JP5621101B1 - 建造物の防震基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震による揺れが発生してもその影響を受けず、建造物の揺れを防止し地震の被害を防止することができる建造物の防震基礎構造を提供する。【解決手段】建造物の防震基礎構造10を、基礎用穴GHの底部に埋設される第1基礎11と、この第1基礎11の上方に配置されると共に上面に建造物50が構築される第2基礎12と、第1基礎11と第2基礎12とにわたって設けられ第1基礎11に作用した地震力を横方向に変位して緩和する複数個の第1の免震装置15と、第2基礎12と建造物50とにわたって設けられ、第1基礎11から第2基礎12に伝播した地震の揺れた分を一部が横方向に変位して吸収し建造物50の揺れを防止する複数個の第2の免震装置20と、を備えて構成した。【選択図】図1

Description

本発明は建造物の防震基礎構造に係り、さらに詳しくは、特に地震の揺れを防ぎ、地震から建造物および建造物内の居住者、建具等を守る建造物の防震基礎構造に関する。
日本は世界で最も地震の多い国であり、過去幾多の大地震が発生している。
最近では、阪神淡路大震災や東日本大震災等が発生しており、そのたびに多くの尊い人命が失われたり、建物や道路等が損壊したりして、大きな被害を被っている。
そのため、従来から、地震時の大きな揺れから住宅等の建造物が損壊しないように、様々な建築工法が開発され、採用されている。
一般的な建築工法として、耐震構造により建てられた建造物が知られている。
この耐震構造の建造物は、基礎上に構築された建造物の骨組みを剛構造とし、つまり頑丈にすることにより、中・小地震に耐え、大地震時には構造物が部分的に壊れることもあるが、崩壊しないことを前提として設計された構造である。
これに対して、近年では、免震構造の建造物が多く普及し始めている。
この免震構造の建造物は、地震力を抑制すること、つまり、地震力をなるべく受けない(免れる)ようにすることで、構造物の破壊を防止しようとするものである。
そして、基礎上に構築された免震構造の建造物の例としては、例えば、ボールスライドレールなどで構造物等の滑らかな移動を可能とする免震構造のタイプもあるが、代表的なものは、地震力による水平動が建物に直接作用しないように、建造物の下部構造と上部構造の間(免震層)に、例えば、積層ゴム装置などの免震装置が設置された構造のものが知られている。
この積層ゴム装置は、要求性能から設定された複数枚の薄いゴムシートと複数枚の薄い鋼板とを交互に重ね合わせると共に、外周を対候性に優れた被覆ゴムで覆い、それらの各部材を一体加硫接着して形成されている。そして、このような積層ゴム装置は、上フランジおよび下フランジを介して、建造物等の上部構造と基礎の下部構造とにそれぞれ固定されている。
このような積層ゴム装置では、薄いゴムシートと鋼板とを交互に積層して加硫接着することにより、鉛直方向には鋼板の補強効果により非常に高い剛性を、また横方向にはゴム本来の低い剛性を保有することが可能になる。その結果、高い鉛直剛性で、長期間、建築物を支えながら、地震時には低い水平剛性とゴムの大きなせん断変形で、建物に伝わる地震力を吸収する働きをするようになっている。
そのため、地震で地盤が速く、激しく揺れたとしても、建造物はその動きに追従せずゆっくり動き、地震力を緩和して、建造物と内部の設備、什器等の損傷を防ぐことができる。そして、このような免震構造では、一般的に、地震の揺れの強さを1/3〜1/4以上も軽減できるとされている。
免震構造には、上述したような優れた効果を期待できることから、近年では、免震構造による建造物の普及が広がっている。
また、住宅等の建造物に限らず、工場においては、小規模な地震であっても精密な製品や機械の動作に影響をもたらすことがあるため、工場に免震を行うことで、製品の不良率を下げるようにすることも行われている。
さらに、建造物以外でも、機械や設備に免震性能が要求されることがある。
例えば、データセンターなどではサーバマシンにダンパーやアイソレータで免震措置を施し、地震の衝撃によるデータの損失を防いでいることが多い。
その他、近年の大型建築物などでは、免震・制振・耐震すべてを考慮し、それらの技術を組み合わせることで安全性を高めている。
以上に説明したような免震構造の建物として、例えば、特許文献1に開示された免震構造物が知られている。
この免震構造物では、免震ダンパーと免震装置との組合せにより、中地震程度の弱振動や微振動に対しては建物を静止させ、大地震に際しては免震装置を効果的に作動させるような構成となっている。
また、免震装置と共にダンパー装置を具備し、建物に伝えられる揺れの程度を減少させることができる免震装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2に開示された免震装置では、弾性変形する弾性体が横方向の減衰を担う高減衰の積層ゴムとされ、その免震ゴムの内径に鉛が配設された構成となっている。
特開2006−241779号公報 特開平9−317822号公報
しかし、上述した従来技術および特許文献1,2に開示された免震構造の建物等では次に述べるような問題点がある。
すなわち、一般的な耐震構造の建造物では、地震への抵抗力を強くすれば強くするほど建物内部に強い地震力を受け、また、上階にいくほど揺れの幅が大きくなり、その結果、家具や什器の移動・転倒により、人的被害も大きくなるという課題がある。
また、免震装置を用いた特許文献1,2の建造物では、免震装置とダンパー装置とにより建物の揺れを減少させるように構成されているが、両装置とも、基礎と建物とにわたって設けられているので、地震時の揺れが基礎に作用した場合、両装置の作用により揺れを減少させるが、住宅等の建造物の揺れそのものをなくすものではない。
そして、地震時の揺れが、例えば1/3〜1/4程度に減少されたとしても、揺れが長時間続くと、精神的にも肉体的にも不安である。特に、免震構造の建物での揺れは、船の揺れにも似ていると言われており、そのような揺れが長時間続くと不安である。
ところで、東日本大震災では、震源地から遠くはなれた関東、大阪などで、地震発生から数分後に高層ビルで長周期の揺れが確認されている。そして、震度5強を記録した東京で、免震機能のない建造物の一つ、例えば、新宿の高層ビル(240m)の最上階では、最大で左右に1mも揺れ、その揺れが10分以上も続いたとされている。
一方、免震構造の建造物については、日本免震構造協会による多数のアンケート調査の結果、および複数のデータの解析結果によれば、震度6強を記録した仙台市では100m以下の免震ビルの最上階での揺れが左右40cm以下であり、震度5強を記録した首都圏では左右20cm以下であった、とされている。
上述したように、免震構造の建造物でも、震源地が近かったり大きな地震であったりした場合、例えば左右40cmの揺れ幅の地震が何分も続くとなると、免震構造の建造物だから安全だ、と信じていても、やはり不安である。
そして、今後、東日本大震災と同程度の、あるいはそれより大きな地震が発生しないとも限らず、もし発生した場合、同じように大きな被害が想定される。そのため、例えば大きな地震時でも、住宅等の建造物が地震の影響を受けないような構造の建造物の開発が望まれる。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上述した課題を解決するために提案されたもので、地震による揺れが発生してもその影響を受けず、建造物の揺れを防止し地震の被害を防止することができる建造物の防震基礎構造を提供することである。
ところで、地震の際でも建造物が揺れないようにするには、その建造物の基礎が地震の揺れを吸収できる構造となっていればよい。そのため、本発明では具体的に次のような構成とした。
すなわち、前記目的を達成するために、本発明の建造物の防震基礎構造は、基礎用穴の底部に埋設される第1基礎と、この第1基礎の上方に配置されると共に上面に建造物が構築される第2基礎と、前記第1基礎と第2基礎とにわたって設けられ前記第1基礎に作用した地震の揺れを横方向に動いて緩和する複数個の第1の免震装置と、前記第2基礎と前記建造物とにわたって設けられ、前記第1の免震装置から前記第2基礎に伝播した地震の揺れた分を横方向に動いて吸収し前記建造物の揺れを防止する複数個の第2の免震装置と、を備えた構成とされ、
前記第1の免震装置および第2の免震装置を、それぞれ複数の第1の鋼球支持装置および第2の鋼球支持装置で構成し、
前記複数の第1の鋼球支持装置を、
前記第1基礎の内底面と前記第2基礎の外底面とに当接するそれぞれ1個の鋼球と、前記第1基礎の内底面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の下側鋼球支持枠と、前記第2基礎の外底面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の上側鋼球支持枠と、を備えた構成とし、
前記複数の第2の鋼球支持装置を、
前記第2基礎の上面と前記建造物の底面とに当接するそれぞれ1個の鋼球と、前記第2基礎の上面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の下側鋼球支持枠と、前記建造物の底面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の上側鋼球支持枠と、を備えた構成とし、
前記各下側鋼球支持枠と各上側鋼球支持枠との枠内の広さを、いずれか一方が他方より広くなるように形成したことを特徴とする。
なお、以上において、建造物とは、一般的なマンション等のビルに限らず、例えば、倉庫や橋桁、鉄塔、各種のタンク等も含む概念である。
本願発明の建造物の防震基礎構造によれば、地震時に横揺れが生じ第1基礎が横方向に動いたとき、その動きに追従して第1の鋼球支持装置の鋼球が転動しながら横方向に動くと共に、鋼球と第2基礎との摩擦力により第2基礎が第1基礎と同じ方向に動く。
このとき、第2の鋼球支持装置の鋼球が第2基礎の動きに追従するが、第2の鋼球支持装置の鋼球は、第2の鋼球支持装置の上側及び下側のうち広い方の鋼球支持枠内で転動するので、第2基礎の動いた分を、第2の鋼球支持装置の広い方の鋼球支持枠内が吸収する。その結果、地震により外側基礎と内側基礎とは揺れるが、建造物は揺れないので、建造物が地震の影響を受けず、地震による被害を防止することができる。
また、一般的に、積層ゴム装置はその構造上、例えば、1,2階建ての戸建住宅を建てるには不向きであるとされているが、第1の鋼球支持装置および第2の鋼球支持装置を用いた建造物の防震基礎構造では、第1の鋼球支持装置および第2の鋼球支持装置の複数個の鋼球によって全体重量を支持するので、建造物の全体重量が軽量であっても対応できる。その結果、例えば、1,2階建ての戸建住宅を建てる際に適用することができる。
さらに、本願発明の建造物の防震基礎構造を構成する第1の鋼球支持装置および第2の鋼球支持装置が、それぞれ、鋼球と、下側支持枠と上側支持枠とを備えて構成されているので、一般的な積層ゴム装置に比べて、簡単な構成となり、費用も安価ですむ、という格別な各効果を得ることができる。
本発明に係る建造物の防震基礎構造の第1実施形態を示す全体面図である。 図1のII−II 線に沿った平断面図である。 第1実施形態の外側基礎、内側基礎、第1の免震装置、第2の免震装置および建造物の相互関係を示す部分拡大詳細図である。 第1実施形態における第1の免震装置に内側基礎を取付ける途中の状態を示す部分断面の分解図である。 図4の状態から第1の免震装置に内側基礎を取付けた状態を示す部分断面の詳細図である。 第1実施形態における第2の免震装置を内側基礎と建造物とに取付けた状態を示す部分断面の詳細図である。 第1実施形態において地震の揺れが作用した際の外側基礎、内側基礎、第1の免震装置および第2の免震装置のそれぞれの動きを示す全体概略図である。 図7の状態の一部を拡大して外側基礎、内側基礎、第1の免震装置および第2の免震装置のそれぞれの動きを示す部分詳細図である。 第1実施形態において最初の揺れが一方側から伝わった際の外側基礎、第1の免震装置、内側基礎、第2の免震装置の動きおよび建造物を示す縦断面詳細図である。 図9の状態から地震の周期動により外側基礎が反転し他方側から一方側に動いた際の第1の免震装置、内側基礎、第2の免震装置の動きおよび建造物を示す縦断面詳細図である。 本発明に係る建造物の防震基礎構造の第2実施形態を示す全体図である。 図11のX−X線に沿った全体平断面図である。 第2実施形態の外側基礎、第1の免震装置、内側基礎、第2の免震装置、およびダンパー装置の相互関係を示す部分拡大詳細図である。 第2実施形態におけるダンパー装置の詳細を示す拡大縦断面図である。 図14の状態から内側基礎とダンパー装置とが当接しダンパー装置の圧縮コイルバネが圧縮された状態を示す拡大縦断面図である。 図14においてY−Y線に沿った正面図である。 第2実施形態において地震の揺れが作用した際の外側基礎、内側基礎、第1の免震装置、第2の免震装置およびダンパー装置のそれぞれの動きを示す全体概略図である。 図17の一部を拡大して地震時の、外側基礎、内側基礎、第1の免震装置および第2の免震装置のそれぞれの動きを示す部分詳細図である。 第2実施形態において最初の揺れが一方側から伝わった際の外側基礎、第1の免震装置の一端部およびダンパー装置の動きを示す縦断面詳細図である。 図19の状態から地震の周期動により外側基礎が反転し他方側から一方側に動いた際の第1の免震装置、内側基礎、第2の免震装置の動きおよび建造物を示す縦断面詳細図である。 本発明に係る建造物の防震基礎構造の第3実施形態を示す部分拡大詳細図である。 第3実施形態における第2の鋼球支持装置の部分拡大詳細を示す縦断面図である。 第3実施形態の建造物の防震基礎構造において地震の最初の横揺れが一方側から発生した際の外側基礎、第1,2の鋼球支持装置および内側基礎のそれぞれの動きを示す全体概略図である。 図23の状態から地震の周期動により外側基礎が反転し他方側から一方側に動いた際の第1の免震装置、内側基礎、第2の免震装置の動きおよび建造物を示す縦断面詳細図である。 本発明に係る建造物の防震基礎構造の第4実施形態を示す全体面図である。 本発明に係る第1実施形態の変形形態を示す全体縦断面図である。 本発明に係る第1実施形態の他の変形形態を示す全体縦断面図である。
〔第1実施形態〕
以下に、図1〜図10を参照して、本発明に係る建造物の防震基礎構造の第1実施形態を詳細に説明する。
図1は本第1実施形態の建造物の防震基礎構造の全体図、図2は図1のII−II線に沿った平断面図、図3は外側基礎と第1の免震装置と内側基礎との相互関係を示す部分拡大詳細図、図4,5は第1の免震装置の取付け状態図、図6は第2の免震装置の取付け状態図である。
図1〜6に示すように、第1実施形態の建造物の防震基礎構造10は、基礎用穴GHの底部に埋設される第1基礎である外側基礎11と、この外側基礎11を構成する底面部11Aの上方に配置されると共に上面に建造物50が構築される第2基礎である内側基礎12とを備えて構成されている。
建造物の防震基礎構造10は、外側基礎11と内側基礎12とにわたって設けられると共に、外側基礎11に作用した地震の揺れを一部が横方向に変位して緩和する複数個の第1の免震装置である第1の免震ゴム装置15と、内側基礎12と建造物50とにわたって設けられ外側基礎11から内側基礎12に伝播した地震の揺れを横方向に変位して緩和する複数個の第2の免震装置である第2の免震ゴム装置20とを備えて構成されている。
そして、第1の免震ゴム装置15は、その一部が、外側基礎11が地震の揺れにより横方向へ動いたときその揺れに追従して同じ方向に動く機能を有し、また、第2の免震ゴム装置20は、その一部のみが、内側基礎12の揺れに追従して動くと共に残りの部分で当該内側基礎12の動いた分を吸収する機能を有する構成となっている。
すなわち、第1実施形態の建造物の防震基礎構造10は、外側基礎11に作用した地震の揺れを内側基礎12で吸収・相殺することで、建造物の揺れを防止する構成である。
なお、図1において、建造物50の例えば右側を一方側とし、建造物50の左側を他方側として表示をする。
外側基礎11は、図1,2等に示すように、前記基礎用穴GHに埋設されており、所定厚さの前記底面部11Aと、その底面部11Aの周囲に立設された4面の側面部11Bとを備えて構成され、平面外形形状が矩形形状で、全体形状が略枡状に形成されている。
なお、外側基礎11の平面外形形状は矩形形状に限らず、五角形等の多角形形状、円形形状等でもよい。
内側基礎12は、上記外側基礎11の底面部11Aの平面外形形状に対応して平面矩形形状に形成されている。そして、この内側基礎12は、外側基礎11の凹状の内部空間S内に配置されている。
内側基礎12はベタ基礎とされ、図4,5に詳細を示すように、鋼板等で形成された外枠12Aと、この外枠12Aを補強するために格子状に配置された補強リブ12Bと、上記外枠12A内に充填されたコンクリートスラリ12Cとで構成されている。
また、図3に示すように、外側基礎11の側面部11Bの内側面と内側基礎12の外側面との間隔はSPに設定されており、この間隔SPは、想定される地震の最大の揺れを許容できる寸法であり、外側基礎11と内側基礎12とが地震の揺れ時に衝突しないような寸法に設定されている。
ここで、通常の基礎の製作、例えば、布基礎またはベタ基礎等の製作は、まず、地盤を所定の深さまで掘削することが行われる。次いで、掘削した位置に型枠を設置すると共にその型枠内にコンクリートスラリを流し込み、コンクリートスラリの養生後に型枠を取り外すことで布基礎が完成する。
しかし、本実施形態の内側基礎12は、前述のように、外側基礎11の内部空間S内に複数の第1の積層ゴム装置15で支持された状態で配置されるようになっているため、上述した通常の基礎の製作と同じような工程で製作することは困難である。
そこで、一例として、図4,5に示すように、外側基礎11の底面部11Aの上面、つまり内底面11Cに予め取付けられている前記第1の積層ゴム装置15の上面に、まず、内側基礎12の枠組みされた外枠12Aの底面部を載置しておく。
次に、取付けボルト16を外枠12Aの内部から、外枠12Aの底面部にあけられている取付け孔12Fと第1の積層ゴム装置15の上フランジ15Fの取付け孔15Hとに通し、その取付けボルト16を、上フランジ15Fの裏面に予め溶接により固着されたナット17に螺合させて、内側基礎12の外枠12Aを第1の積層ゴム装置15に固定する。
その後、外枠12A内にコンクリートスラリ12Cを充填した後、養生することで、内側基礎12が製作される。
なお、ナット17は、予め溶接により固着されていなくてもよいのは当然である。
また、内側基礎12の製作工程は、上述したものに限らず、どのような方法で製作してもよいものである。
また、外枠12Aを設置するに際して、第1の積層ゴム装置15の他に、ジャッキ等を利用した着脱自在な受台(図示しない)を複数個バランスよく配置しておくと好適である。このようにすることで、外枠12A内にコンクリートスラリ12Cを安定して充填することができる。
そして、充填されたコンクリートスラリ12Cの養生が終わって固化し、内側基礎12が完成した後は、それらの受台を前記内部空間Sから取り除けばよい。なお、そのまま残しておいてもよい。
図1に戻って、外側基礎11と内側基礎12との間の内部空間S内には、地震による横方向A,B(図9,12参照)の揺れに対応して横方向に変形し、その揺れを緩和する前記第1の積層ゴム装置15が設けられている。
この第1の積層ゴム装置15は、外側基礎11の内底面11Cと内側基礎12の外底面12Dとの間の複数個所(本実施形態では5個;図2参照)配設されている。
ただし、第1の積層ゴム装置15は、建物の設計時に、建造物50の大きさ、重量および内側基礎12の大きさ、重量等に対応して均等に配設されるものであり、例えば20箇所、30箇所、あるいはそれ以上の箇所に配設してもよい。
第1の積層ゴム装置15は、図3〜5に示すように、装置本体部15Aと、この装置本体部15Aの上端部に当該装置本体部15Aと一体的に取付けられた上フランジ15Fと、装置本体部15Aの下端部に当該装置本体部15Aと一体的に取付けられた下フランジ15Eとを備えて構成されている。
装置本体部15Aは、前述のように、要求性能に基づいて設定された薄いゴムシート15Bと薄い鋼鈑15Cとを交互に多数枚重ね合わせると共に、各15B,15Cの外周を、対候性に優れた被覆ゴム等で被覆し、かつそれら全体を一体加硫接着して形成されている。
そのため、鉛直方向には鋼板15Cの補強効果により非常に高い剛性を、また横方向にはゴムの薄いシート15Bによる本来の低い剛性を保有することが可能になる。
そして、高い鉛直剛性により、長期間、建造物50を支えながら、地震時には低い水平剛性とゴムの大きなせん断変形で、建造物50に伝わる地震力を吸収し緩和する機能を有している。
第1の積層ゴム装置15は、その下フランジ15Eが、アンカーボルト等の複数本の取付けボルト18によって外側基礎11の前記内底面11Cに固定されている。
また、上フランジ15Fは、前述のように、内側基礎12の外底面12Dに固定されており、これにより、第1の積層ゴム装置15が内側基礎12と外側基礎11とにわたって固定されている。
第1の免震ゴム装置15は、地震の横揺れにより外側基礎11が横方向に動いたとき、下フランジ15Eが外側基礎11の動きに追従して動き、それに連れて、装置本体部15Aおよび上フランジ15Fが、外側基礎11と下フランジ15Eの動きに遅れて動く機能を有している。その結果、内側基礎12が外側基礎11の動きに追従して同じ方向に遅れて動くようになっている。
以上のような構成の第1の積層ゴム装置15は、図4,6に示すように、装置本体部15Aの外径寸法Φおよび高さ寸法Hに設定され、内側基礎12と前記建造物50とのそれぞれの重量を合わせた重量に対応できるように、また、想定される地震の規模に充分に対応できるように設定され、建造物50に対応して多数個設けられている。そして、それぞれが、柔軟な変形性等の性能を有するものである。
なお、第1の積層ゴム装置15は、揺れ幅の制御に加えて、地震後の敏速な静止機能を備えた高減衰積層ゴム装置で構成されている。ただし、第1の積層ゴム装置15を一般的な天然系積層ゴム、あるいは鉛入りゴム装置等で構成してもよい。そして、この場合、図示しないが、オイルダンパー等のダンパー装置を併用することが好ましい。
また、図3,6に示すように、内側基礎12と建造物50との間には第2の免震装置を構成する第2の積層ゴム装置20が配設されている。この第2の積層ゴム装置20は、前記第1の積層ゴム装置15と略同様の構造となっている。
すなわち、第2の積層ゴム装置20は、図6に示すように、装置本体部20Aと、この装置本体部20Aの上端部に当該装置本体部20Aと一体的に取付けられた上フランジ20Fと、装置本体部20Aの下端部に当該装置本体部20Aと一体的に取付けられた下フランジ20Eとを備えて構成されている。
装置本体部20Aは、前記装置本体部15Aと同様に、要求性能に基づいて設定された薄いゴムシート20Bと薄い鋼鈑20Cとを交互に多数枚重ね合わせると共に、それら20B,20Cと、外周を被覆した対候性に優れた被覆ゴム等とを一体加硫接着して形成されている。
第2の積層ゴム装置20は、その下フランジ20Eがアンカーボルト等の取付けボルト21によって内側基礎12の上面12Eに固定されている。また、上フランジ20Fが、内側基礎12側から建造物50の外枠51の内部に差込まれた取付けボルト22を外枠51の内部で、予め溶接により固着された裏ナット23に螺合させることによって固定されており、これにより、第2の積層ゴム装置20が内側基礎12の上面12Eと建造物50の外枠51とに固定されている。
もちろん、裏ナット23は予め溶接で固着されたナットでなくてもよい。また、第2の積層ゴム装置20と建造物50との取付け構造はどのような構造でもよい。要は、第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fが建造物50に固定されていればよい。
第2の積層ゴム装置20は、図6に示すように、その装置本体部20Aが外径寸法Φ1および高さ寸法H1に設定され、建造物50の重量を合わせた重量に対応できるように設定されている。
また、第2の積層ゴム装置20は、想定される地震の規模に充分に対応できるように設定され、建造物50の大きさに対応して多数個設けられており、それぞれが、柔軟な変形性等の性能を有するものである。
なお、第2の積層ゴム装置20の配置の割合は、建造物50の1本の柱に対して1個程度設定することも行われている。
上記第2の免震装置20は、内側基礎12が横方向に動いたとき、下フランジ20Eおよび装置本体部20Aの下部側、つまり下フランジ20E側の一部のみが内側基礎12の動きに追従し、かつ当該内側基礎12の動いた分を吸収して変形するような外径寸法Φ1および高さ寸法H1に設定されている。
以上に説明したように、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aの下フランジ20E側の一部のみが、内側基礎12が移動した分だけその動きに追従して変形する。
その結果、内側基礎12の動きの量と第2の積層ゴム装置20の一部の変形量とが相殺されることになるが、第2の積層ゴム装置20の上フランジ20F、および当該上フランジ20Fが固定されている前記建造物50の位置は変わらない。
すなわち、地震の際でも、建造物50は揺れないことになる。
図1に戻って、内側基礎12の上面と外側基礎11の上面とには段差が形成されており、この段差を利用して、外側基礎11と内側基礎12との内部空間Sを塞ぐ基礎用蓋13が設けられている。この基礎用蓋13は、内側基礎12と一体的に設けてもよいし、別部材として製作して後付するようにしてもよい。
基礎用蓋13と内側基礎12とを別部材として製作した場合、基礎用蓋13は、内側基礎12の動きに追従できるように構成されている。
また、建造物50の側面には、その側面と基礎用蓋13の上面とにわたって、第2の積層ゴム装置20を外部環境から防護するためのカバー部材14が設けられており、このカバー部材14も内側基礎12の動きに追従できるように構成されている。
なお、基礎用蓋13には、図示しないが前記内部空間S内に通じる開口部が設けられており、この開口部から内部空間S内に入って、第1の積層ゴム装置15のメンテナンス等が行えるようになっている。
また、カバー部材14にも、上記と同様に開口部(図略)が設けられており、この開口部を利用して第2の積層ゴム装置20のメンテナンス等が行えるようになっている。
〔地震時の揺れの状態〕
次に、図7〜10に基づいて、地震が発生し、その横揺れが外側基礎11に作用した際の、外側基礎11、内側基礎12、第1の積層ゴム装置15、第2の積層ゴム装置20および建造物50の揺れの状態を説明する。
図7は、地震の横揺れが作用したときの外側基礎11、内側基礎12、第1の積層ゴム装置15、および第2の積層ゴム装置20の動きと建造物50との相互関係を表す全体図であり、図8は、図7の部分詳細図である。
最初に地震動の周期性について説明する。
多くの地震動は、周期約0.2〜1秒の範囲に卓越した周期部分を持っているとされている(このことを、以下には地震の周期動として述べる)。
そして、10階建て程度以下の剛構造、つまり耐震構造の場合、固有周期がスペクトル共振領域に入る恐れがある。しかし、2秒以上の固有周期をもつ免震構造建物では、加速度応答値を著しく減少させることができるとされている。
図7に示すように、地震の横揺れが、まず外側基礎11に作用したとき、外側基礎11が矢印A1またはB1方向に動き、その動きに追従して第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eが同方向に動く。
すると、その下フランジ15Eの動きに追従して上フランジ15F側が遅れて動き、第1の積層ゴム装置15が、仮想線で示すように、一方側または他方側に変形する。
同時に内側基礎12が仮想線で示すように横方向、つまり矢印A1,B1で示すように、一方側または他方側に動く。
外側基礎11および内側基礎12が一方側または他方側に動くとき、第2の積層ゴム装置20は、その下フランジ20Eが内側基礎12の動きに追従すると共に、装置本体部20Aの下フランジ20E側の一部のみが内側基礎12の動いた分を吸収するように変形する。
そのため、建造物50の外底面に固定されている第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fは動かず、建造物50は基準位置R・Pはそのままである。つまり、建造物50は横方向に揺れないことになる。
次に、図8に基づいて、外側基礎11、内側基礎12、第1の積層ゴム装置15および第2の積層ゴム装置20の動きを、さらに詳細に説明する。
今、地震の横揺れが、例えば、一方側から矢印Aで示すように外側基礎11に作用して、その外側基礎11が揺れ幅Lだけ矢印A1方向(他方側)に動いたとき、外側基礎11に固定されている第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eも揺れ幅Lだけ矢印A1方向に動く。
下フランジ15Eの動きと同時に、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aおよび上フランジ15Fも下フランジ15Eと同方向に動く。しかし、上記装置本体部15Aが、前述のように薄いゴムシート15Bと薄い鋼鈑15Cとを交互に積層した状態で構成されているので、装置本体部15A全体が同一形状で動くことはなく、ゴムシート15Bと薄い鋼鈑15Cとのそれぞれが順にずれるように動くため、上フランジ15Fの動く速度が下フランジ15Eの動く速度に比較して遅くなる。
しかも、前述のように、地震の周期動が0.2〜1秒なので、下フランジ15Eが矢印A1方向に揺れ幅Lだけ動いた時点で外側基礎11および下フランジ15Eが反転し、矢印B1方向に動く。
そのため、上フランジ15FもA1方向にわずかに動いた時点、つまり揺れ幅L1動いた時点で反転することになる。そして、この揺れ幅L1が、上フランジ15F、言い換えれば、内側基礎12の動いた量となり、下フランジ15Eの動いた量である揺れ幅Lより少ない動き量となっている。
ここで、外側基礎11および下フランジ15Eが一方向、例えば矢印A1方向に動くとき、下フランジ15Eと上フランジ15Fとは同一方向に動くが、外側基礎11および下フランジ15Eが反転するとき、両者15E,15Eは瞬間的に反対方向に動く。
すなわち、下フランジ15Eが反転した瞬間には、上フランジ15Fは、当該上フランジ15Fが一体的に固定された内側基礎12の慣性により依然として、矢印A1方向に動いているからである。
そして、このとき、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aは、仮想線で示すように、斜めIの字状の変形形状AMのように変形した状態である。
また、地震の横揺れが、図8に示すように、矢印B方向から外側基礎11に作用したときも、外側基礎11、下フランジ15E、装置本体部15A、上フランジ15Fおよび内側基礎12の動きは、前述と同じような動きとなる。
すなわち、外側基礎11が揺れ幅LLだけ矢印B1方向(一方側)に動いたとき、それに追従して下フランジ15Eも同方向に揺れ幅LLだけ動く。次いで、下フランジ15Eが矢印B1方向に揺れ幅LLだけ動いた時点で外側基礎11および下フランジ15Eが反転し、矢印A1方向に動く。
そのため、上フランジ15FもB1方向にわずかに動いた時点、つまり揺れ幅LL1だけ動いた時点で反転することになる。そして、この揺れ幅LL1が、上フランジ15F、言い換えれば、内側基礎12の動いた量となり、下フランジ15Eの動いた量である揺れ幅LLより少ない動き量となっている。
そして、このとき、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aは、仮想線で示すように、斜め逆Iの字状の変形形状BMのように変形した状態である。
以後は、地震の揺れが治まるまで、地震の周期動により上記と同じような動きが繰り返される。
ここで、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eの一方および他方側への揺れ幅Lと揺れ幅LLとを合計したものが、地震の往復動の揺れ幅であり、また、上フランジ15Fの一方および他方側への揺れ幅L1と揺れ幅LL1とを合計したものが、内側基礎12に伝わる緩和された地震の往復動の揺れ幅である。
次に、外側基礎11、内側基礎12、および第1の積層ゴム装置15の前述のような動きに対して、第2の積層ゴム装置20の動きを説明する。
図8に示すように、第1の積層ゴム装置15が矢印A1方向に変形すると共に、それに追従して内側基礎12が矢印A1方向に揺れ幅L1だけ動いたとき、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eは、内側基礎12の動きに追従して揺れ幅L1だけ矢印A1方向に動く。
それに連れて、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aにおける内側基礎12側の一部のみが、下フランジ20Eに追従して矢印A1方向に動く。
そして、このとき、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aは、斜めIの字状の変形形状AQの状態となっている。
また、内側基礎12が矢印B1方向に揺れ幅LL1だけ動いたとき、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eはそれに追従して矢印B1方向に揺れ幅LL1だけ動く。それに連れて、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aにおける内側基礎12側の一部のみが、下フランジ20Eに追従して矢印B1方向に動く。
そして、このとき、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aは、斜め逆Iの字状の変形形状BQの状態となっている。
上述したように、内側基礎12が、矢印A1方向または反転して矢印B1方向に動いても、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eと、装置本体部20Aの内側基礎12側の一部のみが内側基礎12の動きに追従して、内側基礎12の動いた分を吸収するようになっており、第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fは動かない。
すなわち、上フランジ20Fは前記建造物50に固定されているので、前記建造物50の基準位置R・Pは変わらない。その結果、地震の際でも建造物50は揺れず、地震による被害を防止することができる。
ここで、揺れ幅L,LLに対して、揺れ幅L1,LL1は、それぞれが例えば1/3〜1/4程度に小さくなっており、また、揺れ幅L,LLおよびL1,LL1は、地震の周期動の極初期の段階ではほとんど同一であるものとする。
次に、図7,8に基づいて説明した全体の動きを、順を追って(経時的に)、図9,10に基づいて、さらに詳細に説明する。
まず、図1,3の状態から、図9に矢印Aで示すように、外側基礎11の一方側から揺れ幅Lで地震の横揺れが外側基礎11に作用した場合、外側基礎11は矢印A1方向に沿って、揺れ幅Lだけ動く。
そうすると、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eも、当該外側基礎11と共に矢印A1方向に揺れ幅Lだけ動き、それに追従して、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aと上フランジ15Fも矢印A1方向に動く。このとき、装置本体部15Aと上フランジ15Fとは、下フランジ15Eの動きより遅れて動き、装置本体部15Aは、前記変形形状AMとなる。
第1の積層ゴム装置15の上フランジ15Fが揺れ幅L1だけ矢印A1方向に沿って動いたとき、それに追従して内側基礎12が揺れ幅L1だけ矢印A1方向に沿って動き、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eも揺れ幅L1だけ矢印A1方向に沿って動く。それに連れて、装置本体部20Aは変形形状AQのように変形し、装置本体部20Aの内側基礎12側の一部のみが同方向に動き、内側基礎12の動いた分を吸収する。
しかし、第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fは動かず、前記建造物50の基準位置R・Pは変わらない。つまり、建造物50は揺れない。
外側基礎11および内側基礎12が矢印A1方向に沿って他方側に移動した後は、図10に示すように、地震の周期動により外側基礎11が反転し、矢印B1方向に沿って一方側に揺れ幅LLで動く。
同時に、外側基礎11の動きに追従して第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eが、矢印B1方向に沿って矢印B1方向に揺れ幅LLだけ動き、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aが前記変形形状BMとなる。
そして、このとき、第1の積層ゴム装置15の上フランジ15Fが前記揺れ幅LL1だけ矢印B1方向に沿って一方側に動き、それに追従して内側基礎12も揺れ幅LL1だけ矢印B1方向へ動く。
内側基礎12が揺れ幅LL1だけ動いたとき、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eのみが揺れ幅LL1だけ矢印B1方向へ沿って動く。このとき、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aは変形形状BQのように変形し、装置本体部20Aの内側基礎12側の一部が、内側基礎12の動いた分を吸収する。
しかし、この場合でも、上フランジ15Fは動かず、建造物50の基準位置R・Pは常に変わらない。つまり、建造物50は揺れない。
その後は、地震の揺れが治まるまで、外側基礎11が一方側と他方側とに周期動し、それに追従して内側基礎12も一方側と他方側とに動く。
しかし、その場合でも、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aの一部が内側基礎12の動いた分を吸収するので、建造物50の基準位置R・Pは常に変わらない。すなわち、地震の際でも建造物50は揺れない。
次に、地震の最初の横揺れが、前記図9とは反対側、つまり、矢印B方向から外側基礎11に作用した場合の一連の動きを説明する。
地震の横揺れが、図10に示すように、矢印B方向から外側基礎11に作用した場合、図9の状態から、外側基礎11、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15E等が反転した状態を説明した図10と略同様である。
すなわち、外側基礎11が揺れ幅LLだけ矢印B1方向に沿って動き、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eも揺れ幅LLだけ矢印B1方向に沿って動き、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aが変形形状BMとなる。
同時に、内側基礎12と第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aの一部のみが動き、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aが変形形状BQとなる。
上記の状態から、地震の周期動により、外側基礎11が反転した場合は、前記図9の状態と略同様である。
その後は、地震の揺れが治まるまで、外側基礎11が一方側と他方側とに周期動し、それに追従して内側基礎12も一方側と他方側とに動く。しかし、その場合でも、建造物50の基準位置R・Pは常に変わらない。
以上に詳しく述べたように、第1の積層ゴム装置15の上フランジ15Fが一方側、あるいは他方側へ変形する量(揺れ幅)と、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eが一方側、あるいは他方側へ変形する量(揺れ幅)とが同じとなる。
そして、第2の積層ゴム装置20が、内側基礎12の動いた分だけ吸収するように構成されているので、外側基礎11および内側基礎12が、地震の周期動により一方側あるいは他方側へしても、建造物50の基準位置R・Pは常に変わらないことになる。つまり、地震時でも建造物50は揺れない。
言い換えれば、建造物50に対して、内側基礎12および外側基礎11のみが横方向に一方側あるいは他方側へと往復移動することになるが、建造物50は動かない。つまり、建造物50は揺れないようになっている。
〔第1実施形態の効果〕
以上のような構成の第1実施形態の建造物の防震基礎構造10によれば、次のような効果が得られる。
(1)地震時に横揺れが生じ外側基礎11が横方向に動いたとき、その動きに追従して第1の積層ゴム装置15が変移すると共に内側基礎12が外側基礎11と同じ方向に動く。このとき、第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eが内側基礎12の動きに追従するが、その内側基礎12の動いた分を、第2の積層ゴム装置20における装置本体部20Aの内側基礎12側の一部が吸収する。そのため、地震が発生したとき、外側基礎11と内側基礎12とは揺れて動くが、建造物50は動かないので揺れない。その結果、建造物50が地震の影響を受けないので、地震による被害を防止することができる。
(2)地震が発生しても、第1の積層ゴム装置15および第2の積層ゴム装置20の作用等により、外側基礎11と内側基礎12とが横方向に揺れるが、建造物50は揺れないので、住宅等の建造物に限らず、建造物の防震基礎構造10を、精密な製品や機械を扱う工場に適用することができる。その結果、精密な製品や機械の動作に悪影響を及ぼすことを防止することができ、また、生産ライン等を緊急停止等しなくてもよい。
(3)地震が発生しても、外側基礎11と内側基礎12とが横方向に揺れるが、第1の積層ゴム装置15および第2の積層ゴム装置20の作用等により建造物50は揺れないので、住宅等の建造物に限らず、建造物の防震基礎構造10を、例えば、データセンターなどの建造物にも適用することができる。その結果、データセンターにおけるサーバマシン等を衝撃から守ることができ、データの損失を防ぐことができる。
(4)外側基礎11が、底面部11Aと、その周囲に立上がった側面部11Bとで構成された全体形状が枡状に形成されており、側面部11Bが所定深さの基礎用穴HGの周囲側面に当接状態で設けられている。そのため、仮に、敷地が液状化現象を招くような軟弱地盤であった場合でも、外側基礎11の側面部11Bが、内側基礎12等に液状化現象が及ばないように防波堤の役割を果たすので、液状化現象を防止することができる。
(5)外側基礎11と内側基礎12との間に内部空間Sが設けられており、この内部空間S内に複数個の第1の積層ゴム装置15が配置されているので、第1の積層ゴム装置15のメンテナンスを行う必要が生じた場合、内部空間Sを利用することができる。その結果、メンテナンスが容易である。
(6)外側基礎11と内側基礎12との間に内部空間Sが設けられているが、この内部空間Sは基礎用蓋13で塞がれている。そのため、外側基礎11と内側基礎12との間の内部空間S内に外部から障害物等が入り込んだりすることを防止することができる。
(7)建造物50の側面と基礎用蓋13の上面とにわたってカバー部材14が設けられているので、建造物50と内側基礎12との間に配置された第2の積層ゴム装置20を外部環境から防護することができ、また、第2の積層ゴム装置20のメンテナンスを行う必要が生じた場合、カバー部材14の一部に形成されている出入り口を利用して建造物50と内側基礎12との間に入り込むことができるので、第2の積層ゴム装置20のメンテナンスが容易である。
〔第2実施形態〕
次に、図11〜20に基づいて、本発明に係る建造物の防震基礎構造の第2実施形態を説明する。
〔全体構成〕
まず、図11,12に基づいて本第2実施形態の建造物の防震基礎構造30の全体構成を説明する。
建造物の防震基礎構造30は、図11,12に示すように、外側基礎11の前記側面部11Bの内側面11Dと内側基礎12の外側面12Fとの間にダンパー装置35を複数個配設したものであり、このダンパー装置35により、外側基礎11に作用する地震の横方向の揺れを吸収し、地震のエネルギーを減衰する構造としたものである。
なお、この第2実施形態においては、前記第1実施形態の建造物の防震基礎構造10にダンパー装置35を設けただけであり、その他の構造、使用部材は第1実施形態と同じである。そこで、第1実施形態と同一のものには同一符号を付し、異なる構造等についてのみ詳細に説明する。
ダンパー装置35は、図13〜図15に詳細を示すように、所定のバネ力を有する圧縮コイルバネ38を備えて構成されており、図12に示すように、外側基礎11の内側面11Dの縦横位置に、合計で、例えば10個が略均等位置に配設されている。
ただし、ダンパー装置35は、内側基礎12および建造物50の規模、大きさ、重量等に対応して配置されるものであり、何個配置してもよいものである。
ダンパー装置35は、平面四角形状の固定プレート36と、この固定プレート36に固着された断面U字状のバネ支持部材37と、基端が上記固定プレート36に固着されると共に先端が内側基礎側12側に延出した前記圧縮コイルバネ38とを備えて構成され、固定プレート36は、例えば、アンカーボルト39により外側基礎11の側面部11Bの内側面11Dに固定されている。
圧縮コイルバネ38は、地震時の揺れにより外側基礎11が横方向に動いて内側基礎12の外側面12Fに当接したとき、地震のエネルギーを吸収し、減衰できるような所定のバネ力を有する線径太さ、外径大きさ、長さに形成されている。
外側基礎11の側面部11Bにおける内側面11Dと内側基礎12の外側面12Fとの間隔は、ダンパー装置35が配置されている分、前記間隔SPより大きな寸法のSP1に設定されており、これに対して、バネ支持部材37の外側基礎11の内側面11Dからの突出寸法はL5(図14参照)に設定されている。
そして、バネ支持部材37の先端と内側面11Dと内側基礎12の外側面12Fとの間隔が、第1実施形態の前記間隔SPと略同じ間隔に設定されている。
圧縮コイルバネ38の先端は、バネ支持部材37の先端から内側基礎12の外側面12F側に突出すると共に、内側基礎12の外側面12Fから寸法L6離れた位置まで延出している。この寸法L6は、ダンパー装置35を間隔SP1内に取付けるのに支障のない隙間寸法、例えば5mm程度に設定されている。
ただし、5mm程度に限定されない。取付けは困難であるが、圧縮コイルバネ38の先端と内側基礎12の外側面12Fとを略接触させた状態で設けてもよい。
ダンパー装置35が、図13,14に示すような寸法に設定されている場合に、外側基礎11が地震の揺れにより、図14に示すように、矢印A1方向に動くと、圧縮コイルバネ38の先端が内側基礎12の外側面12Fに当接すると共に圧縮される。その結果、圧縮コイルバネ38により、地震のエネルギーが吸収され、減衰される。
そして、想定内の規模の大地震のとき、図15に示すように、圧縮コイルバネ38が略最大限圧縮される。
〔地震時の揺れの状態〕
次に、図17〜20に基づいて、地震の横揺れが外側基礎11に作用した際の、外側基礎11、内側基礎12、第1の積層ゴム装置15、第2の積層ゴム装置20および建造物50の揺れの状態を説明する。
本第2実施形態の建造物の防震構造30における地震の際の揺れの状態は、前記第1実施形態の建造物の防震構造10と略同様である。ただし、本第2実施形態の建造物の防震構造30では、特に内側基礎12がダンパー装置35の作用を受ける点が第1実施形態と異なる。そのため、ダンパー装置35が関与する部位を中心に説明する。
図17は、地震の横揺れが作用したときの外側基礎11、内側基礎12、第1の積層ゴム装置15、第2の積層ゴム装置20およびダンパー装置35の動きと建造物50との相互関係を表す全体図であり、図18は、図17の部分詳細図である。
図17,18に示すように、地震の横揺れが、まず外側基礎11に作用したとき、外側基礎11の動きに追従して第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eが動いた後、その下フランジ15Eの動きに追従して、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aおよび上フランジ15Fが仮想線で示すように、一方側または他方側に変形する。
すなわち、外側基礎11が矢印A1方向に揺れ幅Lだけ動いたとき、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aの変形形状は前記AMとなり、矢印B1方向に揺れ幅LLだけ動いたとき、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aの変形形状は前記BMとなる。
第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aが変形形状AM、またはBMとなったとき、それに連れて内側基礎12が仮想線で示すように横方向、つまり矢印A1,B1で示すように、一方側に揺れ幅L1だけ動き、または他方側に揺れ幅LL1だけ動く。
ここで、外側基礎11および第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eが矢印A1方向に沿って動くとき、ダンパー装置35の圧縮コイルバネ38(図17参照)の先端が内側基礎12の側面に当接すると共に、当該内側基礎12を押圧する状態になる。
すなわち、外側基礎11に作用した地震のエネルギーが圧縮コイルバネ38により吸収され、かつ減衰されることになる。
外側基礎11および内側基礎12が一方側または他方側に動くとき、第2の積層ゴム装置20は、その下フランジ20Eが内側基礎12の動きに追従すると共に、装置本体部20Aにおける内側基礎12側の一部が内側基礎12の動きの分だけ、つまり、揺れ幅L1または揺れ幅LL1だけ動いて、内側基礎12の動いた分を吸収するように変形する。
そして、このとき、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aは、前述のように、変形形状AQまたは変形形状BQとなっている。
そのため、建造物50の底面に固定されている第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fは動かず、建造物50は基準位置R・Pはそのままである。つまり、建造物50は横方向に揺れないことになる。
〔地震時の全体の揺れの状態〕
次に、全体の動きを、図19,20に基づいて、さらに詳細に説明する。
まず、図11の状態から、図19に矢印Aで示すように、外側基礎11の一方側から地震の横揺れが作用した場合、外側基礎11は矢印A1方向に沿って揺れ幅Lだけ動き、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eも矢印A1方向へ動き、このとき、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aは変形形状AMとなっている。
外側基礎11が矢印A1方向へ揺れ幅Lだけ動いたとき、外側基礎11に設けられている一方側のダンパー装置35の圧縮コイルバネ38の先端が、内側基礎12の一方側の端面に当接すると共に、その端面を押圧する結果、圧縮コイルバネ38は瞬間的に縮小されるが、その後は、内側基礎12にA1方向への付勢力を付与するようになっている。そして、圧縮コイルバネ38の先端が内側基礎12の一方側の端面に当接し、その端面を押圧する際、地震のエネルギーが吸収されて減衰される。
また、内側基礎12がA1方向に動いたとき、他方側のダンパー装置35の圧縮コイルバネ38は内側基礎12により圧縮される。その結果、その作用により、地震のエネルギーが吸収されて減衰される。
以上のように、本第2実施形態の建造物の防震基礎構造30では、外側基礎11が一方側または他方側に動くとき、圧縮コイルバネ38が内側基礎12の側面に当接する結果、例えば、一方側では瞬間的に圧縮され、他方側では内側基礎12で圧縮される。
圧縮コイルバネ38が瞬間的には2方向で圧縮されるので、地震のエネルギーの吸収および減衰効果が大きいものとなる。
内側基礎12が矢印A1方向に動くと、それに連れて、当該内側基礎12の上面12Eに固定されている第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eも、揺れ幅L1だけ同方向に移動する。
そして、このとき、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aの形状は前記変形形状AQとなっており、第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fの位置は変わらず、また、建造物50の基準位置R・Pも変わらない。
次いで、図19の状態から図20に示すように、地震の周期動により、外側基礎11および第1の積層ゴム装置15の下フランジ15E等が反転して、矢印B1方向に揺れ幅LLだけ動いたとき、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15Eも矢印A1方向へ動き、このとき、第1の積層ゴム装置15の装置本体部15Aは変形形状BMとなる。
外側基礎11が矢印B1方向へ揺れ幅LLだけ動いたとき、外側基礎11に設けられている他方側のダンパー装置35の圧縮コイルバネ38の先端が、内側基礎12の他方側の端面に当接すると共に、その端面を押圧する結果、圧縮コイルバネ38は瞬間的に縮小されるが、その後は、内側基礎12にB1方向への付勢力を付与するようになっている。そして、圧縮コイルバネ38の先端が内側基礎12の他方側の端面に当接し、その端面を押圧する際、地震のエネルギーが吸収されて減衰される。
また、内側基礎12がB1方向に動いたとき、一方側のダンパー装置35の圧縮コイルバネ38は内側基礎12により圧縮される。その結果、その作用により、地震のエネルギーが吸収されて減衰される。
内側基礎12が矢印B1方向に揺れ幅LLだけ動くと、それに連れて、当該内側基礎12の上面12Eに固定されている第2の積層ゴム装置20の下フランジ20Eも、揺れ幅LL1だけ同方向に移動する。
そして、このとき、第2の積層ゴム装置20の装置本体部20Aの形状は前記変形形状BQとなっており、第2の積層ゴム装置20の上フランジ20Fの位置は変わらず、また、建造物50の基準位置R・Pも変わらない。
次に、地震の最初の横揺れが、図19とは反対側、つまり、矢印B方向から外側基礎11に作用した場合の一連の動きを説明する。
地震の横揺れが、図20に示すように、矢印B方向から外側基礎11に作用した場合、図19の状態から、外側基礎11、第1の積層ゴム装置15の下フランジ15E等が反転した状態を説明した図20と略同様である。
また、図20の状態から外側基礎11等が反転した場合、図19の状態である。
〔第2実施形態の効果〕
以上のような第2実施形態では、前記(1)〜(7)と略同様の効果を得ることができる他、次のような効果を得ることができる。
(8)外側基礎11の側面部11Bの内側面11Dと内側基礎12の外側面12Bとの間に複数個のダンパー装置35が配設されており、地震時に、外側基礎11が横方向に揺れたとき、一方側のダンパー装置35の圧縮コイルバネ38の先端が内側基礎側12の側面に当接し、且つ両基礎11,12に圧縮される。この場合、他方側の圧縮コイルバネ38の先端も、内側基礎側12の他方側の側面で圧縮される。その結果、一方側と他方側との双方で、圧縮コイルバネ38が圧縮されるので、地震の揺れが吸収され、かつエネルギーが減衰されるので、揺れを減少させることができる。
〔第3実施形態〕
次に、図21〜24に基づいて、本発明に係る建造物の防震基礎構造の第3実施形態を説明する。
本第3実施形態の建造物の防震基礎構造60は、第1の免震装置および第2の免震装置を、それぞれ第1の鋼球支持装置62と第2の鋼球支持装置66で構成したものである。
なお、この第3実施形態においては、前記各実施形態とは、免震装置が異なるだけであり、その他の構造、使用部材は第1実施形態と同じなので、同一のものには同一符号を付し、異なる構造等についてのみ詳細に説明する。
図21,22に示すように、上記第1の鋼球支持装置62は前記外側基礎11の底面部11Aの内底面11Cと内側基礎12の外底面12Dとの間の複数個所に配置されており、第2の鋼球支持装置66は内側基礎12の上面12Eと建造物50の底面50Aとの間の複数個所に配置されている。
また、第1の鋼球支持装置62は、前記第1の積層ゴム装置15と同様の配置位置に配置されている。
各第1の鋼球支持装置62は所定の外形寸法の1個の鋼球63を備えており、この鋼球63は、外側基礎11の内底面11Cに固着された円環状の下側支持枠64と、内側基礎12の外底面12Dに固着された円環状の上側支持枠65とにより、転動自在に支持されている。
そして、鋼球63の転がり時の摩擦力により、外側基礎11の動く速度に対して内側基礎12の動く速度が遅くなるように構成されている。
下側支持枠64は、支持プレート64Aと、この支持プレート64Aに固着され鋼球 の外周を囲う円環状の枠部材64Bとで構成されており、上側支持枠65は、支持プレート65Aと、この支持プレート65Aに固着され鋼球63の外周を囲う円環状の枠部材65Bとで構成されている。
ここで、上側支持枠65の円環状の枠部材65Bの内径の大きさは、下側支持枠64の円環状の枠部材64Bの内径の大きさより大きく形成されている。そのため、地震の揺れが外側基礎11に作用してその外側基礎11が横方向に動いたとき、上側支持枠65の円環状の枠部材65Bの中で鋼球63が転動するので、その分、内側基礎12の横方向の動きを抑えることができ、これにより、地震のエネルギーを吸収・減衰し、地震力を緩和することができるようになっている。
また、図21に示すように、鋼球63が下側支持枠64の円環状の枠64Bの中心位置にあるとき、鋼球63の外周と円環状の枠部材64Bの内径との間隔が、例えば揺れ幅L1,LL1となるように枠64Bの大きさが設定されている。
そして、この揺れ幅L1,LL1は、前記第1,2実施形態の内側基礎12の水平方向の動く距離L1,LL1と略同じであり、中程度の地震、例えば震度3,4程度の地震に対応できるように設定されている。
第2の鋼球支持装置66は、前記第2の鋼球支持装置66と対応して複数個所に配置され、かつ前記第2の積層ゴム装置15と同様の配置位置に配置されている。
また、第2の鋼球支持装置66は、所定の外形寸法の鋼球63Aを備えており、この鋼球63Aは、内側基礎12の上面12Eに固着された下側支持枠67と、建造物50の底面50Aに固着された上側支持枠68とにより、転動自在に支持されている。
そして、鋼球63Aの転がり時の摩擦力により、内側基礎12の動く分を建造物50の底面50Aに固着された上側支持枠68で吸収できるように構成されている。
下側支持枠67は、支持プレート67Aと、この支持プレート67Aに固着され鋼球63Aの外周を囲う円環状の枠部材67Bとで構成されており、上側支持枠68は、支持プレート68Aと、この支持プレート68Aに固着され鋼球63Aの外周を囲う円環状の枠部材68Bとで構成されている。
ここで、上側支持枠68の円環状の枠部材68Bの内径の大きさは、下側支持枠67の円環状の枠部材67Bの内径の大きさより大きく形成されている。そのため、外側基礎11から伝わった地震の揺れに追従して内側基礎11が横方向に動いたとき、その内側基礎11の揺れた分を吸収して、上側支持枠68の円環状の枠部材68Bの中で鋼球63Aが転動するので、枠部材68Bは動かない。すなわち、建造物50の揺れを防止し、これにより、建造物50の基準位置R・Pを維持することができる。
鋼球63が上側支持枠68の円環状の枠部材68Bの中心位置にあるとき、鋼球63の外周と円環状の枠部材68Bの内径との間隔が、例えば揺れ幅L,LLとなるように枠部材68Bの大きさが設定されている。
そして、この揺れ幅L,LLは、前記第1,2実施形態の外側基礎11の水平方向の動く距離L,LLと略同じであり、巨大地震、例えば震度7以上の地震に対応できるように設定されている。
図22に示すように、上側支持枠68の支持プレート68Aの中央部68AAは、円環状の枠部材68B内において逆擂り鉢形状に形成されている。すなわち、逆擂り鉢形状は、枠部材68B内の中心から周囲に向かって下る方向に僅かな傾斜となっている。そのため、通常時には前記鋼球63Aが擂り鉢の中心部に収まった状態で保持されており、小さな地震の揺れや強い風が吹いても建造物50が揺れないようになっている。
また、前記上側支持枠65の支持プレート65Aの中央部も、上記と同様に、円環状の枠部材65B内において逆擂り鉢形状に形成されている。
なお、第1の鋼球支持装置62において、上側支持枠65の構成を外側基礎11に設け、下側支持枠64の構成を内側基礎12に設けてもよい。また、第2の鋼球支持装置66において、下側支持枠67の構成を建造物50に設け、上側支持枠68の構成を内側基礎12の上面に設けてもよい。
図23,24に示すように、本第3実施形態の建造物の防震基礎構造60では、外側基礎11と内側基礎12とにわたって前記ダンパー装置35が設けられ、内側基礎12と建造物50とにわたってオイルダンパー装置69が設けられている。
オイルダンパー装置69は、建造物50の底面から垂下された固定部材69Aと、内側基礎12の上面に立設された固定部材69Bと、これらの固定部材69A,69Bに水平状態に保持されたダンパー本体69Cとを備えて構成されている。
このオイルダンパー装置69は、通常時、つまり地震のないとき、建造物50が強い風等により揺れるのを防止する役割も果たしている。
次に、以上のような構成の第3実施形態の建造物の防震基礎構造60の地震による揺れの状態を、図23,24を参照して説明する。
今、図23に矢印Aで示すように、一方側から初期の地震の横揺れが外側基礎11に作用したとき、当該外側基礎11が矢印A1方向に揺れ幅Lだけ他方側に動いたとする。
そうすると、下側支持枠64の支持プレート64Aが外側基礎11と共に揺れ幅Lだけ同方向に動き、このとき、鋼球63も転動しながら支持プレート64Aの枠部材64Bに囲われた状態で他方側に動く。また、下側支持枠64の支持プレート64Aの動きに連れて鋼球63と上側支持枠65の枠部材65Bとが係合すると共に、その枠部材65Bおよび支持プレート64A、ひいては内側基礎12が外側基礎11と同じ方向に動く。
外側基礎11が矢印A1方向に沿って動くとき、ダンパー装置35の圧縮コイルバネ38の先端が内側基礎12の側面に当接すると共に圧縮され、当該内側基礎12を押圧する状態になる。つまり、外側基礎11に作用した地震のエネルギーが圧縮コイルバネ38により吸収され、かつ減衰されることになる。
このとき、他方側のダンパー装置35の圧縮コイルバネ38は、揺れにより他方側に動いた内側基礎12の側面に押されて圧縮され、これにより、他方側でも、ダンパー装置35により地震のエネルギーが吸収され、かつ減衰されることになる。
一方、第2の鋼球支持装置66では、内側基礎12の上面12Eに固着されている下側支持枠67の支持プレート67Aが、内側基礎12の他方側への動きに追従して当該内側基礎12と共に他方側に動く。
このとき、鋼球63Aは上側支持枠68の枠部材68B内を内側基礎12の移動の分だけ移動するが、上側支持枠68の支持プレート68Bは動かない。すなわち、建造物50は動かず、その基準位置R・Pが変わることがない。
内側基礎12が矢印A1方向に沿って動くとき、オイルダンパー装置69のダンパー本体69Cが作用し、内側基礎12に作用した地震のエネルギーがオイルダンパー装置69により吸収され、かつ減衰されることになる。
その後は、図24に示すように、地震の周期動により、外側基礎11が反転して矢印B1方向に沿って一方側に動くと共に、第1の鋼球支持装置62、および第2の鋼球支持装置66の作用により内側基礎12が一方側に動く。このときも、建造物50は動かず、その基準位置R・Pが変わることがない。
そして、この際でも、ダンパー装置35とオイルダンパー装置69との作用により、外側基礎11に作用した地震のエネルギー、および内側基礎12に作用した地震のエネルギーが吸収され、かつ減衰される。
以後は、地震の周期動により、外側基礎11および内側基礎12が、地震の揺れが治まるまで一方側または他方側に動き、地震の揺れが収束したとき、図25の状態となる。
〔第3実施形態の効果〕
以上のような第3実施形態の建造物の防震基礎構造60では、前記(2)〜(8)と略同様の効果を得ることができる他、次のような効果を得ることができる。
(9)地震時に横揺れが生じ外側基礎11が横方向に動いたとき、鋼球63も転動しながら支持プレート64Aの枠部材64Bで囲われた範囲内で他方側に動く。このとき、鋼球63Aは上側支持枠68の枠部材68B内を内側基礎12の移動の分だけ移動するが、上側支持枠68の支持プレート68Bは動かない。
すなわち、建造物50は動かず、その基準位置R・Pが変わることがない。その結果、建造物50が地震の影響を受けないので、地震による被害を防止することができる。
(10)前記第1,2実施形態の、第1の積層ゴム装置15および第2の積層ゴム装置20は、一般的に、例えば、1,2階建ての戸建住宅を建てるには構造上不向きであるとされているが、第3実施形態の建造物の防震基礎構造60では、第1の鋼球支持装置62、および第2の鋼球支持装置66によって全体重量を支持するので、建造物の全体重量が軽量であっても対応できる。その結果、例えば、1,2階建ての戸建住宅を建てる際に適用することができる。
(11)第1の鋼球支持装置62が、鋼球63と、下側支持枠64と上側支持枠65とを備えて構成されており、また、第2の鋼球支持装置66が、鋼球63Aと、下側支持枠67と、上側支持枠68とを備えて構成されているので、前記第1の積層ゴム装置15および第2の積層ゴム装置20に比べて、簡単な構成となり、費用も安価ですむ。
〔第4実施形態〕
次に、図25に基づいて、本発明に係る建造物の防震基礎構造の第4実施形態を説明する。
本第4実施形態の建造物の防震基礎構造70は、第1基礎として、前記各実施形態の枡状に構成された外側基礎11に換えてベタ基礎状の第1基礎71を用いたものであり、この第1基礎71の上方に第2基礎としての前記内側基礎12を設けたものである。
そして、第1基礎71と内側基礎12との間に、複数個の第1の免震装置として前記第1のゴム装置15を配置し、第2基礎72と建造物50との間に、複数個の第2の免震装置として前記第2のゴム装置20を配置したものである。
なお、この第4実施形態においては、前記各実施形態とは、第1基礎71が異なるだけであり、その他の構造、使用部材は略同一なのでそれらには同一符号を付し、異なる構造等についてのみ詳細に説明する。
図25に示すように、本第4実施形態の建造物の防震基礎構造70は、敷地内に掘削された基礎用穴GHの底面に埋設される第1基礎71と、この第1基礎71の上方に配置されると共に上面に建造物50が構築される前記内側基礎12とを備えて構成されている。
前述のように、第1基礎71はベタ基礎状に形成され、この第1基礎71は内側基礎12より幅広に形成されており、両者71,12の差分の空間が、内側基礎12の揺れ幅を収容可能な前記空間SPとなっている。
また、基礎用穴GHの周囲には、所定の板厚寸法の擁壁72が設置されている。この擁壁72は、例えば所定厚さのコンクリート壁で構成されており、上記第1基礎71の側面と当接した状態で設置されている。
第1基礎71と内側基礎12との間には、前述のように、複数個の前記第1の免震ゴム装置15が配置され、内側基礎12と建造物50との間には、複数個の前記第2の免震ゴム装置20が配置されている。
なお、擁壁72と内側基礎12の側面とにわたって、さらに、内側基礎12と建造物50との間に、図示しないが、前記第2実施形態のダンパー装置35、あるいは複数個のオイルダンパーを設けてもよい。
以上のような第4実施形態の建造物の防震基礎構造70においても、地震の際の、第1基礎71、内側基礎12、第1の免震ゴム装置15および第2の免震ゴム装置20の揺れの状態は、前記各実施形態と略同様であるので、その説明は省略する。
〔第4実施形態の効果〕
以上のような第4実施形態の建造物の防震基礎構造70によれば、前記(1)〜(7)と略同様の効果を得ることができる他、次のような効果を得ることができる。
(12)第1基礎71がベタ基礎状となっているので、前記第1〜3実施形態の建造物の防震基礎構造10,30,60の外側基礎11と比べて簡単な構造であり、その結果、製造が容易である。
以上、前記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、前記実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
例えば、前記第1実施形態において建造物50は、通常の土地に建てられていることを前提として説明したが、図26に示すように、液状化現象が発生するおそれのある軟弱地盤層の土地に建ててもよい。
この場合、外側基礎11の周囲に、先端部が軟弱地盤層を貫通して支持地盤層に支持され、軟弱地盤層の液状化から外側基礎11を防護する防護壁85が設けられている。この防護壁85は、例えば、鋼矢板あるいは所定厚さに形成されたコンクリート壁で構成されている。また、外側基礎11の外底面の下方の軟弱地盤層において、地盤強化材としての所定厚さにわたって前記鉄鋼スラグ80が充填されている。
このようにすれば、前記(1)〜(7)と同様の効果を得ることができる他、
(13)軟弱地盤層に建造物50が建てられた場合でも、外側基礎11の外周に防護壁85が配置され、この防護壁85は、その先端部が軟弱地盤層を貫通して支持地盤層に支持されているので、地震が発生し、軟弱地盤層に液状化現象が起きた場合でも、その液状化を防護壁85で防ぐことができる。外側基礎11そのものだけでも液状化現象にある程度対応できる他、防護壁85が設けられているため、より強固に液状化現象に対応でき、その結果、液状化の被害を免れることができる。
(14)基礎11の外底面の下方の軟弱地盤層において、地盤強化材としての所定厚さの鉄鋼スラグ80が詰め込まれているので、軟弱地盤層の地盤を強化することができる。また、防護壁85と共に液状化現象により強固に対応でき、その結果、液状化の被害を免れることができる。
また、例えば、前記第1実施形態の建造物50を、図31に示すような構成として、液状化現象が発生する恐れのある軟弱地盤層の土地に建ててもよい。
すなわち、この変形形状では、外側基礎11の底面部に多数本の基礎杭90が連結されており、これらの基礎杭90の先端部が、軟弱地盤層および非軟弱地盤層を貫通して支持地盤層内に到達し、かつ支持地盤層に支持されている。
そして、このようにすれば、前記(1)〜(7)と同様の効果を得ることができる他、
(15)外側基礎11の底面部に多数本の基礎杭90が連結され、これらの基礎杭90の先端部が、軟弱地盤層および非軟弱地盤層を貫通して支持地盤層内に到達し、かつ支持地盤層に支持されているので、地震が発生し、軟弱地盤層に液状化現象が起きた場合でも、外側基礎11が基礎杭90で強固に支持されているので、軟弱地盤層に建造物50が建てられた場合でも、液状化の被害を免れることができる。
また、前記第2実施形態では、ダンパー装置35を構成する圧縮コイルバネ38を外側基礎11の側面部11Bの内側面11Dと内側基礎12の外側面12Bとにわたって設けたが、ダンパー装置はバネを利用したものに限らない。外側基礎11の内側面11Dと内側基礎12の外側面12Bとにわたって、複数個のオイルダンパーを設けた構成としてもよい。さらに、外側基礎11の内底面11Cと内側基礎12の外底面12Dとにわたって、公知の複数個の横向きU字状の鉛ダンパを設けてもよい。
さらに、前記第1,2実施形態の防震基礎構造10,30における内側基礎12と建造物50との間に、前記第3実施形態の防震基礎構造60のオイルダンパー装置69と同等のオイルダンパー装置を設けてもよい。
なお、前記第3実施形態の建造物の防震基礎構造60を構成する第1の鋼球支持装置62と第2の鋼球支持装置66とを応用して、建造物に換えて、倉庫やコンビニ等の大型の棚、業務用の冷蔵庫、大きな書庫、箪笥等の揺れ防止に適用することもできる。
すなわち、前記第3実施形態の外側基礎11に相当する固定部材を基礎用穴に相当する床面に固定し、固定部材の上方に、第1の鋼球支持装置62に類似する鋼球支持装置を介して内側基礎12に相当する移動部材を配置し、この移動部材の上方に、第2の鋼球支持装置66に類似する鋼球支持装置を介して前記大型の棚等を取付けた防震構造とすることができる。
このようにすると、大型の棚等に収容されている各種の商品が地震の揺れにより倒れ落ちるのを防止することができる。
また、前記第1,2実施形態の建造物の防震基礎構造10,30と、第3実施形態の建造物の防震基礎構造60とを組み合わせた構成としてもよい。
すなわち、外側基礎11と内側基礎12との間に第1の積層ゴム装置15を配設し、内側基礎12と建造物50との間に、第2の鋼球支持装置68を配設した構成でもよい。
あるいは、その逆、つまり、外側基礎11と内側基礎12との間に第1の鋼球支持装置62を配設し、内側基礎12と建造物50との間に第2の積層ゴム装置20を配設した構成としてもよい。
本発明は、住宅等の建造物を建てる際に利用することができる。
10 建造物の防震基礎構造(第1実施形態)
11 枡状の外側基礎(第1基礎)
11A 外側基礎の内底面
11B 外側基礎の内側面
12 内側基礎(第2基礎)
12A 内側基礎の外底面
12B 外側基礎の外側面
15 第1の免震装置である第1の積層ゴム装置
15E 下フランジ
12F 上フランジ
20 第2の免震装置である第2の積層ゴム装置
20E 下フランジ
20F 上フランジ
30 建造物の防震基礎構造(第2実施形態)
35 ダンパー装置
38 ダンパー装置を構成する圧縮コイルバネ
50 建造物
60 建造物の防震基礎構造(第3実施形態)
62 第1の免震装置である第1の鋼球支持装置
68 第2の免震装置である第2の鋼球支持装置
70 建造物の防震基礎構造(第4実施形態)
71 第1基礎
72 擁壁
90 基礎杭
























Claims (3)

  1. 基礎用穴の底部に埋設される第1基礎と、
    この第1基礎の上方に配置されると共に上面に建造物が構築される第2基礎と、
    前記第1基礎と第2基礎とにわたって設けられ前記第1基礎に作用した地震の揺れを横方向に動いて緩和する複数個の第1の免震装置と、
    前記第2基礎と前記建造物とにわたって設けられ、前記第1の免震装置から前記第2基礎に伝播した地震の揺れた分を横方向に動いて吸収し前記建造物の揺れを防止する複数個の第2の免震装置と、を備えた構成とされ、
    前記第1の免震装置および第2の免震装置を、それぞれ複数の第1の鋼球支持装置および第2の鋼球支持装置で構成し、
    前記複数の第1の鋼球支持装置を、
    前記第1基礎の内底面と前記第2基礎の外底面とに当接するそれぞれ1個の鋼球と、前記第1基礎の内底面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の下側鋼球支持枠と、前記第2基礎の外底面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の上側鋼球支持枠と、を備えた構成とし、
    前記複数の第2の鋼球支持装置を、
    前記第2基礎の上面と前記建造物の底面とに当接するそれぞれ1個の鋼球と、前記第2基礎の上面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の下側鋼球支持枠と、前記建造物の底面に設けられ前記鋼球を転動自在に支持する円環状の上側鋼球支持枠と、を備えた構成とし、
    前記各下側鋼球支持枠と各上側鋼球支持枠との枠内の広さを、いずれか一方が他方より広くなるように形成したことを特徴とする建造物の防震基礎構造。
  2. 請求項1に記載した建造物の防震基礎構造において、
    前記いずれか一方の鋼球支持枠を前記各上側鋼球支持枠とすると共に他方の鋼球支持枠を前記各下側鋼球支持枠とし、前記各上側鋼球支持枠を、その円環状の中心部が窪んだ逆擂り鉢状に形成したことを特徴とする建造物の防震基礎構造。
  3. 請求項1に記載した建造物の防震基礎構造において、
    前記第1基礎と前記第2基礎との間に、地震による前記第1基礎の横方向の揺れを吸収し減衰する複数個の第1ダンパー装置を設け、
    前記第2基礎と前記建造物との間に前記第1基礎から前記第2基礎に伝播した横方向の揺れを吸収し減衰する複数個の第2ダンパー装置を設け、
    前記第1ダンパー装置を、一端側が前記第1基礎の側面部の内側面に固定されると共に他端側が前記第2基礎の側面側に向かい且つ当該2基礎の側面と当接したときその第2基礎を押圧するバネ部材を備えた構成とし、
    前記第2ダンパー装置を、それぞれの固定端部が前記第2基礎と前記建造物に固定されたオイルダンパーで構成したことを特徴とする建造物の防震基礎構造。
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