patents
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Description
また、同隙間Sの大きさが、フィラプレート190,190…では補えない程度に大きい場合には、フィラプレート190,190…の挿入後に更にグラウト充填を行うことになるが、その場合には、外周に型枠を組まねばならず、これは、フィラプレート190,190…の挿入以上に手間のかかる作業であった。
しかし、かかる摩擦ダンパー110の取り外しや再設置作業も、かなり大掛かりな作業となり、手軽に行えるものではない。
上部構造体と下部構造体との間の上下方向隙間に介装され、前記上部構造体を免震支持するアイソレータと、
前記上下方向隙間に前記アイソレータと並列に介装され、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平振動を、摩擦力を減衰力として用いて減衰する摩擦ダンパーと、を備えた免震装置であって、
前記摩擦ダンパーは、
前記上下方向隙間に介装され、摩擦面及び該摩擦面に圧接しつつ滑動する滑動面を有する摩擦減衰力生成部と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部と直列に介装され、前記摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせるべく弾発力を発生するばね部材と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部及び前記ばね部材と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材と、を備え、
前記弾発力伝達部材は、上部構造体及び下部構造体のうちのいずれか一方に固定された第1プレートと、前記第1プレートに間隔をもって対向配置された第2プレートと、前記間隔の大きさを変更することにより前記弾発力伝達部材の全長を所定値に変更するとともに、前記全長を前記所定値に固定するための固定機構と、を有し、
前記間隔は、前記ばね部材に対して前記圧接力に係る前記弾発力を設定する際にジャッキを配置するための空間であり、
前記ジャッキにより前記弾発力が設定値になるまで拡げられた前記間隔の大きさを、前記ジャッキの取り外し後においては、前記固定機構が保持し、
前記摩擦減衰力生成部は、摩擦材が固定されたフランジ板を有し、
前記フランジ板には、円筒シャフトの一端部が固定されており、
前記円筒シャフトは、前記ばね部材としての皿ばねの貫通孔を貫通し、
前記円筒シャフトは、前記第2プレートに設けられた貫通孔にクリアランスをもって非接触に通されており、
前記円筒シャフトの他端部は、前記第1プレートに設けられた貫通孔に、前記第2プレートを介在させることなく、上下方向の相対移動可能且つ水平方向の相対移動不能に係合していることを特徴とする。
前記棒体の上端部及び下端部は、螺合構造によって前記第1プレート及び前記第2プレートに締結固定され、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に位置する前記棒体の部分の長さを変更することにより、前記間隔の大きさを変更することとしてもよい。
前記上側部材及び前記下側部材に形成される前記高力ボルトのボルト孔は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されていることとしてもよい。
前記摩擦ダンパーを前記下部構造体上に載置する載置工程と、
前記下部構造体上に載置された前記摩擦ダンパーの上面と前記上部構造体の下面との間の隙間がなくなるまで、前記弾発力伝達部材の前記第1プレートと前記第2プレートとの間の間隔を拡げる第1拡張工程と、
前記間隔にジャッキを配置し、前記ジャッキによって前記弾発力が前記設定値になるまで前記間隔を拡げる第2拡張工程と、
前記弾発力が前記設定値になった状態で、前記固定機構によって前記間隔の大きさを固定する間隔固定工程と、
前記間隔から前記ジャッキを取り外すジャッキ取り外し工程と、を有することとしてもよい。
<<<免震装置10>>>
図1乃至図5は、第1実施形態の免震装置10の説明図である。図1は免震装置10の側面図である。図2は摩擦ダンパー20の概略中心縦断面図であり、図3は同上面図である。また、図4は摩擦ダンパー20を斜め下方から見た斜視図であり、図5は同分解斜視図である。なお、以下の説明で用いる図においては、図の錯綜を防ぐべく、図によっては、本来断面線で示すべき断面部位の断面線を適宜省略したり、あるいは、同断面部位をグレーで着色して示したりしている。
免震装置10は、建物3を免震支持するアイソレータ7と、上下方向隙間δにアイソレータ7と並列に介装され、建物3と基礎コンクリート1との間の水平振動を減衰する摩擦ダンパー20と、を備えている。
ここで、建物3と基礎コンクリート1との間の上下方向隙間δへの摩擦ダンパー20の設置手順について説明する。なお、以下では、説明の都合上、摩擦ダンパー20から滑り材24を取り外した構成のことも、摩擦ダンパー20と言い、また、摩擦減衰力生成部21から滑り材24を取り外した構成のことも、摩擦減衰力生成部21と言う。
次に、適宜な作業場において、摩擦ダンパー20の上下方向の全長L20を短縮することにより、当該摩擦ダンパー20を上下方向隙間δへ差し込み挿入し易い状態にする。詳しくは、弾発力伝達部材40の前記伸縮機構の上下一対のナット48a,48bを螺合回転してこれらナット48a,48bを上方に移動する。すると、弾発力伝達部材40の中間フランジ板44に対して相対的に上フランジ板42が下方へ移動して、弾発力伝達部材40の全長Lが短縮され、これにより、摩擦ダンパー20の全長L20が短縮される(第2ステップ)。
なお、これと並行して又は前後して、摩擦ダンパー20の上フランジ板42の上面42aに接着材を塗布する。接着材としては、高流動性モルタルや高流動性セメント等が使用される(第3ステップ)。
そうしたら、圧接力の設計値に相当する皿ばね群30Gの撓み量(圧縮変形量)だけ下方へナット48bを移動する。また、上フランジ板42と中間フランジ板44との間の間隔Gに、ジャッキ(不図示)を介装する。なお、かかるジャッキについては、中間フランジ板44の円周方向に沿って等ピッチに複数台を配置すると良い。
そして、中間フランジ板44がナット48bに押し当たるまで、ジャッキを上下方向に伸長させる。これにより、弾発力が上記圧接力の設計値(設定値に相当)になるまで、中間フランジ板44は下方へスライド移動して間隔Gが拡げられる(第7ステップ、第2拡張工程に相当)。
例えば、先ず、基礎コンクリート1を構築し、その後、第1ステップ及び第2ステップを行い、次に、建物3の下面3aを構築し、その後、第3ステップから第9ステップを行うようにしても良い。
ところで、摩擦ダンパー20の設置後に上下方向隙間δの大きさが経時変化した場合に圧接力が変化する虞があるが、その場合についても、前記伸縮機構による弾発力伝達部材40の伸縮調整によって、前記隙間δの大きさの変化に対処可能である。つまり、当該変化分だけ弾発力伝達部材40の上下方向の全長Lを伸縮変更することにより、皿ばね群30Gの圧縮変形量を摩擦ダンパー20の設置当初の状態に戻すことができる。これにより、圧接力を速やかに設計値に戻すことができて、その結果、計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として発生させることができる。
図6は、第2実施形態に係る摩擦ダンパー20aの側面図であり、図7は、同摩擦ダンパー20aを斜め下方から見た斜視図である。
上述の第1実施形態との相違点は、弾発力伝達部材40に係る上フランジ板42と中間フランジ板44とを連結する連結構造の構成にある。そして、これ以外の点は概ね上述の第1実施形態と同じである。よって、同じ構成については同じ符号を付し、その説明については省略する。
ここで、第1実施形態と同様に、この第2実施形態に係る連結構造70も、弾発力伝達部材40aを上下方向に伸縮する伸縮機構(固定機構に相当)として機能する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
7 アイソレータ、10 免震装置、20 摩擦ダンパー、
20a 摩擦ダンパー、20b 摩擦ダンパー、20u 上面、
21 摩擦減衰力生成部、22 摩擦材、22a 摩擦面、
24 滑り材、24a 滑り面、26 下フランジ板、26a 嵌合凹部、
30 皿ばね(ばね部材)、30h 貫通孔、
30G 皿ばね群(ばね部材)、30Gh 孔部、
40 弾発力伝達部材、40a 弾発力伝達部材、
42 上フランジ板(上プレート)、42a 上面、42h 貫通孔、
44 中間フランジ板(下プレート)、44Bh ボルト孔、
44a 下面、44h 貫通孔、46 連結ボルト(棒体)、
47 ロックナット、48a ナット、48b ナット、
60 円筒シャフト(相対変位伝達部材)、
70 連結構造、71 上側部材、71a 鉛直面、72 下側部材、
72a 鉛直面、73a 高力ボルト、73b ナット、
δ 上下方向隙間、G 間隔
Claims (4)
- 上部構造体と下部構造体との間の上下方向隙間に介装され、前記上部構造体を免震支持するアイソレータと、
前記上下方向隙間に前記アイソレータと並列に介装され、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平振動を、摩擦力を減衰力として用いて減衰する摩擦ダンパーと、を備えた免震装置であって、
前記摩擦ダンパーは、
前記上下方向隙間に介装され、摩擦面及び該摩擦面に圧接しつつ滑動する滑動面を有する摩擦減衰力生成部と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部と直列に介装され、前記摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせるべく弾発力を発生するばね部材と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部及び前記ばね部材と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材と、を備え、
前記弾発力伝達部材は、上部構造体及び下部構造体のうちのいずれか一方に固定された第1プレートと、前記第1プレートに間隔をもって対向配置された第2プレートと、前記間隔の大きさを変更することにより前記弾発力伝達部材の全長を所定値に変更するとともに、前記全長を前記所定値に固定するための固定機構と、を有し、
前記間隔は、前記ばね部材に対して前記圧接力に係る前記弾発力を設定する際にジャッキを配置するための空間であり、
前記ジャッキにより前記弾発力が設定値になるまで拡げられた前記間隔の大きさを、前記ジャッキの取り外し後においては、前記固定機構が保持し、
前記摩擦減衰力生成部は、摩擦材が固定されたフランジ板を有し、
前記フランジ板には、円筒シャフトの一端部が固定されており、
前記円筒シャフトは、前記ばね部材としての皿ばねの貫通孔を貫通し、
前記円筒シャフトは、前記第2プレートに設けられた貫通孔にクリアランスをもって非接触に通されており、
前記円筒シャフトの他端部は、前記第1プレートに設けられた貫通孔に、前記第2プレートを介在させることなく、上下方向の相対移動可能且つ水平方向の相対移動不能に係合していることを特徴とする免震装置。 - 請求項1に記載の免震装置であって、
前記固定機構は、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する棒体を有し、
前記棒体の上端部及び下端部は、螺合構造によって前記第1プレート及び前記第2プレートに締結固定され、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に位置する前記棒体の部分の長さを変更することにより、前記間隔の大きさを変更することを特徴とする免震装置。 - 請求項1に記載の免震装置であって、
前記固定機構は、前記第1プレートの下面に一体に固定された上側部材と、前記第2プレートの上面に一体に固定された下側部材と、前記上側部材と前記下側部材とを互いの鉛直面同士において重合させて摩擦接合状態で締結固定する高力ボルトと、を有し、
前記上側部材及び前記下側部材に形成される前記高力ボルトのボルト孔は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されていることを特徴とする免震装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の免震装置の設置方法であって、
前記摩擦ダンパーを前記下部構造体上に載置する載置工程と、
前記下部構造体上に載置された前記摩擦ダンパーの上面と前記上部構造体の下面との間の隙間がなくなるまで、前記弾発力伝達部材の前記第1プレートと前記第2プレートとの間の間隔を拡げる第1拡張工程と、
前記間隔にジャッキを配置し、前記ジャッキによって前記弾発力が前記設定値になるまで前記間隔を拡げる第2拡張工程と、
前記弾発力が前記設定値になった状態で、前記固定機構によって前記間隔の大きさを固定する間隔固定工程と、
前記間隔から前記ジャッキを取り外すジャッキ取り外し工程と、を有することを特徴とする免震装置の設置方法。
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